「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」
2002.1.31「ファイナンシャルBOX」

昨日、ラジオたんぱさんの夕方の番組「ファイナンシャルBOX」に出演させていただいた。パーソナリティーは小島一慶さん。引けあとの牛熊の更新をしてから放送局に向かったが、打ち合わせ予定時間に少し遅刻。ダンディーなおじさんがいると思ったら、小島一慶さんであった。若いころのイメージがあまりに強すぎ、自分が歳をとっていることも忘れ、だいぶイメージが変わられたなあが第一印象。さっそく名刺交換をさせていただき打ち合わせ。1時間10分の生番組。30分ものコーナーをいただいた。一応予習はしていたのだが・・・。。本番がスタートして、いきなり元気な小島一慶さんの声でスタート。やっぱり一慶さんだと感激する間もなく自分もあいさつ。その後、株式市況などのコーナーがありいったん私は休息。そしていよいよ私の出番。質問コーナーからスタート。生放送だけに臨機応変さも必要になり、必死に頭を回転させたがうまく答えられたかどうか。終わってからかなりの疲労感があったがこれは緊張と日頃あまり回転させてない頭を使ったためかもしれない。とにかく無事に放送は終了。しかし、あの一慶さんとラジオでトークするとは夢にも思わなかった。中学のころから親しんだ声が生で聴けるとは。一慶さんの「また、来てもらおうよ」との一言にたいへん感激してしまった。帰路、サインをもらうのを忘れたことに気が付く。またぜひ番組に読んでいただけたらうれしいのですが。


2002.1.30「幸田真音さんの長編小説」

2月15日に「日本国債」以来の幸田真音さんの長編小説が小学館から発売される。「日本国債」の取材ではじめて幸田さんとお会いしてからかれこれ2年近くになる。多少なり私も協力させていただいた「日本国債」は経済小説としては爆発的な売行きとなったのはご存知のとおり。幸田真音さんのところには今もまだ日本国債についての取材依頼が殺到しているとか。幸田さんとは今でもメールとかのやり取りをさせていただいているが、あまりにお忙しいようでなかなか直接お会いすることはできなくなってしまった。あれだけの取材を受けながら連載小説も書き、その上長編小説も完成させるというのはものすごいバイタリティーだと思う。私にはとてもまねができない。その幸田真音さんが今度、サイン会を開かれるそうである。1)2月25日(月)午後6時〜7時 丸善 日本橋店、2)2月27日(水)午後5時半〜6時半 八重洲ブックセンター。もしよろしければサイン会にいらしてください。私も時間をみつけてうかがうつもりである。今度の小説の舞台は「不良債権の転売ビジネス」とか。とても楽しみである。久保井は・・・残念ながら?出ていないようです。


2002.1.29「TBSラジオ」

かれこれ30年も前のこと。ちょうどミュンヘンオリンピックの頃だったろうか。天地真理の曲が流れ明星の大場久美子のポスターを切り抜いて張っていたような記憶がある。そんな頃、テレビも観ていたがラジオもよく聴いていた。確か土曜日にヤングタウントーキョーという番組を毎週聞いていたが、昼間に流れていたのが今でも続いている土曜ワイド。このレポーターとして出演していたのが若き頃の久米宏さんと小島一慶さんの両新人?アナウンサーであった。当時からどちらかというと小島一慶さんのほうが好きであった。その後のお二人の活躍はご存知のとおり。今度、その小島一慶さんとお会いすることになった。とても楽しみにしているが、はたして実物はどのような方なのであろうか。


2002.1.29「火事」

オフィースの近くで火事が発生。消防車がすぐ近くで止まったのでびっくりした。窓を開けて見てみると、小泉首相がふぐを食べた店の並び何件か先から煙が上がっていた。どうやらボヤだったようだが、一時あたりは騒然としていた。久しぶりに消防士の活動を見たが、どうしても貿易センタービルの消防士たちとオーバーラップしてしまう。いつも危険と隣り合わせで活動している彼らのおかげで安心して生活ができるわけでもある。命がけで働いているものもあれば命を粗末にするものもいる。世の中どこか歯車がおかしくなっている。


2002.1.28「雪印」

雪印ブランドが地に落ちた。食中毒事件に加えて今度は牛肉の入れ替えと水増し請求が発覚。北海道産牛肉を熊本産として納入していたことも発覚。食品業界を代表する企業の根っこはすでに腐っていた。これはまだ氷山の一角かもしれない。我々が日頃口にしているものだけに恐い。まじめに働いている社員の方々には申し訳ないが、食品業界も「信用」で成り立っている以上は舞台から去っていただくほかはない。またトップブランドがこのようなことをやっている以上、ほかのメーカーが絶対やっていないとも言い切れない。信用とは積み重ねであるが、その失墜はあっと言うまである。「わからなければよい」という問題ではない。ここは断固たる処置を望みたい。


2002.1.25「ヘッジファンドと都銀」

昨年末から債券相場は下落基調を強めている(長期金利は上昇)。12月にやや割高であった中期ゾーン(残存5年中心)に都銀からの売りが入ったことがひとつのきっかけとなっている。ダイエーの処理などを巡って手元の資金作りかといった観測もあった。12月の東京証券取引所の債券先物における海外投資家の比率が前月まで18〜19%で推移していたものが25%にまでアップしていた。これは海外投資家が積極的に債券先物を売ってきたことも示している。

また、1月15日から18日にかけての約定ベースでの対内・対外証券投資状況(財務省発表)を見ると海外投資家は対内債券(国債を主体とした日本の債券)を5258億円も売り越した。これは円安などを嫌気した欧州の中央銀行を始めとした海外投資家の大量の現物売りが入ったためと思われる。

1月に入って債券先物の建て玉が急増している。1月4日から24日にかけて2兆5千億円も増えている。これは都銀や海外投資家の売りを受けた業者のヘッジ売りに加えて、仕掛け的な先物売りも入っているものと考えられる。債券先物は7年国債の利回りと連動するが、7年と10年の国債の利回り格差が急激に縮まっている。これは長期国債などには国内投資家が押し目買いを入れている反面、先物にはヘッジファンドなどの積極的な売り仕掛けが入っているためと思われる。

しかし、これまでヘッジファンドは日本国債の格下げなどを材料にして積極的に売り仕掛けしてきたが、ことごとく失敗したと言われる。これは日本国債の買い手が国内投資家であり、デフレの環境下にあって運用難にともなう国内投資家の押し目買いが毎回入ったためである。ところが今回は予想以上に先物の売り圧力が強まっている。10年国債は節目と見られていた1.45%を上回り1.5%に接近している。この背景としては海外投資家の売りに加え時価会計導入に伴う都銀の売りなども指摘されている。価格変動リスク回避のために3月決算を睨んでの先物売りが大量に入っているとも思われる。

29日に10年国債の入札が実施される。利率は債券相場の下落を反映し1.5%となるものと思われる。利率の引き上げによって投資家のニーズが強まり、この入札をきっかけに債券相場が反発(利回り低下)も予想され、12月からの相場下落がこれで止まる可能性もある。入札はかなり注目されそうである。


2002.1.25「」


2002.1.24「国債戦争?」

債券先物も日経平均先物にもヘッジファンドからと見られる大量の売りが入っていると思われる。円安も加わりまさに日本売りの様相。3月危機を意識したものなのか、小泉政権に対する不信感からなのか。債券先物の売りは12月から増加している。日本はすでに破綻しているというのであろうか。構造改革の遅れは確かである。ダイエーの処理が銀行側の都合と米国高官来日が絡んでいるみても案外的は外していないものと思う。債券市場では欧州の投資家(?)からと見られる現物売りもかなり入ったといわれれるがメインは先物売り。12月の先物売買高を見ても海外投資家のシェアが大きくアップしたうえ、ここに来ての建て玉増も、ヘッジファンドによる仕掛け的な売りとみてよいかと思う。しかもかなりの金額のショートとみられ、これはまるで1992年のジョージ・ソロスのイングランド銀行に対しての通貨戦争を思い起こさせる。今度は日本国債の暴落を誘い込むつもりなのであろうか。国債暴落に対しては財務省・日銀ともに防御策をとる必要もあるかもしれない。ただし、これまで国債先物へのヘッジファンドの売り仕掛けはことごとく失敗している。大手ヘッジファンドもそれで手を引いたのであるが、再起を図っているのかそれとも最後の勝負を挑んでいるのであろうか。来週の10年国債入札が大きな山となる。結局、国内投資家に絶好の買い場を提供することになりそうではあるが。


2002.1.23「宣伝?」

金融専門出版社ISコムでは、新年特別セールを実施します。 「ジャンク・ボンド」(島義夫著)
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2002.1.21「デフレの教え」

本日日経新聞の大機小機の最後に書かれていた文章が面白い。「デフレ退治に魔法のつえは無い。56年ぶりに改正された新日銀法の改変を叫ぶものやインフレ目標論(この場合は調整インフレを意味するのか?)に走る人々は、英国の古都エジンバラに飛び、ハリー・ポッターが在席したボグワーツ魔法学校の門を叩いて、将来に禍根を残すよこしまな魔術への戒めを学ぶ必要がある。」

まさにその通りである。極端な円安策やインフレ策は何の解決にもならないどころか、国債の暴落を引き起こしそれが国債の日銀引受を呼び、いずれハイパーインフレを引き起こす。もちろん現在の歯止めのかかった量的緩和や日本の経済実態に即した円安は許容せざるをえない。しかし、200円の円安を政府主導で導いたり日銀の外債購入やドル建て国債の発行、そして日銀の国債引受を含む調整インフレ策は断固として導入すべきものではない。まさに麻薬でもって気持ちだけでもハイにさせながら自らの肉体を蝕む結果となるのは明白である。デフレ下の構造改革は病人の症状をさらに悪化させるとも言われる。だから麻薬を使い生命維持装置でとりあえず維持させれば回復するとでも言うのであろうか。手術ができる体力があるうちに手術は必要である。デフレといえど、まだ極端に物価が下落しているわけではない。失業率も史上最悪のペースでありながら国民はまだ小泉政権を支持している。体力はまだある。

また、国債の格下げなどからキャピタルフライトを説く向きもあるが、肝心の国債が格下げがあっても下がっていない事実をどう説明するのか。多少なり個人の外債投資なども増加しているがこれは資産運用として円安にベットしたことが要因であるし、金融機関の外債投資も同様か。国債暴落に関してもすでに狼少年と化している。もちろん、国債の発行残高の上昇には注意を払うべきであるし、だからこそ財政は抑える必要がある。2002年度予算を緊縮財政と言う方もいるが「30兆円」も国債を発行するのにどこが緊縮なのか。すでになんでもありの政策を打ってなんら効果がなかった反省はないのか。

財政再建か景気対策か。これまでの歴史上、何度も討論され続け結果は出ていない。しかし財政拡大を伴った景気対策が失敗してきた以上、今度は財政再建と構造改革が必要なのではあるまいか。「男子の本懐」という本がある。これは景気悪化のなかで金解禁・緊縮財政によるデフレ策をとったタイミングで金融恐慌という外部要因が重なって失敗した例ではある。そういった例が歴史には何度も出ている。田沼意次と松平定信、井上準之助と高橋是清、田中角栄と福田赳夫、そして宮沢喜一と塩川正十郎などなど。浜口首相と井上蔵相の時代の金解禁を巡る動きは、現在の不良債権処理を巡る動きにも似ている。米国多発テロが当時の大恐慌を連想させたが、米国発の金融パニックは回避された。しかしあまりに背景が当時とよく似ているのはある意味不気味さも感じる。とはいうもののこの反省を踏まえ小泉首相には構造改革を進めていってほしい。


2002.1.21「財務省は国債引受シンジケート団の廃止を検討」

戦後日本で国債が発行されたときから存在する大きな制度が2つほど改革されようとしている。ひとつは先日発表された日銀による国債買い切りオペの1年ルールの見直しである。そして今度は国債引受シ団もいよいよ廃止の方向に見直される。私自身の個人的な見解になるがこのふたつの改革については本来、国債消化のためには必要とは思うが、それぞれ異なった見方を取っている。日銀は昨年の量的緩和の導入時からややなし崩し的な緩和策を取っており、このままでは国債の日銀引受にまで発展するという危険性を感じていた。1年というものが何ら意味をなさないのはわかる。しかし、それが直近発行の2銘柄まで追い込まれたと見られても現在の日銀の姿勢からはいたし方ないとも思われる。これに対して財務省のシ団引受もすでに国債消化にあまり影響をあたえずむしろ弊害すら指摘されていた。無理な引受でつも切りの発生もあった。引き受けたといっても売買損で引受手数料を失ってしまい、引受の意味合いが薄れるどころか10年国債入札事態が63銭を乗せて行われるなどの弊害が生じていた。そのために10年の新発債は個人にとっては割高となり個人消化もしづらかったはずである。これまでの財務省理財局による国債制度の整備の動きは国債消化をいかに順調に行うかというところがメインとなり、その改革事態は財政の規律までを意識させるものではない。しかし日銀に対してはこれまでの経緯から財政の規律まで意識させてしまっている。これからも制度改革はもっと必要になる。特に国債は今後さらに発行量・残高ともに増加し続ける。これには新規で発行する国債発行額を抑えるとともに、国債市場の整備が必要となる。ただし日銀が自ら国債を引き受けることは長期金利の上昇を促すことになりかねない。あくまで個人的な感想ながらもう少し日銀の国債政策に対しての信任度を高めてからの1年ルール見直しが必要であったのではないか。反面、シ団廃止は早期実施して10年国債を復活させる起爆剤にしてもよいかと思う。


2002.1.21「ハンターマウンテン塩原」

昨日、ハンターマウンテン塩原に家族で出かけてきた。私自身は10年ぶりりスキー。娘達はもちろん初めてであった。成人の日の三連休に子供達のスキーウェアとスキーを買いに行った。そのスキーを積んで20日の早朝に出かける。4時半頃家を出てほとんど渋滞に会わず7時半にはハンターマウンテン塩原に到着。さっそく子供向けのスキー教室に登録手続きをして朝食。その後スキーの履き方から練習。10時から12時まではスキー教室。途中から三女が恐がっていたのだがなんとか復活。とりあえず三人とも滑れるようにはなった。昼食後、少し練習して長女を連れてリフトに乗る。初めてリフトに乗ったときはやはり降り方が問題。長女もさすがに最初は転んでしまった。初心者コースをゆっくりとすべる。何度か転んでいたがそのうちコツも掴めたようだ。二度目に行ったときはリフトの乗り降りも問題なく、しかも一度も転ぶことなく降りてきた。子供の方がスキーの上達は早いようである。三女の帰りたくない攻撃をなんとかかわして夕方5時にスキー場を出る。たまたま昼食時に隣席となった方に余分の駐車券をいただいてそれを使わせてもらった。こういう親切はとてもうれしい。塩原で温泉に入ってから夕食を取る。帰りの道も恐いぐらいにガラガラ。三連休のあとの休日は空いているという牛熊関係者のアドバイス通りであった。アドバイスといえば従兄弟からもレンタルは塩原で借りたほうが安いということも教えてもらった。 スキー場へのワンポイントアドバイスというのは意外と役に立つ。今度牛熊でもワンポイントアドバイスコーナーでも設けても面白いかもしれない。とにかく無事にスキーから帰ったが・・・筋肉痛が恐い!!。


2002.1.18「債券先物への売り」

債券相場はここのところじり安の展開となっている。特に先物にはヘッジファンドからと見られる売りが入っている。ニューショートとも思われ何かしら意識した、もしくは材料にした売りなのであろうか。日銀の国債オペ銘柄の拡大で一時ショートカバーが入ったがそれも一時であった。ヘッジファンドの売りならば格下げも連想される。S&Pが日本国債の大幅格下げもありうるとのコメントもあったが、近々どこかの格付け機関の発表でもあるのか。はたまた政治マターで、公的資金導入の思惑で売っているのであろうか。先物は中心限月としては去年の2月の水準にまで下落した。それに大して現物債は投資家の押し目買いから下げ渋っている。これまではヘッジファンドのショートカバーで戻るケースも多かったが今回はどうなるのであろうか。久しぶりボラタイルな相場展開となる可能性も強まった。


2002.1.17「スキー」

子供達の要請によりスキーに行かざるを得なくなってきた。子供達が小さかったことを理由にここ10年、スキー場には足を運んでいなかったのであるが、さすがに三人とも小学生となりいけない理由もなくなってしまった。スキー場に行くには手間も金も時間もかかる。確かにゲレンデに立ったときの爽快感は何事にも変えられない。しかし今回は超初心者が3人いる。さてどうなるか。それより自分は滑れるのか。まさかすでにスキー場はスノボー場に変わってしまっているのか。10年のギャップもあり恐々行ってくるつもりである。


2002.1.16「日銀国債買い切りオペの1年ルールを変更」

日銀は本日の金融政策決定会合において、国債の買い切りオペの対象を「発行後1年以内のもののうち発行年限別の直近発行2銘柄を除く」ことで拡大することを決定した。これは1月17日より実施される。昭和42年1月、戦後初めて発行された国債が1年経過した時点で日銀は発行後1年たった国債を買い切りオペに加えることを決定した。財政法で禁じられている日銀による国債の直接引き受けを避ける意味合いから1年というルールを設けたものと思われる。これにより国債を半ば強制的に引き受けさせられていた銀行の国債は1年たつと日銀の買い切りオペで吸い上げられるようになり、当時7年の国債も実質1年の国債と同様であった。ところが次第に国債の発行額が増加しこのままだとインフレを引き起こす可能性が指摘され金融機関の保有する国債の市中売却が認められた。日銀の国債買い切りは資金供給手段のひとつとしてその後も続けられた。国債発行額がさらに増加したことやデフレの進行により日銀は段階的に国債買い切りオペを増額していった。ただし日銀券発行残高までという制限もつけた。そして本日、日銀はついにこの1年ルールを変更することにしたのである。米国でもFEDは資金供給手段の手段として米国債の買い切りを行っており、しかも直近発行銘柄を除くという条件付きである。日銀はすでにTBの買い切りなど行っており実際に1年というルールが必要かとの問題もあり、1年ルールの撤廃を求める声も強かった。しかしそれは限りなく国債引受に近づく。そこで来年度の国債発行額が30兆円に押さえられ、とりあえず財政の規律の喪失に直結しないこの時期に発表したものと思われる。もしくは今後は公的資金の導入、もしくは景気悪化のための財政出動の可能性はあるために、国債増発観測が出てくるタイミングでの発表はむずかしくなることも確かである。今回の発表で債券市場は素直に買いで反応した。今回の銘柄拡大自体は債券市場にとってはプラスとなろう。しかし、財政構造改革が挫折するようなことになると日銀の国債引受といった意味合いが強くなる可能性もあるために注意も必要であろう。


2002.1.16「外貨資産」

個人の外貨資産が2001年9月末に過去最高の10兆円を超えてきた。国内の金利の低下に加え円安が大きく影響した。個人は意外と為替の動向に敏感であり、外貨建て投資の増加によってこれが円安要因ともなっていたようだ。これはまだ資産の国外逃避というわけでもないため、日本国債の相場にはあまり影響を与えていない。日本の国債がなぜ急落しないのかといえば国内の資金によって国債が買われているためである。しかし国内の資金が安全性を求めて海外へ流出するようなことが仮にあれば国債は急落してもおかしくはない。そのためにも財政再建を進めてゆく必要はある。海外投資家の保有する日本国債は22兆円もある。今後、財政再建の手を緩めると格下げが現実化し海外投資家の保有する日本国債の売却も危惧されている。しかし、都銀が大きく国債を売り越してもそれを生保などが購入していた。日本国債に対して国内での信用がある限りはやはり国債の急落は考えづらいのも確かではある。


2002.1.15「個人向け国債」

個人向け国債の導入に向けての動きが活発化している。財務省理財局の担当者が渡米し米国における個人向け国債の販売について実態調査を行う予定となっている。NHKニュースでも来年1月からの個人向け国債発行が報じられていた。概要は以前にここでもお知らせしたが、あらたにペーパーレス化の動きも進んでいる。現在国債の99%は振決債となっており券面は発行されていない。しかし残り1%の券面発行のためにかなりの費用が必要になり、また新型国債を出す上で発行されるまでの期間がある程度必要となる要因にもなっている。券面を必要としているのはまず個人である。高齢者に現物指向が強いこと、匿名性を利用できることなどの需要があるといわれる。しかし、国債の券面はなんといっても担保として活用されることが多い。15日付け日経金融新聞には担保で国債が使われている例がいくつか出ている。

担保で国債が使われている例
信託銀行などが信託業を営む場合(信託業法)
宅地建物取引業を開業、営業する場合(宅地建物取引業法)
旅行会社を開業、営業する場合(旅行業法)
クレジットカード、信販会社を営業したり、営業所を設置する場合(割賦販売法)
裁判所に仮差し押さえや仮処分を申請する時(民事保全法)
国や地方自治体が開催する入札に参加する時(会計法、地方自治法施行令)
競売に参加する時(鉄道抵当法)
地方自治体の公金を取り扱う時(地方自治法、同施行令)
郵便料金をまとめて後納する時(郵便法)
教科書会社が文部省の検定に合格した教科書を発行する時(教科書の発行に関する臨時措置法)
国税の納付猶予を願い出る時(国税通則法)
石油会社が消費者に変わって揮発油税を納税(揮発油税法、国税通則法)
(2002年1月15日日経金融新聞より)

これら法令を照らし合わせて国債の券面発行なしに担保としての国債をどのように取り扱うかが検討されている。これまでの商慣行もこれによって転機をむかえることになりそうである。今年3月にも国債や社債の発行から流通、償還までを電子化する法案が国会に提出される予定となっている。海外ではすでにこういったペーパーレス化はすすんでおり。個人向け国債に対しても英米ともに登録方式で券面は発行されていない。日本においても早期のペーパーレス化を望みたい。


2002.1.15「経常収支」

2001年の中国との貿易額は11兆円弱となり日本の中国に対する貿易赤字は3兆円を超えるとみられている(1月13日日経新聞)。繊維に加え電気製品の輸入が急増している。日本の経常黒字は次第に減少しいずれは経常赤字となることも懸念されている。高度成長時代が終わり、冷戦が終了したことであらたに東欧や中国がマーケットに参入してきた。特に日本では中国との貿易が増加している。これはユニクロのように繊維の輸入に加え、性能が高まっている電気製品などの輸入増加が影響している。すでに投資の収益である投資収支は黒字に海外旅行や輸出入の運賃などのサービス収支の赤字が迫っており、貿易収支の減少がそのまま経常黒字の減少に繋がっている。経常黒字の減少は円安要因となるとともに国内金利の上昇要因にもなりうる。貯蓄の減少によりパイの奪い合いによる金利上昇に加え、貯蓄が支えている国債への資金流入が細ることによる長期金利上昇懸念があるためである。


2002.1.15「生保の国債残高」

生保協会によると生命保険協会加盟42社が2001年10月末に資産運用として持っている国債の残高は30兆7千億円となり2か月連続で30兆円の大台を超えた(1月12日日経新聞)。これは信用リスクの高まりや保険契約の解約の増加に備えて短期の国債に資金をシフトしたためと思われる。債券市場ではすでにメインプレーヤーが都銀から生保・年金にシフトしていると思われる。生保などの買いは押し目買いが主体であるため、相場の下支えとなり結果として昨年7月中旬から年末へかけてのレンジ相場を創出したと思われる。


2002.1.11「新春牛熊討論会」

Aさん > では、現在、円安と米国経済頼みの日本にとって景気回復、デフレからの筋の良い脱却のためにはどうすれば良いのか。「仮に自分が財務省、金融庁、日銀を束ねる全権宰相に任命されたら何をするか」是非教えてください。1998年であればまだ様々な方法がありましたが、現在では余りに手詰まりなのではないでしょうか。

Bさん > 私はやはり従来の構造改革に加えて財政政策を主軸にした経済政策運営を推進します。私は現在の状況においてインフレタ−ゲティングは反対なのですが、財政政策とのポリシ−ミックスを取れば決して悪い金融政策運営ではないと考えています。理論的にもインフレタ−ゲティングは金利非不制約に対し有効であるとの計量分析がありますし、高橋・小渕財政のような環境下においてこそ、財政の中央銀行による無制限なマネタイゼ−ションを抑止するアンカ−としてなくてはならない重要な役割を果たすと考えます。後、門外漢ですが、景気にさして関係ない特殊法人改革などは放っておいて、年金問題に手を付けなければならないでしょう。構造改革にしても公的部門ではなく、民間部門の構造改革に取り組むべきであると考えます。その際に失業対策としてのセ−フティネットの網はしっかり張るべきでしょう等々…。>Aさん

Cさん > 要は分配構造をトータルで見直していくことだと思います。@国→地方、A若年→中高年、B国→個人、C高所得者→低所得者への所得移転を止めない限り「ただ乗り」のインセンティブが強すぎるため、いつまでたっても経済が活性しないでしょう。ただ、@Bについては権限(徴税権等)、権利(選挙制度改革)も同時に委譲する、Cについては別にセーフティーネットは拡充することが必要でしょう。この手段としては、インフレターゲットや円安といった姑息なことを考えるのではなく、税制で対応するべきでしょう。金融政策は、ゼロ金利の時間軸を大幅に延長(少なくとも団塊世代のリタイアによる退職金問題が一巡するまで=10年くらい?)をアナウンスし、その分、別途企業や個人の自助努力を促す。不良債権問題については公的資金の普通株転換ルールを厳格にし、銀行の自助努力に対し一定のペナルティーを設け、監督庁主導での再編を容易にする。といったところですかね〜。>釈迦に説法ですかね、Aさま。

Dさん > 10日の日経金融新聞の複眼独眼がひとつの答えになっていると思います。金融政策や円安政策で景気回復を説くこと自体に間違いがあると思います。ならばどうするか。これは構造改革しかないのでは。それは改革の流れの筋道だけでもはっきりさせるということが今は必要でしょう。やっと国民も何が悪いのかを理解し始めています。

Aさん > Bさん、Cさんが構造改革についてポイントをまとめていただいたのでDさんがおっしゃっている構造改革もこのような王道の改革と理解します。私もこれらの構造改革しかない、という点については全く同意です。では、これらを進める間のつなぎの金融、財政政策はどのようなものを想定していますか?

Dさん > 財政政策は現政権でも後ろが自民党でもあり、過去の反省はないでしょうから減税も含めてやるべきでないと思います。亡くなった小渕さんが、使ったお金でもう辞めるべきでしょう。これだけ経済政策に失敗しているのに全然懲りてない。つなぎの金融としても現状より以上のものは無理ではないでしょうか。資金が国債へと流れる仕組みを変化させるのは残念ながら金融政策では無理です。

Aさん > 今がもし、1998年であれば、税制改正等を主軸にした構造改革+痛みを和らげるための金融緩和+財政出動という政策だと思います。しかし、今となっては通常の金融緩和は既に限界、財政も限界近くまで来ている状況。金融政策や円安で景気回復を説くことに無理がある点には異論ないのですが、構造改革だけで景気回復を説くことも非現実的だと思っています。改革に当たっては国民の過半の賛成は必要ではないものの、支援者は多い程、改革は成功しやすい。となれば、改革を進める間、非伝統的な金融政策はやらざるを得ないのではないかと思っています。

Eさん > 的外れかもしれませんが、財政については、「税収減・国債増発×の元では例え縮小均衡と言われようが、歳出キャッシュアウトを抑制するしかない。」というのが兼ねてからの持論であります。 そのためには各省庁の積み上げ方式の予算策定プロセスをなんとしても変えて欲しい。この変革は、民間企業が盛んに取り組んでいること。民に出来て、何で官にできないんだ!と語気を荒くしてしまいます。

Dさん > 小泉さんはなんとなくゴルバチョフ大統領のように見えてきました。共産党の中での改革には無理がありましたが道筋はつけた。小泉さんも同様に自民党の中での改革ではいずれ失脚させられるかもしれません。ただ、もう我々はいろいろなことを知ってしまっています。改革路線は後継者によって引き継がれるのではないでしょうか。自民党中心の政治形態がたぶん変化するのではないかと思っています。ただしロシア危機のようなことが起こる可能性もあるのでしょうね。密室政治をオープンにしたことだけでも小泉さんへの評価に繋がるのでは。郵貯を含めた政府系金融機関は早期に民営化するべきでしょうね。我々の税金が補填に使われている上に民との競合を妨げているといった事実もあります(異論もあるかと思いますが・・・)。本当に政府がやらなければいけない金融というのは何なのか。

Eさん > 財政投融資に絡む、無駄遣い・既得権益などは目を覆うものがあるのでしょうね。

Bさん > 取りあえず、先程、Aさんもおっしゃっていましたが、財政政策が限界だとの御指摘。まず現実は、これほどの低金利ですから限界ではないですよね?。唯単にマグニチュ−ドが溜まっているだけで暴落し出したら歯止めが効かないという論調が多いようですが、本当にそうなのか、それともまだまだ大丈夫なのか、将来の事など誰にも判りません。しかし古今東西の例を見ても巨額な政府債務残高が即ハイパ−インフレに繋がる訳ではありません。17世紀末のオランダや戦後の米のように個人や銀行等、安定した投資主体がいれば金利は低位安定します。金利が上がらない状態こそが異常で構造改革を妨げるものではないでしょうか。

Cさん > 順序としては、低成長時代を前提とした社会構造への変革を図る前に、高度成長の亡霊(=バブル)退治をしておくべきであった、というのが私の持論ですが、既に同時並行的に進めなければならない以上、@少なくとも不良債権処理が終わるまではゼロ成長を甘受するという国民の共通認識を醸成する(=官、民の無駄を徹底的に排除)A直間比率を見直しつつネット増税を図るB少なくとも増税分については使途を年金改革や介護(当然新規参入に対する補助も含める)といった、国民の将来負担を軽減する分野に投じる、といったことが考えられます。

Bさん > 順序としては景気を回復させてそれから構造改革というのがベストなんでしょうが、好景気時には構造改革遂行の政治的なインセンティブが働きません。従って構造改革と景気対策という相反する要素も含む政策を同時進行するしかないのかなと考えています。 簡単に申し上げますと、陳腐な言い草ですが中長期的視点において構造改革(規制緩和、投資機会の多様化、非製造業の生産性向上など)、短期的視点においては財政政策(規制緩和によるデフレ圧力緩和、魅力ある投資機会を創出させる為の期待成長率維持)という図式でしょうか。唯、財政政策が非製造業の生産性向上を阻害する要因にもなる為、この点がこの政策運営においては両立が難しい所です。

Dさん > いやいや、まさしく、Bさんのおっしゃるとおりで。ばら撒き型の経済政策ではなく政府がやらなくてはいけない政策は必要ですね。そのためにかかる費用はさほど多くなくてもできるはずですし。脱税の摘発だけで高速道路も作れてしまうのでは。昨日の税理士の脱税と加藤議員の秘書だけでもすでに数億円・・・。おいおい。

Aさん > 本日は様々な議論に接することができて大変有意義でした。非伝統的な金融政策にしろ一層の財政拡大にしろそれだけに頼らずに構造改革をやるしかない、ということですね。我々はその場しのぎ政策主張派と構造改革を伴った政策主張派を峻別していかなくてはならないのですね。10年後の日本が英国のようになれるか、アルゼンチンになるか、構造改革をどの程度しっかりやれるかにかかってくるということでしょうか。

Bさん > え〜、口が寂しいのでもう少し付け加えます。何故財政政策が必要かと言えば誰かがお金を使わなければ景気は良くならず、誰もお金を使わない今、政府までがその役割を放置すれば需給ギャップを埋めるのに供給能力を縮小させる事になり、経済全体の規模を縮小させます。これがデフレスパイラルですが、背景にあるのは水谷氏やクル−グマンの調整インフレ論に代表される縮小均衡の考え方です。以前「清貧の思想」というのが流行りましたが、あれもそうですね。日本を潰そうとしているとしか私にも見えません。技術革新による設備の陳腐化で潜在成長率は確かに落ちているかも知れませんが、今ある資本と労働力を削減する必要もないのではないでしょうか。

Aさん > つづきはなべでも囲みながらいきますか。

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2002.1.10「ヒット商品」

年末商戦においてソニーのPS2が予想以上の売行きを示した。映画の興行収益は次から次へと記録が塗り替えられている。DVDの普及が加速化している。これらはすべて映像が絡んだものである。また米国の同時多発テロによって海外旅行などが減少したことなども影響しているのであろうか。それにしても「売れる」ものが出てくるということは消費活動が停滞してはいないことを示している。パソコンのブロードバンド化も進み、その費用も世界的にみても低額になってきている。以前にコメントした無線LANも実際に普及する可能性が出てきた。パソコンやPDAを持っていればプロバイダー費用だけで通信費がかからずにネット接続が可能となる日もくるかもしれない。この際、景気対策の一貫として無線LANの普及を進めてはどうであろうか。家庭やオフィースでも定額制でしかも安価なADSLなどの通信手段が普及してやり、こんどはモバイルでも通信費を落とせれば一気にネットが拡大するのではなかろうか。今年のパソコン市場はどうも無線LANが大きなテーマとなるような気がする。


2002.1.9「円安」

円安が進んでいる。本日は1ドル133円円台を突破した。竹中大臣や黒田財務官などの円安容認ともとれる発言がきっかけになっている。しかし最大の要因としてはこの円安を米国が黙認していることである。景気や財政が悪化すると通貨を切り下げるというのは常置手段。アルゼンチンも先日、通貨の切り下げを実施した。また1985年のプラザ合意によるドル安政策も米国経済の建て直しを図るためであった。それならば空前絶後といわれる現在の日本の窮状から日本も極端な円安策をとれば景気回復の足掛りとなる、との見方はある意味正しい。教科書にも円安は輸入物価の上昇によってデフレ退治につながり輸出が伸びることで輸出企業の業績が回復するためである。しかしプラザ合意後のドル安のとき日本の投資家が保有していた米国債の売却はできなかった。いやむしろ日本の生保などは米国債を買わざるを得なかった。日本の投資家がもし買うどころか米国債を売却していたらどうなったであろうか。アルゼンチンは通貨切り下げとともに国債の利払いを一時停止した。デフォルトの懸念も指摘されているがドル建て債務は通貨の切り下げでさらに負担が大きくなってしまう。幸い日本の国債を保有しているのは日本の金融機関である。いくら円安になったところで売ってはこない・・・と言い切れるであろうか。200円までの円安になれば日本経済が復活するいう方もいるが本気でそう思っているのであろうか。日本経済を取り巻く環境からみて今回の円安がデフレや景気に与える影響はかなり小さいものとなる。そもそも日本の経済構造自体が日本経済悪化の原因なのにもかかわらずそれを取り除かずに円安や日銀のインフレ策でなんとかしようと思うのがそもそもの間違いである。昭和初期の高橋財政を持ち出す学者もいるが、日銀に極端なインフレ策をさせて仮に効果が出てしまったときの副作用は恐ろしいものになりかねない。これは極端な円安策にもいえる。日本の国債は買い手がいるのでいくら出しても買われれているが、それは現状正しい。しかし、400兆円を超える残高が積み上がり、極端な円安となった場合には長期金利の急騰をも招く。国債を暴落させるのはたいへん簡単である。新規の買い手がいなくなればそれで急落する。そのような危険なリスクを選択することはできない。インフレ策はまさに何もしないで痛みもなく景気回復と財政赤字を埋めてしまおうという策であるが、それを実施したときの反動は恐ろしいものがある。インフレ論者がよく使う言葉に「やってみなければわからない」というのがある。それはあまりに無責任な表現としか受け取れない。


2002.1.8「アリとキリギリス」

金融危機に苦しむアルゼンチンは7日、通貨ペソの切り下げと一部の変動相場制の採用という緊急為替政策に踏み切った。1ドル1ペソの固定相場を貿易決済などに利用する公定相場を1ドル1.4ペソに切り下げ、観光客向け両替などは変動相場制とすることとなった。この公定相場制もまもなく崩壊し実質的な変動相場制に移行すると見られている。アルゼンチンは1400億ドルにのぼる公的債務を抱えている。財政再建を目指したデラルア前政権り財政緊縮策に対し国民が反発、政局が混乱し、ムーディーズなどによる国債の格下げを呼んだことで公的債務の不履行に繋がった。すでに昨年末より銀行預金の引き出し制限も実施しており、この解除はドルへの逃避も呼びかねない。新為替政策によって輸出産業への梃入れをはかったわけであるが、これをきっかけに南米全体の通貨引き下げ競争も招きかねない状態となっている(8日日経新聞朝刊より)。

日本もすでに以前のイタリア化というよりこのアルゼンチンへの道を辿っているとも言われる。安易な円安政策を説く向きもいるがそれが何の解決にもならないことは円安に伴う株式や債券市場の反応を見ても明らかである。ただ、まだ日本には余裕がある。余裕のあるうちに手を打たなければアルゼンチンの二の舞にならないとも限らない。

かつて巨額の財政赤字に苦しんでいたアメリカは1998年に財政黒字国になっている。また、つい最近まで、先進国の中で最悪の国家財政の状況にあるとされてきたイタリアも財政収支が著しく改善している。OECD発表の主要国の政府債務残高のGDP比をみても1999年に日本とイタリアは逆転しており、OECD加盟30ヶ国のうちダントツのトップとなっている。アメリカやイタリアの財政収支の改善にはそれなりの理由がある。アメリカの場合は冷戦の終焉により1990年代に国防費を大幅に削減し、その上IT革命を起爆剤にした高度成長の持続とそれに伴う所得税収の累積が財政収支改善に繋がった。こちらはうまく風が吹いたかたちだが、イタリアの場合はかなり苦労している。1999年1月の欧州単一通貨「ユーロ」の誕生がきっかけになった。統一通貨圏にイタリアが加入する条件として財政赤字の規模をGDP(国内総生産)の3%以下に押さえることが指摘されたのである。イタリアの財政赤字はその水準をはるかに上回っていたのだがイタリア政府は増税と歳出削減を強力に実施することで、財政赤字をGDPの3%以下に押さえ込むことに成功した。「スペインやポルトガルがユーロに参加し、イタリアだけが取り残されるのは、イタリア人のプライドが許さない」というイタリア人の国民感情を利用したといった指摘もあった。「セリエBに落ちてもいいのか」という国民の強い危機感を煽ったり利益誘導型の古い政治体制が崩壊し新しい勢力が政治をリードしたことも要因と言われる。税制改革の一環として、イタリア政府は大規模な外形標準課税を地方税として導入すると同時に、地方自治体の放漫財政に対する罰則を強化することで、地方財政の強化も行った(中谷巌氏の記事等を参考)。

日本においても小泉首相が財政再建を基本柱のひとつとしており2002年度の国債発行額を30兆円に押さえ込んだ。財政再建にはこういった具体的なルールの策定が必要である。むしろ新規財源債を30兆円に抑える程度では生ぬるいと指摘されるかもしれない。またイタリアの財政再建のときと状況が異なるといった見方もあるかもしれない。景気悪化、デフレ下にあっての優先順位としては景気対策が先との見方も強い。円安待望論もその一貫であろう。しかし、「アリとキリギリス」ではないが、バブル時にもっと積極的な財政再建を実施する必要があった。日本はバブルに沸き立ち、キリギリスも夏から秋にかけては遊んでいた。しかし本来はそのときにせっせとえさを貯めておかなければならなかったはずである。

最後のチャンスとすれば小渕政権時の何でもありの政策をとったときであったかもしれない。アリにえさを大量に借りたにも関わらず、結局冬は越えそうにない。これすべて痛みを先送りしたつけであったともいえる。今後小泉首相は具体的な目標を掲げてさらなる財政再建を実施していく必要がある。すでにこれまでの景気対策が効果がなく痛みの先送りでしかなかったことは明白であろう。さらに借金を増加させるにはそれがのちほど財政再建にどれだけ効果的となるのか明白にしなければならない。今後も歳出拡大、減税圧力があるなかで、財政をまとめていくには、結局、強いリーダーシップと国民が納得できる目標が必要である。イタリアのように負けん気を国民に起こすことも必要かもしれない。「二軍に落ちるぞ!!」。


2002.1.7「映画」

昨日、娘達に約束していた映画を観に複合映画館(シネコンプレックス?)に出かけた。隣の空き地まで駐車場を広げていたのだが案の定、すごい混みよう。もちろんハリー・ポッターがメインではあるが、ハム太郎対ゴジラ・・・いやハム太郎とゴジラの同時上映も一杯。親子で楽しめる組み合わせとしては考えてある。そのゴジラも映画館のロビーをのしのしと歩いていた。我が家の娘達は比較的空いている犬夜叉というアニメ映画を観るのが目的。原作は高橋留美子。少年サンデーで次々にヒット作を出している漫画家であるが、最近さっぱりマンガも見なくなってしまったので、犬夜叉についてはあまり知らなかった。さほど期待していなかったが、結構面白かった。席は半分までは埋まってなかったかに思う。しかし観終って3時ごろロビーに出るとそこはまるでラッシュアワーの状態に。いったいなぜこんなに映画館に人が集まっているのか。一時期ビデオやDVDに押されていたにもかかわらず映画館に人が戻っている。景気の悪化によって外出を控えるようになったことも要因ではあろうが、それ以上にメガヒット作が集中している。映画産業が元気になって景気の回復に結びつかないのだろうか。人々は現実があまりに悲惨であるため架空の世界へ逃避しようとしているのであろうか。それとも何かしら夢を見ようとしているのか。それを劇場の中で多くの人々と共感しようとしているのか。この異常なまでの映画の人気は何かを示唆しているような気がしてならない。


2002.1.4「新年あけましておめでとうございます」

新しい年の幕開けは株は急騰し債券は大きく下げています。今年の債券相場はどうやら波乱含みの展開が予想されそうです。今年の日本経済は3月にかけてが正念場と思われます。大手金融機関の統合や合併によりメインバンク制度が大きく変革しようとしています。このためこれまでの日本企業の特色であった助け合いの精神による社会からから生き残りをかけた弱肉強食の社会へと移行しようとしています。これは企業ばかりでなく日本自体にも言えることであると思います。そのために国民の圧倒的な支持のもと小泉政権が誕生したとも言えます。それに答えるかたちでの政策を実行していかない限りサバイバルゲームには残れません。これまでの政策運営は小手先の手段の積み重ねであり、金額だけは大きくても一時的な効果しかあげられませんでした。残ったのは多額の借金だけというありさまです。しかしそれでも国民はまだ日本を見捨ててはいません。国民が日本から資産を動かし始めたときその結末は恐ろしいものになります。現在やるべきことは日本のシステムを作り変えることであり、世界的に誇れる技術を持つことでもあります。先行しシェアを握ったものが勝つという一位があってほかはないという時代となっている以上、一位を誇れる産業技術をもつ企業育成に力を注ぎ、債務を引きずるだけの企業には早期撤退を願うというのが当たり前といえば当たり前の政策ではないでしょうか。既得権や選挙という柵が日本の危機を招いているともいえます。今やるべきことは減税や公共事業投資ではないはずです。もちろん失業者対策なども重要でしょう、しかし生き残りを掛けるにはある程度の犠牲、痛みは覚悟しなければならないはずです。まだ国債は国内の投資で賄われています。しかしそれもまもなく限度となるでしょう。我々は失われた10年以前に蓄積した蓄えによってかろうじて高い生活レベルを保っていることに気が付いたときは遅くなります。小泉首相の唱える構造改革が本当に進むのかどうか、我々はしっかり見定めておく必要がありそうです。


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