. 若き知
2026年2月3日「1月の日銀金融政策決定会合の主な意見は、早期の利上げを意識させるものに」

 日銀は1月22、23日に開催された金融政策決定会合の主な意見を公表した。このなかの 「金融政策運営に関する意見」を確認したい。

 「昨年12月の利上げからさほど日数は経過していないが、企業等の資金需要、金融機関の貸出態度、CP・社債の発行環境などを踏まえると、政策金利引き上げ後も、わが国の金融環境は緩和した状態が続いている」

 「さほど日数は経過していないが」というところがポイントか。時価寸を掛けて、しっかり様子を見る必要性はそれほど意識されていないように思われる。

 「超長期の投資案件を抱える企業や中小企業の中には、利払い負担が厳しい先もあるとみられるが、産業界全体としては、現在の堅調な経営環境が金利負担増を吸収する面も大きい。利上げペースが急激でなければ、企業業績に与えるインパクトを過度に心配する必要はない」

 利上げなどするとデフレに戻ってしまうといった過激な意見が以前にみられたが、デフレに戻る気配はない。むしろ金利が存在することで経済には良い刺激が与えられることで、設備投資などを促すことも予想される。金利がない世界が異常であった。

 「現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが適切である」

 まさにそうであろう。ここでブレーキを掛ける必要性はない。あとはタイミング次第となる。模範的な意見だが、ここで総裁のコメントなのか。

 「これまでも、利上げの際に、その経済・物価・金融面の反応を確かめながら、政策金利を引き上げてきており、今後も同じ作業を続けていくことが適当である」

 同じ作業をどのようタームで、あと何回必要になるのか。

 「現状の金融環境は、足もとの円安の進行を踏まえると、経済実態からみて、まだ相当に緩和的である。物価の基調は着実に2%に近づいており、今後も金融緩和度合いの調整を適切なタイミングで行う必要がある」

 ここで「円安」が登場している。円安による影響も無視はできないということであろう。「適切なタイミング」とのどの程度のタームなのか。たぶん半年に一度ではやや遅いイメージにも。

 「ビハインドザカーブのリスクが顕著になっているとまではいえないが、注意深く適時の政策運営を図っていかなければならない度合いは高まっている」

 かなり慎重な言い回しとなっているが、もし私ならすでにビハインドザカーブに陥っている状況下、といった言い方になりそうな。

 「今年、海外金利環境が変化した場合には、意図せざるビハインドザカーブが生じるリスクがある。わが国の実質政策金利は世界最低水準であり、為替市場も実質金利差に着目するだけに、大幅なマイナスの実質政策金利の調整を行う必要がある」

 わが国の実質政策金利は世界最低水準にあり、大幅なマイナスの実質政策金利の調整は必要であり、しかもあまり時間を掛けすぎない方が良い。

  「円安、長期金利の上昇は、インフレ期待等、ファンダメンタルズが反映されている面も大きい。これに対する金融政策面の処方箋は適時適切な利上げに尽きる」

 長期金利の上昇にもコメントしているので、これは高田委員の発言か。とにかく同意である。

 「わが国にとって物価対策が焦眉の急である中、利上げの影響の検証にあまり長い時間を掛け過ぎずに、次の利上げのステップにタイミングを逃さず進むことが必要である」

 半年毎のペースからよりペースを速めると予想しているが、それを裏付けかのような発言である。

 「利上げの企業・家計行動への影響をヒアリング情報で確認し、中立金利と比べた政策金利の現在地を探りつつ、数か月に一度のペースで利上げを進めることが適切である」

 「数か月に一度のペース」がポイントか。3月か4月の決定会合での可能性も意識される。

 「過去数年の長期金利の上昇は、国債市場が正常化し、物価安定目標の実現を織り込んでいく過程と捉えられるが、ここ2週間程度の動きは一方的なスティープ化であり、注意が必要である」

 超長期は板が薄いことや海外投資家の売買も多い上、ロークーポンものの処理等の問題も抱えていることで値が動き易い。ただし、利回り水準からみて異常なものではない。

 「長期金利のリスクプレミアムは、財政やインフレ等による押し上げを、本行の国債保有に伴うストック効果が一部相殺しているとみている。最近の長期金利の上昇ペースに貸し手・借り手が適応できているかは、今後も確認したい」

 最近の長期金利の上昇ペースに貸し手・借り手が適応できているかどうかはしっかり調査する必要はある。たぶん金利上昇を知らない世代がほとんどとみられることも影響していよう。

 「長期国債の買入れについては、これまでの考え方に沿って、減額と異例時の増額等を行うべきである」

 あまりむやみに修正すべきではないと考える。

 「超長期を中心に国債市場のボラティリティが高まっており、今後も需給の不安があるだけに、例外的な状況においては、国債買入れも含めた柔軟な対応の検討が必要である」

 日銀はできるだけ余計なことはしない方がむしろ良い。

 「最近もあったように、本邦債券市場におけるボラティリティの上昇は、時期や規模の特定はできないとしても、その可能性自体は想定できるものである。ボラティリティの上昇時に中央銀行にとって重要なことは、市場機能が働いているかの見極めである。日本銀行に課された役割と政策の目的に沿って、その範囲で用いるべき手段を理解してもらう努力が引き続き重要である」

 市場のパニック的な動きはあんなもんではない。もし運用部ショックやトラスショックのような事態が発生した場合には、何らかの手段を講じる必要はあるかもしれないが、原因が財政等であったのであれば、それはむしろ政府の責任で対処する必要がある。


2026年2月2日「日銀の政策金利のターミナルレートの水準予想」

 23日に日銀が公表した展望レポートのなかの物価については下記のように記されている。

 「消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していくもとで、政府による物価高対策の効果もあり、本年前半には、2%を下回る水準までプラス幅を縮小していくと考えられる。」

 23日に発表された12月の消費者物価指数は日銀の物価目標でもある生鮮食品を除く総合では前年同月比2.4%の上昇となり、11月の同3.0%の上昇から上昇幅を縮小していた。

 物価上昇の主因となっていた食料(除く生鮮食品)の上昇率鈍化が見込まれるため、今年2月には約4年ぶりに2%を割り込む公算が大きいとされている。

 「その後は、景気の改善が続くもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇 率が上昇していくことから、基調的な物価上昇率と消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率はともに徐々に高まっていくと予想される」(展望レポート)。

 展望レポートの政策委員の大勢見通しでは、2026年度の消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は1.9%予想となり、前回予想の1.8%から上方修正された。2027年度は同2.0%の予想となっている。

 いずれにしても物価見通しからは、今後もさらに緩和の調整を行ってくることが予想される。

 市場ではすでに利上げそのものは織り込みつつあり、最終的にはどの程度まで政策金利を引き上げるのか(ターミナルレート)という予想に注目が集まっている。

 こちらの予想も次第に引き上げられつつあるが、いまのところ1.25%あたりが多いようである。

 しかし、あと2回程度の利上げで収まることはむしろ考えづらい。最低でも1.50%から1.75%あたりまで引き上げる必要があろう。

 すでに10年国債の利回り形成への日銀の金融政策による影響力はかなり削がれつつある。それでもある程度、短期金利と長期金利のスプレッドを意識すると長期金利についてはひとつの目安に3.0%が挙げられよう。

 1999年2月につけた2.440%はいずれ通過点となり、2.5%も同様になると予想している。

 以前に日銀の政策金利が1.75%だった時代は1993年9月あたりから1995年3月あたりとなる。この間の10年国債の利回りは3%から5%近辺となっていた。

 今回もこのあたりまで上昇してくる可能性もありうる。

 しかし、当時とは国債発行残高が桁違いに多いこともあり、3%を超える水準ではさすがにブレーキがかかるのではないかと予想している。

 ただし長期金利は市場が決める。タームプレミアムと呼ばれるものが存在するため、財政への不安が強まることになれば、むしろ5%では収まらなくなる可能性も十分にありうる。


2026年2月2日「1月の東京都区部CPIは前年同月比2.0%の上昇に」

 30日に発表された1月の東京都区部の消費者物価指数(除く生鮮)は、前年同月比2.0%の上昇となった。

 15か月連続で2%台を維持したものの、前月の2.3%上昇から伸びが縮小した。

 エネルギー価格が4.2%の低下と2か月連続でマイナスとなり、生鮮食品を除く食料価格は5か月連続で伸びが鈍化した。

 総合指数は1.5%上昇と伸びが縮小し、15か月振りの2%割れとなった。生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは2.4%上昇と前月から伸びが縮小。

 23日に日銀が公表した展望レポートのなかで、物価については下記のように記されている。

 「消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していくもとで、政府による物価高対策の効果もあり、本年前半には、2%を下回る水準までプラス幅を縮小していくと考えられる。」

 23日に発表された12月の消費者物価指数は日銀の物価目標でもある生鮮食品を除く総合では前年同月比2.4%の上昇となり、11月の同3.0%の上昇から上昇幅を縮小していた。

 物価上昇の主因となっていた食料(除く生鮮食品)の上昇率鈍化などが見込まれるため、今年2月には約4年ぶりに2%を割り込む公算が大きいとされている。

 このあたりは日銀の想定内とみられる。このため、たとえ2月の消費者物価指数が2%を下回っても、日銀による利上げ継続にブレーキがかかるとは思えない。

 展望レポートでは、政府の物価高対策の影響もあって今年前半に2%を下回るものの、その後は徐々に上昇率が高まるとの見通しを示していた。

 少なくともこのまま消費者物価指数の前年比が縮小傾向となり、いずれゼロやマイナスとなるとの予想となっていれば、利上げ継続観測は後退しよう。

 しかし、2%割れが一時的との認識であれば、今後の金融政策の正常化、つまりそれは物価水準などを意識した政策金利の引き上げ継続となる。

 物価水準に見合った金利水準を形成するのも物価の番人としての日銀の義務であると思う。


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