「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」


2003.9.30「野村證券」

29日まで募集されていた第4回個人向け国債の販売において、野村證券は1社で申し込み件数は9万件を突破して、3500億円も販売していたことが日経新聞の記事で紹介されていた(前回債は400億円強とか)。初期利子が0.77%と引き上げられたこともあり、金融機関も積極的に販売しているところもあるとは聞いていたが、郵便局の販売分の倍以上を一社だけで売っていたとはびっくりした。そういえば新聞広告も野村さんは出していたこともあって、かなり本腰を入れて取り組んでいたと思われる。銀行や郵便局にとってこの個人向け国債は預貯金の競合商品となるが、証券会社にとっては、元本が保証された金融商品としては競合商品がない。以前は中期国債ファンドなど公社債型投信が同様の商品といわれていたものの、結局元本が保証されていなかったことが、エンロンの問題で表面化し、これにより公社債型投信から10兆円以上の資金が流失したと言われる。それを取り戻すためにも個人向け国債は大きな戦略商品になる。一般の投資信託に比較して手数料が低いため魅力ないといった金融機関もあったようだが、そもそも株などに投資するリスクに耐えうる資金と元本が保証される貯蓄性の資金とは違ったものとなるはずである。低いといえど50銭の手数料も入るため、販売規模を大きくすればそれなりの収益となる。今後は郵貯の民営化やペイオフの完全解禁の可能性もある。長期金利が上昇しても一向に金利が上昇しない預貯金に比べ個人向け国債は金利面でもかなり優位となる。個人向け国債の販売に重点をおいた今回の野村證券の営業姿勢はまさに理に叶ったものともいえると思う。


2003.9.29「10月以降の債券相場」

株高債券安の流れは、米国市場で株安・債券高となったことに加え円高によって一時的に止まったかに見える。しかし、債券市場では10年債で1.2%近くまで低下してしまい、さすがにその水準では投資家ニーズもなく戻り売りに押されている。中間決算を控え、メガバンクなどは動けず、参加者も限られているなか、現在のところ10年債の利回りで1.4%程度、日経平均で10200円前後での推移となっている。10月に入ると銀行の買いも入るのではとの期待もあるが、それほど積極的な買いは期待できない。リスク管理上の問題も残る。景気回復期待もそれほど後退しているとも思えない。CPIもゼロに接近中。神経質な展開は当分続くものと思われる。


2003.9.26「富士山」

南関東中心に9月中旬に大地震が発生するとの民間研究者のコメントが注目されていたが、関東ではなく北海道で大きな地震が発生した。先日のテレビ番組では富士山が噴火した際の被害のシミュレーションを放送していたが、休火山である富士山はいつ爆発してもおかしくはないと言われる。先日、久しぶりに磐梯山に行ってきたのだが、噴火の恐さはその磐梯山を見てもわかる。山がまさに半分なくなっている。1888年の大噴火によって桧原湖や五色沼が出来たのも知られていることである。富士山のまわりの富士五湖もやはり噴火によって出来たものである。また、関東ローム層、いわゆる赤土は富士山や箱根の噴火で放出された火山灰である。自然災害の中でもっとも破壊力を有しているのは火山の噴火と言われる。火山の噴火は防ぎようがない。富士山がもし噴火するようなことがあった際には非難するほか方法はない。


2003.9.25「国債及び借入金並びに政府保証債務残現在高(2003年6月末現在)」

http://www.mof.go.jp/gbb/1506.htm


2003.9.25「円高と金融緩和と非不胎化」

円高となり、また一部から日銀の追加緩和を求める声すら上がっている。円高イコール金融緩和という単純な発想は決して事態を解決するわけではない。プラザ合意後の加速しすぎた円高に金融緩和で対処してどういう結末を迎えたのかお忘れなのか。政府・日銀の為替介入の結果として日銀による外債購入と同じ効果と指摘した方もいたが、そもそも目的が違うであろう。介入資金をそのまま市場に放置して非不胎化と言っている方もいるようだが、短期金融市場をご存知なのであろうか。相場も経済も杓子定規で対応したところで何ら効果は生まれない。場当たり的な処方ほど後遺症を残す。円高になるにはそれ相応の理由がある。円を買うのが投機と決め付けたマスコミもあるようだが相場というものをご存知ないのではなかろうか。同様に債券も売るのが投機と言われるかもしれない。しかし、金利が上昇すると予測のもと債券を売るのは投資行動としても当然の行為であろう。長期金利は確かに上昇ピッチが早すぎた。それは超低金利が長きに渡って進みすぎたことの反動であり、それはいずれ落ち着く。為替も同様だと思う。介入せずともいずれ落ち着きどころを探すはずである。そもそも自国通貨が売られているのではなく買われているのである。輸出企業をフォローするあまり過敏になりすぎてはいまいか。日本の経済情勢を反映したならもっと円安になってもおかしくないとのコメントも聞かれる。為替は相手国があるために相対的なものではあるが、いくら日本人が慎み深いとはいえそんなに悲観的な状況が続いているというのか。それとも私が日本経済を過大評価しすぎているというのであろうか。


2003.9.25「郵便局分を完売」

25日の10時に第4回個人向け国債の郵便局の販売分1666億円が完売となった。


2003.9.24「小泉再改造内閣」

政治についてはあまり詳しくはない。あくまで歴史をひととおり知っているぐらいで、力関係やら裏の人脈やらはあまり関心がない。一応、大学では政治学というのを専攻したのだが。それはさておき、今回の小泉内閣の人事は非常に面白かった。総裁戦前の下馬評では、例えば財務相には堀内さんが上がっていたように、総裁戦で手を組んだ守旧派に歩み寄るといった見方もあった。しかし、蓋をあけると小泉路線はさらに強化され継承されていた。若手の抜擢で押しの弱さなどを指摘するマスコミも多いが、諸外国の例を見るまでもなく若くして大統領や首相になる例は多い。むしろその若さに期待する有権者も多いであろう。衆議院選挙に向けての安倍幹事長との見方もある。結果としてはそうかもしれない。しかし、小泉さんの後継者として安倍氏に期待しているのはむしろ国民であろう。人気と実力は異なるとの見方もあるかもしれない。それならば今の政界での実力とは何なのか。集金力か。発言力か。そうではなかろう。政治を動かしているのは現在、官邸であり、その主の意向が大きな影響を与えている。その主(ぬし)に力を与えているのが国民の人気であろう。ポピュリズムを懸念する声も確かに強い。それよりむしろこれまで政治が国民の方を向いてこなかったことの反動ではないのか。小泉政権に対しては経済政策については批判的な声も強い。しかし、それがウイークポイントにすらなっていない。経済対策以上に財政構造改革に力を注ぐべきとの国民の意思の現れではないのか。大規模な経済対策をとらずとも、景気回復の芽が出ており、株価が回復したのを識者はどう評価するのか。いつまでも昔の尺度を持ってしては現在の政治を計ることができないと私は思っている。


2003.9.22「個人向け国債の売れ行き順調」

財務省は19日、第四回個人向け国債の募集状況について中間集計を発表した。それによると銀行や証券会社など金融機関向けの販売額は当初の見積りをさらに上回り、7800億円に達する見通しとなった。また、郵便局の販売額についても1666億円の予定額に対してその約9割となる1499億円をすでに販売している。

今年度の個人向け国債の販売予定額は1兆2千億円であったが、4月と7月で4954億円を販売しており、すでに年間目標額を上回るのは確実となっている。個人向け国債については、販売額をある程度柔軟なものとしており、人気が高く予定販売額を上回った場合はもその分ほかの国債を減額することが可能になっている。

変動利付タイプでわかりにくいとの批評もあったが、個人はさすがに有利とみなせば動いてくる。金利が上昇局面となればこの変動利付はかなり有利なものとなる。この勢いが続けば、個人にとっての国債投資への認識が変わってくることも予想される。

加えて小泉氏が総裁選で再選され、その公約のひとつが郵政公社の民営化である。特に郵貯が民営化となれば、国債と同程度の安全性を保っていた郵便貯金が国債に比べて安全性が低くなることも考えられる。もちろん一千万円までは保護されるとはいえ、郵政公社の民営化に伴い、個人向け国債の優位性も高まることも十分に考えられる。


2003.9.19「個人向け国債販売順調(第4回債中間発表?)」

個人向け国債の募集は順調に進んでいる。今年度の発行予定額のうち民間分の残りが7,046億円であるのに対し、今回(第4回)の当初申請額が5,682億円、昨日までの追加申請額が約1,400億円あり計7,080億円程度に達していると財務省が発表した。ちなみに郵便局では、今回1,666億円の枠に対し、昨日までで1,429億円と売り切れまであとわずかとなっている。金融機関の追加申請額を加えた販売予定額と郵便局の上限を加ええれば、8,746億円となの9,000億円に迫る勢いとなる。


2003.9.19「日本人論」

天皇はどこから来たか(新潮文庫)という本を読んだ。大学受験に日本史を選択したのだが、昔から日本史にはたいへん興味があり、たまにこのような本も読んでいる。表題の内容についてはひとつの考え方ということであろう。しかし、中に少し興味をひかれる記述があった。

「20世紀末期のついこのあいだまで、日本の特徴とされ経済発展の原動力となった治安とガバナビリティーのよさ、平均的な教育水準と仕事の熟練度の高さ、好奇心と知識欲の旺盛さ、マゾヒスティックなまでの忍耐強さ、清潔好き、そして画一性・・・等々は、戦国時代の真っ只中にあったころすでに全部備わっていた」

れらが何故わずか10年あまりで喪失してしまったのであろうか。日本を良くするというのは、実はこういった特色を再び回復させることではなかろうか。治安は悪くなり、親や先生に従うこともできない子が多くなり、教育水準は低下、好奇心は失われ、読書量は急減、忍耐どころか切れる人が増え、自ら清潔に保とうという努力が薄れている。景気が悪い、デフレデフレと騒ぐのも良いが、人に頼りすぎるあまり、自らの本質を失ってしまったのが今の日本人なのではなかろうか。


2003.9.19「時間軸効果と福井総裁」

日銀の出口理論といわれるものが債券市場で材料視されている。この出口というものは日銀の量的緩和策からの出口という意味となる。2003年3月19日の日銀金融政策決定会合において、日銀はこれまでの金融市場調節方式を180度変更して、操作目標を金利から日本銀行当座預金残高という量を主たる操作目標としたのである。なぜこのような緩和策を取ったのかについては、拙著「日本国債は危なくない」もしくは、弊社講座「日銀の金融政策入門講座」のテキストを参考にしていただきたい(受講生募集中!!)。

この量的緩和策を導入するにあたってより効果的にするために設けられたのが「時間軸」であった。量的緩和策を「消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで続ける」としたのである。

2003年3月19日の日銀金融政策決定会合議事融資には、この時間軸に関して審議委員の意見が掲載されている。いくつかピックアップしてみたい。

「どのような緩和政策を打ち出すにせよ、(1)その継続期間に関するコミットメントを明確に行うことで、いわゆる「時間軸効果」を狙うことが必要である点、および(2)ゼロ金利政策下において採用された「デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢となるまで」という表現よりも明確なコミットメントが望ましい点、において、概ね認識が一致した。 」

デフレ懸念の払拭がやや曖昧であったことで、ゼロ金利解除の混乱に繋がっていた。このため、より明確が線引きが必要となったものと思われる。ただし、この時間軸にしても、曖昧な点もあるのも確かであった。それが「安定的にゼロ%以上」という部分である。この点については、各審議委員(当時)の意見は以下のとおり。

「基準となる消費者物価指数の具体的なレベルの示し方については、いくつかの意見が見られた。複数の委員は、日本銀行として望ましい中長期的インフレ率についての合意がない一方で、「インフレでもデフレでもない状態」が望ましいことについては合意が出来ていることを踏まえ、「ゼロ%に戻る」ことを条件にコミットメントを示すのが適当との意見を述べた。これに対して、何人かの委員は、ゼロ%というピン・ポイントの表現は、現状では物価の安定の定義を特定の数値で示すのは困難という見解と整合的でないと述べた。ある委員は、どの程度のプラスが望ましいかについては引き続き検討課題であるとしても、「安定的にゼロ%以上となる」といった表現で若干のプラスというニュアンスを出すのが適当との意見を述べた。なお、別の一人の委員は、消費者物価指数の上方バイアスが0.9%もある中では、ゼロ%は適当なレベルではなく、より高めのレンジで示すことが望ましい、と述べた。 」

ここでは「安定的にゼロ%以上」というものが具体的にどのような状態を指すのかは明確ではない。議事要旨でも結局、「時間軸のコミットメントの表現方法については、若干のプラスの具体的な水準については引き続き検討課題としたうえで、デフレ・スパイラルに陥ることを防ぐという断固たる決意を示すという観点から、「消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで」という表現でコンセンサスが得られていった。 」とまとめている。

これに対して、現在の福井日銀総裁は、時間軸に関して9月17日の定例記者会見において次のようにコメントした。

「具体的にこれをどう表現すれば良いか非常に難しいけれども、一言で言えば、『簡単にマイナスの物価の世界に逆戻りしないと判断できるようになるまでは』ということだと思う。従って、表面的に消費者物価指数の前年比上昇率がプラスになり、それが数か月続いたとしても、今おっしゃったような明確な特殊要因でそうなっており、その特殊要因が剥落すればまた元のマイナスの世界に戻る可能性があるということであれば、これは安定的にとはおそらく言えないだろうと思う。政策委員会できちんと判断しなければいけないことであるから、私の判断だけではいけないのだろうが、私が判断すればそういうことになると思う。 」

債券市場が出口議論を巡ってそれを売り材料視しているとの見方も強まったことで、あらためて時間軸は強固なものであることを示したかったものと思われる。なぜこの出口議論が出てきたのかといえば8月13日に発表された7月14、15日の金融政策決定会合議事要旨において以下のようなコメントがあったからである。

「別のひとりの委員は、長期金利の動向は、先行きの政策運営にとって重要な情報や含意を得るという観点からも重要である、と指摘した」。そして、7月17日の日銀総裁記者会見でおいては、福井総裁は次のようにコメントしている。「債券相場あるいは長期金利が変動することに伴う金融機関経営への影響については、この先、長期金利が本当に上昇の過程に至る時──つまり経済の回復という実態を伴って長期金利が上昇過程に入る時──以降の問題として、私の頭の中には大きな関心事として存在する。」

これは、別のひとりの委員が福井総裁ではないかとの見方に繋がるものであると考えられる。この9月17日記者会見の際に、日銀の金融政策における長期金利の位置付けについてといった質問もあった。それに対して福井総裁は次のようにコメントしている。

「私がこの問題について上手に説明しきれなければ、改めて事務局から本当にわかり易い解説をしてもらいたいと思うほどに重要な論点である。」と最初に断っているように、この問題に対しては総裁もかなり神経質になっていたことが伺える。、

「時間軸効果というものは、緩和を長く続けるとコミットすることによって、将来の緩和を前借りするということであるから、その意図するところは、長期の金利についても下方プレッシャーをかけるということだと思う。従って、長期金利に全く関心がないということではなく、長期金利に強い関心を持ちながら、金融調節を行い続けるということだと思う。しかし、そのことは、長期金利について、ある特定の水準を意識して、意識的に直接コントロールするということとは違う。長期金利について、特定の水準を意識して、そこに誘導し、収め、固定するために、特定のオペレーションを集中的に施すというような考えとは違うということである。つまり、時間軸効果は長期金利に下方プレッシャーを及ぼすとは言え、イールドカーブの長期部分の形状はあくまで市場に委ねるということであり、イールドカーブそのものを一定のかたちに誘導するという政策とは峻別されるものとして捉えている。」

実際に今年6月までの長期金利の低下はこの時間軸効果によるところ大であった。加えてボラティリティが小さくなったことで銀行のリスク許容度が大きくなり債券バブルといわれるような超低金利となってしまった。その反動がまず6月以降の債券下落につながり、長期金利が大きく反転した。これが一時的なものかどうか見極める必要もあったが、7月、8月とさらに下落ピッチが速まり、なおかつ株価上昇が継続した。GDPなど発表された経済指標も良い数値が多くなり、市場参加者の景況感が変化しつつある際に、この長期金利上昇を一過性のものではないと見始めていたのが福井総裁であったとも伺える。

しかし、市場参加者が債券急落によってかなり神経質になっていたところに、この出口理論が出たことで、市場にもインパクトを与えてしまったとの認識も強かった。このために、福井総裁は時間軸強化の姿勢を示したものと思われる。しかし、あまり長期金利の動向に神経質になると以下のような副作用もあることを福井総裁はコメントしている。

「時間軸効果でイールドカーブにプレッシャーをかけると、その度合いが強まれば強まるほど、市場機能を壊すリスクが、ショーター・エンド(短期の部分)だけではなく、長期の部分にまで及んでいくという悩みを抱えている。しかし、短期の金利も長期の金利もコントロールする──イールドカーブを完全にコントロールする──ことによって、即座に市場機能を全て封殺することとは、やはりかなり違うのではないかと思う。 」


2003.9.18「主要国の国内総生産」

日経新聞2003年9月18日より
(2001年、単位億ドル)
アメリカ 100,197
日本    41,757
ドイツ   18,534
イギリス  14,218
フランス  13,098
イタリア  10,887
カナダ    6,944
中国    11,910
韓国     4,221
インド    4,865


2003.9.18「先物変われば地合いも変る?」

本日の債券相場は先物に仕掛け的な売りが入ったり、日経平均が11000円台を回復したにも関わらず、債券先物は137円19銭と高値引けとなった。ここにきて株価の動向に反応薄となり、これまで売り手の主役の一人、バンク勢の売りも決算を前に一巡していたことで、地合いが変わってきたように思われる。債券が底堅くなってきたのは債券先物の中心限月が移行してからとも見られるが、「やんちゃで売りが好きな」な9月限に対して、12月限はしっかりものの先物になったように思われる。地合いが落ち着けば、急落過程で買いを控えていた投資家の買いも入りやすくなり、また償還見合いの買いなども年金などを中心に見られるようである。売りが出なくなった分、そこそこの買いでも相場は上昇しやすくなる。本日は、年金に加え生保や外人買いなども入っていると伝えられている。日銀が長期金利上昇に対して配慮する姿勢を見せたことも好感材料となろう。今後はもう少し戻りを試す展開が予想される。ただし、銀行の買い方とは違い、大きく上値を追っての買いはあまり期待できない。戻りにもそれなりに限度があるのも確かではなかろうか。


2003.9.17「日経平均1万1千円台」

日経平均がついに1万1千円台を回復した。米国株式市場の影響があるとはいえど、日本の景気回復期待といったものも根底にあろう。しかし、株高にも関わらず債券の下げもここにきて一服している。決算期末を意識した銀行のリスク回避行動による債券売りが一巡したことに加え、これまで積極的に債券先物を売ってきていたヘッジファンドの売りも止まっている。先物の中心限月が12月限に移行したことで、少し様相が変わってきた。以前にも指摘したが、先物は意外に限月毎にくせのようなものを持っている。6月限は静かに上昇するタイプであったし、9月限はその反対に値動きが極端に大きくなり、さらに大きく下げるタイプであった。12月限はいまのところ、買われやすいタイプのように見える。9月限からロールしたショートをカバーしているのであろうか。現物債も売りが止まっているだけに、少しまとまった買いが入るだけで一気に上昇してしまうケースも多い。日経平均が1万1千円台に乗せても、売りが限定しているということは、この限月は意外としっかりしているともいえる。9月という決算に絡んだ特殊要因もあろうが、当面債券相場の一方的な下げは回避される可能性も強まってきたが、油断も大敵。


2003.9.16「国債」

15日のフジテレビの朝の番組でも、取り上げていた個人向け国債は、今回初期利子が0.77%となったこともあり、かなりの人気となり販売も好調のようである。国債といえば国の借金といったイメージが先行し、特に年配者はあまり良い印象を持っていないようにも思われる。しかし番組の中でも独身の女性が300万円購入したとのインタビューがあったが、国債を安全な金融商品としてみれば、購入の価値は十分にある商品である。これだけ巨額の国の借金に手を貸したくないという気持ちは理解できる。しかし、財政を悪化させたのはいったい誰であるかと問われれば、結局、政治家ではなくそれを選んだ有権者たる我々国民となろう。自分の国というより他の国のごとく、手を貸すのは嫌だというのもある意味身勝手である。借金まみれの国なんかどうなるかわからないといった他人事のようなコメントが聞かれるのも、よく考えれば不思議である。そういいながらも国は何もしてくれない、なんで景気対策打たないんだというのも矛盾に満ちている。税金払っているのに文句を言われる筋合いでもないといわれるかもしれない。確かに我々は納税の義務がある。しかし、それが適切に使われているのかをチェックする必要もあろう。借金まみれの体質を改善するには政治家の力では無理である。我々の意思の問題ともいえまいか。だから国債を買えというわけではない。その国債の信頼を保てるかどうかも結局我々にかかっているのだし、それを保てれば国債は金融商品としての安全性を維持することができるのである。


2003.9.16「フジテレビ とくダネ!に出演」

私事で恐縮だが、フジテレビの朝の番組「とくダネ!」のコーナー「?の深層 そうだったのか」で個人向け国債が取り上げられ、その中でいくつかコメントさせていただいた。先週、突然にフジテレビのディレクターから電話があり、個人向け国債の話を聞きたいとの依頼を受けた。もちろん、引き受けたのだが、まさか録画とはいえ出演するとは当初思っていなかった。金曜日に取材にきたのだが、しっかりとテレビカメラもついて来た。結局、1時間近く取材を受けたのだが、果たしてこれが放映されるのかどうか、これまた疑心暗鬼であった。いつものように早口でもあり、うまく話せたのかどうか自信がなかった。恐る恐る定刻にテレビの前に行くと子供たちも待ち構えていた。出てきた。しかも、なんとなく演出されており、おおっといった感じであった。話していることもまずまず聞き取れる感じで、思ったよりは良かった。これまで、テレビといえば、テレビ東京さんの槇さんの番組に2度、、BSジャパンさんに3度ぐらい出させていただいたが、まだまだ慣れない。ただ、機会があれば、特に個人向け国債のことはアピールし続けたいとも思っている。


2003.9.12「賛成多数で現状維持、国債現先オペ期間延長の検討を指示」

日銀は本日の金融政策決定会合において、現行の金融政策の継続を賛成多数で決定し、国債現先オペの期間延長の検討を執行部に指示した。国債現先オペの期間延長の検討については以下のようなコメントが発表された。

現在、日本銀行の金融調節においては、手形買入れオペや短期国債買入れは最長期間が1年であるのに対し、国債現先オペ(国債及び短期国債の条件付売買)は最長期間が6か月となっている。本日の政策委員会・金融政策決定会合では、量的緩和政策のもとで金融市場の安定確保のため金融調節を機動的に行う観点から、国債現先オペの期間を延長することが適当ではないかとの意見が出された。これを受けて議長は、国債現先オペの期間延長につき検討し、次回決定会合で報告するよう、執行部に指示した。

これはより長い期間の資金供給手段を多様化させることで、長期金利に連動した短期金利の跳ね上がりを押さえる手段の一貫とも思われる。これを受けて、債券は一時的に買われた。これは日銀も長期金利上昇に対して配慮した姿勢を示すものとは思われるが、実際にはどれだけ抑制効果があるのかといえば、やはり一時的なものであろう。ただし気になるのは、現行の金融政策の継続を賛成多数で決定したこと。全員一致ではないということはもちろん反対者がいたことであるが、どのような理由で反対し、どのような政策を取るべきとその反対者がコメントしたのか気になるところでもある。


2003.9.12「債券版トリビアの泉?」

財務省理財局国債課に初めてディーリングルームを作ったのは・・・・・・・ミスター円こと榊原英資氏である。

記名式の・・・・・・・・・国債がある。

国債市場懇談会は・・・・・・・・・私的勉強会である。

債券先物は・・・・・・・・・ダイヤル式黒電話で注文を出していたときがある。

「まる」とは・・・・・・・・・・中止、取り消しのことである。


2003.9.12「一週間を振り返って」

9日に実施された5年国債の入札は、利率が0.8%に引き上げられたこともあり、落札結果自体はほぼ予想通りの水準であったが応札倍率が2倍を超えず、これまで大量に5年国債を購入していた銀行による買いは限定的なものであったことが伺えた。日経平均が米国株式の上昇などを受け10900円を突破したこともあり、債券相場は超長期債から長期ゾーンがまず売られ、20年国債63回債は1.960%、10年国債253回債は1.6%ちょうどまで利回りが大きく上昇した。

10日の朝方に発表された4−6月期GDP第2次速報値は年率で+3.9%と大幅に上方修正された。6月以降の長期金利の上昇は、市場参加者の景況感の変化によるところが大きく、このGDPの数値はそれを裏付ける数値となったものの、市場参加者はすでに大幅な上方修正を予想していたことで、この材料は織り込んでいたものと思われる。この日は債券先物の9月限の売買最終日。建て玉がかなり残っていたこともあり、先物は買い戻し主体の動きとなった。12月限の出来高が9月限を上回ったことで先物の中心限月が12月に移行。前回6月限から9月限に中心限月が移行した6月11日をピークに債券相場は反落しており、今回の限月移行によっても今後の債券相場の行方が変化する可能性も指摘する声もあった。先物の買戻しに加え、10年253回債にも押し目買いが入り、1.510%まで利回りが低下したが、後場には今度は1.570%まで利回りが上昇するなど相場はやや乱高下。

11日は米国株式市場の下落などを受けて日経平均が10500円台まで値を下げた。このため、債券は中長期債主体に再び買われ10年253回は、1.5%を割り込んだ。12月限に中心限月が移行した先物も買い戻し主体に大きく買われ、前日比1円以上も値を戻した。しかし、週末では株の反発もあり、10年253回債は再び1.5%台に利回りが上昇した。

来週以降の長期金利の動向について予想してみたい。キーとなるのは株価だと思われる。日経平均は11000円を手前に反落したが、いずれこの水準をトライしてくることは十分に考えられる。10日に発表されたGDPなどからみても景気回復期待は強まっているためである。債券先物は中心限月が交代したが、長期金利はまだ上昇トレンドの中にいると考えざるを得ない。10年債の利回りはいずれ1.7%を試しにくるものと予想する。


2003.9.10「ビジネスの為の確率感覚入門」

10月から新講座「ビジネスの為の確率感覚入門」がスタートします。「確率」と聞くだけで難しいといった印象もありますが(私も・・・)、しかし、ビジネスには確率の感覚は必要不可欠です。相場なんかもまさにそうですよね。この確率をなるべく数式とかを使わずに、ビジネスで使える道具として認識していただくための講座です。テキストは弊社、倉都康行の書き下ろしです。ぜひこの機会に確率感覚を学んでください。お申し込みはお早めに。詳しくはこちらのページにて。http://www.rptech.co.jp/probability/


2003.9.10「15年変動利付国債」

本日15年変動利付国債の入札が実施された。個人向け国債同様にこの国債も10年国債の利回りの変化に応じて半年毎の受け取り利息が変わる。今回の15年変動利付国債の初期利子の適用利回りは、第4回個人向け国債の初期利子とおなじく、9月2日に実施された10ねん国債の落札結果から算出される基準金利から算出される。個人向け国債は、この基準金利から差し引く値は、0.8%と統一されているが、15年変動利付国債は、この差し引く値を入札するかたちになっている。基準金利は、1.57%であったが、アルファは0.57%となり、初期利子は1%ちょうどとなった。応札倍率は3.14倍。


2003.9.10「第4回個人向け国債の販売順調」

10日初日の販売は、すでに証券会社や金融機関から増額申請も出ており、郵便局での販売も好調な模様。

第4回個人向け国債概要

募集期間 平成15年9月10日(水)〜29日(月)
発行日 平成15年10月10日
利払い 毎年10月10日及び4月10日(年2回)
初回適用利子 0.77%
償還日 平成25年10月10日
募集価格・償還価格 額面金額100円につき100円


2003.9.10「野中氏の引退」

昨日、自民党橋本派の野中広務元幹事長が引退を表明した。自民党最大派閥の橋本派が、総裁戦を巡って分裂したことが要因と思われる。これによって橋本派が分裂し、派閥政治が終焉するかどうかまだわからないが、これは大きな政治の変革を意味するものと思われる。小泉首相が掲げる構造改革は、まさに田中角栄の作った政治の改革ともいえた。土建国家と言われ、財政投融資という第二の予算をあちこち注ぎ込み、自らの派閥で日本政治・経済を牛耳っていた集団こそ田中角栄の作ったものである。これが日本経済を支えたとの見方もあるかもしれないが、歴史を見る限りらおいて、日本列島を改造しようとしたのは低成長期に移行するタイミングであり、国の財政にとって余裕がなくなりつつある時期でもあった。新幹線や高速道路など各種公共事業は有益な社会基盤になったかもしれないが、それは結果として借金によるものであったといえる。どこまでが必要でどこまでが必要ないかとの線引きを今ごろしてもすでに遅いともいえる。この派閥政治によって国は莫大な借金を抱えてしまったともいえる。守旧派というれる方々が、国債をばんばん出して公共投資すれば景気は良くなるという妄想を抱いているのもこの流れの延長であろう。しかし、やっとここにきて、その派閥政治の終焉が見えてきた感もある。政治のうえでの小泉改革はこれで成功したともいえるのではなかろうか。ただ、青木氏や村岡氏は、小泉支持に回ったとはいえ、政策については意見を事にするという。それでも支持に回った背景というのも政治である以上、隠されたものがあるのかもしれない。ただ、彼らには派閥としての生き残りといったものはそれほど重要ではなかったのかもしれない。田中角栄は偉大な政治家とも言われる。それについては異を唱えるべき根拠を数多く持っているわけではない。しかし、この国の借金のかなりの部分を築き上げた元を作ったのもまたその人であったといえるのではあるまいか。


2003.9.9「個人向け国債販売倍増へ(日経新聞)」

日経新聞によると10日から募集が開始される第4回個人向け国債の販売予定額が、7350億円に上ることがあきらかになったと伝えている。初期利子が長期金利の上昇に伴ない0.77%と前回の0.05%よりも大幅に引き上げられたことで、各金融機関とも大幅な販売増を見込んだものと思われる。民間金融機関の販売額は5680億円、また郵便局の販売額は、1666億円とされている。一部報道によると、郵便局の販売は今年度の予定販売額のリミット1666億円に関係なく無制限に販売可能といったものもあった。特に個人はこういった高利回りに対してはたいへん敏感である。問題は変動利付きの有利さをどの程度認識してもらえるかである。第4回の販売額が予想以上のものとなれば、懸念される今後の国債消化にとっても消化先の拡大につながり、国債需給にとって好材料視される可能性もある。募集初日となる明日10日の販売状況に注目したい。


2003.9.5「郵便局での第4回個人向け国債の販売枠は1666億円」

ロイター通信によると、第4回個人向け国債の郵便局の販売額を今年度の残り販売予定額いっぱいの1666億円としたことを明らかにした。


2003.9.5「国債急落の歴史 その2 1985年 (「日本国債は危なくない」より)」

昭和60年(1985年)6月に、金融機関のフルディーリングが開始された。債券のディーリング業務とは既発債を売買する業務であり、それまでは証券会社らしか認められていなかった。国債を大量に保有している都銀などの銀行が、国債市場に本格的に登場することで公社債の売買高は急増し、昭和60年(1985年)6月の売買高は約35兆円となり、5月の13兆6千億円に比べて、3倍近くに膨れ上がった。ただし、銀行は商品勘定保有国債であっても、翌月までの売却自粛期間が設けられていた。この売買自粛が完全に廃止されたのは、昭和62年(1987年)の9月であった。

金融機関のフルディーリングの開始もあって、国債は活発に買われるようになり、7月には一時的ながら当時の指標銘柄である10年利付国債(68回債)の利回りが、代表的な短期金利のひとつであった手形レートを下回り、長短金利の逆転現象が生じた。

1985年の9月、密かに先進5カ国の蔵相・中央銀行総裁がニューヨークのプラザホテルに集結し、米国の財政赤字と貿易赤字という双子の赤字を解消するため、為替をドル安方向に誘導させるとの合意を行った。いわゆるプラザ合意である。プラザ合意前の為替市場においては、1ドルは242円であったが、プラザ合意後の11月末には202円まで円高が進行した。

1985年10月に、東京証券取引所に日本ではじめての金融先物市場が誕生している。債券先物取引(長期国債先物取引)が開始されたのである。東証の正会員である証券会社に加え、特別会員として都銀などもこの取引に参加することとなった。しかし、この債券先物取引はスタート直後に急落することとなる。

日銀はプラザ合意を受け、10月24日に短期金利の高め誘導を実施した。日銀は短期金利を高めることによって、ドルを売って円を買う動きを誘ったのである。この日銀による短期金利の高め誘導のために、債券先物は急落し、大量の売り注文により2日間値がつかないという大混乱となった。このように先物はストップ安売り気配で値段が付かなかったが、10月25日に10年国債の68回債は、価格で4円14銭も下落したのである。

年明け後、今度は進みすぎた円高のために景気の悪化が懸念され、公定歩合の引き下げが実施された。これを受けて、債券市況は回復し、2月には10年国債の利回りが戦後はじめて5%を割り込んだのである。


2003.9.4「国債急落の歴史 その1 ロクイチ国債暴落(「日本国債は危なくない」より)」

国債の流動化があまり進んでいなかったころに、国債は一度大きな暴落を経験している。それが「ロクイチ国債」と呼ばれた国債の暴落である。昭和53年(1978年)は、当時とすれば低金利局面であり、4月には利率6.1%(通称、ロクイチ国債)の国債が発行された。それまで発行された10年国債の最低利率であったこともあり、金利上昇に伴う価格下落が懸念されていた。

昭和54年(1979年)4月以降は、本格的な金利上昇局面となり、国債価格は大きく下落した。5月には国債価格下落を防ぐために、国債整理基金による公開入札形式の国債買い入れが実施されたにもかかわらず、景気拡大や原油価格の上昇により、6月にはロクイチ国債の利回りは上昇し9%を超えてきた。この国債の下落を受けて、この年の12月には金融機関の保有国債の評価法が、従来の低下法から原価法または低価法の選択性となった。

昭和55年(1980年)、日銀は2月、3月と立て続けに公定歩合を引き上げた。このため、長期金利も大きく上昇し、ロクイチ国債は暴落した。4月にロクイチ国債の国債の利回りが12%台にまで上昇し、金融機関がパニック状況に陥ったのである。その後、米国金利の急激な低下などによって市況は急回復したが、このロクイチ国債の暴落は大蔵省(現、財務省)の国債管理政策にも大きな影響を与えたとされている。


2003.9.3「第4回個人向け国債」

第4回個人向け国債の初期利子が0.77%となると財務省から発表された。2日に実施された10年国債の落札結果から算出された15年変動利付国債の基準金利1.57%から、0.8%引いたものとなる(一部昨日若き知と重複ご容赦)。第3回個人向け国債の初期利子は、6月3日に実施された10年国債の入札の基準金利が0.51%となってしまい、0.8%を差し引くとマイナスとなってしまうため、0.05%という最低保証利子となった。このため、第3回個人向け国債の販売額の内訳は、民間金融機関分が2214億円、郵便局分が588億円。募集前の民間金融機関の販売希望額(2400億円)と郵便局の販売枠(1500億円)をいずれも下回ってしまった。この6月上旬の長期金利が異常な低金利であった。それ以降、長期金利は反転上昇し、6月と9月では基準金利からみても1.06%も上昇している。個人国債は金利が反転上昇局面にあってはかなり有利な金融商品となる。なぜなら、長期金利は市場実勢に委ねられており、思惑だけでも動く。つまり先々を予測して動くために、いったん金利が上昇局面となれば先んじて上昇する。この長期金利に連動するため、個人向け国債の利子も当然ながら同様に上昇していく。それに対して預貯金金利はそう簡単には動かない。少なくても日銀が量的緩和を続けており、短期金利は多少上昇しても依然としてゼロに近いものとなっている。また、9月上旬に募集される5年の利付金融債の利子が0.1%と据え置かれていたように、特に個人向けの利子は金利が多少上昇しても、それに応じて簡単に動かない。反面、住宅ローン金利などはすぐに上昇してりしているが。これは銀行も営利企業であるため、ある程度はいたしかたないのかもしれない。しかし、個人向け国債はそうではない。しかも、安全性は日本の金融商品の中で最も高いのは言うまでもない。郵貯の民営化の可能性もあり、いずれ郵貯よりも安全性が高まる可能性もある。個人はこの利子に敏感でもあり、9月10日初日に完売することも考えられるため、もし資産を個人向け国債に移すことを希望される方は、早めに証券会社などに問い合わせてみたほうがよいかもしれない。


2003.9.2「10年国債入札」

本日、10年利付国債9月債(253回)の入札が実施された。ここのところの金利上昇により、利率は前回の252回債から0.6%引き上げられ、1.6%となった。この利率は2001年1月債以来となる。一部大手証券の満額入札などにより、落札結果自体は悪くなかった。ちなみに、10年国債はシ団引き受けが残っている関係もあり、入札の際に一社あたりの落札限度額が設けられている。それは入札額の3割であり、1兆9千億円の入札分、1兆5200億円の30%の4560億円となる。落札結果は、最低落札価格がほぼ事前予想の100円60銭。平均落札価格が100円71銭。応札倍率は、3.09%となった。主な落札先は、以下のとおり。日興シティグループが4560億円、BNPパリバ2311億円。みずほ証券1400億円。JPモルガン証券1014億円。三菱証券1000億円。なお、今回の入札結果によって算出された、15年変動利付国債の基準金利から、0.8%引いたものが、9月10日から募集が開始される個人向け国債の初期利子となる。基準金利は、1.57%と発表されており、個人向け国債の初期利子は0.77%となる。


2003.9.1「長期金利上昇への日銀の対応」

日経平均株価の上昇などを要因にして。債券は先物主導で大きく下落した。現物債も中期から超長期にかけて幅広く売りが入り、債券先物は136円15銭の安値引け。10年252回は1.575%に跳ね上がり、2日の10年国債の利率は1.6%になりそうである。5年29回債は0.905%と0.8%台をつけている。

日銀は先週より手形の買い切りオペを実施した。特に先週27日のオペは来年5月までと長い期間の資金供給であり、金額も1兆円と大きかったことで、長期金利の上昇に伴なう短期金利の跳ね上がりを抑制しようとしたと思われる。

7月以降長期金利があまりに早いピッチで上昇していたこともあり、これによって短期金利にも上昇圧力がかかり、債券市場参加者の一部からは日銀に対して何かしらの行動を求める声が強まっていた。ところが、これまで日銀は総裁・副総裁などが完全に沈黙を保っていた。

しかし、日銀は言葉ではなく行動で長期金利の上昇抑制を示したといえる。短期金融市場に大量に、しかも長期に渡って資金供給をすることで、量的緩和を続けるとの意思を示したと思われる。これによって債券相場は一時的に大きく戻った。ところが翌日も同じオペを実施したものの、この際は資金繰りの関係か売りオペとのツイストオペであったこともあるが、ほとんど債券相場への影響はなかった。そして、29日は手形の買いオペがなかったというだけで債券は一時的に売り込まれたぐらいである。

そもそも日銀にとっては、ある程度の長期金利の上昇は容認しているのではないかと推測される。日銀の金融政策決定会合の議事要旨などからも、6月までの長期金利の低下が異常との懸念が一部審議委員から表明されていた。そのため長期金利が上昇したからといって慌ててそれを阻止する行動を取る必要があるのかどうかは疑問である。株価の上昇も伴なっており大手金融機関にとっては債券の下落による影響は少ない。住宅ローンなども含め貸し出し金利の上昇要因にはなっているが、そもそも10年の0.4%台が異常であったと考えれば、1%以上も上昇したといっても1.5%程度の金利がファンダメンタルに即して異常金利と言えるのかどうか。

市場参加者もこれまでのあまりに長期に渡る金利低下に慣れてしまい、この程度の金利上昇にもあたふたしてしまったともいえる。確かにあまりに急激な変動に対しては警戒しなければならないが、この程度の金利の上昇がそれほど大きな問題になるのかどうか。しかも、金利上昇時だけの日銀頼みというのもあまりに都合が良すぎてはいまいか。

私自身は7月からの金利上昇は、一時的なものではなく今後の長期金利上昇トレンドに向けての序章にすぎないと考えている。市場参加者の景況感も変化しつつある。超低金利が創出された際には10年も20年もデフレが続くといった認識が強まったが、金利反転によってデフレはあと数年ぐらいは続く程度といったような認識に変化している。長期金利は市場参加者の思惑で動く。日銀のいわゆる時間軸が短縮されれば、その分、金利に上昇圧力がかかる。ここでいう時間軸とは、いつまで日銀が量的緩和・ゼロ金利政策を続けるのかというものである。

29日に発表された7月の全国消費者物価指数などを見ても、デフレが薄らいできつつあることが伺える。日経平均もさらに上昇を続けている。長期金利は日本経済の回復度合いを見極めながら、さらに上昇していく可能性が強いと考えている。

9月3日には福井日銀総裁の会見も予定されている。長期金利の動向に言及してくるかどうか。こちらも注目したい。


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