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いまさらながら、日銀の政策委員会と金融政策決定会合について確認してみたい。
日銀には最高意思決定機関として政策委員会が置かれている。日銀の金融政策を決めるのが金融政策決定会合である。9名の政策委員が多数決によって金融政策を決定する仕組みとなっている。
政策委員会は金融政策決定会合において通貨および金融の調節に関する方針を決定するほか、その他の業務の執行の基本方針を定め、役員の職務の執行を監督する権限なども有している。
日銀の金融政策を決める金融政策決定会合は、2015年までは年14回開催されていたが、2016年からは年8回となった。
金融政策決定会合は主に2日の日程で開催され、1日目は午後に開会し金融や経済情勢に関して、日銀の執行部が報告を行う。2日目は午前中に会合を再開して、委員の討議、そして議案に関する採決が行われる。
政策委員会のメンバーは総裁1人、副総裁2人、そして審議委員6人で構成されている。この9人を総称して政策委員と呼ぶ。
金融政策を決定する際の議決は、9名の政策委員による多数決によって行う。日銀総裁といえども、ここでは9票のうちの1票にすぎない。
金融政策決定会合には財務大臣および経済財政政策担当大臣、もくしはその代わりとなる政府代表がオブザーバーとして出席する。実際には大臣が直接参加することはまれとなっている。
決定会合に参加する政府出席者に議決権はない。ただし、議決の延期を求める議決延期請求権を持っている。
金融政策決定会合における決定事項については、会合終了後直ちに内容を公表することになっている。
2001年に金融政策決定会合の運営方法の見直しが行われ、会合における審議時間が十分に確保されるとともに、決定内容について金融市場の取引が活発に行われている時間帯に公表されるようになった。
2日間の会合の際の決定内容は、2日目の昼頃に発表されることが多い。ただし、FOMCのように終了時間が決められているわけではない。
ちなみにFOMCの結果発表は日本時間の午前3時(冬時間の場合午前4時)となっている。
決定内容は日銀のサイトにアップされる公表文に記されており、通信社の端末などを通じても内容が即時に伝えられる。
政策変更がない場合も「現状維持」としてその旨が公表される。全員一致の決定であったのか、賛成多数であったのか、多数決の場合には賛成者と反対者の数、さらに反対者の委員の名前も発表される。
金融政策決定会合終了後、15時半あたりから日銀総裁の記者会見が行われる。金融市場関係者は金融政策そのものの結果とともに、この日銀総裁の会見内容にも注目しています。
FRB議長の会見が終わるのは午前4時半(冬時間の場合午前5時半)と決められているが、日銀総裁会見も16時半あたりで終了する。
2016年からは決定会合終了後1週間を目途に決定会合における「主な意見」を作成し、公表している。
金融政策決定会合の議事要旨は、次回または次々回の会合の3営業日後(概ね1か月程度後)に公表される。
議事録については10年後に公開される。
議事要旨には大まかな審議の内容が書かれているが、発言した政策委員の具体的な名前までは明らかにはされない。現実にどのような意見が交わされていたのか、誰が発言していのかを具体的に知るためには、10年後に発表される議事録を待つ必要がある。
18日に日銀の植田総裁は「最近の金融経済情勢と金融政策運営」というタイトルの講演を行った。
この講演内容そのものは、これまでの発言をくり返したものとなっていた。しかし、この講演内容を受けて、外為市場でドル円が153円台が155円台に上昇、つまり円安ドル高が進んだ。ドル円の2円もの上昇は大きな変動といえる。
どうして日銀総裁がこれまでと同様の発言をしたにもかかわらず、ドル円が大きく動いたのか。これは市場での思惑が影響していたと思われる。
市場ではFRBの利下げが慎重になるとの思惑が強まっており、米長期金利が4.5%まで上昇していた。これもあって円安ドル高が進んだ。
この円安もあって、日銀は12月の金融政策決定会合で追加利上げを決めるのではないかとの思惑があらためて強まった。
日銀は12月か来年1月に利上げを決定するのではとの予想は以前から強まっていたが、その予想が次第に12月にシフトしてきた。12月の利上げの蓋然性が強まったといえる。
そして日銀がもし12月の決定会合で利上げを行うのであれば、事前にそれを織り込ませてくるのではとの思惑も強まっていたのである。
これは7月の利上げがややサプライズとなったことで、8月の株式市場などでの動揺を誘ったひとつの要因となったとの見方があった。このため今回はサプライズを避けるのではないかとの思惑が強まっていた。
つまり市場では、このタイミングで日銀総裁自らが、12月の会合で利上げもありうることを示唆するのではとの見方が強まっていたとみられる。
しかし結果として、具体的な示唆などはなく、発言内容はこれまでと変わらないものであった。これによって日銀は利上げには「慎重」といった認識も持たれてしまった可能性がある。それによる円安の動きであったかと思う。
個人的には円安や米長期金利の上昇等はなくとも12月に利上げを決定するであろうと予想しており、これはいまも変わらないし、今回の総裁の発言からも淡々と調整を進めることが引き続き示されている。
しかし、市場は12月の利上げの可能性について、もう少し裏付けがほしいと思っているのかもしれない。そういった動きでもあった。
日銀の植田総裁は18日の講演で、金融政策運営について次のような発言があった。
「先行きの金融政策運営については、本日ご説明差し上げたような経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。」
このスタンスに変わりはない。ただし、市場ではここにきての円安もあり、12月の決定会合での金融政策について何かしらの示唆があるのではとの見方があった。
「その実質金利の水準をみますと、物価情勢が好転するもとでも、極めて低い名目金利の水準を維持していることから、2010年代と比べてもマイナス幅が拡大しており、金融緩和の度合いはむしろ強まっていると評価できます。」
このスタンスにも変化はない。ではその金融緩和の度合いをいつも、どのように調整していくのか。
「今後、経済や物価の改善に併せて、金融緩和の度合いを少しずつ調整していくことは、息の長い成長を支え、物価安定の目標を持続的・安定的に実現していくことに資すると考えています。」
この場合の金融緩和の度合いの調整とは、利上げにほかならない。
「金融緩和の度合いの調整を実際にどのようなタイミングで進めていくかは、あくまで、先行きの経済・物価・金融情勢次第です。米国をはじめとする海外経済の展開や金融資本市場の動向を含め展望レポートで指摘したような様々なリスク要因を十分注視する必要があります。」
建前としてはわかるものの、本当に「情勢次第」で良いのであろうか。金融緩和の度合いを調整していくのであれば、どのようなタームでそれを行うのか。ある程度事前に市場に示唆しておかないと、日銀は慎重すぎるあまり、利上げはできないとの解釈も生まれかねないのではなかろうか。
私自身の予想は引き続き、12月18、19日の金融政策決定会合で政策金利を0.5%に引き上げるとしています。2025年末までに政策金利は1%に引き上げるともみています。
FRBのパウエル議長は14日、最近の米経済が「目覚ましく良好」に推移しているとし、慎重なペースで政策金利を引き下げる余地が生じていると述べた(15日付ブルームバーグ)。
パウエル議長は「経済は、利下げを急ぐ必要性についていかなるシグナルも発していない」とし、「現在、われわれが目にしている経済の強さにより、慎重な決定を行うことが可能になっている」との見解を示した。
13日にダラス連銀のローガン総裁は、追加利下げの必要性は高いが、金融政策がどの程度景気抑制的であるかについては不確実さがあるとして、現時点でわれわれは慎重に進めるべきだと考えている」と述べていた。
FRBは11月6、7日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の0.25%引き下げを決めた。
市場では12月のFOMCでも0.25%の利下げを決定するとみているが、利下げを見送る可能性が出てきた。
足元の米経済は思いのほかしっかりしていることもあるが、今後の物価については上昇圧力が強まる懸念もある。
それを見越してすでに米長期金利は4.5%近くまで上昇してきている。
次期大統領となるトランプ氏は関税の引き上げや不法移民の強制送還などを掲げていた。
連邦議会選では共和党が上院の過半数を獲得。下院でも多数派となり、いわゆるトリプルレッドとなった。トランプ氏の政策が進めやすくなる。こうした政策が輸入物価の押し上げや人件費の上昇につながり、物価上昇要因となりかねない。
このためFRBも金融政策を慎重に進める可能性が出てきたといえる。
政策当局による財政・金融運営の規律が緩みインフレ懸念が出てきた時、国債を売却して警告を発する債券投資家を「債券自警団」と呼ぶことがある。米エコノミストのエドワード・ヤルデニ氏が1983年に初めて用いたとか(11日付日本経済新聞)。
今回の米大統領選では共和党のトランプ前大統領の当選が確実となったた。同氏が主張する関税引き上げや減税などの景気刺激策が物価押し上げ要因になるとの見方から、米10年債利回りは6日、一時4.4%台と7月上旬以来およそ4か月ぶりの水準まで上昇した。
米連邦議会の上下両院をいずれも共和党が押さえる「トリプルレッド」となれば、トランプ氏の公約の実現可能性が高まる。トランプ氏の公約は財政懸念を強めてインフレにつながると警戒されている。米国債の増発も予想されることで、米債が売り込まれ米10年債利回りが5%台を超えてくるとしておかしくはない。
「債券自警団」の活躍の事例としては、2022年9月に英国でトラスショックも挙げられよう。
ジョンソンの党首辞任を受けて行われた保守党党首選挙で勝利し、2022年9月6日に首相に任命されたのがメアリー・エリザベス・トラス氏であった。
イングランド銀行は9月22日に0.5%の利上げ決定を発表し、保有する英国債の市場での売却を始めると発表した。これを受けて英国債は22日に10年債利回りは大きく上昇していたが、トラス政権の1972年以来の大型減税と国債増発を受けて、火に油が注がれた格好となった。
23日に英2年債利回りは4%を上回り、2008年10月以来約14年ぶりの水準となった。政府債務増への懸念とともに、減税策がインフレをさらに加速させかねないとの懸念が強まった。
日本でも「債券自警団」が出てきた事例がある。2022年12月での日銀とヘッジファンドの日本国債を巡っての攻防戦である。
世界的な物価上昇やそれに対する欧米の中央銀行の利上げに伴う長期金利の上昇などから、日本の長期金利にも上昇圧力が加わった。
ヘッジファンドなどを中心に日本国債への売り圧力が強まり、長期金利が上昇してきたのに対し、長期金利コントロールを掲げていた日銀は、毎営業日連続無制限指し値オペによって対抗した。その結果、10年債カレントの369回、368回、367回。そして債券先物3月限のチーペスト、10年債の358回の4銘柄で発行額に対する日銀の保有残高が帳簿上の計算で100%を上回った。
物価に応じた金利形成をしようとしたところ、強引に日銀に抑えられ、その結果、債券市場の機能が大きく低下した。
これも長期金利は本来、市場にて形成させるべきという「債券自警団」の圧力によるものとの見方もできるのではなかろうか。
13日に米労働省が発表した10月の消費者物価指数は、前年同月比の上昇率が2.6%となった。伸びは市場予想通りで、前月の2.4%から加速した。
振れ幅の大きいエネルギーと食品を除いたコア指数は前年同月比で3.3%の上昇となった。9月と変わらずとなり、予想通りだった。
13日の米国株式市場では、この10月の消費者物価指数が予想外の上振れとはならず、予想通りとなったことで、12月の利下げは実施されると読んだようである。
パウエル議長は7日の記者会見で、インフレ率の鈍化シナリオは「揺るがない」と改めて自信を示していた。
ただし、来年に掛けての物価については注意する必要がある。トランプ氏は関税の引き上げや不法移民の強制送還などを掲げていた。
連邦議会選では共和党が上院の過半数を獲得。下院でも多数派となり、いわゆるトリプルレッドとなり、トランプ氏の政策が進めやすくなる。
こうした政策が輸入物価の押し上げや人件費の上昇につながるとの見方があるため、消費者物価指数の押し上げ要因ともなりかねない。
12日の東京市場では、11時過ぎあたりから日経平均下落し始め、ドル円も同じタイミングで下落(ドル売り円買い)してきた。
国内でみると、特に何かあったわけではなかったが、これは何かしらに反応した動きにみえた。
どうもその要因に、米国のトランプ次期大統領が対中強硬派を国務長官を指名したことがあったようである。
これを受けて中国株が下落し、東京株式市場も下落した。リスク回避の動きなのか円高ともなった。
12日の欧州市場では、トランプ氏が次期政権で中国に対し強硬姿勢のマルコ・ルビオ上院議員を国務長官に起用する見通しとの情報を背景に、中国関連株が下落した。欧州市場ではトランプ氏による関税拡大による景気への懸念も強めている。
トランプ氏は関税の引き上げや不法移民の強制送還などを掲げている。こうした政策が輸入物価の押し上げや人件費の上昇につながるとの見方がある。
大統領選と同時に実施した連邦議会選では共和党が上院の過半数を獲得。下院でも多数派となれば、いわゆるトリプルレッドとなり、トランプ氏の政策が進めやすくなる。
歳出削減をしないまま、トランプ氏の主張する政策を推し進めれば、財政赤字が拡大するとの懸念も出てくる。
これらを受けて米長期金利は上昇圧力を強め、節目とされる4.5%に接近した。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は12日、物価指標が想定する以上に上振れすれば「(利下げを)休止する理由になり得る」との考えを示した。
FRBの利下げにブレーキどころか、再び利上げが検討されるようなことになると、トランプ政権とFRBが対立姿勢を強める懸念も出てくる。
市場ではじわりじわりとトランプリスクも意識し始めつつある。
日銀は10月30、31日に開催された「金融政策決定会合における主な意見」を公表した。このなかの「金融政策運営に関する意見」をみながら次の一手を探ってみたい。
「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、金融緩和の度合いを調整していくという基本的な考え方に変わりはない。」
最初の意見者は植田総裁ではないかと思われる。会合後の会見での同様の発言があった。
「米国経済の不透明感が低下する中で、時間的余裕という言葉で情報発信をしていく局面ではなくなりつつある。」
内田副総裁の意見か。今後は「時間的余裕」という言葉を使わないことも総裁会見でも示されていた。
「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げていく、というコアメッセージをしっかりと発信していくことが重要である。」
「コアメッセージ」とのに表現が興味深い。現在の日銀の金融政策における中心的な考え方ということとなろう。
「内外における不確実性の高まりに鑑みると、金融政策運営をより慎重に行っていく必要があることから、今回は、金融政策は現状維持で良いと考える。」
この時点での「内外における不確実性の高まり」の主要な要因は日本の衆院選と米国の大統領選挙の結果によるものか。
「いわゆる金利のある世界への移行には、相応の不確実性があるため、この先の政策金利の引き上げは時間をかけて慎重に行う必要がある。」
相応の不確実性というか皆、慣れていないためということかと。
「日米の金融政策の方向性が逆となるもとで、為替市場を中心に市場が大きく変動する可能性もあるなか、仮に日本銀行の追加的な利上げを契機にショックが生じた場合、長期的にみた金融政策の正常化に支障が生じる可能性にも留意する必要がある。」
これは注意すべきであるが、8月はいろいろな条件が重なっていたことで、日銀の7月末の利上げが主要因ではなかった点にも注意したい。
「米大統領選挙の結果次第では市場が大きく変動する可能性が高いため、それに十分備えておくことも必要である。」
何をしでかすかわからない大統領となるため、十分備えておくことも必要である。
「経済・物価が想定通り推移する場合、早ければ2025年度後半に 1.0%の水準まで段階的に利上げしていくパスを前提とすれば、経済・物価の進捗を見守る時間が今回はある。」
早ければ2025年度後半に 1.0%の水準まで段階的に利上げしていくパスというのが、現在の日銀が想定しているものであれば、やはり12月の決定会合での利上げの可能性が意識されよう。
「国債先物取引におけるチーペスト銘柄の需給ひっ迫というイールドカーブ・コントロールの副作用によって、国債市場の流動性の低下や金利の歪みが懸念される。」
チーペストが直接関わるのは、現引き・現渡しへの影響であるため、それほど懸念する必要はないと思う。
ということで、「主な意見」からも12月の決定会合での利上げの可能性は引き続き高いものとみている。
世界史の中での金利の起源は、古代文明発祥の地の1つとされているメソポタミアにあったといわれている。メソポタミア文明の時代、すでに寺院や土地所有者による利子付きの貸し出しが行われていた。
利子の起源は、農業が始まった頃の「種籾(たねもみ)」の貸し借りによるものとされている。農民に対し神殿などが蓄えた種籾を貸し出し、それを借りた農民は借りた籾の量に3割程度上乗せして神殿に納めていた。これが利子の始まりとなる。
メソポタミアのバビロンの商人は遠方との交易を活発に行なっており、バビロンの金持ちは妻子や財産を担保にとって、商売の資金を貸しつけていた。たとえばバビロンのエジビ家では他人から預金を受け入れて、それを使うのではなく、自己の資金から貸付を行っていたとの記録もある。
メソポタミア文明の象徴とされるハムラビ法典では、銀の貸付利率の上限を20%と定め、借り手に銀のないときは銀対穀物の交換レートにしたがって、穀物で支払うことが出来ると記されている。さらに、古代バビロンでは、すでに複利による利子の計算が行われていた。
ギリシア期にはアリストテレス(哲学者)が「憎んで最も当然なのは高利貸しである」と、商品を媒介せずに利子をとる貨幣の貸し付けを批判した。すでにギリシアでは安全な保管を目的に、貨幣と地金の預託を受け入れ、契約により決まった一定の利息を支払うという個人商人が生まれていた。
アリストテレスのように哲学者の多くが利子に対して批判的な見方をしていたのに対し、ソクラテスの弟子であるクセノフォンは、すべてのアテネ市民が利息収入を共有できる安全保管機関(現在の銀行などを想定か)を設立しようとするなど、利子に関しては好意的に見ていた。
ちなみに「economy」という英語の語源であるギリシヤ語「オイコノミア」は、このクセノフォンが用いたものです。「オイコノミア」とは、「家」を意味するギリシア語の「oikos」と、「法律・法則」を意味する「nomos」が合成されたものである。
旧約聖書では、「貧者」と「同胞」への利子は禁じていますが、お金を貸すことや利子を取ること自体は禁じられてはいない。しかし利子を取ることは、ギリシアの哲学者たちと同様に、あまり好意的には取られていなかったのです。また、新約聖書の中で、エルサレムの神殿にはそこを訪れる商人のために貨幣を両替し、預けられたいかなる貨幣にも利息を支払う両替商人がいたとの記述がある。
共和制および帝政ローマ時代にはすでに両替商がおり、国家や貴族のための税金の処理や、債権者との貸借勘定の決済などを行っていた。貨幣を扱う商人は、預けられた貨幣に対して利子を支払い、両替にも従事していた。
日本における金利の起源は、世界史の中の金利の起源と同様には稲の貸し借りとなる「出挙(すいこ)」だといわれている。
貯蔵した初穂の稲を春に種籾として貸し出して、秋の収穫時に神へのお礼として五把の稲を利息の名目でお返しするというのが「出挙」で、これが日本における金利の起源となる。
中国では古くからこういった利子付き貸借の慣習が存在し、日本でも同様の慣習が行なわれていた。文献などでは日本書紀に「貸稲」の語が登場し、これが出挙の前身ではないかとの見方もあるが、実際には757年に施行された養老令において「出挙」の語が現れ、これが制度化された日本の金利の起源だとみなされている。
出挙という制度の目的は、農民の生活を維持していくためのひとつの手段であった。出挙には国司が官稲を用いて行う「公出挙」と、個人が行う「私出挙」とがある。律令制のもと出挙は繁雑な事務を行わなくとも、強制的な公出挙を行うことで、多額の収入を確保することができたことなどから、国家の重要な財源となっていった。金利に当たる雑税のことは「利稲」と呼ばれていたが、その利息は一般に公出挙で50%という高い利息となっていた。
ブルームバーグが10月17〜22日にエコノミスト53人を対象に実施した調査によると、日銀が現在0.25%程度の政策金利を引き上げる時期に関して、53%が12月を予想した。次いで来年1月が32%となり、両会合で計85%を占めた。
これに対して、10月29日〜10月31日に債券市場関係者を対象にQUICKが実施した10月のQUICK月次調査<債券>によると、2024年12月の日本の政策金利について、中央値、最頻値ともに0.25%となっていた。
10月31日の日銀金融政策決定会合では、金融政策の現状維持を決めた。会合後の会見で植田総裁は米国経済の下振れリスクが後退しているとして、今後、経済・物価情勢の見極めなどで「時間的な余裕はある」という表現は使わないと説明した。
これは12月の利上げに向けた準備のひとつと私は受けとった。日銀は正常化に向けたスケジュール感は持っていないとしていたが、それでも政治的なスケジュールは影響を受けよう。
10月の衆院選については7月の利上げ時には予測は難しかったが、11月にも解散総選挙はあるとの見立てが多かった。さらに11月5日には米国の大統領選挙を控え、さすがに10月30、31日の金融政策決定会合での利上げの可能性はないと私はみていた。
ある程度の間は設けるにして日銀は利上げを淡々と進めるとみており、12月18日、19日の決定会合で、ある意味、ひとつの節目ともいえる0.50%の利上げを行うのではなかろうか。
このタイミングで注意すべき事がある。 桜井真・元日銀審議委員が5日のロイターのインタビューで語っていたことがらである。
桜井氏は鍵を握るのは「マーケットと政治状況」だと指摘した。私はマーケットについては8月5日のような荒れ方をしない限りはそれほど気にする必要はないとみている。
しかし、12月の決定会合は来年度予算案の閣議決定が迫るタイミングで開かれるため、利上げに対する石破政権の理解を得るのは難しいのではないかとの見方を桜井氏は示した。
来年度予算案や国債発行計画の発表などを控えたタイミングでの利上げについては、確かに無視はできない。
それでも林官房長官は11月1日に「金融政策手法、今後の利上げ含め日銀に委ねられるべき」とも発言していたように、石破政権の理解は得られるのではなかろうか。
12月の利上げの予測は果たしてどの程度いるのか。
債券市場の動きからみても、利上げなしとみている市場参加者もそれなりに多いようにも見受けられる。ただし、完全になしとみるのもリスクはあると思う。
FRBは7日、FOMCを開き、0.25%の追加利下げを決めた。政策金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は4.5〜4.75%に引き下げられた。
パウエル議長は会見で「選挙が近い将来に政策決定に影響を与えることはない」と発言した。
また、1人の記者が質疑応答で、トランプ氏の複数のアドバイザーがパウエル氏の辞任を提案しているとした上で、トランプ氏から辞任を求められたら応じるつもりか質問したのに対し、パウエル氏は「ノー」と答えた(8日付ブルームバーグ)。
大統領は法的にFRB議長を解任できないとの見方を示した。ただし、過去に大統領がFRB議長に圧力を掛けた事例はある。
1965年にジョンソン大統領が、ウィリアム・マクチェスニー・マーティンFRB議長をテキサス州の自分の牧場に呼びつけて、利上げについて激しく非難した。
また、ニクソン大統領がアーサー・バーンズFRB議長に圧力をかけ、その結果緩和的な金融政策を続け、高インフレを招くといった事例もあった。
パウエル議長は「 私たちはあらかじめ決められたコースを歩んでいるわけではない。今後も会議を重ねながら、その都度、決定していく」と経済データ次第で利下げペースを決める姿勢を示したした。
このあたりのスタンスは日銀も同様であるが、ある程度のスケジュール感はFRBも日銀も持っていると考えられる。
6日の米国株式市場でダウ工業株30種平均は大幅続伸となった。前日比1508ドル05セント高の4万3729ドル93セントと10月18日以来、2週間半ぶりに過去最高値を更新。上げ幅は2020年4月以来の大きさだった(7日付日本経済新聞)。
5日投開票の米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領の当選が確実となったことで、いわゆるトランプトレードが入った格好となった。
トランプトレードとは、もしトランプ氏が米大統領に返り咲いたら、どんな政策をしてきそうなのか、それを考慮した売買(トレード)である。
共和党が上下両院も支配するとの見方もそのトレードに拍車を掛けた。それでは6日にはどのようなトレードが行われたのか。
トランプ氏が公約に掲げた減税や規制緩和が銀行業界に追い風になるとの見方からゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株が大幅高となった。長期金利が上昇していたことも影響していたと思われる。
テスラも買われたが、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はトランプ氏を全面的に支援してきた。
減税が米景気や企業業績の支えになるとの見方で、キャタピラーなど景気敏感株も買われた。
それに対して関税引き上げが業績への悪影響になるとみられるナイキなどは売られていた。
トランプ氏の政策がインフレを加速させる懸念から、金利の影響を受けやすい不動産株や公益事業株も下落していた。
米長期金利は一時4.47%まで上昇した。財政拡大やインフレ圧力を高める政策が進むとの見方から、米債は大きく売られた。
この米長期金利の上昇を背景に円安ドル高も進み、ドル円は154円台を付けてきた。
また、トランプ氏は、選挙活動で早くから暗号資産(仮想通貨)を支持する姿勢を明確に示していたことで代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコインは最高値を更新した。
国民民主党の玉木雄一郎代表は1日、日銀の金融政策を巡り「向こう半年は利上げを急ぐべきではない」と述べ、早期利上げに否定的な見解を示した。都内でロイターのインタビューに応じた(1日付ロイター)。
玉木代表はインタビューで「いつかは(金融政策を)正常化していくことは必要」と、正常化路線そのものには理解を示したが、それではどうして向こう半年は利上げをしてはいけないのか。
利上げといっても、現在の政策金利の0.25%を0.50%に引き上げる程度のことであり、消費者物価指数の前年比に比べてもまだまだかなり低い状態にある。
これはあくまで金融政策を正常化する一環であり、普通の金利に戻すことで、経済活動や物価状況に即した金利形成を促すことにすぎない。
林芳正官房長官は1日の閣議後会見で、日銀の植田和男総裁が追加利上げに含みを持たせた発言をしたことに関し「金融政策の具体的な手法は、今後の利上げを含め日銀に委ねられるべき」と述べ、政府としてコメントを控えた(1日付ロイター)。
これが適切な発言だと思う。
植田総裁の就任時に、金融政策の方向を変えるなとプレッシャーを掛けた議員がいた。当時の岸田政権に大きな影響力を持っていた派閥の幹部による発言であった。
その結果、物価高にもかかわらず、金融政策の方向転換すら出来ない状態となってしまう。それによって急激な円安が進行した。世界的な物価高によって欧米の長期金利が上昇していたにもかかわらず、日本の長期金利も抑え込まざるを得なくなり、そこをヘッジファンドなどのよって付け込まれ、日銀は10年債の同一銘柄を発行額以上買いあげるという事態も発生した。
今後の石破政権の運営に影響を与えうる立場となりつつある国民民主党の玉木雄一郎代表の日銀の金融政策への注文は、金融市場に妙なストレスを与えるだけではなかろうか。
世界が注目している米大統領選挙の開票が進んでいるが、ニューヨーク・タイムズは5日夜(日本時間6日昼)、共和党のトランプ前大統領が優勢との見方を伝え「トランプ氏勝利の可能性が高い」と報じた。
市場でもトランプ氏有利との見方が強まったことで、トランプ・トレードが加速しつつある。
トランプトレードとは、もしトランプ氏が米大統領に返り咲いたら、どんな政策をしてきそうなのか、それを考慮した売買(トレード)である。
米国株式市場では財政拡張や規制緩和が意識されることで、すでに6日の東京時間の米株価指数先物が買われた。3指数先物ともに上昇している。
さらにトランプ氏が掲げる関税強化や減税による物価上昇や財政悪化も懸念され、トランプ政権となった場合に米長期金利に上昇圧力が掛かる可能性が強まった。これを受けて6日の東京時間の米長期金利は一時4.45%と大きく上昇した(前日は4.27%)。
この米長期金利の上昇も手伝い、ドル円は154円台に上昇してきた(円安ドル高)。国民民主党の玉木雄一郎代表が1日に、日銀の金融政策を巡り「向こう半年は利上げを急ぐべきではない」と述べたことも影響している可能性はある。
米株価指数先物の上昇や円安が好感されて、6日の東京株式市場では日経平均が一時1100円を超す上昇となった。
東京証券取引所は2024年11月5日から株式などの取引時間を30分延長し、終了時刻を現在の15時から15時30分に変更する。
前場の立会いは9時00分〜11時30分と変わらないが、後場が12時30分〜15時00分から、12時30分〜15時30分となる。
15日にから終値を確定させる際に「クロージング・オークション(CA)」と呼ぶ時間帯を15時25分から15時30分までの5分間設ける。
つまり、15時25分でザラバを終了し、15時25分から30分までの5分間で大引の注文を受付けて、取引終了時刻の15時30分に大引けの板寄せが行われる。
東証の取引時間延長に伴い、大阪取引所も日経平均先物などの指数先物やオプションの日中取引の終了時刻を15時15分から15時45分に変更する。
これにより8時45分〜15時45分と、30分延伸する。こちらもザラ場は15時40分となり、大引けが15時45分となる。
これに伴い、夜間取引(ナイトセッション)の開始時間も30分後ろ倒しとなり、開始時刻が16時30分から17時に変更され、当日の17時から翌日朝6時までとなる。
ちなみに長期国債先物(債券先物)については、取引時間は変更はない。
日銀は31日の金融政策決定会合で金融政策の現状維持を全員一致で決定した。
会合後の記者会見で、植田総裁は米国経済の下振れリスクが後退しているとして、今後、経済・物価情勢の見極めなどで「時間的な余裕はある」という表現は使わないと説明した。
7月の金融政策決定会合では政策金利である無担保コール翌日物の誘導目標を0.25%に引き上げた、今後の追加利上げの可能性を示唆した。そして同日のFOMCでは金融政策は現状維持としたが、9月の利下げの可能性を示唆した。
これまでの日米の中央銀行の金融政策が、それぞれ逆方向に動くことが示された。これはつまり政策金利でみれば、日米金利差の今後の縮小が意識された。
これもひとつのきっかけとなり、米長期金利の低下とともに円高ドル安に拍車が掛かった。
8月2日に発表された7月の雇用統計によると、失業率は前月から0.2ポイント上昇し、4.3%となった。過去3か月の平均失業率は4.1%となり、この水準は「サーム・ルール」を0.1ポイント上回る結果となった。
「サーム・ルール」とは元FRBエコノミストのクラウディア・サーム氏が見いだしたものであり、失業率の3か月移動平均が、過去12カ月の最低値から0.5ポイント以上上昇した場合、米国は既にリセッション入りしているというものである。
8月5日の東京株式市場では日経平均が4451円安となり、ブラックマンデーの下げ幅を上回って過去最大の下げ幅となった。この日のドル円は141円台を付けるなど急速な円高ドル安も進行し、日本国債は大きく買われた。
米国経済がリセッション入りするのではとの警戒感も影響していたとみられる。しかし、その後発表された米経済指標はむしろ好調なものが多くなり、FRBの大幅な利下げ観測はその後、後退することになる。
来週の6日、7日にFOMCが開催されるが、0.25%の利下げもしくは利下げそのものがスキップされる可能性が出てきた。
8月以降の金融市場の動揺などをみて、植田総裁は「時間的な余裕はある」という表現を使い、追加利上げに慎重かとみられるような発言をしてきた。しかし、それを封印することで、あらためて追加利上げの可能性を市場に意識させたものといえる。
私は引き続き、12月の金融政策決定会合での政策金利0.5%への利上げが決定されると予想している。
日銀の大規模緩和の副作用となりそうな事態が起きる可能性が指摘されている。それは長期国債先物カ(以下、債券先物)のチーペスト銘柄にかかわるものである。
債券先物は反対売買だけでなく、現物での決済(現引き・現渡し)ができるため、債券先物の価格は受渡適格銘柄の中で 最も割安なもの(チーペスト)に連動する。
国債の利回りが利率6%よりも低い場合、利率が高くて残存期間が短い債券ほどチーペストになりやすい。つまり残存7年の10年国債がチーペストになるケースがほとんどとなる。債券先物は残存7年近辺の10年国債の価格に連動するということになる。
問題はそのチーペスト銘柄を日銀が大量に保有していることで、債券先物の価格形成に影響するとともに、受け渡しにも影響するのではとの懸念である。
日銀は2022年12月、ヘッジファンドなどの売りに対抗するため、無制限毎営業日連続の指値オペを行った。
日銀は無制限毎営業日連続の指値オペの対象に直近発行された10年国債の3銘柄に加え、債券先物のチーペスト銘柄まで加えていた。その結果、発行残高に占める日銀の保有比率が、369回111.24%、368回が103.55%、367回が106.28%、そして当時の先物のチーペストの358回が114.76%といずれも100%を超えてしまったのである。
現在危惧されているのは366回債であり、こちらも日銀が市中発行額の95%を保有し、市中流通量は4000億円ちょっととなっている。それが12月に中心限月となる2023年3月限のチーペストになる。
ただし、個人的にはこれによる影響はそれほど大きくはないと思っている。
実際に当時のチーペスト銘柄358回債の日銀の保有比率が100%を超える異常事態となったが、それによって債券先物が極端な動きとはならなかった。これは8000億円程度の大幅な減額措置(日銀から借りた国債の返済を免除される)が行われたためともされるが、そうであろうか。
たしかに債券先物はチーペストと連動するが、その影響を直接受けるのは現引き・現渡しをする際となる。債券先物は常にチーペストにぴったり連動しているわけではなく、あくまでチーペストの価格は参考データにすぎない。現実にチーペストの売買が毎日、先物のごとく出来ているわけでもない。
先物の現引き・現渡しの買う量は取引最終日に残った建玉残となる。その建玉残はここ1年でみても、2023年3月限(チーペスト358回)が5388億円となっていたが、2022年9月限から2023年9月限のそのほかの銘柄はすべて4000億円以下となっていた。
これらも減額措置とか流動性供給入札の追加発行などで十分にカバーできるのではないかと思われる。
長期国債先物取引で売買されるのは、額面100円、利率が6%で残存期間が10年の標準物と呼ばれる国債である。
6%という利率は、東証に債券先物が上場された1985年当時の長期国債の発行状況などを踏まえて決定された。当時の長期金利は1980年に10%近辺にあったものが徐々に低下し、1985年当時は6%台となっていた。
債券先物上場後、日本の長期金利は低下傾向となり、標準物の利率は、実際に発行される10年債の利率と大きく乖離している。そこで、標準物の利率を引き下げようとの動きがあったが「標準物利率の引き下げによって表面利率が他の銘柄に比べ極めて低い銘柄が複数限月にわたり最割安銘柄になった場合における長期国債先物取引の流動性への影響に懸念がある等の理由により」(東京証券取引所『国債先物取引市場創設15周年を迎えて』より)、変更されずに現在に至っている。
10年という残存期間は、1985年当時の国債発行額のうち期間10年の国債発行量がたいへん多く、現在でも長期金利といえば期間10年の国債の利回りを指すように、国債の中心的な役割を占めていたためである。
債券先物の決済方法には二種類ある。ひとつが差金決済と呼ばれるもので、これは債券先物を反対売買によって、売値と買値の差額で決済する方法である。現金の授受つまり受け渡しは、反対売買を行った翌営業日に行われる。
債券先物の決済方法として現引き・現渡しによる方法もある。債券先物取引において、売買最終日までに反対売買(転売又は買い戻し)によって決済されなかった取引は、受渡決済期日(各限月20日)に、現物国債の受取りや引渡しによって決済する仕組みになっている。
売り方は手持ちの現物国債を引渡し、代金を受取る(現渡し)。買い方は代金を支払うことによって現物債を引き取る(現引き)。
決済の対象となることの出来る現物国債には条件があり、この条件を満たすものを受渡適格銘柄と呼んでいる。
長期国債先物の場合における受渡適格銘柄とは、受渡決済期日に残存期間が7年以上11年未満である10年利付国債である。
債券先物は標準物という架空の債券の取引となっているため、この標準物と受渡適格銘柄の価値が同一となるような交換比率を求める必要が出てくる。これを交換比率(コンバージョン・ファクター、CF)と呼び、標準物を1としたときの受渡適格銘柄の決済日における現在価値であらわされる。コンバージョン・ファクターは、一定の前提をおいて複利方式により求められる標準物の将来価値を基準として個々の受渡適格銘柄の将来価値を比較することによって算出される。
現物の決済ができるため、債券先物の価格はこの受け渡し適格銘柄の中で、最も割安なもの(チーペストと呼ばれる)に連動する。CFの大小は、利率と残存期間によって決定される。債券の利回りが仮想債券の利率6%よりも低い場合、利率が高くて残存期間が短い債券ほど、CFは大きくなるため、チーペストになりやすい。逆に、債券の利回りが6%よりも高い場合、利率が低くて残存期間が長い債券ほどCFは大きくなるため、チーペストになりやすい。
このように債券の利回りが仮想債券の利率6%よりも低い場合には残存期間が最も短いもの、つまり7年残存の国債が多くなる。このため長期国債先物取引は10年国債の先物取引だが、実際には残存10年の国債でなく残存7年の国債に連動する。
ロシアの裁判所は31日、ユーチューブ上でロシアの国営メディアのチャンネルを制限したとして、運営会社の米グーグルに2澗(かん)ルーブルの罰金を科した(1日付BBC)。
2澗ルーブルは日本円で約3澗1000溝円となる。すでにおかしな単位となっているが、数の単位でいえば一、十、百、千、万、億、兆の次が京(けい)となる。その次が垓(がい)、(し)、穣(じょう)、溝(こう)、澗(かん)となっている。つまり1澗は10の36乗となる。
国際通貨基金(IMF)が110兆ドルと推定する世界の国内総生産(GDP)総額よりもはるかに高い。
まさに桁違いの金額ではあるが。これは政治的報復性が濃厚な罰金であり、実際に執行される可能性は低いというか、現実味のない数字ではある。
日本の債券市場の売買高は「京」を超えている。また、世界の債務は2023年6月時点で307兆ドル(約4京5400兆円)とこちらも円単位だと「京」を超えている。スーパーコンピュータの名前にも「京」が使われていることで、「京」あたりまではなんとかなじみがある。しかし、次の単位の垓(がい)あたりからは、ほとんどなじみがない。
スーパーコンピュータの「京」は、浮動小数点数演算を1秒あたり1京回おこなう処理能力ーに由来するとか。
世界の債務も巨額化し、その債務が国債が中心であり、その売買高も天文学的数値になっている。コンピュータの処理能力も年々向上していることで、いずれ澗(かん)を使うような時代も来るというのであろうか。