. 若き知
2026年1月24日「長期金利上昇による財政への影響も考慮する必要」

 日本での国債を主体とする債券市場が本格的に機能しはじめたのは1985年だと私は考えている。

 電力債や金融債などの売買が主体であったのが1985年に銀行に国債のフルディーリングが認可され、同年10月に東証に長期国債先物が上場されたことで、国債主体に売買する債券市場が機能し始めた。

 それから約25年程度の債券市場はかなりの値動きがあり、まさに金利が大きく動く時代を経験した。

 しかし、2000年あたりから長期金利は2%以内に抑えられ、長期金利はじりじりと低下した。

 2016年に日銀がマイナス金利政策を実施し、長期金利も一時マイナスに転じることとなる。

 つまり2000年以降に日本の債券市場に関わっている人達は金利が大きく動く時代を知らない。

 日銀による長期金利コントロールによって、長期金利は抑え込まれていたかにみえたが、物価が上昇していなかったことで、抑えられていたようにみえていただけである。

 長期金利コントロールもあり、長期金利は日銀の金融政策によって動くかのような誤解も拡がっていた。

 物価は上がらず、金利も上がらないことが当然のような状況が続いた。これによるノルムが形成された。

 2020年あたりからの新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、経済・物価を取り巻く情勢が一変した。

 そこにロシアによるウクライナ侵攻によって、穀物や原油などエネルギー価格の急騰などが引き起こされた。

 これにより最も影響を受けたのが日本ではなかったろうか。上がらないはずの物価が上がってきたのである。

 2022年4月から消費者物価指数が前年比2%を超えてきた。それでも物価は上がらない、金利も上がらないとのノルムは解消されず、日銀の金融政策の正常化も遅れることになる。

 2024年4月に超長期国債が大きく暴れたが、長期債はそれほど動きを見せなかった。日銀の金融政策だけを見ていたことによるものと思われる。

 しかし長期債は日銀の金融政策に縛られないことが次第に明らかになり、超長期債国債の利回りとともに10年国債の利回りも上昇してきた。

 国債の発行残高が1985年、2000年当時と比べても桁違いとなるなか、長期金利が2000年前の水準となるとともに、動きも出てきた。

 発行残高を気にしなければ、それほど懸念する必要はないかもしれない。しかし、それを考慮すると2000年前とはその影響力、特に財政への影響は大きくなる。

 財政拡大懸念による長期金利の上昇が、今後のさらなる財政悪化を生むことも予想されるなか、本来であれば財政規律を守る姿勢を政府は示す必要があるはずである。


2026年1月23日「米財務長官が日本国債下落に言及、1999年のデジャブ感」

 ベッセント米財務長官は20日、日本国債の売りが進む中、片山さつき財務相と協議したと明らかにした。日本国債の下落は米国債市場にも波及したとの見方を示した。

 ベッセント氏は世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)出席に合わせ、現地でFOXニュースとのインタビューに応じ、「私は日本の経済担当カウンターパートと連絡を取っている。日本側から市場を落ち着かせる発言が出てくることを確信している」と述べた(21日付ブルームバーグ)。

 この日の10年国債の利回りは2.350%に上昇したのだが、これは1999年2月に2.440%を付けて以来の高い水準となる。

 1999年2月にどうして10年国債の利回りが2.440%に上昇したのか、その理由をご存じであろうか。それは債券市場関係者の間で「運用部ショック」と呼ばれた国債急落によるものであった。

 1998年7月に成立した小渕恵三政権では、次々に経済刺激策が打ち出され、国債が大量に増発された。同年11月16日に発表された20兆円規模の緊急経済対策(6兆円の恒久的減税を含む)では、財源に12兆円を上回る国債が手当てされることとなった。

 17日に米国の格付会社ムーディーズは、日本国債の格付を最高位のAaaからAa1に引き下げると発表した。格下げの大きな理由が公的部門の債務膨張であった。

 国債増発と海外格付会社による格下げで、債券市場の参加者は国債への信頼性に懸念を抱き始めた。

 こうしたなか、11月20日付け日経新聞に「大蔵省は1998年度の第3次補正予算で、新規発行する国債12兆5千億円のうち、10兆円以上を市中消化する方針」といった小さな記事が出た。これは国債を大量に引き受けていた大蔵省資金運用部の引き受け比率が、今後大きく低下することを示唆していた。

 翌年度の当初予算は減税によって税収が47兆円に減少するうえに、国債発行額が前年約2倍の31兆円あまりに達していた。翌年1月から長期国債が月々1兆8000億円と、一気に4000億円も増額されるという見通しも出された。

 1999年度の国債発行額は70兆円以上、うち市中消化は60兆円以上との新聞報道もあり、大蔵省(当時)資金運用部の国債引き受けが減るのは第三次補正予算だけでなく、来年度も急減することが明らかになった。

 さらに速水優日銀総裁(当時)が、日銀による大量の国債保有に対して「自然な姿ではない」とのコメントを出した。日銀も自ら大量に保有する国債について危惧を表明したのである。

 このように需給を主体とする悪材料が重なったところで、大蔵省資金運用部が国債買い切りオペを中止すると発表したのである。

 これを契機に12月22日に債券先物がストップ安をつけるなど債券相場は急落した。いわゆる「運用部ショック」である。9月に0.7%を割り込んでいた長期金利は12月30日には2%台に乗せてきた。

 日本の金融当局者にとって運用部ショックによる債券価格の急落は避け得ないものとの認識が強かったが、日本の長期金利を危惧したのが米国の金融当局であった。

 日本の長期金利の上昇は日米金利差の縮小をもたらし、米国債への日本からの投資が減少する懸念があり、生保などが日本国債の価格下落による損失をカバーするため保有する大量の米国債を売却する恐れもあったためである。

 1999年2月3日に行われた「ダボス会議に」おいて米国サイド、つまり当時のルービン財務長官らから円高と日本の長期金利上昇に懸念が示され、さらなる金融緩和の必要性などを要求された。

 この結果、米国金融当局の意向が伝わったことで、日本の政府関係者、正確に言えば自民党の有力者などから。長期金利上昇抑制のために財政法で禁止されている日銀による国債引受の要請などもあったと伝えられた。

 日銀の速水総裁は「国債引き受けは日銀の選択肢にないし、全く考えていない。新日銀法でも国債を引き受けない原則を守っていきたい」と述べている。

 そうはいっても日銀も何かしら動かざるを得なかった。その答えがゼロ金利政策となった。実質的なゼロ金利政策が1999年2月12日の日銀金融政策決定会合において決定されたのである。

 大蔵省(2001年1月から財務省に名称が変更)も長期金利の上昇を抑制するために市場に配慮する姿勢を示し、必要とみられる手段を次々に講じていった。これによって国債管理政策が大きく進んだ。

 長期金利は2月5日に2.440%をつけたが、それ以降は日銀によるゼロ金利政策や大蔵省による市場安定化策などにより低下基調となった。

 今回のベッセント財務長官の危惧は、1999年当時のルービン財務長官の危惧に通じるところがあり、まさにデジャブ感があった。


2026年1月22日「20日の日米同時国債安の原因」

 20日の日本の債券市場では超長期国債が急落となり、長期国債にも売りが波及した。

 20日の20年国債の入札はやや低調な結果となった。この結果を受けた売りはそれほどでもなかったが、少し時間を置いて超長期国債の売り圧力が強まった。

 20年国債は19毛甘(前日比+0.190%)の3.450%、30国年債は26.5毛甘(同+0.265%)の3.875%、前場にあっさりと4%台に乗せていた40年国債は27毛甘(同+0.270%)の4.205%まで上昇した。

 参考までに、30年73回債(利率0.7%)は0.370%上昇の5.335%となっていた。

 この売りのきっかけとなったのが、高市首相が衆院の解散理由を説明した19日の記者会見であった。

 会見で会見で高市首相は「悲願であった」飲食料品の消費税減税を打ち出したこと、さらに「行き過ぎた緊縮」の流れを終わらせるとコメントしたのである。

 どこが「行き過ぎた緊縮」なのかを問いただしたいところではあるが、いわゆるこれはリフレ派の使うフレーズでもあった。これを受けて財政懸念が強まることになる。

 立憲民主党と公明党がつくった新党、中道改革連合も19日に公表した基本政策に食料品消費税ゼロを盛り込んだ。

 与野党間の政策の争点をつぶす効果を狙ったとの見方があるようだが、いずれにしても消費税減税となり、債券市場ではこれによる懸念を強めていた。

 今回の超長期国債の急落はヘッジファンドなどのスワップなどを絡めた売り、もしくは生保などの国内投資家の売りなどの可能性もあった。タイミングからみて20年国債を落札した業者のポジション調整売りの可能性もある。

 それほどロットは大きくなくても買い板の薄いなか、値が飛んだ可能性がある。

 10年国債の利回りも2.350%に上昇したが、この日本国債の急落に驚いたのは市場関係者ばかりではなかった。

 ベッセント米財務長官は20日、日本国債の売りが進む中、片山さつき財務相と協議したと明らかにした。日本国債の下落は米国債市場にも波及したとの見方を示した。

 20日の米国債の売りは多少なり日本国債の売りが波及した面はあった。しかし、それよりもデンマークの職域年金が今月末までに米国債投資から撤退する計画と報じられたことによる影響が大きかったのではないかとみている。

 グリーンランド問題による欧米の対立が思わぬかたちで波及した格好となる。

 米10年債の利回りが節目とされた4.2%を超えてきたことで、テクニカルによる売りも入り易かったこともいえる。

 いずれにしても20日の日米の国債はともに下落したことは確かである。


2026年1月21日「長期金利は2.3%台に上昇、40年国債利回りは4%に」

 19日に新発10年国債の利回り(長期金利に相当)があっさりと2.2%を抜けて、2.275%まで上昇したが、20日はその利回り上昇にさらに拍車が掛かり、10時10分現在、6毛甘(前日比+0.060%)の2.330%と2.3%もあっさり超えてきた。

 引き続き超長期国債は売られ、20年国債は8.5毛甘の3.340%、そして40年国債の利回りはついに4.000%と4%台を付けてきた。

 ちなみに2年国債は5糸甘(+0.005%)の1.225%、5年国債の利回りは1.5毛甘の1.700%とこちらの上昇幅は限られた。

 超長期国債や長期国債が大きく売られた要因は、与野党の打ち出した消費税減税による財政悪化観測によるものである。

 高市首相の19日の解散表明で衆院選の2月8日投開票が固まった。高市首相は記者会見で、食品を2年間は消費税の対象としないことについて実現に向けた検討を加速するとした。

 今後設置する国民会議で財源やスケジュールなどを議論する考えを示したが、具体的な財源についてはこの時点では明確にしていない。

 高市首相はまた自らの就任以前を行き過ぎた緊縮志向とも表現し、財政の持続可能性を実現すると主張しているものの、財政への懸念を強めさせかねない発言となっていた。

 立憲民主党と公明党がつくった新党、中道改革連合も19日に公表した基本政策に食料品消費税ゼロを盛り込んだ。

 与野党間の政策の争点をつぶす効果を狙ったとの見方があるようだが、いずれにしても消費税減税となり、金融市場ではこれによる懸念を強めている。

 日本国債がここにきて利回りの上昇ピッチ(価格の下落ピッチ)を速めていることで、やや過剰反応との見方もあるかもしれない。

 しかし、物価に応じた金利形成過程に過ぎないとの見方もできなくはない。

 米国の2025年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2.7%上昇となっていたが、米10年債利回りは19日時点で4.22%となっている。

 日本の2025年11月の消費者物価は総合で前年同月比で2.9%上昇となっていた。これに対して日本の10年国債の利回りはそれでもまで2.33%に過ぎない。

 物価だけが長期金利を決める要因ではないものの、影響は本来大きいはずであり、10年国債の利回りの2.33%は決して高いとはいえないことも確かである。

 20日に国債が大きく売られたのは、この日に実施される20年国債の入札も意識したものである可能性もあるため、こちらの結果にも注意する必要がある。


2026年1月20日「消費税減税の思惑などから長期金利が2.2%台に上昇」

 19日の債券市場では、長期金利の指標となる新発10年国債利回りが一時2.22%まで上昇した(国債価格は下落)。

 売買高の多い「指標銘柄」の利回りが長期金利とされていた1999年2月以来、27年ぶりの水準に上昇した。

 現在の長期金利は直近発行された10年国債の利回りが日本相互証券で売買されたものが長期金利とされている。

 1999年当時は発行量が多く、最も売買が多かった10年国債の利回りが長期金利としていた。

 それはさておき、あっさりと長期金利が2.2%台に乗せてきたわけてだが、何が要因となったのが、

 物価に応じた金利形成の一環といえばそれまであり、ひとまず政策金利の0.75%から、長期金利の2.2%あたりへの上昇はある程度許容の範囲内である。

 ただし、ここにきて売り方もやや慎重となっていた。そこにいくつかの国債売りというか国債利回りの上昇要因が出てきた。

 ひとつが米国債である。

 16日の米国債券市場で、米10年債利回りが4.22%と節目とされていた4.2%を上回ってきた。

 米国家経済会議(NEC)のハセット委員長のFRB議長就任の可能税が後退した。トランプ米大統領が、実は君には今の職を続けてほしいと語ったとか。トランプ大統領の発言を受け、FRBが積極的に利下げするとの観測が後退したとの見方もあった。

 ただし、次期FRB議長が誰になるのかはまだ不透明感も強く、これでFRBの利下げが困難になるのかどうかはわからない。それでもこれをきっかけに4.2%の壁を越えてきたことは確かである。

 そして国内要因も加わった。

 自民党の鈴木俊一幹事長は18日、公約に食料品の消費税率を2年間ゼロにすると明記するか「今まさに議論をしているところだ」と語った。与野党各党が衆院選の公約に消費税減税を盛り込む検討をしていると伝わった。

 どう転んでも消費税を減税したいようで、それによる財政への悪化とともに、消費税減税そのものは物価高にブレーキを掛けるものではない。

 消費減税イコール債務悪化との連想から、外為市場では円安要因ともなり、それにより日銀の早期利上げ観測も国債利回りの上昇要因となった可能性がある。


2026年1月19日「パウエルFRB議長に対する政権による脅迫」

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は11日夜(日本時間12日午前)、ワシントンにある本部ビルの改修工事を巡り、自身が刑事捜査の対象になったことをビデオ声明で公表した。

 パウエル氏は「政権による脅迫と継続的な圧力」だと批判している。温厚とされるパウエル議長がこのような行動に出たのは極めて異例である。

 FRBを巡っては、利下げに踏み切らないことに不満を募らせたトランプ大統領が、FRBのトップであるパウエル氏を「無能」などと再三にわたって非難してきた経緯があった。

 パウエル議長は2分近い動画のなかで、今回の動きは自身の証言や改修工事が標的ではないと言及した。

 FRBが証拠と経済情勢に基づいて政策金利を設定するか、金融政策が政治的圧力や脅しに左右されるかの問題だとした。

 ただし、今回はトランプ氏が画策したものではないとの見方となっている。

 トランプ米政権がFRBに大陪審への召喚状を送付する決定を下す上で、主導的な役割を果たした人物の1人は連邦住宅金融局(FHFA)のパルト局長だったと事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたとブルームバーグが報じていた。

 また、ホワイトハウスのレビット報道官は、トランプ氏が司法省にパウエル氏への捜査を命令したのかとの質問に対し、「していない」と否定していた。

 トランプ大統領が費用が過大だとして批判してきたFRBの本部ビルの改修工事を巡る議会での証言に関して、米司法省がFRBに刑事訴追の可能性を示唆する大陪審への召喚状を送ったとされているが、その中心的な人物はパルト局長で、しかも独自の判断で行った可能性がある。

 この動きに対して、ベッセント財務長官は、トランプ大統領にパウエル議長の調査は混乱を生むと進言したとされる。

 そして、グリーンスパン氏やイエレン氏をはじめとする歴代のFRB議長、財務長官ら14人が12日、連名で声明を発表した。

 パウエル氏への捜査は金融市場に悪影響を招くとの懸念が強まるだけでなく、FRBの独立性を揺るがしかねない。

FRBの独立性への懸念に加え、利下げ圧力が強まるとなれば、インフレ圧力が強まることも予想される。これを受けて米国債が大きく売られる懸念もある。

 米10年債利回りは4.2%が節目となっていたがチャート上からみて、ここを抜けてくると上昇トレンドが強まる可能性がある。

 日本では衆院解散の可能性が高まったことで、日本の国債の利回りが上昇してきたが、これに米国債の利回り上昇がさらなる追い打ちをかける可能性もあり、十分に注意する必要がある。


2026年1月19日「日銀の次の利上げのタイミング、4月と予想も3月の可能性もなくはない」

 1月22日、23日に日銀の金融政策決定会合が開催される。昨年12月に利上げが決定されたばかりであり、その影響を見極めたいと今回の会合では、金融政策の現状維持となる見込みとなっている。

 ただし、高市首相が23日召集の通常国会の冒頭で衆院を解散する意向を表明しており、これを受けての高市トレード(円売り・株買い・債券売り)の進行により、ドル円は一時159円台をつけるなど円安が進んだ。

 14日に片山財務相が「投機的な動きを含めて行き過ぎた動きに対しては、あらゆる手段を排除せずに適切な対応をとる」とコメントしていた。

 三村財務官も「(介入などにかかわる)手の内はみせない」としながらも「9日以降の動きを裏打ちするようなファンダメンタルズがあるようにはみえない」と述べた。

 介入警戒などにより、ひとまずドル円は160円手前でいったんブレーキが掛かった。それでも円安トレンドに変わりはない。

 15日にブルームバーグは「日銀、円安進行に伴う物価上振れや経済への影響を一段と警戒−関係者」と言うタイトルの記事をサイトにアップしていた。

 このなかで、「日本銀行が円安の物価上振れや経済への影響に警戒感を強めている。来週の金融政策決定会合は政策維持が決まる見通しだが、一層の円安が今後の利上げペースを速める可能性も指摘されている」とあった。

 例によって決定会合のブラックアウト期間の前の複数の関係者への取材によるものであるようだが、「一層の円安が今後の利上げペースを速める可能性」という部分は意識する必要がある。

 企業がコスト上昇を販売価格に転嫁する姿勢を強める中、円安進行はそうした動きを促す要因になりやすいとの指摘もその通りかと思われる。

 植田総裁は15日、第二地方銀行協会の賀詞交歓会であいさつし、「経済・物価の見通しが実現していけば、経済・物価情勢の改善に応じ、引き続き政策金利を引き上げる」と述べていた。

 問題はそのスピードとなる。2025年はトランプ関税や参院選なども絡んで、やや利上げに時間を掛けすぎていた面もあり、その分、円安を進行させていた可能性もある。

 また衆院選の結果や消費税減税などの動き次第では、さらなる円安や国債利回りの思わぬ急騰が起きる可能性もありうる。

 このため半年程度のタームを待たずに、3月もしくは4月の決定会合で追加利上げを検討する可能性がある。個人的には4月の再利上げを予想しているのだが。


2026年1月16日「円安一服の要因」

 14日の東京市場でドル円は一時、159円45銭まで上昇した(円安ドル高)。しかし、ここがいったんピークとなり、15日には158円前半で推移している。

 円安の動きがここでピークアウトしたのにはいくつかの要因があった。

 14日に片山財務相が「投機的な動きを含めて行き過ぎた動きに対しては、あらゆる手段を排除せずに適切な対応をとる」とコメント。

 三村財務官も「(介入などにかかわる)手の内はみせない」としながらも「9日以降の動きを裏打ちするようなファンダメンタルズがあるようにはみえない」と述べた。

 これらを受けて為替介入の可能性があらためて意識された。

 さらに米国のベッセント米財務長官が、12日に市場動向などを巡って韓国の具潤哲(ク・ユンチョル)経済副首相と会談したと明らかにし、足元の韓国ウォンの下落について「韓国経済の強固なファンダメンタルズにそぐわない」と書き込んでいた。

 ベッセント氏は会談で「外国為替市場の過度な変動は望ましくない」とも強調したとされ、これを受けてドル安ウォン高が進み、円買いドル売りにも波及した。

 さらに、立憲民主党の安住淳幹事長は14日、次期衆院選での公明党との選挙協力について、比例代表で両党の候補を同じ名簿に登載する「統一名簿」方式を協議中だと明かしたことで、選挙の行方について不透明感も強まった。

 これを受けて市場での高市トレードをいったん手仕舞う動きも出た可能性があり、円買いドル売りが入ったとの見方もできる。

 15日の東京株式市場は下落し、債券先物は買い戻しが入るなど、高市トレードのアンワインドの動きが出ていたようにみえる。

 また、ドル円は160円という大きな節目に近づいていたことも、ここでブレーキが掛かった可能性もある。

 ドル円は2024年6月に161円94銭まで上昇し、162円に迫ったところでピークアウトとなった。

 その後、2025年1月に158円88銭まで上昇していたが、今回はここを抜いてきていた。

 ドル円の月足でみるとドル円はいったん三尊天井を形成したような格好にみえたが、今回の円安はこのまま進むとそれをブレークするような格好となるのだが。


2026年1月15日「円安がさらに進行」

 14日の東京市場では、円が他通貨に対してほぼ全面安の展開となっている。

 10時20分現在、ドル円は159円50銭近辺となっており、昨年7月以来の160円を試すような動きとなっている。

 ユーロ円は185円50銭近辺となり、円に対してのユーロが過去最高値を更新している。

 ポンド円は214円近辺となり、こちらも過去最高値を更新している。

 円がほぼ全面安となっているのは、いわゆる高市トレードによるものとなる。

 高市早苗首相は14日、自民党幹部に23日召集の通常国会の冒頭で衆院を解散する意向を伝えると報じられた。

 高市首相が衆院解散の検討を始めたのは、早期に国民の信任を得るための勝負に出て、政権基盤を安定させる必要があると判断したためだとも読売新聞は報じていた。

 内閣支持率が高いうちに衆院解散・総選挙に踏み切り、与党の議席増によって積極財政や安全保障といった政策の推進をめざすとされる。

 政権基盤を安定させることで「責任ある積極財政」を進めやすくなる。これにより金融市場では一段の財政出動による財政悪化が嫌気された。

 高市首相はかねて物価抑制と経済成長のための積極財政を掲げてきたが、いずれの対策もむしろ物価には上昇要因となりかねない。

 財政悪化と物価上昇観測の強まりは国債の下落も招くことになる。

 日本の長期金利の上昇は円安抑制働くはずだが、日銀の政策金利が欧米などと比較してまだかなり低い状態にあることで、むしろ円は売りやすい状況にある。

 ドル円が160円台を付けるとなれば、介入警戒が強まるが、この地合のなかでの介入はよほどうまいタイミングで行わないと効果は限られる。

 また、円安にブレーキを掛けるためにも、早期の日銀による追加利上げの可能性も出てくる。

 投機的な動きにも見えなくはないものの、円売りを仕掛けやすい状況が形成されている以上、この流れにブレーキを掛けるには、財政の健全化を進め、日銀の金融政策の正常化も進めることがまずは重要となろう。


2026年1月14日「解散観測で高市トレード再開」

 高市首相(自民党総裁)は9日、23日召集が予定される通常国会の冒頭で衆院を解散する検討に入ったと読売新聞が報じた。衆院選は2月上中旬に実施される公算が大きいとも伝えられた。

 高市首相が衆院解散の検討を始めたのは、早期に国民の信任を得るための勝負に出て、政権基盤を安定させる必要があると判断したためだとも読売新聞は報じていた。

 これは金融市場にとってサプライズとなった。

 阪取引所のナイトセッションで日経225先物は急上昇となり、1510円高の53590円で引けた(引けは10日の朝6時)。また、同じく大阪取引所のナイトセッションで債券先物は下落し、43銭安の132円05銭で引けた。

 9日のニューヨーク外為市場でドル円は一時、158円18銭と2025年1月中旬以来の円安となった。

 12日の日本の市場は休日となっていたが、大阪取引所での日経平均先物は祝日取引が実施されており、こちらの引けは(13日6時)、9日の引け比2070円高の54150円となっていた。

 解散については疑問視する声も出ていたが、市場ではそれを織り込みにきている。

 13日の東京株式市場では、積極財政が実現するとの思惑から買い進まれ、日経平均の前週末からの上げ幅が一時1800円を超えた(10時現在)。6日に付けた最高値の5万2518円(終値ベース)を上回り、初の5万3000円台に上昇してきた。 

 財政拡張も意識されて、債券市場では売りが先行し、債券先物は一時68銭安の131円80銭まで下落した。

 現物債も売られ、30年国債利回りは一時前営業日比3.52%を付け、1999年9月の発行開始以降の最高利回りを更新した。

 外為市場では円安が進行しも158円20銭台を上昇(円安ドル高)となっている。

 市場では高市トレード、つまり株高・金利上昇・円安が再び強まったとの見方もある。解散についてはまだ確定的ではないものの、すでにそれに向けて動きが出ていることで、その可能性は高いとみておいたほうが良さそうである。


2026年1月10日「2026年の日本の金利の行方を占う」

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の亀澤宏規社長は6日の都内で開催した経済3団体の新年祝賀会で、日本銀行の金融政策について「個人的には今年前半に次の利上げをした方がいいと思う」との見解を示した(6日付ブルームバーグ)。

 今年前半ということになれば、6月末までにということになる。今年の日銀の金融政策決定会合の予定を確認してみたい。

1月22、23日 展望レポート
3月18、19日
4月27、28日 展望レポート
6月15、16日
7月30、31日 展望レポート
9月17、18日
10月29、30日 展望レポート
12月17、18日

 2025年12月に政策金利の0.75%への引き上げが行われたように、展望レポートの発表時に金融政策の変更が行われるわけではない。

 それでも展望レポートの発表時、さらに日銀の支店長会議の開催月、できれば短観発表月などのほうが情報を得やすいとともに、説明そのものもしやすくなる。

 昨年12月の利上げから次の利上げに向けてどの程度の期間を置くのか。

 市場では半年以上かけるとの見方も強いようだが、2025年があまりに慎重すぎたことも考え合わせ、次回まであまり時間を掛けることはむしろ考えづらい。

 円安対応で正常化を進めるわけではないが、円安の流れにブレーキを掛ける意味でも早期の利上げを市場は期待してくることも予想される。

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の亀澤社長による「今年前半」との発言からは、6月の会合までに決めるとの期待が含まれているが、実際には4月あたりを想定しているのではないかと考えられる。

 実は私も次回利上げは4月の可能性があるとみている。1月もなくはないが、さすがに前回利上げからひと月後となれば、何かしら急ぐ要因がないと難しいか。

 注意すべきは高市首相は衆院解散を検討と報じられたことか。23日召集予定の通常国会の冒頭で衆院を解散、衆院選は2月上中旬に実施の公算と読売新聞が報じた。これを受けて先物の夜間取引で日経平均先物は1510円高、債券先物は43銭安となっていた。ニューヨーク外為市場では円安が進行し、ドル円は一時158円台を付けた。これがもしかすると急ぐ理由になる可能性もあるか。

 もし4月に政策金利を1.00%に引き上げとなれば、大きな節目といえる1%達成となる。ここからはさらに慎重になると市場は読むかもしれない。そういった観測を断ち切るためにも、そのあとの利上げはむしろあまり時間をかけない方が良いと思う。

 7月の会合あたりからタイミングをみて、1.25%への利上げを準備しても良いかと思う。さらにできれば年内に3度目の利上げを模索することもありうる。やや遅れたとしても来年1月あたりに、ひとつの目標ポイントとなる1.50%への利上げを私は想定している。

 長期金利については、この利上げが続くことで上昇を続けると予想される。ただし、高市政権が思いのほか財政健全化に理解を示してくれば急激な上昇はないと期待したい。それでも政策金利とのスプレッドも意識して、3%あたりまでの長期金利の上昇がありあるとみている。財政への不安が強まるとこんなものでは済まなくなるリスクは存在する。


2026年1月10日「日本の債券取引の今昔物語」

 債券取引の今昔を振り返ってみたい。

 日本で国債を主体とする債券市場が形成されたのは、1985年と私はみている。この年、銀行に国債のフルディーリングが認可され、その銀行も特別会員となって東京証券取引所に長期国債先物(以下、債券先物)が上場された。

 1985年にはプラザ合意もあり、ドル円も大きく動き、まさにバブル期とも重なり、金融市場が活性化していた時期でもあった。

 私は1986年10月から債券先物と10年国債の指標銘柄と呼ばれるものを売買するディーラーととなった。いわゆる日計り、スペックのディーラーである。

 当時の債券先物は東証との直通の黒電話で、専用の部屋にいる実栄証券の担当者に注文を出していた。注文を受けた実栄証券の担当者は売買を仕切る担当者に手で売り買いの別を伝え、担当者が指名して売買注文が行われた。すべて人の手によるものであった。

 現物債についても日本相互証券の担当者と黒電話の直通電話で売買注文を出していた。

 金融業界は電子化の導入がほかの業界に比べて比較的早いほうではあったが、国債取引についての電子化が本格化するのは1990年代であった。

 基幹システムとなる日銀ネットでの国債の入札などのシステムが整備され、売買について債券先物や現物取引の電子化も徐々に進んできた。

 電子データの蓄積についても本格化するのは1995年あたり以降ではなかろうか。1995年のウインドウズ95の導入によって、オフィスの電子化も進んだ。

 いまでは当たり前の光景となっているデスクに上にパソコンがある状態ができたのは、いまから30年前あたりからのはずである。

 このため、過去の債券市場のデータについて、債券先物は現在、上場している大阪取引所にデータは存在し、現物債のデータも日本相互証券にあるはずである。

 ただし、過去の債券の動きそのものはわかっても、どうして動いていたのかといった理由まではデータとしてあまり残っていないはずである。

 そのあたりについては大蔵省が出していた「国債」という書籍や、日銀のサイトにもある百年史などからピックアップはできる。しかし、それで完全に網羅することも難しいかもしれない。

 もしかすると私のサイト「債券ディーリングルーム」がそれを多少なり補えるかもしれない。

 国債の歴史年表とともに、「臨機応変」では債券先物の動きが多少なり確認できる。「若き知」ではコラムのかたちで債券市場の出来事を中心にまとめている。

 「債券ディーリングルーム」を作る際にも、これがいずれデータベースの役割を担う可能性も意識していた。

 ただし問題はこの債券ディーリングルームもカバーできるのはせいぜい1996年あたりからであり、それ以前のデータはない。

 すでに足元の国債利回りは1999年あたりの水準に上昇している。電子媒体ではなく紙媒体の時代に遡る必要がまもなく出てきそうである。


2026年1月9日「超長期国債の利回りが異様に高いわけではない。普通の金利形成に向けた動きの一環」

 7日に20年国債の利回りは3.100%と1999年2月以来の高水準をつけた。また、30年国債利回りは一時3.520%まで上昇し過去最高を更新した。

 利回りの上昇ピッチは速く感じるものの、居所としては極端に利回りが高いというわけではな%い。超長期国債の利回りが異様に高いわけではない。普通の金利形成に向けた動きの一環とも捉えられる。

 出遅れていた10年国債の利回りは6日に2.130%まで上昇したが、これは1999年2月に付けた2.440%以来となり、20年国債の利回りが突出して上昇していたわけではない。

 30年国債については、過去最高利回りとなったが、そもそも30年国債の発行開始が1999年9月であった。

 政策金利については1999年2月に日銀はゼロ金利政策を決定したことで、それまでの0.25%から実質0.15%に引き下げられている。

 現在の政策金利が0.75%となっていることから、政策金利そのものは現在のほうが少しだけ高いが、それほど大きな差はない。

 物価についてみると消費者物価指数(除く生鮮)は、年平均で1999年は前年比ゼロ%だったのに対し、直近の11月までの2025年の平均値は前年同月比3.0%となっていた。

 物価水準は明らかに異なっている点からみても、超長期国債の利回りは決して異常な水準ではない。

 上昇スピードがやや速くみえたのは、これまでの物価や金利は上がらないというノルムから解き放たれたことが要因といえる。

 物価は上がらず、金利はむしろ日銀によって抑え込まれ、長期金利も抑え込まれていたかにみえた時代が少し長すぎた。

 金利が動く時代を知っていた年代は、すでに一線を退きつつある。

 金利が動くことを知らない世代が多くなっていたこともあり、この金利の動きにむしろ違和感を持つ人達が多いのかもしれない。

 あたりまえだが金利は動く。それは物価動向などに当然影響を受ける。

 日本の金利がこれまで異常な状態が続いていたのである。これは欧米の政策金利や長期金利の動向と比較してみれば一目瞭然となる。

 日本だけが金利の鎖国状態となっていた。こちらが異常であったことをむしろ認識すべきであり、金利そのものが動くことで、むしろ経済は活性化するし、金利が経済の体温計としての働きもすることを再認識すべきである。


2026年1月8日「個人向け国債の利率は過去最高水準に」

 6日に実施された10年国債の入札で、利率は2.1%に引き上げられ、1998年1月以来28年ぶりの水準となった。

 7日には個人向け国債の適用利率が発表された。

 10年国債の利率が1998年1月以来の水準に引き上げられていたように、ここにきて国債の利回りが上昇しており、それが個人向け国債の利率にも反映されることとなった。

 変動10年国債の初期利子は1.39%(税引き前)となった。これは昨年12月募集(2026年1月発行)の1.23%を上回って過去最高利率となった。

 固定5年の利率は1.59%(税引き前)となった。2007年7月募集の1.50%を抜いてこちらも過去最高利率となった。

 固定3年の利率は1.30%(税引き前)となった。こちらも昨年12月募集(2026年1月発行)の1.10%を上回って過去最高利率となった。

 個人向け国債の利率が上昇してきたのは、日銀が金融政策の正常化に乗り出し、政策金利を引き上げ、それとともに国債利回りも上昇してきたことによる。

 昨年12月18、19日の日銀金融政策決定会合では政策金利を0.75%に引き上げた。政策金利は30年ぶりの高い水準となった、

 その後の国債利回りはさらに上昇している。2026年も日銀の利上げは継続するとみているためである。

 日銀の植田総裁は、全国銀行協会が開いた新年の賀詞交歓会で「経済・物価の改善状況に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と述べ、今後も経済の状況を見ながら利上げを検討していく姿勢を改めて示した。

 2026年では2回から3回程度の利上げの可能性がある。利上げ幅は0.25%が予想され、2回であれば1.25%、3回となれば1.5%の政策金利となる。

 消費者物価は一時的に上昇幅を縮小させる予想となっているが、大きく低下することはなく、その後、再び上昇幅を拡大することも予想されている。

 日銀の政策金利は最低でも1.5%あたりに引き上げることが予想されており、それに応じて国債利回りも上昇することが予想される。

 政策金利の引き上げによって預貯金金利の引き上げも予想されるが、国債利回りの方がスピードが速い。

 このため、個人向け国債の利率は少なくとも預貯金金利に比べて、高い水準が継続されると予想される。

 すでに利率1%超えとなっていることで、3年固定や5年固定へのニーズもあるとは思うが、今後の国債利回りのさらなる上昇を予想するのであれば、10年変動をお薦めしたい。


2026年1月7日「日米欧の株価指数が過去最高値を更新」

 5日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均は大幅続伸となり、引け値は前週末比594ドル79セント高の4万8977ドル18セントとなり、2025年12月24日に付けた最高値の4万8731ドルを上回り、過去最高値を更新した。

 米国は3日、南米のベネズエラに大規模攻撃を実施しマドゥロ大統領を拘束した。これをどう市場は捉えるかに注目していたが、トランプ大統領はベネズエラの石油インフラを修復する考えを示していたことで、同国に権益を持つシェブロン大きく買われるなど結果として株式市場での買い材料となっていた。

 石油関連株に加え、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースといった金融株の上昇も目立った。

 5日の米長期金利は低下していたが、2日までの米長期金利は上昇し4.2%に接近していた。

 そして欧州市場でも株価指数は過去最高値を更新していた。

 5日のロンドン株式市場では、代表的な株価指数であるFTSE100種は引け値としての最高値を更新し、初めて1万ポイントの大台に乗せた。

 米国によるベネズエラ攻撃とマドゥロ大統領の拘束を受け、安全資産とみられる金や銀などが値上がりし、貴金属株などが買われ、航空宇宙・防衛株なども上昇していた。

 欧州株式市場では、こちらの代表的な株価指数であるストックス欧州600種指数も引け値としての最高値を更新し、600ポイントの大台を初めて超えた。米国によるベネズエラ攻撃を受け、防衛関連株などが買われた。

 ドイツのDAX指数も最高値を更新した。

 そして6日の東京株式市場では日経平均の上げ幅は一時600円を超え、2025年10月31日に付けた最高値の5万2411円を上回る場面があった。

 東京市場でも石油関連銘柄が買われ、半導体関連株も前日に続き買われて指数を引き上げた格好となった。

 欧米はさておき、日本では日銀が金融政策の正常化を進めている。

 1989年末に日経平均は当時としての最高値を更新した。

 1987年2月に日銀が公定歩合を0.25%に引き下げて以来、当時とすればかなり低金利といえる政策金利の2.5%が続いていた。

 そして1989年に入り、日銀は5月に公定歩合を0.75%引き上げて3.25%にし、10月に0.5%引き上げて3.75%に、12月にさらに0.5%引き上げて4.25%にしている。

 日銀の利上げがバブル崩壊を招いたとは考えてはいない。しかし当時の債券マーケットをみていたものとして、どうして日銀が利上げに動いているのに株価は上昇し続けるのだろうかと漠然とみていた記憶がある。

 国債市場はすでに下落相場、つまり国債利回りが上昇してきていたこともあり、株式市場が上がり続けていることに違和感を持っていた。


2026年1月6日「2026年の相場がスタート」

 2026年の相場がスタートした。3日に米国がベネズエラに対して大規模攻撃を行ったことによる影響も危惧されたが、いまのところこれによる相場への影響は限られたものとなった。

 東京株式市場は30日の大納会の引け値に比べ670円高でスタートした。米国株式市場ではダウ平均は12月30日が94ドル安、31日が303ドル安、1月2日が319ドル高となっていた。

 東京時間の米株価指数先物もしっかりとなっていたこともあり、年初のご祝儀相場も意識されてか、日経平均は1000円を超す上昇となった。一時、1600円以上値上がりし、節目の5万2000円を回復した。

 これに対して、債券市場では債券先物が売り先行となった。米10年債利回りは30日が4.12%、31日が4.16%、2日が4.19%に上昇し4.2%に迫っていた。

 ベネズエラ攻撃などで地政学リスクも意識され、リスク回避の動きが入る可能性もあるかとみていたが、素直に米債安を受けて下落した。

 むろん米債安だけでなく、12月29日に公表された12月18、19日開催の日銀金融政策決定会合の主な意見に、さらに利上げを進めようとする日銀の意思も垣間見えていたことも影響したと思われる。

 日銀の植田和男総裁は5日、全国銀行協会の新年賀詞交歓会などの挨拶で、利上げを続ける方針を強調していた。

 今後の日銀の金融政策については引き続き慎重に利上げを進めるとの見方も多い。しかし、慎重すぎるとの見方があらためて強まれば、市場が利上げを催促するといった事態も想定しておく必要があるのではなかろうか。

 5日の外為市場でドル円は157円台を回復していたが、これも市場が利上げを催促している格好にみえなくもない。

 2025年の利上げがあまりに慎重過ぎて時間を掛けすぎたとの見方が出てもおかしくはない。次回の利上げは半年先あたりかとみていたが、それより早く決定される可能性もありうる。

 市場も追加利上げを先読みしてくるようであれば、しかも物価に応じた金利形成が意識されれば、利上げに時間を掛ける必要性はなくなる。

 5日に日銀の金融政策に影響を受けやすい2年国債の利回りは1.195%と1996年8月以来約29年4か月ぶりの水準に上昇した。

 10年国債の利回りは2.125%に上昇し、1999年2月以来約26年11カ月ぶりの水準に上昇した。10年国債利回りの次の節目は1999年2月につけた2.440%となるが、これも通過点となりそうである。年内に3%台に上昇しても何ら不思議ではない。


2026年1月4日「2025年に長期金利は2%の壁をあっさりと突破、2026年は3%も視野に」

 19日に日銀は政策金利を0.75%に引き上げ、1995年9月に政策金利が1.00%から0.50%に引き下げられて以来の水準となった。

 この日の10年国債の利回りは2006年5月以来の節目の2%を付け、その後2.020%に上昇し、1999年8月以来およそ26年ぶりの水準を付けた。

 日本国債売りの流れが22日も継続し、朝方から10年国債の利回りは上昇してきた。そして、次の節目となる1999年8月につけた2.040%をあっさりと超えてきた。

 その後も国債利回りの上昇(国債価格の下落)は止まらず、一時、2.100%まで上昇してきたのである。

 1999年8月につけた2.040%の水準も突破したことで、次の節目は同年2月につけた2.440%となる。

 そこまで大きな節目もないことで、今後さらに上昇してくる可能性がある。

 長期金利のチャートをみると、この1999年近辺が分岐点となっていることがわかる。

 1999年以降はデフレ状態となり、政策金利は低位で推移し、長期金利は2%が天井となっていた。

 日銀は2013年4月に異次元緩和と呼ばれた量的・質的緩和をスタートさせた。しかし、これでデフレが脱却できるはずもなく、さらに緩和の深掘りへと進む。

 2016年にはマイナス金利政策に加え、長期金利コントロールまで導入する結果となった。

 長期金利が低位で推移し、日銀がそれをコントロールできたかのような動きとなっていたが、実際にはデフレ下のなかにあって、動かなかったに過ぎない。

 その長期金利コントロールも解除され、長期金利は日銀の楔から抜け出してきたともいえる。それによって2%超えとなった。

 2%超えとなっていた1999年以前の長期金利は、かなり値動きの荒い動きとなっていた。  しかも長期金利の動きの要因として、日銀の金融政策による影響は1999年以降に比較してそれほど大きくはなかった。

 これは当時の債券ディーラーとしての私の感覚であったが、長期金利の動きからみてもそれは窺える。

 長期金利はかなり神経質な動きとなっていることで、今後は財政などの動向によっては、長期金利が「炭鉱のカナリア」としての機能を発揮してくる可能性がある。

 長期金利がまったく日銀の影響を受けないわけではなく、大きな材料であることには変わりはない。

 今後の日銀の金融政策については、引き続き慎重に利上げを進めるとの見方となっている。

 しかし、それが慎重すぎるとの見方があらためて強まれば、市場が利上げを催促するといった事態も想定しておく必要がある。

 次回の利上げは半年先あたりかとみていたが、それより早く決定される可能性が出てきた。

 市場も追加利上げを先読みしてくるようであれば、しかも物価に応じた金利形成が意識されれば、利上げに時間を掛ける必要性はなくなると思う。

 長期金利については、次の節目は1999年2月につけた2.440%となるが、これも通過点となりそうである。3%台に上昇しても何ら不思議ではない。


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