「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」


2005.1.31「社債に関する基礎知識その3、発行決議」

「社債発行は取締役決議事項と商法に書いてあるため、条件決定と同時、又はあらかじめ発行決議がされてないといけません。昔は、発行条件を含めて、決議しなければならないという考え方のもと、最終需要予測を前場引けまでやって、その後に条件を実務レベルで決め、例えば 11:30あたりから取締役会を開い決議し、引受シ団メンバーに条件決定連絡を12:30頃にしていたものです。90年代の中頃から、包括決議という方法が取られるようになりました。例えば、決議の有効期間を 3ヵ月とか6ヵ月にして、発行額 ・・億円まで、年限は、3年〜20年、利率 0.1%以上 2.5%以内、 発行価格 99円以上100円以下というようなレンジにしておき、社長ないし財務担当役員に個別の条件決定権を委ねるというもの。これにより、フレキシブルで機動的な発行条件決定が可能になった訳です。現在通常行われている、場中のスプレッドプライシングなどは、包括決議が一般的になったおかげと言えます。それでも、一昨年の6月のような金利急騰の時は、包括決議している利率の上限に収まらないので、すぐに起債できないという話もあったようです。」


2005.1.28「社債に関する基礎知識その2、均一価格リリース」

「均一価格リリースと言う言葉が有りますが、一般に社債は発行価格によって募集(取得の勧誘)が引受証券会社に義務づけられていますが、(ほぼ)全部の債券が売れたら、それ以降はセカンダリーとして、金利環境に合わせた実勢で売買されるべきという考えのもと考案されたものです。 ユーロボンドマーケットで、昔からあった FTT (Free to trade) に相当します。均一価格のリリースは募集期間の終了を宣言することであるという理解で良いかと思います。」


2005.1.27「社債に関する基礎知識その1、募集」

社債などの起債にたずさわっている実務者の方に、社債発行に関して良く使われる 基礎的な用語についてお話を伺ったので今回から、それをまとめさせていただきた い。

「社債の募集は発行条件っが決まった後、(発行登録を利用の場合、)追補書類が財務局に提出され、それと同じ内容の追補目論見書が発行登録目論見書とともに引受証券会社に配布された後に設定される時間から開始されます。ホールセール案件は1日、個人向け起債は、発行日(払込日)の前日か当日くらいまでを募集期間とするのが一般的です。 90年代前半頃までは、ホールセール案件でも2日間の募集期間だったりしました。 ちなみに、理屈の上では、条件決定の日に必ず募集が始まるとは限りません。 最近ではめったに見なくなりましたが、昔はサムライ債などで、今日の午後に条件決定して、明日から募集開始というのもありました。 」


2005.1.26「インデックス」

債券相場は好需給を背景に、年金や海外投資家などを主体に買い進まれており、25日には10年266回は12月16日の高値1.330%まで買い進まれ、債券先物も昨年3月の高値水準である139円60銭台をつけてきた。

この年金や海外投資家の買いの背景には、景気の減速や、それに伴い日銀の量的緩和解除がさらに先延ばしされるとの見方の強まり、円高や株の上値の重さといったことも材料にはなっていると思われるが、それ以上にインデックスの長期化といった要素も大きいとみられる。

国内債運用のインデックスといえば野村BPI指数であるが、3月には一般債を含めて15兆円程度が残存1年未満となって外れることなどから、このBPIが0.19年程度と過去最大の伸びになると市場では予想されている。

加えて来年度は20年利付国債の発行額が1.2兆円増額され8.4兆円となることなどから国債市中消化額の平均年限は今年度の6年2か月から8か月伸びて6年10か月となる。このため来年度はさらにインデックスが伸びてくることが予想される。

また、米証券会社リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが債券指数での日本国債の格付けを引き上げる方針と報じられており、米国の機関投資家の90%以上が採用している という指標だけに、これによる影響も大きいものと思われる。

このところ海外投資家の日本国債への買い越し基調は続いている。ドルからユーロ、そしてユーロから円へと一部資金が移動しているための円債買いといったことも言われていたが、加えて日本国債投資に躊躇してアンダーウェイトとなっていた投資家が、リーマンインデックスの方針変更にともなってさらに円債投資を増やしてくるといった可能性もある。


2005.1.25「2004年12月16、17日開催金融政策決定会合議事要旨より」

3日連続の日銀ネタとなってしまって申し訳ないが、昨日2004年12月16、17日開催金融政策決定会合議事要旨が公開され、この中の「当座預金残高目標の引き下げ」に関しての記述が注目された。

「複数の委員は、当座預金残高目標の引き下げは引き締めと捉えられる可能性があり、景気が微妙な情勢である現状は、残高目標をしっかりと達成していくことが大切であると述べた。」

「この間、一人の委員は、ペイオフ解禁を契機として金融市場の流動性不安が後退していく中では、デフレが継続するもとで、量的緩和政策における潤沢な資金供給と結果としてのゼロ金利の維持という枠組みは堅持しつつ、タイミングを十分に見極めながら、市場の資金の余剰度合いに応じて徐々に当座預金残高目標値を減額していくことも考えられるのではないかとした。」

「もう一人の委員は、こうした考え方に基本的に賛成であるとしたうえで、実際に目標値を見直していく際には、その時点の景気動向なども無視できないと述べた。」

少なくとも2人の委員は、当座預金残高目標値の減額の可能性について触れている。日経新聞によるとこのうちの一人は福間審議委員ではないかとしている。ちなみに水野審議委員は25日のブルームバーグのインタビューにおいて、「持続的な景気回復に自信を深め、景気判断を上方修正できるような状況にならないうちに目標を引き下げると、政治的に批判される可能性も高い」と述べたと伝えられている。

私も先週、レポートで「政府・日銀が一丸となってデフレ脱却を目指すといった発言をしている政府関係者を説得することは容易ではない。現在の福井総裁をはじめとする日銀執行部はマーケットや諸外国の対応とともに、首相官邸の意向といったものをかなり意識していると思われる。消費者物価指数等の数値にデフレ解消の兆しが表れるなりして物的証拠がなければ首相官邸を説得するのは難しい。前任の速水総裁は政府関係者とは一線を帰していたが、現在の福井総裁はその反省を含めての対応をしていると思われ、政府関係者の意向に沿わない政策を行う可能性は現状、かなり低いものと思われる。」とコメントしたが、量的緩和の枠組みを解除する前に当座預金残高目標の引き下げを行うことについては、可能性はまったくないとは言い切れないものの、やはり難しいものと考えている。


2005.1.24「1月19日日銀福井総裁会見要旨より」

「物価面でも、基本的な見方は修正していない。消費者物価も、基調としては10月の見通しに沿って推移するとみられるが、質問で言及のあった点は、固定電話通信料や電力料金の下落などが指数面に影響を及ぼす可能性があり、他の条件を一定とすれば指数的には少し下回って推移する可能性がある、ということである。 」

すでに固定電話通信料や電力料金の下落などは「指数的には、新たな要因あるいは特殊要因」としているが、すでに2か月以上前から指摘されていた。それを何故、展望レポートの中間評価でコメントしたのか。基本的な見方は修正していないと言うものの、下振れのリスクに対して前もっての予防線を張ったようにも思われる。

「当座預金残高目標の引き下げに関しても、コミットメントの条件をクリアすることが必要なのか。」との記者の問いに対して、総裁はかなり曖昧とも取れる返答をしている。

「量的緩和の枠組みとは、所要準備額を超えて市場に対して思い切った流動性を供給する枠組み」なのはわかるが、コミットメントの条件をクリアすることが必要なのかとの答えにはなっていないように思われる。このため、この記者会見でも記者がこの点について再度質問を行っている。それに対して総裁のコメントは以下のような内容であった。

「当座預金残高目標の引き下げについて予言的なことは何も申し上げられない。これはその都度政策委員会が決めていくことである。」

「資源の再配分機能をフルに発揮させるという点では次第に物足りなくなるという副作用も出てくる。」

「CPIでみて前年比変化率が安定的にゼロ%以上になるまでの間に、副作用がメリットを上回るほど大きくなるとは想定していない。今もそういうことは予見していないということである。従って、デメリットが大きくなったから量的緩和に大きな修正を加えなければならないというようなことは予見していないということである。 」

これは昨日こちらでアップした「日銀当座預金残高目標はこのまま維持できるのか」でこコメントしたように、『結局は消費者物価指数の上昇等の裏づけがない限り日銀は今後も綱渡りの政策を続けざるを得ないものと思われる』ということになると思われる。ただし、当座預金残高目標値の「小幅な」変更がどの程度、量的緩和の「大きな修正」になりえるのか。「マインド」がかなり意識されていることは間違いないのではなかろうか。

そして最後に記者からなかなかキツイ質問もあった。「結果的に、昨年1月に変更してから1年間現状維持が続いたわけである。何もしていないということにはならないと思うが、外から見て、結果的にそう見えるところもあると思う。結果的に1年間政策変更がなかったことに関して、総裁はどう評価しているか。」

これに対して総裁は、「こういう政策を我慢強く続けていくということに我々はかなり自信をもってやっている。今後もやり続けると申し上げて良いと思う」とコメント。変更しなかったことにも確かに意義はあるものと思われるが・・・。


2005.1.20「日銀当座預金残高目標はこのまま維持できるのか」

日銀の短期市場に資金供給をするオペレーションで「札割れ」が今年に入っても発生している。このままでは日銀は当座預金残高目標を維持できなくなるのではないかとの見方も出てきている。昨年12月2日の法人税の国庫納付日には日銀当座預金残高から一挙に約7兆円が減ったため、当座預金残高下限目標の30兆を維持できるのかと懸念された。この日はなんとか乗り切ったが、今年6月に来る次回の法人税の集中納付日には再び同様に目標残高下限の30兆円割れのリスクが高まる可能性もある。

このように当座預金残高目標の維持が次第に厳しくなりつつあり、市場参加者には目標残高の下限だけでも引き下げてはどうかとの意見も見られ始めている。しかし、どのような理由であれ当座預金の目標残高の引き下げは「金融引き締め」との連想が強く働いてしまうため、かなり困難を伴うものと思われる。

マーケットを説得してマーケットから当座預金残高目標値の変更を求める声を強めてはどうかとの意見もある。ただ、短期金融市場や債券市場関係者は納得しても、他市場関係者や海外の投資家は日銀の政策転換との意識を強めてしまう懸念はある。ましてやマスコミ等からはかなり非難の声も上がるものと予想される。速水総裁当時のゼロ金利解除時も金融引き締めではないと日銀関係者がいくらコメントしても、そのようには理解されなかった経緯もあった。

結局は消費者物価指数の上昇等の裏づけがない限り日銀は今後も綱渡りの政策を続けざるを得ないものと思われる。


2005.1.19「後年度影響試算」

財務省は2005年度予算案を前提にして、2008年度までの財政状況を試算した「後年度影響試算」を明らかにしたと読売新聞などで報じられた。新規財源債発行額については今年度の税収増に伴い40兆円の大台に達するのは2008年度と、昨年予想よりも1年遅くなるとしている。また、歳出面においては少子高齢化に伴う社会保障費が毎年約1兆円ずつ増え続け、その結果一般歳出は2008年度に50兆円に達するとしている。国債費は長期金利が2%水準維持ならば2008年度には21.1兆円になる試算。2006年度以降に年3%に上がる場合は25.5兆円に増えるとしている。


2005.1.18「センター試験と掲示板」

先日実施されたセンター試験の問題に関して、大型掲示板への書き込みが事前にあったとの報道があった。英語の長文読解に出てくる登場人物の「名前」が書き込まれたり、国語で遠藤周作の小説が出されるといった書き込みがあったそうである。具体的な問題や解答といったものではなかったと見られるが、書き込みの内容は確かに試験に見られたことから、漏洩の可能性も捨てきれず文部科学省は18日、大学入試センターに事実関係の究明を指示したそうである。

「国語I」において現行教科書掲載された文章が出題されるとのミスも起きたが、これについても担当者が掲示板の書き込みを見て発覚したと伝えられている。

こういったオープンになっているチャットや掲示板のうちの書き込みのほとんどは他愛のないものである。他人の中傷といったものも日常茶飯事であり、それも問題視はされているが、それでも利用されているのは、わずか数パーセントにせよ真実が含まれている可能性があるためであろう。もちろん「電車男」のように新たな連帯意識を形成する場ともなっていることも確かであるが、何がしかの情報を求めて閲覧している人がほとんどではなかろうか。

それが今回の試験に関する書き込み問題にも現れているのではなかろうか。何気ない書き込みの中に俗に言う「関係者」からの書き込みが入ってくるときがある。それを装う書き込みもあってなかなか真実の判別は難しい面もあるが、他愛ない書き込みだけならばこれほど使われることもないのではなかろうか。

いろいろと問題も引き起こしているが、これら掲示板は果たして現代社会にとってはどのような影響をもたらしていくのであろうか。使い方によってはたいへん有意義な道具である反面、使い方によっては被害をもたらす。

ただ、いったんネット環境が整備されてしまうと今度は規制することが難しくなる。規制しようとしても結局逃げ道が多く存在してしまうのもネット社会である。特にマーケットに関してのネットの利用は規制することが優先されている。しかし、ウイルスが怖いからといってクリーンルームの中で生活できないように、ある種の毒は覚悟してもその利便性を重視すべきではないかと私には思われる。


2005.1.17「市場化」

高度成長期のように国全体のパイが大きく膨らみつつある際には、民間資金がうまく企業へと回るようなシステムが重要となり、日本ではそのために国が大きく介在した。銀行の護送船団方式といったシステムが生まれ、郵貯や簡保で集められた資金が第二の予算と呼ばれるような財政投融資というシステムも機能した。地方経済発展についても国の資金が大きく関与するようになり、高速道路や新幹線網、空港や港といったものが整備されていった。ただし、それが本格的に整備されるようになった時期にはすでに日本の高度成長は終焉し低成長期へと移行していた。

しかし、カネと情報が政治家や官僚に集中するシステムは経済動向に関係なく維持され続けた。それがすでに効率的なシステムとはかけ離れたものとなり、既得権益や利権といった弊害が明らかとなってきた。

また国という大きなシステムばかりではない。日本全体のパイが大きく膨らみつある際には有効に働いていた年功序列や終身雇用といった雇用のシステムも大きな変革期を迎えた。日本より早く米国市場ではすでに起きていたことではあったが、日本ではバブル崩壊後になって、社会構造が大きく変化してきたことが明確になった。企業も市場化を意識するようになり、同様に雇用というシステムにも市場化の波が押し寄せてきたのである。終身雇用・年功序列というシステムの中では、その企業の中のシステムにがっちりと組み込まれカスタマイズされてしまう。ところが、企業業績の悪化により雇用が維持できなくなると、カスタマイズされた社員が外部の評価を受けることになる。これもひとつの市場化と言えると思われる。


2005.1.17「iPod shuffle」

15日に発売されたアップルの「iPod shuffle」は予想されたように即完売となった。他社製品に比べて割安感を指摘していた声もあったが、日本の大手メーカー製品の価格設定が高すぎるだけであり、海外の同機能のものと比較して割安感はない。ちなみにiPodもiPod以外の海外メーカー製品も日本製部品などを多く利用しているため、国内メーカー製品に比べて性能差はないし、むしろ海外製の方が高性能であったりしている。iPod shuffleの割安感はあくまで、他のiPodと比較してのものであると思われる。


2005.1.13「日本国債の海外説明会」

今月18日にロンドン、20日にニューヨークにて戦後初めてとなる日本国債の海外説明会が実施される。日本国債のIR活動は高橋是清日銀副総裁(当時)が明治37年に日露戦争の戦費調達のために欧米を訪問して以来のこととなる。

日銀の資金循環統計によると、2004年9月末現在、日本国債の保有者別内訳における海外投資家の保有はわずかに4%でしかない。個人も3%でしかなく、海外投資家と個人の保有比率の引き上げは財務省の国債管理政策上も大きな課題といわれてきた。

しかし、これまで国債消化については銀行や生保など国内民間機関投資家と日銀を含め、郵貯・簡保などの公的機関で十分消化が可能であったために、税制を含めて改革等は実施されていたが、海外投資家向けに現地まで赴いての本格的な活動などはなされてこなかったといえる。

日本国債は日本国内の資金でまかなえるため、国内市場の整備が優先されたことは理解できる。国債市場懇談会の設置やそれを発展させた日本版プライマリーディーラー制度となる国債市場特別参加者制度の開始など改革は進んでいる反面、旧態依然とした国債引受シンジケート団はいまだ存在し続けるなど中途半端な部分も残っていた。

これまで国債が順調に消化され、国債の改革も進んできたのには外部環境に助けられていた面も大きい。1998年末の運用部ショックを受けて日銀はゼロ金利政策を実施した。このゼロ金利政策は一時解除されたが、デフレの進行により更なる緩和策となる量的緩和まで導入するなど、国債が大量発行される間に金利は低下圧力がかかり続けていたといえる。

もしこの金融緩和の重しが外れるようなこととなれば、国債を取り巻く様相は大きく変わる。それを見越しての今回の海外におけるIR活動とも言えるが、個人向け国債が予想以上に人気化したといっても、個人の国債保有比率はほとんど変化していない。これはそれ以上に国債残高が膨らんでいるためである。海外投資家の日本国債保有についてもかなり真剣に取り組まないと比率を高めるのはむずかしいのではなかろうか。


2005.1.13「第9回個人向け国債」

12月に募集され、1月11日に発行する第9回個人向け国債の発行額は1兆7,647億円(このうち郵便局販売分は2,436億円)になったようである。これは過去三番目に多い数字となった反面、前回債よりも減少し、増加し続けていた一回当たりの発行ペースにブレーキがかかった格好となった。

これまで発行された個人向け国債の回号別販売額と初期利子は下記の通り
第1回(2003年 3) 3,835億円  0.09%
第2回(2003年 4) 3,486億円 0.05%
第3回(2003年 7) 2,802億円 0.05%
第4回(2003年 10) 9,432億円 0.77%
第5回(2004年 1)1兆3,951億円 0.62%
第6回(2004年 4)1兆4,185億円 0.55%
第7回(2004年 7)1兆7,726億円 0.74%
第8回(2004年 10)1兆8,652億円 0.74%
第9回(2005年 1)1兆7,647億円 0.67%

昨年の日本経済は米国や中国の経済成長に促されるかたちで予想以上の回復基調となり、デフレ解消の期待の強まりとともに日銀の量的緩和解除の可能性も指摘されるようになった。このため、昨年6月には長期金利が一時1.940%まで上昇した。

この長期金利の上昇傾向に伴い、昨年7月、10月に発行された個人向け国債の初期利子は第4回に続き0.7%台となり、個人向け国債の利子の高さを印象付けるかたちとなった。もちろん積極的な大手証券会社の販売姿勢も影響したものと思われるが、国債への認知度と信頼度の高さに初期利子の魅力が合わさるかたちでの人気商品になったものと思われる。

しかし、結果として長期金利の上昇は一時的でありその後は1.5%近辺で膠着状態になったことで、個人向け国債の利子への魅力はやや薄れてきた。第9回の初期利子も0.6%台に低下した。

2004年度の個人向け国債の販売額は合計6兆8,210億円となり、昨年度(2兆9,671億円)の2.3倍、そして当初予定していた今年度発行額(2兆1,000億円)の約3.倍以上となったが、再び長期金利が上昇基調とならなければ、これ以上の販売は難しくなるのではなかろうか。


2005.1.12「来年度の借換債前倒し枠30兆円に拡大とシ団廃止について」

日経新聞が伝えたところによると、財務省は借換債の来年度の前倒し発行額について、過去最大の30兆円に拡大することを明らかにした。今年度は当初14兆円であった枠は、税収の上振れや個人向け国債の販売が好調なことを受けて34兆円に上方修正されたが、来年度はさらに6兆円拡大される。これは2008年問題に対応したものと思われ、国債の発行額をなるべく均して行うということが目的と思われる。

国債引受シンジケート団についても、やっと全面的に廃止するとの検討が始まったようである。欧米主要国がすべて入札方式をとっていることに加え、日本版プライマリーディーラー制度となる国債市場特別参加者制度が開始されたことで廃止の方向が固まりつつあるものと思われる。現在、10年国債にのみシ団引き受けが実施されているが、そのシェアはわずかに15%。今年4月にはさらに10%に低下する予定となっている。


2005.1.11「市場化社会と教育」

今後の教育や人材の育成といったものについても市場化といったものを念頭に置いておく必要がある。現在の日本社会が向かいつつある格差社会にあって、サバイブしていくには基礎的な学力は最低限身につけておく必要があろう。国語力や計算能力はむろんのこと、物理・化学、歴史や地理といったものは最新データに基づいた知識を得ておく必要がある。もちろん芸術的なセンスがあるかどうかもひとつの重要な要素となるし、最後は体力勝負となることもあり基礎体力も必要になろう。そういった中、画一的な詰め込み教育に問題もあろうが、そうかと言って「ゆとり」が必要とも思われない。ここにきてその点についても改正の動きが出ているが、遅すぎたぐらいである。

また、グローバル社会に適応するための英会話能力とネット社会で生き抜くためのある程度のパソコンのスキルも必要となろう。これらは小学校教育でもすでに取り上げられているが、英語の講師だけでなくパソコンやインターネットの利用についても外部からの講師を積極的に利用するといったことも必要ではなかろうか。

市場化社会にあってはこのような基礎的な知識を得た上で、何かしら専門性を身につけられるようにしなければならない。そしてまた市場化にともない市場で必要とされる将来を見通す目も養っていかなければならない。


2005.1.7「市場化テスト」

政府が推し進めようとしているものに「市場化テスト(官民競争入札制度)」がある。国などの公共事業に競争原理を導入し、より良いサービスを提供しようという発想で生まれた制度である。この発想自体は何を今更という気もしないでもないが、これですら抵抗圧力が強く実現に向けて厚い壁が立ちはだかっている。

「市場化テスト」は公平な条件の下で官と民の双方が参加して競争入札を行い、価格と質の面で優れている方が落札するという仕組みであり、アメリカやイギリスではすでに1980年ごろから本格導入されている。これら海外では上下水道の管理・運営、ごみの収集、道路や空港などの維持・管理、警察・消防・刑務所などの維持・運営などで活用されている。

政府は「市場化テスト」の試行に向け、75の民間事業者が刑務所などの行刑施設や統計調査といった分野への参入を希望したそうであるが、しかしモデル事業として採択されたのは、わずかにハローワークや社会保険庁の業務の一部だけであった。ニュースにもあったように保険診療と自由診療を組み合わせる混合診療解禁に関しては厚労省が拒否するなどの動きが出たのである。

まったく新しいものを取り入れるのを躊躇するならわかるが海外にすでに実例があるにもかかわらず、何ゆえ日本での実現はむずかしいのであろうか。

「市場化テスト」に向けての反対意見としてはたとえば次のようなものが見受けられた。

「公共サービスは継続的・安定的に提供されなければならない。企業の営利追求や効率性確保のため、参入の自由と同時に撤退の自由を前提とし、その業務が低賃金の派遣・請負の不安定労働者に委ねられるとすれば、国民に対する行政責任が果たし得なくなることは明白である」

継続的・安定的に提供されなければならない公共サービスとは現在の公共サービス全体を指すのであろうか。これまで民営化によって効率化された業務は多々あるはずであり、民営化によって「行政責任」が果たせなくなったような事例はあるのであろうか。

これはどう考えても既得権益を守り、雇用を守りたいがための理屈としか思えない。もちろん行政活動すべてを民営化しろというわけではない。民間の知恵や活力を発揮してより効率的な業務を遂行できるものは多々あるはずであり、それらに対して民間の知恵を取り入れて、民営化すべきと言っているのである。

現実には「市場化テスト」といった生ぬるい方式ではなく、すぐにも市場化は推し進めるべきものである。雇用における年功序列・終身雇用といったシステムはすでに崩壊している。社会システムが変化を遂げている以上、行政もそれに応じた社会形成に望まなければならない。そしてそれとともに膨れ上がった公的債務も削減していかなければならないはずなのである。

参、規制改革・民間開放推進3か年計画 http://www8.cao.go.jp/kisei/siryo/040319/


2005.1.6「支援活動」

スマトラ島沖地震に対する緊急首脳会議が開かれ小泉首相は当面の緊急支援にあてる5億ドルのうち2億5千万ドルを国連食料計画などの国債機関を通じた被災国支援に充てると表明した。

今回の世界各国の支援の動きはいつになくすばやかった。しかしそれでも実は遅すぎるぐらいなのである。

6日付け毎日新聞によると、陸の孤島と化していたインドネシア・スマトラ島の西海岸で日本のNGO(非政府組織)が健闘しているという。大西健丞さんが代表を務めるピース・ウインズ・ジャパンである。

スマトラ島西海岸の中核都市ムラボーは空港の滑走路が損壊したうえ、海岸沿いの幹線道路も橋が落ちるなど寸断され、西海岸一帯で支援物資の搬入が遅れていた。

PWJは先遣隊2人を派遣し「個人から乗用車を借りる」などしてムラボーに到着。被災状況や避難民の生活を調査後に追加のスタッフとともに「ブランピディーで物資を調達」しムラボー郊外のチョ・スムルン村に配った。インドネシア軍が支援食料を届けていたが、米100キロなど少量にとどまっていた。これに対してPWJは「米1トン」を含むトラック2台分の食料、衣料、医薬品を届けたという。

インドネシア軍は当初、PWJに物資を軍を通じて支給するよう求めたそうであるが、PWJ側が2日間をかけて「軍側を説得」し、兵士立ち会いのもとで直接配ることを許されたとも毎日新聞は伝えている。

「」は私がつけたところだが、まさにこれがNGOいやPWJのやり方だという点である。これまで勉強会で大西さんの話を何度か聞いており、これが官にはなかなかできないところでもあると感じたポイントでもあった。

とにかく現地の情報を直接足で調べる。「個人から乗用車を借りる」など手段は問わない。現地でも被災を受けなかった地域で物資を調達するというのも、当然ながら日本から物資を直接送るよりも早いし安い。しかも現地の人には現地の食料の方がありがたいはず。日本から輸送機を飛ばすといった発想しかないと支援活動はさらに時間もかかってしまう。

大西さんは常々政府の支援活動に比べて費用は極端に安く、しかもすばやくすませることができると言っていたが、まさにこういう点を示していたと思われる。

現地の軍が100キロしか調達できないのを日本のNGOが1トン調達できたということも考えさせられる。現地の政府関係者が横領する可能性もあり「軍側を説得」し、兵士立ち会いのもとで直接配ることを許されたという。他のNGOの方々の支援手段についてはあまり知識がないため直接比較することはできないが、自分の手で直接支援することが特に海外においては重要になるのであろう。

ピース・ウインズ・ジャパンでの支援金募集については下記となっている。ご関心ある方はぜひご協力いただければと思う。

「ピース・ウインズ・ジャパン」スマトラ島沖地震 緊急支援募金にご協力を
私が関西学院大学教授の村尾信尚さんの勉強会でご一緒させていただいている
大西健丞さんのピース・ウインズ・ジャパンでの支援金募集にもぜひご協力ください。
「スマトラ島沖地震 緊急支援募金」


2005.1.6「20周年」

2005年は戦後60年、プラザ合意後20年といったように区切りの年となっているが債券市場にとっても区切りの年となる。日本で国債を主体した本格的な債券ディーリングが開始されてちょうど20年目にあたる年となるためである。

1985年6月に金融機関のフルディーリング(認可行の拡大、残存期間の制限の撤廃)が開始された。それまでは証券会社らしか認められていなかった既発債を売買する業務が金融機関も可能となったのである。

国債引受シンジケート団を構成し国債を大量に引き受け・保有している都銀などが、国債市場に本格的に登場することになり、これによって公社債の売買高は急増した。ただし、銀行は商品勘定保有国債であっても翌月までの売却自粛期間が設けられておりこの売買自粛が完全に廃止されたのは1987年の9月であった。

また、1985年10月には東京証券取引所に日本において初めての金融先物市場が誕生している。債券先物取引(長期国債先物取引)が開始されたのである。東証の正会員である証券会社に加え、特別会員として都銀などもこの取引に参加することとなった。これにより債券市場ではヘッジの手段を得ることとなり、さらに債券の流動性が増すこととなった。 ところが、この債券先物取引はスタート直後に急落したのである。日銀は9月のプラザ合意を受け10月24日に短期金利の高め誘導を実施した。短期金利を高めることによってドル売り円買いを誘ったのである。日銀による短期金利の高め誘導により債券先物は急落し、大量の売り注文により2日間値がつかないという大混乱を引き起こしたのである。

その後についてはぜひ拙著「日本国債は危なくない」文春新書をご覧ください。


2005.1.5「第9回個人向け国債販売額」

各紙報道によると、財務省は今月11日に発行する第9回債の発行額は過去3番目に多い1兆7,647億円(このうち郵便局販売分は2436億円)になることを明らかにしたようである。これにより今年度の個人向け国債の販売額は6兆8210億円となる。昨年度(2兆9,671億円)の2.3倍、そして当初予定していた今年度発行額(2兆1,000億円)の約3.2倍となった。

これまでの回号別販売額は下記の通り

第1回(2003年 3月)  3,835億円
第2回(2003年 4月)  3,486億円
第3回(2003年 7月)  2,802億円
第4回(2003年10月)  9,432億円
第5回(2004年 1月)1兆3,951億円
第6回(2004年 4月)1兆4,185億円
第7回(2004年 7月)1兆7,726億円
第8回(2004年10月)1兆8,652億円
第9回(2005年 1月)1兆7,647億円


2005.1.4「新年あけましておめでとうございます」

今朝の牛さん熊さんにも書きましたが、今年は債券先物取引が開始され、金融機関によるフルディーリングが本格化(認可行の拡大、残存期間の制限の撤廃)されて、ちょうど20年目にあたるという債券相場にとっても節目の相場ともなります。

また、為替市場ではプラザ合意から20年。このプラザ合意に伴い、日銀が短期金利の高め誘導を行ったことから上場したばかりの債券先物が急落したことも記憶に新しいところですが・・・えっ、ご存知ない?。そういった方はぜひ、拙著「日本国債は危なくない」(文春新書)をご覧ください。

と、いきなり宣伝から始まってしまいましたが、今年の長期金利は昨年同様に1%台で推移するのか、今年こそデフレの解消を見込んで2%台をつけてくるのか。はたまた景気腰折れで1%割れといったことがあるのか。

債券市場が本格的に活動を始めて20年目の年、今年は何か大きな動きが出てくるようにも思われますが、いかがでしょうか。本年もどうかよろしくお願いいたします。


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