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2021年1月16日「米国のバイデン次期大統領は1.9兆ドル規模もの新型コロナウイルス対策案を発表、その財源は?」

 米国のバイデン次期大統領は14日、1.9兆ドル(約200兆円)規模の新たな新型コロナウイルス対策案を発表した。現金給付を1人当たりさらに1400ドル支給するほか、失業給付の特例加算も9月まで延長する(15日付日経新聞)。

 これも加えると、トランプ政権からの臨時の財政出動は合計で6兆ドル弱に近づくことになる。それだけではない。

 バイデン次期大統領は今回の1.9兆ドルの対策は「失業者などへの第1弾の経済救済案にすぎない」と述べ、2月に予定する両院合同議会での演説で「インフラ投資などの経済再建策を改めて表明する」と主張した。

 昨年3月以降、米国政府は4回のコロナ対策を発動している。12月末には9000億ドルの追加財政出動を決めたばかりで、既に対策規模は4兆ドルに達しており、今回の1.9兆ドルも合わせると約6兆ドルとなり、米国のGDP比で3割近い景気刺激策となる。

 ただし、政府の経済対策の最終的な決定権は議会にある。バイデン氏が提示した今回の経済対策の実現は上下両院の審議次第となるため、特に与野党が拮抗する上院で賛同が得られるのかは現状は不透明である。

 これほどの大盤振る舞いはどこまで許されるのか。今回の経済対策の財源は当然ながら、国の借金、つまり米国債の増発によって賄われることになろう。

 新型コロナウイルスの感染拡大による、いわゆるリスク回避の動きや、FRBによる金融緩和策もあり、米長期金利は1%割れとなっていた。しかし、ここにきて1%の大台を抜けてきている。これは大型の経済対策による景気回復への期待、インフレ期待の高まりなどもあるのかもしれないが、国債需給の行方が懸念されての動きとみることも出来る。

 非常時、緊急時だから致し方がないといえばそれまでであるが、米国でも政府債務の拡大がいずれ大きな重荷となる可能性がある。そのリスクを米長期金利がどのような形で示すのかも注目したい。


2021年1月15日「緊急事態宣言による感染拡大防止効果と経済損失と政府債務拡大と」

 政府は7日、東京など1都3県へ緊急事態宣言を出すことを決めた。これにより、飲食店の営業時間の午後8時までの短縮やテレワークによる出勤者数7割削減、不要不急の外出自粛などを求めた格好となる。

 さらに政府は13日、大阪、兵庫、京都の3府県のほか、愛知と岐阜、それに福岡、栃木の合わせて7府県を対象に緊急事態宣言を出す方針と伝えられている。宣言の期間については、先の1都3県と同じく来月7日までとする。

 11都府県は日本のGDP全体の約6割を占めることで、日本経済に大きな打撃を与えることは確かである。

 前回、緊急事態宣言が出されたのは、2020年4月7日であった。この際には埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、及び福岡県の7都府県とした。4月16日には緊急事態措置を実施すべき区域を、7都府県から全都道府県に拡大した。当初は5月6日までとされていたが、全面解除されたのは5月25日となった。

 この際には、緊急事態宣言により、外出自粛を始め様々な行動が制約されることとなる全国全ての国民を対象に一律、1人当たり10万円の給付を行う方針も伝えられ、それは実施された。

 2020年4〜6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で1〜3月期からマイナス7.8%、年率換算でマイナス27.8%となった。リーマンショック後の2009年1月〜3月の年率マイナス17.8%を超えて戦後最大の落ち込みとなった。

 今回の緊急事態宣言が前回のように前回に拡大され、期間も延長されるのかどうかは現状は不透明ながら、その可能性は残る。

 今回の緊急事態宣言により、飲食店や観光業界などに大きな影響を与えることは確かであり、Gotoキャンペーンの反動もあり、個人消費が前回ほどではないにしろ、大きく落ち込むことが予想される。

 緊急事態宣言を発令すべきなのかどうかという議論も当然あると思われるが、海外ではロックダウンを再開しているところもあり、新型コロナウイルスの感染拡大抑止を優先させざるを得なかったと思われる。

 また、東京オリンピック・パラリンピックの開催も控え、このタイミングの発令となった可能性もある。

 今回の人為的な経済活動へのブレーキにより、その影響が及ぶところには、政府の支援も必要となる。今回はさすがに10万円の給付を行うようなことはないと思うものの、政府債務の拡大は継続するとともに、経済活動の落ち込みにより、法人税などの税収はさらに落ち込むことも予想される。いまはそれを考えるときではないかもしれないが、頭の片隅に入れておく必要もあろう。


2021年1月14日「マイナス金利政策には問題が多いとの指摘」

 イングランド銀行のベイリー総裁は12日、マイナス金利には問題が多いとの認識を示し、マイナス金利は英国の景気後退に対処する最善の方法ではないと指摘した。

 すでに欧州中央銀行や日本銀行などでは、マイナス金利政策を実施している。中央銀行の政策金利が実質ゼロ、つまりゼロ金利政策を取った場合に、次の手段として挙げられるのが、資産買入などの量を主体にするか、それともマイナス金利政策か、はたまた両者かということになる。

 2014年のECB理事会で利下げを行った際に、下限金利はマイナスとなった。日銀は2016年1月にマイナス金利付き量的・質的緩和の導入を決定した。それから時間も過ぎて、あらためてイングランド銀行でもそれぞれの効果と副作用の検証を行ったとみられる。

 その上で出した結論がマイナス金利政策については、問題が多く、景気後退に対処する最善の方法ではないという結論に達したとみられる。これはFRBも同様で、パウエル議長は「それは有用でも適切でもない」とマイナス金利政策について評していた。

 日銀の2016年1月に導入したマイナス金利政策に対して、その副作用が意識され、金融業界は反対の声を挙げた。その結果、この年の9月にマイナス金利政策は長短金利操作というかたちに修正されることになった。

 ECBについてもこれ以上のマイナス金利の深掘りは避けたいようだが、いまのところマイナス金利政策そのものを修正するような動きは出ていない。

 しかし、結論からすればFRBやイングランド銀行のトップが指摘したように、マイナス金利政策は有用でも適切でもないという評価となっているのではなかろうか。

 いま、日銀がマイナス金利政策を止めると、それは金融引き締めに写ってしまうため、止めるに止められないことも確かである。これ以上のマイナス金利の深掘りは避けながら、国債のイールドカーブを多少なりスティープ化させて、その副作用をなるべく抑えようとするほかないのかもしれない。


2021年1月13日「米雇用統計は悪化したのに再び米株が買われ、米国債は売られたのはどうしてなのか」

 米労働省が8日に発表した12月の米雇用統計は、非農業雇用者数が前月比14万人の減少となった。雇用者数の伸びがマイナスに転落するのは、新型コロナウイルス危機が深刻になった昨年4月以来となる。市場予想は8万人程度の増加であった。11月分は24.5万人増から33.6万人増、そして10月分も61.0万人増から65.4万人増に上方修正された。失業率は6.7%と横ばい。

 これを受けての8日の米国株式市場をみてみると、バイデン新政権が景気支援策を実施する可能性が高まったとの見方から、少なくとも悪材料視はされなかった。新型コロナウイルス感染拡大を原因とした雇用の悪化という結果よりも、雇用の悪化を原因とした追加の財政政策という結果への期待が勝った格好に。

 ただし、午後に入り、ダウ平均は250ドルあまり下げる場面があった。これは民主党で中道寄りとして知られるマンチン上院議員が家計への現金給付の増額に反対姿勢を示したと伝わったためである。それは裏返すと景気対策への期待感がそれだけ強いということになろう。

 結局、8日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均は続伸となり、前日比56ドル84セント高の31097ドル97セントと過去最高値を更新した。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も続伸となり、前日比134.495ポイント高の13201.975と連日で最高値を更新。機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も4日続伸。20.89ポイント高の3824.68となった。前日に続き、この日も米株の主要3指数がそろって高値を更新した。

 株式市場の地合いの良さは継続している。これに対して1%という壁を突破していた米長期金利はさらなる上昇、つまり米国債は売られた。8日の米債は4日続落となり、米10年債利回りは1.11%に上昇した。

 米10年債利回りのチャートをみると次の節目は1.2%近辺となる。ここも突破すると1.5%も視野に入る。

 米債が売られたのは、追加の財政政策による景気回復への期待、株高によるリスク回避の巻き戻しなども考えられるものの、最大の売り要因は財政拡大による米国政府の債務悪化への懸念、供給過剰による米国債の需給バランスの崩れへの懸念などが嫌気されたものとなろう。つまり米国債についていえば、日本のように無理矢理に長期金利が抑えられているわけではなく、財政への警戒信号も発する機能が維持されているとの見方もできよう。


2021年1月12日「2021年の金融市場をみる上での注意点」

 2021年がスタートした。果たして2021年はどうなるのか。

 金融市場では年末にむけた相場予想なるものがあるが、それにどれだけ意味があるのかを考えさせられたのが2020年の相場ではなかったろうか。ブラックスワンはどこに潜んでいるのかわからない、それが2020年当初にパンデミックだったと誰が予想できたであろうか。

 私は短期で売り買いするディーラーであったこともあり、長期の予想には意味はないと思っている。ピンポイントで年始に年末の日経平均などをピタリと的中させても何の意味はない。そこにいたるまでの課程を含めて、すべて当てられたのであれば意味はある。しかし、それはタイムマシンでもない限り無理である。

 このため、今年の金融市場がどうなるのかということを予想するのにあまり意味はないと考えている。それでもいくつか気をつけるべきものもあり、それを確認してみたい。

 最も関心があるのが、さらに拡大しつつある新型コロナウイルスの感染がいつ収束するかであろう。過去のパンデミックをみてもいずれ収束はする。今回はそれがワクチン投与によって収束するのか、それとも自然に抗体ができて抗体するのか。いまのところ読めない。

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が年内に収まるという保証はない。それはつまり、東京オリンピック・パラリンピックが今年開催出来るという保証も現実にはないと思われる。それが日本国内にどのような影響を与えるのか。

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、世界経済にもさらなる打撃を与えうる。ロックダウンは経済を犠牲にせざるを得ない。そして、ロックダウンは我々の社会経済の在り方をも変えるものでもあった。今後、みえてくる景色は、これまでとかなり違ったものになる可能性も当然ありうる。

 パンデミックとそれの予防策により、次元がさらに超えた中央銀行の金融緩和策と政府の財政政策が取られ、結果として政府債務は膨張した。それを中央銀行が補完するというシステムもできあがった。それはつまりMMTという理論は正しいのかが、いずれ試されよう。

 金融緩和と財政支援策などにより資金は金融市場に向かい、米国の株価指数は2020年末にかけて過去最高値を更新した。これは1989年末に向かっての東京株式市場を彷彿とさせた。1990年台の日本のバブル崩壊のようなことが起きる可能性もないとはいえない。

 そして、個人的に気になっているのが米国の政権交代がスムーズにいくのかという点である。トランプ大統領はホワイトハウスを明け渡す気はないと発言している。すでに米国は分断化しつつあるとの見方があるが、バイデン氏はスムーズに新大統領に就任して、その分断化を修復できるのかも注意すべきと思われる。


2021年1月8日「2020年の金融市場を振り返る(10〜12月)」

10月

 10月1日に発表された9月の日銀短観では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)がマイナス27となった。改善は2017年12月以来2年9カ月ぶりとなる。前回、6月の短観ではマイナス34と、リーマン危機後の2009年6月調査以来11年ぶりの低水準になっていたことで、その反動もあり、ここからはやや回復した格好に。

 日本時間2日の13時頃、米国のトランプ大統領が、ツイッターで自らが新型コロナに感染したことを明らかにした。

 東京大学は16日に国立大学として初めて200億円の大学債を発行すると発表。

 イタリアやギリシャの10年債利回りが過去最低を更新。

 国際通貨基金(IMF)は14日公表した報告書で、2020年の世界全体の政府債務が、世界の国内総生産(GDP、約90兆ドル)にほぼ匹敵する規模になると予測した。GDP比で過去最大の98.7%となる。

 欧州連合(EU)は、新型コロナウイルス支援措置の一つの失業リスク緩和緊急支援(SURE)の財源調達に向けた第1弾の債券発行手続きを開始した。発行額は170億ユーロとなる。

 ドイツのメルケル首相は28日、11月2日から1か月間、緊急の部分的なロックダウン(都市封鎖)措置を実施すると発表した。フランスのマクロン大統領も28日に、少なくとも30日から12月1日まで全土で外出を制限すると発表した。

11月

 6日の東京株式市場では日経平均株価は続伸し、2018年10月2日の引け値の24270円を上回り、引け値で1991年11月以来およそ約29年ぶりの高値を更新した。

 米国の製薬大手のファイザーが独ビオンテックと共同開発するコロナワクチンの臨床試験で、9割以上の被験者に感染防止効果がみられたとの初期データを発表した。安全性の検証が終わり次第、11月第3週にも米食品医薬品局(FDA)にワクチンの緊急使用許可を申請する。

 日銀は10日、地方銀行など地域金融機関の経営基盤強化に向けた取り組みを後押しするため、特別制度を導入すると発表した。経営統合で収益力強化に取り組むことなどを条件に、日銀に預けている当座預金に0.1%の金利を上乗せする。2020年度末までの時限措置となる。

 米国大統領選挙では、民主党のバイデン前副大統領が勝利。

 米製薬の新興企業モデルナは16日、新型コロナウイルスのワクチンの最終治験で94.5%の有効性が初期データから得られたと発表した。数週間以内に米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請する。

 総務省が20日に発表した10月の全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年同月比マイナス0.7%となり、2011年3月のマイナス0.7%以来のマイナス幅となった。

 16日に発表された日本の7〜9月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比で5.0%増、年率換算で21.4%増となった。プラス成長は4四半期ぶり。旧基準も含めた1955年以降で1968年以来の約52年ぶりの大幅な伸びとなった。しかし、4〜6月期に記録した戦後最大の年率28.8%の落ち込みから比較して、当時の落ち込みの半分強程度だけ取り戻した格好に。

 欧州各国が相次いで導入する厳格な都市封鎖を行っていた際も、スウェーデンは、厳しい行動規制を課さない独自路線を取っていた。これはスウェーデン方式とも呼ばれ注目されていた。しかし、スウェーデン政府は16日に新型コロナウイルス感染の急拡大を受け、9人以上の公共の集会を24日から禁止すると発表した。厳しい行動規制を課さない独自路線から規制強化へ舵を切った

 24日の米国株式市場でダウ工業株30種平均は初めて3万ドルの大台に乗せて引けた。米国株式市場の代表的な指数であるダウ工業株30種平均は今年2月に過去最高値を更新した。しかし、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、大きく下落し調整局面となった。ダウ平均は一時18000ドル近くまで下落した。しかし、その後は回復基調となり、ここにきてあらためて過去最高値を更新し、3万ドルの大台に乗せた。

12月

 米国のバイデン前副大統領は、政権発足に向けて、経済政策を担う閣僚らの人事を発表。経済・財政政策の要となる財務長官には、前FRB議長のジャネット・イエレン氏を指名するとした。

 米労働省が4日に発表した11月の雇用統計は、非農業雇用者数が前月比24万5000人増と、市場予想の45万人増程度を大幅に下回った。しかし、これによって追加の経済対策の必要性が増したとの見方が広がり、米国株式市場の代表的な指数であるダウ平均、ナスダック、S&P500種ともに過去最高値を更新した。

 政府は8日午後の臨時閣議で追加経済対策を決定。一般会計からの歳出や財政投融資といった財政支出は40兆円程度に上り、民間支出分も含めた事業規模は73.6兆円ほどに。

 NTTの子会社NTTファイナンスは準備している社債の発行総額を発行登録枠の上限である1兆円で内定したと報じられた。国内で公募される社債の一度の調達額として最大となる。発行予定総額は当初の5000億円程度から段階的に増額された。

 日銀が14日に発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、最も注目される大企業製造業の業況判断指数(DI)はマイナス10と前回の9月調査から17ポイントの上昇となった。

 15日に今年度第三次補正予算が閣議決定された。これにより今年度の国債発行計画も修正された。第三次補正予算に関わる新規財源債(新規国債、赤字国債と建設国債)の発行額は、22兆3950億円も上積みされ、112兆5539億円と過去最大の発行規模となる。

 15日から16日にかけて開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、金融政策については現状維持を決定した。資産買入の期間について、これまでは買い入れ期間を「今後数か月」としか表明してこなかったが、今回は「完全雇用と物価安定の達成が十分に近づくまで購入を続ける」と表明した。つまりガイダンスを変更し、長期にわたり金融緩和の効果を与えること表明。

 11月の全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年同月比マイナス0.9%、約10年ぶりのマイナス幅に。

 12月21日に2021年度予算が閣議決定され、それとともに2021年度の国債発行計画も発表された。来年度の予算案は、社会保障費の増加や新型コロナウイルスへの対応などで一般会計の総額で106兆6097億円と、今年度の当初予算を4兆円近く上回り、過去最大となった。新規国債の発行額は11兆円余り多い43兆5970億円となった。歳入全体のうち国債で賄う割合(国債依存度)は40.9%となり(今年度当初は31.7%)、当初予算としては7年ぶりに40%を超えた。

 米上院は21日深夜の本会議採決で、新型コロナウイルス感染拡大の影響に対応する約9000億ドル規模の追加経済対策と1兆4000億ドル規模の2021会計年度(2020年10月〜2021年9月)歳出法案を合わせた包括案を賛成多数で可決した。

 英国では、イングランド南東部とウェールズ南部を中心に、新型コロナウイルスの感染急拡大に歯止めがかからず、ジョンソン首相はイングランドで施行中の3段階での警戒制度に、新たに4段階目の「自宅待機」を導入した。20日からロンドン全域、ケント州、ポーツマスなど、イングランド南東部を中心に、多数の自治体に適用。3度目のロックダウンとなる。

 12月29日の東京株式市場では、日経平均は心理的な節目とみられた27000円を突破して、一時27602円52円まで上昇し、1990年8月16日につけた28097円11銭以来の高値をつけた。

 米国株式市場では、S&P500種とダウ平均は過去最高値を更新しての年末の引けとなった。


2021年1月8日「米国ではブルーウエーブが実現、米長期金利は1%台に上昇」

 米国のジョージア州で行われた上院2議席をめぐる決選投票では、両議席ともに民主党候補が当選確実となった。これにより上院での民主・共和両党の獲得議席はいずれも50議席となり、副大統領に就任する民主党のカマラ・ハリス氏が決定票を握ることになる。

 これを受けて6日の米国株式市場では、民主党が推し進めようとしている追加経済対策やインフラ投資の拡大が期待されて、景気敏感株を中心に買われた。これに対して、ハイテク関連企業については規制が強化されるのではとの思惑も出たことで、ナスダックは下落していた。

 銀行株も買われていたが、これは米長期金利の上昇が影響していた。大型の追加経済政策が現実化しつつあり、その資金は国債発行で調達せざるを得ない。このため、米国債の需給悪化が意識されて、米10年債利回りは上昇(価格は下落)し、昨年3月以来となる1%台で取引を終えた。

 今回の選挙結果を受けて、ホワイトハウスと上下両院を全て民主党が押さえるというブルーウエーブが実現したことになる。ブルーは民主党のカラーである。

 6日のダウ平均は過去最高値を更新した格好ながら、ここまで米国株式市場を引っ張ってきたアップルやアマゾンなどのハイテク株が利益確定売りに押されていたことは注意すべきか。

 米国では新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、ワクチンの効果が出るのもまだ先とみられる。その上、バイデン次期大統領の当選に反発するトランプ大統領の支持者が議事堂の周囲を包囲し、一部が建物に侵入して審議が中断、政府が州兵を出動させて対応に乗り出すという事態も発生した。

 この前にトランプ大統領が集会で支持者に議事堂に向かうよう促していたように、トランプ大統領はホワイトハウスを譲る気はないように思われ、これはこれでひとつのリスクとなろう。

 米国大統領の就任式は1月20日に行われる。過去の就任式と今回は様相が異なっており、それまでにさらなる混乱が生じる懸念もある。バイデン氏にとって新型コロナウイルスとの戦いの前に負けたはずの赤鬼をまず退散させる必要がある。


2021年1月7日「中国政府がアリババの事業拡大を阻止しようとしている理由」

 トランプ米大統領は5日、中国アリババ集団の傘下企業が提供するスマホ決済アプリ「支付宝(アリペイ)」など中国アプリに関わる取引を米国内で禁じる大統領令に署名した(6日付日経新聞)。

 そのアリババだが、中国の規制当局は、アリババ傘下のアント・グループが築いた巨大なフィンテック(ITを活用した金融サービス)の帝国を事実上解体しようとしていると、こちらはWSJが報じていた。

 日経新聞もこれに関して、アリババ集団や騰訊控股(テンセント)が金融業にも手を伸ばし、既存の金融システムを脅かし出したため、事業拡大阻止に動き始めたと報じた。

 アリババが2013年6月に販売を開始したオンライン金融商品「余額宝(Yuebao)」の顧客が1億人に達し、運用資産残高は900億ドル(約9兆1400億円)を超えた。新たな金融商品の台頭が国有銀行を揺るがしているとされる。

 中国の銀行業界は4大国有商業銀行による寡占状態にある。マー会長は2013年に「銀行が変わらないなら、我々が変えていく」とも述べていた。

 余額宝とはアリペイで使い切れなかった資金を銀行に戻さず、投資に移されるものでいわゆるマネー・マーケット・ファンドと呼ばれるもので、銀行預金より高い利回りで提供されているそうである。

 以前、日本では証券会社の中期国債ファンドが人気化したことがあり、そこに銀行から資金がかなり移されたとされたが、そういったイメージか(現在は中期国債ファンドは消滅状態)。

 国有銀行などを脅かし始めるたことで、中国政府はアリババなどのIT企業の金融事業に対して徐々に規制を強めたが、これにはデジタル人民元の存在も影響しているのかもしれない。アリペイとウィーチャットペイの牙城を崩すのもデジタル人民元を流通させることの目的のひとつであるとも考えられる。

 さらにここにきて気になるニュースも伝えられた。アリババ・グループの創業者、馬雲(ジャック・マー)氏がここ2か月ほど公の場に姿を現しておらず、中国当局が同グループへの規制を強める中、ソーシャルメディア上で馬氏の行方を巡り憶測が広がっていると、こちらはロイターが伝えていた。


2021年1月5日「二度目の緊急事態宣言による金融市場への影響」

 菅首相は東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県を対象に、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言の発出を検討することを表明した。

 前回の新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言は、2020年4月7日に発布された。このときの対象は埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、兵庫となっていいたが、16日からは全国に拡大された。当初は5月6日までとされていたが、全面解除されたのは5月25日となった。

 4月20日には全国民への現金10万円の一律給付を盛り込むために組み替えた2020年度補正予算案を閣議決定している。27日の金融政策決定会合では、金融機関や企業等の資金調達の円滑確保に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持する観点から、追加緩和策を決定した。

 金融市場の動きみると新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による経済への影響を意識して、リスク回避の動きが強まったのは3月であった。4月以降は落ち着いた動きというか、下げ幅を埋めるような展開となった。

 2020年4〜6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で1〜3月期からマイナス7.8%、年率換算でマイナス27.8%となった。リーマンショック後の2009年1月〜3月の年率マイナス17.8%を超えて戦後最大の落ち込みとなった。

 政府は新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、4月7日に緊急事態宣言を出した。これが解除されたのが5月25日。この間、人や物の移動が制限され、この結果、個人消費を中心に幅広い経済活動が滞り、その結果、GDPは統計を遡れる1955年以降で最大の落ち込みとなった。

 米国の4〜6月期GDPも年率換算で前期比32.9%のマイナスとやはり過去最悪の下落率となっていた。ユーロ圏19か国の2020年4〜6月期のGDP速報値も前期比で12.1%減、年率換算では40.3%減となっており、こちらも過去最大の落ち込みとなっていた。

 ただし、市場はこういった数字も織り込んでおり、これを受けて再び株価が急落するようなことはなかった。

 今回の緊急事態宣言を受けて、前回ほどではないにしろ景気に大きな影響を与えることが予想される。

 しかし、すでに緊急事態宣言を経験しているだけに、金融市場の動向という面からみるとこれによる影響は株式市場などでは限定的になると予想される。海外ではワクチン接種も始まっており、これによる景気回復への期待が強まることも予想される。

 政府や中央銀行による追加策の可能性もある。しかし、予備費などの活用もあり、仮に今回の緊急事態宣言が全国規模に拡がったとしても、それによってあらためて補正予算編成ということは考えづらいか。

 今のところ予想外の出来事などが起きない限りは、緊急事態宣言による金融市場への影響は限定的になると予想される。


2021年1月5日「2020年の金融市場を振り返る(7〜9月)」

7月

 7月1日に発表された日銀短観では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)がマイナス34と、リーマン危機後の2009年6月調査以来11年ぶりの低水準になった。悪化幅はリーマンショック翌年の3月に次ぐ過去2番目の大きな落ち込みとなった。

 1日に発表された米国のISM製造業総合景況指数は52.6となり、6月から9.5ポイントの上昇と1980年8月以来の大幅上昇となっていた。分岐点の50を下回っていたものが、あっさりと50を上回った。6日に発表された6月のISM非製造業総合景況指数は前月比11.7ポイント上昇し、57.1となった。こちらの上昇幅は過去最大となった。

 米労働省が2日に発表した6月の米雇用統計では、非農業雇用者数が前月から480万人増となり、1939年の統計開始以降で最多となった。また、6月の失業率は11.1%と、5月の13.3%から改善した。6月は特にレストランや小売企業での再雇用の動きが数字に表れた格好に。新型コロナウイルス感染拡大を受けた外出制限措置が解除され、経済活動が再開されてきたことなどが背景にある。

 13日に米製薬大手ファイザーは、開発中の新型コロナウイルスワクチンが米食品医薬品局(FDA)から優先的に承認審査を受けられる指定を受けたと発表した。

 米労働省が14日に発表した6月の米消費者物価指数は、前月比(季節調整済み)で0.6%上昇となった。4か月ぶりのプラスとなり、前月比の上昇率は2012年8月以来、7年10カ月ぶりの大きさとなった。

8月

 米財務省は5日、過去最高となる1120億ドル(約11兆8200億円)相当を四半期定例入札で発行すると発表した。

 米国では5年債利回りが過去最低を更新、また欧州ではギリシャ10年債利回りが過去最低水準を更新した。

 米国の大統領選挙で野党・民主党のバイデン前副大統領は、副大統領候補に女性で黒人のカマラ・ハリス上院議員を選んだと発表した。バイデン氏が大統領選挙で勝利すれば、ハリス氏がアメリカ史上初めての女性の副大統領となる。

 8月に入ってから金融市場の地合がやや変化してきた。米国株式市場ではダウ平均やS&P500は再び上昇トレンドを強めてきた。12日にダウ平均は2月21日以来、約半年ぶりの高値をつけ、S&P500種は一時、2月19日に付けた引け値での過去最高値を小幅に上回る場面があった。ハイテク株が多いナスダックは8月に入り、戻り売りに押された格好となった。コロナ禍においてハイテク企業の業績が伸びるとの期待もあり、ナスダックは過去最高値を更新していたことで、利益確定売りに押された格好となった。

 経済協力開発機構(OECD)加盟37か国の2021年の公的債務残高が、2019年と比べて少なくとも約12兆ドル(約1270兆円)増大する見通しであることが10日、OECDの公開資料で分かった。債務残高は2019年の69兆6千億ドルから2021年には81兆6千億ドルと17%増える。

 内閣府が17日に発表した2020年4〜6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で1〜3月期からマイナス7.8%、年率換算でマイナス27.8%となった。リーマンショック後の2009年1月〜3月の年率マイナス17.8%を超えて戦後最大の落ち込みとなった。

 政府は新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、4月7日に緊急事態宣言を出した。これが解除されたのが5月25日。この間、人や物の移動が制限され、この結果、個人消費を中心に幅広い経済活動が滞り、その結果、GDPは統計を遡れる1955年以降で最大の落ち込みとなった。

 米国の4〜6月期GDPも年率換算で前期比32.9%のマイナスとやはり過去最悪の下落率となっていた。ユーロ圏19か国の2020年4〜6月期のGDP速報値も前期比で12.1%減、年率換算では40.3%減となっており、こちらも過去最大の落ち込みとなっていた。

 FRBは27日、臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、金融政策の新たな新指針を決めた。金融政策の目標として声明文に「当面の間は2%を上回るインフレ率を目指す」と明記した。つまり、一定期間の物価上昇率が2%を上回ることを容認する。そして、ジャクソンホール会議のオンライン配信のパウエル議長による講演で、新指針を説明するとともに物価が明確に上昇するまで利上げを見送る考えを強調した。

 安倍晋三首相は、8月28日17時からの記者会見で、辞任する意向を正式に表明した。自民党は総裁選を9月上旬に告示、15日までに投開票する見通し。臨時国会は17日にも召集され、衆参両院の本会議で首相指名選挙が実施され、新首相が決定する。

9月

 財務省が1日発表した法人企業統計(速報値)によると、4〜6月期の全産業(金融・保険を除く)の設備投資は前年同期比11.3%減と2四半期ぶりにマイナスとなった。このうち製造業は9.7%減、非製造業は12.1%減となる。前年同期比11.3%減の減少幅はリーマンショック後の2010年1〜3月期の11.5%減以来の大きさとなった。

 世界の株式時価総額が8月末時点で89兆ドル(9400兆円)強となり、月末ベースで2019年12月以来8か月ぶりに過去最高を更新した。

 9月3日の日経平均は218円38銭高の23465円53銭となり、新型コロナウイルス感染症の流行で急落する前の2月21日の引け値を上回った。米国株式市場では、ナスダックとS&P500種は過去最高値を更新するなどしており、東京株式市場はそれと比べれば、やや出遅れ気味ながらもひとまずコロナ禍以前の水準を回復したことになる。

 IMFのリポートによると、2020年の先進国(日米欧など27か国)のGDPに対する債務残高の比率は前年よりも23.5ポイント上昇し、128.2%となる。1946年に記録した124.1%を上回る公算が大きい。

 NTTドコモの電子マネー決済サービス「ドコモ口座」を利用した不正な預金引き出し被害が拡がった。インターネット証券のSBI証券は16日、顧客の6口座から約9864万円が流出したと発表した。

 6月の家計調査では、2人以上世帯の消費支出は物価変動の影響を除いた実質で前年同月比1.2%減少となり、9か月連続の減少となった。しかし、これを前月比でみてみると13.0%増となり、4か月ぶりに増加に転じ、比較可能な2000年2月以降で最大の増加幅となっていた。

 16日に菅内閣が発足。

 16日のFOMCでは金融政策は据え置いたが、物価上昇率は「当面は2%超を目指す」とし、2%に到達するまで利上げを見送るとも宣言した。これはつまり長期の低金利政策を確約する「フォワード・ガイダンス」を導入した。

 欧州で新型コロナウイルスの感染が再拡大している。フランスとスペインでは9月に入り1日に約1万人と今春を上回る感染者数が確認された。英国でも新型コロナの感染者がここ数週間に急増。

 ゆうちょ銀行の運営するデビットカード・プリペイドカードの「mijica」で不正送金問題が発生した。ゆうちょ銀行の運営するデビットカード・プリペイドカードの「mijica」で不正送金問題が発生した。


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