. 若き知
2026年6月16日「戦闘終結観測で15日の日経平均株価は69000円超えに」

 トランプ米大統領は米東部時間14日、イランと戦闘終結で合意したとSNSで発表。「ホルムズ海峡の通航料なしの開放と、米海軍による封鎖の即時解除を承認する。世界の船はエンジンを始動し、石油を流そう」と書き込んだ。

 19日に合意を正式に締結すると明言し、署名をもってホルムズ海峡は開くとの認識を示した。

 12日の米国市場では、イランが近く戦闘終結に向けて合意するとの期待が高まり、スペースXの上場が好調だったことも好感され、ダウ平均は353ドル高、ナスダックは79ポイント高となっていた。

 トランプ大統領は併せてホルムズ海峡の開放を明言した。

 15日朝に時間外取引で原油先物価格が急落し、WTI原油先物は80ドル台に下落した。12日の米国市場でのWTI先物7月限は2.83ドル安の1バレル84.88ドルとなっていた。

 この原油価格の下落も好感し、15日の東京株式市場は大きく買われた。

 15日10時現在、東京株式市場で日経平均株価の前週末比の上げ幅が一時、3300円を超え、初めて6万9000円を上回った。7万円も視野に入ってきた。

 ソフトバンクグループやキオクシアホールディングス、村田製作所など半導体関連株が上昇したまた、トヨタ自動車など出遅れていた自動車関連にも買いが入った。

 トランプ大統領は過去に何度も停戦との表現を使ったが、そのたびに裏切られた格好となっていた。しかし、今回はどうやら本当に停戦交渉が進んでいたようである。

 これはトランプ大統領の外交努力が芽を結んだと言うわけでは当然ない。そもそもイスラエルに従っていきなり攻撃を加えたのが米国であった。

 しかし、交戦の長期化と予想外のホルムズ海峡封鎖で、トランプ側の予想が大きく覆された。米国にとって状況が悪化しとにかくも停戦に持ち込むための手段に訴えたとみられる。

 タイミングがトランプ大統領の誕生日に重なったのも偶然ではないかもしれない。しかし、これで和平交渉を成功させた大統領とアピールしたら、これこそマッチポンプの典型例となってしまう。

 結果として最大の懸念材料であったホルムズ海峡の封鎖が解かれる可能性が強まった。これによって物価高と景気悪化が重なるスタグフレーションへの過度な懸念はいったん後退するとみられる。

 ただし、物価への影響は当面続くことも予想される。日銀は予想されていたように16日には0.25%の利上げを決定すると予想される。その後も正常化の動きを進めることが期待される。

 FRBについては今回のFOMCでは予想通りの現状維持か。今後は物価の動向を睨みながら次の一手を探ることになりそうである。


2026年6月14日「日銀は6月会合で利上げを決定か、背後にベッセント米財務長官?」

 日銀は6月15、16日の金融政策決定会合で利上げを決める方針のようである。

 日銀執行部が16日の会合で利上げ議案を提出し、政策委員の賛成多数で決める見通しとなっている。ただし、今回、植田総裁は肝嚢胞感染症治療で入院とも報じられた。15、16日の金融政策決定会合は欠席する。会合では氷見野副総裁が議長代行となり、記者会見は内田副総裁が行う予定となっている。

 すでに審議委員のなかの5名が利上げに前向きであることが示されていた。関門は高市政権の反応にあった。これについては木原官房長官が5月20日の記者会見で、「利上げを含め、金融政策の具体的な手法については日銀に委ねられるべきだと考えている」と述べていた。また、高市首相も6月3日午後の参院本会議で金融政策の具体的手法は「補正予算編成の有無にかかわらず日銀に委ねられるべき」との認識を表明した。4月28日の金融政策決定会合にも出席していた城内経財相も9日の閣議後会見で、金融政策の具体的手法は日銀に委ねられるとしていた。

 少なくとも6月15、16日の決定会合では利上げを容認するかのような姿勢を示していた。これはどうしてなのか。日銀関係者からは「企業の価格転嫁のスピードが速まっている。タイミングを逃すと、後から大幅な利上げを迫られかねない」とのコメントもあったようである。

 どうして4月ではなく6月であったのかとの疑問は残る。高市政権が為替動向、ベッセント米財務長官の発言等を受けて、容認せざるを得なくなったのか、それとも実態経済の動向にやっと理解を示したのか。後者であってほしいところではある。

 しかし、どうやら前者が正解であったようである。14日に日本経済新聞は日銀は15〜16日の金融政策決定会合で6カ月ぶりの利上げを議論する。背中を押すのは親日家であり金融資本市場も熟知するベッセント米財務長官とも報じていた。

 金融政策とは関係はないが、6月の会合では2027年4月以降の国債買入をどうするのかも検討される。

 こちらは四半期ごとに国債の買い入れ額を減らす措置は2027年4月以降、停止する方向で調整に入ったと報じられた。

 市場関係者からはもっと減らすべきだとの意見もある。ただし、私はひとつの目標として2012年4月の異次元緩和決定前の水準に戻すべきだと考えていた。

 2012年3月では毎月2.1兆円規模の買入となる。2012年4月は1兆8600億円となっており、まだ若干の縮小余地はあるものの、ある程度の目標は完了とみても良いかと個人的には考えている。

 日銀が無理矢理国債を大量に買い入れる必要はないものの、資産の一部として国債を保有することについては異論はない。ただし、これを政治的な道具のように扱われては困ることもたしかである。


2026年6月14日「欧州中央銀行(ECB)は11日の政策理事会で2023年9月以来の利上げを決定」

 欧州中央銀行(ECB)は11日の政策理事会で、主要政策金利であるところの中銀預金金利を2.00%から2.25%と0.25%引き上げることを決めた。利上げは2023年9月以来となる。

 ECBはロシアによるウクライナ侵略後のインフレに急ピッチな利上げで対応した後、2024年6月には利下げに転じていた。

 ECBは今回の会合の声明で「中東の戦争はインフレ圧力を生み出している。利上げの決定はこのショックがどのように進展し、ユーロ圏の中期見通しに影響を与え得るかを示す様々なシナリオにわたって確固たるものだ」と表明した。

 欧州連合(EU)統計局が6月2日に発表したユーロ圏の5月の消費者物価指数は速報値で前年同月比3.2%の上昇となっていた。ECBは11日、2026年のユーロ圏の物価上昇率見通しを3.0%と3月時点の2.6%から上方修正していた。

 日銀は15〜16日の金融政策決定会合で0.25%の利上げを決めると予想されている。

 16〜17日にはFOMCが開催される。ケビン・ウォーシュ新FRB議長にとって初の会合となる。政策金利については据え置く見通しだが、将来の金融緩和を示唆する文言を声明文から削除するとの観測がある。中東情勢の行方は不透明感も残り、簡単には解決の見通しが立たない可能性も高い。いずれFRBも利上げに転じざるを得ないと思われる。

 18日にはイングランド銀行の会合も控えている。政策金利は据え置く公算が大きいとされているが、年初は利下げの方向だったが一転して年内の利上げ時期を探る展開となりそうである。英国の消費者物価指数は2026年5月に前年比3%台に上昇するとの予想も出ている。

 日本の5月の企業物価指数は前年同月比で6.3%の上昇となった。伸び率は4月の5.3%を上回り、2023年3月以来3年2か月ぶりの高水準となった。消費者物価指数(除く生鮮)は4月が前年同月比で1.4%上昇となるなど2%を割り込んでいるが、今後は再び2%台を回復してくることが予想されている。

 日銀にとって2025年12月から半年ぶりの利上げとなる予定だが、今後は物価が急速に再上昇してくる可能性があり、次の次の利上げも速めに模索する必要が出てきそうである。


2026年6月12日「エネルギー価格上昇による物価上昇」

 10日に発表された5月の米消費者物価指数は前年同月比の上昇率は4.2%となり、4月の3.8%から加速した。市場予想には一致していたが、2023年4月以来の高水準となった。

 中東情勢の混乱を受けエネルギー価格上昇したことが影響していた。ガソリンは同7.0%上昇し前年同月比では上昇率が40.5%となった。

 食品・エネルギーを除くコアCPIの上昇率は2.9%上がり、4月の2.8%から拡大した。

 そして、日銀が10日に発表した5月の企業物価指数は前年同月比で6.3%の上昇となった。伸び率は4月の5.3%を上回り、2023年3月以来3年2か月ぶりの高水準となった。

 こちらも原油価格の高騰が幅広い製品に波及し始めている。

 イランがホルムズ海峡上空で米軍のヘリコプターを撃墜したことに対し、米国は9日夕、イランに対して「自衛的な攻撃」を始めたと明らかにした。トランプ大統領は10日に自身のSNSの投稿で「彼ら(イラン)は交渉に時間をかけすぎており、その代償を支払わなければならない」と主張していた。

 中東情勢は、いくらトランプ大統領が楽観的なコメントを出そうと状況は変わらず、和平交渉は行き詰まりとなっている。このままではベトナム戦争、アフガニスタン紛争、さらにはロシアによるウクライナ侵攻のような泥沼化が避けられない可能性も出てきた。

 ところがトランプ大統領は11日午後、予定していたイランに対する攻撃を中止したと表明した。市場は中東情勢が一段と悪化するとの警戒が和らいだとの認識だが、いまのところ希望的観測のようにもみえなくもない。

 イラン外務省のバガイ報道官は11日、米国との合意の可能性についてイランはまだ最終決定を下しておらず、交渉におけるレッドライン(譲れない一線)については妥協しないとの認識を示した。

 いまのところ日本国内にいる限りにおいては、ガソリン価格が無理矢理抑えられるなやどしていることで危機感はさほど感じていないかもしれない。しかし物価を取り巻く状況はかなり厳しい状況となっている。

 原油そのものや関連商品を何とか輸入できたとしても、これまでのように安価で手に入れられなくなっている。

 実際に国内企業物価は6%の上昇となっており、タイムラグはあるがそれが消費者物価にも反映されることも予想される。

 これは金利にも上昇圧力を加えよう。日銀は15、16日の金融政策決定会合で政策金利を1%に引き上げると予想されている。

 しかし、日銀はあまりに慎重し過ぎる面もあり、今後は利上げピッチを速める必要が出てくる可能性もある。


2026年6月11日「日銀は6月16日に政策金利を1.00%に引き上げか」

 日銀は6月15、16日の金融政策決定会合で利上げを決める方針だと10日に日本経済新聞などが報じた。

 政策金利は現状の0.75%から1.0%に引き上げる見込みとなる。植田総裁ら執行部が利上げ議案を提出し、9人いる政策委員の賛成多数で決める見通しとなっている。

 仮に執行部が躊躇した場合に、審議委員5名で利上げを強行する可能性もあったが、それはどうやら回避される見込みとなる。

 6月の会合では2027年4月以降の国債買入をどうするのかも検討される。こちらは四半期ごとに国債の買い入れ額を減らす措置は2027年4月以降、停止する方向で調整に入ったと報じられた。

 どちらもほぼ予想された通りではあるが、9日の債券市場はこれを好感した。

 政府からの発言を見る限り、金融政策の具体的な手法については日銀に委ねられるべきだとの発言が官房長官、首相、経財相から相次いでいたことで、政府も黙認する姿勢を示していた。

 特に木原官房長官は「利上げを含め、金融政策の具体的な手法については日銀に委ねられるべきだと考えている」と述べていたが、その姿勢を貫いてほしいと願っている。

 市場では次の次の利上げを意識し始めている。仮に6月16日に利上げを決定するとなれば前回の利上げから半年後となる。

 半年に一度ずつというパターンにする必要はないが、市場では今年12月の再利上げを意識しそうである。

 ただし、5月の企業物価指数は前年同月比6.3%の上昇となるなど、今後、物価上昇圧力が強まる可能性は高い。

 川上から川下に影響が出るのもタイムラグはあるとは思うが、ホルムズ海峡閉鎖による影響は今後、じわじわと物価に影響してくることが予想される。

 この物価動向をみながら、日銀はタイムリーな追加利上げを探る展開ともなりそうである。

 ちなみに国債の買い入れ額を減らす措置については、ほぼ当初の想定内となるし、これは金融政策とも切り離して考える必要がある。

 もう少し減額すべきとの意見も耳にする。私はとにかくも2012年4月の異次元緩和前の水準に戻すことが先決との見方であり、その意味で2027年4月以降の減額はいったん棚上げでも良いのではないかと考える。

 また、植田日銀総裁は肝嚢胞感染症治療で入院とも報じられた。15、16日の金融政策決定会合は欠席する。会合では氷見野副総裁が議長代行となり、記者会見は内田副総裁が行う予定となっている。


2026年6月10日「金融政策の具体的手法は日銀に委ねられる」

 城内実経財相は9日の閣議後会見で、金融政策の具体的手法は日銀に委ねられるとし、日銀には政府と緊密な連携を期待すると述べた(9日付ロイター)。

 ここで注意すべきは、この発言のタイミングと「金融政策の具体的手法は日銀に委ねられる」との表現である。

 城内実経済財政政策担当大臣は4月28日の金融政策決定会合に出席している。4月27、28日の金融政策決定会合では、利上げを検討するのではとの見方が一時強まっていた。

 しかし、4月20日の時点で、日銀が27、28両日に開く金融政策決定会合で、追加利上げを見送る方向で検討に入ることが20日、分かったと報じられ、利上げ観測が急速に後退した。

 この際には高市政権が利上げに対して反対していたとみられる。

 4月14日に、高市首相と片山財務相は赤沢亮正経済産業相に対し、日本銀行の金融政策に関連した発言を控えるよう注意したと報じられた。

 赤沢経産相は4月12日のNHK番組で、物価高対策としてガソリン補助金などを長々と続ける考えはないとした上で、輸入物価の上昇を抑える手段として円安是正に向けた金融政策も選択肢との見解を示していた。

 このあたりのエピソードからも、利上げにブレーキを掛けようとしていたことがうかがえた。28日に城内経財相が自ら決定会合に出席したのもそれを確認するためだった可能性もある。

 しかし、それ以降は次第に状況に変化が生じていた。それは「金融政策の具体的手法は日銀に委ねられる」との発言が繰り返されるようになったことである。

 木原官房長官は5月20日午前の記者会見で、日銀が6月に開く金融政策決定会合で利上げを決める是非について問われ、「利上げを含め、金融政策の具体的な手法については日銀に委ねられるべきだと考えている」と述べた。

 この発言の注意点は「利上げを含め」の部分である。これまでそれが含まれるかどうかは明確ではなかった。

 高市首相も6月3日午後の参院本会議で金融政策の具体的手法は「補正予算編成の有無にかかわらず日銀に委ねられるべき」との認識を表明した。

 首相からも(利上げを含め)日銀に委ねられるべきとの発言が繰り返された。

 そして15、16日の日銀の金融政策決定会合を控えて会合に出席する政府代表者の立場にある城内実経財相からのこのタイミングの発言である。つまり日銀が利上げを決定するのであれば、政府は反対はしないことを表明したことになる。

 これにより16日の金融政策決定会合での利上げ決定の可能性は高まった。個人的に気になったのが高市首相からも日銀に委ねられるべきとの発言があったことである。

 リフレ派の高市氏が利上げを受け入れる、むろん今回が初めてのことではないが、それでも4月と6月で何がどう違ったのか。

 ベッセント米財務長官に説得されたのかどうかはわからないが、為替動向を受けての政府の対応を含め、どこか変わったようにみえている。何がどう何故、変わったのかはわからない。いずれ何かしらの情報がメディアから出てくるのかもしれない。


2026年6月9日「AIの暴走を気にして株式の暴走にブレーキ?」

 5日に発表された5月の米雇用統計では、非農業雇用者数が前月比17.2万人増と予想の8万人増を上回った。3月分が18.5万人増から21.4万人増、4月が11.5万人増から17.9万人増に上方修正された。

 米雇用統計が市場予想を上回る雇用者数の伸びをみせたことで、FRBの利上げ観測が広がった。米10年債利回りは4.53%に上昇した。

 米国市場でも雇用統計を受けた利上げ観測とそれによる米長期金利上昇を受けて、下落した。

 5日のダウ平均は695ドル安、ナスダックは1121ポイント安となった

 ただし、追加利上げについてはあってもまだ先ではないかとの見方も強い。ダウに比べナスダックの下げ幅の方が大きい。これは何であったのか。

 人工知能(AI)開発の米アンソロピックは6日までに、AIが人間の手を借りずに性能を自律的に高める段階に近づいたと指摘し、暴走して制御不能になる前に「開発を遅らせたり、一時停止したりする選択肢を持つことが世界にとって有益だ」と提言した(共同通信)。

 AI開発による半導体需要の拡大期待から、半導体関連株などが大きく上昇していた。ただし、やや過熱感もあったことで、こちらの株の暴走にブレーキが掛かった格好となったようである。

 8日の東京株式市場では日経平均株価は続落し、下げ幅は一時3100円を超えた。これまで相場上昇をけん引してきた人工知能(AI)・半導体関連株の下げが目立っていた。

 8日の韓国株式市場も急落となっていた。人工知能(AI)関連銘柄からの資金流出が広がる中、半導体株が大幅安を主導していた。

 これでAIバブルが崩壊するかといえば、何とも言えない。過熱感も強まっていたことで冷却期間がAI、株式市場ともに必要ないのかもしれない。

 個人的にはAIが活版印刷、産業革命、電気やクルマの登場、無線やメディアの登場、コンピュータ革命などに匹敵するようなものなのかというのにはやや疑問を持っている。

 ただし、単に年を取っただけで追いつけていないと言われればそうなのかもしれない。AIは世界を変えて昔のSFに出てくるようなロボットの暴走みたいなものが本当に起こりえるのか。

 その前にいろいろと政治が暴走しているのを止める必要もあるような気がするが。


2026年6月6日「住宅ローンの固定金利が3%台に上昇」

 住宅金融支援機構は1日、6月の「フラット35」の金利を発表した。借入期間が21年以上で、購入価格に対する融資率が9割以下の場合の最低金利は3.21%となった。

 2017年に現行制度となって以降、初めて3%を超えた。長期金利の上昇を踏まえたものであり、5月から0.5%の上昇となり、前月比の上げ幅は最も大きかったそうである。

 フラット35とは民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利の住宅ローンとなる。資金の受取時に返済終了までの借入金利と返済額が確定する。

 住宅ローンの固定金利は、長期金利、つまり10年国債の利回りに応じて決まる。このため、長期金利が上昇すれば住宅ローンの固定金利も上昇する。

 5月18日に10年国債の利回りは一時、2.800%と1996年10月以来およそ29年6か月ぶりの水準に上昇していた。

 つまり長期金利はここ30年の間にみられなかった水準にまで上昇していた。とはいえ過去最高利回りかといえばそんなことはない。

 先日、ある方とのメールのやりとりのなかで「1996年に固定で組んだ住宅ローン金利が3%強でしたが、先輩が1990年代初めの頃に組んだ時の金利は確か5〜6%だったように記憶しております」という文面があった。

 1990年代の長期金利は激動の時代であった。長期金利は一時、8%を超えており、そこから1998年には1%割れにまで低下していた。

 実は私も1995年頃に住宅ローンを組んでいた。たしか金利は4%あたりで組んでいた記憶がある。

 当時はバリバリの債券ディーラーであったが、固定と変動では迷うことなく固定を選んだ。1990年代には当時の政策金利である公定歩合が6%まで引き上げられるのもみていた。

 多少高くとも資金の受取時に返済終了までの借入金利と返済額が確定する固定で組んだ方が良いとの判断である。

 結果からみれば、その後の長期金利、政策金利ともに低下し続けていたことで、変動金レの方が良かったことになる。だからといって、どうして変動にしなかったのかという悔いなどはない。

 相場の先行きを予想するのは困難であることはディーラー時代に身にしみていたこともある。それであれば自ら金利変動リスクを負うのはかなり、リスキーであると考えていた。

 低金利しか経験がないと変動金利のリスクがあまり意識されなくなる。しかし、固定金利は貸し出す側が金利変動リスクを負い、変動金利は借り手が金利変動リスクを負うということを考えておく必要がある。

 何を言いたいとかといえば、3%台であれ、私が借りた固定金利よりも低いではないかと言いたいのである。


2026年6月6日「6月募集の個人向け国債の条件、10年変動の初期利子は過去最高に」

 3日に6月に募集される個人向け国債の条件等が発表された(募集期間6月4日から30日)。

「個人向け国債の発行条件等(財務省)」 https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/houdouhappyou/p20260603.pdf

 長期金利は5月18日、19日、20日に2.800%まで上昇したあとは、米長期金利の低下に合わせるようにいったん低下基調となり、6月2日の10年国債の入札日には2.565%に低下していた。

 変動10年国債の初期利子は1.74%(税引き前)となった。これは5月募集の1.67%を上回って過去最高利率となった。

 固定5年の利率は1.86%(税引き前)となった。5月募集の1.89%からは低下した。

 固定3年の利率は1.51%(税引き前)となった。こちらも5月募集の1.57%から低下した。

 3年固定、5年固定は前回の利率からは低下したものの、過去最高水準にあることに変わりはない。

 個人向け国債の利率が上昇してきたのは日銀が金融政策の正常化に乗り出し、政策金利を引き上げ、物価の上昇や欧米の長期金利の上昇も手伝って、日本の国債利回りも上昇してきたことによる。

 昨年12月18、19日の日銀金融政策決定会合では政策金利を0.75%に引き上げた。4月の金融政策決定会合では中東情勢の緊迫化などを理由に利上げは見送られたが、今月15、16日の金融政策決定会合ではさらに1.00%まで引き上げるとの観測が強まっている、

 中東情勢の緊迫化は続いており、ホルムズ海峡は閉鎖された状態が続いている。原油だけでなくナフサや肥料などへの影響も出てきており、世界的な物価上昇が懸念されている。

 日本では消費者物価はいったん2%を割り込んでいるものの、今後は上昇が加速する恐れがある。

 欧米の長期金利が上昇し、日本の長期金利も一時2.8%台に上昇するなど、この金利上昇が個人向け国債の利回りに反映されている。

 5年固定の利子が1.86%となっているのに対して、4月の全国消費者物価指数は生鮮食品を除く総合で前年同月比1.4%となっている。

 預貯金金利などはまだ低位となっているが、個人向け国債については物価上昇に耐えうる水準となっている。

 特に将来必要とされる資金は安全性を優先すべきであり、1年経過後の途中売却でも財務省が元本で買い取ってくれる個人向け国債は、個人における資金運用において大きな選択肢となりうる。

 個人的には10年変動を引き続き推している。

 いずれあらたな個人向け国債の発行も検討されるとみられる。


2026年6月5日「国家予算のバッファーがなくなる日」

 政府は3日午前に臨時閣議を開き、中東情勢の混乱の影響に備えた予備費の創設を柱とする2026年度補正予算案を決定した。一般会計の歳出総額は3兆1135億円。地方のLPガス利用者などを支援する重点支援地方交付金を盛り込んだ。財源は全額赤字国債の発行で賄う。

 財源には決算剰余金を使うとの見方もあったが、今回のタイミングでは前年度の決算が済んでおらず剰余金が使えない。年度が始まったばかりとあって不要な歳出で財源を捻出するのも難しい。

 結果として特例公債(赤字国債)を追加発行するが、新規での国債増発は抑える見込みとなる。これはいわゆる「前倒し発行」分の取り崩しとなろう。

 年間の国債発行額については長期金利の水準を予想した上で利払い費が算出される。もし市場で形成される金利がそこに届かない場合には、利払い費が想定を下回ることになる。その分を翌年度の国債発行に回すといったことが可能となる。

 大量の国債発行を円滑に行うために借換債は年度を越えて前年度に前倒して発行ができる前倒し発行が可能となっている。

 そういったバッファーが特に超低金利下では存在していた。想定長期金利に年度平均の長期金利が届かないとその分の利払い費が想定を下回ることとなっていた。

 そして今度は飲食料品を対象にした2年間限定の消費減税について、政府・与党は1日、2027年4月から適用する方向で調整に入ったと報じられた。減税後の税率はレジのシステム改修期間を考慮して、消費税率を1%とする案が有力だとか。

 レジ云々が最大の問題ではない。その財源をどうするのかが最大の問題点となる。年4兆〜5兆円規模の財源を巡り、新規の国債発行を前年度から増やさずに対応する案が浮上したとされるが、それも前倒し発行分と決算剰余金などが頼りとなるのではなかろうか。

 高市政権が掲げる「強い経済」の実現に向けた提言案を示した。政権の成長戦略の一つである危機管理・成長投資の財源に、将来の償還財源をあらかじめ法律で定めて発行する「つなぎ国債」を活用するとあるが、結果としての国債増発に変わりはない。

 物価高によって名目上の税収は増加する。このため、計算上は10兆円規模の財源は確保できるかもしれない。

 しかしこのままではいわゆるバッファーを使い果たしかねない。さらに低金利下ではなくなっている点にも注意が必要となる。

 今年度の長期金利の想定金利は3%となる。4月1日に長期金利き2.300%でスタートし、5月に一時2.800%まで上昇した。

 いずれ3%を超えてくることが予想され、年度平均で3%を上回る可能性も否定できない。その際には今年度に生じるバッファーが消えることになる。

 消費減税をしても物価そのものへの影響はほとんど皆無であり、むしろその財源となる10兆円規模のバッファーがあるならば、それは本来、危機管理のためとして取っておく必要があるのではなかろうか。

 とはいえ、現在の中東情勢を取り巻く環境に対して現政権はあまり危機とも認識していないようなので、そのような危機管理も不要ということなのであろうか。


2026年6月4日「6月2日に10年国債を大量に購入したのは誰だ」

 証券用語に「手口(てぐち)」と言うものがある。

 これは株式市場など証券取引所の売買で、どの証券会社がどの銘柄に、どれだけの売りまたは買いを行なったかという売買状況を示すものである。

 株式市場ではこれが公開されていたが、債券先物が東証に上場した際には、特別会員として銀行が入っていたこともあり、手口情報は伏せられることになった。

 日本相互証券(BB)の売買も同様であり、端末画面上の板情報で売買の額は表示されるが、どこが出しているのかは証券会社などの端末では表示されていない。

 このため、債券市場が大きく動いた際、実際にどこが買った、売ったかという情報は現実にはわからない。

 財務省の国債入札では、財務省はどの金融機関がどれだけ落としたのかは当然わかる。取引所やBBでは、売り買いの手口はわかる。

 しかし、たとえば某生保が某証券会社を通じて入札や売買を行った際には、その証券会社の担当しか最終的にどこが売り買いをしたのかは見えてこない。

 つまり大きく動いた際、本当はどこが売り買いをしたのかは憶測に頼るしかなくなる。

 ということで6月2日に大きく買われた日本の債券市場では、誰が動いたのかを勝手に推測してみたい。あくまで推測である。

 2日の債券市場で起きたことをピックアップしてみたい。

 この日の10年国債の入札はそれほど好調なものではないが、無難というより順調といったものとなった。

 それにもかかわらず落札結果からややタイムラグがあって債券先物は大きく買い戻された。債券先物の出来高は5兆円台と久しぶりの大商いとなっていた。

 10年国債の入札では、ヒアリングでのわかる範囲での落札状況から、いわゆる不明玉が大量に存在した。数千億円規模での不明玉といえるのではなかろうか。

 現物債はこの10年国債を中心に買い進まれた。中期債も買われたが、日銀が利上げを躊躇するといった報道とかあったわけではない。

 債券先物の動きをみると、踏み上げというより、大規模な買いにより、買い戻しを迫られたような動きであった。

 ここで疑いの目が向けられられるのが生保、メガバンク、海外などである。

 ただし、生保が現状、数千億円規模で長期債を買うことは考えづらい。

 落札状況からみても銀行の可能性もないといえた。

 海外ヘッジファンドが決算絡みでとの見方もあるが、どうも踏み上げとは違うし、何しろ現物主導にみえていた。

 ここであらたな犯人、いや買い手が浮かんでくる。

 実は6月1日と2日の「牛さん熊さんの本日の債券」で株式市場の動向について下記のように指摘していた。

1日、熊「ただし、プライム市場では7割超が下落するなど全体では弱含みに」

2日、牛「日経平均は一時1300円を超す下げに。東証プライム市場の約8割の銘柄が下落」

 1日から2日にかけて売りが幅広い銘柄に出ていた可能性があったのである。

 日経平均が過去最高値を更新していることに合わせて考えると、株を売って国債を買っている構図にも映る。

 つまり大手年金が株価指数の上昇に合わせてのリバランスを行ってきた可能性がここで浮上する。

 株式市場が上昇し、株式の保有比率が大きくなってしまったことで、株の一部を売却する。相対的に債券の保有率が低くなっていたため、10年国債の入札に合わせて数千億円単位でそれを購入した可能性がある。

 10年国債の落札者が思うように落とせなかった可能性もあり、債券先物の買い戻し等に繋がったのではないかとの推測である。あくまで推測なのであるが。


2026年6月3日「原油価格、日米長期金利ともに再上昇の可能性」

 イスラエル軍がレバノンの親イラン組織ヒズボラへの攻撃をやめないことにイラン側は反発を強めており、イランの通信社は米イラン間の協議は停止したと伝えた。

 米国のトランプ大統領はイランが苦境に陥っており、米国の要求を最終的にのむとの見通しを繰り返している。しかし、1日には米CNBCの番組でイランとの交渉が破談に終わっても「気にしない」と答えていた。

 これを受けて原油先物は買われ、一時WTI先物7月限は1バレル95ドルに接近していた。

 米国の政府関係者は5月28日に、米国とイランの交渉が暫定的な合意に達し、トランプ米大統領の承認を待っていると記者団に明らかにしていた。これを受けてWTI先物は86ドル台に下落していたが、結果として合意に至っていない。

 米国政府は核問題やホルムズ海峡をめぐりイラン側の強硬姿勢を突き崩せずにおり、苦境に陥っているのが現状となっている。

 米国サイドは大統領の希望的観測も加え、楽観的な見方を繰り返していたが、イランとの溝は埋まっていないようである。

 特にイスラエル軍がレバノンの親イラン組織ヒズボラへの攻撃をやめないことにイラン側は反発を強めており、イランの通信社は米国とイラン間の協議は停止したとも伝えていた。

 イランと米国の歩み寄りが果たして可能なのか。このままでは米国とイラン間の協議そのものが破談に終わる可能性すら出てきている。

 結果として原油先物価格の高止まりは継続している。ホルムズ海峡の封鎖は続いており、正常に戻る気配はいまのところない。

 一時4.7%近くまで上昇していた米10年債利回りは、停戦期待も加わって一時、4.5%割れとなっていた。しかし、ここで目先底打ちして再び上昇してくる可能性が出てきた。

 これは日本の10年国債の利回りも同様であろう。5月18日、19日、20日と2.800%に上昇していたが、いったんここがピークとなった。ここにきて2.7%を割り込んできたが、ここで目先底打ちしてくる可能性が出てきた。


2026年6月2日「6月16日の決定会合では何が決まるのか」

 6月15、16日の日銀金融政策決定会合では何が決まるのか。最も注目されているのが、利上げの有無となろう。

 審議委員のうちの3名が4月の決定会合で利上げを主張して反対票を投じた。またその後の講演などで2名の審議委員が利上げが必要であることを主張していた。

 金融政策決定会合で金融政策は合議制で決まる。つまり多数決によって決まるため、9名の政策委員中、5名が利上げを主張すれば、利上げが決定される。

 高市首相は利上げには賛成していないようであり、政府の意向を尊重し、執行部の3名(総裁1、副総裁2)が現状維持を主張してくる可能性はないとはいえない。

 しかし、現在は第四次オイルショックというべき状況となっていることからも、政府の意向はさておき、執行部主導で利上げを決めると期待したい。

 それとともに6月の会合では、2027年4月以降の国債買い入れについても議論される。

 2025年6月に決めた現在の減額計画では、四半期ごとの減額幅をそれまでの4000億円程度から2000億円程度に緩めた。それでも月間の購入額は、減額前の約6兆円から2027年1〜3月に2.1兆円程度に縮小する。

 その後はどうするのか。これは様々な意見はあろう。ここまでの日銀国債買入の減額による市場への影響は限られた。

 何を言っているのだ、長期金利が2.8%まで跳ね上がったのは、日銀が国債を買わなくなったためだろうとの意見もあるかもしれない。

 しかしそれについては、物価の上昇が続き、それに応じてスローながらも金融政策正常化が進み、さらに海外の長期金利の上昇でほぼ説明が付く。

 このまま淡々と買入額を減少するのもひとつの手段であるとは思うが、私自身はこの買入の最終的な落とし所は2014年4月の量的質的緩和前の数値(1兆8600億円)とみていた。  ひとまず異次元緩和以前の水準まで戻してから、いったん考えようというのが2024年6月当時、減額の話が出たあたりでの私の考えであり、それは現在も変わりはない。

 このため、2027年4月以降の国債買い入れについては一端減額はなし、としても良いのではなかろうか。

 日銀が無理矢理国債を大量に買い入れる必要はないものの、資産の一部として国債を保有することについては異論はない。

 ただし、これを政治的な道具のように扱われては困ることもたしかである。


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