. 若き知
2026年3月5日「4日の日経平均株価は大幅下落」

 4日の東京株式市場では日経平均株価が続落した。前日比の下げ幅は一時2600円を超えた。

 3日の米国株式市場では、ダウ平均は1200ドル超下落する場面もあったが、午後に入って原油先物価格の高騰が一服したことに加え、トランプ大統領がホルムズ海峡を通過するタンカーを米海軍が護衛すると表明したことで、下げ幅を縮小させダウ平均は403ドル安となっていた。

 アドバンテストや東京エレクトロンなどの半導体関連に加え、トヨタ自動車などの輸出関連が売られた。

 外為市場でのドル円は157円台の後半での上げ下げとなっていた。

 債券市場では債券先物が買い戻されて133円台を回復した。3日の米10年債利回りは一時4.11%と2月中旬以来の高水準を付けていた。しかし、トランプ大統領がホルムズ海峡を通過するタンカーを米海軍が護衛すると表明したいたこともあり、押し目買いも入り、米10年債利回りは4.06%となった。

 ナイトセッションの債券先物も一時132円22銭まで下落していたが、その後下げ幅を縮小させていた。

 しかし、中東のリスクが後退したわけでもなく、4日の債券先物は買い戻しが一巡後は戻り売りに押されるとみていた。ところが、買い戻しの動きは続いて133円台を回復していたが、これは株価の下落をみてのリスク回避の動きの可能性がある。

 日経平均の日足チャートをみると、下値抵抗線を抜けてきている可能性がある。日経平均は2月26日のザラ場中に一時、59332円43銭と59000円台を付けて過去最高値を更新していた、

 ここが目先の高値となった。28日に米国とイスラエルは3か所で開催されていたイラン政府高官らが集まる会議に対し、同時に空爆を開始したことから、原油価格が急上昇し、イラン情勢を背景に東京株式市場も大きく下落した。

 アジア市場では台湾加権指数と韓国総合株価指数が急落したことや、下値抵抗線を下回ったことで、テクニカルな売りも入り、4日の東京株式市場は想定以上に売られ、リスクオフの動きともなり、債券先物も買い戻された可能性がある。


2026年3月4日「氷見野日銀副総裁の挨拶より。政策金利を緩やかに引き上げていく方向に変わりは無いが、そんなに急がなくても?」

 日本銀行の氷見野副総裁は、和歌山県金融経済懇談会における挨拶で面白い図を使っていた。

 「経済も物価も金融政策もいろいろな論点がありますので、どの話がどこにどうつながって、全体の中でどういう意味を持つのか、見えにくいかと思いまして、全体を一覧する見取り図のようなものを用意してまいりました」

 「ちょっと曼荼羅みたいに見えるかもしれませんが、弘法大師もはじめて曼荼羅を日本に持ち帰られた際に、「なかなか文章には載せきれないことがらも、図画で示すと一目でわかる」といった趣旨のことをおっしゃっています」

 弘法大師こと空海は、中国に伝わった密教の奥義や経典・曼荼羅などを、体系立てた形で中国から日本に伝来させた人物である。

 曼荼羅とはサンスクリット語で円を意味し、密教の仏様の世界や悟りの境地、宇宙の真理を、大日如来を中心に図式化した仏画となる。

 東寺にある立体曼荼羅なども有名であるが、和歌山県には空海の開いた高野山があり、、一種のオマージュとして曼荼羅風の図を使ったようである。

 また、挨拶中の「当面の金融政策運営」の部分では、「享保の改革」について述べていた。

 徳川吉宗公にとっても金融政策は享保の改革の大きな柱の一つとなり、治世の前半は引き締め的な金融政策を維持し、後半は緩和的な金融政策に転じた、とみることができますと指摘も現在の金融政策のように経済・物価の情勢に応じて機動的に運営を行う余地はなかったと。参考図では徳川吉宗公の絵と、改鋳後の小判の写真が掲載されていた。

 さて肝心の今後の金融政策については下記のようなコメントがあった。

 「インフレギャップはまだ若干のマイナスだが、今後ゼロ近傍に近づいていくという見通しからすれば、ある程度緩和的なスタンスから出発して、政策金利のゆるやかな引き上げを通じて、だんだん中立に近づけていく、ということになると思います」

 「GDPギャップについても、私どもの見通しでは、足もとのゼロ近傍から今後はプラス幅を徐々に拡大していくと想定していますので、政策金利を緩やかに引き上げていく方向に働くことになりそうです。」

 方向としては、政策金利を緩やかに引き上げていく方向に変わりは無い。ただし、下記のコメントが少し気になった。

 「供給能力不足の状況からすればGDPギャップの実態は推計値よりも高いはずだ、という見方に立てば、もっと利上げを急ぐべきだ、ということになりそうですし、経済はまだ強くない、という実感のほうに立つとすれば、そんなに急がなくても、ということになるかもしれません」

 たしかに両方向の見方が存在するのは確かではあるが、「そんなに急がなくても」というのは政権にやや配慮してのものなのかもしれないとも感じた。


2026年3月3日「米軍とイスラエル軍がイランに大規模攻撃を実施」

 28日、米とイスラエルは3カ所で開催されていたイラン政府高官らが集まる会議に対し、同時に空爆を開始した。

 ロイター通信は当初、会議が28日夕に開催される予定だったが、イスラエルの情報機関が同日朝への変更を把握し、攻撃開始を早めたと伝えた。

 米軍とイスラエル軍がイランに大規模攻撃を実施したことにより、原油輸送ルートの要衝であるホルムズ海峡が実質的な閉鎖状態となった。

 イラン革命防衛隊があらゆる船舶に対し、航行禁止を通達しているという。

 イラン沖の要衝、ホルムズ海峡を通るタンカーは世界の石油の5分の1と大量の天然ガスを取り扱う。

 これを受けてニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は72ドル近くに達した。

 27日のWTI先物4月限は1.81ドル高の1バレル67.02ドルとなっており、5ドル近く上昇していたことになる。

 北海原油代表油種ブレント先物は一時1バレル82.37ドルと2025年1月以来の高値を付けた。ロシアのウクライナ侵攻以来4年ぶりの大幅高となっていた。

 27日の米債はイラン情勢が緊迫するなかでリスク回避の姿勢が強まり、相対的に安全な資産とされる米国債に買いが入り、10年債利回りは4%割れとなっていた。

 東京時間2日午前の取引で原油価格が急上昇し、イラン情勢を背景に米株価指数先物は下落した。

 東京株式市場では日経平均は一時1500円を超す下落となった。しかし、その後は急速に下げ幅を縮小させている。やや楽観的な見通しも出ていたのか。

 債券先物はリスク回避の買いから、一時133円32銭まで上昇したが、戻り売りに押されに押され133円割れとなった。

 日銀氷見野副総裁講演や明日の10年国債の入札を控えてという側面もある。また株式市場が下げ幅を縮小させ、リスク回避の反動の動きも出たか。

 また原油価格の上昇とそれを受けての物価の上昇圧力、さらには物価の上昇圧力からの日銀の利上げも意識された可能性もある。

 外為市場では、あらためて米国の軍事力なども意識されてかドルが買われ、ドル円は156円80銭台に上昇していたが、ドル円の上値は重い。

 トランプ大統領はイランへの軍事作戦について「常に4週間のプロセスだ。4週間ほどだと見積もっている」と表明したが、その根拠は示さなかった。

 今後の動向は不透明感も強く、予想が難しいが、長引けば原油価格の高騰も招きかねず、注意する必要があろう。


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