牛熊友の会を久しぶりに開催したいと思います。6月中に開催と考えていたのですが、6月から7月第1週までの金曜日は、某公的金融機関様でセミナーをさせていただく関係もあり、ちょっと時間が取れなくなるかもしれません。このため7月7日の週あたりの開催としたいと思います。「債券ディーリングルーム」の会員の方限定ということで、場所は弊社オフィース近くを予定しています。久しぶりに皆様にお会いして、近況などお聞かせ願えればと思っております。詳しくはのちほどホームページで掲載させていただきます。ぜひご参加いただければと思います。
ネットでモラルハザードと調べると「規律の喪失、倫理観の欠如した状態のこと。危険回避のための手段や仕組みを整備することにより、かえって人々の注意が散漫になり、危険や事故の発生確率が高まって規律が失われることを指す」といった解説があった。また、日銀のホームページでは「金融においてモラルハザードとは、特融や預金保険といったセーフティネットの存在により、金融機関の経営者、株主や預金者等が、経営や資産運用等における自己規律を失うことをいいます。例えば、金融機関経営上のモラルハザードとしては、公的資金による救済をあてにして、経営陣や株主が「最終的には金融当局が救済してくれるだろう」と考え、信用供与や資産の運用方法に慎重さを欠いた経営を行うといったことが考えられます。」と解説している。リスクと言われるものは自然に消滅するわけではない。たとえば、りそな銀行への公的資金注入によって、金融危機は回避されたと言うが、それはリスクが別なところに転化されただけである。公的資金というのは、政府の資金かもしれないが、政治家の資金というわけではない。当たり前だが、それは我々が将来払うべき税金が担保になっているはずである。その資金が完全に回収されるという保証はない。結局、そのリスクは我々が負っていることになる。金を使うならば、その使われ方により注意を払うべきである。モラルハザードは債券市場にも蔓延している。銀行も救済されるとともに、産業再生機構によって企業も救われるといった認識も広がっているとか。国債にはすでに価格変動リスクが存在しないかのような買い方になっている。社債もそうである。株がいくら下がっても、社債のデフォルトリスクはほとんどないとの認識なのか。こちらも信用リスクは次第次第に薄らいでいるかのような印象も受ける。しかし、このまま済むわけもない。この国にどれだけのリスク許容度が残っているのかしらないが、それには限度があるはずである。もしどこかのリスクがなくなれば違うどこかに新たなリスクが発生しているはずである。そのリスクがいつ暴れ出してもおかしくはない。
26日に岩手県を中心に大きな地震が起きた。地震はプレートとプレートがぶつかりあってエネルギーが蓄積されエネルギーが蓄積されて突然起きる。雪崩は雪が積もり溶け出すなどしていつ起きてもおかしくない状態のときに何かのはずみで起きる。重犯罪も軽犯罪の積み重ねによって起こされるとも言われる。相場も一方通行が続くと反対向きのエネルギーが蓄積され、何かの弾みで一気に反対方向に行くことがある。しかし、地震にしろ雪崩にしろ犯罪にしろ相場にしろ、大きな揺れがいつ起きるかは想定できない。しかし、いずれそれが起きるであろうことだけは確かである。地震や火山の噴火、雪崩など自然の災害は防ぎようがない。しかし、犯罪など人に関するものならば、それを防ぐ手段もある。二輪車によるひったくりが多発したことで、二輪車を取り締まったところ、ひったくりは減らなかったものの、交通事故が急減したとの報道もあった。二輪車による事故が多かったこともあろうが、少し取り締まっただけで大きな効果を呼んだともいえる。相場も同様であるのかもしれない。別に規制を強化すべきというわけではない。この債券相場もいつか反転する。その際に小さくても、きっかけとなりそうなものには注意を払っておく必要もあろう。ただしそれが何かはわからない。それを見出すのも相場勘と言えるのかもしれない。
今年3月20日、速水日銀総裁に代わり福井俊彦氏が日銀総裁に就任した。同時に、山口・藤原副総裁も退任し、後任の副総裁は、武藤敏郎氏と岩田一政氏が就任した。日銀総裁人事については、いろいろな憶測も飛び交ったものの、結局、本命に落ち着いたかたちであった。しかし、副総裁はそれぞれ財務省や内閣府出身であり、政府の意向がかなり反映されるのではないかとの危惧があった。特に武藤副総裁は、財務省事務次官出身の大物と言われており、今後の日銀の政策になにかしらの影響もあるのではとの見方も強かったのであるが、それを踏まえてここ二か月間の日銀の動きを追ってみたい。
速水前日銀総裁は、どちらかといえば政府とやや距離を置いて、日銀の独立性を意識していたものと思われる。とはいえ、ゼロ金利解除に対する批判も政府サイドからは強くあり、結果として量的緩和策にも追い込まれたとも言える。金融政策変更時に「石を投げられた」との総裁コメントがいまだに印象に残っている。
それに対して、福井新総裁は政府との距離をやや縮めていると感じられる。いや、政府の意向を強く意識し、先手先手を打つことで、日銀に対するプレッシャーを弱めようとしているかのようにも思われる。
まず、いきなり総裁就任早々の3月25日に臨時の金融政策決定会合を開催した。「臨時」の会合を開催したにもかかわらず、その結果は現行の政策を維持することを全員一致で決定。ただし「なお書き」と呼ばれる「当面の金融政策運営について」の最後に付け足された「なお・・・」の部分や、ロンバート金利(公定歩合)について一部修正があった。しかし金融政策における大きな変更はなかった。 ところが、決定会合後に開催された政策委員会において、銀行保有株買取枠を2兆円から3兆円に拡大したのである。この銀行株の買取については、金融政策ではなく金融システムを安定させるためということで、「金融政策」決定会合ではなく、政策委員会で決定された。
これは、3月の決算期末を意識し、株安などに対応したものと思われる。このために、これを政府は高く評価した。ただし、福井総裁は3兆円が限度と釘を刺している。
また3月31日までは、日本銀行当座預金残高が15〜20兆円程度となるよう金融市場調節を行うが、4月1日以後は、日本郵政公社の発足に伴い、日本銀行当座預金残高が17〜22兆円程度となるよう金融市場調節を行うことも発表している。
4月8日の金融政策決定会合においては、金融政策はやはり現状維持としたものの、下記のような決定事項があった。 ・中堅・中小企業関連資産を主たる裏付資産とする資産担保証券を、時限的措置として金 融調節上の買入れ対象資産とすることについて、検討を進めること。
この決定会合では、新たな策は打ち出さなかったものの、資産担保証券の買い入れを検討する姿勢を示すことによって、さらなる金融緩和を検討していることをアピールしたかにも思われる。
そして4月30日の決定会合では、当座預金残高の目標値を、これまでの「17〜22兆円程度」から「22〜27兆円程度」に引き上げることを決定した。この決定についても意外感が強かった。株安や欧米経済の低迷、そしてアジア経済にSARSの及ぼす影響等を懸念したものと思われるが、実際にはすでに当座預金残高が予想以上に積み上がっていたことで現状追認といった見方もあった。
それ以上に注意すべきことがある。速水総裁のころは、当座預金残高を引き上げる際に、国債買い切りオペも増額していた。しかし、今回は国債の買い切りの増額はなかったのである。実は郵政公社分が予想より積み上がっていたからとの観測もあり、国債買い切りの増額は必要なかったとも思われるが、速水総裁時代とは微妙に舵取りが違っていることも確かであろう。
今度は5月20日の決定会合において、日本銀行当座預金残高の目標値を、これまでの「22〜27兆円程度」から「27〜30兆円程度」に引き上げることを決定した。これも予想外であった。政府の金融危機対応会議において、りそな銀行に対する資本増強の必要性の認定が行われたということも理由にしているが、「なお書き」で対処できるはずと見られていたためである。今回も引き上げたのは当座預金残高だけであり、国債の買い切り増額は見送られた。これではっきりと、福井総裁は、追加緩和としての国債の買い切り増額に対してはあまり積極的でないことが伺える。
国債買い切りについては福井氏の総裁就任前からのコメントにも実は含まれていた。国債買い切りを増やしても効果が限られることを強調していたのである。また、武藤副総裁の存在も影響している可能性がある。財務省の立場からは、日銀にさらに国債を買ってほしいところであろう。しかし、さらに国債買い切りを増させると、日銀券発行残高までというキャップも外さざるを得ない。これは財政規律の問題に波及しかねない。武藤副総裁は財政規律を保つことは非常に重要視しているのではないかとみられる。小泉首相の新規財源債30兆円枠を進言したのも武藤氏ではないかとも言われているためである。
今回の政策変更について、塩川財務大臣は金融政策について「日銀に任せてある」といったコメントをしている。速水総裁時代とはややニュアンスが異なっている。まるですでに内容を知っていたのではとも思われなくもない表現をしていたことがかなり気になるところでもある。
このように就任直後から矢継ぎ早に政策変更を行ってきた福井新日銀。あまりスピードを速めると、あらたに打つ手がなくなる恐れもある。これまでは、非伝統的手段には踏み込まない姿勢を堅持していることは確かであるが、手段がなくなっていたしかたなく、といったことも考えられなくもないため今後の日銀の動向にもさらに注意していきたいと思う。
日本銀行のホームページを検索していたら。偶然、貨幣の散歩道というページに行き当たった。日経金融新聞に連載されていたものをホームページにアップされたもののようである。日経金融新聞では、あまり読まなかったが、ここでまとめて読むと、なかなか読み応えのあるものとなっている。日本のお金について一番詳しく資料も残っているのが、日本銀行であることは間違いない。また古くからの貨幣についての調査研究も進んでいるようであるが、それを分かりやすくまとめている。日本史もこのような別の観点から眺めるとまた違った側面が見える。現代に限らず、昔からお金というものは大変重要な役割を示している。また、古くからあるお金に関する用語の語源といったものも面白い。為替とか手形などはかなり古くから使われていることがわかる。また、債券市場で頻繁に使われる銭という単位は意外と新しいものであったりする。米国通貨の「セント」が銭になったそうである。もし、お時間のある時には、読んで見てはいかがであろう。
米コロンビア大学のスティグリッツ教授が提唱した政府紙幣について考えてみたい。この政府紙幣というのは、日本にも実在していたのである。それは明治の維新政府が発行したものであった。政権樹立当時、明治政府は当然ながら財源がなかった。財政が貧窮していたため、当初明治政府は幕藩時代の金銀銭貨と藩札を通用させた。また、初代の大蔵大臣と言うべき由利公正が中心となって、太政官札と言われるお札を発行した。これが政府紙幣といわれるものである。新政府は、この太政官札や民部省札を印刷し、これを歳出に充てた。いずれも不換紙幣であり、増刷されるに伴って価値は大きく下落していったのである。このため政府は明治5年に、弊制統一の手始めとして藩札・金札等を回収する目的で明治通宝というものを発行した。さらに6年には政府紙幣の回収と殖産興業資金の供給を図るため国立銀行紙幣を発行させた。国立銀行といっても国営の銀行ではなく、アメリカのナショナルバンク制度にならった、国の法律に基づいて設立された民間の銀行である。9年の兌換義務を廃止した国立銀行条例改正に伴って、国立銀行の銀行紙幣の発行が容易になり、発行高が増えるに従ってこれも結局インフレの要因になったと言われる。太政官札や銀行紙幣の増発に伴うインフレの防止を背景に、政府は紙幣整理を急務とし、15年に日本銀行条例、17年には兌換銀行券条例などの関係法案の制定を急いだ。そして、日本銀行を唯一の発券銀行として、政府紙幣や国立銀行紙幣を回収することになったのである。この歴史を見てもわかるように、政府紙幣の発行はまさに時代錯誤的な発想ともいえるのではなかろうか。福井日銀総裁は次のようにコメントしている。「(政府紙幣発行で)様々な国が厳しいインフレを経験した結果、中央銀行を持つようになった。現実の通貨を発行する権限を中央銀行に譲り健全な通貨の基礎をつくるのが近代的な資本主義の根幹」。また、武藤敏郎副総裁は「政府紙幣が永遠に流通するということではないのだろう。すると償還時の財源は国債発行で調達することになるのではないか」と疑問を示した。
世の中には流行り廃りがある。一時的にブームになってもすぐに熱が冷めてしまう。しかし、その中にあっても生き残るものが存在する。その残ったものにはある種のオリジナリティーが存在する。CDが売れなくなっているという。それよりもこんな不景気で、数百万枚ものCDが売れてしまったこと自体が異常ではなかったのか。パソコンで簡単にやり取りが出来てしまうMP3の問題もある。ただ、それでCDの売上が低下したというわけでもないはずである。そもそも、レコードやCDはテープやMDなどにコピーして聞いていた。だからレンタルショップが繁盛していた。たしかにMP3はテープなどとは違い、やり取りが容易、つまり複製が容易であるのも確か。だからといってCDを全然買わないわけではない。浜崎あゆみのCDを買うのは、何もパソコンができないからではなかろう。浜崎あゆみのCDを買うことが目的のはずである。CDが売れなくなったのは、オリジナリティーの喪失が原因ではなかろうか。音楽や絵画に留まらず、世の中のありとあらゆるものは、何か参考にしているものがある。絵画を習うときも模写から始めよう。音楽も流行っている曲にあわせるような曲作りを行っていることも多いはず。たとえば以前流行した小室哲也氏にしろ、曲のパターンはほとんど似通っているとも思われ、それが飽きられるとヒット曲は出なくなった。たぶん宇多田ヒカルにせよ浜崎あゆみにしろB’sにしろ、いずれは飽きられる。モー娘も同様か(ご異論もあろうし、お叱りもあるのもごもっともだが)。ただどれだけ引き伸ばせるかはプロデューサーの手腕の見せ所でもあろう。今必要なのは著作権うんぬんだけでなく、オリジナリティーのある売れる曲作りをする必要がある。これはなにも音楽業界に限らないかもしれない。ただ守りの姿勢ばかり目立つ日本経済全体にいえることなのかもしれない。
日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、金融調節の主たる操作目標である日本銀行当座預金残高の目標値を、これまでの「22〜27兆円程度」から「27〜30兆円程度」に引き上げることを決定した。わが国の景気は、全体として横這いの動きを続けているが、欧米経済の回復力や東アジアでの新型肺炎の影響を巡る不確実性に加え、株価、為替相場の不安定な動きなど、先行き不透明感がこのところ強まっている。こうしたなか、今般、政府の金融危機対応会議において、りそな銀行に対する資本増強の必要性の認定が行われた。以上のような経済金融情勢に関する認識を踏まえ、日本銀行は、金融市場の安定確保に万全を期す趣旨を明確にするため、当座預金残高の目標値の引き上げを行うことが適当と判断した。 (以上、日銀のホームページより)
市場では「なお書き」の修正程度かと観測されていたが、5月1日に当座預金残高目標値を17−22兆円から22−27兆円に引き上げたのに続き、さらにそれを27−30兆円に拡大している。この際には、郵政公社の当座預金残高も実は意識されていた可能性もあり、現状追認といったイメージも強かった。しかし、今回はそういったものではなく純粋に預金残高の引き上げを狙ったものとなった。福井総裁に代わって、先手先手と政策が打たれてきているが、いくつかはっきりしていることがある。まず、当座預金残高の引き上げに伴なう国債の買い切り増が実施されていない。もちろん、そのため日銀券発行残高までというキャップも外されていない。次にインフレターゲットに結びつくような政策は講じていない。ETFやREITの買い切りについては、はっきりとは否定していないものの、採用する気配はない。また、為替誘導のための外債購入についても同様である。それに対して中小企業に資金が回るようにするためとの理由から、資産担保証券の買取については積極的と思われる。これらの政策については、福井総裁が総裁就任前からコメントしていた内容にも合致している。速水前総裁の路線からは大きく外れていないものの、就任直後から追加緩和をすばやく打ち出すことによって、そのスピード感が評価されているようにも思われる。しかし、緩和の効果となると、やはり限度があろう。また、銀行の保有株式の買取枠拡大、当座預金残高目標値の引き上げもそろそろ限度に近い。資産担保証券の具体的な買取についても、まずとりあえずやってみるといった段階に留まりそうである。デフレが収まらない限りこのまま政策変更のスピードを変えずに走れるのか。もしこのままのスピードで走った場合には、非伝統的な手段を取らざるを得なくなるのか。それともブレーキがかかり、再び政治の圧力をもろに受けてしまうのか。今後の日銀の動向にはさらに注意が必要となるのかもしれない。
政府は16日深夜、りそなホールディングスが2003年3月期に自己資本比率が4%を下回る見通しが確実となったため、預金保険法基づく初の「金融危機対応会議」を17日召集し、同法102条1号に基づく公的資金の注入を決定した。
公的資金はグループ傘下のりそな銀行に2兆円規模を注入しこれにより実質国有化される。りそな銀行の連結自己資本比率は、今年3月11日時点の計算では6%台半ばだったが、5月17日には2%台前半まで下落した。これは、繰り延べ税金資産の厳格査定が最大で2・6ポイント程度下落したことが大きい。ちなみに、これ以外の下落の要因内訳は、不良債権処理の増加が0・4ポイント強、株価下落0・4ポイント程度、リスク資産の増加0・3ポイント、その他0・3ポイントだった。
不良債権を処理した際に払った税金が将来戻ることを見込んで計上する「繰り延べ税金資産」は、同額が税効果資本として自己資本に参入しているが、これは今後5年間の課税所得への見込み税額の範囲内での参入が認められている。今回、りそなの監査法人は5年後までの収益計画の実現性が低いとみなし、算入部分を3年に短縮したことが要因と言われる。
ちなみに、りそな以外の大手行に関してはすでに3月期については同様の問題は発生しない見込みである。仮にりそな同様に繰り延べ税金資産の評価が厳格化されれば、やはり自己資本比率は大きく下落する。これにより、実質国有化される可能性は全くないとは言い切れない。しかし、国際基準になっているメガバンクは、りそな以上に処理が難しくなるために、この次はメガバンクとの連想は今回に関してはあまり働かないようにも思われる。
今回のりそな支援については、以前の長銀や日債銀のような完全国有化ではない。一応、再生が目的の公的資金注入である。なぜ完全国有化ではないかといえば、既存株主の持分が失われないためである。減資は実施されない見込みである。政府は預金保険機構を通じて普通株を購入し、すでに政府保有の優先株を普通株に転換することで、りそな銀行の「大株主」になる。これにより政府が経営を監視することとなる。
5人の役員が刷新され(退職金は支給されない)、行員の給与水準の引き下げや賞与カット、リストラ等を実施する。ただし、預金者への影響はない。預金の預入れや払い戻しへの影響もなく、行名などもそのままである。ただし、借り手には影響もありえる。返済の前倒し等が実施される懸念がある。
以前にある雑誌の討論会で、「キャピタルフライト」についての話題が出た。いずれ日本は破産すると半分本気で信じている日本人も多いような気もする。信じる信じないはもちろん自由であるが、ただそれを他人事のように話をしていることにはやや疑問もある。本当に国債が紙屑になったり、預金封鎖が実施されるような事態になった場合に世の中どうなってしまうのか。これは戦後の混乱期を生きてきた方は実際に体験されているはずである。私も父親からもらった「銭」の紙幣はいったいなんなのか小さいころ不思議でならなかった。1円の十分の一の単位であることはわかっても、でもそれを10枚集めても駄菓子屋では使えないとも聞かされた。この一枚の紙幣を見ても、国民が犠牲になって日本経済を支えてきても、結局さらなる犠牲を強いて、国を維持しようとするということは、やはり許される行為ではない。情報が行き渡らず情報統制が敷かれていた時代とも違い、今は、「お国」のためと、預金封鎖も国民が了承するなんてことはかなり難しいであろう。銀行・生命保険や大手流通企業ですら簡単に潰すことができないのに、完全に金融システムを崩壊し、パニックを引き起こす政策をとることは無理であろう。ただもし仮にそういった危機的状況に追い込まれれば、資産を守ることはできない。それでは資産を海外に移しておけばよいのか。ある方が面白いことを言っていたのでそれを参考にちょっとまとめてみた。本人がもし国内に留まって資産だけ海外に移した場合には、その資産を引き出す手立てがなくなる恐れがある。つまり国内銀行の窓口に規制があり、外銀の日本の支店は規制がないということはありえないはずである。ドルとかの現金を持っていればよいかもしれないが、それはそれで保管が大変であろうし、国内では使えないであろう。それならば、家族全員で海外に移住するという方法がある。これを読んでいただいている方々の多くは現在何がしかの仕事をもって働いているはずである。その稼ぎで家族を養っている。そういう方が家族で移住するということは、海外で生活するだけでなく働き口を探さなくてはならないこととなる。英語には不自由しない方も多いかもしれないが、大方の日本人はなんら不自由しない英会話能力など持っていないはずである。それでは現在の生活を維持できる仕事などまずは見つけることは困難である。昔、日本からブラジルなどに移民された方はかなりのご苦労があったとも聞く。日本が破綻し、それに備えてキャピタルフライトが起きると思うならば、フライトすべきはキャピタルではなく、ヒューマン、自分自身であるはず。簡単に日本破綻、国債暴落、円急落、預金封鎖といった言葉を使うのは勝手であるが、それを信じるならそれなりの覚悟と準備が必要となる。それが嫌ならば日本がそうならないようにさせなければいけない。
昨年、9月20日といえば忘れもしない「日本国債は危なくない」が発売され、10年国債がはじめて「札割れ」を起こした日である。その「日本国債は危なくない」でもコメントしたが、日本の国債もそれまで中期国債で未達が発生していた。ただし、市場参加者は当時、10年国債の入札ばかり注目し、あまり中期国債の入札を意識しなかったため、その事実を知らなかった市場関係者も多いと思う。実は海外に目を転じてみると、この未達は頻繁に発生している。昨日、ドイツにおいて5年国債において未達が発生している。これは先物のチーペストになる可能性が高くややイールドカーブの歪んでいるところでもあり、札が入らなかったのが要因とも言われる。未達によって相場が大きく崩れることはなかった。海外ではこの未達というのは普通の出来事となっている。もしドイツの国債で未達が生じた場合、その未達分は、ブンデスバンクが保有したかたちになるが、ドイツも日本同様に中央銀行による国債の直接引き受けが禁じられていることから、これは引受とは認識されていない。これをオペなどで市場に売却して初めて国債として認識されるそうである。こういった未達の国債にはコントロールナンバーが振られる。未達分が消化されればこのナンバーは消える。ナンバーがそのまま回号も多く、ナンバーも消えたものを含めるとかなりの数となるといわれる。このドイツ国債を取り扱ったことのある方に聞いたのだが、コントロールナンバー付きのものをたとえば投資家に売却した場合に、それをカバーしようとしたところ、それが形式的なブンデスバンク保有分の場合、決済がたいへんだったそうである。日本においても今後は未達も当然ながら発生しようが、それを持って一喜一憂する必要が海外の事例を見る限りないように思われる。
SONYがPSのポケット版を作るとの記事が昨日あったが、これは媒体に光ディスクを使用し、動画の再生も可能になるという。いよいよポケットムービーウォークマンが出てくる可能性がある。もし、小型化された液晶テレビに録画・再生機構がついたもので、それなりの画質と再生時間があるものはかなりニーズもあるのではないかと思われる。すでにPDAでは、動画の再生機能がついているものがあるが、媒体の容量がせいぜい128MB程度とかないため、かなり画質を落とさないと長時間再生には向かない。そもそもテレビ機能もついていないため録画もできない。録画といっても、通常使われているAVIといった形式で録画していてはいくら容量があっても足りない。ポケットタイプでは、アップルがiPODといわれるハードディスク内蔵の音楽再生装置を売っているが、これのようにやはりギガバイトが必要になる。それとCPUもそれなりの性能のものが求められる。今、書店のパソコンコーナーに行くと、かなり違法に近いものになるが、DVDの圧縮録画の方法が書かれた本が売っている。DVDはそのままでは2時間もので5〜6GB必要になる。それを画質でS・VHS並みして、CDにも収まる700MBぐらいに圧縮することが技術上、可能になっている。小さな液晶で見るならば、それでもかなり高画質に見ることができる。この圧縮や再生をするには、パソコンではペンティアム4程度の能力が必要とされる。しかし、パソコンと異なり動画に特化したCPUであれば、ゲーム機の技術の応用が可能になるかもしれない。こうなればSONYの小型ゲーム機はゲームとともに画質の良い動画再生も可能になりうる。ただ、小型液晶テレビはアンテナの問題でか、あまり写りがよくない。ここで期待できるのが、インターネット。ネットで動画を取り込み、再生するならデジタルであり画質劣化はない。つまり、現在MP3の再生機器が普及しているように、そのMPEG4版(動画圧縮技術)が近いうちに出てくる可能性がある。もし音声も5.1chに近いようなものが可能となれば、通勤途中手元で「マトリックス リローテッド」の本格的な鑑賞が可能になるやも。
本日お送りしたRPテック通信(弊社週刊メルマガ、どなたでも申し込み可能、お申し込みは久保田までメールにて)でも、ご紹介させていただいたが、物には勝手に使えない名前とかが存在する。それが登録商標といわれるものである。そのなかにはにはすでに権利を放棄したり、他者が商標名を使用するのを認めているものも存在する。例えば、「デジカメ」。こちらのソニーのページを観ていただくとわかるが、どこにもデジカメとの言葉がない。ところがこちらのサンヨーのページを観るといたるところに「デジカメ」の文字が並んでいる。この「デジカメ」はサンヨー電気の登録商標なのである。「宅急便」「着メロ」「セロテープ」「セメダイン」「ポリバケツ」「エレクトーン」「ボンド」なども同様。また、現在は商標公開されているが、商標登録されているものには「ウィンドサーフィン」(ウィンドサーフィン・ジャパン)「プラモデル」(マルサン)、オセロ(ツクダオリジナル)といったものもある。こういった商標登録の一覧などを掲載しているホームページもあり、関心のある方は、ぜひ検索してみてはいかがであろうか。
9日に30年国債の第9回債の利回りが1.000%と史上最低利回りを更新した。もし、これが1%を割り込むと、現在流通している国債の利回りはすべて1%以下となることになる。
現在発行されている国債には、TBと呼ばれる短期国債、2年国債、5年国債、10年国債、15年変動利付国債、20年国債、30年国債、そして変動金利型の個人向け国債がある。現在は残存期間がながいほど金利が高くなる専門用語での「順イールド」という利回り曲線になっていることから、国債のなかで一番残存が長い30年国債、そのなかでも直近に入札されたばかりの9回債の利回りが一番高い。その利回りが1%割れるということは、現在流通している国債の利回りがすべて1%を割ってしまうこととなる。
代表的な年限の国債利回りを見てみると、5年国債25回債は、0.190%と0.2%を割り込んだ。10年249回債は0.575%、20年61回債は0.880%というようにいずれも史上最低利回りとなっている。参考までに昨年の5月9日のそれぞれの期間の利回りを見てみると、5年19回債が、0.485%、10年238回債が1.355%、20年55回債が2.020%、30年6回債が2.405%であった。軒並み昨年の利回りの半分以下に下がっていることがわかる。
これを価格で見てみると面白いことがわかる。2002年5月9日時点で20年国債の55回は利回りで2.020%であったが、単価に直すと99円71銭となる。この55回の利回りは、2003年の5月8日現在、0.805%となり単価に直すと119円56銭となる。つまり、55回債を1年前に額面金額で100万円分買ったとすると、支払った金額は、997,100円で、1年後に売却したとすれば、受け取り金額は1,195,600円になる(実際もしに個人が売り買いされる場合には売買時に手数料相当分が上乗せもしくは差し引かれるので注意)。差し引き金額は、198,500円。この国債の利率は2.0%。つまり非課税ならば利息として20,000円受け取ることとなり、合計すると利益は218,500円となるのである。
今度は30年債で見てみたい。2002年5月9日時点で残存が最も長い30年国債は、第6回債。利回りは2.405%で単価は99円91銭。それが2003年5月8日には、利回りで0.940%、単価は132円84銭。これも同様に100万円額面分一年前に購入したとすれば、払込は999,100円で、一年後売却すれば、1,328,4000円となる。差し引き329,300円。利率は2.4%なので年間の利息は、24,000円。合計の利益は、353,300円にもなる。年利に直せば35%である。
債券は残存期間が長いほど価格変動リスクが存在する。同じ利回り幅上昇したとしても、より長期のもののほうが価格の下落が大きい。裏返せば、同じ利回り幅低下したら、長期のほうがより価格の上昇が大きくなるのである。
昨年、当時とすれば30年間もわずか年利回り2.4%しかもらえないものに対して誰が投資を考えたであろうか。しかし、1年たってみれば、35%もの収益が上がってしまったのである。なぜここにきて超長期国債が積極的に買われているのか。価格変動リスクならぬ価格変動リターンも当然ながらその理由のひとつとなる。
子供にとって最初にお金に接するのは「お小遣い」をもらいはじめてからと思われる。我が家の3人娘達も昨年から全員が小遣い制となった。それまでは父親が家にいる日、つまり主に土曜日や日曜日に買い物に行った際、好きなものを買ってもらえることとなっていた。また、毎月何冊かの本も買ってあげていた。しかし、年齢が上がるにつれて、コミックなどもほしくなってきたようで、それならばと一律、小遣い制としたのである。
そこで何が変わったかといえば、使わなくなったのである。お菓子などは極力控え、どうしても買いたい本やコミックなどに一部を使って、お金を貯めることを始めたのである。「お金」にはいくつかの性質があるが、そのひとつは物と交換できることである。しかし、同時に「貯める」ことが可能になる。それは「お金」の価値を知ることによって、それを増やせば、手に届かないものも手に入れることができるようになる。
外出先で財布を忘れた際には、親から短期での借り入れを要請する。小遣いにあたっては使用目的については一切口出しはしていない。それでも子供たちも常に小遣いが残るようにしているため、使いすぎということもないようである。財布の中身を見ながらある程度計画的に使うというのはとても大切なものかと思う。また、小遣い帳をつけて、お金の流れを把握することも大事になる。ただそのように教えたくても、肝心の大人がお金の流れというものをしっかり理解していないようにも思われる。日銀がETFなど買ったら、民間のお金の流れが本当によくなるのか。子供にもわかるように誰か説明してほしい。
ご質問があったため、そのお答えをこちらでもまとめてみたい。ご意見等もぜひいただければと思います。
私は円安政策は切り札ともならず、それ以前にそのようなことはできないと見ています。まず、円安になれば本当に景気が回復するのかという根本的な問題があります。円安で輸出企業の業績が良くなるというのはわかります。でもすでに自動車メーカーなど過去最高益を稼いでいますよね。それでも一向に景気が良くならないのはなぜなのでしょうか。それは国内向け産業が足かせとなっているからで、銀行の不良債権もその大きな原因です。それを円安で改革できるのでしょうか。輸出産業も為替予約等をおこなっているため円安だからといってそう簡単に収益が日本全体を支えるほど伸びるとは思えません。円安で輸入価格が上昇してデフレが解消すると言う方もいますが、それは過去の発想ではないでしょうか。輸入品の価格をそのまま値上げにできるものでしょうか。買い控えをさらに招きかねません。 また、デフレの要因に、IT化、過去の価格体系の崩壊、賃金体系の崩壊等々別要因もあります。それらが円安で簡単に解消されるわけはないと思います。
そしてなにより、日本が自国経済のため、自分の通貨だけ切り下げるなどということは無理です。以前は米国など強引にやりましたが、あれは米国だからできたのであって、しかも、それにより米国債が下落しないように日本の生保に買い支えが要請されたりしたのではなかったかと思います。世界経済のためには日本経済が回復しなければならないから、欧米諸国、アジア諸国には目をつぶってもらい、円安政策をとる、しいては日本国債が暴落しないように米国の生保などに買い支えを要請・・・なんて、どう考えてもできません。それより今は世界的にデフレが蔓延しています。米国も欧州もその対策として利下げしようとしていますし、米国はすでにデフレ対策としてドル安を放置するんじゃなんかとも言われています。日本が勝手にやれば、日米関係などかなりギクシャクしてしまうでしょうし、近隣諸国も黙って見ているとは思えません。効果があるかとどうかわからないにも関わらず、世界から孤立してしまうリスクもあるような政策はするべきではないでしょうし、できないと思います。それに、円を強引に引き下げ国債が暴落すれば、それどころではなくなるでしょうね。
ある証券会社が、個人向け国債発行に際して、財務省理財局国債課に「意見書」を提出し、その回答を得たとのロイターの報道があった。実際にその証券会社はその回答をホームページでもアップしている。個人向け国債については、かなり注目も集まり、その機に乗じての意見書であったかに思われる。以前に財務省は、格付け機関向けに意見書を出したことがあるが、それを逆手にとったものと見えなくもない。「意見書」と言う限りにおいて「個人向け国債」の発行に対して異議を唱えたいということであろうか。しかし、なぜあくまで個人向けに出たからといってその販売会社の一部にすぎない証券会社が国債の「意見書」を提出しなければならないのか。そもそも国債は年間140兆円も発行されているという事実を無視してよいものか。その国債を大量に保有しているのは、都銀などの銀行や生損保、年金、郵貯、簡保、そして日銀である。これらの機関が国債への説明を求めるために「意見書」を出すというのならわかる。しかし、こういった機関からそのような意見書が出されているとは聞いたことはない。もしかすると、これら機関投資家は、国から強制的に国債を買わされているとか、暗黙的に国債を買っているというのであろうか。それならばそれで機関投資家に対する侮辱ともいえまいか。彼らも当然ながら国債に対してのリスクは熟知している。しかし、運用先の選択として、現在の環境下において国債に資金を振り向けざるを得ない。それによく考えればわかるが、その国債を間接的に買っているのは我々国民でもある。投資家は別にお国のためとかで国民の資金を危険な資産に投資しているわけではない。デフレ下にあってはより安全な金融資産に資金を振り向けざるを得ないというのは至極当然であり、その行き着く先が国債なのである。この証券会社の社長は、「財政均衡についてわが国が正式なプランを持っていないという事実が国民にはっきり知らされていない」と言われたが、これは知らされているといったような問題ではない。そもそも政治家の多く、マスコミの多くが景気対策に財政出動をとか、日銀はもっと国債を買えとか主張しており、財政均衡など完全に無視していることが問題なのである。それでも国民は財政再建を願うべく、小泉総理を支持したわけだが、国債30兆円枠の公約も反古されている現状、財政均衡についてわが国が正式なプランなどもちようがないことぐらい理解できるはずである。それこそが問題でありプランがないことを説明するまでもない。国民に対して、もっと国債の理解を深めてもらうための目的の意見書というのならばわかる。しかし、それを出すならば国債を取り巻く状況をしっかり理解した上で提出すべきであろう。それに提出先は、財務省理財局というのも筋違い。首相官邸ならびに与党幹部、財政出動ばかり唱える議員の方々、財政出動を強調しているマスコミに向けて提出すべきなのではなかろうか。
超長期国債の増発に対しては、物理的な?難しさはない。しかも、投資家層の広がりから銀行などの超長期ゾーンにとっては新規の投資家も含めて、増発を期待しているとも思われる。業者も以前ならば超長期を扱うところは限られていたが、今は超長期を扱わないと商売にならないため、業者としても増発は望むところではなかろうか。
加えて、もうひとつ重要な要素がある。昨年9月になぜ今年1〜3月の30年国債を増額して5年国債を減額したのかと言えば、もちろん投資家さんのニーズが30年にあったことも確かであるが、加えて2008年問題があった。1998年に国債大量発行したことで、2008年の借換債発行額が急増してしまうのである。このために、今年から2008年度に償還する国債をターゲットに財務省はバイバックを実施している。
しかし、2008年に償還する今年度の5年国債の発行額は、結局、いったん減額されたものの、今年度予算や昨年度補正予算に伴なう国債増発により、1兆8千億円への減額は1月と2月だけとなり、3月からは元の1兆9千億円に戻されている(予算に絡んだ国債増発は補正予算と来年度本予算の国会通過後からとなったために1、2月は減額されたままとなった・・・少しややっこしい?)。そして、今度もまた超長期国債の増発が可能となれば、やはり減額するゾーンは5年となるはずである。
もちろん、発行体の財務省とすれば、現在のような超低金利下においてはなるべく長期の国債を発行したいところでもある。しかし、投資家が買ってくれないものを発行すれば、需給を悪化させる。しかも、現在のように30年で1%近くにも利回りが低下していることで、これが国債バブルとすれば下落した際には大きな損失を蒙る懸念もある。
ただし、それは相場の反転を前提にして考えるべき問題となる。現在のような超低金利にはそれなりの理由があり、その理由が崩れるとすれば、国債に対する信認低下、もしくは景気の回復が材料になる。国債への信認については、現政権や新日銀執行部を見ても当面は揺ぎ無い。景気については残念ながら物価上昇を伴なうような回復も期待できない。そうなれば、超低金利はまだ続くと予測せざるを得ない。こうなれば、発行体である財務省にとっても、また国債を買っている機関投資家にとっても、またその機関投資家と売買している業者にとっても、例えば20年国債の増額、5年国債の減額は望ましいところである。ただし、今すぐに年限配分の変更は難しい。早期にアナウンスメントが国債市場懇談会で行われ、10月下期からの変更となる可能性が強いものと思われるが、さてどうであろうか。
本日も先物は史上最高値を更新し、5年国債は0.2%まで利回りが低下した。しかし、反面ここにきて超長期債の上値がやや重くなってきた。これは海外勢によるアセットスワップ外しといったことも指摘されているが、日興シティグループ証券会社の債券本部チーフストラテジスト佐野一彦氏がレポートで指摘されているように、超長期国債の増発の可能性があることも超長期国債の上値を重くさせていると思われる。
通常、国債の年限別の発行額の増減は12月の翌年度予算に絡んだ国債発行計画の発表時、もしくは補正予算編成に絡んだ国債発行計画の変更による場合がほとんどである。しかし、例外的な変更もこれまで何度か行われている。ここで気をつけるべきは、新規財源債とよばれる建設国債と赤字国債については「償還計画表」といわれるものの差し替えが必要になるということである。
償還計画表は、国会審議の参考資料であるため、仮に新規財源債の年限を変更する場合には、国会開会中であれば、償還計画表を出し直すのが前例となっているようである。そのために新たに議論が起きる可能性もあり、それがネックになると言われる。また、国会閉会中の場合には次の開会後直ちに新たな償還計画表を出せばよいが、やはり会期中と同様の問題も発生する。
しかし、その新規財源債の倍近く発行されている借換債については、償還計画表は存在しない。これは、借換債は新たに国の債務を増やす正確のものではなく、また、財投債は償還財源が国民の税金ではないためである。このため、借換債と財投債に償還計画表が存在せず、加えてその発行額が国会の議決の対象外であるために、償還年次表が必要にされるだけなのである。このために、借換債・財投債については、予算に応じた国債の年度の総発行額に変化が無い限りにおいて年限別配分を変えることが容易となる。実際に昨年9月3日の国債市場懇談会において、市場からの要望が強かったことで、2003年1〜3月期において5年国債を減額しその分30年国債を増発することが発表されている。
このところの相場において、すでに20年国債には都銀などの買いも入り、投資家の裾野が広がっている。このため、これまでの超長期の買い手であった生保や年金などが必要額を手当てできない可能性も出てきている。投資家や業者の一部などは超長期国債増発を要望しているといった声も聞かれており、市場の要望に即した超長期国債の増発の可能性は十分にありえる。たとえば今月もしくは来月の国債市場懇談会において、10月下期より20年や30年国債を増発し、その分中期などの発行を減額するという発表がある可能性はある。これは市場の要望によるものであるため、この発表によって相場が下がることも考えづらい。しかし、その思惑が広がることで一時的な波乱もあるかもしれないので注意しておいたほうがよいかもしれない。
一番混沌とした日本の状況下で「日銀」を体系だてて学べて非常に興味深かったです。
短期間でしたが、勉強になりました。
今後とも、経済を見る目、金融を見る目、市場を見る目を養っていきたいと思います。
テキストを興味深く読ませていただき、とても勉強になりました。
昨日の日銀の金融政策変更も、現状追認のイメージが拭いきれず、先手必勝の福井流の一環かと思われる。速水総裁はむしろ圧力に屈しない態度を示しながら、結果としては政治の圧力に屈してしまったことも多いとも思われ、それを反省してか圧力が加わる前に行動してしまおうとの意図も見えなくもない。臨時の決定会合、銀行保有株の買取枠拡大、ABS・ABCPの買取検討、当座預金残高目標値の情報修正、産業再生機構向け貸付債権を担保化など矢継ぎ早に政策を打ち出しているが、どれも決め手に欠く政策であることも確かである。いずれ政治的圧力が高まり、非伝統的手段をとらざるを得ないといった見方もある。今、日銀の金融政策がある意味危ない橋を渡ろうとしていることも確かである。ここで再び、この日銀の金融政策について考えてみるのもいかがであろうか。「日銀の金融政策入門講座」を通じて、日銀の金融政策を見直してみるというのはいかがであろう。以下、4月受講生の質問に対しての私のコメントを紹介したい。
今回の講座には私の思い込みも入っていることも事実です。しかし、極力第三者から見た日銀とはいかなるものかという点に注意したつもりです。むしろ市場参加者の見方に近いものであったかとも思います。「2%のインフレ率達成まで、170円の固定レ−トで政府・日銀が無制限に円売り介入する。」というエコノミストの見解に対して、それでインフレになるのでしょうか。介入によってインフレが創出される道筋をはっきりと示してほしいと思います。「円安効果の景気回復で輸入量増大、近隣窮乏化による他国の損害を回避。」との見方についてですが、そもそも、円安で景気回復になるのでしょうか。それでなくてもすでにトヨタなど史上最高の決算を挙げているにもかかわらず、景気回復の見通しはありません。輸出産業を価格調整で業績を伸ばさせて、それが本当に景気回復に繋がるのですか。需要がないのに輸入量がなぜそう簡単に拡大するといえるのでしょうか。円安で景気回復可能という短絡的な発想にそもそも間違いはないのでしょうか。「長期金利上昇リスクに対しては国債の簿価評価または新発変動債との交換」については、簿価評価などという古い発想でしか物事を見られないのでしょうか。そして、新発変動債との交換とは何でしょう。固定と変動はそもそも投資家の需要が異なる上、すべて変動債に強制的に変換させられれば財政をさらに圧迫させます。これらは、現実を見据えていない勝手な対策としか思えません。インフレターゲット論者は、伝統的な政策にとらわれずにと言いますが、彼らの発想のもとこそ伝統的な経済学の領域から抜け出していないと思います。現在の日本経済の悪化の主因をデフレと決め付けることで、物事を単純かつ明確にして、インフレ策を取ればそれで解決すると思いますか。そこに日銀の政策の限界が垣間見えます。今の日本経済は、歴史的な構造変化のただなかにいるのであり、今必要なのは延命ではなく再構築のはずです。インフレ策をとって、これまでの産業を復活させればなんとかなると言うのは、既得権者の主張そりもりではないでしょうか。歴史は動いています。過去に戻すことはできません。それならば現在の環境に見合った日本経済の構築を進めるべきであり、その弊害ともいえる政治・金融システムを変える以外に手はないと思います。それをできるリーダーがいないのが今の日本の最大の問題なのかもしれません。
昨日の金融政策決定会合において、日銀はこれまでの当座預金残高目標値を17−22兆円から22−27兆円に引き上げた。福井総裁はこれを「市場の危機意識を共有した措置」とコメントした。
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