「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」


2005.5.31「金融政策委員会のインセンティブ・メカニズム」

日銀のホームページで、日本銀行金融研究所主催第12回国際コンファランスにおける福井総裁開会挨拶の日本語訳がアップされた。その中の「金融政策委員会のインセンティブ・メカニズム」について見てみたい。

インセンティブの問題は中央銀行にとって、マクロ経済的な政策目標というレベルだけではなく、よりミクロ的な、日々の意思決定においても重要です。国民が中央銀行に物価安定の任務を委任することが物価安定の達成につながると判断したのであれば、中央銀行はその任務を達成するためにどのように意思決定を下すべきでしょうか。

とりあえず、まずは問いかけから。

この点では、日本銀行のように政策委員会が金融政策を決定する、という意思決定方式を採る事例が増加しています。「船頭多くして船山に登る(camel is a horse designed by a committee)」という古いことわざもありますが、私は委員会方式で金融政策を決定することにはさまざまな優れた点があると感じています。なにより、委員会方式の下では、各委員が多様な経歴をもっており、それを活かして徹底的に議論することが可能です。他方、金融政策委員会が異なる意見をもつ人々の集まりであるが故に、委員会の中でインセンティブの対立が発生することがあるのも事実です。

委員会方式の是非を巡ってのコメントである。利点としては「各委員が多様な経歴をもっており、それを活かして徹底的に議論することが可能」としている。ダイバーシティという言葉があるが、これは差別をなくそうとの意味合いから、画一的な型やスタンダードにはまることをなく各自の個性を活かし能力を発揮できるような組織をつくるといった捉え方をされている。まさにそういったことを意識しているものと思われる。欠点としては「委員会の中でインセンティブの対立」をあげている。各委員の考え方が異なることは利点にもなり、ひとつのまとまった意見に持っていこうとする際には欠点ともなりうる。

したがって、異なる意見をもつ人々からなる金融政策委員会の議長は、委員たちの意見を調整し、コンセンサスへの到達を目指して意見を集約していきます。最近のアラン・ブラインダー教授の著作に、グリーンスパン議長が「鉄拳ではなく、ビロードの手袋で」FOMCの議事運営をしている、という記述があります。この記述は、各委員の持つ多様なインセンティブを発散しないように処理していくという議長の微妙な役割を示しています。

発散しそうなインセンティブをまとげあげていく方法として、米FRBグリーンスパン議長の「ビロードの手袋」をあげているように、福井総裁にとって金融政策を進めていく上ではかなりグリーンスパン議長を意識していることがここからも読み取れる。「ビロードの手袋」とは市場にやさしい金融政策といったところであろうか。

私自身は、日本銀行政策委員会議長としていくつかのことを心に留めています。第一に心にとめている点は、反論や少数意見を歓迎することです。そうした意見は最終的には良い決定に貢献するものだからです。第二に、私の姿勢が議論にあまりに大きな影響を与えないようにすることです。政策委員会内部の仕事振りを垣間見ていただくとすれば、私が最初に意見陳述するのではなく、まず他の委員方に論点を出していただき、それらについての意見表明をお願いしている姿をお目にかけることになるでしょう。

少数意見が時を置いていずれ決定事項となるケースはこれまでも多かった。ただこれは日銀の当座預金残高目標の引き下げを求める小数意見を意識したものを示すというのは、やや穿った見方であろうか。まず他の委員に論点を出していただき、という点を見ても4月5日、6日の金融政策決定会合で総裁が自ら当預目標引き下げに言及はしていなかったことがわかる。


2005.5.31「ポッドキャスティング」

以前に「ポッドキャスティング」をご紹介したことがあったかと思うが、それがさらに普及する兆しが海外で出てきている。ポッドキャスティングとは、専用のソフトをパソコンにインストールして、好きなネットラジオ局を登録しておくと、放送が更新された時に自動的にパソコンに音声ファイル(MP3など)をダウンロードしてくれ、それをiPodなどのポータブルMP3プレーヤーに転送して聞くことができるというものである。

これまでは個人による配信が多かったものの、英国ではBCCが無料配信を拡大しており、今度は米国でもABCやNBCがポッドキャスティングに参入しニュース番組を配信するそうである。日本でもご存知のようにiPodを主体に急速にポータブルMP3プレーヤーが普及している。まだ普及率はMDなどの方が高いようだが、それを抜き去るのも時間の問題であると見られている。

IT関連のものは、まず欧米で生まれ、ある程度広がりが進むと日本でも一気に広まってくることが多い。ブログなどが好例であろう。「ポッドキャスティング」のサービスが日本の大手メディアで開始されるのも時間の問題かと思われる。コンテンツ次第ではいろいろと面白いことも可能となるのではなかろうか。BCCやABC、NBCのニュースなどは英会話の教材としても使える。iPodを持っている方で興味ある方は、一度「ポッドキャスティング」を検索されてみてはいかがであろうか。


2005.5.30「ドラゴン桜」

最近、気になっていたコミック「ドラゴン桜」をやっと見ることができた。最近やや時代の流れに遅れつつあるように感じるのはやはり歳のせいか。は、ともかく予想以上に面白い。絵だけ見ると敬遠しそうだが、内容が面白いのである。ワルに埋もれ破産に追い込まれていた高校を立て直すために、偏差値30程度の学生を1年で東大に合格させるという一見ハチャメチャながらも、その方法が「もしかするとありえるかも」と思わせるものである。

受験勉強を経験したことがある人にとっては頷ける場面も多いのではなかろうか。教科書重視、皆が敬遠する教科に力を注ぐ、基本は国語能力、今流行の論理力を重視、英語はビートルズで覚える等々。このコミックが学習参考書のコーナーに置かれているというのもわかる気がする。

もちろん、これで東大に合格できるほど世の中甘くはないと思うが、人生を楽しむには勉強したほうが良いという姿勢は共感されるのではなかろうか。私自身、最近のコミックはほとんど読んでいないが、勉強するやつは敵みたいなものが多いような気がする。もしくは、魔法や忍術といった現実逃避に近いものが多いように感じる。そんな中にあってのこの本はまさに異色といえる。ホリエモンも推薦しているようだが、気になる方はご一読あれ。


2005.5.30「英国50年国債入札はやや不調」

26日に実施された50年スーパーロング・ギルト(英国50年国債)入札は投資家のニーズに乏しく、結果はやや不調となったようである。オランダ年金が規制の強化導入を先延ばしにするとの噂や、ドイツがまもなく連邦債50年物を発行する可能性が高まったといった噂も加わり、英国50年国債入札不調もあり、先週末の欧州債は前日に続きスティープニング圧力が強まったようである。


2005.5.27「4月5日、6日日銀金融政策決定会合議事要旨より」

25日に4月5日、6日日銀金融政策決定会合議事要旨が発表された。当日引け後の「牛さん熊さんの本日の債券」では次のようにコメントさせていただいた。
熊「その日銀の4月5日、6日の金融政策決定会合議事要旨が発表された」
牛「やはり反対したのは福間委員やったな」
熊「その他に2人もしくは3人の委員が目標値引き下げに言及しているようにも」
牛「そのうちの一人は、債券市場においては、といった言及もあり」
熊「どの委員だか想像がついてしまうような」
牛「しかし、もし4人となると福間委員、須田委員、水野委員にもう一人?」

このときの会合で、これまで全員一致の原則が崩れ一人の審議委員が反対票を投じたことが伝えられた。4月6日のブルームバーグテレビにて、私はその委員は福間委員ではないかとコメントさせていただいていたが、やはり反対したのは福間委員であったことがこの議事要旨からも伺えた。ただ、ひとつ気になったのが、目標値引き下げに言及していた委員があと3人いたということである。

「ひとりの委員は、当座預金残高目標を減額し、「27〜32兆円程度」とすることが適当であるとの見解を示した。この委員は、その理由として、(1)これまでの当座預金残高目標の引き上げは、金融機関の流動性リスクに対する不安感が高まったことに対処するため、金融市場の安定確保を直接の理由として行った緊急避難的な措置であったが、ペイオフ全面解禁が円滑に実施されたことは、銀行の流動性リスクが大幅に低下し、金融システムが健全化・安定化したことを示すものと考えられること、(2)そうしたもとでは、コミットメントに沿って量的緩和政策の枠組みを維持し、デフレからの脱却を図るというこれまでのスタンスは不変としつつ、緊急避難的措置として引き上げてきた当座預金残高について減額を行い、長い目でみた金融政策正常化への方向性を明確にすることが適当であること、(3)金融環境が大幅に改善し、ペイオフ全面解禁が実施された後も、現行の「30〜35兆円程度」という当座預金残高目標値を据え置けば、市場機能の回復の妨げとなるほか、将来的な金融規律の低下、ひいては中央銀行に対する信認の低下に繋がる潜在的なリスクがあると考えられること、を指摘した。」

上記は反対票を投じた福間氏のコメントであることは間違いないものと思われるが、このあとに下記のコメントが続いていたのである。

「何人かの委員は、先行きの調節運営について見解を示した。ある委員は、今後、金融機関の流動性需要が一段と減少する可能性があるが、こうした状況において市場機能を毀損することなく「30〜35兆円程度」という現状の目標値の達成が可能かどうかを検証したうえで、必要に応じて当座預金残高引き下げを含めた対応を考える必要があると述べた。」

福間委員はこの日「日本銀行当座預金残高が27〜32兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」との議案を提出しており、上記の「現状の目標値の達成が可能かどうかを検証したうえで」との表現など見ると、これは福間委員の発言ではないものと思われる。

「別の委員も、現行の当座預金残高目標の維持が難しくなる場合には、デフレ克服にマイナスの影響が生じないことを確認しながら、残高目標を減額することも一つの選択肢として考えられるとの認識を示した。」

上記も福間委員以外の委員からの発言であることは間違いない。これで福間委員に加えて2人、都合3人。そしてもう一人の委員が下記コメントをしていたのである。

「さらに別の委員は、金融システムが危機管理モードから平常モードに移行したもとでは、短期金融市場の機能を回復し、政策対応能力を確保する観点から、量的緩和政策の枠組みを維持しながら当座預金残高目標を段階的に引き下げることも、将来的には検討課題となり得るとの見方を示した。この委員は、債券市場においては、当座預金残高目標が早晩引き下げられることを織り込みつつあるように見受けられると付け加えた。」

ここで注意すべきは、「債券市場においては」という部分である。織込みつつあるとこの場で明言できるのは債券相場に精通した人でなければ難しい。この発言は債券ストラテジストであった水野委員であることはほぼ間違いないものと見られる。

それでは、残りの2人は誰であろう。一人はこれまでの発言などから須田委員であることは間違いなさそう。もうひとりを巡ってはいくつか憶測も出たが、結局、やや中間派とも見られていた春委員のコメントではないかとの観測が強まった。総裁、副総裁2人がこの場で預金残高目標の引き下げに言及するとは考えられず、また中原委員は預金残高目標の引き下げには反対の立場をとっており、この会合が最後であった植田委員もかなり慎重な立場をとっていたため、結局、春委員ではないかとの見方となった。

「この間、ある委員は、強力な金融緩和策を維持することによって将来インフレや資産価格の過度な上昇が生じる可能性は否定できないが、現時点では、依然として物価下落率が拡大した場合のコストの方が大きい、と述べた。さらに、この委員は、資金余剰感の強まりを背景に金融機関が余剰資金の運用に苦慮していることは事実であるが、こうした状況は、金融機関が必要とする以上の流動性を供給することを通じて金融機関行動に働きかけるという観点からは、量的緩和政策の本来の効果が発揮されてきたものとみることも可能であるとして、当座預金残高目標の削減に対して否定的な見方を示した。」

「別の委員も、景気が踊り場にあり、先行きの回復力についても不確実性が伴う状況においては、現行の当座預金残高を維持し、金融政策面から景気回復を後押しすることが必要であるとの考えを述べた。」

上記コメントのうち、最初が植田委員、次が中原委員のコメントと思われる。

そしてまた、ひとりの委員からは3条件の見直しの可能性についてのコメントもあったが、これはこれまでの発言から見て水野委員のコメントであると推測される。

以上のように、当座預金残高目標の引き下げについて前向きとみられる発言をした委員が4人に増えていた。これは私にとっても想定外(?)であった。

次の4月28日の会合からは植田委員に代わって西村委員が出席している。モルヒネ論を出すまでもなく西村委員は植田審議委員ほど当座預金残高目標の引き下げについて慎重とは思えない。

当座預金残高目標の引き下げは、最終的には福井総裁の決断ひとつともなると思われる。岩田副総裁も反対派とも見られているが、もし総裁が決断した際には執行部の3人は同じ票を投じる可能性が高いとみられ、その際には西村委員も賛成する可能性が高い。審議委員の票という側面からは、当座預金残高目標の引き下げは十分可能な状況になりつつある。ただ、だからといって容易に引き下げられるかといえば、さすがに谷垣財務大臣のコメントを持ち出すまでもなく、超えるべきハードルも高そうではあるが。


2005.5.27「三笠」

私の生まれは横須賀市の田浦というところであった。小さいころは遠足などで良く三笠公園に行った。岸壁に固定された戦艦の中に入れるということで、幼稚園時代などわくわくして入ったものの、何故か妙に古めかしいなと思った記憶が残っている。たぶん戦艦大和とか同じものとして考えていたものと思われる。その戦艦三笠が日露戦争の日本海海戦の旗艦であったことを知ったのはそれからずいぶんあとになってからのことであった。

今日がその日本海海戦からちょうど100年目にあたるそうである。三笠公園でも記念式典が開かれたとか。日本海海戦における「本日天気晴朗なれども波高し」の秋山参謀の名文やZ旗といったものも何故か私の頭にも染み付いている。「坂の上の雲」などを読むまでもなく、この会戦の勝利は日本人に強烈な自信を与えることとなった。しかし、それが結局、その後の太平洋戦争にまで突き進んでしまった大きな要因にもなったものと思われる。

軍部の独走といったイメージも抱きかねない太平洋戦争も、国民の意識そのものが、そのような流れに向けてしまったものとも言えるのではなかろうか。比較対照として適切かどうかわからないが、バブル時の熱狂にも似たようなものを感じる。何か間違っているような気がするものの、誰も止めようとしない。その流れに乗らないとせっかくのチャンスに置いておかれてしまうというあせりや懸念が先に出てしまい自らもその流れに乗ろうとする。しかし、最後には悲惨な結果が待ち受けているのである。

フィリピンのミンダナオ島では旧日本兵が少なくとも2人生存しているとのニュースも飛び込んできた。戦後60年もたってもまだあの戦争は終わっていなかった。日本海海戦から太平洋戦争への過程の悲劇といったものは、我々自身もしっかり認識して置くべき歴史であると思う。

まだ子供たちには三笠艦を見せたことがない。この機会に久しぶりに三笠に乗ってみたいと思う。そしてこの艦の活躍とともにその後の歴史についても話してやりたいと思う。


2005.5.26「地震雲」

5月27日前後に南関東地方にマグニチュード7クラスの地震が発生するのではとの民間予測(予言?)が流れているようである。昨日から今朝にかけて地震雲らしきものを観測したとの報告もある。この手の予言はほとんど受け流すのだが、これが東京株式市場の売り要因になったとの観測すらあったようで、とりあえず押さえておく必要も(?)。なにはともあれ、いつかは来る大地震。その対策はしっかり立てておく必要があるのも確か。まずは飲料水・食料やスニーカー、場合によってヘルメットや軍手、ラジオといったものは身近に置いておきたい。


2005.5.25「福井総裁の記者会見」

20日に行われた福井総裁の記者会見要旨を見ると、福井日銀総裁が怒り心頭に発していたのではないかとも受け取れるものとなっていた。内容の分析はさておき、記者からかなりしつこい質問を受けていたように思われる。

総裁の答えの部分に次のようなものが見られた。「副作用について最近考え始めたとおっしゃったのは大変心外である」「恒常的という言葉をお使いになって、どういうことをイメージしておられるのか私には伝わらないところがあるので正確にはお答えできない」「仮定の問題に対してコメントをすることはできない」「期間の短いオペに比べてより長いオペをやったからといって、とことんになったと理解されるほど、記者の皆さんは市場の取材者としてアマチュアではないと私は理解している」「最後のご質問に対する答えについては、私にはまったくわからない」「そういう理解では困る」等等。

質問の内容についても同じようなものが繰り返されていたようにも感じ、なかには誘導質問にも見えなくもないようなものもあった。また「人民元高の観測が出てくるとなぜ円高方向になりやすいのか、どのように分析したらよいか」といった日銀総裁に質問すべきものとは思われないようなものまで出ている始末である。

日銀のホームページへのアップの時間が普段よりも遅れていたようにも感じたが、もしかすると過激な部分をカットしたり和らげるような内容に修正することも検討していたのではないかとも思えてしまう。

一般紙などの報道を見る限り、今回の日銀の動きについては比較的好意的に捉えているものが多く、マーケットを見ても冷静に受け止めている。日銀の今回の動きに対して賛意を示している者ばかりではないこともわかるが、だからといって記者会見の場を険悪なムードにしてしまうようなことは避けるべきではないかとも思う。もちろんその場にいなかったため、どのような状況にあったのかは要旨から判断せざるを得なく、私の見方が違っているのかもしれないが。


2005.5.24「戦後初ドル建てドイツ国債」

本日、戦後初のドル建てによるドイツ国債の売り出される。期間は5年(償還日2010年6月1日)で、発行額は少なくとも50億ドル以上が予想されるなど、かなりの人気を集めているようである。ドイツ財務省は今年下半期にインフレ連動債の発行も検討しているようであり、また50年債の発行についても検討中とのようであるが、市場では50年債発行にはそれほど強い意欲も感じられないため発行は来年以降となるのではとの見方が強いようである。


2005.5.23「暗黙知と形式知」

今朝の新聞を読んでふと目にとまった言葉があった。「暗黙知」である。何を今更とか、知らなかったのかとのご指摘を受けそうだが、漠然とは意味を理解していたとは言え、それが具体的にどのようなことを示すのかは知らなかった。

暗黙知とは、マイケル・ポランニー(Michael Polanyi)によって提示された概念だそうで、「知識のうち、勘や直観、個人的洞察、経験に基づくノウハウのことで、言語・数式・図表で表現できない主観的・身体的な知」のこと。たとえば、自転車に乗ることができても、どのようにすれば乗れるようになるかを説明することはむずかしい。それが暗黙知である。「職人技」といったものも含まれる。

「暗黙知」に対するものとして「形式知」がある。これは、客観的にとらえることができ、言葉や構造をもって説明、表現できる知識のことだそうである。

市場のリスクを捉えるには「暗黙知」が必要となる。しかしリスク管理は「形式知」の元で行われることが多いため、結果としてリスクをむしろ高めてしまう結果にもなりかねない。たとえば2003年6月の債券の急落要因のひとつとして、バリュー・アット・リスクというリスク管理手法があげられていた。

市場での価格が人間心理の集合体として形成されているため、それを「形式知」で捉えることに無理がある。「暗黙知」をうまく利用すればリスクを押さえ込むことも、また利益を揚げることも可能となる。サラリーマン部長が長者番付1位となったそうだが、これも「暗黙知」によるものであろう。


2005.5.23「向きを変えた日銀」

20日の日銀金融政策決定会合において、「資金供給に対する金融機関の応札状況などから資金需要が極めて弱いと判断される場合には、上記目標を下回ることがありうるものとする」となお書きが修正された。このなお書き修正は、日銀が止まったまま金融政策の向きを180度変えてきたことを示すものと思われる。

今回、当座預金残高目標引き下げ自体は見送られたものの、今後の状況次第ではその可能性もありうる。そうなると向きを変えた上、一歩前進することとなる。

13日の経済同友会会員懇談会における講演において、福井日本銀行総裁は日銀当座預金残高の目標値の引き下げに意欲を示した。

「金融経済情勢は改善傾向にあり、量的緩和政策の枠組みは、景気が回復に向かえば向かうほど、サポートする力も強くなり、この場合、量の効果との比較では、約束の効果の方に徐々にウエイトが移ってくる」と福井総裁はコメントした。

日銀の当座預金残高目標値の引き下げが仮に議長提案されれば、総裁・副総裁の執行部の3名に加え、これまで下限引き下げに同意を示していた福間、須田、水野審議委員が加わり、少なくとも6名以上の賛成多数により可決される可能性が高い。

あとはタイミングの問題となってきたと思われる。CPIが水面下に止まる中、目標値の引き下げは技術的なものとはいえ、量的緩和解除の第一歩と見なされよう。当座預金残高目標値の引き下げをどのようにマーケットに織込ませていくのか。ここからが福井総裁の手腕の見せ所とも言える。ひとつ間違うとゼロ金利解除時のゴタゴタの二の舞になる恐れもある。本来ならば量的緩和解除の環境が整ったのち、解除とともに当座預金残高を引き下げる方が筋ではないかとも個人的には思うが、目標値の変更を先に実施するならば、それなりの下地作りは必要となろう。


2005.5.20「なお書きを変更、当預の一時的なレンジ割れを容認」

日銀は本日の金融政策決定会合において、 「資金供給に対する金融機関の応札状況などから資金需要が極めて弱いと判断される場合には、上記目標を下回ることがありうるものとする。」として、事前に予想されたように、なお書きを変更した。 また、国債現先オペ等の資格要件、国債・資金決済を委託した金融機関も対象とするようである。

また、当座預金残高が30〜35兆円程度となるよう金融市場調節を行うということに対しては7対2の賛成多数で可決されたようであるが、当座預金残高を27−32兆円に引き下げる提案も出されていたようでそれについては2対7で否決されたようである。

これを受けて谷垣財務相は「緩和解除への第一歩とは思っていない、それなら容認できない」とのコメントをした。これまでの発言内容からも、「なお書きを変更」ならば容認する姿勢を事前に示していたものとも思われる。

今回の日銀の動きについては、批判的な意見もあろう。しかし、金融政策というものはある程度フレキシブルな対応も必要になる。筋論とかそもそも論もあろうが、マーケットいや経済自体生き物であり、現状最も適切だと思われる判断が望まれるし、それをこういったかたちで福井総裁は決断したものと思われる。

今回の決定は短期金融市場、債券市場、株式市場、為替市場に与える影響も軽微であった。これを見ても、講演などでの日銀首脳の発言やマスコミなどを通じて金融政策を事前にマーケットに浸透させるという手段は効を奏したとも思われる。


2005.5.20「英国50年国債続報」

17日に英国で26日に入札される50年債の発行額は25億ポンド、表面利率が4.25%と発表されたようである。ドイツでは財務省が、市場環境が整えば、2005年4-6月期中に「ドル建て国債」を発行する計画があることを発表している。しかし、そろそろ5月も下旬に差し掛かるが、まだ具体的な発表はないようである。また、同省は今年下半期にインフレ連動債の発行も検討しているとか。ドイツでの50年債の発行についても検討中とのようであるが、市場では来年以降となるのではとの見方が強いようである。


2005.5.19「国債に係る海外説明会(第2回)の開催」

第2回国債に係る海外説明会が今回はアジアで開催されている。昨日19日には香港で、明日20日はシンガポールで開催される。

本日の読売新聞の社説は、「国債の国際化、“内弁慶”是正にもリスクがある」というものであった。この中で、海外投資家は、利にさとく、わずかなきっかけで売買に動く傾向が強いとあったが、これは主にヘッジファンドなどを指しているものと思われる。海外投資家が増加すれば、国債管理はこれまで以上に難しくなるのは確実だ、ともあるが、そういった側面もあることは事実ながら、海外の投資家はヘッジファンドばかりではなく、ある程度安定した投資家ともいえる年金なども存在する。このようにできるだけ安定した投資家層の保有比率を引き上げる必要もあろう。

そのためには、海外投資家が保有しやすいような環境整備に加えて、日本国債への海外投資家からの信頼性を高めていく努力も必要になろう。今回の説明会もだいぶ活況のようであり、海外投資投資家による日本国債への関心も高いようであるが、財政再建も含めて「日本国債は危なくない」と認識される努力も今後も続けていくことが重要だと思われる。


2005.5.18「日銀シリーズ第三弾?」

13日の経済同友会会員懇談会における講演において、日銀の福井総裁は「経済全体としてデフレ・スパイラルに陥るリスクが強く意識される中にあっては、約束の効果よりも、流動性不安を鎮めることを通じる量の効果の方が大きかったが、その後、金融経済情勢は改善傾向にあり、量的緩和政策の枠組みは、景気が回復に向かえば向かうほど、サポートする力も強くなり、この場合、量の効果との比較では、約束の効果の方に徐々にウエイトが移ってくる」と、日銀の当座預金残高の引き下げについて含みを持たせるコメントをした。

武藤副総裁も17日の衆院財務金融委員会において、当座預金残高目標の引き下げについて「あくまで量的緩和を円滑に遂行するためにどうしたらいいかという観点からの議論」とコメントした。加えて谷垣財務相も「日銀、緩和的金融環境維持のため力尽くしてほしい」とコメントしていたが、これは緩和的金融環境維持との表現を使ったことで技術的な引き下げは容認ともとれる。そして、「日銀は基本的には適切な判断されると期待」と18日に細田官房長官が発言している。「基本的には」という部分に注意したい。以上の発言等により、今週19日から20日にかけて開かれる日銀の金融政策決定会合において何かしらの動きが出てくる可能性が高まった。

大幅な資金不足が6月1日、2日をピークに5月25日以降続くこともあり、そこを乗り切るため、当座預金残高の目標値引き下げを含めてなにかしらの変更の可能性は否定できない。ただし、目標値の引き下げは量的緩和解除に向けての第一歩との捉え方をされる懸念もあり、17日に発表された1〜3月期のGDPが予想を上回るものとはなったものの、この日、日経平均が大きく下げていたことなどから、現環境下での目標値の引き下げはリスクも高いものと見られる。

このため、20日における技術的な当座預金残高目標の引き下げの可能性は少なく、むしろ日経が報じているように、一時的に下限を割り込むことを容認するといったなお書きの変更の可能性が高くなってきた。

ただし、今回の会合で目標値の引き下げ自体は見送られるとしても、今後も日銀はそれに向けての下地作りは進められていくものと思われる。時間をかけて、マーケットや政府、財務省などに下限変更の理解を求めていくものと思われる。

ただし、6月初旬の大幅な資金不足日を乗り越えれば、12月の大幅な資金不足期まで現在の目標値を維持することは可能と見られているが、10月のメガバンクの統合時期にも注意したい。


2005.5.17「高いGDPを受け日銀は動くのか」

本日発表された1〜3月期実質GDPは前期比+1.3%、年率+5.3%となり市場予測を大幅に上回った。予想以上に個人消費など内需の伸びが高かったことに加え、台風や地震など自然災害により消費が減少した10-12月の反動と言う面も大きかったものと思われる。

GDPを受け谷垣財務相は「依然として緩やかなデフレ状況が続いている」、「日銀、緩和的金融環境維持のため力尽くしてほしい」と日銀の動きに対してやんわりと牽制球を投げてきた。

日銀にとり今回のGDPの高い伸びは、日銀当座預金残高目標値の引き下げにとっては結果としてはフォローの材料となる。もちろん当預下限引き下げは技術的な対応ながらも、「量的緩和政策の枠組みは、景気が回復に向かえば向かうほど、サポートする力も強くなります。この場合、量の効果との比較では、約束の効果の方に徐々にウエイトが移って来ます。」と先日の講演で福井総裁がコメントしているように、量のウエイトから約束へのウエイトがさらに高まるともいえるためである。

それでは、20日の会合で、果たして下限変更が議長提案されるのかどうかと言えば、まだその可能性は低いとも見ている。しかし、NHKや読売新聞などを含めたマスコミが「下限変更を検討か」と報じている点がやや気がかりでもある。マスコミを通じた下地作りとも見えなくもないためである。

今回、下限引き下げもしくは上限も含めた引き下げが、仮に議長提案されれば賛成多数(8対1?)で可決される可能性が強い。しかし、さすがに今回、議長提案は見送られるものと見ている。


2005.5.16「19−20日の会合で当預残引き下げの可能性はあるのか」

経済同友会会員懇談会における講演において、福井日本銀行総裁は日銀当座預金残高の目標値の引き下げに意欲を示した。

経済全体としてデフレ・スパイラルに陥るリスクが強く意識される中にあっては、「約束」の効果<いわゆる「時間軸」効果>よりも、流動性不安を鎮めることを通じる「量」の効果の方が大きかったが、その後、金融経済情勢は改善傾向にあり、量的緩和政策の枠組みは、景気が回復に向かえば向かうほど、サポートする力も強くなり、この場合、「量」の効果との比較では、「約束」の効果の方に徐々にウエイトが移って来くる、と総裁はコメントしている。

この政策を取り巻く市場の状況は、金融システムの健全化が進み、金融システムに対する不安感が後退する中で、最近とみに変化して来ている。金融機関の流動性需要が減少していることから、日本銀行の資金供給オペレーションに対するニーズが低下し、最近では「札割れ」現象がしばしば発生している。

しかし同時に、その分日本銀行の資金供給が難しくなっている面はあり、政策委員会でも、現在のような高い当座預金残高目標をこのまま維持することの是非をめぐり議論が展開されている。ただ、これはあくまでも、金融機関の流動性需要や金融市場の状況が変化している実情に即して、量的緩和の枠組みを堅持して行くためにはどのような対応が適当なのか、という観点に立って行われている議論である。

上記は日銀の経済同友会会員懇談会における福井日本銀行総裁講演要旨から一部抜粋させていただいたものであるが、量的緩和の枠組みの中での、高い当座預金残高目標の引き下げの議論について肯定的な発言をしている。

5月19日から20日にかけて日銀の金融政策決定会合が開催される。この総裁のコメントを受けて、早ければ20日にも当座預金残高目標の引き下げがあるのではないかとの見方が出てきている。

17日にはプラス成長が期待される1-3月期の実質GDP(前期比年率+2.5%予想)の発表を受けての会合ということや、大幅な資金不足が6月1日、2日をピークに5月25日以降続くこともあり、その可能性は否定できない。むしろ6月2日を乗り切れば、現状の当座預金残高目標を続けることは可能とも見られ、12月までは無理に引き下げをする必要もなくなるともいえる。ただし、6月1日、2日で目標残高が結果として維持できず、これを要因としての6月14日、15日の決定会合で目標引き下げといった可能性もある。

しかし、短期金融市場や債券市場関係者からの理解を得られても、政府や財務省、財界、そしてマスコミなどの理解が得られるかどうかは何とも言えない。今回、総裁にとっても気心の知れた経済同友会だからこそ理解も求めやすいという面もあったと思われるが、あくまで、まだ下地作りの段階ともいえるのではなかろうか。

特に政府については、現状、郵政民営化で手一杯といった感もあり、このタイミングで首相や、金融政策にコメントすることも多い竹中大臣などの了承を得ることができるかどうかもわからない。もちろん、了承が必要なものというわけではないが、日銀としても政府との軋轢は避けたいとも思われる。

以上のことから、20日における技術的な当座預金残高目標の引き下げの可能性はないとは言えないもののかなり薄いのではあるまいかと思う。


2005.5.16「4月のCGPI」

4月の企業物価指数(CGPI)は、前年同月比1.8%上昇となり、14か月連続で前年同月を上回った。前月比では0.6%と大幅上昇となった。原油価格の上昇などが要因となったようである。


2005.5.13「3月機械受注は前月比プラス1.9%」

3月機械受注は前月比プラス1.9%と発表された。これにより1-3月はプラス0.7%となりしっかりした数値となった。また2004年度製造業は2年連続2桁増となり、これは16年ぶりだそうである。4-6月見通しはマイナスの3.1%と発表されたが、懸念されるほどの落ち込みとは言えず、内閣府も機械受注は持ち直しているとコメントしている。


2005.5.12「米30年国債再発行か?」(レポート原稿より)

米財務省が30年物国債の発行再開の可能性を示した。米国の30年国債は2001年10月に発行が停止されていたが、米財務省の発表によると、同債券の発行の有無は8月3 日のリファンディング時に公表され、発行再開が決まった場合は来年2月以降に新発債の形で発行されるようである。

グリーンスパン米FRB議長は、世界的なイールドカーブの急激なフラットニングについて、以前「conundrum(謎)」と表現した。しかし最近では長期金利をとりまく国際環境は、『複雑かつ拡大』しているとした上で、「インフレ期待の後退が、実質長期金利低下の小さくない要因となっている」との認識を示していた。謎から今度は複雑との表現に変っていた。

昨年末にかけての世界的なイールドカーブのフラットニングは、もちろんグリーンスパン米FRB議長が指摘したように、インフレ期待の後退といった要因もあったが、それ以上に欧米の年金の制度改革といった要因が大きかったものと思われる。

オランダにおける年金基金の制度改正や、米国の年金改革などにより、資産と負債のミスマッチ修正のために、欧米の年金は債券の中でも特に長い期間の債券をいずれ大量に買わざるを得なくなる。昨年末にかけて欧米の債券市場でイールドカーブのフラットニング圧力が強まり、世界最大の国債発行をしているわが国の超長期ゾーンにも欧米などから買いが入ってきたのはこのためであった。ただこの買いには先回り的なものも多く、投機的な動きも見られたことで、急激なフラットニングは今年に入って収まってきている。

しかし、欧米の年金の制度改革はこれからが本番である。投機的な動きは修正されながらも、超長期債には年金からの実需の買いが今後大量に控えているものと思われる。超長期ゾーンは好需給になってくることは変わりない。

すでにフランスなどでは50年国債の発行が開始されており、イタリアでも今月に発行される見込みとなっている。このため、米国でも投資家による償還期間の長い国債へのニーズを意識しての30年国債の発行を検討したものと考えられる(米財務省は否定しているようだが)。もちろん財政赤字拡大を意識した財政上の要因といった面も否定できないことも確かであろう。また、30年までの適切なイールドカーブを形成させるため30年債の発行再開を望む声も強いようである。

グリーンスパン米FRB議長の、謎から複雑との表現の変更は、この30年国債の再発行によって、謎の一部が解き明かされるというか、解決されることを意識したものかもしれない。


2005.5.11「50年国債その後」

2月にフランスで50年国債が発行されたが、今月26日にはイギリスでも50年国債入札が実施され、イタリアでも50年国債が発行される予定となっている。ドイツも発行が検討されているようだが、ドイツでの発行の可能性はやや低くなっているとも見られている。むしろ、ドイツでは初めてのドル建ての国債が今年発行される見込みとなっており、そちらに力を注いでいるのではないかと見られている。米国では30年国債が再発行される可能性が出てきているが、これは年金などの投資家ニーズとともに業者にとっても適切な30年までのイールドカーブ形成のために発行を望む声も強いようである。このため再発行の可能性は高いのではないかとも思われる。


2005.5.9「3月15−16日日銀金融政策決定会合議事要旨より」

8日に3月15−16日に開かれた日銀金融政策決定会合の議事要旨が発表された。このなかで2人の審議委員が日銀の当座預金残高目標値の引き下げに前向きの姿勢を示していたこと。

「ある委員は、約束に従って量的緩和政策の枠組みを堅持した上で当座預金残高目標の見直しを行うことに関しては、市場や国民の理解は得られつつあるとの見方を示した。」

「また、別の委員は、金融市場の動向によっては、現在の当座預金残高目標の維持が難しくなる可能性があるとした上で、その場合には、デフレ克服にマイナスの影響が生じないことに理解を得ながら、残高目標を減額することも一つの選択肢として考えられるとの認識を示した。」

最初の発言は福間委員と思われ、別の委員し須田委員ではないかとの観測である。ただ、水野審議委員もこれまでの発言などから同様の認識を示していると思われ、少なくとも審議委員のうち3名が日銀の当座預金残高目標値の引き下げに前向きの姿勢を示してきているものと予想される。

ただし、「残高目標の減額は市場の期待形成を撹乱する要因となり」との懸念を示している委員もおり、「量的緩和政策の効果について、その継続のコミットメントがゼロ金利のもとで物価安定のアンカーを提供する効果を有しているほか、当座預金残高の大きさはゼロ金利の効果をさらに補強するものである」と、これはたぶん福井総裁のコメントと見られ、この議事要旨をもって日銀の当座預金残高目標値の引き下げの可能性が強まっているとはいえない。

やはり総裁と副総裁2名の執行部3名が当座預金残高目標値の引き下げに積極的にならない限りは、賛成多数ながら現状維持が続けられるものと思われる。

そして、ある委員は次のようなコメントをしていた。

「金融政策運営に関する最近の対外情報発信に関して、市場の一部には混乱を招いたとの評価もみられるとした上で、今後は細心の注意と節度をもって臨む必要があると述べた。」

あまり頑固一徹でも非難され、かといってフレキシブルでも批判を受けてしまう。首尾一貫としたコメントというのも難しいことも確かである。とりあえず某国議長のようにカリスマ性を帯びれば多少、混乱を招くような発言も神様のコメントとして許されてしまうのかもしれない。しかし、謎とか複雑とかのコメントがあったが、何を言いたいのであろうかという疑問もないわけではないが。


2005.5.8「フィッチ、日本のソブリン格付けアウトルックをネガティブから安定的に」

米英系の格付け機関のフィッチ・レーティングスは、日本のソブリン格付けのアウトルックをネガティブから安定的に変更すると発表した。すでに2004年3月24日に、米大手格付け会社のS&Pは日本の経済成長見通しが名目・実質ともに改善しているためとの理由から、日本のアウトルックを「ネガティブ」から「安定的」に変更しており、今回の発表による相場への影響はほとんどなかった。


2005.5.8「謎から複雑へ後退?」

グリーンスパン米連邦準備理事会議長は、シカゴ地区連銀主催の会合において、聴衆の質問に応じ、2月の議会証言で低水準の長期金利を「謎」と表現したことについて、別の言葉を使えばよかった、と冗談まじりに発言したようである。

また「長期実質金利の低さは非常に際立っており、何か重要なことが起きていることを示唆している。これは米国だけの現象ではなく、明らかにほぼ世界中で起きているからだ」と指摘。長期金利をとりまく国際環境は、『複雑かつ拡大』しているとした上で、「インフレ期待の後退が、実質長期金利低下の小さくない要因となっている」との認識を示したようである(ロイターの報道より)。

世界中の長期金利の低さについては当然ながら日本の長期金利も含まれているものと思われる。謎というのは理解不能とも取れるが、複雑というのはある程度要因は限定されるものの、その要因が絡み合っているため直接の原因は特定できないと指摘しているものと思われる。

グリーンスパン議長をして「謎」とか「複雑」と言わしめる実質長期金利の低さが解消されるには、この謎を解きながら複雑に絡み合っている要因がひとつひとつ解消されなければならない。日本の中央銀行総裁もその複雑性と向かい合っているものと思われる。


2005.5.6「米30年国債発行再開か」

米財務省が30年物国債の発行再開の可能性を示したようである。米国の30年国債は2001年10月に発行が停止されていた。同債券の発行の有無は8月3日のリファンディング時に公表される見込み。発行再開が決まった場合は来年2月以降に新発債の形で発行される可能性が高いようである。

米国財務省の発表の内容 http://www.ustreas.gov/press/releases/js2420.htm

Thirty-Year Nominal Issuance

Treasury is considering whether or not to reintroduce regular issuance of a 30-year nominal Treasury bond. A decision on 30-year nominal issuance will be announced at the August 2005 refunding on August 3, 2005.

We will examine if we have the flexibility to issue 30-year bonds while maintaining deep and liquid markets in our other securities and determine if nominal bond issuance is cost effective.

There are two possible outcomes:
*No change in current policy; or
*Semi-annual auctions of a 30-year nominal security beginning in February 2006.

We welcome comments from all market participants on this issue and will respect the confidentiality of any proprietary information received.


2005.5.2「国債清算機関(JGBCC)稼動開始」

日本国債清算機関(Japan Government Bond Clearing Corporation)が本日5月2日から稼動が開始される。JGBCCの清算業務参加主体は、証券会社・短資会社・銀行などになる。出資会社は34社となっている。

平成13年3月27日の財務省における国債市場懇談会において「清算機関の創立」が提言され、日本証券業協会において市場関係者による検討が進められていた。 日本国債清算機関(以下、JGBCC)の業務は、「セントラル・カウンター・パーティー(CCP)として、債務引受とオブリゲーションネッティングを行い、実質的にマルチラテラルネッティングを実現する」ことである。

これではやや難解とも思われるため、簡単に解説すると以下のようになる。 日本国債の決済の現状は、その取引ごとに売買の当事者間で全て1本1本日銀ネットを通じてリアルタイムで決済されている(即時グロス決済、RTGS)。その決済をJGBCCに一旦集約することによって決済を差し引き合算とし決済業務の効率化を図ろうとするものである。米国債決済におけるGSCCに相当するものと言える。これにより相対関係ではない包括的なネッティングが可能となる。

このJGBCCのもう1つの機能として債務引受がある。相対で売買する場合には、相手のクレジット管理が重要な仕事になるが、ここでJGBCCが債務を全部引き受ければ個別取引先との決済の心配がなくなる。ただし、JGBCCが負うリスクに対しては、「ネット決済ポジションの日々の時価評価とマージンコール」を非常に精密に行う必要があり、参加者は担保を入れる。担保部分で賄い切れないと国債を処分するが、その際損失が生ずれば破綻先と取引した会がこれを負担し、これでも間に合わない場合は、清算機関の利益剰余金を使い、これをも超えてしまう場合には、全メンバーでの損失負担となる。

当面は、現行の日銀ネットを使った相対決済と、このJGBCCを通じた決済が混在してのスタートとなりそうであるが、決済が今後、JGBCCに一本化されると、日本国債の流動性向上に大きく貢献するとの期待も強い。

本来ならばRTGSと清算機関は同時にスタートすべきものではあったが、日本では清算機関がやや遅れてのスタートとなった。このJGBCCの開業により日本国債の決済関係は、やっと欧米に追いつくこととなりそうである。


2005.5.2「無茶」

今日は八十八夜。八十八夜は節分や土用など雑節のひとつで、立春からかぞえて八十八日目にあたる日となる。「夏も近づく」と歌われているように夏の準備をする時期でもあり、茶摘みや苗代のもみまきなど一般に農作業の目安とされているそうである。

このお茶には栄養素が多く含まれていることはご承知の通り。リラックス効果もあり、喫茶とか3時のお茶といった言葉も残っている。人が来れば「お茶」を出してもてなす。良い日本の風習だと思う。お茶を飲みながらの雑談で身近な情報を共有できたりすることもできる。

しかし、このお茶も出さず、出したとしても苦いお茶を出すようなことを「無茶苦茶」と言う。実はこれは当て字だそうだが、今回のJR西日本での列車脱線転覆事故もまさに「無茶苦茶」と言わざるを得ない。

時間に正確すぎる日本人の気質といったものも指摘されているが、それが今回の事故を引き起こした主因ではないと思う。日本人が時間に正確すぎるため引き起こされたのならば、このような事故は頻繁に起きていてもおかしくはない。

コンピュータなどを利用して効率化を高め過密ダイヤの中でのスピードアップも可能となり、それを当然のごとく我々は利用している。JRも技術による効率化とともに安全性を高めてきた。今回の事故で主因となったのは人間による「無茶」であったのではなかろうか。

その無茶をさせるような環境が次第次第に膨らんで行き、悲惨な事故に繋がったように思う。合理化を進めたことでベテラン運転手が減ったためとも言われたが、若い運転手がこれまでいなかったわけではないはずである。若手の技量の見分け方や育て方に問題はなかったのか。効率化が図れるといってもそれにも限度がある。ダイヤ作成にも人為的な「無茶」はなかったのか。無茶が事故に繋がるというのは交通事故などでは当たり前であろう。その無茶を引き起こすのは人間なのである。


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