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2026年9月1日に長期金利が3.000%を付けてきた。これは1996年9月以来、30年ぶりのことになる。
日本だけではなく欧米の国債利回りも上昇してきた。この背景のひとつに中東情勢が再び緊迫化したこともあるが、物価そのものが高止まりしていることも要因となろう。
そこに日本だけでなく、欧米でも財政への懸念が強まりつつある。失われた30年の間に、確かに物価や金利は低迷していたが、その間に大きく増加していたものがある。政府債務である。債務規模はいったん大きくするとなかなか削減は難しい。
金利の先行きを予測するのは極めて困難であることは重々承知の上で、ひとつのリスクシナリオとして今後の日本の金利がどこまで上昇する可能性があるのかを考えてみたい。
すでに政策金利・長期金利ともに1990年台に付けていた水準に上昇してる。チャートの上からは大きな転換期に入ったと私はみている。
日本では円安が進むとともに物価がスパイラル的に上昇する懸念を強めている。高市政権の積極財政も結果として物価の押し上げ要因となる。ここに中東情勢の緊迫化による原油価格の上昇なども重なるとその速度が増す可能性が高まることになる。
1986年から2001年にかけて債券ディーラーであった私は激動の時代を生き抜いてきた。そこで得た教訓は金利は動くというものである。金利は低位で安定するものでは決してない。
むろん2000年以降、30年近くも金利は動かなかったので、いまさらそんなに動くことは信じられないと言う人もいるかもしれない。とにかくも金利は動くときは動くのである。金利のボラティリティ(変動率)は今後も高まると予想している。
つまり金利が上昇するとして、かなりオーバーシュートする懸念が高まる。日米ともに政権交代などがなければ状況は悪化するばかりだと考えられる。両国ともにトップが物価と金利を引き上げる主要因となりかねない。
ひとつの目安として、1990年台の政策金利のピークである6%がある。このあたりがひとまずの目途となろう。同時期には米国の金利も上昇していたことにも注意したい。
これはあくまで過去の金利の歴史からみただけの目安であり、そんなに上昇したら、住宅ローン金利はどうなる、それ以上に財政が保たないといった意見も出てこよう。
しかし物価とともに金利が上がりだしたらブレーキがきかなくなる恐れもある。しかもいまの政治経済情勢からみてそのリスクはそれなりに高いとみざるを得ないことも確かである。
2日に9月に募集される個人向け国債の条件等(募集期間9月3日から30日)が発表された。
「個人向け国債の発行条件等(財務省)」 https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/houdouhappyou/p20260902.pdf
9月1日に10年国債の利回り(長期金利)が3.000%を付けてきた。これは1996年9月以来、30年ぶりとなる。この日に10年国債の入札があり、その結果を基に10年変動の初期利子が決定された。
この10年国債の入札結果を受けて変動10年国債の初期利子は1.95%(税引き前)となった。これは8月募集(9月発行)の1.87%を上回って過去最高利率となった。
固定5年の利率は2.24%(税引き前)となり、こちらも8月募集の2.06%を上回り、過去最高利率となった。
固定3年の利率は1.96%(税引き前)となった。8月募集の1.71%を上回って過去最高利率となった。
参考、「個人向け国債の発行額の推移」財務省 https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/kojin_suii.xls
3年固定、5年固定の利率と10年変動の初期利子はすべて過去最高を更新した。5年固定は個人がさらに食指を動かしそうな2.0%を超えてさらに引き上げられている。
個人向け国債の利率が上昇してきたのは日銀が金融政策の正常化に乗り出し、政策金利を引き上げたこと。物価の上昇や欧米の長期金利の上昇も手伝って日本の国債利回りも上昇してきたことによる。
6月15、16日の日銀の金融政策決定会合では政策金利を1.00%まで引き上げた。7月30、31日の会合では金融政策は現状維持となったが、9月会合での追加利上げ観測が強まりつつある。
日本では消費者物価はいったん2%を割り込んでいるものの、今後は上昇が加速する可能性が強い。
欧米の長期金利が上昇し日本の長期金利も3%台に上昇するなど、この金利上昇が個人向け国債の利回りに反映されている。
5年固定の利子が2.24%となっているのに対して、7月の全国消費者物価指数は生鮮食品を除く総合で前年同月比1.8%となっている。
預貯金金利などはまだ低位となっているが、個人向け国債については物価上昇に耐えうる水準となっている(ただしエネルギー関連の政府補助もあり消費者物価指数が低めになっている事にも注意)。
特に将来必要とされる資金は安全性を優先すべきであり、1年経過後の途中売却でも財務省が元本で買い取ってくれる個人向け国債は個人における資金運用において大きな選択肢となりうる。
国債の利回りはまだ上昇途中とみていることもあり、個人的には10年変動を引き続き推している。ただし、2%台に乗せた5年固定も魅力的ではある。
ニューヨーク・タイムズは1日、ベッセント米財務長官が今年5月に片山財務大臣と夕食を共にした際、2時間以上にわたって日本の経済政策に対する不満をぶちまけたと報じました。
記事によるとベッセント長官が今年5月に来日した際、都内の高級料理店で片山大臣と夕食を共にし、日本の過剰な円安が日本のインフレを悪化させているとの認識を示し、2時間以上にわたって高市政権の経済政策に対する不満をぶちまけたということ。
ベッセント長官は片山大臣に対し、日銀が利上げをすれば状況が改善すると述べたほか、「なぜ日銀に独立性が与えられていないのか」と追及したと。
ニューヨーク・タイムズには以前、私も取り上げてもらったことがあるが、それはさておき、「不満をぶちまけた」との表現は怒り心頭の現れであったのか。
米南部ノースカロライナ州アッシュビルで開幕した20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席していたベッセント財務長官は8月31日、「日本政府や日銀が円高につながる措置を講じると信じている」と語った。
また、ベッセント米財務長官は1日にはG20の記者会見で、日本を名指しし「(金融緩和と積極財政を志向する)リフレ政策をやめるべきだ」と述べていた。高市政権が進める積極財政の見直しや、円安是正に向けた日本銀行の利上げを事実上、求めた格好となる。
日本ではなかなかリフレ派である高市首相に楯突くコメントはあまりみられない。しかし、さすがにインフレ下にあってリフレ政策を進めることのリスクは多くの人も意識されつつあろう。
結果として外圧といった格好とはなったが、これで果たして高市氏がリフレ政策を諦めるのかといえば、むしろこれが高市氏の政策の根幹ともいえるべきものであり、政策転換は期待しても無駄であろう。
せいぜい日銀の利上げをいやいや認める程度でしかないのではなかろうか。
9月1日に日銀の高田審議委員は札幌市で講演し、物価の上振れリスクに対応するため、一定のペースや幅にとらわれず、機動的に利上げを進めるべきだという考えを示した。
まだ一人の審議委員の意見であり、執行部を含めた全体の意思表示ではないとの意見もある。確かに執行部は慎重である。しかし慎重であったことで、正常化が遅れに遅れた。それが今後の金利上昇ピッチを速めるリスクが存在する。
リフレ派は日銀の利上げに拙速と批判していたが、欧米はすでに2021年から2022年にかけての物価上昇に応じて政策を切り替えている。何が拙速だ。
拙速どころか、遅れに遅れた状態となってしまっているいま、一定のペースや幅にとらわれず、機動的に利上げを進めるべきだという考えは当然のことである。
2026年9月1日に日本の長期金利はついにというか、やっと3%を付けてきた。3%を付けるのは1996年9月以来、30年ぶりとなる。
長期金利の3%は通過点と言い続けてきたが、なかなか3%すら付けず、自分はオオカミ少年となってしまうのかと思っていた。まさか自分の誕生日に3%を付けるとは思ってもみなかった。
今回の長期金利3%の復活は、複合的な要因が重なって押し上げてきた格好となる。その複合的な要因がすぐに収まるとは考えられず、繰り返すが3%はあくまで通過点になると予想している。
3%というのは2026年度予算編成にあたっての想定金利と同じである。今年4月当初の長期金利が2.300%あたり、9月1日で3.000%に。5か月0.7%、月あたり0.14%上昇のペースか。このままの速度で上昇するとなれば2027年3月末に3.980%と4%近くに上昇する。年平均長期金利は2026年度予算の想定金利3%超えとなる可能性もある。となれば、少なくともバッファーはなくなる計算となる。
これまで補正予算の編成等で国債のカレンダーベースの増発を回避できたのは、この想定金利と実際の利回りのギャップによる財源があったためである。、これが今年度はなくなる可能性が出てきた。政府は2027年度予算編成にあたり、補正予算を込みとしているようだが、私には予算規模を大きくするための言い訳にしか聞こえない。
それはさておき、気になるのは長期金利のターミナルレートとなろう。
日銀の政策金利のターミナルレートが2%超え予想が多くなっているようだが、長期金利のターミナルレート(最終到達利回り)はどのあたりを想定すると良いのであろうか。
長期金利の1990年以降のチャートをみると手元の動きはまだ勢いがあるので、5%あたりまではあっさりと上昇してくるようにみえる。すでに30年国債の利回りは4%台に上昇している。
代表的な国債運用指標であるFTSE世界国債インデックス(WGBI)によると残存期間が10年以上の国債を束ねた同指数の最終利回りは2025年末の4%付近から足元で4.5%まで上昇したそうである。これはリーマン・ショック前の2007年を上回り、2004年以来22年ぶりの高水準となったとか。
日本の長期金利は1996年以来の水準となっていることから、それ以前の利回りを確認する必要がある。そのピークとなったのが1990年から1991年に掛けてである。バブル潰しに積極的となった平成の鬼平と呼ばれた三重野日銀総裁時代、日銀は政策金利を6%まで引き上げていた。
日銀が政策金利を短時間に大きく上げすぎていたために、その後の失われた30年が生まれたとされているが、実際はそうではない。米国もやはり1990年あたりで金利がピークアウトしていたのである。日本だけの現象ではなかった点にも注意が必要となる。
1990年9月28日に長期金利は8.240%まで上昇したとの記録が手元にある。しかし、実際に長期金利がどこまで上昇したのかは私は確認できない。というのも1990年に何故か1年ほどディーラーから外されて企画室で上場準備を手伝っていたためである。前年に大きな損失を抱えて、といったわけでもなく1年後はディーラーに復帰しているが、1990年は相場にタッチしていなかった。
ということで、もし当時の10年国債の利回りのピークがどこまでだったのかご存じの方がいらっしゃったら教えてほしい、という問い合わせをしたところ、調べていただいた方がいた。ありがとうございます。やはり1990年9月28日であるが、8.685%まで上昇していたのである。
それとともに1990年から1991年の公定歩合(当時の政策金利)の「6%」というのが気になっている。国債利回りの6%というのは超長期ベースではすでに見えつつある。
10年国債の6%というのも個人的には大きな意味を持っている。1985年に東証に上場した長期国債先物の標準物の金利が6%だったからである。ここにきて債券先物は125円台で推移しているが、10年国債の利回りが6%に上昇してくると100円が見えてくる。チーペストは7年債に連動するだろうとのご意見もありそうだが、とにかく私は債券先物の100円をまた見てみたいのである。
ただし、金利が上がって困る方は大勢いるとは思う。しかし、これが本来の金利の動きだとも思っている。
2000年あたりから結果として金利が閉じ込められていた反動もあってここにきての上昇のスピード感は半端ないかもしれない。また、2021年から2022年にかけての世界的な物価上昇に応じた金利の引き上げが欧米などに比べて大きく遅れた結果、円金利の上昇ピッチが速まる懸念もある。
いずれにしても今回の金利上昇は日本だけでなく、欧米もなので世界的に金利の「大転換」が起きていると考えられる。
政府の2027年度予算の概算要求総額が一般会計で143兆円前後となることが31日、分かった。2026年度要求の122.4兆円を大幅に上回る過去最大の規模となる。上限を設けない成長投資枠の新設に加え、補正予算も含めた一体予算としたことで要求額が急増した(31日付日本経済新聞)。
高市早苗政権が手掛けた2025年度補正と2026年度当初を足し合わせた140.6兆円を2兆〜3兆円ほど上回る水準となった。31日までに各省庁が財務省に要求した政策経費をもとに日本経済新聞が集計した数値となる。
このうち長期金利の上昇で国債の利払い費と償還費用を加えた国債費は。国債費を36兆6386億円で要求するとしている。過去最大規模となる。2027年度の利払い費の想定金利は3.8%と2026年度予算の3.0%から引き上げる。
ただし、今後の長期金利の上昇次第では、想定金利が引き上げられたり、引き下げられたりする可能性がある。引き上げられる可能性が高いと個人的には思っている。
国債費の増加もあり、本来であれば全体の予算額を前年度以下に抑えるなどして財政の健全化を意思している姿勢を示す必要があるが、それでころか発散している。
補正予算も含めた一体予算というが、予算規模を増加させるための言い訳にしか聞こえないのだが。いざ物価が想定以上に上昇した際とかには、補正予算を編成してガソリン補助などの延長等を行うことなどは容易に想像できる。
債券市場では中東情勢の再緊迫化による原油価格の上昇とそれによる欧米の国債の下落などもあって、日本国債も売られている。日米の利上げ観測もある。ただし、現状は国債のパニック売りといった様相とはなっていない。
しかし、この2027年度予算が本当に現実化するのであれば、これをきっかけに日本版トラスショックが起きる懸念が強まると私はみている。
長期金利が3%で止まる保証はない。すでに金利や物価がおとなしかった時代は終わっている。それ以前の時代の金利動向を見る限り、国債利回りがどこまで跳ね上がるのかは予想が難しい。
物価に応じたなだらかな金利上昇であれば、まだそれによる影響は限定されよう。しかし、特に国債利回りが大きく跳ね上がるリスクが出てきたとみざるを得ない。
FRBのウォーシュ議長が米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で、基調的なインフレ率が目標の2%に向かわなければ「やるべき仕事がある」と述べた。これを受けてFRBが9月のFOMCで利上げを決めるとの観測が広がり、28日の米2年債の利回りは一時4.36%と大きく上昇した。
31日には中東情勢が再び緊迫化を強めたことから、原油先物価格が上昇し、インフレへの懸念から米債は売られ、米10年債利回りは4.75%と節目の4.74を突破した。こちらは5%が見えてきた。
ベッセント米財務長官は、日銀の金融政策運営を巡って、日銀の植田総裁が正しい判断を下すと期待していると語っていた。そしてG20・主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議が開かれている米国ノースカロライナ州・アッシュビルでベッセント財務長官が日銀の植田総裁や片山財務大臣と、相次いで会談し日銀が利上げに踏み切ることなどが必要だという認識を日本側に伝えたと明らかとなった。すでに9月の日銀の利上げは市場ではだいぶ織り込んではいるが、その可能性を強めさせた格好となった。
国の来年度予算案の編成に向けて、各省庁による概算要求が31日に締め切られる。新たに設ける投資枠で要求額に上限を設けないことなどから総額は一般会計で、前回の122兆円余りを大きく上回って、143兆円程度になるとの見方となっている。つまり過去最大を更新する見通しとなっている。これは補正予算を込みでということらしいが、本当に補正は組まない保証はない。
新規国債の発行額は40兆円規模との予想も出ているが、その規模で消化できるかどうかというより、このインフレ下にあって財政規模を大きく膨らませて、さらに物価上昇圧力を強めるとの懸念も出てこよう。むろん国債市場では金利上昇過程にあって、先行きの懸念から投資をいったん控える動きも見えている。28日の2年国債入札が低調な結果となったのもその現れとなる。
高市政権が積極財政を引っ込めない限りは、金利と物価が上昇する懸念が強まることが予想される。
そんな最中、今度は中東情勢が再び怪しくやってきた。トランプ米政権はイランとの戦闘終結に向けた交渉が行き詰まるなか、経済制裁拡大で圧力を強める方針に転換した。弾薬不足や他地域への影響といった制約に直面しているとの観測もある。
そのタイミングで米軍は30日、ホルムズ海峡に浮かぶイランのララク島を攻撃したとも報じられた。これに対してイラン側は「トランプ政権は重大な過ちを犯した。この攻撃には報復がなされ、侵略者は罰せられる」と述べたと伝わった。
31日のWTI原油先物は一時、85ドル台に上昇してきた。これを受けて米債だけでなく、欧州の国債利回りも上昇してきている。ドイツの10年債利回りは2011年5月以来の水準に上昇し、フランスの10年債利回りは2008年11月以来の水準に上昇した。世界規模での金利上昇となっている。
どうやら負の連鎖が重なり、ドル円は160円台を回復するとともに、10年国債の利回りは3%に向けて上昇しつつある。本日はこんな状況下で10年国債の入札も予定されている。何度も繰り返しているが長期金利の3%も通過点に過ぎないとみている。