「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」


2002.9.27「札割れの影響」

20日の10年国債入札における札割れの影響をもう少し考えてみたい。今回の札割れは、いろいろな要素が絡み合って発生したため、国債の需給悪化とか投資家が国債を買わなくなったということが原因ではない。しかし、毎月のように何兆円と発行されている国債に対して、なにかの事情で今後、札割れ、もしくは未達が発生してもおかしくはない。塩川財務相は、今後、未達は起こさせないとコメントしていたが、事情によっては未達もあってしかるべきと考えておいたほうが良いかとも思う。ただし、今回の札割れにより、さらに国債管理政策をさらに強化する必要がある。10年国債の入札が来年2月より前月末から当月初めになる可能性もでているが、入札日から発行日の期間短縮も当然ながら必要なことであろう。特に来年からは券面が全面的に廃止されるため、さらに改革の余地が広がる。事業法人に対しての源泉課税も、ペーパレスもあって廃止される見込みである。来年2月からは個人向け国債も発行される。安定消化先として個人の国債直接保有は、財務省としても増加させたいものと思われるが、販売金融機関の対応なども考えると、早めに詳しい仕組みについても発表があればと思う。さて、来週は1日に2年、3日に5年国債の入札が実施される。10年札割れのあとだけに注目されるが、さすがに財務省もこの入札には年には年を入れてのぞむものと思われ、未達が発生する懸念はないものと思われる。ただし、相場自体は期初の益出し売りなどの可能性もあって、中期ゾーン主体に売り込まれる恐れもあり、予断は許さない。この入札を無難にこなして10月22日の10年国債入札も順調であれば、札割れショックも後退するであろう。


2002.9.26「ブルムバーグTVと新丸ビル」

ブルムバーグTVに出演させていただき、「日本国債は危なくない」の宣伝も兼ねて国債市場についてコメントをさせていただいた。日銀ショックや未達ショックなどがあり、再び国債に対しての関心が高まっているが、結果としては残念ながら多くの方の期待を裏切って国債相場は暴落することなくしっかり値を戻している。結局、「国債は危なくない」のであろう・・・たぶん。その後、今をときめく新丸ビルで昼食を食べた。中に入ってびっくり。昔の浅草や出来たころの東京タワーのような混雑ぶり。まさに東京の新名所。35階のレストランに行くのもすでに長い行列が出来ている。いったい何がこんなに人をひきつけるのであろうか。丸ビルという歴史が人を呼ぶのであろうか。人が集まるところには当然その理由がある。そしてその理由を分析することも景気回復のためのひとつの手段とはなりえまいか。国民から借金してただビルを作ればよいという発想だけでは、もうなんの経済効果もないことを早く理解してほしい。


2002.9.25「2002年6月末の国の債務残高」

2002年6月末の国の債務残高は627兆3900億円。財務省


2002.9.24「日本国債は危なくない、いただいたご感想」

国債と付き合う上で有用な知識が、うまくピックアップされ、分かりやすい言葉で書かれていて、親しみやすいと思いました。 個人も資産運用の多様化を考える必要が出てきた現在の時勢にとてもよく適ったものだと思います。それでいて、国債をめぐる制度変更や、小泉政権のスタンス、格下げ等、カレントな話題もフォローされていて飽きない内容で、一気に読めました。

「日本国債は危なくない」を拝読しました。「日銀」、「未達」、「先物ストップ安」等のキーワードがマーケットの最重要キーワードとして乱れ飛ぶまっただ中での本書の発売はまさにタイムリーです。連休中日経新聞の各種日本国債関連記事と合わせて読むことができました。全体の分量が170ページ程度であるのにそのうち50ページも「国債の歴史」にページを割くのは多すぎるかな、という印象でしたがここ数年で矢継ぎ早に出される日本国債に関連する施策はまさに歴史の積み重ねの末になされているので必要かなと読後感じました。


2002.9.20「10年国債入札で初めての札割れ発生?」

9月20日の10年国債入札において、10年国債としては初めての「札割れ」が発生した。10年国債の発行額は一回当たり1兆8000億円である。その75%の1兆3500億円が競争入札となるわけだが、入札予定額1兆3500億円に対して、今回、業者の応札額は1兆1852億円しかなく「未達」が発生した。ただし、10年国債には国債引受シンジケート団が存在し、入札予定額に満たない分は、シ団のシェアによって割り振りされるため、当初予定された発行額の1兆8000億円の発行は可能となり、実質発行額が予定発行額に満たない「未達」ではなく「札割れ」との表現になる。

この札割れはなぜ起こってしまったのであろうか。その大きな原因は、債券相場が10年ゾーンで1%まで上昇していたことによるものであった。デフレ継続による時間軸の拡大、そして小泉政権の財政構造改革推進による国債への信認、そして金余りといったものを背景に国債主体に債券が買われ、5年国債の金利も史上最低水準にまで低下していたのである。このように長期金利がかなり低金利となっていたところに、日銀ショックが発生した。

18日、日本銀行の速水総裁は、金融システム安定化策としても日銀が直接に金融機関から株を買い取ることを発表した。これを受けて、債券先物が急落。1999年6月11日以来のストップ安をつけたのである。なぜ、日銀が株を買い取ることで債券が売られるのか。その最も大きな理由は、国債に対しての信用に影響が及ぶと思われたためである。日本銀行は通貨の番人とも呼ばれるが、国内で唯一、日銀券つまりお金を発行している銀行である。もし、日銀がリスクのあるものを買い込んで、日銀券の信用力の裏づけとなる日銀の資産を劣化させれば、通貨、つまり円が大きく売られる可能性がある。日本の通貨に対する信用がなくなれば、国債に対する信用にも当然ながら影響を及ぼすためなのである。

実際に日銀の株買い取りが発表された直後には、円安が進んだ。ところが、日経平均などが上昇したことで、円は反転買い進まれたのである。つまり通貨に対しての信用が失われるとの思惑は一時的であった。それにもかかわらず、債券は売り込まれてしまった。この債券の下落の大きな要因は、相場の急ピッチの上昇にあったと言える。こののち債券相場は乱高下を繰り返し、かなりのポジションを抱えていた金融機関は身動きがとれなくなってきた。また9月決算も影響してか、積極的に10年国債を買えるところが限られてきた。そんななかでの10年国債入札であったために、札割れが発生したものと思われる。

また、今回の10年国債の入札は休日前に実施するという異例の事態であったことも影響していると思われる。通常、10年国債の入札は、慣行上、三連続営業日の真ん中に実施される。しかし、今回は三連休が続いたことなどからスケジュールから三連続営業日の真ん中の日の入札が行えなかった。以前もスケジュールにより休日前に実施されたケースもあったが、私の記憶では三連休の前日というものはなかった。しかも、この日は政府のデフレ対策が発表されることになっているなど、業者・投資家ともポジションを取りにくかったことは確かであろう。

札割れが発生したことで、先物は再び前日比1円以上も下落したが、それほどパニック的な売りとはならなかった。今回の札割れは特殊要因が重なったためとの認識であろう。


2002.9.20「日本国債は危なくない」

本日、文藝春秋社より新書「日本国債は危なくない」が全国書店にて発売されます。日本国債に対して関心を持っていらっしゅる一般の方々にも、わかりやすいように努めて執筆いたしました。当初は本になる原稿の数倍の量の原稿があったのですが、やや専門的なものなどをカットし、まさに入門書としてお使いいただけれるような本となっております。国債を個人が買い付けるための税金や手数料などの知識に加えて、国債市場の参加者、国債の歴史、そして国債の安全性など、多少薄い本ではありますが、内容は充実したものとなっております。価格も新書ということもあり660円(税別)とお手軽な価格となっております。ぜひお買い求めいただき、ご感想などお寄せいただけるとうれしいです。よろしくお願いいたします。


2002.9.19「石を投げ返す」

昨日の日銀による金融機関保有の株式買い取りの発表は、債券相場にとって一時的にショックを与えたものの、冷静にみればそれほど懸念すべきものではないのではとも思える。日米首脳会談後、小泉首相は本気で不良債権処理を手をつけようとの意向が見えてきた。そこで今回、日銀にまた石が飛んできたため、禁じ手まで出してしまったとの見方もあろうが、どうも実際には違ったようにも思える。公的資金導入などによる不良債権処理は速水総裁の自論でもある。首相がそれを積極的に推し進めるというのならば、日銀が政府に対して石を投げたとしてもおかしくはない。朝日新聞の記事によると速水総裁は、金融システムを立て直すという日銀内部での勉強会に「そんなに悠長にやっていると、おれの寿命がなくなるぞ」とはっぱをかけたと言われる。すでに77歳という高齢・・・ではなく、来年3月末に任期満了となる前に、少しでも不良債権処理を促進させ、金融システムを安定化し、景気を立て直した上でデフレを解消するという筋書きを作りたいのではなかろうか。結果として出したのが禁じての株購入だが、それを金融政策とは完全に切り離した点に注意が必要である。昨日のニュースを見ていて気になったことがあった。竹中大臣が「そんなこと聞いてない」と発言したのである。ここにきて不良債権処理などに積極的な発言が目立っていた竹中氏が日銀の情報を掴んでいなかった。反面、決定会合後のコメントで「現状維持」に対して塩川大臣は積極的に評価した。これはおかしいと思ったが案の定、通常の政策委員会で株購入が発表されたのである。日銀法43条の問題もあり財務大臣には話しが行っていたとしてもおかしくはないが、同じ経済閣僚の竹中氏が知らなかったというのも面白い。ここからは個人的な解釈になるが、日銀は不良債権処理には積極的に出るとしても、デフレ対策のためあらたな緩和策を用いることに対しては反対したものと思われる。黒田財務官のオフレココメントのインフレターゲットを意識したETFや株の購入といったものは是可否でも避けたかったものと見られる。ETF購入やインフレターゲットを要求していたのは竹中氏も同様であった。仮に金融政策の一環としてインフレターゲットを採用した上での株式購入を実施した場合には、日銀への信用が大きく失墜する懸念もあったはずである。それを切り離して、金融システムの安定化のためとすれば、むしろ政府の不良債権処理を推し進める起爆剤ともなりうる。問題は政府である。日銀が禁じ手まで使って金融システムを安定させることを望んでいる以上、政府も積極的な処理を進めるべきであろう。ただし、小泉政権の生命線ともいえる財政構造改革に矛盾するような対策は控えてくると思われる。塩川財務大臣の姿勢を見る限りに置いてその点はそれほど懸念はされないとは思われる。石が飛んできた政府がどのような行動を起こすのか、あらためて注目していきたい。


2002.9.18「日本国債は危なくない、より一部抜粋」

国債は市場で取引されている、その市場価格の形成にあって、市場参加者の心理というものが、たいへん大きな役割を占めている。市場参加者が財政の規律に歯止めがかからないと予想するだけで、長期金利は上昇してしまう危険がある。・・・日銀に資産インフレを起こさせようとの意見もあるが、これはインフレを引き起こすことで、国の借金を帳消しにしてしまおうというものであろう。それによって被害を蒙るのは、我々国民であることを認識すべきである。また、日銀がリスクのあるものを買い込んで、通貨の信用力の裏づけとなる日銀の資産を劣化させれば、通貨、つまり円が大きく売られる可能性がある。そして、我々国民自身が、日本の通貨や国債に対する信用を無くした際には、国内資産が海外へ逃避するという最悪の事態すら考えられる。金融資産の国外への逃避が発生したときに、国債の暴落は起こりうる。(第五章 国債の安全性より)


2002.9.18「ストップ安」

日銀は金融政策は現状維持のままとしながらも、金融システムの安定化のために金融機関の保有株式を日銀が直接購入することを速水総裁は会見で発表した。日銀券の信用の裏づけとなるのは日銀資産となる。その資産は日銀法で制限されており、株式のようなリスク資産を保有することを禁じている。それにもかかわらず日銀は、日銀法43条の例外規定を適用してまで株式の買い取りを決定した。買い取りは時価がベース。Tier1を越えた過剰株式に焦点。これはおおよそ7兆円程度と言われる。保有株式は10年程度は日銀は保有する。株式買い取りは金融調節手段としての位置付けではないともコメントがあった。まさに、日銀は昨年の量的緩和に続いて思い切った措置をとったと言える。日銀に対する信用失墜が日本国債に対する信用失墜に繋がると連想したのか、債券市場は急落。債券先物は数度の板寄せをしたのちストップ安をつけた。日銀はまたも禁じ手を使ってきた。米国からの要請などにより不良債権処理に対してなんらかのアクションを起こさざるをえないことで日銀に白羽の矢がたったのかとも思われる。債券市場は10年金利が1%程度まで低下していたこともあり、売り材料には敏感になっていたことも確かであろう。また、これだけ大量に発行されている国債を支えているのは「信用」である以上、信用にかかわる材料に過敏に反応してもおかしくはない。ただし、肝心の通貨の下落は一時的。むしろ円は買われている。また、短期金利も落ち着いた動きとなっており、債券だけ過剰反応を示したともいえそうである。まさにパニック相場。最近はこういった相場がなかったが、過去には何度も経験している。実際にイブニングセッションでは、大引けより1円以上も反発している。国債も価格変動リスクがあることを今更のように思い知らされた相場であった。しかし、日銀が少し変な方向を向き、それを政府も好感。今度は政府も何かしら、予想外の対策を打ち出した場合に、今度は本当に国債への信用失墜に繋がる懸念もあるので注意が必要となろう。


2002.9.17「国債管理政策」

昨日コメントした黒田財務官の発言は実はオフレコであったらしい。一部情報ベンダーが流してしまったことで、材料視されたようだ。それでも、そういった発言はあったことは事実である。それはさておき、「財務省と日銀が人為的に長期金利を上げない努力をしている」といったコメントを見かけるときがある。財務省は半ば強制的に金融機関に国債を買わせている。日銀も国債発行を支援するために国債の買い切りを実施していると。これが評論家などマーケットを知らない方が発言されているならば、それはそれで御勝手にとなるが、もしマーケットを少しでも経験している者がコメントしているとなれば、本当にマーケットを理解されているのか疑いたくなる。銀行のフルディーリングが認められるまでは確かに金融機関はシ団を通じて半ば強制的に国債を引受させられていた。その国債は日銀の買いオペで吸い上げられてはいたのであるが。シ団は現在も10年債の一部に残っている。日銀も毎月1兆円もの国債を買っている。今年度の国債市中消化額は105兆円ある。日銀がオペで買っている12兆円と10年国債の発行額の25%は5兆4千億円。財務省と日銀が努力して買っている、もしくは買ってもらっている国債は20兆円に満たない。また、日銀がゼロ金利政策をすることで長期金利の上昇を抑制しているということもいいたいのかもしれない。また、財務省とのつながりを得るために国債市場懇談会メンバー参加資格を得ようと業者は無理に国債を入札しているとも言うのであろうか。確かに結果としては長期金利の抑制効果として働いてはいる。しかし、日銀が金利をゼロ近辺に置いているのはデフレ対策であり、そもそもデフレを解消させるためのものではないのか。財務省が巨額の借金である国債をなんとか管理していくことは間違っているのであろうか。国債をばんばん発行しても長期金利が跳ね上がらないように強制的に押さえ込んでいるのであろうか。そもそも国債を中心とする債券市場は管理された相場となっているのであろうか。銀行は融資などに資金を向けずに無理に国債を買わされているのか。国債が暴落しないのがおかしいという観点でものを考えると決して真実は見えてこない。


2002.9.17「黒田財務官」

13日夕方の日米欧の経済セミナーで財務省の黒田財務官がスピーチし、その内容をきっかけとして円安が進行した。「日銀は長期国債の購入を拡大、もしくはインフレ目標を設定する、あるいはその両方を実施するなど従来なかった方策を採用すべき」と発言、「それも困難だった場合には、最も残念なことではあるが、通貨当局が国際的には不人気な外国為替市場への介入を利用することを強いられる可能性がある」ともコメントした(出所、ロイター)。日米首脳会談やハバートCEA委員長の来日などをきっかけに、13日コメントしたように政府が明らかに変わってきている。この場合の政府とは小泉首相自身のことと言えるかもしれない。かなり影が薄くなっていたようにも思える竹中担当大臣の発言力も増しているといった感じも受ける。ハバート氏との人脈が影響しているとも言われる。しかし、黒田氏のコメントはかなり奇妙とも言える。何を今更の「インフレ目標値」なのであろう。これは竹中氏も昔から導入すべきと言及している。しかし、目標を立てるのも結構だが具体的なインフレを創出させる施策はあるのか。それとも、ETFを60兆円も買えばよいのか。それでもきかないと円安誘導というのもまた奇妙。円安にすることで本当に景気を良くできるとお考えなのであろうか。確かに過去の諸外国の事例、たとえばプラザ合意などを見ても自国通貨を切り下げることで景気を刺激してきた例はある。しかし、日本はまったく実情が異なる。ちなみにプラザ合意の際、米国債が急落しなかったのは日本の投資家が買い支えていたからである。円高が企業収益を圧迫し個人消費を低迷させている根本的な原因なのであろうか。円安にすれば昔の経済学の教科書どおりにインフレを創出させ景気に刺激を与えられるのであろうか。デフレは構造的なものが要因であり、為替によるものではないのではないか。そもそも輸入物価の上昇圧力程度でインフレを創出させられるのか。また輸出企業に恩恵はあろうが、それが日本全体の景気を引っ張り上げられるほどの効果があるのか。それは構造改革をむしろ阻害するのではないか。インフレ創出で政府債務圧縮を狙うのも良いが、日本政府の債務は日本人の個人に負っている。アルゼンチンや以前のロシアのように対外債務を帳消しにするならまだしも、自ら首をしめる政策をとることを国民が黙って見ているとでも思うのであろうか。「円安」がデフレ対策になるという図式を現状認識の上ではっきり示してほしい。


2002.9.13「不良債権処理」

ここにきて、ブッシュ大統領に不良債権処理を公約するわ、RCCによる不良債権処理の価格を引き上げるといった報道など、外圧が不良債権処理にかかってきた感がある。確かに「何をやっているんだ」と言われて返す言葉がなかったのかもしれない。柳沢金融担当相は 「決済預金導入の猶予期間、1年では長すぎる」といったコメントもしており、米国サイドから不良債権処理に加え、来日中のハバードCEA委員長からも減税要求があったものと思われる。9日の経済諮問会議の議事要旨には、小泉首相は財務省に対して「財務省のやってきたことが全部正しいと思ったら大間違いだ」といった発言が掲載されている。株安などで構造改革を進めるには躊躇があり、また財減税に対しては財政問題も絡む。結局、それが進展するためには外圧が必要なのであろうか。


2002.9.12「横断歩道」

歩行者が青信号で横断中、左折もしくは右折の車が横切らないようにする「歩車分離式信号」を導入したところ、交通事故が大幅に減少することが調査でわかったという(毎日新聞)。自分で車を運転していても確かに右折もしくは左折する際にはかなり注意しなくてはならない。また、歩行者として横断しているときも、我が物顔で曲がってくる車に出会うことは頻繁にある。歩車分離式信号にすれば、歩行者と車の接触事故は大きく減少するであろうことは、誰にでもわかる。それではなぜ今まで、「歩車分離式信号」が導入されなかったかといえば、それによってラッシュが起きると想定していたためらしい。ところが、分離することでむしろ流れがスムーズになり、ラッシュが緩和するという結果がでたとか。この信号導入は、ご家族の方が交通事故にあわれた方が、署名運動などを行ってやっと認められたものであるとか。道路を作ることばかり考えている政治家には、こういった発想は浮かばないであろう。しかし、どこかの高速道路の建設を止めれば全国の信号機を「歩車分離式信号」に代えられるのではなかろうか。


2002.9.11「事業法人の国債利子にかかわる源泉課税を免除」

10日の日経新聞によると、現在、事業法人が国債投資を行う際に利子に発生する所得税と地方税を合わせた20%の源泉課税を免除し金融機関同様に毎年一括課税する方式に移管することを財務省が検討しているという。事業法人が国債を売買するにあたってこの源泉課税がかなり不利な要素となっていた。金融法人が売り買いする際には非課税であるため、課税に対するニーズが極端に限られていたのが要因である。ただし、問題は税金の納付。これを解決するために導入されたのが、事業法人の識別番号制。税務署の審査後に番号を取得することで、年末に国債利子と事業活動で得た利益を合算して申請が可能となるためである。これによって今後、課税で売り買いするのは個人と一部海外投資家ということになる。個人の場合は納税者番号制が導入されれば、事業法人同様の手続きにより非課税での買い付けも可能かもしれないが、それはそれで住基ネットのような問題も発生する。なにはともあれ、事業法人の源泉税免除により国債市場改革も一歩前進したといえる。


2002.9.11「9・11」

あれから一年。いろいろな人がいろいろな思いをこめてこの日を迎えていると思う。NYの透き通った青空に浮かんでいた2つのタワーに影がよぎった瞬間、全世界の人々の脳裡に刻まれた悪夢が起きた。それは夢であってほしかった。映画の1シーンであってほしかった。しかし、現実には数千人の命が失われた。よもやそんな映像を見ることになるとは思いも拠らなかった。人は人である限り、争いは避けられないであろう。しかし、その争いに関係のない人々を巻き込むことは許されることではない。あらためて犠牲者の方々のご冥福をお祈りしたい。


2002.9.10「日本国債は危なくない」

今月20日に、文藝春秋社より新書として「日本国債は危なくない」を出させていただくこととなりました。内容は、国債の基本的なことから、その安全性についてまで、まさに入門書といったものになります。当初の原稿は最終的に出来上がったものの数倍あったのですが、難解な箇所などを削除した結果、たいへんコンパクトながら、必要なものは詰め込んだつもりです。特に個人が国債を購入するに際しての注意点等を網羅していますが、たとえば利回り計算の際の日数計算の仕方や経過利子の算出方。また、国債の歴史やその安全性についても解説しています。専門の方々は国債について見直す意味で、また、直接国債市場には関係のない方は、まさに国債の手引きとして、そして個人向け国債などへの投資を考えていらっしゃる方にも入門書として活用していただけると思います。ぜひお買い求めいただければと思います。必要ならサインしますので???。


2002.9.9「北浜流一郎さん」

株の世界で著名な、北浜流一郎さんのラジオたんぱの番組のゲストとして出演させていただいた。金曜日の夕方に収録。カリスマ的な方だけに、いったいどのような方かとちょっと不安もあったが、お会いしてみるとたいへん気さくで、楽しい方であった。番組もたいへん楽しく、私もほとんど緊張することなく、国債の話しなどをさせていただいた。スタジオには以前お世話になった方が、わざわざ私に会いに着ていただいたりして驚いた。放送は翌朝。つまり土曜日の朝であったが、どなたか聞いていただいた方はいらっしゃらないだろうか。よろしければぜひご感想を。


2002.9.6「株安は債券の売り材料ではない?」

企業会計疑惑などを発端とした米国株式の下落により、日本株も下落基調となっている。これまで上昇基調を続けていた債券相場も、この株安につられるように反落した。債券先物中心限月の9月限は、8月30日につけた史上最高値を3日に更新し141円62銭をつけたが、日経平均がバブル後の安値を更新したことで、銀行の益出しのための債券売りや、追加財政政策などが「連想」されたのか、先物は141円02銭まで急反落したのである。この日のニューヨークダウ平均株価は355ドルも下落し、これを受けて4日の日経平均株価は1983年8月以来となる9000円を一時割り込んだ。債券先物も下落しも141円の大台を割れ140円81銭まで下落した。5日には米国株の反発により日経平均も上昇したことで、債券も買い戻しが入り先物は再び141円台となった。そして、週末は再び米国株が下落し、日経平均も下げたにも関わらず、債券先物は買われており、株価との連動性が薄れてきた。

はたして、債券相場は本当に株式相場に影響を受けているといえるのであろうか。途中までは株安により債券も売られたように見えるが、実際のところ株安が債券の売り材料になっていたのかどうか疑問である。もし、株安が債券の売り材料とされるとすれば、どのような理由があげられるであろうか。

まずひとつは、銀行などが保有している株式の評価損失が膨らむことによる、債券での益出し売りがある。また、株安によってリスク許容度が低下することで、価格変動リスクがある債券を売却するといった見方もある。

ところが、今回についていえば、金融不安といったものに対する懸念は薄い。それというのも、日銀が潤沢に資金を供給しており、短期金融市場はかなり落ち着いたものとなっており大手銀行の資金調達にはなんら支障はない。また、懸念されたペイオフ全面解禁も事実上延期される見通しが広がったことで、これによる金融不安も解消されつつあるといえる。加えて株安はデフレを加速する要因ともなりうる。つまり、このところ債券相場を押し上げている大きな要因のひとつである、時間軸の拡大がさらに進む可能性がある。そうなれば、株式の評価損失を埋めるために、債券の益出し売りを仮に行ったとしても、また債券を買いなおす必要がある。つまり今後もさらに債券の価格が上昇することが予想される。

また、株安が債券売りとなる要因として、政府による経済対策も挙げられる。つまり、経済対策に補正予算などを組めば国債の増発が予想され、これによって小泉首相の新規財源債30兆円枠の公約が守られなくなり、財政規律が緩むことで、国債が売られるといったことが考えられるためである。

しかし、この点についても、今回の株安が米国の影響が大きいことにもあり、日本だけ対策を講じても限界があること。また、小泉首相や塩川財務大臣は依然として財政再建を主軸に置いている点などによって、これもまた債券の売り要因とはなりづらい。  6日の東京株式市場では日経平均が再び一時9000円割れとなったにも関わらず、債券相場は堅調であった。これはまさに上記の理由によるものである。週初は株安に影響され債券が売られたように見えるが、ここのところほぼ一本調子の上昇であっただけに、実は調整売りが入りやすい状態であったことが主因と思われる。今後は、さらに債券と株との連動性は薄れていくものと思われる。


2002.9.6「あらたな命」

我が家でもあらたな命が誕生した。えっ、4人目かって・・・。いや子供のことではない。子供達がメダカ釣りで取ってきたメダカがどうやら卵を産んだ。それを別の容器に移しておいたのだが、昨日、やっと目に見えるぐらいのメダカの赤ちゃんが泳いでいるのを家人が発見。6匹程度生まれたようである。我が家にはハムスターを始め数種類の生き物がいることは以前、こちらで書かせていただいたが、卵から孵ったのははじめてであった。あまり上手に飼っていないのではといわれれば、それまでであるが、それ以前にオス・メスの区別すらなかなか難しいという事情も・・・えっ、調べればわかる?。とにかく、これからうまく育てられるかどうか。しかし、メダカの子供は透明で、本当に小さいものなのですね。しみじみ・・・。


2002.9.5「続々個人向け国債」

3日の国債市場懇談会の資料として「個人向け国債の商品設計(案)」が理財局より提出された。このなかであらたに示されたものがいくつかあったために、あらためてご紹介したい。満期は10年。利払いは半年に一回。金利は変動。金利の決定に際しては、定数方式となる。これは基準金利から当初決められた定数を差し引いたものを金利とする方法である。その基準金利となるのは10年国債金利(又は5年国債金利)とする方向で検討。中途換金については政府が応じる。この中途換金価格は、額面金額と経過利息相当額を加えたものから、中途換金調整額を差し引いたものとなる。中途換金調整額は過去二回分の利息相当額となる。据置期間は1年間となる。

あらたに示された点として、基準金利は10年もしくは5年国債の金利となる点。ここのところの利回り低下で5年国債の金利は一時0.3%割れとなっていたが、もし5年国債の金利が採用された場合には定数次第ではこれがゼロ近くになる恐れもある。そして、当初半年とみられていた据置期間が1年となった。これによって1年後に解約した場合には、利息はつかないものの元本はそのまま帰ってくることになる。

東京都で発行した個人向け債券200億円が80分で完売したことがニュースになったが、地方債よりも安全性が高く元本保証されているこの個人向け国債へのニーズはたいへん強いと思われる。他の金融商品に比べ有利な点が多いこともあり、金利を決定する際の基準金利と定数に注目が集まりそう。最低でも0.1%程度が利息として確保されるようならば都債同様、3000億円が瞬間蒸発となることも考えられる。


2002.9.4「30年国債増額と5年国債減額」

投資家からの要望が強かった30年国債の増額が来年1月から実施されることとなった。来年の1月に3000億円追加発行され、これにより当初予定されていた30年国債の発行額が6千億円から9千億円となった。そして、来年度は四半期に一度の発行となる。また、これにともない来年1〜3月の5年国債の発行額が一回あたり1千億円減額されることも発表された。5年国債の減額については、意外感もあったが、個人向け国債に関しても3千億円の発行額で足りない場合には増加する分、今年度予定されている他の国債を減額するといったことも発表されていた。国債のなかの借換債については前倒し発行が可能のため、これを利用する方法があるにも関わらず今年度の表面上の発行額を30兆円に抑えることは、やはり小泉首相の公約を意識したものと思われる。それを考えれば5年国債の減額は3月までとも読めなくもない。実際に来年度の国債発行計画はまず予算案を固めてからとなるため、現時点で来年度の発行まで意識する必要はない。ただし、人気薄となっている10年債ではなく、なぜ5年債なのか。これは結局、2008年度(1998年度のなんでもあり対策による10年国債の大量発行)の大量償還を意識したものと考えざるをえない。つまり、国債発行額、この場合は来年度の市中消化額はまだ固まっていなくとも、5年国債に関しては発行額を抑制したいとの意識の現われとも思われる。従って、5年国債の発行額は一回当たり1兆8千億円が来年度に入っても継続される可能性は強いものと考えられる。ただし、総発行額はほぼ間違いなく増加する。30国債は6千億円増額されることとなりそうだが、そこに個人向け国債が1兆円程度加わっても、今年度からすれば4千億円程度の増額にしかならない。10年、20年国債の増額と15年変動利付国債の増額といったものが必要になってくるものと思われるが、とにかくこれらは予算が固まってからの話になる。


2002.9.3「物価連動国債」

1日の日経新聞に、インフレ連動国債に関しての記事が掲載された。期間は10年以上で、利子は定額に固定。物価が上昇すれば償還時の元本が増えるというものであるとか。当初は数千億の発行を予定している。しかし、この報道に対して、財務省の武藤事務次官は来年度発行については否定的なコメントを出している。たしかに、インフレ連動国債をいずれは発行したいとの意向も財務省にはあるであろうが、いくつかハードルもある。そのひとつが米国でも問題になった物価を示す指標の問題である。物価を示す指標としては、消費者物価指数・卸売物価指数・GDPデフレータといったものが代表的なものである。今回のインフレ連動国債では、消費者物価指数を念頭におかれていたかと思われるが、この指標についても、いくつか問題も過去指摘されてきた。内容自体も問題視されたこともあり、大幅な入れ替えもあったが、この内容の変更といったものをどう取り扱うのかといった問題も生じる。また、償還差益に対しての課税といった問題もあり、主税局との折衝なども必要とされる。そして、それ以前にCPIなどは下落が続いており、日銀の時間軸も拡大するなかにあって、はたして投資家ニーズがあるのかと言う問題もある。年金運用などではニーズありとされてはいるが、それだけでは投資家層が限られてしまう。やはりCPIが上向くようになってからの発行でも良いのではなかろうか。もちろん、新型国債を作るにはある程度の時間も必要とされるため、早めに手を打っておく必要もある。そのために早期に商品性を具体化させて、CPI連動でも良いといった投資家などの了解を得る必要もあるかとは思う。商品化をすすめることももちろん大事だとは思うが、来年度の発行はさすがに無理ではなかろうか。


2002.9.2「誕生日」

人間は経験を積んで生きていく。この経験の蓄積によって時間に対する感覚も違ってくる。よく言われるのが、歳を取ると一年が早く感じられる。それは、10歳のときの一年は十分の一の時間だが、40歳の1年は四十分の一だからといった感じである。子供のころの夏休みの記憶が鮮明なのも、同様なのかもしれない。とくに夏休みは、普段の生活とは違った経験が多く伴う。早起きしてラジオ体操をするなり、旅行に行くなり、虫取りをするなり、海やプールにいくなりと。ゆとり教育と昨今叫ばれているが、むかしの夏休みのほうが、小学生にとってゆとりがあったような気がする。だからゆとり教育なのかもしれないが、それで勉強のレベルを下げることまでは必要がないのではなかろうか。明治時代の日本は西洋においつくために、教育政策を柱にしてあっというまに文盲率を引き下げた。むしろ、今こそ教育政策をとるべき時代なのかもしれない。何が良いことで何が悪いことなのか。マスコミというのはどこまで信じてよいものなのか。真実というものを理解するための政策が必要なのではないのか。雪印や日本ハム、東京電力などの不祥事については、それが社内としては良いことでも社会にとっては良くないことである。公共事業も一部の政治家や業者にとってはよいことでも、社会にとっては必要ないものであるかもしれない。ダムが必要なのか必要でないのか。長野県民はその答えを選挙で見出した。高速道路はこれから作るべきものなのかどうかといった論議も進んでいる。「公共事業」という隠れ蓑のなかに既得権という害虫が巣を作っている。公共事業が必要でないというのではなく、その既得権のために我々の貴重な税金が投与されていると思うとやはり違和感を感じざるを得ない。国の予算を最終的に決めるのは、選挙で選ばれた国会議員である。我々がいままでブランドなどによって信頼していた食品メーカーの不祥事も、やっばりといった声も強い。政治が腐敗しても、やっぱりとなる。「やっぱり」が不自然に移らない体質からの脱却が必要なのかもしれない。それにはやはり、あたりまえのことをあたりまえとして考えられるだけの再教育が必要なのかもしれない。


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