. 若き知
2026年1月10日「2026年の日本の金利の行方を占う」

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の亀澤宏規社長は6日の都内で開催した経済3団体の新年祝賀会で、日本銀行の金融政策について「個人的には今年前半に次の利上げをした方がいいと思う」との見解を示した(6日付ブルームバーグ)。

 今年前半ということになれば、6月末までにということになる。今年の日銀の金融政策決定会合の予定を確認してみたい。

1月22、23日 展望レポート
3月18、19日
4月27、28日 展望レポート
6月15、16日
7月30、31日 展望レポート
9月17、18日
10月29、30日 展望レポート
12月17、18日

 2025年12月に政策金利の0.75%への引き上げが行われたように、展望レポートの発表時に金融政策の変更が行われるわけではない。

 それでも展望レポートの発表時、さらに日銀の支店長会議の開催月、できれば短観発表月などのほうが情報を得やすいとともに、説明そのものもしやすくなる。

 昨年12月の利上げから次の利上げに向けてどの程度の期間を置くのか。

 市場では半年以上かけるとの見方も強いようだが、2025年があまりに慎重すぎたことも考え合わせ、次回まであまり時間を掛けることはむしろ考えづらい。

 円安対応で正常化を進めるわけではないが、円安の流れにブレーキを掛ける意味でも早期の利上げを市場は期待してくることも予想される。

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の亀澤社長による「今年前半」との発言からは、6月の会合までに決めるとの期待が含まれているが、実際には4月あたりを想定しているのではないかと考えられる。

 実は私も次回利上げは4月の可能性があるとみている。1月もなくはないが、さすがに前回利上げからひと月後となれば、何かしら急ぐ要因がないと難しいか。

 注意すべきは高市首相は衆院解散を検討と報じられたことか。23日召集予定の通常国会の冒頭で衆院を解散、衆院選は2月上中旬に実施の公算と読売新聞が報じた。これを受けて先物の夜間取引で日経平均先物は1510円高、債券先物は43銭安となっていた。ニューヨーク外為市場では円安が進行し、ドル円は一時158円台を付けた。これがもしかすると急ぐ理由になる可能性もあるか。

 もし4月に政策金利を1.00%に引き上げとなれば、大きな節目といえる1%達成となる。ここからはさらに慎重になると市場は読むかもしれない。そういった観測を断ち切るためにも、そのあとの利上げはむしろあまり時間をかけない方が良いと思う。

 7月の会合あたりからタイミングをみて、1.25%への利上げを準備しても良いかと思う。さらにできれば年内に3度目の利上げを模索することもありうる。やや遅れたとしても来年1月あたりに、ひとつの目標ポイントとなる1.50%への利上げを私は想定している。

 長期金利については、この利上げが続くことで上昇を続けると予想される。ただし、高市政権が思いのほか財政健全化に理解を示してくれば急激な上昇はないと期待したい。それでも政策金利とのスプレッドも意識して、3%あたりまでの長期金利の上昇がありあるとみている。財政への不安が強まるとこんなものでは済まなくなるリスクは存在する。


2026年1月10日「日本の債券取引の今昔物語」

 債券取引の今昔を振り返ってみたい。

 日本で国債を主体とする債券市場が形成されたのは、1985年と私はみている。この年、銀行に国債のフルディーリングが認可され、その銀行も特別会員となって東京証券取引所に長期国債先物(以下、債券先物)が上場された。

 1985年にはプラザ合意もあり、ドル円も大きく動き、まさにバブル期とも重なり、金融市場が活性化していた時期でもあった。

 私は1986年10月から債券先物と10年国債の指標銘柄と呼ばれるものを売買するディーラーととなった。いわゆる日計り、スペックのディーラーである。

 当時の債券先物は東証との直通の黒電話で、専用の部屋にいる実栄証券の担当者に注文を出していた。注文を受けた実栄証券の担当者は売買を仕切る担当者に手で売り買いの別を伝え、担当者が指名して売買注文が行われた。すべて人の手によるものであった。

 現物債についても日本相互証券の担当者と黒電話の直通電話で売買注文を出していた。

 金融業界は電子化の導入がほかの業界に比べて比較的早いほうではあったが、国債取引についての電子化が本格化するのは1990年代であった。

 基幹システムとなる日銀ネットでの国債の入札などのシステムが整備され、売買について債券先物や現物取引の電子化も徐々に進んできた。

 電子データの蓄積についても本格化するのは1995年あたり以降ではなかろうか。1995年のウインドウズ95の導入によって、オフィスの電子化も進んだ。

 いまでは当たり前の光景となっているデスクに上にパソコンがある状態ができたのは、いまから30年前あたりからのはずである。

 このため、過去の債券市場のデータについて、債券先物は現在、上場している大阪取引所にデータは存在し、現物債のデータも日本相互証券にあるはずである。

 ただし、過去の債券の動きそのものはわかっても、どうして動いていたのかといった理由まではデータとしてあまり残っていないはずである。

 そのあたりについては大蔵省が出していた「国債」という書籍や、日銀のサイトにもある百年史などからピックアップはできる。しかし、それで完全に網羅することも難しいかもしれない。

 もしかすると私のサイト「債券ディーリングルーム」がそれを多少なり補えるかもしれない。

 国債の歴史年表とともに、「臨機応変」では債券先物の動きが多少なり確認できる。「若き知」ではコラムのかたちで債券市場の出来事を中心にまとめている。

 「債券ディーリングルーム」を作る際にも、これがいずれデータベースの役割を担う可能性も意識していた。

 ただし問題はこの債券ディーリングルームもカバーできるのはせいぜい1996年あたりからであり、それ以前のデータはない。

 すでに足元の国債利回りは1999年あたりの水準に上昇している。電子媒体ではなく紙媒体の時代に遡る必要がまもなく出てきそうである。


2026年1月9日「超長期国債の利回りが異様に高いわけではない。普通の金利形成に向けた動きの一環」

 7日に20年国債の利回りは3.100%と1999年2月以来の高水準をつけた。また、30年国債利回りは一時3.520%まで上昇し過去最高を更新した。

 利回りの上昇ピッチは速く感じるものの、居所としては極端に利回りが高いというわけではな%い。超長期国債の利回りが異様に高いわけではない。普通の金利形成に向けた動きの一環とも捉えられる。

 出遅れていた10年国債の利回りは6日に2.130%まで上昇したが、これは1999年2月に付けた2.440%以来となり、20年国債の利回りが突出して上昇していたわけではない。

 30年国債については、過去最高利回りとなったが、そもそも30年国債の発行開始が1999年9月であった。

 政策金利については1999年2月に日銀はゼロ金利政策を決定したことで、それまでの0.25%から実質0.15%に引き下げられている。

 現在の政策金利が0.75%となっていることから、政策金利そのものは現在のほうが少しだけ高いが、それほど大きな差はない。

 物価についてみると消費者物価指数(除く生鮮)は、年平均で1999年は前年比ゼロ%だったのに対し、直近の11月までの2025年の平均値は前年同月比3.0%となっていた。

 物価水準は明らかに異なっている点からみても、超長期国債の利回りは決して異常な水準ではない。

 上昇スピードがやや速くみえたのは、これまでの物価や金利は上がらないというノルムから解き放たれたことが要因といえる。

 物価は上がらず、金利はむしろ日銀によって抑え込まれ、長期金利も抑え込まれていたかにみえた時代が少し長すぎた。

 金利が動く時代を知っていた年代は、すでに一線を退きつつある。

 金利が動くことを知らない世代が多くなっていたこともあり、この金利の動きにむしろ違和感を持つ人達が多いのかもしれない。

 あたりまえだが金利は動く。それは物価動向などに当然影響を受ける。

 日本の金利がこれまで異常な状態が続いていたのである。これは欧米の政策金利や長期金利の動向と比較してみれば一目瞭然となる。

 日本だけが金利の鎖国状態となっていた。こちらが異常であったことをむしろ認識すべきであり、金利そのものが動くことで、むしろ経済は活性化するし、金利が経済の体温計としての働きもすることを再認識すべきである。


2026年1月8日「個人向け国債の利率は過去最高水準に」

 6日に実施された10年国債の入札で、利率は2.1%に引き上げられ、1998年1月以来28年ぶりの水準となった。

 7日には個人向け国債の適用利率が発表された。

 10年国債の利率が1998年1月以来の水準に引き上げられていたように、ここにきて国債の利回りが上昇しており、それが個人向け国債の利率にも反映されることとなった。

 変動10年国債の初期利子は1.39%(税引き前)となった。これは昨年12月募集(2026年1月発行)の1.23%を上回って過去最高利率となった。

 固定5年の利率は1.59%(税引き前)となった。2007年7月募集の1.50%を抜いてこちらも過去最高利率となった。

 固定3年の利率は1.30%(税引き前)となった。こちらも昨年12月募集(2026年1月発行)の1.10%を上回って過去最高利率となった。

 個人向け国債の利率が上昇してきたのは、日銀が金融政策の正常化に乗り出し、政策金利を引き上げ、それとともに国債利回りも上昇してきたことによる。

 昨年12月18、19日の日銀金融政策決定会合では政策金利を0.75%に引き上げた。政策金利は30年ぶりの高い水準となった、

 その後の国債利回りはさらに上昇している。2026年も日銀の利上げは継続するとみているためである。

 日銀の植田総裁は、全国銀行協会が開いた新年の賀詞交歓会で「経済・物価の改善状況に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と述べ、今後も経済の状況を見ながら利上げを検討していく姿勢を改めて示した。

 2026年では2回から3回程度の利上げの可能性がある。利上げ幅は0.25%が予想され、2回であれば1.25%、3回となれば1.5%の政策金利となる。

 消費者物価は一時的に上昇幅を縮小させる予想となっているが、大きく低下することはなく、その後、再び上昇幅を拡大することも予想されている。

 日銀の政策金利は最低でも1.5%あたりに引き上げることが予想されており、それに応じて国債利回りも上昇することが予想される。

 政策金利の引き上げによって預貯金金利の引き上げも予想されるが、国債利回りの方がスピードが速い。

 このため、個人向け国債の利率は少なくとも預貯金金利に比べて、高い水準が継続されると予想される。

 すでに利率1%超えとなっていることで、3年固定や5年固定へのニーズもあるとは思うが、今後の国債利回りのさらなる上昇を予想するのであれば、10年変動をお薦めしたい。


2026年1月7日「日米欧の株価指数が過去最高値を更新」

 5日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均は大幅続伸となり、引け値は前週末比594ドル79セント高の4万8977ドル18セントとなり、2025年12月24日に付けた最高値の4万8731ドルを上回り、過去最高値を更新した。

 米国は3日、南米のベネズエラに大規模攻撃を実施しマドゥロ大統領を拘束した。これをどう市場は捉えるかに注目していたが、トランプ大統領はベネズエラの石油インフラを修復する考えを示していたことで、同国に権益を持つシェブロン大きく買われるなど結果として株式市場での買い材料となっていた。

 石油関連株に加え、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースといった金融株の上昇も目立った。

 5日の米長期金利は低下していたが、2日までの米長期金利は上昇し4.2%に接近していた。

 そして欧州市場でも株価指数は過去最高値を更新していた。

 5日のロンドン株式市場では、代表的な株価指数であるFTSE100種は引け値としての最高値を更新し、初めて1万ポイントの大台に乗せた。

 米国によるベネズエラ攻撃とマドゥロ大統領の拘束を受け、安全資産とみられる金や銀などが値上がりし、貴金属株などが買われ、航空宇宙・防衛株なども上昇していた。

 欧州株式市場では、こちらの代表的な株価指数であるストックス欧州600種指数も引け値としての最高値を更新し、600ポイントの大台を初めて超えた。米国によるベネズエラ攻撃を受け、防衛関連株などが買われた。

 ドイツのDAX指数も最高値を更新した。

 そして6日の東京株式市場では日経平均の上げ幅は一時600円を超え、2025年10月31日に付けた最高値の5万2411円を上回る場面があった。

 東京市場でも石油関連銘柄が買われ、半導体関連株も前日に続き買われて指数を引き上げた格好となった。

 欧米はさておき、日本では日銀が金融政策の正常化を進めている。

 1989年末に日経平均は当時としての最高値を更新した。

 1987年2月に日銀が公定歩合を0.25%に引き下げて以来、当時とすればかなり低金利といえる政策金利の2.5%が続いていた。

 そして1989年に入り、日銀は5月に公定歩合を0.75%引き上げて3.25%にし、10月に0.5%引き上げて3.75%に、12月にさらに0.5%引き上げて4.25%にしている。

 日銀の利上げがバブル崩壊を招いたとは考えてはいない。しかし当時の債券マーケットをみていたものとして、どうして日銀が利上げに動いているのに株価は上昇し続けるのだろうかと漠然とみていた記憶がある。

 国債市場はすでに下落相場、つまり国債利回りが上昇してきていたこともあり、株式市場が上がり続けていることに違和感を持っていた。


2026年1月6日「2026年の相場がスタート」

 2026年の相場がスタートした。3日に米国がベネズエラに対して大規模攻撃を行ったことによる影響も危惧されたが、いまのところこれによる相場への影響は限られたものとなった。

 東京株式市場は30日の大納会の引け値に比べ670円高でスタートした。米国株式市場ではダウ平均は12月30日が94ドル安、31日が303ドル安、1月2日が319ドル高となっていた。

 東京時間の米株価指数先物もしっかりとなっていたこともあり、年初のご祝儀相場も意識されてか、日経平均は1000円を超す上昇となった。一時、1600円以上値上がりし、節目の5万2000円を回復した。

 これに対して、債券市場では債券先物が売り先行となった。米10年債利回りは30日が4.12%、31日が4.16%、2日が4.19%に上昇し4.2%に迫っていた。

 ベネズエラ攻撃などで地政学リスクも意識され、リスク回避の動きが入る可能性もあるかとみていたが、素直に米債安を受けて下落した。

 むろん米債安だけでなく、12月29日に公表された12月18、19日開催の日銀金融政策決定会合の主な意見に、さらに利上げを進めようとする日銀の意思も垣間見えていたことも影響したと思われる。

 日銀の植田和男総裁は5日、全国銀行協会の新年賀詞交歓会などの挨拶で、利上げを続ける方針を強調していた。

 今後の日銀の金融政策については引き続き慎重に利上げを進めるとの見方も多い。しかし、慎重すぎるとの見方があらためて強まれば、市場が利上げを催促するといった事態も想定しておく必要があるのではなかろうか。

 5日の外為市場でドル円は157円台を回復していたが、これも市場が利上げを催促している格好にみえなくもない。

 2025年の利上げがあまりに慎重過ぎて時間を掛けすぎたとの見方が出てもおかしくはない。次回の利上げは半年先あたりかとみていたが、それより早く決定される可能性もありうる。

 市場も追加利上げを先読みしてくるようであれば、しかも物価に応じた金利形成が意識されれば、利上げに時間を掛ける必要性はなくなる。

 5日に日銀の金融政策に影響を受けやすい2年国債の利回りは1.195%と1996年8月以来約29年4か月ぶりの水準に上昇した。

 10年国債の利回りは2.125%に上昇し、1999年2月以来約26年11カ月ぶりの水準に上昇した。10年国債利回りの次の節目は1999年2月につけた2.440%となるが、これも通過点となりそうである。年内に3%台に上昇しても何ら不思議ではない。


2026年1月4日「2025年に長期金利は2%の壁をあっさりと突破、2026年は3%も視野に」

 19日に日銀は政策金利を0.75%に引き上げ、1995年9月に政策金利が1.00%から0.50%に引き下げられて以来の水準となった。

 この日の10年国債の利回りは2006年5月以来の節目の2%を付け、その後2.020%に上昇し、1999年8月以来およそ26年ぶりの水準を付けた。

 日本国債売りの流れが22日も継続し、朝方から10年国債の利回りは上昇してきた。そして、次の節目となる1999年8月につけた2.040%をあっさりと超えてきた。

 その後も国債利回りの上昇(国債価格の下落)は止まらず、一時、2.100%まで上昇してきたのである。

 1999年8月につけた2.040%の水準も突破したことで、次の節目は同年2月につけた2.440%となる。

 そこまで大きな節目もないことで、今後さらに上昇してくる可能性がある。

 長期金利のチャートをみると、この1999年近辺が分岐点となっていることがわかる。

 1999年以降はデフレ状態となり、政策金利は低位で推移し、長期金利は2%が天井となっていた。

 日銀は2013年4月に異次元緩和と呼ばれた量的・質的緩和をスタートさせた。しかし、これでデフレが脱却できるはずもなく、さらに緩和の深掘りへと進む。

 2016年にはマイナス金利政策に加え、長期金利コントロールまで導入する結果となった。

 長期金利が低位で推移し、日銀がそれをコントロールできたかのような動きとなっていたが、実際にはデフレ下のなかにあって、動かなかったに過ぎない。

 その長期金利コントロールも解除され、長期金利は日銀の楔から抜け出してきたともいえる。それによって2%超えとなった。

 2%超えとなっていた1999年以前の長期金利は、かなり値動きの荒い動きとなっていた。  しかも長期金利の動きの要因として、日銀の金融政策による影響は1999年以降に比較してそれほど大きくはなかった。

 これは当時の債券ディーラーとしての私の感覚であったが、長期金利の動きからみてもそれは窺える。

 長期金利はかなり神経質な動きとなっていることで、今後は財政などの動向によっては、長期金利が「炭鉱のカナリア」としての機能を発揮してくる可能性がある。

 長期金利がまったく日銀の影響を受けないわけではなく、大きな材料であることには変わりはない。

 今後の日銀の金融政策については、引き続き慎重に利上げを進めるとの見方となっている。

 しかし、それが慎重すぎるとの見方があらためて強まれば、市場が利上げを催促するといった事態も想定しておく必要がある。

 次回の利上げは半年先あたりかとみていたが、それより早く決定される可能性が出てきた。

 市場も追加利上げを先読みしてくるようであれば、しかも物価に応じた金利形成が意識されれば、利上げに時間を掛ける必要性はなくなると思う。

 長期金利については、次の節目は1999年2月につけた2.440%となるが、これも通過点となりそうである。3%台に上昇しても何ら不思議ではない。


Copyright 牛熊 1996-2021