「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」
2002.5.31「ムーディーズ、日本国債を二段階格下げしA2とし、見通しを安定的と変更」

格下げなしかと見られていたムーディーズだが、結局、2ノッチ格下げを実施しA2とし、見通しを安定的に変更した。相場は債券、株、為替ともに反応なし。格下げなしとの予想の反動すらでなかった。まさに「それで?」といった印象。ムーディーズのリリースを見ても、財務省の意見書に即したような内容で、じゃあなんで格下げするのかは依然として不明瞭。シングルAとなっても、売る人がいなければ下がらない。


2002.5.30「胃カメラ」

健康診断で、胃に関して精密検査が必要との結果。「びらん性胃炎」とかで、確かに一時期かなり痛みがあったが、原因はこれであったのかと納得。結果を持ってすぐに診断を行った顕微鏡医院に行って医師の診断を仰ぎ、胃カメラの予約を取った。おじいちゃん先生はレントゲンを見て、さほどたいしたことではないと診断。念の為、胃カメラをと。この「念の為」というのがやや曲者かと思ったが、とりあえず、13年ぶりの胃カメラを飲むことに。だいぶ細くなったと聞いていたのだが、全然細くないぞと思っていたが後の祭。とにかく結果は問題なし。精密検査との診断に一時青ざめたが、何事もなかった。しかし、今後も健康には注意していかなければならない。でも、あの胃カメラ、もっと細くならないのか・・・。


2002.5.29「金融リスク基礎講座」

「金融リスク基礎講座」7月生を募集いたします。特に金融市場を基礎から学んで見たい方、また生の金融市場動向を知ることでより実践的な勉強をしたい方にお勧めです。すでに来年入社が金融機関に決まっていらっしゃる方など入社前に金融市場について学んでみませんか。また、新人教育の一環として、研修の一環として取り入れていただけたらと思います。弊社、アール・ピー・テック代表の倉都が監修し、「信用リスク商品」の著者でもある河合がデリバティブを担当。私も債券マーケットを中心に解説しています。ご興味のある方はぜひ、電話(03−3512−0298)か、メールにてご連絡ください。また、専用のホームページもご用意しております。お申し込みはこちらからお願いできればと思います。


2002.5.29「海外先物について」

牛熊会員の方より、下記レポートを送っていただきました。掲載につきましても、ご快諾いただきましたので、こちらでご紹介させていただきます。

円債のトレーディングに関わっている方には、あまりなじみが無いかもしれないが、ドイツの2年国債は「Schatz」と呼ばれる。ちなみに5年国債は「BOBL」、こちらは良く聞くと思うが10年国債を「BUND」と呼んでいる。これらの先物は現在EUREXに上場されています。

今般、LIFFEがこの「Schatz FUTURE」を6月18日から上場させると発表した。LIFFEは電子取引のEUREXに商いを取って代わられ、苦しい状況が続いているが、巻き返しの第一弾である。

同じ商品を同じ仕組みで上場させても、当然お客が付いてくる訳が無く、EUREXとは取引概要に違いを持たせている。先ず、1枚(売買単位)が20万ユーロ(EUREXは10万ユーロ)であること、第二点としては呼値(最小値幅)が0.5¢(EUREXは1¢)となっていることである。後者の方にLIFFEの非常に重要で面白い発想があると思われる。

何しろ、2年国債先物な訳で、通常キャッシュ2年の取引も0.5¢単位でプライスの提示がなされることが多い。にもかかわらず、呼値は10年国債BUNDS先物と同じ1¢の刻みではトレーダーがなかなかヘッジ等に利用しにくいということがあるのだ。この点LIFFEの発想はなかなか宜しい。

日本でも5年先物が利用されない理由のひとつに呼値が1銭であることが含まれる。スワップ・マーケットのヘッジに使うにしても、スワップのASK-BIDが0.25BPの時代に5年先物の呼値が10年先物と同じ1銭というのは許せないというものである。先日もマーケット参加者の集まりの中でこの点が指摘されていたが、東証にLIFFEのような柔軟性があるとは今のところ考えづらい。

ちなみに米2年国債先物の呼値は0−00+(64ths)であり、結構広い。そのくせ、現物になると厳密にレポまで計算して(当然だけど)1ticの1/8刻み(256ths)でプライスの提示をされることが多い。これは結構不思議。債券価格がTicでクォートされるのも風情があって良いが米株式市場もtic表示から少数表示に変更されていることから、債券マーケットにおいても、いつ変更されても不思議ではない。その場合には先物市場の変革も一気に進むであろう。(既にシカゴのピット・トレードのシェアは徐徐に低下してきており、強い抵抗が予想されるが・・・)

また、LIFFEではこのSchatz FUTUREとEURIBOR先物のスプレッド取引(スプレッドでクォート)も行うらしく、これまた面白そう。LIFFEの「Schatz FUTURE」については流動性が上がれば結構EUREXからの巻き返しが可能かもしれない。とりあえずは6月18日の上場初日に注目だ。


2002.5.28「二年国債入札」

本日実施された二年国債において、応札額が15兆円を超えるなど記録的な応札となった。なかでも大手証券が一社で1兆円余りも落札したと観測されている。その背景についてはいろいろと観測も流れているが、10年国債入札の際、満額応札した大手証券に対抗したのではといった見方もあるが、それなりのニーズも掴んでいたものと思われる。ただし、一兆円というのはたとえ二年といえどかなりの額となり、その背景のなかに都銀などの存在の可能性もある。憶測は憶測として、とにかくそれだけ応札されるということは、好需給に代わりがないことを示している。本日は5年国債や10年国債にも買いが入りそれぞれの節目と見られていた0.5%、1.4%をあっさりと割り込んでいる。インデックスの伸びから月末月初はエクステンションの買いも超長期ゾーンに入ると見られている。塩川財務大臣がGDPに対して過度の期待をしないように警告したが、これによって景況感による売りもある程度抑えられると思われる。すでにムーディーズの格下げはあったとしても材料ともならず、好需給を背景に再び戻りを伺う展開が予想される。


2002.5.24「回答に対する再質問書」

外国格付け会社宛意見書への回答に対する5月22日付再質問書(大要)について

Moody's宛

Fitch宛


2002.5.23「日本国債の格付けに関する意見書と回答」

ムーディーズ宛て返信のなかで財務省は、デフォルトリスクなどへの具体的・定量的説明不十分、格付けの差の客観的理由を説明すべき、日本の債務リスケの可能性の指摘は非現実的とコメントした(ロイター)。今回の意見書については、かなり関心も高いと思われる。また、財政規律に対しての国民の支持を得るためにも、ぜひ意見書ならびに回答書をすべて公開し、可能ならば公開討論などを行ってほしい。国民も漠然とながらも財政規律を守る必要を感じ取っているからこそ、小泉内閣を支持していると思われる。格付け機関による格下げは、その規律が破られるといったものを前提にしているようにもとれる。それに対して、財務省ももちろんだが、小泉首相や塩川財務大臣による財政規律を維持していくという毅然たる態度を示すべきではなかろうか。


2002.5.23「景気回復期待」

本当に日本の景気は回復しているのだろうか。景気が悪い悪いと言われながらも、海外旅行者は多いしブランドものには買いが殺到。それなりの生活水準は保たれていたように思う。それがここに来て劇的に変化しているとも思えない。景気の良し悪しが体感的に感じ取れなくなりつつあるのではなかろうか。とりあえずほしいものはほぼ揃っており、画期的な新商品は生まれない。インターネットが普通に使われるようになったが、その使用料は毎月数千円程度に収まる。そのインターネットを使えばいろいろな情報が入手できる。多様な情報が入手できるようになり、当たり前と思っていたことが次々に崩されることで、消費行動にも違いが出てきている。その背景には、これまで日本企業を支えていた大手企業を頂点としたピラミッド構造が崩れつつあることもいえると思う。関係企業の告発により、雪印やダスキンの問題が明らかになった。小泉首相の登場により、これまで見えていなかった政治家や外務省の問題も明らかになっている。日本という経済大国は、たぶんかなり成熟化しており、だからこそまだ余裕があるため、景気の落ち込みに対しても過剰な反応を示さなかったものと思われる。しかし、成熟から衰退に向かう前に改革が求められる。それはイギリスに先例が求められる。サッチャー氏の登場により、衰退するかに思われたイギリスはしっかりと立ち直りを見せている。小泉改革は実はかなり効果を上げているととれなくもない。少なくとも改革の路線を引いたことは確かであるし、後任者も同様な改革をすすめないと国民の支持は得られないものと思われる。改革が進めば衰退への道はなくなる。財政改革の必要性も国民が理解しており、旧来型の発想から抜け出せない一部マスコミが、景気優先と唱えているが、それに対して国民の支持が得られているとは思えない。本格的な景気回復はかなり先になるかもしれないが、回復への期待感はかなり強まっていることも確かであろう。


2002.5.22「10年国債入札」

本日10年国債の入札が実施される。ご存知のように10年国債の発行はシ団引受方式となっている。そのうちの25%がシ団の直接引き受けとなり、残り75%が競争入札によって落札される。引受シンジケート団による引受は以前には5年割引国債もそうであったが、発行が停止されており、3年割国は完全競争入札となったことで、現在は10年国債だけとなっている。1998年の年末からの債券急落、いわゆる運用部ショックをきっかけとして、日本の国債市場のなかにおける役割に変化が生じてきた。国債が大量に発行されるなかにあって運用部ショックの影響もあり、10年国債の増発は抑えられてきた。5年国債が発行されるようになり、その一回あたりの発行額は10年国債を上回ってきた。超長期国債も大量に発行されるようになり、次第に全体の発行額に占める割合が減少してきた。運用部ショックあたりまでは、まさに10年国債が債券市場全体のベンチマークであった。だからこそ、10年国債における入札状況は気にされても、当時の中期国債の落札結果などはあまり関心がもたれなかったため、2年債や4年債の未達の発生といったこともほとんど無視されてきたものと思われる。現在では発行額が1兆8千億円まで引き上げられているが、投資家のニーズが都銀などは中期主体、年金・生保などは超長期主体となっていることもあり、10年の存在感はさらに薄れつつある。シ団ねいずれ廃止されると思うが、それは10年債のベンチマークとしての役割低下もその要因になると思われる。


2002.5.21「ドイツの抵当銀行」

15日に実施された30年国債入札に絡んで話題となっていたドイツの法改正について続報が入っています。第4次資本市場振興法修正案は、先週金曜日(17日)、連邦議会(下院)で可決されたようです。これにより、連邦参議院における5月31日の審議・議決を経て、7月1日から施行される見通しがほぼ確実になったとか


2002.5.21「未達」

幸田真音さんの小説「日本国債」では国債の入札時に、発行額まで応札額が満たない未達の発生が国債暴落の引き金になっている。しかし、私は未達はほとんど起こりえないと思っていた。実際に起こったという記憶もなかったのだが、実はすでに何度も未達は発生していたのである。ただ、10年国債では起こっていなかったので、忘れられてしまったのかもしれない。数年前までは国債といえば10年債とか見ていなかった。中期国債の入札などあまり関心がなかったため、それが未達であっても騒がれなかったのであろう。しかし、現在では一回当たりの発行量はすでに10年より5年のほうが多く、10年国債の入札だけが注目されているわけでもなくなっている。このため、現在、もし5年や2年、超長期で未達が発生すると大きなインパクトが生じる可能性がある。しかし、これは過去なかったことではないことは覚えていたほうが良いかもしれない。


2002.5.21「柳家小さん」

「もしかしたら小さん」と道端で聞かれて「もしかしなくても小さん」と答えたという小さん師匠(5月18日日経新聞)。またも名人と言われる落語家がひとりいなくなってしまった。落語はやはり生で見ないとその迫力や面白さは伝わらない。まさに芸である。牛さん熊さんの会話も、落語がもとになっている。決して漫才ではない。自ら話だけであらたな世界を一人で作ってしまうのが落語家であり、名人になるとあっという間に観客も同化する。しかし、ここまで芸を磨き上げるのもたいへんなことであろうし、またそういった特殊な能力も秘めているのかと思う。努力だけでもがんばれるかもしれないが、たぶん息が続かなくなる。とにかくまた一人名人が去ってしまった。寂しい限りである。


2002.5.20「米国も公定歩合をロンバート化、事実上の公定歩合廃止」

米連邦準備制度理事会(FRB)は17日に連銀窓口貸し出し制度を改革することを発表した。新制度はプライマリークレジット(優先貸し出し)と名称が変更され、日本銀行や欧州中央銀行(ECB)のロンバート金利と同様の働きを持つ。現在フェデラルファンド(FF)金利を下回っている公定歩合による連銀窓口貸し出しは事実上廃止され、公定歩合をFF金利よりも高い水準に変更することで短期金融市場のひっ迫などでFF金利が跳ね上がるのを阻止する。これは、90日間にわたり一般の意見を聴取した後、実施に移す予定である。以前の日本の短期市場においても見られたことであるが、金融機関が日々の資金取り入れで予測を誤ったときなど、検査の厳しい公定歩合による借り入れを避けて、銀行間市場で資金を調達する傾向が強い。連銀貸し出しに頼るということは、その金融機関に対しての疑惑も真似かねない。そのため、無理してでも銀行間市場で資金を調達する金融機関が現れると、FF金利は誘導目標を大幅に上回る水準に跳ね上がり、連邦準備制度の金融政策に悪影響を及ぼしかねない。現行の連銀窓口貸し出しでは、こうした民間金融機関の想定外の資金需要を満たすことはできず、公定歩合も以前の日本同様に形骸化していた。FRBが連銀窓口貸し出しに適用する金利をFF金利誘導目標より高い水準に設定することにより、想定外の資金調達が必要になった金融機関でも比較的容易に連銀からの借り入れを利用できるようになり、不意のFF金利跳ね上がりを回避できる。FRBによるとプライマリークレジットは、経営状況が健全な金融機関を対象に、FF金利の誘導目標(現行1.75%)よりも、当初1ポイント高い水準で導入するとしている。経営状況の劣る金融機関にはFF金利に1.5ポイント上乗せするセカンダリークレジットを適用する。新制度実施後、金利を変更する場合は、これまでの公定歩合と同様に連邦準備制度を構成する12の地区連銀が個別にFRBに申請したのちFRBが最終決定することになる。


2002.5.20「税優遇を検討」

塩川財務大臣の税優遇は思ったよりも積極的なようである。格付け機関への意見書も当初はどこまで本気なのかと思っていたが、実際にはムーディーズの格下げ発表を延期させるほどの影響力を持った。今回の円高の背景に、ムーディーズは格下げを見送るのではないかといったものがあったが、その可能性も出てきていると思う。今回の個人向け国債に対しての税優遇についても、ないとは断言できないかもしれない。しかし、現在伝わっている個人向け国債の概要からは、税優遇措置がなくとも十分に売れる商品であると考えるため、さらに税優遇によってニーズが強まれば、来年の1〜3月3千億円ではあまりに足りなくなる。三ヶ月間で数兆円のニーズすらありえると思っている。財務省は個人向け国債に対してかなりの力を入れているとも思われる。市場参加者にとって個人の国債購入はあまり関係ないと思われるかもしれないが、保有シェアが海外投資家を上回るのも時間の問題とも思われ、もっとも安定した購入先となる個人は国債需給に対してかなりのインパクトをもたらす可能性がある。


2002.5.17「国債の税優遇措置」

塩川財務大臣は国債の税優遇に対して、「勉強してみたい」と前向きの発言をしたが、税優遇といえば、マル優制度がある。高齢者向けのマル優制度は廃止される予定になっているが、この明細は以下のとおり。

マル優制度とは、65歳以上の方(いずれ廃止)、遺族基礎年金を受けられる配偶者 、寡婦年金を受けられる方、身体障害者手帳を持っている方などが利用できる、少額の預貯金や公社債等の利子所得等などが非課税となる制度のことである。マル優、特別マル優、郵便貯金非課税制度の三種類があり、総称してマル優制度と呼ばれている。

「マル優」は、元本350万円までの利子等を非課税扱いにできる。マル優が使える商品は、国債・地方債・政府保証債・事業債・転換社債・ワラント債、設定日に購入した公社債投資信託、設定日に購入し安定運用であることが信託約款に記載されている株式投資信託、円建の外国債、そして預貯金、貸付信託・金銭信託などである。

「特別マル優」は正式には「老人等の小額公債の利子の非課税制度」と呼ばれ、マル優とは別枠でさらに1人につき元本350万円までの利子が非課税になる制度である。これは国債と公募地方債だけにしか認められていない。  また、郵便局では、マル優、特別マル優とは別枠で350万円を限度として、貯金の利子が非課税となる「郵便貯金の利子非課税制度」があり、これは国債にも利用することができる。

このマル優が適用される方は、国債を購入される場合には特別マル優、郵便貯金の利子非課税制度を含めて額面金額で最高1,050万円まで利子が非課税になる。マル優制度は、個人の国債投資において大きな利点となっていた。

高齢者を対象にするマル優制度は、2003年1月より廃止される方針が決められた。ただし、遺族基礎年金を受けられる配偶者 、寡婦年金を受けられる方、身体障害者手帳を持っている方など向けのマル優制度は存続される。

この高齢者向けマル優制度廃止にむけてのスケジュールは、次のようになっている。2003年1月以降、新たに設定した預貯金や購入した国債について、非課税枠の適用が認められなくなる。2005年末で制度そのものが廃止されるが、同年末までの期間に対応する利子は非課税となる。2006年1月以降の期間に対応する利子から、課税されることになる。マル優の対象者が、すでに預入期間の長い定期預金などを設定している場合、実際に利子に課税されるのは2006年からとなる。


2002.5.16「ドイツの抵当銀行法改正について」

昨日の30年国債入札に絡んでいるのではないかとみなされているドイツの抵当銀行法改正について。第4次資本市場振興法の一部ととして、連邦議会(下院)は3月22日に通過済みであり、現在上院で審議中。与野党協議により空売り規制などについて修正を加え、早ければ今週中にも下院で再議決される見込みであり、連邦参議院(上院)は5月31日に審議が予定されている。そして、早ければ7月中に施行の見込み(ドイツ語ロイターより)。

抵当銀行は格下げのために、ファンドブリーフ市場も魅力が薄れていることもあり、あまり鞘の抜けるアセットが無くて困っていると言われる。そのために、ユーロ域外のアセットが担保になるのは好材料。その中では、JGBが魅力的に映るとも思われる。ドイツのファンドブリーフは意外に規模が大きいといわれるが、これは最近の発行はユーロ・クレジットMTS(電子取引市場)に乗せないと流動性で劣ってしまうことで、サイズは30億ユーロ以上のものになるためである。


2002.5.16「30年国債とスワップ」

15日に実施された30年国債は外資系証券が積極的に応札した。欧州の投資家のニーズもあったと言われ、例えばドイツの抵当銀行とかが噂された。ムーディーズの格下げの懸念はあるものの、ドイツでは日本国債もリスクフリーとみなすのではとも言われている。ここのところ、海外投資家は円債を大きく売り越してはいるが、一部には買いも見えてきているものと思われる。しかも海外投資家からすると、この30年国債はかなり魅力的なものとなる。ただし、それにはスワップを用いなければならない。その仕組みについて、弊社の河合による解説をアップしたので、ご興味のある方は参考にされたい。ただし、これは会員の方のみの閲覧となるので、ご了承いただきたい。

「JGBアセットスワップの仕組み」


2002.5.16「イタリア格上げ」

日本国債の格下げが議論されているが、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは15日にイタリアのユーロ建てと外貨建ての長期債格付けを「Aa3(ダブルAマイナスに相当)」から「Aa2(ダブルA)」に一段階引き上げると発表した。これにより、日本はムーディーズの格付けにおいても、単独で最下位となった。また、3日にムーディーズはカナダの政府債務の格付けAaaに引き上げている。


2002.5.15「りんりんロード完成」

日経新聞の地方版(北関東)に「りんりんロード」完成との囲み記事が出ていた。このりんりんロードは我が家のすぐ近くを走っているのである。1987年に常磐線の土浦駅から水戸線の岩瀬駅までを筑波鉄道が結んでいた。途中、筑波山などもあり、休日には臨時列車なども走っていた。私の高校時代から予備校、大学までこの筑波鉄道を利用して通学していた。高校時代は晴れている日は主に自転車通学していたが、この筑波鉄道と追いかけごっこをした覚えもある。だいたいご想像がつくと思われるが、長くても三両、短いときは二両編成のディーゼル車であった。結構、この鉄道には愛着があったのか、廃線になってから、再び鉄道が復活する夢を何度も観た記憶がある。それが廃止されたあと、線路の処理についてはいろいろと意見が持ち上がった。その中でサイクリングロードにするという提案があったが、それは費用もかかり難しいと思った。しかし、なぜかそれが通ってしまい、全国で最も長いサイクリングロードが作られることになった。それがいよいよ完成したのである。全長40キロメートルに及び、途中筑波山を始めとして田園風景を眺めながられるサイクリングロードには休日ともなると、家族連れなどで賑わっている。家からすぐ近くにあったのだが、まだ下の娘達が自転車に乗れなかったので、サイクリングロードでの遠出はできなかった。しかし、今年は娘たちも全員自転車に乗れるようになった。どこまで行けるか、一度子供達を連れてサイクリングしてみたい。


2002.5.14「続、格下げと意見書」

本日、午前中にムーディーズは財務省に意見書の回答を送った。その回答に対して財務省は、ムーディーズの回答は格付け基準の定量的説明が不十分とコメント。S&Pに引き続きムーディーズも財務省の担当者と直接、会って意見交換するのではないかと観測されているが、ムーディーズは日本政府の格付け見直しの結論を5月中に出す予定とコメントしている。ムーディーズの日本国債に対する格下げの発表に際して、財務省の意見書がそれなりの影響を与えたのは確かであろう。回答に手間取っているのではといった観測もあるが、格下げを実施するならば、それなりの理由がさらに求められ、市場関係者もその対応にかなり注意を払っている。これまでどおりの構造改革の遅れといった、これまでどおりのコメントが果たして通用するのであろうか。ムーディーズの内部でもそれなりの意見の違いといったものがあるのかもしれない。市場では格下げもないのではといった見方も出てきている。ムーディーズは格下げをするにしろしないにしろ、しっかりした説明責任が問われることになりそうである。


2002.5.13「格下げと意見書」

「格付け」とは、債券などの元本や利息が、約定通りに支払われるかどうかの確実性を、専門的な第三者(格付機関)が評価して段階的に表示したものである。ある会社が債券を発行したいとき、格付け機関に費用を払って格付けを取得する。もしこの格付けが高いと、その企業の安全性が高いことが認められたわけで、高い利子をつけなくても債券を発行できるようになる。格付け機関は、こういった企業の格付けのほかに、独自で国の格付けも実施している。

米国の大手格付け機関のムーディーズ・インベスターズ・サービスは、日本政府発行の国債の格付けを、すでにAa3(ダブルA3)にまでに引き下げており、近々さらに一段階から二段階引き下げる見通しである。一段階下のA1(シングルA1)格の国には、エストニア、チェコ、チリ、バハマ、ハンガリー、ボツワナ。二段階下のA2(シングルA2)格の国には、イスラエル、キプロス、ギリシャ、ポーランド、モーリシャス、南アフリカ、ラトビアとなっている。(2002年4月末現在)。参考までに、米国、英国、フランス、ドイツ、カナダがトリプルAで、イタリアはダブルA2。

また、ムーディーズと並ぶ大手格付け機関であるスタンダート・アンド・プアーズ(S&P)は、2002年4月15日に日本の構造改革の遅延を理由に、日本の長期ソブリン(日本国債)格付けを自国通貨建て、外貨建てともに、ダブルAからダブルAマイナスに引き下げるとともに、アウトルック(今後の見通し)は引き続きネガティブ(引き下げる方向)とした。

これに対して財務省は、フィッチを含む欧米の格付け会社三社に対して、日本国債の格付けに関する異例の「意見書」を黒田財務官名で4月26日付で送付した。この外国格付け機関宛意見書要旨によると、

(1)日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。

(2)格付けは財政状態のみならず、広い経済全体の文脈、特に経済のファンダメンタルズを考慮し、総合的に判断されるべきである。例えば、以下の要素をどのように評価しているのか。
マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国
その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている
日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高

(3)各国間の格付けの整合性に疑問。次のような例はどのように説明されるのか。
一人当たりのGDPが日本の1/3でかつ大きな経常赤字国でも、日本より格付けが高い国がある。
1976年のポンド危機とIMF借入れの僅か2年後(1978年)に発行された英国の外債や双子の赤字の持続性が疑問視された1980年代半ばの米国債はAAA格を維持した。
日本国債がシングルAに格下げされれば、日本より経済のファンダメンタルズではるかに格差のある新興市場国と同格付けとなる。

2.以上の疑問の提示は、日本政府が改革について真剣ではないということでは全くない。政府は実際、財政構造改革をはじめとする各般の構造改革を真摯に遂行している。同時に、格付けについて、市場はより客観性・透明性の高い方法論や基準を必要としている。(財務省ホームページより)

これまでは、民間格付け機関の動向は無視していた格好の財務省ではあったが、度重なる格下げに対して、さすがに黙っていられなくなったのであろうか。国債を含めた国の債務が膨れ上がり、加えて構造改革は進展せず、景気も底を這っている状態が続いている。それが長期にわたれば、危機的な状況になる可能性は否定できない。しかし、財務省も指摘しているように、デフォルトを意識しての格下げは考えられず、日本の持っている対外債権や外貨準備といったものも意識する必要があるのも確かである。日本だけが政府債務を抱えているわけではない。金額ベースでみれば、米国も日本と同程度の債務を抱えている。ただし、GDPと比較すれば日本の債務は突出していることも事実である。それでも日本の長期金利は低位安定しているのは、日本はアルゼンチンなどとは異なり、対外債務を抱えておらず、国内でファイナンスができてしまうためである。国内金融資産にあっては国債が最も安全資産である。問題は、今後もこの政府債務は増え続けていくことにある。借換債や財投債の発行は今後も膨らむために、国債発行額は新規財源債を抑えたとしても、増加する傾向にある。そこで問題となるのはサスティナビリティーとなる。どこまで債務が維持可能か。これは需給バランスだけでなく、結局回りまわって国民の資産で国債を買っている以上は、我々の国債への信頼がどの程度まで可能かという問題にある。我々の信頼をなくせば、キャピタルフライトを誘発し、国内でファイナンスが不可能となれば対外債務に頼らざるを得なくなる。そうなった際には、長期金利は跳ね上がる。日本の金融市場の柱ともなっている国債の暴落により、金融市場は崩壊する。預貯金、保険、年金、日銀の資金のうちそのかなりの部分が国債で運用されていることを我々はもっと認識すべきである。国債が暴落すれば、金融市場全体がパニックに陥る。国債の格付けに問題があるのも事実であろうが、だからといって過去の国民の資産に頼りきってしまうのにも問題がある。国債暴落を煽ったり信じ込むのは勝手だが、それを起こさないようにするにはどうしたらよいかを我々は考えていかなければならない。


2002.5.10「一年」

水戸証券を退社してちょうど一年が経ちました。なんかあっという間の一年だったような気がします。皆様方には本当にこの一年、お世話になりました。いろいろと試行錯誤を繰り返しながらも、コンテンツの充実を図ろうとしているのですが、なかなか皆様のご期待に添えないところもあったかと思いますが、今後も努力は怠らないようがんばっていきます。どうか今後もご支援いただければと思います。


2002.5.8「硬直化」

どうも債券市場や株式市場は狭いレンジのなかでやや硬直化しているようにも感じる。株式は日本の景気の底打ち期待と、先行きの見通しに対する懸念から上にも下にもいけない状態。ニューヨーク株式市場の乱高下にも影響を受けてはいるが、レンジ内を上下しているだけにも思える。債券相場は、一言で言えば「下がらない」。投資家の押し目買いが入るため、下値には限度があり、ただし戻れば利食い売りが入る。相場のあやを少しでもとって期間収益に結びつけようといった入れ替え売りなども入っていると思われる。また、景気回復の期待がないわけでもなく、やはり上値には慎重。日銀が量的緩和を解除しない限り、長期金利の跳ね上がりも考えづらい。硬直しているといえば日銀の金融政策決定会合も、全員一致が続き形骸化しているとの声もあるが、それはやや的外れかとも思う。あたらしい審議委員はさすがに当初は様子見するであろう。これはこれまでどの委員もそうであった。その上、今あらたな金融政策を取る必要性がない。決定会合でなんで意見を戦わせないのかといった指摘があるが、何を期待しているのか。確かにこれまで何かといえば反対の立場をとってきた中原氏や篠塚氏も、実は意見を戦わせるというより毎度毎度同じような主張を繰り返されていたにすぎないとも思われる。その意味での形骸化は今に始ったことではない。執行部の意見が強すぎると、一部の政治家も騒いでいるが彼らの主張する金融政策のほうがよっぽど危ない。日銀執行部の意見が絶対正しいというわけではないが、債券市場から見る限りはできうる限りの最良の選択をしているように見える。個人的な感想を言わせていただければ、国債買いきりや当座預金残高は増やしても意味がないと思っている。もちろん、アナウンスメント効果といったものはあるにせよ。まあ、硬直化すると問題が多いのは、今の政治の腐敗ぶりを見ても明らかではあるが。


2002.5.8「経済物理学会よりお知らせ」
 

オーガナイザーの高安秀樹博士とスタンレー教授より、8月末に行われるバリ島での研究会のご連絡がありましたので、以下転記致します。
ECONONOMICS AND PHYSICS
August 29-31
Denpasar, Bali, Indonesia.

As you certainly know, in recent years a growing number of physicistshave begun working with economists on a set of problems of interest to both disciplines. Many of these problems can be attacked better from the interaction of experts on the related fields.

The aim of this meeting on economics and physics is to provide a forum where economists, finance experts, physicists and mathematicians can share recent results in common fields of interest. The tentative list of keynote speakers appears below; additional invited speakers are being confirmed.

The venue is the paridisic resort on Bali Island of Indonesia. The local organization committee has negotiated extremely low fares with GARUDA, the Indonesian national airline. Examples are 300 pounds return from London, 577 euros from Frankfurt, and 575 euros from Amsterdam, and approx 100 USD from Singapore. To access these fares, please refer to the documents on the conf web site; the most relevant information is the table of air fares from 20 different cities, and the code that Garuda will ask for: 542005. Garuda has agreed that the discount fares may be used for accompanying persons as well as by participants.

Air fares on other airlines are higher: about 600-1000 USD from most travel agents with access to "consolidation fares". On the web, anyone can obtain 1200 USD from JFK and 1100 USD from Frankfurt (www.orbitz.com, www. travelocity.com, and www.lowestfare.com). Hotel prices range from 20 USD/night to 95 USD/night (in the 5-star beachfront conference hotel).For registration form and more information, links to hotels or travel agencies please visit the conference web site: www.ekonofisika.com.It will be a pleasure to welcome you at this meeting.With best regards,Gene Stanley, on behalf of all 7 co-organizers:

MARCEL AUSLOOS Marcel.ausloos@ulg.ac.be
EMANUEL DERMAN emanuel.derman@gs.com
JANOS KERTESZ kertesz@planck.phy.bme.hu
ROSARIO N. MANTEGNA mantegna@unipa.it
JOSE SCHEINKMAN joses@princeton.edu
GENE STANLEY hes@bu.edu
HIDEKI TAKAYASU takayasu@csl.sony.co.jp

PS: THE PRESENT LIST OF KEYNOTE SPEAKERS INCLUDES:
David Sherrington, Oxford Univ
Thomas Lux, Univ. Kiel
John Sutton , London School of Economics
Stephen A. Ross, MIT Economics Department
Xavier Gabaix, MIT Economics Department
Fabio Pammolli, Univ. Siena
Constantino Tsallis, Rio de Janeiro, Brazil
Matteo Marsili, Intl Center for Theoretical Physics, Trieste, Italy
Yi-Cheng Zhang, Fribourg Switzerland
Didier Sornette, Nice, France
J-P Bouchaud, CEN Saclay, France
Michel Dacorogna, Converium Ltd, General Guisan, Zurich, Switzerland
Robert J. Shiller, Yale University and Cowles Foundation (tentative)
Marcel Ausloos, Univ Liege, Belgium
Janos Kertesz, Institute of Physics, Technical University of Budapest,Hungary
Rosario Mantegna, Univ Palermo, Italy
Hideki Takayasu, SONY Corporation, Tokyo Japan
Emanuel Derman, Goldman Sachs, NYC, USA (tentative)
Jose Scheinkman, Princeton Univ, USA
H. Eugene Stanley, Boston Univ, USA

ご興味おありの方は、高安氏までご連絡下さい。 takayasu@csl.sony.co.jp
尚、11月には日本経済新聞社主催の「第二回エコノフィジクス・フォーラム」も開催されます。弊社の倉都もオーガナイザーで参加予定です。


2002.5.7「ゴールデンウイーク」

ゴールデンウイークの後半四連休もあっと言う間であった。初日は父親の命日でお墓参り。4日に株主優待を使って「スパリゾートハワイアンズ」に行く。インターネットで高速が空いていることを確認して家を出たのだが、確かに道路は比較的空いていた。しかし、いわき湯元のインター出口が渋滞。高速出口から料金所まで一時間以上もかかってしまった。しかし、料金所からスパリゾートまでは、空いており、駐車場もいつもより混んでいたがなんとか駐車できた。しかし、温泉プールは、まさに芋荒い状態。結局、夜の9時近くまで遊んでいたのだが、その時間でもまだ泳いでいる人がいた。5日と6日は原稿書きなどをしながら、田植えなどの準備。親戚でもらってきた稲をバケツに植えて観察するのだそうだ。そういえば、6日に飼っていて沢蟹が死んでしまった。一年以上も生きていただけに、子供達もショックであったようだ。そういえば、ツバメは残念ながら卵が孵らなかったようで、今だ親鳥しか見えない。去年は二組のカップルが都合8羽の雛を育てただけに、今年も期待したのだが・・・。そんなこんなのゴールデンウイークであった。


2002.5.2「やわらかなあたまで日本経済の謎を解く」

昨日、ふと本屋で目にして買ってしまったのが、日経ビジネス人文庫から出されている「やわらかなあたまで日本経済の謎を解く」である。経済学者が書いているにしては、めっぽう読みやすい。「(インフレターゲッティング導入を巡る論争について)重要なのはいかに消費、そして投資需要を旧来型公共投資ではなく、需要側の構造改革で作り出すかであって、そのための方策を議論しなければならないはずである。インフレターゲッティングを行うか行わないかといったことは問題の本質ではない」あたりまえである。しかし、それすら理解できないとしか思われない学者もいる。「エコノミストや経済評論家と呼ばれる人の中には、財をなす人も結構いるようだが、そして大学に籍をおくケースも少なくないが、それはしかし学者の範疇には入らない」。なかなか手厳しいが、その通りであろう。加えさせていただければ、本来、学者の範疇に入るべき人が(財をなす)エコノミストになっているケースすら見受けられる。そういえば、大臣にもなっているケースもある。マスコミの露出度が高ければ高いほど財をなすエコノミストになるのであろうし、またマスコミは、犬が人を噛んでも取り上げはしない。芸能、スポーツなど娯楽番組はともかく、特に民放の経済番組に関しては、ある種のフィルターが必要になる。そのフィルターとして、この本は有効であると思う。


2002.5.1「意見書」

財務省は欧米の格付け会社三社に対して、日本国債の格付けに関する異例の「意見書」を黒田財務官名で26日に送付した。S&Pの格下げにより、塩爺もついに行動を起こさざるを得ないと判断したのであろうか。これまでは民間格付け機関の動向は、無視していた格好の財務省ではあったが、度重なる格下げに対して疑問を投げかけざるをえなくなったように思われる。国債を含めた債務が膨れ上がり、加えて構造改革は進展せず、景気も底を這っている状態が続いている。それが長期にわたれば危機的な状況になる可能性は確かに否定できない。しかし、塩爺を中心に財政の規律を守り、日銀も自国通貨を下落させるような政策を取らない限り、日本国債は国内でまだ十分ファイナンス可能である。外貨準備に加え、世界最大の対外債権を保有している。もちろん、それは我々国民ではあるが。ただし、ではどこまで借金が可能かとなれば、これは我々の政府に対しての信頼度によるものとなる。それを客観的に評価しているのが、格付け機関の格付けであるとも思われる。しかし、それが絶対的なものでもない。日本国債の格付けが下がれば、余計な負担が民間金融機関などにかかってくる懸念もある。格下げは正しいのか正しくないのか。これは一度公開討論なども必要なのかもしれない。


2002.5.1「不思議な森」

ライオンの王は、ビーバーと話をしようと森の奥にある湖に出かけた。その日は霧が立ちこめ、視界が利かずライオンの王は、道に迷ってしまった。そのうち、水音が聞こえた。ふと見ると湖が目の前にあった。しかし、そこはビーバーのいる湖ではなかった。よく見ると、まわりの木々には見たことのないおいしそうな実がたくさんなっていた。それを取ろうとすると、湖から声が聞こえた。「それを取ってはいけません」。ライオンの王はびっくりして聞いた。「なぜ、取ってはいけないのだ」。湖からまた声が聞こえた。「実を取るのは簡単です。しかし、そこまで育てるのはたいへんなのです」。「それぐらい、わかっている」と王は答える。「それならば、しっかりと大地を耕し、そこに立派に育つ、みんなが喜んで食べてくれる実の成る木を植えなくてはなりません」。「しかし、いま目の前にあるものをなぜ食べてはいけないのだ」王は再び問うた。「木を育てずに実ばかりもぎってしまったら、あとに何が残りますか」。王は答えられなかった。「必要なのは、今、実を食べることではないのです。必要なのはしっかり実のなる木を育てることなのです。」湖からの声はそこで途絶えた。再び霧が出てきた。ライオンの王は考えながら歩き始めた。実を食べることばかり考えるのではなく、木を育てることがなぜ大切なのか。再び、霧が晴れると、ビーバーの湖が目の前に広がった。迎えに来たビーバーの長老は、ライオンの王に近づいて言った。「どうしたのです、驚いたような顔をして」。ライオンの王は答えた。「これからやるべきことがわかったような気がする」


平成14年4月分 平成14年3月分 平成14年2月分 平成14年1月分 平成13年12月分 平成13年11月分 平成13年10月分 平成13年9月分 平成13年8月分 平成13年7月分 平成13年6月分 平成13年5月分 平成13年4月分 平成13年3月分 平成13年2月分 平成13年1月分 平成12年12月分 平成12年11月分 平成12年10月分 平成12年9月分 平成12年8月分 平成12年7月分 平成12年6月分 平成12年5月分 平成12年4月分 平成12年3月分 平成12年2月分 平成12年1月分 平成11年12月分 平成11年11月分 平成11年10月分 平成11年09月分 平成11年08月分 平成11年07月分 平成11年06月分 平成11年05月分 平成11年04月分 平成11年03月分 平成11年02月分 平成11年01月分 平成10年12月分 平成10年11月分 平成10年10月分 平成10年9月分 平成10年8月分 平成10年7月分 平成10年6月分 平成10年5月分 平成10年4月分 平成10年3月分 平成10年2月分(その2) 平成10年2月分(その1) 平成10年1月分(その2) 平成10年1月分(その1) 平成9年12月分 平成9年11月分 平成9年10月分 平成9年9月分 平成9年8月分