「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」


2005.2.28「雲のむこう、約束の場所」

まだ一般にはあまり知られていないため、福間委員のコメントにも名前は出ていなかったが、日本の若手アニメーターで最も注目されている一人が新海誠である。新作「雲のむこう、約束の場所」も評判は高かったが、公開は限られた劇場だけであった。映画を見に行くつもりが結局DVDを購入した。この作品もどこか懐かしい風景が目に焼く付く。宮崎監督も雲の描写が鮮烈だが、新海監督も引けを取らない。また映像の中の凝縮度が普通のアニメ作品と大きく違う点が新海監督らしさかと思う。前作「ほしのこえ」はいずれ機会があればテレビで放映されるとは思うが、こういった逸材が若手にいることをもう少し世間に知らしめてほしい気もする。


2005.2.25「人材の育成」

24日の山梨県金融経済懇談会における福間年勝審議委員基調説明要旨はいろいろな意味で興味深い内容となっている。金融政策に関するコメントについてはいずれ掘り下げてみたいところだが、「人材の育成」についても私にとって共感できる内容となっていた。

「技術者等が足りないと言っても絶対数が足りない訳ではなく、応募してくる若者の知識や労働意欲等が採用基準に満たないという質的なミスマッチが生じていることです。これは定職につかないフリーターや、就職もせず、教育も訓練も受けない「ニート」(Not in Employment, Education or Training)と呼ばれる若年層が増加していることが背景にあると考えられます。」

たとえ教育を受けていても、イラクの位置が世界地図で示せない高校生や大学生が多いとか(メソポタミア文明との関連もたぶん知らないのでは?)、singの過去、過去分詞(sang sung)、「夜明け前」の作者(島崎藤村)を知らない大学院生が多いとの報道もあった。まさに「常識を知らない子供たち」の増加も大きな問題であろう。ゆとりのしずぎなのか、それとも試験に受かるためだけの学習の問題なのか。それとともに、社会人になることを拒否しているような若者も問題化している。

「こうした状況に対しては、官民挙げて教育と職業訓練の建て直しを図る必要がありますが、同時に、既存の伝統的な産業の枠組みに囚われない形で、若い世代の能力を広い分野で一段と活かしていくことも大事なポイントかと思います。」

これは以前にも指摘したが、社会を取り巻く構造変化といったものが大きな要因ではないかと考えられる。それに対するにはこれまでのような既存の発想で対処すべきではない。あらたな病気には既存の薬では効果はない。

「先日、アニメ映画『ハウルの動く城』の宮崎監督が8月のベネチア映画祭で多くの優れた作品を生み出した映画人に贈られる「栄誉金獅子賞」を受賞することが決定したと報じられました。また、埼玉県春日部市は漫画『クレヨンしんちゃん』の舞台として国際的に有名で、海外のファンの間では東京、京都と並ぶ日本の「代表都市」として知られているそうです。こうした事例が物語るように、日本のアニメや漫画、ゲームソフト等のいわゆるポップカルチャー産業は今や世界的な人気を博しており、アニメ産業は先行き10兆円以上の市場規模になることが期待されています。こうした産業を支えているのは宮崎監督に続く日本の若い世代の感性であり、こだわりであります。」

ハウルだけでなくクレヨンしんちゃんが出てくるところなどしっかりツボは抑えられているようであるが、ただし、日本のアニメ産業への期待はわかるが、そのもっとも大きな消費者もまたそのような若者たちが主体となっているようにも思う。現実逃避させるようなコンテンツがニートなどを生んでいるような気もするが、それについてはどうお考えなのであろうか。


2005.2.24「韓国の中央銀行とKIC」

為替市場を揺るがした韓国中銀筋からのコメントは、韓国投資公社(The Korea Investment Corp.=KIC)の設立に微妙に関係しているのではないかとの見方もある。このKICとは外貨準備の運用向上を図るために設立される運用会社であり、シンガポールのGICをモデルとしている。これについては、加藤出氏の「メジャーリーグとだだちゃ豆で読み解く金融市場」などに詳しい。

当初は1930億ドルの外貨準備のうちの200億ドルを運用を委託され、2012年までに1000億ドルの運用資金を得る予定とされているとか。シンガポールのGICのように、米国債への投資をはじめ、将来的には運用の多様化を図って海外の株式や不動産、デリバティブなども含めた投資も検討される模様のようである。

ただし、このKICの設立については経営上の独立性を保てないといった理由で、ハンナラ党が反対している。また、当の韓国中銀自体も外貨準備の流動性、安全性が失われるとの理由から断固反対の姿勢をとっているといわれる。しかし、はっきりとした理由はわからないが韓国銀行自体が外貨準備高の投資先多様化計画を出したということは、KICの設立にも微妙な影響を与えるのではないかとも思われる。


2005.2.23「韓国の中央銀行」

韓国銀行は18日に議員に提出した書簡のなかで外貨準備高の投資先多様化計画を明らかにした。目的は外貨準備高の運用リターンを上げるためと思われる。実際には2005年経営計画を協議し議会の承認も必要のようだが、市場はこれを受け、2000億ドルとも言われる韓国の外貨準備のうちドルの一部が取り崩されるとの懸念が広がり、ドルが他通貨に対して下落し、これを受け米株も下落した。ドル資産一辺倒からユーロを含めて他の通貨資産の比率を引き上げる動きは今年に入り強まっている。幸田真音さんの小説「日銀券」の中でもそれは取り上げられている。韓国中銀は「韓国の外準分散化方針、ドルを売ることを意味しない」とコメント。市場がやや過剰反応したことに対処したものと思われるが、今回の騒動もとりあえず打診してみて反応を探った動きと捉えられなくもない。しかし、これに対して我が国の財務省や中央銀行は、日銀券の笙子さんのような人でも現れない限り、ドル一辺倒からは抜け出せないものと思われる。実際に「外準の通貨構成変更し、ユーロ増やすこと考えていない」との財務省為替市場課長コメントもあった。特に小泉首相や福井総裁などは米国との関係からそれを許すとは思われない。


2005.2.23「フランスの50年国債発行」

フランス経済財政産業省国債庁は50年国債を発行する。50年という償還期間を持つ債券を発行するのはG7諸国では初めてとなる。このような償還期間の長い国債が発行される要因としては、オランダにおける年金基金の制度改正など年金に関する制度改革が挙げられよう。

すでに米国を含めてグリーンスパンFRB議長が「謎」というぐらいに超長期債が欧米で買い進まれていたが、この買いの主役は年金と言われている。このように、主に欧州投資家による長期債に対する需要が高まっていることなどから、30年超の超長期債の発行を検討していたイギリスなどに先行してフランスがまず発行に踏み切ったものと思われる。 この発行の決定は短期間に行われたらしく、インフレ連動債などと同様にフランスが他国に先駆けて初の50年国債発行を目指したのではないかとも見られている。また、イギリスも4月か5月ごろの発行が予定されており、イタリアやオランダなども続くものと見られる。これら諸国の動きを見ていずれドイツも発行に踏み切ると思われる。

このフランス50年債(2055年4月25日償還)の発行条件は、発行額50億ユーロを超えると見られている。スプレッドトークは30年債(4.75%、4月2035年償還債)+3〜4bpとなりそうである。すでに多くの札が入っており、そのうちの半分程度は予想された年金からであったようだが、ヘッジファンドなどの札が予想以上に入っているとも言われている。

日本の国債の中で最長なのは30年債である。日本でも年金基金や生命保険など投資家からの超長期債へのニーズが強く、2005年度の国債発行計画においても20年利付国債の発行額は1.2兆円増額し8.4兆円となる予定である。ただし、30年債は2兆円に据え置かれている。日本の30年国債に関しては20年債以上に投資家層が限定されているためである。

BPIなどのインデックスを目指したパッシブ運用が主体の日本の年金運用では、30年を越すような期間の長い国債へのニーズは限定される。欧米でも徐々に制度改正が進んでいるように、日本も本来ならば負債と資産のデュレーションのミスマッチを解消すべきと思われるが制度上の問題も残る。

いずれ日本においても、50年債発行の機運が高まるようなことがあれば、50年ではなく60年債の発行が望ましい。国債には60年償還ルールがあるため、60年国債ならば借換債の発行をしなくてもすむためである。しかし、その前に30年国債の流通市場を整備するのが先決かとも思われる。


2005.2.23「世界的なフラットニングは終焉したのか」

昨年11月あたりから欧米債を主体にイールドカーブはフラットニングの圧力を強めたが、それはグローバルフラットニングとも称され、日本にも飛び火した。昨年11月中ごろには2.5%近辺にあった日本の30年国債の利回りは、今年2月8日には2.170%にまで低下した。

この30年主体の買いの主役は欧米の投資家、特に年金と言われていた。実際に1月の公社債投資家別売買状況によると、今年1月の外国人の買い越しは1兆9032億円と昨年12月の1兆1632億円に引き続き1兆円を上回っていた。

何故、欧米の年金を主体とした投資家は、年限の長い国債を買い求めたのであろうか。それはオランダにおける年金基金の制度改正や、米国の年金改革などを見越しての動きと思われる。資産と負債のミスマッチ修正のために、欧米の年金は債券の中でも特に長い期間の債券をいずれ買わざるを得なくなる。それに先んじた動きを年金自体が見せたことに加え、これによるフラットニングを想定してヘッジファンドなどがイールドカーブの修正を睨んだ動きを見せた。これにより欧米の債券市場でフラットニング圧力が強まり、世界最大の国債発行をしているわが国の超長期ゾーンにも欧米などから買いが入ってきたものと思われる。

しかし、注意すべきはこの動きが純粋な年金による買いだけではなかった点であろう。フランスでは年金の買いなどを見越してG7諸国としては初めてとなる50年国債を発行する。かなりの札が集まったようであるが、政府が予想していたような年金からの札は半分程度であったと見られている。残り半分がヘッジファンドを主体とした投機筋からのものであった。

グリーンスパンFRB議長はグローバルフラットニングについて「conundrum」という変わった英語表現を使ったが、これはまさに「謎」と訳されよう。グリーンスパンFRB議長は、このようなマーケットの動きはさすがに知っていたはずであり、この発言はフラット化の行き過ぎに対して懸念を示したものとも思われる。この議長の発言をきっかけに欧米市場では長期債主体に調整圧力が強まり、それは日本にも影響を与え、2月21日に30年債の利回りは2.470%まで上昇したのである。

これによって世界的なフラットニングは一時的に終焉したものと思われる。しかし、欧米の年金の制度改革はこれからが本番である。投機的な動きは修正されながらも、超長期債には年金からの実需の買いが引き続き控えているものと思われ、好需給であることは変わりない。ただし相場は需給だけで動くわけではなく、最後はファンダメンタルズに影響されることも忘れてはならないであろう。


2005.2.22「フランスの国民性?」

フランスの50年国債発行について何人かの方にお聞きしたところ、そのお話の中でフランスの国民性に関する話があった。すでにイギリスなどで発行が検討されていたのだが、フランスでの発行の決定は短期間に行われたらしい。インフレ連動債などと同様に他国に先駆けて初の50年国債発行を目指したのではないかとも見られている。まさに新しい物好きで先行思考のフランス人?。


2005.2.21「フランスが50年国債発行を計画」

フランス経済財政産業省国債庁は18日に50年国債を2月中にも発行する計画を発表した。50年という償還期間を持つ債券を発行するのはG7で初めてのようである。欧州各国政府は、年金制度の変更で長期債に対する需要が高まっていることなどから、50年国債の発行を計画しているとも見られる。イギリスでも今春、その後イタリアでの発行も噂されている。

日本の債券市場でも一時海外の投資家からと見られる超長期債への買いが入っていたが、日本では50年ではなく、60年償還ルールを考慮して60年国債の発行を計画してはどうであろう。ただし今回の30年債の乱高下を見てもあまりに期間が長く価格変動リスクが大きな債券は市場からは敬遠されるかもしれない。年金専用に非市場性国債としての発行というかたちではどうであろう。その前にどれだけニーズがあるかどうかしっかり調べる必要もありそうだが。


2005.2.18「マーケットマインド」

市場化の流れは日本の社会構造の変化に伴うものであり、この流れを止めることは出来ない。まさに不可逆的なものである。そうなればこういった構造変化に適応した社会作りをしていかなければならない。旧態依然としたシステムを再構築しなければ新たなシステムが機能しなくなってしまう。

小泉政権の構造改革とはまさにこの新たな社会システムの構築を目指しているものと思われる。しかし、道路公団改革にせよ郵政の民営かにせよ、それは古くなった家屋を外側だけリフォームしているに過ぎないようにも思われる。自民党という政党が新たな社会構造構築の大きな弊害になっているのは小泉首相自ら主張しているが、内部からの改革にはさすがに無理もあろう。ただし、その道筋をつけていること自体は認めなければならないのではなかろうか。

「希望格差社会」の中で山田昌弘氏は日本社会のあらたな問題を提起した。希望するしないにかかわらず格差社会は日本の中でも急速に広がりつつある。しかし、格差社会に向けての整備はまだまだ不十分である。政府にしても新幹線や滑走路などを作っているような状況では本来ないはずである。

雇用の問題をとっても、たとえば会社型人間と化してしまったにもかかわらずリストラで路頭に迷う中高年に対するセーフティーネットといったものも必要であろう。ただしこういった中高年の雇用問題と「希望格差社会」で指摘されているような若者の就職問題とは問題の本質が異なる。

ニートやフリーター、パラサイトしている若者たちに「希望」を与えられる社会作りの構築こそ政府が早急に行うべきものではなかろうか。若者に必要なのは単純に職業訓練とかいったものではない。箱物意識からの発想の転換なくして現代社会の抱える問題は認識できない。それを山田氏は「希望」という言葉で表現していたが、まさにそれは人の意識の問題でもある。若者たちに魅力ある職業を提供できるようなシステム作りとともに、働くという意欲を感じさせる社会の構築が求められている。

ただし、その社会構築のための責任をすべて政府などに押し付けも解決はされないのではなかろうか。市場化された社会では個人の負うリスクが増大することも認識すべきであろう。まさに「自己責任」が求められ、またその分、「自分への投資」といったものも必要になる。大学は良い会社に入るためのブランドではなくなりつつある。 そもそも良い会社という存在すらなくなりつつある。社会に入る前からすでに社会人に必要とされる意識を植え付けておかねばならない。その社会人とは会社人ではない。名刺の渡し方や応接セットの座り方などマナーも大事かもしれないが、それ以上にサバイバルマインドが今の社会人に求められていることを早くから認識しておいた方が良い。

たとえば自分への投資とはいかなるべきものであるのか。2004年12月27日付け日経新聞朝刊の特集記事の中で、東洋大学助教授の白石真澄さんが次のようなコメントを寄せていた。

「自分の持ちうるエネルギーの2割ぐらいは、次のステップに向けた人脈作りや情報収集、能力開発に充てたい。仕事の手を抜くという意味ではなく、8割の中で最大限の効率化を図り、残る時間とエネルギーで自分に対する゛投資゛を行う」

会社内のネットワークではなく外部のネットワークの構築は、もし少しでき競争に優位に立ちたいならば今後絶対に必要不可欠なものとなる。その人脈を通じた情報の収集こそ、自分のスキルを磨き上げるとともに、自らの価値判断の材料ともなるし、それをアピールする場ともなりうる。インターネットは大きな情報化の武器であり、それを使うことによってこういった外部ネットワークを広げることが可能となる。しかし、あくまでそれは道具と認識すべきであり、必要なのは人と人との交流である。人との交流にはかなりのエネ ルギーが必要とされると心得るべきであり、そのためにも仕事の2割程度を振り向けないことにはその維持すらむずかしいともいえよう。


2005.2.17「植田審議委員の後任の西村教授」

東京大大学院の西村清彦教授と聞いてどこかで聞いたことがある名前だと思っていたのだが、そのご本人の話を2時間近く聞いていたことをすっかり忘れていた。昨年12月に、とある勉強会で講師をしていただいたのが、その西村清彦教授ご本人であった。私の体調が不完全で帰宅を急いでしまい名刺交換をさせていただけず、今になってしまったと思っても後の祭りか。お話も興味深かったが、とても親しみやすい感じの方でもあった。


2005.2.17「日銀金融政策決定会合結果は全員一致で現状維持」

注目された日銀金融政策決定会合の結果は全員一致で現状維持となった。日銀当座預金残高に対しては、本日の決定会合で「技術的な対応」を求めるような提案が審議委員から提出される可能性もありえるかと思われた。先日の懇談会における須田審議委員の発言に加え、リザーブターゲットの引き上げ時においてもそれ以前の会合で議事提案をしていた経験のある福間委員が今回も先んじて下限の引き下げを提案してくるのではないかとの思惑もあったものと思われる。その結果、最終的な議長案に対して1人ないし2人の反対が出る可能性があり「全員一致」が今回崩れる可能性が高いものと思われたが、実際にはこれまでどおり、全員一致での現状維持となった。10-12月期のGDPを受けて慎重になったとの見方もあったが、全員一致が崩れるだけでも思惑が先行する可能性もあり、結局、議長案への反対はなかった模様である。


2005.2.16「植田審議委員の後任」

今年4月7日に任期が切れる植田和男審議委員の後任に、東京大大学院の西村清彦教授をあてる方針を政府が固めたと読売新聞が伝えている。1998年に審議委員となり、2000年に再任され都合7年間審議委員を努められているが、日銀内部からの信望も厚く再任の要請もあったようだが固辞されたようである。一説には日銀の決定会合の議事録が1998年10月16日に10年後の公開と決められたのは植田審議委員の任期を考慮してとの見方もあった。


2005.2.15「決定会合で動きはあるのか」

16日から17日にかけて開催される日銀の金融政策決定会合が注目されている。昨年2月5日の決定会合から先月19日の決定会合まで全員一致で現状維持が決定されているが、今回は少なくともこの「全員一致」が崩れるのではないか見方が強まっている。

注目されるのは日銀当座預金の下限をどうするかである。須田審議委員も講演において「当座預金残高目標を維持した上での、まさに技術的な対応」に関して述べるなど注目されている。このため「一時的な30兆円割れは程度の範疇とする」とか「平均的にみて30-35兆円程度とする」、「ただし書きで対応する」との観測も出ている。牛熊インデックスでは「一時的な30兆円割れは程度の範疇とする」との見方が強いとの結果になっている。

ただ、何かしら変更を行えばそれは引き締めと捉えられる可能性がある。これは特に福井総裁はなんとしても避けたいところ。景気回復なり物価上昇なり何かしら大義名分がなければ変更はむずかしいはずである。

このため注目されるのはやはり「全員一致」が崩れるかどうかであろう。


2005.2.14「国債管理庁構想」

国債管理庁構想が再び出ているようである。竹中経済財政担当相などが国債管理体制について、イギリスやフランスそしてドイツのように財務省から切り離して独立の機関を設けるべきと提案しているといわれる。

イギリスでは国債管理政策に関する権限と責任は1998年4月にイングランド銀行から独立行政法人である債務管理(DMO, Debt Management Office)に移管されている。また、フランスでは2001年2月、経済財政産業省国庫局内に国債庁(Agence FranceTresor)が設立され国債管理政策を担っている。ドイツにおいては国債管理事務を統合し、効率化を図るため、2000年9月にフィナンツアゲントゥーア社(連邦政府100%出資の有限会社)が設立されている。ただし、米国においては、日本と同様に国債発行は財務省の所管事項であり、連邦準備銀行は財務省のfiscal agentとして発行に係る諸事務を行っている。 (財務省、資料より一部引用)

現在の国債管理政策も十分にその機能を果たしており、大量の国債発行も順調に消化されている。それにも係わらずこういった「国債管理庁構想」が出てくる背景としては、国債発行の任を担っている財務省担当者のローテーション人事によって、専門性が維持させられるのかという問題も指摘されている。また、民間から人材を登用し民間の知恵を生かすべきとの発想もあろう。ただし、財務省理財局でもすでに市場分析官として民間の人材を登用している。

国債管理政策はあくまで円滑な国債発行を行うことが目的であるが、そのためには国の予算編成を担う主計局や、歳入の源となる税収を管理する主税局との密なる連携も必要になろう。予算編成のあり方自体を変えるというならば話は異なるが、現在の予算編成のシステムでは、国債発行も財務省内で行った方が国債管理政策上も都合が良いように思われる。竹中担当相の構想もわからなくはないが、国債管理庁を置く前に現在の予算編成のシステム自体を変えるのが先決ではないかとも思われる。

なにより現在の財務省理財局は、最も市場との対話を成功させている。1998年末の大蔵省資金運用部ショック以降、国債市場改革が急ピッチで進められたことについては、債券関係者は誰しも納得するところである。このため現行のシステムを早急に変革すべき理由も見当たらない。そして、国債発行が円滑に行われている間に政府が行うべきことは政府債務をまず押さえ込む方法を考えることではないかと強調したい。


2005.2.10「須田審議委員コメント」

函館市における金融経済懇談会での須田美矢子審議委員挨拶要旨が日銀のホームページにアップされた。

「先行きの消費者物価の動向を探る上では、消費者物価が総合(除く生鮮食品、以下同じ)ではほぼ安定しているので、その変化の方向が僅かなプラスとなるのかマイナスとなるかを巡って、診療代、たばこ、米類等に加え、電気代や固定電話通信料等の価格改定といった景気動向とは直接関係しないと思われる要因に目が向けられています。実際、最近はそれらの動きが集計値としての物価動向を支配していますので、物価のトレンドが見え難くなっています。」

須田審議委員は量的緩和解除条件の約束は守るとしながらも、「消費者物価指数の数字だけを用いて機械的に判断できるものではない」としながらも「私が約束は守ると申し上げている数字上の意味は、文字通りゼロが基準です」ともコメントしている。

須田委員は量的緩和解除に対して条件さえ整えば解除すべきという審議委員の中でも解除に対して積極派の一人とも見られるが、私もこの意見に近い。上記のように景気動向とは直接関係しないと思われる要因に目が向けられてしまうことや、日本の公共料金の水準が電気料金、ガス料金が欧米諸国と比べて総じて割高といった事なども含めて、いろいろと問題点も指摘される消費者物価指数を使ってしまったこと自体に問題はあったが、いったん約束してしまった以上は守らなければならない。このため消費者物価指数についての条件は「ゼロが基準」というのも頷ける。もちろんそれだけで解除するというわけではないことも確かであろう。


2005.2.9「危機管理」

突発的な事が起きた際には、現場責任者の対応が重要な要素となる。ある程度想定されていた事項ならばマニュアルや訓練といったものが重要になるが、問題は想定外の出来事が生じた際である。

昨日のプロジェクトXでは、地下鉄サリン事件での聖路加病院での対応を取り上げていたが、救急の担当医がサリンには有効ながら毒性も伴う薬を使うべきかどうか苦闘するシーンがあった。我々はのちにサリンが撒かれたことを知っているが、あの現場ではサリンが撒かれるといったことはまったく想定してはいないはずである。しかし数少ない状況証拠を元にして結果としては適切な対応が取れた。現場担当者の適切な決断であったろう。

これに対して、真偽を確かめたわけではないが、少し気にかかった、とあるコメントがある。大惨事を引き起こしたスマトラ島沖の津波の被害にあった邦人が助けを求めにかけつけたある国の日本大使館の対応についてである。ドイツやアメリカの大使館は緊急時としてとにかく自国民を母国に帰らせるための手続きを迅速に行ったといわれた反面、日本の大使館の一部ではまさに「通常」のマニュアル通りの対応をしていたとの話があった。本当かどうかわからないが、もしこれが本当だとすれば現場責任者は適切な決断をしていなかったことにもなりうる。

相場においても想定外の出来事は常に起こりうる。マニュアルで対応できないケースも多いはずであろう。そういった際にいかに適切に対応できるかは、現場の責任者の対応によって大きく結果は異なってくるものと思われる。


2005.2.8「踊り場は続く?」

予想以上に景気の減速傾向が強まる懸念が出ているようである。日本の2004年10-12月期GDP発表は2月16日に予定されているが、12月の全世帯消費支出が実質3.5%減となるなど足元個人消費の低迷も明らかになっており、もし2004年10-12月期GDPにおける個人消費が2003年4-6月期以来のマイナスとなれば全体の指数もマイナスとなる懸念もある。

2004年10-12月期GDPの数値において、景気は踊り場との印象をさらに強めるものと思われる。企業経営者の多くが、この踊り場は年内続くとの見通しとも伝えられ、それは4月の日銀短観に具体的に数値となって現れてくる可能性もある。


2005.2.8「慶應病院」

塾出身ながらこれまで一度も行ったことのない信濃町の慶應病院に行ってきた。昨年末からの両手の指先のシビレが引かず、それどころかむしろ痺れる範囲が広がってきた。塾出身の方にこのことを相談したところ慶應病院の神経内科を薦めていただいた。なかなか決断つかなかったのだが、さすがにこれではまずいと思い今日、信濃町に行ったのである。

入院していた地元の某病院に比べるとさすがにシステムがしっかりしているように思われた。初診のため、その手続きにやや時間もかかったが、診察室の前ではほとんど待たされず診察を受けられた。神経内科というところは初めてであったが、あちこち叩いたり、目の動きを調べたりと診察方法が面白かった。いちいちそれをチェックして担当の看護婦さんが記入するのだが、時々その看護婦さんが?となると英語が日本語になったりしていた。医師はいかにも某義塾出身者の典型みたいなタイプであった。私はまったくそのタイプとはかけ離れているとの観測もあるが・・・。

とりあえず血液検査やレントゲン、MRを撮ってからということになり本日は血液検査とレントゲンを撮ることになった。血液検査をするところはまるで銀行窓口。まさに銀行の店頭のような感じで患者が番号札を持って椅子に座っている。両端に5つずつテーブルがあり、銀行のように番号が店頭する仕組みになっていた。血液検査というより、血液を預けているような気もしなくもない。

レントゲン室はまるで普通の部屋。しかもディズニーのキャラクターが壁に飾ってあるなど、怖がる子供たちに配慮したものとなっていた。

会計を済ませて薬を取りに行くと、すでに薬は出来上がっていた。結局一番待たされたのは銀行窓口ならぬ血液検査の場であった。

結果は後日MRを撮ってからとなったが、脳の可能性は低いということでとりあえず一安心。薬はもらったが医者も単なるビタミン剤で、まあ効果があるというよりも気休めと言っていた。早く原因をつかんで、このわずらわしいシビレから開放されたいものである。


2005.2.8「将を射んと欲すればまず馬を射よ」

「将を射んと欲すればまず馬を射よ」という格言があるが、たとえばクルマに乗って逃走する犯人を捕まえるのには、犯人の乗るクルマを停止させる必要がある。その方法のひとつとして現在研究されているのが、電磁波によって強制停車させる仕組みだそうである。

現在のクルマはまさに走る電子部品化しているため、そのようなことも可能なのであろう。クルマを加速する仕組みに働きかけて、その機能を停止させればクルマは止まってしまう。しかし、この仕組みは犯罪に利用される心配もあるような気もする。現金輸送車を苦もなく停止させてしまうことも可能になってしまうのではないかとの懸念もある。


2005.2.7「2月の債券相場予想(先週のレポートより)」

債券相場は2月に入っても堅調な地合いが続いており、10年債の利回りは一時1.3%を割り込んできている。今回はこの堅調相場の背景と2月全般の動きを予想してみたい。

債券の堅調地合いの背景としては、まず足元の景気減速が上げられる。12 月の鉱工業生産指数は季調済前月比1.2%の低下、12月の勤労者世帯実質消費においても前年比3.8%の低下となるなど落ち込みが目立っていた。また、物価についても1月の東京都区部の消費者物価指数が固定電話料金の引き下げの影響も加わり、除く生鮮食品が前年比-0.5%と大幅な下落となった。これにより日銀の量的緩和解除がさらに先送りされるとの見方も強まった。

2004年の貿易額において香港を含む対中国分が日米貿易を初めて上回ったと伝えられたが、この貿易統計においては12月の中国向け輸出が大幅にスローダウンしていたことも明らかになっている。12月の数値を見る限り日本においては減速基調が強まったといわざるを得ない。また、日本の2004年10-12月期GDPの発表は2月16日に予定されているが、前期比横ばい程度となることが予想されるため、景気は踊り場との見方がさらに強まる可能性がある。

こういったファンダメンタルズの影響に加えて、需給の好調さも債券相場を下支えしている。債券の積極的な買い手は年金や海外投資家と言われているが、これにはインデックスの長期化などに伴う買いが要因になっているものと思われる。すでに3月の伸びを先取りした動きが入っているとも言われる。また、米証券会社リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが債券指数での日本国債の格付けを引き上げる方針と報じているなど、海外投資家による円債買いも強まっている。

このようにファンダメンタルズや需給が要因となって債券相場は押し上げられている。昨年もやはり2月の債券相場は堅調であったが、今年の2月の債券相場も直近の高値をさらにトライしている。ただし、昨年同様に2月が今年の最高値をつける可能性もありうるので注意する必要もありそうである。


2005.2.7「飛行船」

76年前にツェッペリン伯号が世界一周の途中、唯一訪れた日本の地が茨城県の霞ヶ浦であったが、その霞ヶ浦に6日ツェッペリンNT号が訪れた。自宅近くからも、のんびりと空を舞うその姿を見ることができた。日経新聞にツェッペリンNT号についての記事があったが、広告宣伝で飛んでいる飛行船とは内部構造がだいぶ違っているようである。機会があれば一度乗ってみたいものである。


2005.2.4「JGB先物の記録」

東証の「TSE Derivatives Market Highlight」によると、JGB先物の市場開設来の1日最高売買高は15兆4112億円(1989/09/08)、最高建玉残高は31兆415億円(2000/02/08)、当限最高値は145円28銭(2003/06/11)、同最安値は87円08銭(1990/09/27)。

この数値の中から先物の最高値をつけた2003/06/11の「債券ディーリングルーム」の「臨機応変」を見てみたい
平成15年6月11日
「フレディマックの不正会計疑惑などを受けて、FRBの緊急利下げの噂もあったようだが、欧米ともに利下げ期待がさらに強まり、米国債は10年で3.18%に低下。円債も先物が買い気配でスタート。現物債も利食いをこなしながら積極的な買いが超長期主体に入り、30年もついに過去最低を更新し0.960%まで低下、20年は0.745%、10年も0.430%と過去最低利回りを更新中。本日、6月限の最終売買日となる先物も145円28銭まで上昇した。」


2005.2.3「3月の国債償還」

3月償還の国債をざっくりと拾ってみたい。発行予定額ベースで、TBや割国除いたものとなるが、10年177回(利率4.6%)10000億円、178回(4.4%)12000億円、6年30回(1.4%)10000億円、 5年1回(1.0%)8000億円、 2回(1.1%)2本合計で17000億円、2年206回(0.1%)18000億円といったところか。都合で7.5兆円程度。3月より5年国債の償還が始まる。なお、今月、2月の21日に4年64回が償還されることで4年国債はこれで消滅となる。

さらに先を見てみよう。同様の計算で償還の集中する月を見ると、2005年6月償還は約6.6兆円、9月9.7兆円、12月6.6兆円、2006年3月12.6兆円となる。

元データはこちらの財務省資料ですが、集計は私が行いました。 http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/siryou/result.xls


2005.2.2「日銀の全店手形買いオペで1日札割れ発生」

日本銀行が1日に実施した手形買い入れによる金融調節(全店オペ)において日銀は1兆円の資金供給を予定していたが、金融機関が手形買い入れに応じた金額が6940億円にとどまり、札割れが発生した。ついに全店手形買いオペでも札割れが発生した。日銀の全店手形買いオペの札割れの発生は2年5か月ぶり。

これは一般紙などでも報じられ、地域金融機関を中心に金融システムへの安心感が広がりつつあり、不良債権処理にメドをつけた金融機関などが手元に余分な資金を置こうとしなくなったためとも指摘されている。


2005.2.2「債券相場とインデックス(1月26日レポートより再アップ)」

債券相場は好需給を背景にして、国内年金や海外投資家などを主体に買い進まれており、10年266回は12月16日の高値1.330%まで買い進まれた(2月2日現在、1.270%)。

この年金や海外投資家の買いの背景には、景気の減速懸念や、それに伴い日銀の量的緩和解除がさらに先延ばしされるとの見方の強まり、円高や株の上値の重さといったことも材料視されていると思われるが、それ以上にインデックスによる影響も大きいと見られている。

国内債運用のインデックスといえば野村BPI指数であるが、これは毎月のように伸び続けている。通月でも0.05年程度、償還月には0.1年以上伸びることも多くなり、今年3月には、国債だけで13兆円、一般債を含めると15兆円程度がBPIの対象から外れる残存1年未満となることなどから、BPIが0.19年程度と過去最大の伸びになると予想されている。これは6月も同様であり、3月ほどではないが0.17年程度伸びると予想されている。このため、2月には年金パッシブ系の買いが大量に入るとの期待がすでに出ているため、先回りしての買いが入ってきているとの観測すら出ている。

加えて来年度は20年利付国債の発行額が1.2兆円増額され8.4兆円となることなどから、市中で消化される国債の平均年限は、今年度の6年2か月から8か月伸びて6年10か月となる。このため来年度はこの要因も加わり、さらにインデックスが長期化することが予想される。

また、ブルームバーグによると米証券会社リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが債券指数での日本国債の格付けを引き上げる方針と報じている。リーマンのグローバル指数に関する格付け機関にフィッチを加えることによるためのようであるが、米国の機関投資家の多くが採用しているという指標だけに、これによる円債市場への影響も当然ながら大きいものと思われる。

このところ海外投資家の日本国債への買い越し基調は続いている。ドルからユーロ、そしてユーロから円へと一部資金が移動しているための円債買いといったことも言われていた。これに加えて日本国債投資に躊躇してアンダーウェイトとなっていた投資家が、リーマンインデックスの方針変更にともなってさらに円債投資を増やしてくるといった可能性もありえる。

債券相場の好需給の背景にはこうした要因が影響しているものと思われ、インデックスに関係する国内年金や生保、そして海外投資家の買いといったものは今後も債券相場の下支え要因となりそうである。


2005.2.1「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」

新聞にも報じられていたが、財務省は「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」を発表し、そのなかであくまで試算ながら2018年度末には公債残高が917兆7600億円にも達する可能性を示した。

「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/h17/sy170128b.htm


2005.2.1「路面凍結に注意」

この季節、朝夕の気温が零度以下となることも多く、クルマの運転時には路面凍結に注意している。雪などが降った際には雪道用タイヤを履いてても一般走行には十分注意しなければならないが、カーブやトンネルの出入り口などをまず注意する必要がある。それとともにに注意すべきは「橋の上」である。橋といっても川の上の橋に限らず、土の上にない部分は常に注意する必要がある。下に土があるのとないのでは温度に大きな差があり、下に土があれば通常走行が可能でも、橋の上では凍結しているケースも多い。一度、高架道路でスリップを起こし反対車線に入り込んでしまったことがあった。この季節、運転される方はご注意を。


2005.2.1「45年ぶりに春の甲子園に塾高出場」

今年の春の選抜高校野球大会に慶應義塾高等学校(神奈川県)が出場することとなった。塾高の春の大会出場は45年ぶりだとか。慶応義塾のホームページによると「春の選抜へは1960年以来、45年ぶり6回目の出場となります。なお夏の全国高等学校野球選手権大会へは過去に16回出場しており、1917年の第2回大会では優勝しています」とか。1917年って言っても・・・。

私自身は塾高のOBではないが、慶應出身者としては喜ばしい限り。ちなみにこの応援に塾高の応援指導部と吹奏楽部、それに全国制覇4回という慶應女子高バトン部が加わるとなれば、それだけでも見応え、聞き応えがある。高校野球の応援そのものも、もともと慶早戦(早慶戦ではない?)の応援を真似たものが多く、まさに本家本元の登場となる。春の甲子園、今から楽しみである。


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