「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」


2005.4.28「量的緩和目標引き下げへ?」

日銀が本日公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、量的金融緩和政策について、金融安定に果たしてきた役割が変わってきたと指摘、緩和の目安となっている日銀当座預金残高の目標引き下げに前向きな姿勢を示す方向で最終調整していると共同通信が伝えた。

日銀が公式な文書で当預残高目標の引き下げを示唆するのは初めてとなる。これまで福間審議委員や水野審議委員などから「技術的な」もしくは「自然体の」日銀当座預金残高の目標引き下げの可能性についてのコメントもあった。

また、福井総裁も4月7日の決定会合で現状維持に対する反対者がいたことに対して「少数意見については、私は議長として、その中で将来につながる価値ある部分が含まれているかどうかということを、今後よく考えたい」とし、慎重なコメントながらも「技術的な」もしくは「自然体の」日銀当座預金残高の目標引き下げに対して検討の余地があることを示唆していたものと見られる。

2005年4月のペイオフ全面解禁後、やや様子を見て6月ごろにも量的緩和解除の可能性は以前に指摘されていた。しかし、コアCPIが電力料金や固定電話料金の引き下げといった特殊要因の影響もあり、マイナス幅が拡大してきている上、景気も踊り場に入りそこから脱出できるかどうか微妙な位置にいるため、市場関係者の多くも量的緩和解除についてはかなり先になるとの見通しとなっていた。

短期金融市場を見ている限り、30〜35兆円程度の残高維持はかなり無理をしているようにも思われる。このため「技術的な」日銀当座預金残高の目標引き下げに対しても債券関係者の多くが理解を示しているものの、金利関係者以外からは引き締めに転じたとの認識を持たれる可能性も強い。特に株式や為替への影響とともに政府関係者を説得するのも難しいものがあるのではないかと思う。

日本銀行当座預金残高の目標値を、「27〜32兆円程度」から「30〜35兆円程度」に引き上げることを決定した2004年1月20日金融政策決定会合において、「わが国の景気は緩やかに回復しており、先行きについてもその持続が見込まれる。ただ、回復のテンポは、過剰債務など構造的な要因が根強いもとで、なお緩やかなものに止まると考えられる。消費者物価は、需給バランスが徐々に改善しつつもなおかなり緩和した状況の中、引き続き小幅の下落基調を辿るものと予想される。この間、金融・為替市場の動きとその影響には注意が必要である。日本銀行は、以上のような情勢を踏まえ、デフレ克服に向けた日本銀行の政策スタンスを改めて明確に示し、今後の景気回復の動きをさらに確かなものとする趣旨から、当座預金残高の目標値の引き上げを行うことが適当と判断した」とのコメントもあった。

この残高引き上げが為替政策に呼応したものとの認識が実際には強かったものの、このように景気回復やデフレ克服を理由としていただけに、日銀当座預金残高の目標引き下げには、よほどしっかりした経済指標が出るなり、コアCPIがゼロ以上となるなどする必要もあるのではなかろうか。

現状の経済指標はそれほど強い数値を示すものは少なく日経平均株価も11000円を割り込む状況が続いている。先行き回復する可能性もあると思われるが、米国経済もやや足踏み状態となり中国経済についても不透明要素があるなど、あまり楽観的な見通しも立てられない。もちろん、今後の動向次第では予想以上の回復を示さないとも限らないが、その予想も立てづらい。

報道によると「日銀は、夏ごろには景気が踊り場を脱し回復基調に戻るとみており、経済情勢を慎重に見極めながら目標下げに踏み切る公算が大きい」としているが、それが果たして可能なのかどうか。私も技術的なものであれ日銀当座預金残高の目標引き下げは早期に実施してほしいというのが本音だが、それもなかなか難しいのではなかろうかと思っている。


2005.4.27「5月の債券相場予想」

日本経済の回復を支えてきた米国経済と中国経済の動向に不透明要素が加わり、踊り場からの脱出に黄信号が灯ってきた。

GMの業績悪化を背景に、米国株は大幅に下落し、クレジットリスクの高まりで「質への逃避」から米国債が買われた。経済指標もまちまちとなり、米経済の力強さを失いつつあるように思われる。インフレ懸念も強く、スタグフレーションへの懸念すら出ている状況にある。

また、中国については経済自体よりも対日デモによる影響がクローズアップされている。急速な経済成長に伴う歪がデモというかたちで露見したとも思われ、中国政府の対応如何ではさらなる混乱を招く恐れもある。その意味でも反日救国運動「五・四運動」の記念日でもある 5月4日に注目が集まっている。また、中国元の切り上げもいよいよ現実味を帯びてきたことも注意する必要があろう。

ファンダメンタルズに不透明感が漂ってきたことで日経平均株価は12000円手前で反落し11000円の大台も割り込んできている。また、債券は特に国債の需給の良さが相場全体を押し上げた。反面、GMショックによる影響で社債などは売り圧力が強まっていた。この国債の好需給は当面続くものと見られる。国債の償還だけでも見ても、2005年6月償還は約6.6兆円、9月9.7兆円、12月6.6兆円、2006年3月12.6兆円となる見込みである。

以上のような状況下で5月の連休明けの相場展開を予想してみたい。連休中に米FOMCや雇用統計の発表が予定されており、場合によっては海外市場で大きな変動があるかもしれないが、日本のマーケットへの影響は限られるものと思われる。

株は引き続き上値の重い展開が続くものと見られ、余程強い内容の経済指標でも続けて出るようなことがない限り、日経平均が12000円を抜けてくることは現状考えづらい。債券は国債主体に高値を試す展開が予想される。長期金利はすでに大方の今年度の予想最低利回りの1.3%を大きく割り込み、1.2%も試してくることも考えられる。年内の量的緩和解除の可能性は大きく後退しており、中短期債なども買われやすい地合いが続くものと見られる。ただし、一昨年の6月までの相場のようにデフレが半永久的に続くといった観測はさすがに今回は出ることはないと思われ、1.2%をもし割れることがあっても、そのまま1%に向けて利回りが低下していくことも考えづらい。

以上のことから5月の債券相場は国債主体に買い進まれる可能性があるものの、高値警戒も強まってくるものと予想する。長期金利は1.2%から1.4%あたりでの動きと予想する。


2005.4.26「国債清算機関(JGBCC)、5月2日に稼動」

日本国債清算機関(Japan Government Bond Clearing Corporation)が5月2日から稼動が開始される。平成13年3月27日の財務省における国債市場懇談会において「清算機関の創立」が提言され、日本証券業協会において市場関係者による検討が進められていた。

JGBCCの業務は、「セントラル・カウンター・パーティー(CCP)として、債務引受とオブリゲーションネッティングを行い、実質的にマルチラテラルネッティングを実現する」ことだそうである(「日本国債清算機関について」、証券決済制度改革推進フォーラム)。この説明は専門家向けとしては構わないかもしれないが、日本の機関ならばしっかり日本語で説明してほしい気もする。

日本国債の決済の現状は、その取引ごとに売買の当事者間で全て1本1本日銀ネットを通じてリアルタイムで決済されている(即時グロス決済、RTGS)。その決済をJGBCCに一旦集約することによって決済を差し引き合算とし決済業務の効率化を図ろうとするものである。

ただ、当面は、現行の日銀ネットを使った相対決済とこのJGBCCを通じた決済が混在してのスタートとなりそうである。


2005.4.25「国債に係る海外説明会(第2回)の開催」

財務省は5月に2回目の「国債に係る海外説明会」を実施する。1月にロンドン・ニューヨークで開催された。ロンドンでは140人、ニューヨークでは170人もの機関投資家らが参加した模様である。今回はアジアでの開催となる。5月18日に香港、5月20日にはシンガポールでも実施される。


2005.4.25「霞ヶ浦は昔、海だった」

中国のデモの要因のひとつに日本の教科書問題も取り上げられていたが、教育というのは教科書に重きが置かれすぎていないのか。週末の子供たちの活動内容を聞いてふと感じた。

我が家の子供たちは「サイエンス・キッズ」という活動に参加して3年目になる。これまでもいくつか紹介したことがあると思うが、今回は霞ヶ浦湖畔での貝の化石の発掘がテーマ。残念ながら今回は私は参加できなかったが、自宅からクルマで30分ほどのところに、大規模な貝の化石層が存在しているそうである。そこには1300年ほど前の横穴式の住居跡や江戸時代の石碑などもあり、まさに歴史を知るには格好の場所。

問題なのは10歳の時から現在に至るまでおよそ○十年も住んでいながら、私がそこを知らなかったことである。私の知識不足とのご指摘もあろうかもしれないが、嫁さんも知らずやはり学校ではそのような場所があることさえ教えていなかったものと見られる。

教科書による画一的な教育も必要かもしれない。ゆとり教育を改めるというのも遅すぎたくらいである。ただ、歴史などは地元の遺跡などを通じたフィールドワークももっと取り入れるべきではなかろうか。書いてあるものを覚えても実感はわかないが、実際に数万年前の貝の化石を見るだけで歴史を肌で感じるはずである。そして昔、霞ヶ浦が名前を見てわかるように「浦」つまり、入り江、海であったことなどもこれを見ればわかるはずである。奈良時代に相当する時期に人々はまだ穴を掘って生活していたこともわかる。それを見れはいろいろなことが理解されるとともに新たな「なぜ?」も生まれるはずである。

資金的な問題などもあるかもしれないが、こういった貴重な教育の場があることを、地元の学校でもその存在すら教えてもらっていなかったことに今回大いに疑問を感じた次第である。


2005.4.22「FBゼロ%落札に対応した国債市場特別参加者制度の見直しについて」

牛さん熊さんの本日の債券の中で、牛「実績作りのためだけにゼロ%で落札している動きもあって、その対策のようや」と書き込みしたが、今回の対応の理由は実際には異なっていたため、訂正させていただきたい。

FBやTBで金利ゼロでの落札が続き、国債市場特別参加者制度の義務を果たす必要から已む無くゼロ%で応札するといったことを避けるため、従来の基準に加えて、今回からは落札結果が全額ゼロ%となったFBやTBの入札を除いて基準を満たした場合でも落札義務を果たしたことになるというのが今回の見直しの目的である。

やや事実と異なるコメントをしてしまい、お詫びして訂正させていただきたい。


2005.4.22「チャイナリスクがやや後退か」

さすがに、ここに来て中国政府もデモ阻止に動きを見せてきたようだ。本来かなり規制がかかっていると言われるインターネットの掲示板への書き込みも、対日批判や対日デモの呼びかけは野放図となっていた。中国政府もこれを政治的圧力として利用していたのではないかとも見られていたが、デモの過激化により、この書き込みにも規制が入ったものと見られる。日本からばかりでなく世界各国から非難されるようになったこと、日本経済と密接に結びついている上海市などを中心に自国経済への影響も気にし始めたことが要因と思われる。また、デモが広がればいつ矛先が政府に向かうとも限らないリスクも中国政府は感じ取ったのではなかろうか。

しかし、これで週末デモが本当に収まるのか。5月4日に予定されていると言われる大規模なデモを中止させることができるのか。アジア・アフリカ会議での本日の日中首脳会談は行われないと発表された。23日以降の日中首脳会談開催に期待したいが、首脳同士の話し合いで少しでもチャイナリスクが軽減されることを望みたい。


2005.4.21「流動性供給入札」

本日付け日経新聞によると財務省は2006年度から国債の市場取引を活発にする対策を始めると報じられた。これは「国債買い入れ償却」と「流動性供給入札」の活用によるものと思われる。

すでに「国債買い入れ償却」の目的は2008年度の借換債の発行量をなだらかにすることであったが、来年度からは年度の制限をなくし対象を広げることにより、どちらかといえば不人気で売りづらい銘柄を財務省が買い取る仕組みとなる。銘柄は特別参加者などの意見を参考に銘柄等を決定する。今年度中に制度の詳細を詰めるそうである。

また、反対に市場ニーズの強い銘柄は追加発行する仕組みが流動性供給入札である。人気の既発債と利率・残存期間を合わせたものを入札形式で発行する仕組みである。

「国債買い入れ償却」と「流動性供給入札」の活用については、すでに財務省から国債市場特別参加者会合などを通じて概要が発表されている。下記資料も参考にしていただければと思う。

(資料)財務省「国債市場特別参加者制度運営基本要領」より

「(特別参加者は、)特定銘柄の需給の著しい逼迫等の要因により国債流通市場の流動性が低下し、国債市場の機能が損なわれることを回避する観点等から、国債市場の流動性の維持および向上等を目的として実施する流動性供給入札に参加することができる。なお、流動性供給入札は、利回り格差を競争に付して行われる入札の方法により実施することとし、オファー対象銘柄、流動性供給入札の頻度及び発行額等の具体的な要件については 特別参加者の意見等を踏まえ決定する。」

(資料)財務省「国債市場特別参加者会合(第4回)議事要旨」より

流動性供給入札については、@一部特別参加者にとって、特定銘柄の調達が一時的に困難となった場合に対応する「危機管理的」なもの、A先物のチーペスト銘柄のように、ニーズが特に高い銘柄について、中期的に市場全体から流動性が不足している場合に対応するもの、B残存15年ゾーンなど、発行量が少なかったり、投資家の満期保有に入ってしまっていること等により構造的・長期的に流動性が不足している場合に対応するもの、の3つのあり方が考えられる。

このうち、危機管理的なものと構造的・長期的な流動性不足に対応するものについて、それぞれを明確に区別した上で対応していけば良いのではないか。他方、中期的な流動性不足については、取扱いが難しい。例えばチーペスト銘柄の場合、受渡しが終わった後は、急速にニーズが減少することから追加発行のために供給過剰となってしまうことも考えられる。

対象銘柄の選定については、危機管理型の場合は、多くの参加者から見て追加発行が望ましい銘柄は明らかであり、特別参加者とのコミュニケーションの中で対象銘柄を選定すればいい。危機管理ということから、それほど時間的な余裕がない中で決定することも予想され、フレキシブルな対応が望まれる。

一方、構造的・長期的なものの場合、追加供給が必要となるものを吟味する時間的な余裕もあることから、15年ゾーンのほか、過去に発行量が少なかった銘柄にはどのようなものがあるかといった議論を特別参加者と行った上で決定することが考えられる。 頻度については、危機管理型のものは随時、構造的な流動性不足への対応型については、3ヶ月に1回程度供給すれば十分とも考えられることから、四半期ごと2,000億円といったイメージを持っている。

なお、対象銘柄の保有者の不測の損害については、危機管理型の場合にあっては、保有者は、追加発行による価格低下の損失を受けることから、財務省においてその追加発行によるメリットとの比較考量により是非を判断することになる。他方、構造的な流動性不足に対応する場合には、制度の基本的な運営方針をある程度前もって打ち出せば、もう「不測の損害」ではないと言ってもいいのではないか。また、割高な銘柄を保有していることの経済的な利益を保有者側がどこまで主張できるのかという点については、リオープンされることによりレポレートが低下するというようなレベルでは毎月のように起こっている話でもあり、程度問題と見ることもできるのではないか。

・実際に短期的、中期的、長期的を区別するのは難しいのではないか。むしろ、毎月1,000億円〜2,000億円の追加発行を行うと決めて、定例的に実施すれば、スクイーズ等による短期的な不足は1ヶ月以上続かないということになり、構造的な不足についても、1回の発行では十分でなくとも、2回、3回と続けて対象となれば次第に解消されていく。したがって、頻繁に、少なめのロットで入札を行って欲しい。

対象銘柄については、(財務省から説明があったように)1回の入札で20銘柄まで追加発行の対象とできるのであれば、現実問題として需給がタイトな銘柄が20銘柄もあるということは考えられず、特別参加者からヒアリングした上で財務省が対象銘柄を選定すれば、特定のゾーンの構造的な不足に対しても、短期的なスクイーズによる短期的な不足に対しても、対応できるのではないか。

・構造的なものと一時的なものを区別することは概念的には重要だと思うが、実施面で明確に線引きするのは難しいのではないか。また、先物のチーペスト銘柄に関してはそもそも対象とすべきか疑問。

流動性の低下を具体的な数字で示すことは非常に難しく、特別参加者に対するヒアリング、各銘柄のレポレート、特別参加者間取引の売買高といったものも参考にしつつ、対象銘柄の最終的な判断は、財務省で行うしかない。また、例えば市中残高が1兆円以下の銘柄に限るといった基準を設けることも考えられるのではないか。

実施頻度、1回当たりの発行額については、回数が多いほうが望ましく、毎月1回、最大2,000億円程度を希望している。発行額についてフレキシブルに対応する場合には、例えば、現在の入札のスケジュールと同様、3ヶ月前に発表することが望ましい。

この流動性供給入札が導入されるというアナウンスがされてから既にだいぶ経過していること、日本銀行でも、これまでのところ一回だけではあるが、国債補完供給オペを行っていること、18年度の実施まで時間的な余裕があり、その間にそのような銘柄を売却する余裕も十分あることから、投資家に与える損害をそれほど懸念する必要はないのではないか。


2005.4.20「10年カレント約1年1か月ぶりの1.260%」

米国経済の減速懸念や中国におけるデモの影響から日本経済への先行きについて不透明感強まり、押し目を待っていた投資家もさらに上値を追って買わざるを得なくなったものと見られ、10年269回は1.260%をつけた。10年カレントとしては今年2月2日つけた直近の最低利回り1.265%を下回る。これは2004年3月12日以来の約1年1か月ぶりの水準となる。10年269回は結局1.250%まで利回りが低下した。

年金など国内投資家からと思われる長期・超長期への本日の買いは、明日の入札での過熱相場を回避するためや、今月はゴールデンウイークも控えも月末の買いを先んじて入れてきたとも見られる。押し目らしい押し目もなくまさにきっかけ待ちとも言える。

また、一般債などにはここのところ売り圧力強まっており、クレジットリスクなども意識され、その分売却資金は国債へと向かっているものと思われる。中国リスクも意識され、質への逃避ともいえる動きともなっている。

少なくともゴールデンウイークまでは好需給は続くとの見方も強く、高値警戒も出そうだが、もう少し上値余地もありそうである。


2005.4.19「中国のデモを振り返る」

今回の日本株の急落は米国株の大幅な下落が主要因と見られる。NYダウは4月上旬から400ドル以上下落しており、それが東京株式市場を直撃した。しかし、中国の情勢もかなり影響を与えていることも確かである。

その中国の今後の動向が読みにくい。特に中国政府の対応が、かなりちぐはぐとなっていることから、先行きを予測させることを困難にしている。週末デモはさらに拡大するのか、それとも沈静化するのか。矛先が台湾や米国に向かうのか。本当の目的は対政府にあるのか。もしそうなれば天安門事件のようことが起きないとも限らない。

今回のデモについて振り返ってみたい。以下、産経新聞などの過去の記事を参照しまとめてみた。四川省成都では4月2日、反日集会参加者の一部がイトーヨーカドー成都店を襲撃し、店のガラスなどが壊された。深センでは3日、約2千人がデモ行進し警備側ともみ合い、一部は日系企業の看板を壊したりした。これらの騒ぎを主導したのは民間の反日グループと言われその手段はインターネットのサイトへの書き込みなどが利用された。

4月9日には北京市で反日デモが行われた。日本の歴史教科書などへの不満を訴えて行われた反日デモは9日、1万人以上とみられるデモ参加者と群衆が海淀区中関村から市の中心部に向け行進した。デモ隊は日本国旗を焼いたり、日系企業の街頭広告を引き裂くなど一部暴徒化。その後、建国門外の日本の大使館や朝陽門外の日本大使公邸に向かい投石などを行った。日本料理店や銀行支店など日本企業も標的にされた。このデモの参加者は20代が中心と見られている。4月10日には広州で約2万人の群衆が日系スーパー、ジャスコの入る商業施設前に集まり、投石などの抗議行動をし、深センでも約1万人がデモを行ったが、参加者の大半は20-30代の男性とみられる。北京の反日デモをインターネットなどで知り地元の大学生らが参加した。今回もデモへの参加呼びかけはネット掲示板で行われたとみられ、主催者も曖昧なことで暴徒化を止められなかったとも言われる。

ニューヨーク・タイムズ紙は9日に「過激な愛国精神は、中国政府が国益を守るのに軟弱とみなされた場合、(五・四運動が反日から政府批判に発展したように)中国政府にその怒りが向かうもろ刃の剣になりうる」と論じた。北京のデモ以降、中国政府当局は、過激な行動が全土に飛び火しないよう急速に措置をとり始めていると見られていたがその効果はなかった。そして、11-13日の間には、中国人民解放軍の退役軍人約1000人が再就職難への不満などを訴え、政府要人が多数住む北京市の中南海近くで抗議集会を行ったことが明らかになった。

そして、町村信孝外相の訪中を翌日に控えた16日、上海や杭州などで再びデモが発生し一部が暴徒化した。上海のデモ参加者は日本総領事館周辺を含めて数万人に達した。香港でも17日にデモが行われた。


2005.4.18「上海ショック」

平成16年度10月現在で、児童生徒数1783名、82ある世界の日本人学校のうちタイのバンコク日本人学校に次ぐ世界第2の規模を誇る日本人学校が上海にある。

上海に駐留する日本人は約35000人と言われ、短期出張者を含め8万人の日本人が滞在するとされる(4月17日日経新聞)。

中国の市場経済化を象徴するこの上海でも16日にデモが発生し、その一部が暴徒化し日本領事館への投石があったと伝えられている。

中国の変革を知るには上海を見てこいと言われるほど近代化が進み国際都市となっている上海は治安も比較的良いとされていたが、今回のデモでかなりイメージも損なわれるのではなかろうか。

今回の中国におけるデモはいったい何が目的なのであろうか。デモへの呼びかけはインターネットで行われ、20代から30代の若者が主導していたようである。中国の中ではむしろ富裕層に属し、しかも戦争を知らない世代が何を目的にデモを引き起こしているのか。中国首脳もかなり対応に苦慮しているようにも見受けられる。

小泉首相は中国との首脳会談、友好関係を増進する前向きな会合であるべきとコメントしたが、関係改善に向けてトップ同士で意見を調整しあう必要もあろう。少なくともお互いの国での首脳会談ができるようにすることも現政権の大きな仕事になるのではなかろうか。水面下での積極的な外交交渉も行う必要もあろう。両国の国民感情がさらに悪化し、一部暴徒が深刻な事態をもたらすようなことがあると非常に危険な状況に追い込まれないとも限らない。

この中国情勢に加え、米国経済の後退懸念による米株急落により、日経平均株価は本日、11000円の大台を割り込んだ。


2005.4.15「日銀券は投票用紙」

ある方とお話をしていた時、その方が、市場化にあってリスクのみがクローズアップされているが、利点もあることも押さえておく必要がある。日銀券は投票用紙にもなるのだからとおっしゃっていた。「日銀券は投票用紙」というのも面白い表現だと思う。市場化によって、固定で割高な画一的な料金体系は崩れ去り、料金はお金を払う我々消費者に決定権が移されていく。

私が小さいころ電化製品を買うのは町の電気屋さんからであった。ほとんど定価に近いものながら、そのあとのアフターケアを考えるといたし方ないし、そもそも家電量販店など存在しなかった。その後、突然のごとく家電量販店が出現し、競うように価格を引き下げていった。しかし、今度はインターネットで価格を比較できるようになり、またネットでの購入も可能になった。アマゾンが一定金額以上ならば送料無料というシステムでネット販売を広げたことで、わざわざ家まで運ぶ必要もなくなった。

ここで必要になるのは情報となる。インターネットの普及もあり、価格を比較するといった行為も簡単に出来るようになった。まさに日銀券は投票用紙として機能し、それはある意味デフレ圧力を強める働きもしている。


2005.4.14「第T非競争入札について」

第T非競争入札について、ある読者の方がまとめていただいたものがわかりやすく、掲載の了解をいただいたのでご紹介したい。

12日の5年中国入札で、利付債としてはじめて「第1非競争入札」が行われ1725億円が落札された。この入札では、(1)(通常の)価格競争入札、(2)非競争入札、(3)第1非競争入札が、各12時応札締め切り13時結果発表となり、その後(4)第2非競争入札が14時半締め切りで行われた。

その結果、落札額は(1)1兆7995億円、(2)268億7400万円、(3)1725億円、そして8(4)1912億円でした。(1)、(2)、(3)の合計額は1兆9988億 7400万円と当初発行予定額の2兆程度となる。そして、(4)1912億円は追加発行分となり、今後の国債発行額軽減を図る一助ともなる。以下、他の利国入札も含め、(1)〜(4)ついて簡単に解説したい。

(1)<価格競争入札>以前から行われている価格競争入札。募入となったものにつきそれぞれの応募価格が発行価格となる。(イールドダッチの場合は単一価格)。落札平均価格、最低価格、応札倍率は、この(1)の入札分から発表される。また、全発行予定額から、以下の(2)、(3)による発行額を差し引いた額が、発行予定額となる(10年国債はシ団引受け分と(2)の額を差し引いた額)。

(2)<非競争入札>2、5、10年国債入札で以前から行われている非競争入札(10年国債はシ団内シェアの高いところは参加できない)。募入限度額は発行予定額の10%。ただし、応募限度額は各応募者につき5億円(ただし10年国債はシ団シェアに応ずる)。(1)の平均価格が発行価格となる。また、(1)と(2)は、どちらか一方のみ参加可能で、併用はできない。

(3)<第1非競争入札>2、5、20年国債入札で、国債市場特別参加者(プライマリーディーラー)のみ参加できる。一昨日の5年中国入札よりスタートした。募入限度額は発行予定額の10%。ただし、参加者によって応募限度額が異なる。(1)の平均価格が発行価格となる。要するに、「プライマリーディーラーは限度額まで平均で買える。」という仕組み。

(4)<第2非競争入札>10年国債を除く利国入札で、プライマリーディーラーのみ参加できる。昨年10月の5年中国入札よりスタートした。通常の入札の落札結果判明(13時)後、14時半を締め切りに行われる。各応募者は、上記(1)+(2)の額の10%を、(1)の落札平均価格で追加購入することができる。要するに14時半時点で実勢価格が平均価格を超えていれば、おいしい(?)という入札。


2005.4.13「量から質への転換」

4月8日の西村清彦氏の審議委員就任会見において、西村氏は次のようなコメントをしている。

「政府の支出があれば需要が出てくるという時代は終わってしまったわけで、政府の支出の『質』というのが重要となってくるということである。同様に、金融政策のほうも『質』が重要になってくる。今までの量的緩和政策では『量』がキーワードであった。政府の支出に関しても『量』がどちらかというとキーワードであった。これからは『質』、つまり政策がどのような質を持っているのかを考えていかなければならない時期に達したのではないかと考えている」

経済が拡大する際には、政府による量的な政策もそれなりに有効であったかもしれない。しかし成長速度が鈍化し、ましてやバブル崩壊によって金融という、量を支えていた一つの基盤が崩れ、日本経済は大きな転換期を迎えた。

小泉政権が誕生しやや遅きに逸した面もあるが、財政構造改革が進むようになった。郵政民営化について政府と与党の間で激しい攻防が続いているが、世論調査などを見ても国民の多くは郵政民営化に対して賛成しており、自民党は守旧派といったイメージがさらに強まっているようにも思われる。政府の質への改善は、まず政治家の質への改善も必要になりそうである。

それはさておき、金融政策も量から質への転換が必要と西村氏は指摘している。それはまったくその通りである。量を増やすことによる効果といったものは、そもそもマーケット参加者はあくまで「心理的な」効果としか認識していなかった。現場から離れたところ、たとえば海外マスコミなどは、日銀福井総裁をグリーンスパン議長に並び称されるほどのカリスマ的な中央銀行総裁と見なしていた。しかし、マーケット参加者にとってはそのような認識はあまりなかったと言える。度重なる日銀の当座預金残高の引き上げは、政治的な配慮といったものを強く意識したものとの見方も強かったためである。

ただし、日銀の量による政策は、政府の量による政策ほど弊害はもたらされなかったとも言える。政府の量による対策でもたらされた弊害とは、言うまでもなく世界最大規模の政府債務である。

日銀の金融政策が量に変わる前の政策は「質」が目標ではなく「金利」が目標であったことを考えると、西村新審議委員の言う量的緩和の量的から質的への転換というのは少し意味合いが違うようにも感じるが、それで揚げ足を取る必要はなかろう。今後、質をより高めた金融政策を日銀には期待したい。


2005.4.12「第1非価格競争入札」

本日の5年国債入札から利付国債としては初めて国債市場特別参加者による第1非価格競争入札(発行省令第5条第7項第4号及び取扱規則第5条第7項第2号に規定する入札をいう)が実施された。 (参考、財務省ホームページ http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/siryou/kihonyouryou.pdf)

1.発行限度額
第1非価格競争入札による発行分の限度額は発行予定額の10%

2.発行価格
第1非価格競争入札における発行価格は価格競争入札における加重平均価格。

3.応札限度額
各特別参加者は、財務省が各特別参加者ごとに設定する応札限度額まで応札することができる。各特別参加者ごとの応札限度額は第1非価格競争入札による発行分の限度額に各特別参加者ごとの基準落札係数を乗じて得た額(1億円未満は切り捨て)とする。

4.入札スケジュール
第1非価格競争入札は価格競争入札及び非競争入札と同時(オファーは午前10時30分、締切:正午、結果発表:午後1時に実施する。

5.募入決定の方法
財務省は、各特別参加者の応札限度額の範囲内の各応札を募入とする。なお、募入決定を行った結果、その募入の合計額が、第1非価格競争入札による発行分の限度額に満たない場合には、当該限度額に満たない額は、原則、価格競争入札による発行分に充当するものとする。

6.第1非価格競争入札の対象外
シ団引受により発行される国債(10年利付国庫債券)及びイールドダッチ方式により入札が実施される国債は、第1非価格競争入札の対象としない。




2005.4.11「日本型雇用」

独立行政法人労働政策研究・研修機構がまとめた「勤労生活に関する調査」によると終身雇用、年功賃金など、日本型雇用慣行を支持する人の割合が高まっているそうである。これは成果主義・能力主義によって結果的にリストラされたり、年収が減少していった結果の裏返しとも思える。

企業業績が大きく回復してきた割には景気回復やデフレの解消が遅れているのが、この雇用や賃金の問題も大きいと思われる。格差社会という言葉が流行し、ニート(Not in Education,Employment or Training)やフリーターといった若者の就職における問題も発生している。

しかし、現在の格差社会・市場社会への移行の動きを逆戻りさせることはできない。企業業績もやっと一息ついて来てはいるが、企業側としても成果主義・能力主義を強化させることはあっても終身雇用・年功序列を復活させるつもりはないであろう。

ここで必要とされるものは政府によるセイフティー・ネット作りといった後ろ向きのものばかりではいけない。厚生労働省は11日に国民各層を結集して若年層雇用問題に取り組む国民会議の座長に日本経団連の奥田碩会長を充てる人事を内定したそうではあるが、「やる気」を起こさせる社会を作るためには、官民一体となっていろいろなアイデアを出して試行錯誤していくことも求められるのではなかろうか。


2005.4.11「桜と人手と岩崎宏美」

今年の桜は例年に比べて綺麗に見えるとの声も聞いた。都心では晴天で気温も高い中で満開となったことで、青空に映えるさくら色が際立ったのではないかとも思う。それにしても靖国神社界隈の人手はすごかった。通勤途中の上野公園は今年見る機会はなかったが、浅草近辺も含め、東京の桜の名所では休日もかなり人が出ていたと聞いた。

地元茨城でも桜は満開となり、10日に美浦村のチューリップ祭りといったイベントにも参加した。残念ながらチューリップはまだ満開とまではいかなかったものの、そのイベントも多くの参加者で賑わっていた。そのあと当日無料開放しているという江戸崎のポティロンの森にも足を運んだが、そこで思いかげない人を見ることとなった。

ある建物に人が大勢集まっており、中から歌声が聞こえる。音響があまり良くないところだが、なかなか歌の上手な人が歌っているなと思っていた。場所柄(?)、新人歌手のイベントか何かと思っていたところ、中に入って見て驚いた。岩崎宏美さん本人であった。歌がうまいはずである。ラジオの公開放送のゲストとして来ていたようである。

岩崎宏美さんは私と同年であり、山口百恵さんや、今いろいろと話題を振りまいている森昌子さんとも一緒である。何を隠そう昔からはファンだったのである。。まさかこのようなところで見ることができるとは思いもよらなかった。このときとばかり、しっかりサイン色紙ももらって来た。 ただし、子供たちにとっては「誰?」。どういう説明すればわかりやすいのかと考えて、出てきた答えが「タッチ」の主題歌を歌っている岩崎良美さんのお姉さん。これで「へぇ、すごい」と少し納得してくれた。岩崎宏美さんがヒット曲を飛ばしていたころからはすでにかなりの年月が経過していたことにあらためて気づかされた。それだけ自分も歳を取ったということに。


2005.4.8「新審議委員となる西村清彦氏」

植田和男審議委員に代わり本日から新日銀審議委員に就任するのが、内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官兼東京大学大学院経済学研究科教授であった西村清彦氏である。

西村氏の経歴を見ると2000年4月から現在まで富士通総研の顧問も勤めており、1998年から同研究所の理事長であった現在の福井俊彦日銀総裁と面識があったことが伺える。また、西村氏は政府関係の委員も数多く務めているが、特に「社会投資ファンド」といった分野に関心が高いようである。私も一度「社会投資ファンド」関係の勉強会で西村氏の話を直接聞いたことがあるが、その際の西村氏の印象としては気さくでユニークな方といったものであった。

西村氏の著作の中にも「固いもの」に混ざって『「やわらかな経済学」で日本経済の謎を解く』といった一般の方にもわかりやすく面白い視点で経済学を解説しているものがある。その本の内容の一部が西村氏のホームページに掲載されていたのだが、これが日銀審議委員就任というタイミング的にも面白いものとなっている。

表題は「中央銀行の世界標準とアイスランド」。その中で西村氏は、日本銀行(の旧館の建物と、そのかもし出す権威)は隠れた世界標準でありFRBなどとそっくりであると指摘する。また、日銀やFRBの新館の最上階にあるダイニングからの眺めは「そこにいると、何か下々の者の上にあって、巨大な権力を行使しているような気分になるから不思議である」そうである。

これに対してアイスランドの中銀は全く普通のオフィスビルであり、最上階にある中央銀行総裁の執務室から眺められるのはまさに大自然だとか。日銀などの権威の替わりをしているのがアイスランドでは大自然というのも面白い視点である。

これからその権威の権化のような日銀で、西村氏は4月から金融政策という大きな力を有する政策委員のメンバーとなる。象牙の塔にいながら外を飛び歩いて活動し、行動派とも言われる西村氏は学者でありながら現場にも通じていると思われる。これからは金融というマーケットの現場についてもより理解を深めていただきたい。

これまでの日本経済に対する西村氏の見方としては、「量としての需要不足ではなく、質的に適切な供給の不足」、「大不況期は実は回復の12年だった」と新著でコメントしているように、福井日銀総裁の日本経済への見方にも通じている部分があるようにも感じる。

最後に、西村氏が「中央銀行の世界標準とアイスランド」にコメントしていたように、「飼い犬は飼い主に似ると言われるが、勤め人は職場の建物に影響される」ことがないよう、がんばっていただきたい。


2005.4.7「4月の経済・物価情勢の展望の対象期間に翌年度も」

日銀は4月に公表する「経済・物価情勢の展望」が対象とする期間について、今後、当該年度に加え、翌年度を含めることにしたと発表した。これにより、「経済・物価情勢の展望」の対象期間は、4月公表分、10月公表分ともに、当該年度および翌年度となる。

これは物価の先行きについての審議委員の見方をよりはっきりさせるために実施されるのではないかと思われる。来年の1-3月期にはコアCPIはゼロ以上に浮上するとの見方が強いとも言われ、審議委員の多くも2006年度についてはコアCPIはプラスになるとの認識を示すものと考えられる。

福井日銀総裁会見ではその理由についてはあまりはっきりさせていなかったが、福井総裁は以前、「緩和長期化を過度に織り込む価格形成には注意が必要」とコメントしており、そういったものを意識した変更とも取れそうである。


2005.4.7「1年3か月ぶりに全員一致が崩れる」

今年度最初の日銀金融政策決定会合が5日から6日にかけて開催されたが、2004年1月20日に日銀の当座預金残高目標値を27〜32兆円から30〜35兆円に引き上げて以来は18回連続で全員一致の現状維持が決定されたが、1年3か月ぶりでこの全員一致が崩れ、賛成多数という結果となった。その後の総裁会見によると反対者が一人出たようである。

その一人は福間審議委員の可能性が高そうである。4月1日からのペイオフ前面解禁が無事にスタートし「少なくとも金融システムの安定化が確認されるまでは30-35兆円程度という目標値に基づいて資金供給を行っていくことが適当であり、その金融システム安定化の試金石となるのは、4月のペイオフ全面解禁」と福間委員は以前に述べていた。ペイオフ全面解禁から6日しか経過していないものの大きな波乱もなかったことで反対に転じた可能性は高い。

全員一致が崩れたことによる債券相場への影響はそれほど大きくはないものと思われる。しかし、日銀がまだ遠いはずの量的緩和解除に向けて小さな一歩を踏み出したといった捉え方もできなくはない。

ただし、福井総裁が決断しない限りは、当預引き下げも含めて制度変更はないものと思われる。執行部の3人に加えて中原議員も当座預金残高を引き下げる考えはないとしており、また春審議委員も慎重姿勢と思われる。植田審議委員の後任である西村清彦氏については福井総裁の考え方に近いと思われ、総裁と歩調を合わせる可能性が高いためである。


2005.4.6「個人向け国債の販売額が過去最高に」

3月に募集され、4月11日に発行される第10回個人向け国債の発行額は2兆3,374億円に達し、一回当たりの発行額としては過去最高となった模様である。前回債でやや売れ行きが鈍っていたものの、初期利子が前回債よりもひきあげられていたことや、ペイオフの前面解禁に伴う預貯金からの資金シフトの影響によるものと思われる。

これまで発行された個人向け国債の回号別販売額と初期利子は下記の通り
第1回(2003年 3) 3,835億円  0.09%
第2回(2003年 4) 3,486億円 0.05%
第3回(2003年 7) 2,802億円 0.05%
第4回(2003年 10) 9,432億円 0.77%
第5回(2004年 1)1兆3,951億円 0.62%
第6回(2004年 4)1兆4,185億円 0.55%
第7回(2004年 7)1兆7,726億円 0.74%
第8回(2004年 10)1兆8,652億円 0.74%
第9回(2005年 1)1兆7,647億円 0.67%
第10回(2005年 4)2兆3,374億円 0.73%


2005.4.5「植田審議委員」

植田和男日銀審議委員は今月7日で任期満了となり、後任には西村清彦氏が決定している。このため、本日から明日にかけての政策決定会合が植田審議委員にとって最後の決定会合となる。

植田氏といえば、バブル崩壊直後の1992年に日銀調査統計局長の翁邦雄氏と岩田規久男当時上智大学教授との間で繰り広げられたマネーサプライ論争の裁定役としての印象が強い。そういえば一昔前、私が証券アナリスト試験に臨んだ際、これは出るからと念を押され翁岩田論争の資料にあたった記憶がある。

植田氏は新日銀法が施行された1998年4月に審議委員に就任した。2000年4月に再任され任期は7年にも及んだ。私にとって一番印象に残っているのはゼロ金利解除に反対票を投じたことであった。事前の発言から可能性はあったものの、それでもかなり驚いた記憶があった。7年もの長い間、本当にお疲れ様でした。


2005.4.4「戦略、起動、実現」

平成17年度の日本銀行入行式における福井総裁挨拶要旨が日銀のホームページにアップされている。(http://www.boj.or.jp/press/05/ko0504a_f.htm)。そういえば自分の入社式はいつのことであったのか。はるか遠い記憶の彼方に飛んでいってしまっている。それはさておき、昨年も確かこの入行式における総裁挨拶についてコメントした記憶があるが、今年も恒例につきコメントしたい。

これからのより大きな関門として総裁は「日本経済を一層活力に富んだものとして、持続的な回復の軌道に乗せるとともに、デフレから脱却させることです」としている。そのためには「企業も、金融機関も、一般の人々も日本経済の将来へ確信を強め、もっともっと前向きの行動に踏み出して行くことが必要です。」としている。できれば同じことを郵政民営化の問題でゴタゴタしている自民党の方々に向けても言ってほしい気もするが。

そして挨拶文の中で日銀の改革のスローガンとして「戦略、起動、実現」を掲げているそうである。これを見てやや個人的に少し引っかかったものがある。昔、QC活動とかで会社一体となって改革を進めようとしたことが民間会社であったと思う。その際にもこういったスローガンを掲げていたが、今頃になってこういったスローガンを掲げること自体、やや時代錯誤を意識してしまうがいかがなものであろうか。もちろんやるなとは言わないが、スローガンを掲げることで意識が変革できるとも思われない。ただし実現は実現でも「量的緩和解除の実現」なんてスローガンを掲げてしまうと某マーケットで過剰反応しかねないことも確かではあるが・・・。


2005.4.1「日銀短観を受け相場は乱高下」

朝方日銀が発表した3月の日銀短観は、大企業製造業の業況判断指数がプラス14と2四半期連続で悪化した。輸出数量指数の大幅減など外需の鈍化に加えて、IT関連を含む電気機械がマイナス3と1年半ぶりにマイナスとなるなどしたことや、原油価格の高騰などが影響したものと見られた。6月予測もプラス14となり、先行きの見通しについても不透明感は払拭できないようである。

これを受けて債券相場は乱高下となった。買い気配が始まり139円69銭をつけたが待ってましたとの売りが入り一時139円を割れたが、後場に入って期初の現物買いも見られたことで再び寄り付き水準に戻すなど、まさに大荒れの展開となった。


平成17年3月分 平成17年2月分 平成17年1月分 平成16年12月分 平成16年11月分 平成16年10月分 平成16年9月分 平成16年8月分 平成16年7月分 平成16年6月分 平成16年5月分 平成16年4月分 平成16年3月分 平成16年2月分 平成16年1月分 平成15年12月分 平成15年11月分 平成15年10月分 平成15年9月分 平成15年8月分 平成15年7月分 平成15年6月分 平成15年5月分 平成15年4月分 平成15年3月分 平成15年2月分 平成15年1月分 平成14年12月分 平成14年11月分 平成14年10月分 平成14年9月分 平成14年8月分 平成14年7月分 平成14年6月分 平成14年5月分 平成14年4月分 平成14年3月分 平成14年2月分 平成14年1月分 平成13年12月分 平成13年11月分 平成13年10月分 平成13年9月分 平成13年8月分 平成13年7月分 平成13年6月分 平成13年5月分 平成13年4月分 平成13年3月分 平成13年2月分 平成13年1月分 平成12年12月分 平成12年11月分 平成12年10月分 平成12年9月分 平成12年8月分 平成12年7月分 平成12年6月分 平成12年5月分 平成12年4月分 平成12年3月分 平成12年2月分 平成12年1月分 平成11年12月分 平成11年11月分 平成11年10月分 平成11年9月分 平成11年8月分 平成11年7月分 平成11年6月分 平成11年5月分 平成11年4月分 平成11年3月分 平成11年2月分 平成11年1月分 平成10年12月分 平成10年11月分 平成10年10月分 平成10年9月分 平成10年8月分 平成10年7月分 平成10年6月分 平成10年5月分 平成10年4月分 平成10年3月分 平成10年2月分(その2) 平成10年2月分(その1) 平成10年1月分(その2) 平成10年1月分(その1) 平成9年12月分 平成9年11月分 平成9年10月分 平成9年9月分 平成9年8月分