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2025年4月4日「トランプ関税が東京市場を直撃」

 米国のトランプ米大統領は2日、ホワイトハウスの中庭「ローズガーデン」で演説し、世界各国からの輸入品に対して「相互関税」をかけるとした。「2025年4月2日は米国の『解放の日』として永遠に記憶される」と話し、相互関税を実施するための大統領令に署名した。

 国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく措置としており、原則、各国に10%の関税をかけたうえで、国・地域ごとに異なる税率を上乗せする。

 トランプ政権は非関税障壁などを含めると、日本は実質的に米国に46%の関税をかけているに等しいと認定。46%のおよそ半分にあたる24%の税率を適用するとした。

 関税率は対中国が34%、欧州連合(EU)は20%、日本は24%、ベトナムは46%となる。このほか韓国は25%、インドは26%、カンボジアは49%、台湾は32%などとなっている。

 トランプ氏がかねて不公正だと不満を表明してきた世界の経済システムに対し、これまでで最大の攻勢を仕掛けることになる(3日付ブルームバーグ)。

 これは金融市場にとってサプライズとなった。

 トランプ大統領の演説は米国株式市場の引け後であった。このため2日の米国株式市場はダウ平均は235ドル高、ナスダックは151ポイント高となったが、関税発表後には時間外取引で株価指数先物は急落した。

 日本時間の3日朝6時まで取引が行われていた大阪取引所のナイトセッションの日経平均先物は930円安となっていた。また、3日の取引開始直後には先物は一時2000円を超す下げとなっていた。

 3日の日経平均そのものは一時1600円を超す下げとなった。

 株式市場とともに債券市場も動揺を示した。2日の米10年債利回りは4.13%と前営業日の4.17%から低下していた。

 株安もあり債券先物も買い戻しが入った。2日の引けは138円58銭。ナイトセッションは138円91銭。

 債券先物は139円台もあるかなぐらいにみていたが、3日の寄り付きがすでに139円50銭となった。これは日経平均先物が予想以上に下落した影響もあったか。

 債券先物が想定以上に買い戻されたことで、債券先物をショートしていた向きのストップロスなども入ったとみられ、債券先物は一時140円ちょうどまで上昇した。

 大阪取引所は先物の売買を一時的に停止する「ダイナミック・サーキット・ブレーカー(即時約定可能値幅制度)」を発動した。

 トランプ関税による世界経済への影響が危惧されて、日銀の早期利上げ観測が後退したともみられ、現物債も中期債を含めて買い進まれた。

 10年国債の利回りは一時1.340%に低下と前日比で0.130%低下した。5年国債の利回りは0.980%(-0.095%)、2年国債の利回りは0.775%(-0.055%)。20年国債の利回りは2.085%(-0.100%)、30年国債の利回りは2.415%(-0.055%)、40年国債の利回りは2.695%(-0.050%)に低下していた。

 3日には10年国債の入札が予定されている。利回りの急低下を受けて、投資家ニーズに不透明感が強まることも予想され、こちらの結果にも注意したい。


2025年4月3日「前回、日銀の政策金利が0.5%だった時の出来事」

 前回、政策金利が0.5%となっていたのは2007年2月から2008年9月であった。当時の様子を確認してみたい。

 2007年2月21日の日銀金融政策決定会合では8対1の賛成多数で追加利上げが決定され、無担保コール翌日物の誘導目標値は0.25%から0.5%に引き上げられ即日実施された。

 反対したのは岩田副総裁(当時)であった。新日銀法による現在の金融政策決定会合の仕組みが出来てから、総裁と副総裁のいわゆる執行部の賛否が割れたのは初めてのケースとなった。

 21日の国債利回りを確認してみると、2年債0.750%、5年債1.180%、10年債1.675%、20年債2.135%、30年債2.385%。

 20255年4月1日と比較してみたい。2年債0.855%、5年債1.105%、10年債1.500%、20年債2.230%、30年債2.540%。

 居所としてはそれほど違いはないといえる(いずれも手元のデータを基にしている)。

 物価を確認してみると2007年2月の消費者物価指数(除く生鮮)は前年比マイナス0.1%となっていた。9月までマイナスが続き、10月にプラスに転じた。2008年2月にプラス1.0%となり、7月から9月にかけて一時的に2%台を付けていた。

 当時は世界経済や金融市場を揺るがす2つの大きな要因が重なっていた。そのひとつが中国など新興国り経済成長である。

 これにより原油需要が拡大すると見込んだ仕掛的な買いが原油先物に入ったことで、一時的に日本の消費者物価が2%を超えてきたのである。

 しかし、同時に金融市場をサブプライム・ローン問題を起点とする金融不安がじわりじわりと襲っていた。

 2007年8月にフランス銀行の最大手BNPパリバは傘下ファンドの償還停止を発表し、次はどこかとの連想も加わり、欧州銀行向け資金の出し手が急速に限られてしまい、これはパリバ・ショックと呼ばれた。

 2008年3月に欧米での信用収縮への懸念が強まりから、FRB、ECB、そしてイングランド銀行、スイス中銀、カナダ中銀は短期金融市場で資金供給を拡大するとの緊急声明を発表。

 米欧の流動性供給にもかかわらず、ヘッジファンドが倒産の危機に瀕しているとの懸念などから、ドル円は1995年12月以来約12年ぶりに101円を割り込む。債券先物は中心限月としては2005年7月29日以来の140円台乗せとなった。現物債は10年290回の利回りが2005年7月以来の1.3%割れとなる。

 原油など商品価格が上昇基調を強めたことにより、今度はインフレへの警戒が強まり、債券先物は一時132円近くまで下落。10年債利回りも1.895%まで上昇するなどかなり波乱含みの展開となっていた。

 9月15日にリーマン・ブラザーズが破綻し、大規模金融機関が破綻したことで金融市場は極度の不安に陥り、これはリーマン・ショックと呼ばれた。

 2008年10月に日銀は無担保コール翌日物金利の誘導目標値を0.5%から0.3%に引き下げたのである。


2025年4月2日「日銀短観、大企業製造業DIは小幅悪化、大企業非製造業DIはプラス35と1991年8月以来の高い水準に」

 日銀が1日に発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、前回2024年12月調査のプラス14から2ポイント悪化のプラス12となった。4期ぶりの悪化となる。先行きはプラス12と横ばいの予測となっている。

 米国のトランプ政権は3月に鉄鋼・アルミニウム製品に対して25%の追加関税を導入した。これを受けて鉄鋼などの業種で大きく景況感が悪化した(鉄鋼は10ポイントの悪化)。また、繊維が前回から23ポイントの悪化、石油・石炭製品が17ポイントの悪化となっていた。

 大企業非製造業DIは、前回2024年12月調査のプラス33から2ポイント改善のプラス35となった。これは1991年8月以来の高い水準となった。しかし、先行きはプラス28と低下の予測となっている。

 企業のインフレ期待を示す「企業の物価見通し」は、企業が想定する消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率が平均で1年後2.5%、3年後2.4%、5年後2.3%といずれも前回調査から0.1ポイント上昇していた。

 「販売価格の見通し」をみても1年後2.9%(前回2.8%)、3年後4.4%(前回4.2%)、5年後5.2%(前回5.0%)といずれも前回見通しを上回った。

 2025年度の設備投資計画では設備投資(含む土地投資額)の大企業・全産業で前年度比3.1%増となっていた。

 2025年度の想定為替レートはドル円が147円06銭、ユーロ円は157円45銭となっていた。

 大企業製造業DIは若干の悪化との予想となっていたことで、ほぼ予想通りの内容であった。ただし、先行きについてはかなり不透明感が強まる。

 米国のトランプ大統領は4月2日に関税政策の柱である「相互関税」の全体像を明らかにする予定。

 すべての国を対象に実施した場合には、世界全体で110兆円を超える国内総生産(GDP)が消失するとの試算もある(1日付日本経済新聞)。

 関税は日本も対象になり、3日からは自動車・自動車部品への25%の追加関税が発動となる見込み。

 大企業製造業の自動車は足元が13ポイントと前回の8ポイントから改善したが、先行きは4ポイントの悪化の予測となっている。

 関税の行方次第ではさらに落ち込む可能性もあるが、むしろプラスとなるとの見方もあり、その影響そのものは読みづらい面もある。

 ただし、トランプ関税が米国を主体に世界経済にも大きな影響を与える懸念も強まっていることもあり、実際の日本への影響は極めて不透明となっている。


2025年4月1日「31日の日経平均が1500円を超す下げとなったのは何故か、実は2月末日も1400円を超す下げとなっていた」

 31日の東京株式市場で日経平均株価は大幅続落し、前週末比一時1500円を超える下落となった。

 28日に発表された2月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.4%増と市場予想の0.5%増を下回った。3月ミシガン大学消費者態度指数確報値は57.0と速報値57.9から下方修正された。また、PCE物価指数はコア指数が前年同月比2.8%上昇し市場予想の2.7%上昇を上回った。

 物価高が続く中で消費支出が鈍り始めたとの見方などから。28日の米国株式市場ではハイテク株などを主体に下落し、ダウ平均は715ドル安、ナスダックは481ポイント安となっていた。

 ナイトセッションの日経平均先物は710円安となっており、ある程度下げることは予想されたが、1500円を超す下げとなったのはややサプライズとなった。

 3月31日は決算期末でもあり、カレンダー的な要因もあり、買いが入りづらいなか、売りに押された可能性もある。

 むろん、米国株式市場が下落した大きな要因でもあるのが「関税」であり、こちらは不透明感が強い。

 トランプ米大統領は4月2日に「相互関税」の公表を予告している。ただしこの詳細については明らかとなっていない。そもそもまだ決められていない可能性すらある。

 この相互関税については、さすがに米国や世界経済に大きな影響を与える可能性は考えにくいとの見方は強いものの、こればかりはわからないのがトランプ政権でもある。

 今回、日経平均が1500円を超す下げとなったが、実は2月末にも日経平均は一時1400円を超す下げとなっていた。

 この際には米国のトランプ大統領が2月27日に発動を延期していたカナダとメキシコへの25%の関税を予定通り3月4日から課すと表明した。中国にも10%の追加関税を課すとした。

 関税を巡る不安に加え、これまで旺盛だったAI投資の持続性を巡る不透明感も出ていた。このため2月27日の米国株式市場ではエヌビディアなど半導体関連株やAI関連銘柄の一角に売りが出た。

 これを受けて東京株式市場もアドバンテストや東京エレクトロンといった半導体関連銘柄が売られ、ソフトバンクグループなども下落した。その結果、2月28日の日経平均株価は1400円を超す下落となった。

 実は今回も売りの主役がなぜかハイテク株であったのである。グーグル親会社のアルファベットやメタ、そして半導体大手エヌビディアなどが売られていた。

 たまたま月末であったのかもしれないし、トランプ大統領が関税を課すとするのが翌月の初めとなっていたためだったかもしれないが、本当にたまたまであったのであろうか。


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