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第51回衆院選は自民党が316議席を確保し、単独で定数の3分の2を上回った。ひとつの政党が獲得した議席数としては戦後最多になった。
9日の東京株式市場は買いが先行し、日経平均株価は初の5万7000円台を付けた。8日に投開票を迎えた衆院選で与党が大勝し、高市早苗首相による政策の実現性が高まったことが好感された。
ただし、6日の米国株式市場でダウ平均が、1200ドルを超す上昇となり初の5万ドル台を付けていたことも当然フォローとなっていたはずであり、買い材料が重なった格好ともなっていた。
外為市場では、ドル円が157円台を付けるなど円安が進んだが、その後156円156円60銭台に下落するなど、一方的な円安ドル高とはなってはいない。
9日の債券先物は131円10銭と売りが先行したが、いまのところ大きく崩れる様子ではない。
市場、特に外為市場や債券市場では、「責任ある積極財政」の「責任」と「積極」のどちらに比重を置くのかを気にしている。
米国サイドも放漫財政のリスクを意識しているとされるが、国内だけでなく海外からも今後の日本の財政の行方は気掛かり材料となる。
今後の債券の動きを占う上で、解散が報じられたあとの国債の動きを確認してみたい。
1月10日に読売新聞が高市首相が衆院解散を検討と報じた。23日召集予定の通常国会の冒頭で衆院を解散、衆院選は2月上中旬に実施の公算と報じられた
13日(月)の10年国債の利回りは2.160%となり、9日(金)の2.090%から大きく上昇した。
1月19日に与野党各党が衆院選の公約に消費税減税を盛り込む検討をしていると伝わったこともあり、10年国債の利回りは2.275%まで上昇した。19日の18時には高市首相が記者会見で衆院を解散すると発言した。
20日の10年国債の利回りは一時、2.380%に上昇した。
この流れだけみると選挙結果はどうあれ、消費税減税の可能性が強まり、積極的な財政政策が進められるとの思惑もあって、日本の国債が急落したかにみえる。
むろんそういった思惑は否定できないし、それで売ってきた市場参加者もいたであろうことも確かではある。
しかし、19日から20日のかけての国債市場の動きをみると、超長期と呼ばれる国債の特に利率が低い銘柄が売られていたことに注意したい。
結論からいえば国内生保が利率の低い超長期国債のポジションを外していたとみられるのである。
きっかけのひとつに財政懸念もあったのかもしれない。しかし別の要因が存在していたとみている。
会計基準では生保の保有債券の価格が下落し、時価が簿価の50%を下回って回復の見込みがない場合、減損処理をしなければならない。
このため、たまたまこのタイミングで生保が低利率の既発債の超長期国債を売却していた可能性がある。
しかも超長期国債は板が薄いことで値が飛びやすく、結果として価格が急落(利回りは急上昇)していたのである。
債券市場では財政に対して懸念はそれなりに強めている。とはいえ1月19日、20日の国債急落は、きっかけが財政拡大リスクであったかもしれないが、別の要因によって売られていた可能性がある。
円債市場は、財政リスクを気にはしているが、それほど過敏になっているわけではないと私はみている。
ただし円安が進行すれば、物価の上昇圧力ともなり、日銀による早期の追加利上げも意識される。現状はこちらの方をみていると思うのだが。
2012年12月の衆院選挙では、当時の安倍自民党総裁が「輪転機をぐるぐる回して、日銀に無制限にお札を刷ってもらう」と発言していた。
安倍総裁は2012年衆院選で自民党を勝利に導き首相に返り咲いた。
アベノミクスの継承者ともされる高市首相は1月31日、衆院選の応援演説で為替介入の資金を管理する外国為替資金特別会計(外為特会)について「円安で助かっている。運用が今、ホクホク状態だ」と発言した。
外為特会は「外国為替資金特別会計」を指す。円安で外貨資産の運用益が増加することで、剰余金が増えていることを指摘したとみられる。
民主党政権時代の超円高が輸出産業の打撃になったとし、「円高がいいのか円安がいいのか、わからない。首相が口にすべきことではないが」とも述べたが、リフレ派のアドバイザーの意見を真に受けての発言であった可能性も高い。
衆院選の終盤情勢調査で自民党過半数を単独で確保する勢いと伝えられ、高市首相が政権基盤を固め積極的な財政政策を推進しやすくなる可能性も意識されつつある。
2012年12月の衆院選と同様に自民党圧勝の可能性も出てきた。高市首相はシン・アベノミクスを進める可能性も当然あるが、2012年当時とは外部環境は大きく異なる点にも注意する必要がある。
安倍政権がアベノミクスと称する政策が可能となっていたのは、物価が低迷しデフレとなっていたことが大きい。
さらに欧州の信用不安によって円高・株安となっていたこともフォローとなった。すでに米国株式市場は底打ちして上昇しており、リスク回避の反動となっていた。
そのタイミングで大規模な金融緩和などの政策を取るとなって、ヘッジファンドなどが円売り株買いを仕掛けた。
物価が上がらない以上、長期金利も低位で推移するなど、国債の「炭鉱のカナリア」機能も封じられていた。
しかし今回は違う。
日銀の物価目標となっている消費者物価指数(除く生鮮)は2022年4月から2%超えが続き、インフレの状態といえる。日銀も慎重に正常化を進め、国債の利回りも大きく上昇してきている。
ここで積極財政とともに金利抑制策など講じれば、国債利回りが急騰するリスクが出てこよう。
株価は高値更新を続けるかもしれない。貴金属の値上がりなども続くかもしれない。
しかし、それとともに円安が進行し、それによる物価上昇圧力の強まりも加わり、予期せぬ国債利回りの上昇を招きかねない。
つまり輪転機グルグルからホクホク円安、そしてイケイケ金利となる懸念も強まる。ここにいま大きなリスクが存在する。
3日の米国株式市場では、AIがソフトウエアサービスを代替するとの懸念が一段と強まったことから、ハイテク株を主体に下落し、ナスダックは336ポイントの下落となった。4日もソフトウエア関連は売りが優勢となり、ナスダックは350ポイントの下落に。5日もハイテク株が下げ止まらず、ナスダックは363ポイントの下落となった。3日間で1000ポイントを上回る下落となった。
これはアンソロピック・ショックとも呼ばれたが、どうして新興企業アンソロピックの登場がこれほどのショックを与えたのであろうか。
Anthropic(アンソロピック)は対話型AIの「Claude(クロード)」を手がける新興企業である。
開発方針の違いでオープンAIを離脱したダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)らが2021年に設立した。
アンソロピックのAIの特長はプログラミング分野の性能の高さとされる。また、利用者が多いオープンAIなどと差別化するため、法人向けのAI提供に経営資源を集中する戦略をとっている(日本経済新聞)。
アンソロピックが1月中旬に提供を始めた新技術が「Cowork(コワーク)」と呼ばれるもので、プログラマーではない事務系の職種向けとなる。
1月30日に新機能を追加し、法務や財務、マーケティングなど専門的な業務の自動化にも対応すると明らかになった。
同社はまた5日に「クロード・オーパス4.6」を発表した。
こちらは企業データや規制当局への提出書類、市場情報を精査し、人間であれば通常、数日を要する詳細な財務分析を作成できるという。
アンソロピックや競合するOpenAIは金融サービスからヘルスケアに至るまで、より幅広い専門的業務を効率化するツールの開発に、この1年の大半を費やしてきたとされる。
OpenAIも同じく5日、AIコーディングエージェント「Codex」のアップデートを発表していた。
AIはこの1年ほどで、文章やプログラミングのコードを生成するだけでなく、ネットやアプリ、パソコンを操作するという機能が加わった。人の代わりに自律的に作業を担うAIは「AIエージェント」とも呼ばれる。
アンソロピックはAIエージェントの開発でオープンAIと並び業界をけん引しているとされる。
ネット経由で業務ソフトウエアを提供する「SaaS(サース)」と呼ばれる企業にとっては脅威となり、このためあらたなAIエージェントの登場は株価下落の引き金となったとみられる。
ウインドウズの登場などハイテク企業の新技術が情勢を一気に変えるといったケースは過去にもあった。今回もその一例となるのかもしれない。
4日に2月募集分(2月5日〜27日)の個人向け国債の適用利率が発表された。
国債の利回りが上昇しており、それが個人向け国債の利率にも反映されている。
変動10年国債の初期利子は1.48%(税引き前)となった。これは前回の1.39%を上回って過去最高利率となった。
固定5年の利率は1.66%(税引き前)となった。前回の1.59%を抜いてこちらも過去最高利率となった。
固定3年の利率は1.9%(税引き前)となった。こちらも前回の1.30%を上回って過去最高利率となった。
個人向け国債の利率が上昇してきたのは、日銀が金融政策の正常化に乗り出し、政策金利を引き上げ、それとともに国債利回りも上昇してきたことによる。
昨年12月18、19日の日銀金融政策決定会合では政策金利を0.75%に引き上げた。政策金利は30年ぶりの高い水準となっている。、
その後の国債利回りはさらに上昇している。2026年も日銀の利上げは継続するとみているためである。
1月29、30日の金融政策決定会合の主な意見では下記のような意見が出ていた。
「現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが適切である」
「これまでも、利上げの際に、その経済・物価・金融面の反応を確かめながら、政策金利を引き上げてきており、今後も同じ作業を続けていくことが適当である」
「現状の金融環境は、足もとの円安の進行を踏まえると、経済実態からみて、まだ相当に緩和的である。物価の基調は着実に2%に近づいており、今後も金融緩和度合いの調整を適切なタイミングで行う必要がある」
2026年では2回から3回程度の利上げの可能性があるとみている。
一回あたりの利上げ幅はこれまで通りの0.25%が予想され、2回であれば1.25%、3回となれば1.50%の政策金利となる。
消費者物価指数(除く生鮮)は、一時的に上昇幅を縮小させる予想となっており、2%を割り込むことも予想されている。しかし大きく低下することはなく、その後、再び上昇幅を拡大することも予想されている。
日銀の政策金利は最低でも1.5%あたりに引き上げることが予想されており、それに応じて国債利回りも上昇することが予想される。
政策金利の引き上げによって、預貯金金利の引き上げも予想されるが、国債利回りの方がスピードが速い。
このため、個人向け国債の利率は少なくとも預貯金金利に比べて、高い水準が継続されると予想される。
すでに利率1%超えとなっていることで、3年固定や5年固定へのニーズもあるとは思うが、今後の国債利回りのさらなる上昇を予想するのであれば、引き続き10年変動をお薦めしたい。
1月19日から20日にかけて、いわゆる超長期国債と呼ばれる期間20年を超える国債の利回りが急上昇した。
カレントやオンザランと呼ばれる新発債でみたところ、16日の利回りは20年国債は3.155%、30年国債は3.470%、40年国債は3.805%となっていた(15時現在の筆者調べ)。
それが週明け19日から20日にかけて利回りは急騰し、20日には20年国債は3.430%、30年国債は3.850%、40年国債は4.205%となっていた(15時現在の筆者調べ)。
ここまで利回りが急上昇するのは珍しい。
大昔に10年国債の利回りがこれ以上に上昇したような記憶もあるが、少なくともここ数十年ではみられない動きといえた。
ただし、注意すべきはオンザランと呼ばれる新発債だけでなく、オフザランとも呼ばれる既発債も売られていたことである。
正確に言えば既発債が大きく売られ、新発債も売られたといって良いかと思われる。特にロークーポン、つまり利率の低いものを主体に売られていた。
19日の動きをみると40年国債のカレント(利率3.1%)は前日比0.145%の上昇となっていたが、利率0.7%の13回は同+0.225%の上昇、利率0.4%の9回も同+0.225%の上昇となっていたのである。
このときの国債売りのきっかけはさておき、何かあったのかといえば、生保などによるロークーポン主体の売却であったことが予想される。
ただし超長期国債の板は薄いため、それほど大きなロットでなくとも値は動く点にも注意する必要はある。
1月中旬、金融庁から大手生命保険会社に国債の売買動向や含み損の調査用紙が届いた。生保の財務健全性を確認する狙いだが、市場安定のため長期金利が急上昇した理由を突き止める必要性にも迫られていた(1月31日付日本経済新聞)。
生保各社は2026年3月期から資産と負債を時価で評価する新規制が適用されるのに備え、資産と負債の年限をそろえるため国債の購入を進めてきた。
しかし、足元では規制対応が一巡していることで、新規に買う量はそれほど期待できないとみられている。
さらに会計処理の問題が存在する。会計基準では保有債券の価格が下落し、時価が簿価の50%を下回って回復の見込みがない場合、減損処理をしなければならない。減損基準に触れても満期保有を宣言して処理を回避するケースもある。
1月19日、20日にかけては減損処理のための売りが出ていた可能性がある。
20日に40年国債のオフザランで特に大きく売られていた13回の単価は40.50円、9回は42.46円となっており、簿価の50%、つまり50円を下回っていた。
きっかけは何にせよ、3月に向けてこういった売りはまだ出てくる可能性はあるため、注意する必要もあろう。
高市首相は1月31日、衆院選の応援演説で、為替介入の資金を管理する外国為替資金特別会計(外為特会)について「円安で助かっている。運用が今、ホクホク状態だ」と発言した。
外為特会は「外国為替資金特別会計」を指す。円安で外貨資産の運用益が増加することで、剰余金が増えていることを指摘したとみられる。
民主党政権時代の超円高が輸出産業の打撃になったとし、「円高がいいのか円安がいいのか、わからない。首相が口にすべきことではないが」とも述べた。
これらを受けて外為市場では円安が進行し、ドル円は155円台を付けてきた。
ドル円は1月16日に159円台後半と160円に迫っていた。160円近辺は介入警戒ゾーンともされている。
1月23日に158円台となっていたが、そこから急速にドル売り円買いが進行した。
23日の日本時間夕方に約10分間でおよそ2円上昇し、一時155円60銭近辺まで急騰した。米東部時間昼ごろには再び2円ほど円高・ドル安が進んだ。
これについて、ロイターなどは米連邦準備理事会(FRB)がレートチェックをしたと報じた。
その後、1月27日にドル円は152円近くまで下落した、しかし、じりじりと切り返していたところに高市発言で155円台まで戻ってしまった格好となる。
高市氏は「円高と円安のどちらが良くてどちらが悪いということではなく『為替変動にも強い経済構造を作りたい』との趣旨で申し上げた」とコメントしたが、あとの祭りとなった。
この動きをみて、2012年12月の衆院選挙を思い出した。
当時の安倍自民党総裁が「輪転機をぐるぐる回して、日銀に無制限にお札を刷ってもらう」と発言していたのである。
安倍総裁は2012年衆院選で自民党を勝利に導き首相に返り咲いた。今回の衆院選も自民党が大勝となる可能性も出てきた。
ただし、アベノミクスの弊害は物価の上昇と金利の回復で今後、さらに明らかになってくると予想される。
アベノミクスの登場のタイミングはデフレの状態にあったために、当時はその弊害はあまり意識されなかった。
しかし、すでに物価が上昇し、金利も復活するなかにあっては、その弊害は顕著になることが予想される。
高市氏は発言内容について、一部報道機関で誤解があるようだと指摘したが、誤解があったのは高市氏であると思われる。
今回の高市氏の「ホクホク」発言のいずれも、非常にリスクのあるものであることも認識すべきである。
日銀は1月22、23日に開催された金融政策決定会合の主な意見を公表した。このなかの 「金融政策運営に関する意見」を確認したい。
「昨年12月の利上げからさほど日数は経過していないが、企業等の資金需要、金融機関の貸出態度、CP・社債の発行環境などを踏まえると、政策金利引き上げ後も、わが国の金融環境は緩和した状態が続いている」
「さほど日数は経過していないが」というところがポイントか。時価寸を掛けて、しっかり様子を見る必要性はそれほど意識されていないように思われる。
「超長期の投資案件を抱える企業や中小企業の中には、利払い負担が厳しい先もあるとみられるが、産業界全体としては、現在の堅調な経営環境が金利負担増を吸収する面も大きい。利上げペースが急激でなければ、企業業績に与えるインパクトを過度に心配する必要はない」
利上げなどするとデフレに戻ってしまうといった過激な意見が以前にみられたが、デフレに戻る気配はない。むしろ金利が存在することで経済には良い刺激が与えられることで、設備投資などを促すことも予想される。金利がない世界が異常であった。
「現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが適切である」
まさにそうであろう。ここでブレーキを掛ける必要性はない。あとはタイミング次第となる。模範的な意見だが、ここで総裁のコメントなのか。
「これまでも、利上げの際に、その経済・物価・金融面の反応を確かめながら、政策金利を引き上げてきており、今後も同じ作業を続けていくことが適当である」
同じ作業をどのようタームで、あと何回必要になるのか。
「現状の金融環境は、足もとの円安の進行を踏まえると、経済実態からみて、まだ相当に緩和的である。物価の基調は着実に2%に近づいており、今後も金融緩和度合いの調整を適切なタイミングで行う必要がある」
ここで「円安」が登場している。円安による影響も無視はできないということであろう。「適切なタイミング」とのどの程度のタームなのか。たぶん半年に一度ではやや遅いイメージにも。
「ビハインドザカーブのリスクが顕著になっているとまではいえないが、注意深く適時の政策運営を図っていかなければならない度合いは高まっている」
かなり慎重な言い回しとなっているが、もし私ならすでにビハインドザカーブに陥っている状況下、といった言い方になりそうな。
「今年、海外金利環境が変化した場合には、意図せざるビハインドザカーブが生じるリスクがある。わが国の実質政策金利は世界最低水準であり、為替市場も実質金利差に着目するだけに、大幅なマイナスの実質政策金利の調整を行う必要がある」
わが国の実質政策金利は世界最低水準にあり、大幅なマイナスの実質政策金利の調整は必要であり、しかもあまり時間を掛けすぎない方が良い。
「円安、長期金利の上昇は、インフレ期待等、ファンダメンタルズが反映されている面も大きい。これに対する金融政策面の処方箋は適時適切な利上げに尽きる」
長期金利の上昇にもコメントしているので、これは高田委員の発言か。とにかく同意である。
「わが国にとって物価対策が焦眉の急である中、利上げの影響の検証にあまり長い時間を掛け過ぎずに、次の利上げのステップにタイミングを逃さず進むことが必要である」
半年毎のペースからよりペースを速めると予想しているが、それを裏付けかのような発言である。
「利上げの企業・家計行動への影響をヒアリング情報で確認し、中立金利と比べた政策金利の現在地を探りつつ、数か月に一度のペースで利上げを進めることが適切である」
「数か月に一度のペース」がポイントか。3月か4月の決定会合での可能性も意識される。
「過去数年の長期金利の上昇は、国債市場が正常化し、物価安定目標の実現を織り込んでいく過程と捉えられるが、ここ2週間程度の動きは一方的なスティープ化であり、注意が必要である」
超長期は板が薄いことや海外投資家の売買も多い上、ロークーポンものの処理等の問題も抱えていることで値が動き易い。ただし、利回り水準からみて異常なものではない。
「長期金利のリスクプレミアムは、財政やインフレ等による押し上げを、本行の国債保有に伴うストック効果が一部相殺しているとみている。最近の長期金利の上昇ペースに貸し手・借り手が適応できているかは、今後も確認したい」
最近の長期金利の上昇ペースに貸し手・借り手が適応できているかどうかはしっかり調査する必要はある。たぶん金利上昇を知らない世代がほとんどとみられることも影響していよう。
「長期国債の買入れについては、これまでの考え方に沿って、減額と異例時の増額等を行うべきである」
あまりむやみに修正すべきではないと考える。
「超長期を中心に国債市場のボラティリティが高まっており、今後も需給の不安があるだけに、例外的な状況においては、国債買入れも含めた柔軟な対応の検討が必要である」
日銀はできるだけ余計なことはしない方がむしろ良い。
「最近もあったように、本邦債券市場におけるボラティリティの上昇は、時期や規模の特定はできないとしても、その可能性自体は想定できるものである。ボラティリティの上昇時に中央銀行にとって重要なことは、市場機能が働いているかの見極めである。日本銀行に課された役割と政策の目的に沿って、その範囲で用いるべき手段を理解してもらう努力が引き続き重要である」
市場のパニック的な動きはあんなもんではない。もし運用部ショックやトラスショックのような事態が発生した場合には、何らかの手段を講じる必要はあるかもしれないが、原因が財政等であったのであれば、それはむしろ政府の責任で対処する必要がある。
23日に日銀が公表した展望レポートのなかの物価については下記のように記されている。
「消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していくもとで、政府による物価高対策の効果もあり、本年前半には、2%を下回る水準までプラス幅を縮小していくと考えられる。」
23日に発表された12月の消費者物価指数は日銀の物価目標でもある生鮮食品を除く総合では前年同月比2.4%の上昇となり、11月の同3.0%の上昇から上昇幅を縮小していた。
物価上昇の主因となっていた食料(除く生鮮食品)の上昇率鈍化が見込まれるため、今年2月には約4年ぶりに2%を割り込む公算が大きいとされている。
「その後は、景気の改善が続くもとで人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇 率が上昇していくことから、基調的な物価上昇率と消費者物価(除く生鮮食品)の上昇率はともに徐々に高まっていくと予想される」(展望レポート)。
展望レポートの政策委員の大勢見通しでは、2026年度の消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は1.9%予想となり、前回予想の1.8%から上方修正された。2027年度は同2.0%の予想となっている。
いずれにしても物価見通しからは、今後もさらに緩和の調整を行ってくることが予想される。
市場ではすでに利上げそのものは織り込みつつあり、最終的にはどの程度まで政策金利を引き上げるのか(ターミナルレート)という予想に注目が集まっている。
こちらの予想も次第に引き上げられつつあるが、いまのところ1.25%あたりが多いようである。
しかし、あと2回程度の利上げで収まることはむしろ考えづらい。最低でも1.50%から1.75%あたりまで引き上げる必要があろう。
すでに10年国債の利回り形成への日銀の金融政策による影響力はかなり削がれつつある。それでもある程度、短期金利と長期金利のスプレッドを意識すると長期金利についてはひとつの目安に3.0%が挙げられよう。
1999年2月につけた2.440%はいずれ通過点となり、2.5%も同様になると予想している。
以前に日銀の政策金利が1.75%だった時代は1993年9月あたりから1995年3月あたりとなる。この間の10年国債の利回りは3%から5%近辺となっていた。
今回もこのあたりまで上昇してくる可能性もありうる。
しかし、当時とは国債発行残高が桁違いに多いこともあり、3%を超える水準ではさすがにブレーキがかかるのではないかと予想している。
ただし長期金利は市場が決める。タームプレミアムと呼ばれるものが存在するため、財政への不安が強まることになれば、むしろ5%では収まらなくなる可能性も十分にありうる。
30日に発表された1月の東京都区部の消費者物価指数(除く生鮮)は、前年同月比2.0%の上昇となった。
15か月連続で2%台を維持したものの、前月の2.3%上昇から伸びが縮小した。
エネルギー価格が4.2%の低下と2か月連続でマイナスとなり、生鮮食品を除く食料価格は5か月連続で伸びが鈍化した。
総合指数は1.5%上昇と伸びが縮小し、15か月振りの2%割れとなった。生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは2.4%上昇と前月から伸びが縮小。
23日に日銀が公表した展望レポートのなかで、物価については下記のように記されている。
「消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、米などの食料品価格上昇の影響が減衰していくもとで、政府による物価高対策の効果もあり、本年前半には、2%を下回る水準までプラス幅を縮小していくと考えられる。」
23日に発表された12月の消費者物価指数は日銀の物価目標でもある生鮮食品を除く総合では前年同月比2.4%の上昇となり、11月の同3.0%の上昇から上昇幅を縮小していた。
物価上昇の主因となっていた食料(除く生鮮食品)の上昇率鈍化などが見込まれるため、今年2月には約4年ぶりに2%を割り込む公算が大きいとされている。
このあたりは日銀の想定内とみられる。このため、たとえ2月の消費者物価指数が2%を下回っても、日銀による利上げ継続にブレーキがかかるとは思えない。
展望レポートでは、政府の物価高対策の影響もあって今年前半に2%を下回るものの、その後は徐々に上昇率が高まるとの見通しを示していた。
少なくともこのまま消費者物価指数の前年比が縮小傾向となり、いずれゼロやマイナスとなるとの予想となっていれば、利上げ継続観測は後退しよう。
しかし、2%割れが一時的との認識であれば、今後の金融政策の正常化、つまりそれは物価水準などを意識した政策金利の引き上げ継続となる。
物価水準に見合った金利水準を形成するのも物価の番人としての日銀の義務であると思う。