「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」


2005.11.30「タミフル、1000万人分を調達」

厚生労働省は新型インフルエンザの出現に備えて全国感染症主管課長会議を東京都内で開き、日本が2006年度中に調達できる抗ウイルス薬タミフルの量は1000万人分との見通しを示したと新聞各紙が伝えている。

日本でタミフルを販売している中外製薬によると、タミフル1カプセルの薬価は363.7円。1日2回服用で通常は5日分処方されるため、1人あたりの必要数は10カプセルで3637円になる。そうなると3637円の1000万人分で、仕入れ価格等はわからないが最終的な販売価格としては363億7千万円の金額が必要となる。

参考までに、インターネットによる個人輸入代行では本来の薬価の10倍近い1箱(10カプセル)3万円もの高額で取引されるケースが出ているそうで、末端価格(?)では3000億円近い金額となる。

それはともかく、米国の某国防長官が大株主のギリアド社は販売額の10%のロイヤリティーを受け取っているそうなので、厚生労働省の見通しどおりの数量を通常価格で販売されると仮定すれば、ギリアド社の受け取りは36億3700万円となる。だからどうしたと言われそうだが、トリインフルエンザ対策もたいへんだなあと。それで恩恵を蒙る人もいるのだなというお話でした。


2005.11.30「鉱工業と個人消費」

日本経済は緩やかながらも回復基調を続けている。11月29日に発表された10月の鉱工業生産速報では、生産指数が+0.6%と予想を下回ったものの、出荷指数は+1.7%と過去最高となった。さらに在庫指数は-1.7%となり、出荷増、在庫減といったトレンドが確認されたかたちとなった。企業は高い伸びを示す反面、在庫を抑制するなど慎重な姿勢であり、これは息の長い回復基調を伺わせる内容ともなっている。またこの日発表された10月の勤労者世帯家計消費は前月比+1.2%となり、個人消費もしっかりしていることを示した。


2005.11.30「たからもの」

謎の歌手「千」の「たからもの」という曲がヒットチャートを上昇中だとか。元々はUSENの無料放送GYAOのドラマがきっかけのようである。USENががんばって流していることもあろうが、メロディーと歌詞が染み入るそうである。そしてこれは、安倍なつみ主演の「たからもの」のテーマ曲だそうである。歌手の名前は、あえて伏せられているそうである。ある有名歌手だとか。

そもそも千という名前は、千と千尋の千ではなくて、このドラマの主人公の宇喜田千からきているようなので、本人が歌っていると想像されるが、謎の歌手としておいた方が話題性も高くなるのであろうか。もし、安倍なつみ以外の歌手であったら、それはそれで想定の範囲外としてさらに話題をふりまきそうではある。

ちなみに以前放映されていたテレビドラマの「エースをねらえ」の主題歌を歌っているHIROMIは主人公の岡ひろみを演じていた上戸彩が歌っていたものと思っていたら、別人であった。これは私の耳の感度の問題でもあったかもしれない。

なにはともあれ、そのうち話題性を強めてくるかもしれないので、関心ある方は、チェックしておいた方が良いかもしれない、というかもうご存知か。早速、ドラマを見てみたが、なかなか感動物というが娘を持った父親の立場として考えさせられるものでもあった。ところで、安倍なつみって誰、といった質問はご遠慮ください(?)。


2005.11.30「プリンター」

家で3年以上使っているプリンターがついに壊れてしまい、年賀状印刷のために新しいプリンターを購入。アマゾンや価格ドットコムなどのランキングやコメントなどを参考にして、キャノンのPIXUS MP500をアマゾンで購入した。ちょっとこれを秋葉原で買って、つくばエクスプレスに乗り込むことが躊躇われたこともあるが、アマゾンの価格が価格還元など加味すると思ったよりも安かったことによる。ちなみに購入価格は22980円。

念のため実物も確認とヨドバシ・アキバでもチェックした。これはコピーやスキャナー機能などもついている複合機と呼ばれるものである。小型液晶で画像が確認でき、5色の個別インクタンクを持ち1plの極小インク滴の吐出に成功し最高解像度9600*×2400dpiを実現しているとか。1枚当りのインクコストもL判フチなしで1枚あたり8円程度とコンビニなどでの写真プリントよりも割安である。

これまで使っていたプリンターでは、写真印刷をするとあっと言う間にインクがなくなってしまったが、これは300枚程度の写真印刷が可能だとヨドバシの店員も言っていた。気軽に写真印刷ができるとなれば、子供たちに頼まれてもわざわざコンビニまで行かなくてもすむ。またデジカメや携帯電話で撮影したものも、パソコンを介さずに直接印刷も可能なようである。

これだけの機能のプリンターが2万円台で買えてしまうのだから、ハイテク機器によるデフレ圧力は現在の集計方法だと過剰に加わってしまう気もする。これは価格破壊というよりも技術革新によるところが大きいはずである。

しかしハイテク機器は1年経つと本当に様変わりするものである。たとえば1年前にはほとんど見かけなかった白いイヤホンをつけた若者、いや中年も含めていたるところで見かけるといった具合に。


2005.11.29「来年度の国債買入消却に財融特会の12兆円を充当(その2)」

谷垣財務相は、財政融資資金特別会計の金利変動準備金のうちその約半分にあたる12兆円を来年度の国債の買入消却にあてる方針を明らかにした。財投改革により金利変動準備金を他の用途に活用することが可能となり、緊急特例の措置として実施することとなったのである。これは国債の償却額としては過去最高となる。

財政融資資金とは財政投融資制度改革の一貫として資金運用部が廃止され新設された資金のことである。2000 年に資金運用部資金法が財政融資資金法へ改題・改正され、また、資金運用部特別会計法も同様に財政融資資金特別会計法とされ、2001 年 4 月に施行された。そしてこの際に、財政融資資金特別会計の財務の健全性を確保するため将来の金利変動による損失の発生に備えて金利変動準備金が設けられた。これは財政融資資金特別会計において発生した利益の一部を積み立てるものである。歴史的低金利が続いていることで、高い貸付金利との利ざやが発生している。その利益に対して千分の百まで積み立てることが必要とされた。これは今後逆ザヤとなった際の損失に備えるものである。平成17年度末時点でこの金利変動準備金は23兆7千億円程度積み立てられる予想となっている。

今後は財投改革などにより、財政融資資金特別会計において資産圧縮が想定されていることもあり、今回は特会改革や国債残存抑制を図るための緊急措置として12兆円を国債整理基金に繰り入れられることとなったのである。この繰り入れは1回限りと想定されている。ちなみに、国債整理基金は国債の償還や借換を円滑に行うべく設置された基金のことであり、国債の買入消却のためには、資金を国債整理基金に繰り入れる必要がある。

この資金を利用しての国債買入のうち市中からの買入は1兆円程度を検討しているようである。債券市場への直接的な影響は限定的なものとなろう。国債整理基金への繰り入れ時期は2006年度末ごろを想定との財務省幹部によるコメントも流れた。

市中からの買入は1兆円程度となれば、残り11兆円は財政融資資金や日銀などの国債の直接引き受け分を買入れるものと見られる。財政融資資金は2004年度末現在、おおよそ40兆円あまりの国債を保有している反面、FBなどを発行して資金調達をしており、この旧運用部からの買入分は結果としては両建ての解消といった働きとなるものと思われる。また、日銀保有分を買入れた際には、その分別途日銀は新たに国債を買入れることはないとみられ、その意味でも国債市場へのインパクトは限られたものとなろう。しかし、全体の残存を減少させる動きは長い目で見て、債券市場にとって好感材料とされるものとみられる。


2005.11.28「地球寒冷化説」

1970年以降に生まれた方などは知らないと思うが、私の年代以上の方にとって地球は寒冷化し、小氷河期に向かうといったことを耳にしていた記憶があるのではなかろうか。私も小学生の頃、マンガ雑誌や科学雑誌などでそのような記事を見かけた記憶もあり、地球は寒くなると信じていた。ところがいつのまにか地球は暖かくなると方向がまったく反対になっていた。地球は寒冷化しているのか、それとも温暖化しているのか。

気温のデータをみると1940年から1970年あたりにかけては低下傾向にあった。そのために地球寒冷化説が出ていたものと思われる。ところがご存知のように、ここにきて気温が上昇傾向となり、今度は地球温暖化が叫ばれている。

地球温暖化現象の主犯はご存知、二酸化炭素と言われている。その二酸化炭素の濃度の急激が増加は1940年あたりから起きているそうである。ところがその時期に一時地球寒冷化まで叫ばれていたことを見る限り、二酸化炭素の濃度と気温の関係は相関関係から見るとどうも薄いものと思える。もちろん、素人の私が偉い学者さんに対抗しようとするわけではないが、因果関係が本当にあるのかどうか実際のところは疑わしい。地球温暖化もあくまで学説のひとつに過ぎないのではなかろうか。

このことは、株価と金利の動きの相関関係にも当てはまるのかもしれない。つまり株価が上昇しているから債券が売られ長期金利が上昇するといったことが解説されていることがある。しかし現実には株価が上昇しても債券も買われ長期金利が低下することが良くある、というか実はそれほど大きな相関関係は見当たらない。

これは株価と金利を単純に資金の流れからなどから見て、変動要因をそれぞれ株価は債券価格、債券価格は株価のみとして捉えてしまうことによることが原因である。それぞれの変動要因はひとつのみではなく、数多くあるとともにその比重も時間とともに変化するため捉えきれない。少なくとも株価が債券価格に与える影響は言われているほどは大きくはない。むしろそのときおかれたファンダメンタルなどの各種要因を捉えての市場参加者の心理といった不安定なものによって株価と債券価格は決定されている。

そうは言うものの、景気が良ければ株は買われ、金利は上がるはずではないのかとの指摘もあるかもしれない。しかし現実は今の株式市場と債券市場を見るまでもなく、そんな単純なものではない。いまの債券市場には政府VS日銀などといった一見相場とは直接的な関係がなさそうなものにまで強く影響を受けている。

結論から言えば、二酸化炭素濃度と気温の関係は、株と債券同様に、それぞれ別な要因が大きく働いていることで、因果関係を指摘するにはかなり無理があるのではないかと思われるのである。だから京都議定書がおかしいとか、環境保全に反対する気はない。地球環境を守るのは多くの生物と共存している知的生命体としての人間の義務でもあるはずである。


2005.11.25「来年度の国債買入消却、財融特会の12兆円を充当」

谷垣財務相は、財政融資資金特別会計の金利変動準備金のうちその約半分にあたる12兆円を来年度の国債の買入消却にあてる方針を明らかにした。財投改革により金利変動準備金を他の用途に活用することが可能となり、緊急特例の措置として実施することとなったようである。これは国債の償却額としては過去最高となる。財融特会から国債整理基金への繰り入れは1回限りと想定され、市中からの国債買入は1兆円程度を検討、国債整理基金への繰り入れ時期は2006年度末ごろを想定との財務省幹部によるコメントも流れた。

すでに来年度の新規財源債の発行を30兆円に近づける方針も出されているが、さらに国の借金である国債の残存額を少しでも押さえようとの動きの一環であると思われる。市中からの買入が1兆円とはいえ、残り11兆円は旧資金運用部や日銀などの直接引き受け分を買入れるものと見られ、間接的ながらもこの部分も国債需給にとってはフォローの要因ともなろう。ちなみに旧資金運用部は国債を保有している反面、FBなどを発行して資金調達をしており、この旧運用部からの買入分は結果としては両建ての解消といった働きとなるものと思われる。


2005.11.25「竹中総務相、日銀法改正も」

竹中総務相は25日の閣議後の会見において、「政策目標は政府と日銀が協議すべきものなのに、中央銀行が政策目標を決める独立性を持っているかのような議論が一部に行われている」と述べ日銀を牽制した。一部の議論とは11日の福井日銀総裁の「CPIの安定的プラス確認したらひとつの通過点を間違いなくこえさせてもらう」とのコメントを指しているものと思われる。

自民党の中川秀直政調会長も13日に京都市内で開かれた自民党府連のパーティーで、日銀の金融政策について「日銀は政策目標での独立性はなく、政権と合致させる責任がある。それが分からなければ日銀法の改正を視野に入れなければいけない」と指摘したが、この背景には竹中総務相の意向が働いたのではないかとも憶測されていた。竹中氏も「日本では中央銀行の独立性が何を意味するのか、非常にあいまいだ。このままにしておくと、日銀法を改正した方がいいという議論が政治の場で出てきうる」と日銀法改正論議の可能性にまで言及したそうであるが、中川氏の発言内容とほぼ一致しており、そういった観測を裏付ける格好ともなった。 

今回の竹中発言はこの日発表された10月の全国消費者物価指数(除く生鮮)が予想されたように前年同月比ゼロ%をつけてきたことが影響しているものと思われる。10月のゼロが確認されれば、11月のプラス転換とその後もプラスが継続する可能性が高いためである。まもなく量的緩和解除条件が満たされる可能性が強まったことを受けて総務省は新たな手段を講じてきた。すでに来年8月からの消費者物価指数の改訂において、欧米型のエネルギーを除いた指数にすることを表明していたが、この新型の消費者物価指数を前倒しで発表する方針のようである。今回は現在の総合指数より0.3%程度低くなるとの発表も行われ、これも日銀の量的緩和解除に向けての姿勢に対する牽制であるとも思われる。

さらに今度、自民党は金融調査会(金子一義会長)の下に「金融政策に関する小委員会」を設置し、その小委員長には山本幸三衆議院議員を充てるとも発表している。山本氏はご存知のように2000年のゼロ金利解除の際に、山本氏は国会議員や民間エコノミストと連名で、ゼロ金利解除の強行は政府の政策との整合性を既定した日銀法4条の趣旨に反するとする緊急提言を行っている。インフレターゲットを持論とし、日銀の量的緩和解除に向けての姿勢に強く反対している急先鋒の一人である。 日銀と政府との対立はさらに深まっていきそうな雲行きとなってきた。


2005.11.25「個人向け国債の中途換金の額」

財務省の公表している官報をもとにこれまでの個人向け国債の中途換金の額(財務省の買入額)を集計してみた。(平成17年10月24日現在)

個人向け国債は今年10月発行された第12回債までに合計15兆5142億円(郵便局販売分含む)発行されている。そのうち平成17年10月24日現在、約2260億円程度が途中換金されている。途中換金額を回号別に見てみる。

第1回約344億円(発行額3,835億円)解約率9.0%
第2回約262億円(同3,468億円)同7.5%
第3回約157億円(同2,802億円)同5.6%
第4回約485億円(同9,432億円)同5.1%
第5回約403億円(同13,951億円)同2.9%
第6回約562億円(同14,185億円)同4.0%
第7回約23億円(同17,726億円)同0.1%
第8回約24億円(同18,652億円)同0.1%

解約率からは第1回債がすでに1割近くの解約になっている。個人が国債を購入した際には、満期まで保持するケースが多いと見られるが、個人向け国債は途中解約でも途中換金が容易であり、1年分の利子相当額の手数料はとられるものの、預貯金代わりに数年お金を国債に置いてみようとの個人も意外と多かったようである。しかし、それでも大半は満期保有となるのではないかとも思われる。


2005.11.25「タミフルとラムズフェルド国防長官」

米CNNの2005年10月31日の報道より

「カリフォルニア州に本拠を構えるバイオテック企業ギリアド社は、インフルエンザ治療薬として現在世界中から注目されている『タミフル』の特許を所有している。」

「1997年からブッシュ政権入閣までの2001年の間、ラムズフェルド国防長官はギリアド社の会長を務めており、現在でも同社の株を保有しているが、その評価額は500万ドルから2,500万ドルの間であることが、ラムズフェルド氏自身による連邦資産公開申告書で明らかになった。」

「申告書ではラムズフェルド氏が所有する株数の詳細は明らかになっていないが、過去6ヶ月間における鳥インフルエンザ大流行の懸念とタミフル争奪戦の予測により、ギリアド社の株価は35ドルから47ドルに急騰。これにより、すでにブッシュ政権内で最高額の資産を持つ国防長官は、少なくとも100万ドル以上資産を増やしたことになる。」

「スイスの医薬品大手ロシェ社が製造販売しているタミフル(ギリアド社は販売額の10%のロイヤリティーを受け取っている)で利益を得た政界有力者はラムズフェルドだけではない。ジョージ・シュルツ元国務長官はギリアド社役員として、2005年度に入ってから同社の株700万ドル分を売却している。」

「さらに重要なことは、合衆国政府が世界最大のタミフル購入者であるという事実だ。今年7月には、米国防総省は兵士への配給用に、5,800万ドル分のタミフルを注文しており、議会も数十億ドル分の購入を検討中である。2005年度におけるロシェ社のタミフル売り上げ予測額はおよそ10億ドルで、前年度は2 億5,800万ドルであった。」


2005.11.25「10月11、12日分金融政策決定会合議事要旨より」

「ある委員は、(1)デフレか否かの判断のために、家計が消費する対象となる消費財やサービスの価格を中心にみるなら、民間投資、政府支出、純輸出等を含むGDPデフレーターは必ずしも適当な指標ではない、(2)仮にGDP統計でみるのであれば、家計最終消費支出デフレーターを使うべきであるが、その場合でも、連鎖方式化されたとはいえ、パーシェ指数としての下方バイアスがあり、パソコン等の価格下落を過大に反映する傾向がある点に留意する必要がある、と指摘した。

財務省出席者「わが国経済の現状をみると、景気は緩やかに回復しているが、消費者物価指数やGDPデフレーターがマイナスであるなど、デフレは依然として継続している。」

内閣府の出席者「なお、デフレの状況を判断するに当たっては、消費者物価だけでなくGDPデフレーターを含めて総合的に行うべきであると考えているが、・・・」

CPIに比べて、「GDPデフレーターの下落率はなぜ大きいのか」については、こちらの日銀調査統計局の資料がひとつの参考になるものと思われる。

ちなみに平成16年12月8日公表の平成15年度確報ならびに平成16年度7-9月期GDP二次速報から、デフレーターと実数地の計算方式を固定基準年方式から連鎖方式に変更されている。


2005.11.24「刷り込み」

「次の新型インフルエンザウイルスの亜型についての予測は困難である。現在のところ、東アジア地域に分布する鳥インフルエンザなどの解析から、H5、H9、H6及びH2亜型の可能性が高いと推測されるが、それ以外の可能性も否定できない。従って、あらゆる可能性に対応しうる準備が必要である」 「新型インフルエンザがどのような過程を経てヒトの世界に侵入してくるかについても、十分には解析されていないが、3つの可能性が指摘されている」(厚生労働省「新型インフルエンザ対策報告書」より一部抜粋)

「中国衛生省は23日夜、安徽省で農民の女性(35)が鳥インフルエンザ(H5N1型)に感染して死亡したと発表した。」(読売新聞)

「1997年、突然マスコミはインフルエンザへの恐怖を煽り、ワクチンキャンペーンを開始した。老人ホームでのインフルエンザ死が大々的に報じられ、その冬の香港におけるトリA型ウイルスの流行はあたかも大流行が身近にせまったごとく報道された。続いて子どものインフルエンザ脳症がクローズアップされた。」(インフルエンザワクチンについての開業医の研究から)

「開発したロシュ社(スイス)が行った動物実験で、大量に薬(タミフル)を投与した若いラットの脳から高濃度の薬剤成分が検出されたことを受けた措置。異物の侵入を防ぐ脳の機能が未発達な乳児への危険性が指摘されている。このため、中外製薬は日本小児科学会などの協力を得て、昨年末から今年春にかけて投与された症例について、副作用などの有無を調べる」(2004年4月6日読売ネット版)

「インフルエンザ治療薬のリン酸オセルタミビル(商品名タミフル)を飲んだ患者2人が、飲んで間もなく行動に異常をきたし、1人は車道に走り出て大型トラックにはねられ死亡、もう1人はマンションの9階から転落死していたことが11日、分かった。薬の添付文書には副作用として「異常行動」(自分の意思とは思えない行動)や「幻覚」などが起きる場合があると書かれているが、死亡につながったケースの判明は初めて。厚生労働省安全対策課も死亡例の一つを副作用として把握しており「異常行動の結果、事故死する可能性もある」としている。」「タミフルはスイス・ロシュ社が開発した。ウイルスの増殖を妨げ熱がある期間を1日程度縮める効果がある。国立感染症研究所の医師によると日本での年間販売量は1500万人分で、世界の8割以上を占める。」(11月12日毎日新聞)

上記はインフルエンザとその特効薬とも言われたタミフルに関しての記事などである。トリインフルエンザが人から人へ感染するものに突然変異してくる危険性はないわけではないであろうし、だからこそAPECなどでもそれが議論されたものと見られる。しかし、それはまだ実証されていたものでもなく、実際に人から人への感染例は確認されていない。そのリスクを無視するなと言われるかもしれないが過度に神経質になりすぎていないであろうか。

そしてそのインフルエンザに対する特効薬としてタミフルが注目され、ネット通販を利用して高値で購入している事例も見られるとか。しかし、このタミフル、どうも腑に落ちない。なぜ日本で世界の8割以上分も使われているのか。

そもそもタミフルはウイルスの増加を抑制する薬に過ぎない。しかも、熱がある期間を1日程度縮める効果でしかない。体力の弱っている人などには命に関わることもあろうが、健康的な成人ならば寝ていれば治るものでもある。しかも、突然変異したトリインフルエンザに対しては効果がある保障はない。

さらに思春期の子供たちに幻覚といった副作用の事例も出ている。インフルエンザによる脳症ではないかとの指摘もあったが、それは小児がかかるものであり、症状も違っているため、タミフルの副作用の可能性は十分ありうると思う。タミフルはインフルエンザA型、B型ならば感染して48時間以内ならば効果があるそうだが、これは予防薬でもない。毎日飲み続けていれば結果として予防薬となるのかもしれないが。それにしても、なぜこれほど日本で利用されているのか。その理由が知りたい。そしてもしタミフルを使われる方がいるならば、言うまでもないが使用にあたっては十分気をつけた方が良さそうである。


2005.11.24「冬の個人向け国債」

12月9日(金)より冬の個人向け国債の募集が開始される。今回から新たに5年ものの固定利付きタイプが加わる。このためイメ−ジキャラクタ−に小雪さんに加えて、固定利付き向けとして新たに本木雅弘さんが加わっている。そして「10年先まで楽しみたい。」という変動のキャッチコピーに対して、固定は「5年先まで見通したい。」 。20年以上にわたり国債市場を見てきているが、5年先まで見通す自信は私にはない(えっ、聞いてない?)。早速、5年固定タイプの概要を確認してみる。

募集期間は平成17年12月9日(金)〜29日(木)。発行日は平成18年1月16日となる。本来ならば15日発行なのだが1月15日は日曜日となるため、一日ずれる。利払い日は毎年1月15日及び7月15日(年2回)となることで、初回の利子に際しては1日分の調整額が必要とされるので注意したい。およそ10万円額面に対して1円程度が目安となる。償還期限は平成23年1月15日。利率は固定であり、適用利率の算式は基準金利-0.05%となる。この基準金利は平成17年12月8日の5年利付国債入札の結果から算出され発表される。

次に変動タイプの概要についても確認しておきたい。募集期間や発行日は5年固定タイプと同じである。利払い日も同様、このためこちらも調整額が必要になるので注意したい。償還期限は平成28年1月15日。利率は変動であり、適用利率の算式は基準金利-0.80%となる。初期利子の基準金利は平成17年12月1日の10年利付国債入札の結果から算出され発表される。

日銀の量的緩和解除観測の強まりや株高といった状況下にあるものの、現在のところ長期金利は低位安定している。このため利率という面では預貯金金利は大きく上回れど、期待されていたほどの利率ではなく、特に今回も変動タイプの販売は伸び悩みとなる懸念もある。しかし、今回から固定タイプが加わるため、選択の余地も広がり、あらたなニーズの掘り起こしにも繋がりそうである。

特に固定タイプは、利率が固定されることで、より預貯金に近い性格を持ち、個人にとっても受け入れやすい商品性を持っていると思われる。さて、どっちが売れるのか。募集手数料は両方とも50銭。そして方や期間は半分ともなれば、販売金融機関は固定タイプを推奨しそうな気もなきにしもあらずだが、選択は個人の先行きの金利感にも委ねられる。

念のため言っておきたいが、債券市場のプロですら数か月先の金利動向を見通すのは至難の業である。今後の金利の見通しを教えてくれと聞かれても、その返事に対しては全く責任は持てないので、購入される方はあくまで自分の感覚を大事にして、どちらを選択するのかを決めてほしい。それでも私のアドバイスでよろしければ、03-5212-8749 に電話をいただきたい。


2005.11.22「物価上がる、消費者の56.4%と8年ぶり高水準」

内閣府などの外郭団体である日本リサーチ総合研究所は、10月の消費者心理調査の結果を発表。この先1年間の物価見通しについて、上がると答えた割合が56.4%と前回8月調査を6.0ポイント上回り、1997年10月以来8年ぶりの高水準となったことを発表した(QUICK)。

デフレ脱却を示すような指標がまたひとつ・・・。


2005.11.22「TXの10月乗客数は1日平均15万人超す」

19日の日経新聞によると、10月のつくばエクスプレス(TX)乗客数が一日平均で15万人を超えたそうである。たしかに、目に見えて乗客数は増加しており、初年度予定の一日平均13万5千人はクリアーできそうと思っていたが、実際にはそれ以上の数値ともなっていたようである。10月は観光シーズンでもあり、週末はTXに乗っての筑波山観光などもかなりあったと見られ、多少そういった人数が上乗せされているとも思われる。しかし、それでも開業当初の1か月が平均12万3千人であったことを考えると、かなりの伸びになっていることも確かである。毎日利用している者として、ある程度乗客があった方がもちろん良いが、あまり混雑してもらっても困る気もする。先日も一本遅く乗った車両では、地震による4分ほどの遅延も影響したとみられるが、ほとんど身動きができないほどの混雑でもあった。次回のダイヤ改正では増発される可能性もあるのではなかろうか。


2005.11.22「GDPギャップ」

これも18日の福井総裁会見より。

「この先の当面の見通しも、少なくとも1.5%を上回る成長とみており、民間の予測でも2%に足をかけている。これは潜在成長能力を少し上回っている可能性が非常に高く、需給ギャップがかなり縮んで来て、今後も縮小し続ける。これは少なくとも明確に言えることであると思う。需給面から物価の基調が変わる」

7−9月期内閣府試算によると需給ギャップ、つまり国内の工場設備や労働力をフル稼働させたときに達成可能な潜在的な国内総生産と実際のGDPの差はマイナス0.2となりマイナス幅を縮小させた。単純換算で需給不足は1兆円程度とみられ、この需給ギャップ(GDPギャップ)は来年早々にもプラスに転じる可能性が強まってきた。これについては福井総裁もかなり重視しているようにも思われる(一部日経新聞11月22日朝刊より)。


2005.11.22「量的緩和政策の副作用」

経済同友会は「量的緩和政策からの転換に向けて」という意見書を提出し、日銀の量的緩和解除に向けての姿勢をフォローしている。そして、この中で量的緩和政策の評価とともに副作用についてまとめている。

その前に18日の福井総裁会見においても、総裁は量的緩和政策の副作用について触れていたため見てみたい。

「量的緩和政策のコスト、ベネフィットについてバランス・シートの計算が終わったわけではない。しかし、ごく大掴みに一般論で言えば、量的緩和政策は、経済を健全に運行していくメカニズムの中で一番大事な金利メカニズムを封殺しながら運営してきている。そのような大きな犠牲を払いながら、デフレ・スパイラルから脱却するためのかなり異例な措置であるという点を忘れずに、私どもが今後することについて、なぜそのような転換が必要かを是非正しく理解して頂きたい。」

「量的緩和政策は、あくまでもデフレ・スパイラルに陥って経済が死んでしまうことを捨て身で防ぐための異例な措置であり、これには大変コストがかかっている。金利機能を封殺しているし、多くの消費者の皆さんも、ほとんど一文も預金利息を受け取れないという犠牲を払ってこの政策を支えている。」

それでは、経済同友会は「量的緩和政策からの転換に向けて」における副作用について見てみたい。

まず指摘されているのが、「短期金融市場では金融機関の信用力に応じたレートが付いておらず、銀行貸出市場や資本市場でも信用スプレッドは異常とも言える縮小状態が続いている」このために「信用力の低い債務者が自らのリスクに応じた対価を十分負担しておらず、債権者に相対的に大きなリスクがシワ寄せされている」と指摘している。そして「企業に対する金融市場による規律付けが不十分」になる懸念を示している。

二番目に指摘しているのは、総裁会見にもあったが、「適正な金利収入の喪失」である。「経済が正常化する状況でも従前どおりの量的緩和政策と超低金利が継続され、金利水準が適正水準より低位に止まるのであれば、企業・家計にとって本来得られた金利収入が失われる恐れがある」。これは我々の生活にも直接関わっている部分である。そしてこれは「リスクシェアリングの一つの側面でもある」とも指摘している。

そして、三番目に指摘しているのが「財政規律の低下に伴う金利急騰懸念」である。「量的緩和政策によりもたらされた長期金利の低位安定により、国および地方公共団体など公的部門は、個々の財政状態にあまり左右されず極めて低金利での資金調達(国債、地方債の発行等)が可能であった。今後、財政改革を進めていくにあたり、公的部門が資金調達する際には、そのリスクに見合った金利が付される必要があるが、今のままでは、金利を通じた財政規律が不十分となる恐れがある。これによって財政赤字の削減が遅れ、わが国財政、ひいては国債に対する信認が低下する場合には、金融市場において長期金利が急上昇し、経済を混乱させる恐れがある」。まさに日本国債は危なくなってしまう点を強調。金利急騰とはならないまでも、財政規律が低下してしまうリスクは十分にある。ある程度のストレスにさらされる必要はあるものと考える。

次に指摘しているのが、「実体経済と乖離した資産価格の上昇」である。まさに土地や株など資産バブルの崩壊を懸念している。

最後に「将来の適切な金融政策実現への制約」を懸念している。これは福井総裁にとっても大きな懸念材料であると思われる。状況によっては「超低金利から金融引き締めの方向へと急激な政策転換を強いられる可能性」もあることを指摘している。

以上の5つの副作用を意見書は指摘しているのである。


2005.11.22「日銀総裁会見内容検証」

注目された18日の福井日銀総裁会見内容から注目すべき部分をピックアップしてみたい。

「3つの条件とおっしゃるが、基本的には、消費者物価指数が安定的にゼロ%以上になったかどうかを皆で確認し合うということであるので、かなり的を絞って皆様が同じものを見ることができる。」

3つの条件を満たすということは、コアCPIが安定的にゼロ以上になったかの確認であるとの認識である。しかし、日銀に理解を示しているとの与謝野金融経済財政担当相も「量的緩和解除の第三条件、全体考えて判断する余地ある」とのコメントをしているように、条件に対しての認識は日銀とはやや距離がある。この溝をどのように埋めていくのかが今後の大きな課題とも言える。

「将来にわたって予見し得ない様々なショックが起こり得る可能性があるということは、すべての国の中央銀行が十分念頭に置きながら、そういう意味ではある程度リスクをとりながら政策運営をやっていかざるを得ない。予見し得ないことまですべて織り込もうとして、手をこまねいてタイミングを失するわけにはいかない。」

これも市場関係者からもよく指摘されるように、もし仮に量的緩和解除後に景気の悪化などがもたらせられたらゼロ金利解除時の二の舞になるのではとの懸念に対する総裁の答えのひとつである。

「日本経済については、特に民間部門での過去10年以上にわたった厳しい努力の成果として、ショックに対する脆弱性がかなり消えた。つまり、ショックに対してそれを吸収する力がある程度ついてきている。しかし、それにかまけることなく、私どもは先行きを見極める目をしっかり持って判断していきたいと思っている。」

2000年8月のゼロ金利解除時と大きく異なるのはファンダメンタルの状況にある。2000年時の日本の景気回復については本格的なものとはいえなく脆弱性もあった。しかし、ゼロ金利導入時の経緯から見て、この一時的に取らざるを得なかった政策は早急に元に戻して、日銀としてのフリーハンドを取り返そうとの動きでもあったかに思える。ところがITバブルの崩壊は日本経済の当時の脆弱性を露呈させてしまい、その非が日銀に集中してしまった。このタイミングの悪さといったものは当然ながら福井総裁も十分に知りぬいているはずである。あのときと現在では、日本経済の基礎体力が違っていることを総裁は示唆しているものと思われる。

「量的緩和政策が、重い文鎮を置くあるいはコミットメントを置くというようなかたちで金利機能を金縛りにしているという状況に比べると、単純なゼロ金利政策は、イールドカーブの一番期間の短い金利の部分のみを調節の結果としてゼロに抑えるということであるので、金利機能を抑圧するという度合いは随分違うとご理解頂けると思う。」

量的緩和政策とゼロ金利政策の違いの説明ともなっている。「重い文鎮」とか「コミットメントを置く」との表現は面白い。量的緩和政策の現実的な効果といったものはいかほどであったのか図るのは難しいが、心理的に与えていた影響はそれなりに大きなものがあったはずである。なんといっても諸外国から福井日銀総裁はかなり高く評価されていたのもその現われであったはずである。ただし現場サイドからは、量を増やすことに対してその効果のほどを疑問視する声が多かったことも確かではあった。

そして記者から「政府の中では、生鮮食品とエネルギーを除くというかたちで数字の公表を検討している」件についての総裁の答えは以下のとおり

「先程も申し上げた通り、生鮮食品を除く消費者物価指数すなわち日本のコアの消費者物価指数は、おそらく非常に多くの国民の皆様が経済活動、経済生活をしていく中で、一番わかりやすい指標だと思う。これを共通の基準として約束してきているので、あまり技術的な理由で中身を入れ替えるようなことをして、また国民の皆様に頭の中で整理し直して頂く必要はないのではないかと思う。私どもは従来から約束している基準で最後まで一緒に見させて頂く。」

日銀の解除に向けて姿勢に反対する人たちはあれやこれやと理由付けをしようとしているが、本来の約束は現状のコアCPIにある限り、新指標をもって解除できないとの理由にはならない。もちろんその数値をまったく意識するなということではないが。

そして最後に総裁は、下記のように現在の日本経済の姿について再度コメントしている。まさに「日本経済は(解除をしても)危なくない」と私も思う。

「ここまで日本経済において、特に民間部門の構造改革が進み、バランス・シートの健全化が進み、イノベーションが強いという経済を前提とした場合、何か強いショックが来たからといって単純に量的緩和政策に戻らなければならないような弱い経済であろうか。その点を私どもはしっかりと点検した上で量的緩和政策の枠組みの修正に踏み切るということである。」


2005.11.21「政治と金融政策」

次期FRB議長となるバーナンキ氏は政治と宗教の話はご法度といった環境で育ってきたと報じられていたが、金融政策について政治の話はご法度というわけには、どうやらいかないようである。

日銀の量的緩和解除に向けての姿勢に、待ったをかけた中川秀直政調会長などの発言に対して、福井日銀総裁がどのような発言をしてくるのか。政治家の発言した日がちょうど金融政策決定会合前のブラックボックス期間であったため、日銀サイドからの発言が控えられていたこともあって、市場関係者などの注目を集めていた。

福井総裁の会見内容は、 2006年度にかけて量的緩和解除の可能性高まるとの判断に変更ない、としてこれまでの姿勢を貫いた。また政府との関係については、 政策協定、あまり必要性は感じていないとしてアコードといったものは否定した。また、政府と日銀、異質のことを目標にはしていないとのコメントもあったものの、政府と日銀は責任を負う範囲が違う、細部にわたり意見の一致みるかは別の話とのコメントも見られた。

11日の会見では、異常なものはいつまでも続けられない、通過点を間違いなくこえさせてもらうといった、福井総裁としてはややきつめの表現をしていたが、18日の会見ではここまで踏み込んだものではなかったとはいえ、政治家のコメントに対する答えは、「ノー」であったことに変りはない。

このままでは再びゼロ金利解除時の二の舞、あくまで政府との関係においてではあるが、の可能性も出てきた。議決延期請求権といったものを意識すれば、担当大臣の谷垣財務相し与謝野金融・経済財政担当相の意向が重視されそうだが、最終的な判断は小泉首相が握っているものと思われる。

その小泉首相はAPECが開かれた韓国釜山において、記者の質問に対して、(日銀が量的金融緩和政策を解除する可能性が高まっていることについて)「それは日銀が判断することだ」 とコメントしたと伝えられている。断言するのも危険ではあるものの、小泉首相は中川氏などよりは、日銀の意向についてはある程度理解を示しているとも考えられるのである。

福井総裁は18日の会見において、政府側からのコメントに対して「現状消費者物価指数がマイナスであることを前提に政府の発言が色々あっても、私どもの基本的な認識と相違はないと思っている」と発言している。13日の中川発言に続き、、小泉首相も同日に記者の質問に答えるかたちで、「まだ早いのではないか。物価がゼロ以上ないと。まだデフレ状況だ」とコメントしていたが、この答え方とさきほどの福井総裁の指摘するコメントについては整合性があると思われる。


2005.11.18「ボジョレー・ヌーボー」

昨日はブルームバーグさんのボジョレー・ヌーボーのテイスティングパーティーに参加させていただいた。スタート時間少し前に行ったところ、ほとんど人がおらずまさに飲み放題状態であったが、時間が経つにつれてすごい人数に。最後はワイングラスが間に合わないほど。貴重なヌーボーもいただき、しっかり堪能させていただいた。

テーブルをご一緒させていただいた方が、音声認識の会社アドバンスト・メディアの鈴木清幸社長であった。ご本人に直接、携帯電話を使っての音声認識の技術を見せていただき、その認識力にたいへん驚いた。すでに医療関係などでアドバンスト・メディアの音声認識技術は使われており、会社もしっかり黒字を続けているとお聞きした。久しぶりに理系の先端を走っている方のお話を聞いていたく感激。

そして、久しぶりに富国生命の桜井さんともお会いして、最近の債券相場や日銀の動向などについてもお聞きした。金融政策とは直接関係ないが、福井総裁のお人柄はとても良い方というお話も伺ったが、これは別の方からも伺ったことがある。そして、よく奥様とご一緒の姿も見かけられるとか。福井総裁にはぜひ一度、お話を伺ってみたい気もするが、さすがにそれはちょっと無理か・・・。

その福井総裁の現在の胸のうちや如何に。マーケットは本日の福井総裁会見内容に注目している。しかし、これまでとトーンに大きな変化はないと思われる。小泉首相が郵政民営化を目指したように、福井日銀はデフレ脱却とともに量的緩和解除を目指している姿勢に変りはないはずである。


2005.11.17「behind the curve」

ビハインド・ザ・カーブは「後手に回る」と訳されているが、すでにグリーンスパン議長などの発言を受けて金融専門用語にもなっているようにも思われる。

日銀執行部が量的緩和解除について具体的な言及をし始めたのは9月に入ってからのことである。武藤副総裁は9月2日の異例とも言われたブルームバーグでの単独インタビューにおいて、今年度後半にも解除の可能性を示した。また、14日の都内のシンポジウムにおいては岩田副総裁が「量的緩和政策、現在とても出口に近いところまできている」とコメントしている。そして、29日の福井総裁の記者会見において、量的緩和解除について「2006年度に入る前か、入って数か月程度」あたりに行われる可能性を示唆した。

そして10月末に発表された展望レポートを受けて「展望レポートに示された経済・物価見通しが実現することを前提とすると、2006年度にかけて、量的緩和政策の枠組みを変更する時期を迎える可能性は高まっていくとみられる」と総裁はコメントした。

総裁が指摘していたのはあくまで予測・可能性ではあるものの、この発言を巡っては一部市場関係者のみならず政府側からも時期尚早といった声が出ていた。コアCPIが現実にゼロ以上に浮上してからコメントしてもおかしくはないのではないか。ビハインド・ザ・カーブのリスクをとることを強調していたのにおかしいのではないかと言った声も上がっていた。しかし、総裁も、あくまで見通し・予測を示しているだけであり、ビハインド・ザ・カーブという約束を反故しているわけではない。

量的緩和解除は3つの条件が整い次第行うであろうことは明白なものである。この3条件を整う環境にあること自体がすでにビハインド・ザ・カーブであるとの認識であったはずである。そもそも「後手に回る」というものは発言といったものを指すのではなく、政策変更自体のことを示しているはずである。

CPIは、たとえばGDPや機械受注といった経済指標などのように、予測が実数値と大きく乖離するようなことは稀である。ある程度の予測が可能なものである。そしてまた10月以降は「特殊要因剥落」といった技術的な修正があることで、余ほどのことがない限り年末にかけてのプラス浮上は可能性が高いことは事実である。

そしてまた、日銀と政府は日本経済に関して「踊り場からの脱却」を宣言しているなど、景気認識についてもある程度、日銀は政府と共有している。また、先行きの見通しについては、展望レポートで明らかにしている。これにより、解除条件が整う環境が迫りつつあることは確かであろう。それでもあえて、解除に向けての姿勢は明確にせず、あいまいなまま濁しておいて、しっかり条件が整うまでじっと待つべきであろうか。

10月31日の福井日銀総裁会見において、福井総裁は次のような発言もしている。「量的緩和政策の導入と同様、枠組みの変更も先例のないものであるだけに、金融市場において経済・物価情勢に応じた価格形成が円滑に行なわれていくように配慮することが重要である」

総裁が前向きな姿勢を示しているのは、タカ派な考え方をしているとか、スピードを重視する姿勢といったことも影響しているのではとの見方もあるが、多少それはあるとしても、もう少し現実的な要因もあったのではなかろうか。それが上記のコメントに現れていると思われる。つまり、先例のない枠組みの変更も慎重な配慮が必要であることを示唆している。

ほとんど機械的となってしまっていた資金繰りについても、量的緩和が解除されれば再び金融機関はある程度職人芸的なノウハウの取得が必要とされる。これまで金融調節における資金繰りなどのリスクといったものが日銀に集中していたものが、再び金融機関に戻されることとなる。また量的緩和解除となれば、その後日銀の当座預金残高を引き下げねばならず、それに向けてのオペの対応といったものも解除前にある程度整えておく必要もあろう。そういった準備期間なども配慮すれば、解除時期などについてある程度事前に知らしめておくことも必要となるはずである。「円滑に行なわれていくように配慮」というものにそういった意識があったのではないかとも推測されるのである。


2005.11.16「予測は正しいのか」

現在、最も恐れられているのがトリインフルエンザであろう。WHO・FAO・OIEの共同声明は、「世界的な流行を引き起こす、非常に危険な人間の伝染病に変異する可能性がある」と警告している。1918-1919年にかけて世界で数千万人の死者が出たスペイン風邪もトリインフルエンザウイルスからの突然変異で生まれた新型ウイルスによるものと「考えられ」ている。。水鳥起源のウイルスがブタに感染しブタの体内でウイルスが変異したという「仮説」も出ている。世界的な大流行になった場合、世界で1億5000万人が犠牲になると「言われ」ている。

厚生労働省の予測でも国内で約3200万人が発症し、最悪の場合で10万7000人が死亡するとしている。これでも「過小評価すぎる」との批判もあるそうである。このため厚生労働省は2500万人分のタミフルを備蓄する計画もあるとか。ただし、タミフルはインフルエンザウイルスによる併発症を伴わない疾病の治療に使われるものであり、インフルエンザの予防や、インフルエンザウイルスの他人への伝染のリスクを減らすものではない。また、この副作用といった問題も出ている。

たいへん危険な病気であることは間違いないとは思うものの、この予測は果たして正しいものであろうか。トリインフルエンザの脅威についても上記のように「仮説」や「と言われている」といった表現が使われていること自体、やや疑問を抱かざるを得ない部分が存在する。

以前にも指摘したように事前に予測が立てられ、公的機関などを主体に警戒が発せられているような大規模災害になりかねないものについては、実際にそれが発生したケースはあまり記憶にない。

以前に地球温暖化の話を書いたが、あれはSF小説の世界であろうと言われるかもしれないが、それでも温暖化の影響で、地球の平均気温が上昇しているとか水位が上昇しているという確定的な証拠はない。日本では桜の開花が早まったり、紅葉が遅かったり、夏日が多いといったことはどうなんだ、と言われても、それが地球的な規模で温暖化に向かっているという絶対的な証拠にはならない。「地球温暖化」というフレーズがこびりついて、何もかもその影響によるものと結びつけてはいないであろうか。

東海沖地震が警戒されていたものの、実際には予測されていなかった新潟で大規模地震が発生したり、あれだけ騒がれたSARSも日本における被害は限定的であった。またY2Kとも呼ばれた2000年問題も騒がれた割には被害は軽微であった。これは事前に予防のための措置が講じられていたためとも見られるかもしれない。しかし、実は過剰な対応であったということはなかったのであろうか。特にY2Kなど、穿った見方をすれば自ら招いたものながらコンピュータ関連会社にとってはまさに一時的な慈雨であったはずである。これこそ検証したわけではないが、2000年のITバブルの崩壊といったものも、Y2Kという需要がなくなってしまったことも一因ではなかったのであろうか。とにかくあれだけ騒がれておきながら、結局、正月出勤した人たちもほとんど意味がないものとなっていたはずである。

Y2Kがコンピュータ会社の陰謀、SARSやトリインフルエンザは実は製薬会社の陰謀ではなかったのか、と書いてしまうと、マイケル・クライトンの小説のようにもなってしまうが、過剰ともいえる予防策には公然と巨額の資金が使われていたことも確かである。それが果たしてどれだけ功を奏したのかはだれも事後検証はできない。

しかし、本当の被害は予測しえなかったところからやってきている。すべての災害を予測しろというのにも無理はあり、まして全部対策しろといったらいくら資金があったとしてもきりがなくなる。しかし、マスコミ報道などに呼応したような一点集中型の予防対策といったものも、少し考え直す必要はあるまいか。かなり反論もあるかとは思うが。


2005.11.16「生協の白石さん」

知る人ぞ知る本と書こうとしたが、すでにアマゾンではベストセラーのトップともなり、知らない人がいないくらいの評判の本を、遅まきながら昨日買って読んだ。自分がネットに大きく絡んでいながら、実はネット関連から生まれた本とかはこれまであまり読んだことがなかった。「電車男」もしかり。しかし「生協の白石さん」はブログが発端になって広まったものとはいえ、もともとはバーチャルなものではなくて、紙に書いたものという、全く正反対に存在していたものが取り上げられていたこともあり、興味がそそられた。

興味のある方はとにかく是非読んでほしい。1000円の薄い本で1時間もかからず読むことができる。人間のふれあいといったものを暖かく感じることができる本である。

突如、有名人となってしまった白石さん。今だに後姿とかサイン会場の手とかだけしか明らかになっていない。本人が恐縮して明らかにしたくないそうである。この恐縮の仕方、誰かに似ているなと思ったら、ノーベル賞を受賞した田中耕一さんである。残念ながら白石さんは何かに受賞したわけではない、と思ったら、東京農工大学の学長から、生協職員白石昌則さんに感謝状、さらにブログで白石さんを紹介した工学部学生上條景介さんに表彰状の授与があったそうである。確かにこの本で、国立東京農工大学も一躍有名になったことも確か。


2005.11.16「議決延期請求権(10月5日の「若き知」の再アップ)」

2000年8月11日の日銀金融政策決定会合において、大蔵省(現、財務省)および経済企画庁(現、内閣府)からの出席者から、「日本銀行法第19条第2項の規定に基づき、議長提出の金融市場調節方針の決定に関する件に係る政策委員会の議決を次回金融政策決定会合まで延期すること」との議案が提出された。

ゼロ金利解除の際における議決延期請求権の行使である。この条項はドイツのブンデスバンクを参考に取り入れられたと言われたが、そのブンデスバンクですら一度も行使されることなくECBの設立とともにその条項は削られていた。それが日本で行使されるという異常な事態となったことを記憶している方も多いと思う。

日銀はここにきて「量的緩和政策」の解除に向けての姿勢を次第に強めてきている。福井総裁は10月3日の衆院予算委員会において、「異常な政策をいつまで続けろという声にくみすることは断固できない」とまで言い切った。市場においても今年度末近辺における量的緩和解除を次第に織り込みつつある。

量的緩和解除については3つの条件が存在するが、その3条件が徐々に達成される環境が形成されつつある。今年の年末にかけての特殊要因剥落などによるコアCPIのプラス転換の可能性は強く、政府も景気の踊り場脱出を表明しているように景気が回復基調を強めているためである。

しかし、それでも政府や財務省はこの日銀の動きを牽制している。細田官房長官(当時)は10月3日に「量的金融緩和、変更する理由見出せない」とコメントしており、谷垣財務大臣も「金融政策、穏やかに続くデフレに対応必要」と量的緩和解除について慎重なコメントをしている。

それでは今回の量的緩和解除にあたっても、財務省と内閣府の出席者から議決延期請求権が出される可能性があるのであろうか。これは今回の量的緩和解除にあたっての大きな注目点ともなりそうなのである。

現在の執行部の布陣は、総裁は福井氏、そして副総裁は前財務次官の武藤氏と内閣府出身の岩田氏である。前任の執行部と大きく異なる点は、議決延期請求権を提出した財務省と内閣府の出身者が現在、副総裁として総裁の脇を固めていることにある。特に武藤副総裁は首相官邸とのパイプ役も担っているとも言われ、量的緩和解除にむけては極力、議決延期請求権の提出を回避させるべき役割も担っているのではないかとも見られる。

量的緩和解除が想定されるまで、まだかなりの時間がある。その間、物価や景気動向を見ながら、現在の執行部が財務省や内閣府そして首相官邸への理解を求めるべく動きを活発化してくるものとも考えられる。


2005.11.15「新規財源債30兆円」

小泉首相は15日の閣僚懇談会にて、谷垣財務相ら全閣僚に対し、2006年度予算の新規財源債発行額を30兆円に近づけるよう指示した。すでにこの国債の新規財源債については、今年度に削減した額の2兆2000億円より大きく削り込み32兆1900億円以下とする方針を明らかにしており、今回の首相の指示は国債発行の抑制方針をさらに徹底する内容となり、2002年度以来の30兆円程度に抑えようとの方針と思われる。


2005.11.15「日銀VS政府」

自民党の中川秀直政調会長は13日に京都市内で開かれた自民党府連のパーティーで、日銀の金融政策について「日銀は政策目標での独立性はなく、政権と合致させる責任がある。それが分からなければ日銀法の改正を視野に入れなければいけない」と指摘した。また、小泉首相も同日に「まだ早いのではないか。物価がゼロ以上ないと。まだデフレ状況だ」とコメントしていたが、これは実際にはさほど強いトーンでのものではない。

さらに15日には谷垣財務相が「国と日銀の政策が別方向に行くことはおかしい、方向感は一致すべき」、「デフレは依然として継続しているとの認識、政府と日銀にそごはない」、「日銀の金融政策は大きな意味で国の政策の一環」との発言を行っている。加えて与謝野金融・経済財政担当相も「量的緩和解除の第三条件、全体考えて判断する余地ある。」、「日銀に独立性あるが、政府政策との整合性定めた日銀法の精神もある」とこれまでの日銀寄りの発言からややトーンを変化させてきている。

上記の政府側の発言は11日の下記のような福井日銀総裁の発言を意識したものとの見方が強い。「物価の動き、ユニット・レーバー・コストなどで正確に判断できる」「デフレ脱却をひとつの時点で明確にできる人いない」「量的緩和は金利機能殺す非常手段、異常なものはいつまでも続けられない」「物価の上昇ペース、加速していく可能性は低い」「CPIの安定的プラス確認したらひとつの通過点を間違いなくこえさせてもらう」「一度プラスになったCPIが簡単にマイナスに戻ること考えにくい」。

特に「異常なものはいつまでも続けられない」「通過点を間違いなくこえさせてもらう」といった表現はこれまでになく強いもののように思われ、これが政府側に反応を起させたと見る向きも多いが、果たしてそうであろうか。

上記の福井発言は、どこか2000年4月12日の当時の速水日銀総裁の会見内容を思い起こさせる。この際は、当時の森前首相の就任挨拶でゼロ金利解除に前向きな姿勢を速水総裁が示したものの、快い返事がなかったことなどが要因で、速水総裁はさらなる強気の姿勢を示したのではないかとの憶測もあったが、会見時はかなり異質な雰囲気に包まれたと言われていた。

今回、政府側と日銀執行部で何かしら接触があったとしてもおかしくはない。このタイミングでの政府の日銀の量的緩和解除に対するトーンの変化は何かしら要因があってしかるべきとも考えれる。

このタイミングでの政府の日銀の量的緩和解除に対するトーンの変化は、むしろ何かしら別途要因があってしかるべきとも考えられる。たとえば、政府サイドからの日銀牽制コメントは、帝国データバンクによる調査にもあったように企業経営者の多くが量的緩和解除を時期尚早としており、また日本商工会議所の山口信夫会頭も「慎重に対応して欲しい。(中小企業にとって)景気はそれほど良くなっていない」といったコメントをしていた。このように自民党の支持基盤のひとつとも言える企業経営者の意識といったものも背景にある可能性がある。

あまり憶測ばかりしてはいけないものの、気になる今後の予定のひとつに、16日の日米首脳会談がある。日本のデフレ脱却に向けた意思表示と取れなくもない。そしてこれはあくまで憶測に過ぎないが、米国政府からの何がしかの圧力があったと可能性もある。そもそも以前のゼロ金利政策自体が米国政府からの要請に応じたものと言えなくもなかった。しかし、今回も米国再度の意向があったとしてもその理由がつかめない。

また17日から18日にかけては日銀の金融政策決定会合が開催される。まさかここで量的緩和解除といった可能性はないが、何がしか動きがある可能性もあるのであろうか。また、政府側の発言はこのブラックアウト期間を意識したものといった見方もあった。

政府部内では、歳出削減が先か増税が先かで意見が完全に分かれている。しかし、どちらにしても景気に対してはマイナス要因とも考えられ、日銀による金融政策でのフォローは続けてほしいところであろう。このため、日銀包囲網という点ではどうも歩調を合わせている感もある。この事態、いったいどのように理解すべきなのか。もう少し様子を見る必要もあると思われる。


2005.11.11「司法試験」

今年の司法試験の合格者の一人が、以前にあるベンダーの記者をされていた知り合いの女性であった。大学の同じ学部の後輩でもあり、優秀な成績で卒業していたとは聞いていたものの、それでも会社を辞めて勉強し直しての合格というのも並大抵の努力でできるものではない。本当におめでとうございます。

司法試験といえば金融市場関係者としてはもう一人忘れてはならない人がいる。日本では始めてではないかとも思われる女性の債券ディーラーであったNさんも、大手銀行を退職後、司法試験の勉強をして見事に合格し、現在、横浜で弁護士として活躍されている。この方も私の学部学科まで同じ後輩でもあった。後輩には本当に優秀な方が多い。

さらに債券ディーラー出身といえば、かなり古くからの知り合いでもあるM氏も忘れてはいけないかもしれない。証券会社を辞めて、やはり資格試験の勉強を始め、今は税理士として活躍している。

私はといえば・・・。がんばらなくっちゃ。


2005.11.11「ドイツの消費税上げと米年金改革による債券への影響」

ドイツではVAT(付加価値税)日本で言うところの消費税の引き上げが決まった。経済界などから反対の圧力がかかっていたものの新政権は引き上げを決定。上げ幅は3.0%となり、16%から19%へと引き上げられる。これについては景気減速よりも物価上昇が懸念されたのか、ドイツの国債は売られた。

また、米国では遅れていた年金改革実施が2007年1月から実施されることとなったようで、これは米国債にとっての買い材料ともなる。10年債入札で海外中銀からの引き合いが多かったこともあり、そしてドイツ債からの乗換えといった動きも加わって米国債は大幅上昇となった。

これによる円債への影響は限定的なものとなった。むしろ超長期ゾーンが国内投資家による買いなどで割高ともなっていたことで、戻り売りも入った反面、中期ゾーンには投資家の買いも見られたことからイールドカーブはフラット化している。しかし、ECBの利上げ見通しなども強まっていることから、今後はさらに欧米債の動きにも注意が必要となろう。


2005.11.10「一周年記念?」

去年、胃潰瘍で突然入院したのが11月9日であった。その日がちょうど長女の誕生日でもあり、しっかり入院の日付まで家族にも覚えられてしまっていた。それから約1年が経った。

40歳過ぎると体のあちらこちらに支障を来たす。これはある程度、体を鍛えている人も同様ではなかろうか。そして、現在、いくら健康であろうとも、いや健康だと思っていてもいつ何時、入院といったことは十分にありうる。健康診断や人間ドックを受けているから大丈夫なんてこともない。私の父親も健康診断してまもなく心筋梗塞となった。知り合いにも人間ドックにかかってまもなく入院した方もいる。

病気はいつどのタイミングでやって来るのかはわからない。とはいっても事前準備なども難しい。そこで、これだけはぜひやっておく必要があるものとしては、やはり保険であろう。別に生命保険の宣伝をするわけではないし、すでに保険をかけている方がほとんどではあると思う。

入院保険は最低一日1万円以上のものをかけておいた方が良い。これは入院しないとわからないと思うが、病室もできれば大部屋は避けたいところとなる。もし個室とかとなれば、それなりの費用負担もかかる。入院保険さえしっかりかけておけば、この費用面を気にする必要はなくなる。さらにいったん入院をしてしまうと何年間かはこういった保険に新規に入ることができなくなってしまうことも覚えておいた方が良い。そして、仕事をどうしようかとの問題もあろうが、それはしっかり治してから考えれば良いことである。


2005.11.10「情報操作」

「地球温暖化現象」は人間の行いの結果なのか。二酸化炭素濃度の増加などに伴う温室効果ガス説などにより、環境保護などが訴えられている。しかし、地球の温暖化現象は本当に人の手によるところのものなのか、以前から疑問を抱いていた。そもそも地球は何度かの氷河期などを経て、その途中ではかなりの温暖化の時期もあったはずである。もちろん環境保護は人間の行いの責任上、行わなければならないが、異常現象をすべて人的な温暖化現象と結びつけるような報道も、真実を伝えているものなのか。そういった疑問を持っていたのはどうやら私だけではなかった。9月に日本でも発売されたマイクル・クライトンの新作「恐怖の存在」はまさにこれが大きなテーマとなっていた。

「真実」と言われるものはかなり奥が深いか、もしくはあまりに単純であったりする。マスコミなどは、それを伝えるために切り口を探す。その切り口はできるだけ人々の共感を呼び覚まそうとする。これはマスコミとしては部数の拡大、視聴率アップのためにはある意味いたしかたないところでもある。それを見ている我々も、ある程度そういった操作が行われていることは感じつつあるため、それによっての被害も限定的であろう。

しかし、地球温暖化といった地球的規模の現象をひとつの切り口で見ることは、かなり危険性も伴う。人為的に天候を変えることは不可能と言いながら、大規模なハリケーン襲来を人間が引き起こしたものと結論付けることにも無理はなかろうか。むろん全く影響はないとも言い切れないものの、それ以外の要因といったものも検証されているはずであり、そういったものの報道もあってしかるべきものではなかろうか。

少子化による日本社会・経済への影響といったものも危惧されてはいるが、突然人口が急減してしまうならばともかく、その影響は今後数年、いや数十年先にかけて、じりじりと影響するものとなるはずである。もちろん対策は打たなくても良い、ということではないが、出生率といったものは本来、人間の意志に働きかけて変動させることができるものではない。環境や社会の変化による動物的な本能によるところが大きいはずである。現実に人間外の動物も環境の変化に合わせて出生率を変化させている。

少子化対策として本来すべきものは、少子化を防ぐことに主眼を置くのではなく、健全な少子化社会をどのように構築していくべきか考えるものでなければならない。少子化は日本経済をダメにするといった切り口も、ある意味、マスコミなどによる結果としての情報操作のひとつとも思える。


2005.11.9「5年国債5年ぶりのクーポン1.0%」

8日に入札が実施された5年国債(51回債)のクーポンは、前回債から0.2%引き上げられ、1.0%ちょうどとなった。5年国債の利率が1%以上となったのは、2000年11月21日に実施された9回債の1.1%以来、実に5年ぶりのこととなった。

この2000年11月といえば、ベストセラーとなった幸田真音さんの小説「日本国債」が発売された月でもあり、市場関係者のみならず一般の人々にも日本の国債が注目され始め時でもあった。この年は国債市場を改革しようと、すでに財務省も力を注いでおり、9月には初の国債市場懇談会が開催されている。

しかし、金融市場関係者にとって2000年の出来事の中で、最も印象深かった出来事としては、8月の日銀によるゼロ金利解除ではなかったろうか。ちなみに現在、債券先物の建て玉も15兆円に迫っているが、これは2000年5月以来でもあり、このゼロ金利解除前の水準となっている。むろん量的緩和解除が意識されてのものである。

そして5年国債が最初に発行されたのがこの2000年の2月からであった。2月1日に入札された第一回5年国債のクーポンは1.0%であった。2回1.1%、3回1.3%、4回1.1%、5回1.2%、6回1.3%まではすでに償還されており、7回1.3%、8回1.2%、9回1.1%も今年12月20日に償還される。このため、5年国債で1%台クーポンのものは今回の51回以降からとなり、既発5年債のほとんどは当面の間1%以下のクーポン主体となる。

ちなみに5年国債のクーポンで最も低いのは、2003年に発行された26、27回の0.2%である。この年の5月から6月にかけて債券がじりじりと買われ、6月6日には5年国債の金利は0.145%まで低下したことなどによる。そして、これが5年国債の史上最低利回りともなっている。そして6月11日には10年国債が0.430%、20年国債も0.745%、30年国債は0.960%にまで低下していた。

11月8日現在、10年国債は1.6%近辺、20年国債は2.1%近辺、30年国債は2.4%近辺となっているが、これと比べても異常なまでに債券が買い進まれていたことが伺いしれる。 5年国債の5年ぶりのクーポン1%ということで、8日に実施された52回の入札は好調なものとなり、債券先物の買戻しも誘った。しかし、日銀の量的緩和解除はほぼ規定路線ともなりつつあり、5年国債のクーポンは今後も1%台をつけてくる可能性も高いものと思われる。


2005.11.9「量的緩和というモルヒネ」

最近、NHKのBSで「コンバット」が再放送されている。現在、昭和30年台が再びブームになっているが、このコンバットが最初に放映されたのは昭和37年である。私の両親もコンバットが大好きで、私も一緒になって見ていた記憶がある。このコンバットの中での「チェックメイト、キングツー」といった合言葉とともに、「モルヒネ」という単語が強く私の印象に残っていた。第二次世界大戦当時、モルヒネは戦闘で傷ついた重傷者のための鎮痛剤として使われていたようである。モルヒネは劇薬であり麻薬であるが、現在でも通常の鎮痛薬で抑えられない痛みに対して使われている。

前置きが長くなったが、バブル崩壊後、金融システム不安やデフレなどの解消などのため、公的資金の導入に加えて、異常とも言える日銀の金融政策でこれまで日本経済を支えてきた。しかし、そういった異常事態があらゆる面で解消に向かいつつあることは誰の目にも明らかとなりつつある中、日銀も類を見ないほどの異常な金融政策である量的緩和政策の解除に向けて一歩踏み出そうとしている。

日銀の政策委員でもある西村氏は、かつて「モルヒネを打ちながら日本経済は非常に大きな困難を乗り越えてきた」と表現していた。その上で、「モルヒネは劇薬だからいつかはやめなければならない」ともコメントしていた。

この量的緩和というモルヒネの作用のひとつに、長期金利を低位安定させておくというものがある。短期金利をゼロに押さえ込むとともに、解除に向けての条件をつけることで時間軸効果を生み出すことで可能となった。

この長期金利の低位安定は、巨額の国債発行を担当しさらに莫大な債務を管理しなければならない財務省にとってもたいへん好都合であったものと思われる。むろん、長期金利の低位安定には財務省の国債管理政策が適切に運営されていたという側面も見逃せないとともに、小泉首相の掲げた財政構造改革路線といったものも国債の信用度を維持させたものと見られる。

しかし、経済が異常な状態から脱しつつある中にあり、モルヒネの使用は早く控えるべきである。そしてまたモルヒネは増税を主体とした財政構造改革には使用すべきものではないと考える。まずは徹底した歳出の見直しを図るべきであり、国民が納得できるだけの歳出削減が可能となったあとに増税を考えても良いのではなかろうか。

プライマリーバランスの均衡化という錦の旗のもとに、構造改革の進展の阻害要因にもなりかねない安易な増税を図ることについては、国民の理解は得られないものと思われるし、それを日銀が異常な政策を続けることで側面支援すべきものでもないと思う。


2005.11.8「2006年4月の電力料金の引き下げ」

5日、東京電力は2006年4月に電気料金を家庭用、産業用ともに、平均の4%前後引き下げる方針を明らかにした。関西電力、中部電力も同様の引き下げを行うものと見られる。

この値下げは燃料費の変動に伴う3か月ごとの料金見直しではなく、人件費や投資などのコストの見直しによる本格改定と見られる。料金を本格改定するのは2004年10月以来で1年半ぶりとなる。

東京電力は、原油高を受けた燃料費の変動による料金改定では10月に家庭用で1.5%値上げしたが、さらに2006年1月には家庭用で料金を2.1%値上げする予定であると発表している。


2005.11.8「中学生のための個人向け国債の賢い買い方 その5」

第5話「国債投資」

「起立、礼、よろしくお願いいたします。着席!」

これまで「お金」についていろいろと見てきたよね。特にお金は運用できるというポイントに注意してほしい。お金の性質のひとつに貯めることができるというものがあったね。自宅のタンスの中に貯めてもいいけど、泥棒に盗まれる危険性がある。お金には誰のお金なのかという情報は入っていない。これは匿名性といった言い方もされ、日本国内ならどこでも使えるといったように、流動性といった意味では使い勝手が良い反面、盗まれたりしてしまうとそれが自分のお金かどうかを識別する方法がなくなってしまうよね。

そこで、郵便局に貯金として預けたり、銀行に預金として預けたりするわけだ。前にも言ったけどこれは郵便局や銀行に貸したことと同じことになるので、利子が貰えるわけだね。単純に保管目的だと保管料なんて別途費用が取られてしまうことにもなる。しかし、預けているのに日曜日にコンビニから引き出そうとするときなど、別途手数料が取られてしまうというのも貸している側としてはなんか納得もいかないんだが。えっ、たいしてお金を銀行に置いてないくせに、そんなことが言えるのかって。スミマセン。

郵便局や銀行に預けることも利子を生むので、お金の運用のひとつとなる。しかし、他に株を買ったり投資信託を買ったりといったように、品物を買うのではなくて財産としての価値を有するものを買うことで、お金を運用することも可能となるんだ。これを金融資産投資といった表現をすることがある。

さあて、眠くなる前にひとつ問題を出そう。ここに金の卵を産むガチョウが2匹いる。えっ、中学生に童話の世界は似合わない?、あっそう、でも少し付き合ってほしい。一匹のガチョウは5年間毎年3個の金の卵を確実に産む。もう一匹のガチョウは5年間毎年5個の卵を確実に産む。この二匹を売りに出したいが、どちらが高く売れるかな。馬鹿にするなって?。もちろん毎年5個の卵を産むガチョウだよね。

それでは今、金の卵を産むガチョウといえば毎年3個が主流だとしよう。そこに5個の卵を産むガチョウが出てきたら、通常のガチョウよりも値段は高くなることは、えっ、あたりまえだって。

それではここに5年満期で年率1%の国債がある。えっ、いきなり、なんだよって。これはガチョウと同じ理屈なんだよ。年率1%ということは、額面100万円の国債だと年間1万円の利子がつくことになるよね。それでは、ここにまったく同じ条件で年率2%の国債もあったとしよう。みんなどうする。2%のものを買うことに決まってるじゃん?。それではもし国債が売買できるとしたらどうなるかな。

普通に買える5年の国債は年率2%だとすると、2%のものは100万円のものは100万円だよね。でも3%のものは買いたい人が多く、多少高くても買ってくるよね。そうなると値段はどんどんつりあがる。ところがある程度の値段になったところで止まるんだ。つまり2%のものと価値が等しくなったところで止まることがわかるかな。

なんか頭が混乱してるって。ここでひとつ押さえておかなければならないのは、5年満期で100万円の額面のものは、5年後にちゃんと100万円で帰ってくるということなんだ。つまり、売り買いされて価格が100万円以上となれば最後は100万円しか帰ってこないので、、買った値段と満期に受け取る金額で差し引き損失が発生してしまうよね。それを利率の違いで相殺できるところまでは、この3%の国債が買えるという計算が働いているんだよ。えっ頭良いって。うーむ、大人の世界はこんなのが一杯ある上、これは非常に簡単な例に

過ぎない。君たちも数学やら理科やらしっかり勉強しないと大人の社会で生活するのは大変なんだから。えっ、そんなみみっちい計算しなくてもいいようなリッチな生活するから良いって。勝手にしてくれ。

でもリッチなお金持ちになるほどこういう計算が得意とも言われているんだけどな。えっ、「リッチ」も「お金持ち」も同じ意味じゃないかって。さすがだな英語も当然勉強しないと、このおじさんみたいな間違いをするという実例を自ら示してあげたんだ。どうだ。は、さておいて、どうやら国債というものは売り買いするものだという感じがしてきたろう。そうなんだ、国債投資というのは国債をまさに買うことなんだ。

利付国債と呼ばれているものは毎年決まった利子が支払われ、額面金額が返ってくる。その点では預貯金にたいへん近い。でも違うところは、国債投資とは、国債という借金証書を国が発行し、それを我々投資家が買うという行動をとることなんだ。だから買いつける値段も額面の金額とは違うケースが多い。

この理由を簡単に説明すると、金の卵のガチョウのケースなどからもわかるかもしれないな。たとえば利率が1%の5年国債が出たときに、5年満期の国債の金利が1%よりもちょっと高く推移していたとしよう。そうなれば、1%の国債の発行単価は100円額面とすればそれよりも安くなることがわかるかな。 なんで100円なんだって?。世の中、これだけ100円ショップが流行っている以上、やはり100円をベースに考えたほうがわかりやすいから、じゃなくて、100円もしくは100%でも100ポイントでも単位はなんでもいいんだけど、債券というものの価値を判断する価格については、昔から100を基準にしていたんだ。何故だといわれても明確な答えはむずかしいけど・・・。えっ逃げるなって。

なにはともあれ、国債は預貯金にとても近いものであるけど、株のように売り買いされて値段が刻一刻と変ること。その値段は100を基準としていることなど覚えておいてほしい、ここは中間テストに出るぞ、たぶん。ということで、本日はここまで。

「起立、礼、ありがとうございました。着席!」


2005.11.7「電子書籍」

携帯電話やアップルのiPodなどの携帯端末での、音楽や動画コンテンツの利用が可能となっているが、日本ではここにきて携帯電話で、マンガなどの「電子書籍」閲覧が急増しているようである。ちなみに「電子ブック」はソニーの商標登録のため、ネット検索などでは「電子書籍」として検索した方がヒットする。

電子書籍のここにきての急激な普及は、携帯電話の液晶画面の広がりと見やすさの向上によるものとも考えられる。また、動画配信を開始したアップルiPodの次の標的は、文字閲覧となる可能性もある。すでに既存のiPodでもテキストデータは読める。さらに2.5インチカラー液晶の新型iPodでは、最近の携帯電話並みの液晶画面ともなっている。ただし、現在のところiTuensでのテキストファイルの販売は行われていない。Podcastingの普及も、名前の通りiPodの普及に寄るところが大きいが、iTuensでテキストファイルの電子書籍を販売すれば一気に普及が拡大する可能性がある。

これまでも既存の出版社が文庫中心にパソコンやPDA、携帯向けのデジタルコンテンツを販売しているが、まだとりあえず乗り遅れまいとのテスト段階となっている。しかし、あらたに原稿を持ち込んでネット出版といったような販売形式を持つサイトも登場している。電子書籍については印刷や流通、書店といったものが必要ない。だからこそ大手書店は、印刷や書店など関連業界の影響もあり積極的に販売できないという事情もあると思われる。

出版不況といわれる中にあって、電子書籍へのニーズが果たしてどれだけあるのかも、具体的に数値はつかみづらい。しかし、アマゾンでも購入するまで少なくとも1日はかかるといったように、見たいときに見ることができるという重宝さが今後重視されるのではないかと見られる。またアマゾンもちょっと見のサービスを今後展開するようで、いずは電子書籍販売も行ってくる可能性がある。

長い文章を携帯で読むのかといった疑問もあるかもしれないが、すでに電子書籍として流通しているものの多くは、マンガを除けば通常の文庫主体となっているなど分量は多い。しかも携帯電話などでは、しおりを挟むといった機能もすでにある。文庫本でも持ち運びにはある程度かさばる上に重さもある。携帯のSDカードに何百冊といった書籍データが持ち込めるとなれば、見やすければ読書好きな国民性も絡めて大きく普及の可能性があると思う。ただし、専用端末まで買って読むことはちょっと無理があり、携帯電話もしくはiPodのもうひとつの機能として考えた方が普及は早そうである。


2005.11.7「中学生のための個人向け国債の賢い買い方 その4」

第4話「投資の話」

「起立、礼、よろしくお願いいたします。着席!」

今日は、投資の話をしよう。まず君たちに問題。投資(とうし)が付く単語をいくつか上げてほしい。「投資家」、そうそういいねえ。他には。「設備投資」、さすが中学生ともなると難しい用語をしっているね。「投資信託」、おっ郵便局でも最近売り出したし中学生も知っているんだね。そして、えっ「遣唐使」?。630年に海外情勢や中国の新しい技術や仏教関係の収集などが目的とされ派遣されたものだね。さらに昨年には日本の遣唐使の墓誌が新たに発見され大きな話題を集めたりした。って、「とうし」違いだっちゅうの。

でも、せっかく遣唐使という言葉が出てきたので、少し歴史の勉強をしてみよう。同じ社会なんだから文句言わないの。

894年に遣唐使の派遣を停止するように進言した人って知っているかな。そうそう、菅原道真だね。この間およそ260年の間に遣唐使は18回計画され実際には15回程度派遣されたんだ。シルクロードなどを通じて世界各地の美術や文化がさらに遣唐使を通じて日本に伝えられ、その一部が東大寺の正倉院に残っていることも知っているよね。その東大寺といえば、ご存知「大仏」があるね。この大仏建立には莫大な費用と人手が使われ、これによって当時の国の財政はたいへん苦しくなった。これも国にとってはひとつの投資、「公共投資」と呼ばれるものでもあるよね。「遣唐使」自体も莫大な費用をかけた公共事業でもあった。結局、こういった公共事業の拡大により、庶民の生活も圧迫し、これによって「墾田永年私財法」といった法が出され、律令制の基礎である公地公民が崩されることになった。その後、荘園制度が発達し藤原氏の天下が来ることになる。以上、遣唐使に関する歴史説明終わり。って、なんの話だったっけ。

そうそう「公共投資」という投資もしっかりチェックしてほしい。それではそろそろ「投資」とは何ぞやについて調べてみよう。君たちもインターネットでいろいろなことを調べているよね。早速、ネットで調べて見ることにしよう。

「投資とは総じて将来的に増加して自らに返ってくるを期待して、現在自己が持つものを投じる行為である。」(ウィキペディアより)

現在、自分で持つものとはこの場合の多くは「資金」を指すものと思われる。「将来的に資本を増加させるために、現在の資本を投じる活動を指す」(ウィキペディアより)との意味で取られることが多いんじゃないかな。お金を増やそうと思って、何かの活動に資金を投ずることだよね。その対象が株ならば「株式投資」になるし、土地とかだったら「不動産投資」となる。事業を拡大するため機械設備などを拡張するのは「設備投資」。日本経済の発展のためと道路や空港などを作ったりするのが「公共投資」だね。

ところが投資は預貯金以上にリスクというものが付きまとう。「どのような形態の投資も、現在と将来の間におけるやり取りであることから、思い通りに増えるかどうか不確実である。そのため投資は大なり小なりリスクと常に隣り合わせである。」(ウィキペディアより)。

世の中、絶対儲かるなんてうまい話はない。ある程度のリスクといったもの、つまり投じた資金が全部は回収できない、とかのリスクがあるものに資金を投じることとなる。そのリスクに応じてリターン、つまり儲けも生まれる可能性がある。リスクとリターンが完全に一致するわけではないけどある程度の相関関係はあるとされるんだ。

ただし、株式投資などで良く使われる「ハイリスク・ハイリターン」という言葉がある。直訳すると「一か八か」ということになるかな。これは投資というよりも、どちらかといえば「投機」という言葉に近い。宝くじや競馬や競輪、パチンコといったものは資金がゼロとなってしまう可能性があるし、株式投資も現在、大流行となっている株式のデイトレードといったものも投資ではなく投機といったものになると思うんだ。「株式のデイトレード」って何?、なかなか良い質問だ。デイトレードという言葉はあとにして「株式」について考えてみよう。

そもそも株式とはいったい何だろうね。会社の株といった使われることもあるよね。もし君たちが大人になって何か会社を起してみたいと考えたとする。その際に必要なのはなんといってもお金だよね。もちろん従業員も必要だけど従業員を雇うにもお金はかかる。その際に、たとえば銀行からお金を借りるといった手段もあるけど、「株式」という制度を利用すれば巨額のお金を集めることも可能になるんだ。もちろん簡単にお金は集められるわけでもない。手続きなどいろいろ複雑な仕組みともなっているんだけど。今回は会社を設立するにはという話ではないので、「株式」ということ仕組みについて見てみよう。

株式とは「株式会社」を設立するために必要なお金、つまり資本の構成単位となっている。つまり株式というのは株を買ってお金を投じてくれた人の出資の割合を示すために用いられるものともいえるんだ。会社がうまく行って儲かるようになれば、その株の値段である株価が上昇するし、1株あたりに儲けに応じて支払われる配当といったものも受け取れる仕組みになっている。ただし、会社が倒産しちゃったりするとその株の値打ちはゼロになってしまうリスクもあるよね。だから投資と言う言い方がされるんだ。

その株は証券取引所というところで売り買いされていることも聞いたことがあるよね。もちろん日本の株式会社の全部の株が頻繁に売り買いされているわけではなくて、会社がそれなりの大きさになるといろいろな人にその会社の株を持ってもらうために、株の売買を行うところに、うちの株も売り買いさせてほしいと頼むんだ。それが許可されると、上場したとか店頭公開したなんて言われる。ちょっとこの変のことも難しいね。でも、取引所で売買されるとなると、株の買占め、つまりその会社を乗っ取ってしまおう、なんて動きも出てくる。これはみんな知っているよね。なんとかファンドによる甲子園を持っている阪神電鉄株の買いとか、楽天によるTBS株の買いといったニュースが世間を騒がせていたよね。

そして、このように上場しているような株式は頻繁に売り買いされ、値段も大きく動くんだ。ニュースでも日経平均株価が上げたとか、下げたとか騒いでいるときもあるよね。でもこの株式の値動きを予測するのはとても難しい。1株あたりの取引単価も下がっているとはいっても、なかなか高い株に個人が投資するのもむずかしい。それならば、個人からのお金をたくさん集めて、その資金の運用をプロの運用者に任せようというのが投資信託なんだ。株の場合は株式投資信託といった言い方もする。そして、投資信託には公社債型投資信託というものもある。おいおい、今日はもう少しなんだから、起きていてくれ。この公社債型投資信託というものの多くは国債を買っているんだ。やっとここにきて本題の国債が見えてきたぞ。さあて、次回はいよいよ国債とはなんだ、に迫ってみよう。今日はこれまで。

「起立、礼、ありがとうございました。着席!」


2005.11.4「長期金利は1.6%台に、5年も0.9%台に」

3日の米国市場では第3四半期の非農業部門の労働生産性指数は前期比年率4.1%上昇しそして単位労働コストは、前期比年率0.5%低下した、これらを受けて米国株は続伸となり、NYダウは10522.59、ハイテク株も上昇したことでナスダックは6週間ぶりの高値で引けた。

ハリケーンの影響も軽微であったことで米国経済は底堅さを見せ付けてきた。これを受けて日経平均株価は、2001年5月23日以来の14000円台乗せとなった。米国経済の先行きは日銀にとってもリスク要因ではあったものの、むしろ日本経済にはフォローの要因ともなりそうで、量的緩和解除観測はさらに高まるものとも思われる。

米債の下落も手伝って、債券先物は4日、寄付から大幅安となり寄付は2日50銭安の136円23銭。先物はこれで10月4日から11月2日まで続いていた136円50銭近辺から137円70銭までのレンジ相場を下抜けしたかたちとなった。後場に入って一時136円も割込む。10年カレントも2004年10月7日以来の1.6%乗せとなり、さらに5年50回は8.5毛甘の0.970%まで売られ、5年債の0.9%台は2004年8月4日以来。

米国経済が思いのほか堅調であり、日銀にとって量的緩和解除に向けたリスク要因のひとつが目先後退した。日経平均は売買高も伴って15000円を目指す動きとなっている。債券先物もチャート上、踊り場から下抜けした格好となり、下値目処もつけにくいが、5年1%が目先意識されるものと見られる。

現物は8日の入札も控え中期主体にさらに売り圧力も強まるものと見られ、1%台乗せがないとも言えない。10年も1.6%台での押し目買いも入ろうが投資家も慎重な姿勢ともなりそうである。株価動向次第では債券はさらに大きく下落する可能性もあり注意したい。11日にはGDPが発表される。


2005.11.2「中学生のための個人向け国債の賢い買い方 その3」

第3話「ペイオフ解禁」

今日はペイオフ解禁についてお話しよう。「ペイオフ解禁」といってもいったい何を言っているのかさっぱりわからないよね。ペイオフはもうみんな英語習っているので、なんとなくわかると思うけど「支払い」とかの意味だよね。じゃあ、解禁ってなんだろう。何か禁止されていたことが再開できるといった意味となるよね。アユ解禁とか。アユと言っても、髪の毛を黒に戻した浜崎あゆみのことじゃないからね。

それではいったいペイオフ解禁とは何を解禁したのだろうか。解禁ということは、何か禁止されていたものがあったはずだね。この話をする前に、先日の郵便局の話の続きを少ししてみたい。なぜみんな郵便局にお金を預けるのか。その大きな理由のひとつに安全性がある。

郵便局は今度、民営化される。それならばこれまではどうだったのだろうか。昔は郵政省という国の組織があったように、まさに国の機関だったわけなんだ。1円切手の肖像にもなっている前島密という人が明治時代に日本の近代郵便制度を作ったんだね。えっも知らない?。そうか今は切手収集なんて流行っていないものなあ。昔の子供たちは、切手を集めることが大流行だったんだ。「見返り美人」とか「月に雁」とかが貴重でなあ。えっ、脱線するなって。その切手も郵便局で売っているんだぞ。

何を言いたいかといえば郵便局に預けたお金は国が保障してくれていたわけだ。これほど安心なものはない。えっ、政治家は信頼できないし国は破産するんじゃないかって。国の借金がめちゃくちゃ多いことは確かだし、政治家への信頼性の問題もあるのかもしれないけど、民間に預けるよりはずっと安全なものであるのは確かなんだ。

それじゃあ、銀行に預けるということは危険なのかって。危険という言葉が適切かどうかわからないけど、民営化される前の郵便局に比べれば、リスクは高いともいえる。でも、実は銀行に預けていた人たちは、暗黙のうちにそれは絶対安全であると思い込んでいたんだ。良く考えてごらんよ。銀行がお金を貸すときには、すごい審査が必要なんだよ。ご両親の中には住宅ローンを組んだり、ご商売しているところは銀行かせお金を借りている人も多いはずだけど、そりゃたいへんな手続きが必要になるんだ。

ところが、私たちが銀行にお金を貸す(預ける)際には、銀行の審査なんかしてないよね。その銀行が何やっているのかなんて調べもしないし、むしろ預ける方が手続きさせられるぐらいだよね。まさに貸すんじゃなくて金庫代わりに預けているという感覚が強いはずだよね。

ところがどっこい、この銀行というか金融機関も破綻するという事実が発覚してしまったんだな。1995年3月に東京協和信組と安全信組というところが解散した。原因は乱脈経営だったんだけど、これで国会は大混乱。なぜかって?、みんな金融機関は安心だと思い込んでいたところでの破綻騒ぎ。そして、金融機関の破たん処理に対しての原則すらないことが明らかになったんだ。この年の7月にはコスモ信金に対する東京都の業務停止命令があり、8月には兵庫銀行と木津信組の経営破綻が明らかになった。兵庫銀行の場合は戦後初の銀行破綻ということになってしまった。

そこで乗り出したのが国なんだ。金融機関が万が一破綻しても預金は全額守らますから!と、預金全額保護の特例措置が取られるようになった。それではそれまではどうなっていたのだろうか。1971年に預金保険法というものが制定されて、預金保険制度というものが出来た。これによって金融機関の破綻に際して、預金保険制度に基づいて、預金者には保険金として預金の一部を支払いたしますよ、ということになった。これが先ほどの「ペイオフ制度」なんだ。この制度は1971年に支払い限度額100万円でスタートし、1986年には上限額が1000万円に引き上げられていた。ところが、いざ金融機関が破綻してしまったら、みんな不安になってしまった。当時はすでに金融機関が多額の不良債権を抱えていることが知れ渡り、信用不安が広がってしまう恐れがあるとされたんだ。友達だっていったん信用できないとなったら、なかなか信用取り戻すのは難しいよね。お金の問題にはこの「信用」ということがたいへん重要な要素にもなっているんだ。

それはともかく、こりゃたいへんなことにと、国が慌てて預金全額保護の特例措置という手段に打って出た。これによって預金保険制度が凍結されてしまったんだ。これをペイオフを凍結といった表現をされたことで、これがあらためて解禁されることになったものなのでペイオフが解禁されたと言うわけなんだ。いやあ、言葉ひとつとってもなかなか奥が深いことがわかるよね。何人か、眠りが奥深い生徒もいるようだが。

1996年には、2001年3月末までの間、特例措置として預金の全額を保護することが決められたんだ。誰が保護するんだろうね。えっ、国。そうそう、でもよーく考えよう、お金は大事だよ、じゃなくてそれは政治家が身銭を張ってがんばってくれるわけじゃなく、私たちの税金が投入されることとなるわけだ。なんてことはない、私たちがお金を貸してあげている銀行を守るために、私たちの貴重な税金が使われてしまうという、なんか変な話となってくるわけだ。でも信用不安が起きたらそれどころじゃないだろうと言われれれは、そういうものかと。

さらに大きな銀行と比較して相対的に経営体力の劣る中小の地域金融機関から預金などが流出する可能性が高いと政府は判断したことで1999年末に再び2002年3月末までペイオフ凍結を延長することにした。これもなんか無理に理屈付けしたようにも思われる。そして2002年4月にペイオフの部分解禁が行われて、定期性預金は定額保護に戻ったんだ。

でも当座預金や普通預金、別段預金といわれるものの全額保護の期間は2005年3月末まで2年間延長されることとなった。そして、2005年4月にやっとペイオフが全面解禁されたというわけた。これでペイオフ解禁とは何かってこと、わかったかな。今日はペイオフ解禁の話だけでだいぶ時間を取られてしまったようだ。でもこれで多少、預金といったシステムが理解できたんじゃないかな。今度は預金や貯金と投資との違いについてお話したい。では、今日はこれまで。

「起立、礼、ありがとうございました。着席!」


2005.11.2「代行返上 文庫版」

幸田真音さんの小説「代行返上」が文庫化され、今週土曜日の11月5日に小学館文庫から発売されます。日本が抱える年金問題について小説というかたちで鋭く切り込んでいる意欲作。まだお読みになっていらっしゃらない方はこの機会にぜひ読んでみてください。知っていそうで意外と知らない年金制度。金融市場への影響といったこともむろんですが、それ以前に自分の問題として捉えておく必要があるのが、年金問題かと思います。


2005.11.2「中学生のための個人向け国債の賢い買い方 その2」

第2話「郵便局の役割」

「起立、礼、よろしくお願いいたします。着席!」

さて、今日は郵便局のお話をしよう。小泉首相が「郵政民営化」というのをすすめようとしていたことは知っているよね。ところが参議院で郵政民営化関連法案が否決されてしまったために、衆議院を解散して国民に是非を問おうとしたんだ。えっ、難しすぎるって。うーん、たとえば生徒会長に立候補したK君がいたとしよう。毎年富士箱根方面に行っていたのだけれど近隣の中学校はみんな関西方面に行っている。そこで、K君は生徒会長への立候補に当たり、修学旅行を関西方面とすることを公約としたんだ。そして見事生徒会長に当選を果たしたのだが、あっさり職員会議でそれは否決されてしまった。そこでK君は、全校生徒集会を開いて生徒に「関西旅行に行きたいか!!」と聞いたところ、大多数の生徒が「行きたい!!」と答え、結局、職員会議でも再度検討された結果、関西旅行が決定したというわけだ。(一部脚色あれどこれはほぼ実話、私は中学生時代、生徒会の会長を務めておりました。関西には行けなかったけど、翌年からは・・・)

ということで関西旅行と郵便局の民営化にはほとんど共通点はないものの、国民の多くが郵政を民営化すべきと思っているということが、選挙結果とした現れたことは確かだね。それではなぜ郵政は、いや郵便局という便利なものを民営化しなくてはいけないのだろうか。

前回、郵便局にお金を預けることが貯金で、銀行に預けることは預金だと言ったのを覚えているのかな。正確に言うと農協(JAバンク)、漁協(JFマリンバンク)に預ける際にも預金ではなく貯金と言っているそうだよ。貯金はあくまでお金、特に小銭を貯めるといった感じだよね。預金はお金をまさに預けておくこと。預けるとなればそれなりにまとまった額がイメージされるんじゃないかな。

つまり郵便局の郵便貯金は、わたしたち庶民が少しずつお金を貯めていくためにできたものともいえるんだ。宵越しの金は持たねえ、なんて江戸っ子を気取ってないで、もしもの病気とかなったことも考えて、節約に努めて、少しでもお金が余ったら郵便局に預けなさいということなんだ(郵便貯金開設当時の広告などに掲載)。国が作ったものなんだから、安心して預けられるという利点もあったのじゃないかな。そもそも銀行ができた当初は大口のお金しか預かってくれなかったらしいんだ。そのうち小口のお金も預かるようになったものの、庶民の金融機関としては郵便局が便利で身近で安心だったのだろうね。

身近で便利で安心、その上利子もそこそこ高いとくれば、みんな郵便局にお金を預けるよね。それがたまりにたまって200兆円以上にもなってしまったんだ。想像もできないよね。日本人の貯蓄好きがそうさせたなんて解説もあるけど、もともと日本人ってそんなに貯蓄好きではなかったはずなんだ。先ほどの江戸っ子の話はどうも本当のようなんだ。ところが、明治時代以降、国が産業を育成するために、庶民には倹約してお金を貯めることを勧めた結果、いつのまにか貯蓄好きな国民となってしまったようなんだ。

国民みな貯蓄に励み、銀行にお金が溜まると、銀行はそのお金で事業会社などにお金を貸していったんだ。会社は資金を借りて設備投資などを増やす。つまり工場を増やしたり、そのための必要な土地を買ったり機材を買ったりするんだ。そうやって日本は戦後も大きく経済成長を遂げたというわけさ。これがいわゆる間接金融と呼ばれるものなんだ。わたしたち庶民が直接お金を企業に貸すのではなくて、間に銀行が入ってちゃっかり鞘を抜いているわけだ。

そもそも、わたしたちはお金を銀行に預けていると思っているけど、よく考えると、本当は銀行にお金を貸してあげているいるんだよ。もちろん家に置いておくと、奥さんに見つかってしまう、じゃなくて、盗難の危険とかもあるし、金庫に置いておくのもいいけどそれでは利子も付かない。誰かに貸して利息をもらうにも返してもらう保障もないし、どこに貸せばいいかわからない。それならば預けてもらいましょうと銀行があるわけなんだ。

銀行にすれば預かってやっているし、利子まであげるんだ、文句あっかというわけで、昔の銀行窓口では場合によってはかなり待たされた上で事務的な対応で銀行にお金を預かってもらったんだ。今ではATMができて便利になってはいるけど、お金を貸しているのに機械に「ありがとうございました」といわれるだけで利子もほとんどついてない。えっ、何か銀行に恨みでもあるのかって。いや特にそんなことはないのだけれど。

でもなんか変だよね。しかも銀行はわたしたちのお金を今度はしっかり企業に「貸して」あげるんだ。しかもしっかり利息を取って。企業も銀行が貸してくれないと資金繰りがたいへんだから、銀行様様になる。銀行が儲かる仕組みがこれでわかったかな。えっ、やっぱり銀行に恨みか何かあるんじゃないかって。だからそんなんじゃなくて、そういえばそもそも郵便局の話じゃないか。そうだった。話を今度は郵便局に戻そう。

それでは郵便貯金に集まったお金はどうなっているのだろうか。これがまさに複雑怪奇なんだ。というか、政治家にとってたいへん都合の良いシステムが構築されてしまって、ここにあまーい蜜のにおいがしたわけだ。やや複雑なシステムだけど、寝ないで聞いてほしい。

郵便貯金で集められた資金は、年金の積立金といったものと一緒に、大蔵省の資金運用部というところに集められていた。えっ、今は大蔵省じゃなくて財務省じゃないかって。まあまあ、それはあとで説明するって。その資金運用部というところに集められたお金は預託という形で統合して運用され、その資金を国債とか、国や地方公共団体、そして「特殊法人」などの事業の原資として貸し付けることで運用されていたんだ。だから眠らないでくれ、こんなわかりにくさが、既得権益を握っていた人たちには都合が良く、だから郵政改革が必要だと小泉さんはがんばったわけなんだ。そして今度は特殊法人改革も不可避とみられている。この特殊法人については国債にも関わっていることもあり、今度あらためて解説したい。

そして「この資金運用部の資金に簡保の資金などを加えた財政投融資といわれたものが、社会資本の整備事業や民間金融機関では供給困難な融資事業に政策的に必要な資金を供給してきました」と解説されていた。

さあて、賢明な諸君ならば、この解説に何か矛盾点を見出せないかな。「社会資本の整備事業」とはこれまで小泉首相が問題視してきた道路や新幹線や空港整備などのことを示すと思われる。これは確かに国がやるべき事業かもしれないけど(とはいっても民間でもできる部分も相当あるはず)、あくまで資金運用部を通じて「貸してもらっているんだ。しかも、民間金融機関では「供給困難な融資事業」ということは、銀行などが、返してもらえる保障もないような危ないところにお金を貸しているということにもならないかなあ。これって、返済の可能性という意味ではそんなに高くはないようにも思えるんだけど。

つまり、本来ならばお金がなくて、なかなか建てたりすることができないものも、こういった資金を使うことで可能となる。建設業界なんかにとってはお仕事くれるんだから、こりゃいい制度だよね。地元の人も、おおっ、高速道路ができたとか、新幹線が来たぞなんて喜んでくれる。議員さんにとっては、選挙区の人たちに喜んでもらえる上に、地元でお金を落としてもらえば、それだけで次の選挙は、うっしっしともなりそうだよね。

でも、それに待ったをかけたのが小泉さんとも言えるんだ。もう国も莫大な借金抱えて、身動きも取れなくなっているのに、そんな使える資金があるからと、自分達のために勝手に使われたらたまったもんじゃないよね。名目は地元民、いや国民のためと言うかもしれないけれど。

と、その前にこの財政投融資制度というのはすでにある程度改革されていることも言っておかなくちゃならないよね。だからさっきはわざと財務省といわずに大蔵省と言ったんだ。現在では郵便貯金のお金は郵便局、つまり現在の郵政公社が自分で運用することになった。これで少し安心したかな。それじゃあ、これまで資金運用部で借りていたところはどうしたんだろうね。自分達で借りられれば借りようと債券を発行したりしたんだけど、それも無理となったら、財投債という国債を国が発行して貸してくれているんだ。でもこの財投債というのは、結局、私たちの借金でもあったりする。そんな話はまた今度。それでは、本日はこれまで。

「起立、礼、ありがとうございました。着席!」


2005.11.1「日銀の展望レポート」

10月31日に発表された日銀の展望レポートにおいて、コアCPIの今年度及び来年度予想は、ほぼ事前に新聞などで報道されていたものと同じものとなった。しかも政策委員全員の見通しと大勢の見通しが全く同じものとなっていた。これは予測ではあるものの、審議委員が一丸となって量的緩和解除に向けての強い意志表示を示したものとも受け取れる。

ちなみに、2005年度のコアCPI予想は0.0〜+0.1%で中央値は+0.1%(4月の見通しは、-0.1〜+0.1%、中央値-0.1%)、2006年度の予想は+0.4〜+0.6%で中央値は+0.5%(同+0.2〜+0.4%、+0.3%)。

そして展望レポートの「金融政策運営」においては、今回の展望レポートの経済・物価見通しが実現することを前提とした上で、「現在の金融政策の枠組みを変更する可能性は、2006年度にかけて高まっていく」「枠組みの変更は、日本銀行当座預金残高を所要準備の水準に向けて削減し、金融市場調節の主たる操作目標を日本銀行当座預金残高から短期金利に変更することを意味する。」「枠組み変更後のプロセスを概念的に整理すると、極めて低い短期金利の水準を経て、次第に経済・物価情勢に見合った金利水準に調整していくという順序をたどることになる」としている。

量から金利への枠組み変更の宣言ののち、ある程度の時間をかけて当座預金残高を所要準備の水準に向けて削減し、その間はゼロ金利政策とし、その後状況を見ながら金利の目標水準を引き上げていくと見られる。

それでは、量的緩和解除の時期はいつ頃と推測できるであろうか。レポートでは「現在の金融政策の枠組みを変更する可能性は、2006年度にかけて高まっていくと」しており、これまでの福井総裁コメントとほぼ同じ内容となっているが、コアCPIの予想をこの時点で、緩和解除の条件を満たす水準にまで引き上げられている点に気をつけたい。来年4月末に発表される展望レポートの内容を確認してとの見方も現在強いが、すでに10月レポートの予測でその基準は満たしているとも思える。このため、実際に全国コアCPIがゼロ以上に浮上し、それが数か月続くことを確認し、その間、レポートの指摘する「海外経済の想定外の減速など大きな外的ショック」などなければ解除に踏み切る可能性が高い。

10月の全国コアCPIはゼロ以上になる可能性が高く、その後もゼロもしくはプラスとなろう。3か月分のコアCPIを確認できるのは来年1月27日であり、確認後の決定会合は2月8・9日となり、この際に量的緩和が解除される可能性が高まったと思われる。


2005.11.1「水野シナリオに沿った量的緩和解除プロセス?」

まずは、以下のコメントを読んでいただきたい。

「個人的には、金利を中心とする枠組みへの移行、すなわち、金融市場調節の誘導目標を量から金利へ移行する場合、(1)当座預金残高目標を引き下げるプロセス、(2)無担保コール翌日物金利をゼロ近傍に維持して短期金融市場の機能回復を待つプロセス、(3)無担保コール翌日物金利をゼロ近傍から中立的な水準に近づけるプロセス、という3つのプロセスを念頭においています。もちろん、当座預金残高目標を引き下げるプロセスをスタートさせる前に、日本銀行が量的緩和政策の枠組みから、金利を中心とする枠組みへのシフトを宣言する可能性 はあります。しかし、その場合でも、無担保コール翌日物金利をゼロ近傍からプラスの水準に誘導するには、当座預金残高目標をいわゆる所要残高近辺まで引き下げる必要があります。」(2005年 6月 2日福島県金融経済懇談会における水野審議委員挨拶要旨より)

そして、10月31日に発表された日銀の展望レポートは下記のような内容となっていた。「枠組みの変更は、日本銀行当座預金残高を所要準備の水準に向けて削減し、金融市場調節の主たる操作目標を日本銀行当座預金残高から短期金利に変更することを意味する。」「枠組み変更後のプロセスを概念的に整理すると、極めて低い短期金利の水準を経て、次第に経済・物価情勢に見合った金利水準に調整していくという順序をたどることになると考えられる。」

展望レポートにも量的緩和解除のプロセスが明記され、日銀は来春に向けての量的緩和解除に向けての強い意志表示を示したものと思われるが、そのプロセスの内容自体は、水野審議委員のイメージしていたものと非常に近いことが、この2つのコメントを比較するとわかる。

水野審議委員も量的緩和解除に向けて就任時から強い意思表示を示していたとも言われるが、福井総裁自身の考え方に非常に近いものであったと思われる。水野氏は当座預金残高目標を引き下げるプロセスを先に行うことを主張していたが、実際に日銀は5月20日の決定会合を前に、それを検討していた節がある。ただし、谷垣財務大臣の強力な反対にあったために「なお書き」修正に留めたといった見方もあった。

このように、現在の福井日銀が描いている量的緩和解除のプロセスは、これまで水野審議委員の描いていたプロセスにたいへん近いものとなっており、今後さらに水野審議委員のコメントがクローズアップされてくる可能性もある。


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