.
ゴールデンウイーク明けの7日の東京株式市場では、日経平均株価が大幅続伸となり、引け値は前営業日比3320円高の62833円となった。4月27日の60537円を上回り、引け値における過去最高値を更新した。
3320円高となって、この上げ幅は2024年8月6日の3217円を超え過去最大を記録した。
日本が連休中に米半導体のAMDやマイクロンテクノロジーなど買われ、7日の東京株式市場でも主力の半導体関連株を中心に物色された。
なかでも半導体メモリーのキオクシアホールディングスが大きく買われた。キオクシアは終日買い気配のまま推移し、制限値幅の上限(ストップ高水準)となる前営業日比7000円高の43410円で配分された。
日経平均への寄与度が高いAI半導体関連のアドバンテストやソフトバンクグループも大きく上げて、日経平均を押し上げた。
これだけ大きく挙げた要因として、大型連休を控えて行ったヘッジ売りの解消も入った可能性もある。
ショートカバーを誘った要因に、米国とイランの戦闘終結への観測が強まったことがある。
米ニュースサイトのアクシオスは6日、米国がイランとの戦闘終結に向けた覚書を用意し、合意に近づいていると報じた。
トランプ大統領は6日朝に自身のSNSで、「イランが合意内容に従うことに同意すれば、イランへの軍事作戦を終了する」と投稿した。
これまでの経緯から、また「はったり」かとの見方もあったかと思うが、今回は素直に市場は好感している。その要因はどうやら別のところにあったようである。
それがイランのアラグチ外相による北京への訪問であった。
何故、このタイミングで訪中と思ったが、中国側が呼び寄せて戦闘終結に向けて何らかの働きかけをした可能性があった。
中国にとってもホルムズ海峡の閉鎖は困った事態となっていたはずである。これまでのイランと中国との関係もあり、中国側からの意向も反映した動きとみれば、戦闘終結に向けてイラン側も折れて、戦闘終結に向けて現実味を帯びてきたと市場が反応したとしてもおかしくはない。
このため、14〜15日予定の米中首脳会談の前にイランとの戦闘終結に合意する可能性も指摘されている。
これを受けて原油先物価格の大きく下落し、過度なインフレ懸念が後退したことで、これも株式市場には好材料となったとみられる。
円が対ドルで急伸した5月1日から6日の外国為替市場で、日本の通貨当局が約4.68兆円の円買い介入を行った可能性が高い。日本銀行が7日公表した8日の当座預金増減要因の予想値と介入要因を含まない市場推計の差が示唆している(8日付ブルームバーグ)。
どうして政府・日銀は介入をするのか。個人的には甚だ疑問である。ドル円も長期金利も市場で形成されるものであり、それを無理矢理抑え込むといったことは市場原理に反する行為であると思っている。
だから日銀の長期金利コントロールに対して私は断固反対していた。実際こちらはかなり無理があったことは確かである。
これに対して外国為替市場での介入については、日本のみならず他国でも行われていたこともあり、市場参加者もある程度容認しているように思える。
現在であれば円安は困るという政府の事情もわからなくはない。輸入物価を通じドル決済が多いことで、円安は国内物価の上昇要因ともなるためである。
そうであれば、まずやるべきことは日銀の金融政策の正常化を進めることではないのか。
政策金利が物価に応じた水準にあるのであれば、無理に政策金利を引き上げる必要はない。
しかし、物価のレベルにも達していない低レベルにある政策金利が円安を招いている側面もあり、こちらをまず改善すべきではないのか。
正常を進めた上で、それでも円安が進むというのであれば投機的な動きが入っているとして、タイミングを見計らっての円買いドル売り介入を行うのであれば理解はできなくはない。
介入の回数とか原資とかも問題視されているが、それよりも今、介入が本当必要なのか。ドル円の160円レベルというのは本当に防衛ポイントとなるのか。
国際決済銀行(BIS)によると、通貨としての総合的な実力を示す「実質実効為替レート」は今年3月時点で66.33(2020年=100)と、統計が始まった56年前の水準を下回った。
つまりドル円の360円時代の水準となっている。そうであれば、実際のドル円の実力は160円程度では本来済まない可能性もある。
だからここで無理矢理に抑えているというのであるかもしれない。しかし本来の水準がもっと高いところ(160円を大きく超える)のであれば、介入そのものの効果はあまりないことになる。
投機筋ばかりでなく、絶好のドル円の買い場を与えるだけとなりかねないのではなかろうか。
市場は確かにいろいろとオーバーシュートするかもしれないが、市場はいつも正しいと私は思っている。
「蓋し、マーケットは絶えず不合理であり、理不尽。しかし、マーケットはいつも正しい。今のプライスが真実だから。お天気のようなものか」 」
これは前回、為替介入を行った神田眞人前財務官(現ADB総裁)の著書「世界金融秘録」のなかにあった一文である。
ベッセント米財務長官は11日から3日間の日程で日本を訪問し、高市早苗首相、片山さつき財務相、植田和男日銀総裁らとそれぞれ会談する方針だ(7日付日本経済新聞)。
ベッセント米財務長官は昨年10月に「日本政府が日銀の政策余地を認める姿勢はインフレ期待を安定させ、過度な為替変動を回避するうえで極めて重要だ」と主張していた。
日銀の利上げを容認すべきだという日本政府への要望とみられた。実際に日銀は昨年12月19日に日銀は政策金利を0.75%に引き上げている。
日銀は今年4月の金融政策決定会合での利上げの準備をすすめていたとみられるが、中東情勢の緊迫化を受け、いや、それを理由にした政府側からの意向も意識してか、利上げを見送った経緯があったとみられる。
そのあたりも意識しての植田日銀総裁らとの会談予定ではなかろうか。
G7財務相・中央銀行総裁会議でも顔を合わせる機会はこれまでも多かったとみられるが、米財務長官の訪日の日程に日銀総裁との会談も組みこむことを事前に報じられたケースはあまりみたことがないような気がする。
今回はあらためて日銀の利上げの意向等も確認するための来日ではないかと考えられる。となれば6月の決定会合での利上げの機運が高まることも予想される。
そして、7日の東京株式市場では日経平均が初の62000円台を回復したが、これは米国とイランの戦闘終結への観測が強まったことによるものである。それを受けての原油先物価格の下落も影響した。
米ニュースサイトのアクシオスは6日、米国がイランとの戦闘終結に向けた覚書を用意し、合意に近づいていると報じた。
トランプ大統領は6日朝に自身のSNSで、「イランが合意内容に従うことに同意すれば、イランへの軍事作戦を終了する」と投稿した。
これまでの経緯から、また「はったり」かとの見方もあったかと思うが、今回は素直に市場は好感している。その要因はどうやら別のところにあったようである。
それがイランのアラグチ外相による北京への訪問であった。
何故、このタイミングで訪中と思ったが、中国側が呼び寄せて戦闘終結に向けて何らかの働きかけをした可能性があった。
中国にとってもホルムズ海峡の閉鎖は困った事態となっていたはずである。
これまでのイランと中国との関係もあり、中国側からの意向も反映した動きとみれば、戦闘終結に向けてイラン側も折れて、戦闘終結に向けて現実味を帯びてきたと市場が反応したのではないか。
このようにベッセント米財務長官による日銀の利上げに向けた外圧の可能性、さらに中国によるイランに向けた外圧が金融市場に影響を与えつつあるようにみえる。
日銀が28日に公表した経済・物価情勢の展望(展望レポート)において、中東情勢を巡るリスクが示されていた。
第1に、中東情勢を巡る混乱が長期化し、原油価格が高止まりすることで、交易条件の悪化などのマイナスの影響が想定以上に大きくなるリスクがあるとしている。
米国とイランの再交渉は先送りとなり、ホルムズ海峡は封鎖されたままで原油やガスの供給ライン停止は続いている。
原油は、様々な産業の上流から下流にかけて広く原材料として使われているため、原油価格の高止まりは、エネルギー価格だけではなく、幅広い財を中心に価格を押し上げる方向に作用する。
ロシアによるウクライナ侵攻後の資源価格上昇時と比べ、企業の賃金・価格設定行動が積極化していることなどを踏まえると、原油価格の上昇は、これまで以上に様々な財・サービスの値上げに波及しやすくなっている可能性がある(展望レポート)。
2022年4月以降のコアCPIは2%を超えてきている。足元は2%割れとなっているが、それでも1.6%や1.8%となっており、発射台が2022年とは大きく異なる。
このほか、農作物の生産に不可欠な肥料の原料が相当程度中東で生産されていることを踏まえると、中東情勢を巡る混乱が続き、物流が長期にわたって滞った場合には、原料の市況高を通じて、食料品価格が想定以上に上昇する可能性にも注意が必要である(展望レポート)。
原油だけでなく肥料の流通が滞る懸念もあり、食料品の価格上昇要因となる。それだけでなくナフサは容器に使われるなどしており、食料品の生産そのものが滞る懸念がある。 第2に、サプライチェーンの大規模な混乱が生じ、わが国企業の生産活動に大きな影響をもたらすリスクがある。物流への影響が長期化した場合には、原油だけでなく、中東からの輸入ウエイトの大きい素原料・中間財等の供給が滞る可能性がある(展望レポート)。
出光興産がベトナムに原油400万バレル規模を供給することが27日分かったと報じられた。これはベトナムの製油所でつくる石油製品は日本への輸出も多く、国境をまたいだ供給網を支えるとされた。
サプライチェーンの大規模な混乱が発生すると、企業の生産活動を低下させ、経済の大幅な下振れにつながる可能性があり、またこれも物価を押し上げる要因となる。
供給制約が顕在化すると、関連する製商品の価格が大きく上昇し、物価の上振れリスクが一段と高まるとともに、基調的な物価上昇率の押し上げにもつながる可能性がある(展望レポート)。
仮に中東情勢を巡る緊張が急速に和らいだとしても、元に戻るまでは相当の時間を有すると予想され、そもそも完全に元にもどることはないとみられる
4月30日の10年新発国債の利回り、つまり長期金利が2.535%まで上昇した。4月13日まで2.490%に上昇したが、いったん2.5%の壁が意識されて、その後は一時2.4%を割り込んでいたが、再び切り返して、節目とされる2.500%を付けてきた。
10年国債の利回りが2.500%を付けたのは1997年6月以来となる。
トランプ米大統領がイランの提案を拒否し、イランの港湾封鎖を続ける方針を明らかにした。
ホルムズ海峡の封鎖を巡る混乱が続くとの懸念が強まり、原油先物は買われ、29日のWTI先物6月限は一時、1バレル108ドル台に上昇した。30日にWTI先物は一時、110.93ドルまで上昇していた。
原油高を受けて29日の米債は売られ、米10年債利回りは4.43%に上昇してきた。こちらも節目の4.5%が見えてきた。
米長期金利の上昇に加え、原油価格の上昇により、日本の貿易赤字が拡大するとの観測などによって円安が進行した。
ドル円は30日の東京市場でドル円は160円70銭台と2024年7月以来の高水準をつけたが、夕方5時あたりから円買いドル売りが進み、8時台に155円55銭まで下落した。
動きからみて政府・日銀による為替介入が行われた可能性が高い。
4月30日夕に片山さつき財務相や三村淳財務官が「最後通告」と受け取れる強い円安けん制発言をした後に円が急速に買われた格好となっていた。
29日から30日にかけて日米欧の中央銀行の金融政策を決める会合が開催された。
29日の日銀の金融政策決定会合では、金融政策の現状維持を6対3の賛成多数で決定した。
30日のFOMCでも賛成多数で現状維持を決定したが、こちらは決定に4人が異議を唱えた。3人は据え置き自体は支持したが、声明文に盛り込まれた将来的な利下げ再開を示唆する文言に反対した。残りの1人はマイラン理事で、0.25ポイントの利下げを支持し、決定に反対票を投じた。
30日のECB理事会では政策金利を7会合連続で2.0%に据え置いた。欧州連合(EU)統計局が30日に公表した4月のユーロ圏の消費者物価指数は速報値で前年同月比3.0%の上昇となった。エネルギー価格を主因にさらに加速した。
30日のイングランド銀行のMPCでは8対1で政策金利を3.75%に据え置くことを決定。チーフエコノミスト、ヒュー・ピル氏が4.0%への利上げを主張して反対票を投じた。複数の当局者は、今後利上げを検討する可能性を示した。
いずれも現状維持とはなったが、中東情勢の不透明感が強く、原油価格の上昇もあり、これによる物価上昇も懸念されることで、今後は利上げを進める可能性は高い。
日銀は28、29日に開催された金融政策決定会合で、政策金利を0.75%に据え置くことを賛成多数で決定した。
反対したのは中川委員、高田委員、田村委員の3名となった。植田和男総裁の体制下で、3人が反対票を投じたのは初めてとなる。
前回3月の会合では高田委員のみが1.00%への利上げを主張して反対票を投じていた。
今回の会合では複数の審議委員の反対票が出る可能性は意識していたが、過去の発言等をみて田村委員の反対票に違和感はなかったが、中立的とみられていた中川委員の反対票は意外感があった。
中川委員は、中東情勢の不透明感はあるが、経済情勢を踏まえると、緩和的な金融環境の下で、物価の上振れリスクが高いとして、高田委員は、「物価安定の目標」は概ね達成されており、海外発の物価上昇の二次的波及から国内物価の上振れリスクが既に高まっ ているとして、田村委員は、物価上振れリスクが大きく拡大する中、中立金利に少しでも近づけるためとして、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移するよう促すとする議案を提出し、反対多数で否決された(決定会合公表文より)。
中川委員の任期は今年の6月29日となっており、次回6月15、16日の決定会合が最後の会合となる。
中川委員の反対票は日銀の意思とも捉えられるともみている。今回、執行部と呼ばれる総裁と副総裁が現状維持としても反対票が5票入ると利上げが決定されることになる。
審議委員だけでも利上げを決定できる可能性もあった、その可能性も示すことによって、6月の利上げの可能性を強く残したともとらえることも可能か。
同時に公表された展望レポートでは「金融政策運営については、基調的な物価上昇率2%に近づいているなか、現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えている」とあった。
2026年度の消費者物価指数の見通しは前回1月の前年比1.9%の上昇から、同2.8%の上昇に大幅上方修正されていた。
日銀の利上げは6月に持ち越された格好だが、どうも市場がそれによってさらなる動揺を示す懸念も強まった。
30日のドル円の160円台回復、10年国債利回りの2.5%超えは、原油高やそれによる欧米の長期金利上昇も要因ながら、日銀の正常化の遅れとそれによる物価上圧力の強まりも意識されていたとみられる。