27日の毎日新聞は結局誤報であったとみられ、本日の読売新聞や産経新聞では須田委員の再任へとの記事が出ている。
たしかに過去5年間の任期をまっとうしたのち再任された例はなく、これは極めて異例の続投ともみられている。しかし、日銀にとっては今後の量的緩和解除に向けての舵とりをする際にも須田委員の存在も大きく、まったくの推測ながらも日銀内部からの留任を求める声に政府も結果として了承したものとも捉えられる。
政府が日銀の量的緩和解除に反対の姿勢であるという認識がなにやらコンセンサスに近いものとなっているようであるが、あまりそのように決め付けるべきではない。確かに竹中総務相などは成長率よりも長期金利が上回らないといった持論もあってか日銀の量的緩和解除に対して強固な反対姿勢を示している。
竹中氏に近いと言われる中川政調会長も竹中氏を擁護するようなコメントをしているとともに、やはり竹中氏の考え方に近いのが安倍官房長官とみられる。こういった政府・与党の要人に加え、金融政策に関する小委員会の委員長に対日銀の急先鋒たる山本幸三氏が就任していたことで、どうしても日銀に対して批判的な見方がクローズアップされている。さらに谷垣財務大臣は巨額の政府債務を抱える財務大臣としての立場から、やはり日銀の動きを抑制するようなコメントが見られた。
しかし、今回の須田委員の再任といったことを見ても、こういった政府の意向といわれるものが反映されてはいない。須田委員は審議委員の中にあって量的緩和解除に前向きの立場にいるにも関わらずである。政府が日銀の動きを抑制したければ日銀内部からの意見を無視しても緩和解除に懐疑的な人材、少なくとも中立的な立場の人材を送り込んでもおかしくはないはずである。
つまりは政府の一部から日銀の量的緩和解除に反対の声が強い余り、それが政府の意向と捉えることはこれを見ても考えづらいところがある。これは以前にも指摘したように、政府側トップの小泉首相の意向を、政府の意向として捉えておくべきものと見られるためである。
小泉首相は何かを決定する際には、適切な見方を持っているとみられる人たちに意見を聞いて判断することが多いそうである。もし今回の審議委員の人事などについて竹中氏の意見などを尊重していれば結果は異なっていたともみられる。どうやら日銀の金融政策に関しての首相のブレーンはまた違うところにいるのではないかとも思われる。勝手な推測で言わしていただければ、今回、政府の郵政民営化委員長に就任した田中直毅氏なども可能性があるようにも思われる。
27日の毎日新聞によると、3月31日に任期満了となる須田美矢子日銀審議委員の後任として、世界銀行エコノミストの竹内佐和子氏を起用する方針を政府は固めたようである。ただし、須田委員の留任の可能性もあるようなので、まだこれについては流動的ともみられている。
日銀政策委員のメンバーは現在のところ、福井俊彦総裁(任期は平成20. 3.19まで)、武藤敏郎副総裁(同平成20. 3.19)、岩田一政副総裁(同平成20. 3.19)、須田美矢子審議委員(平成18. 3.31)、中原眞審議委員(平成18. 6.16)、春英彦審議委員(平成19. 4. 4)、福間年勝審議委員(平成19. 4. 4)、水野温氏審議委員(平成21.12. 2)、西村清彦審議委員(平成22. 4. 7)と、女性は一人しかいない。バランスから見れば少なくとももう一人ぐらい女性委員がいたほうが良いようにも思うが。
竹内氏の専門はご自身のホームページによると、投資工学(知的資産価値指標を用いた企業価値評価と成長力分析)やヒューマンニーズに対応した次世代型都市システムのデザインだそうである。世銀においてはでは東南アジア都市融資部門と中国四川省関連のプロジェクトを担当し、マスコミなどでも報じられていたように、昨年11月の経済協力開発機構(OECD)事務総長選に日本の推薦で出馬していた。
本日の毎日新聞に「日銀:短期市場部門 大手行に資金取引体制の整備促す」との記事があった。「日銀は26日、量的緩和政策の解除に備え、大手行などに対し、短期金融市場での資金取引体制の整備を促す方針を明らかにした」そうである。しかし、すでにヒアリングなどを通じて、そういった準備を勧めるよう促されていたとも見られているが、それをさらに推し進めるために、日銀はマスコミを通じてのコメントも出してきたものとみられる。
本日発表された12月の全国消費者物価指数は前年同月比+0.1%となり、2か月連続でプラスとなった。10月も前年比ゼロとなっておりゼロ以上とすれば3か月連続となる。このため、日銀の量的緩和解除に向けた条件も徐々に整いつつあり、早ければ3月、コンセンサスとしては4月末にも量的緩和が解除される可能性は極めて高い。
しかし、記事にもあるように、無担保コール翌日物取引など短期金融市場の機能は量的緩和政策により、事実上機能不全、休止状態になり、民間金融機関は日銀から金利ゼロの資金をいつでも必要なだけ調達できるようになっている。このため銀行などは担当部署の人員削減などのリストラを進めてきた。これは銀行だけに止まらずその仲介役ともいえる短資会社も同様であると聞く。
しかし、量的緩和政策が解除されれると、再び民間金融機関同士で資金を融通しあう短期金融市場に資金調達を頼ることになる。かなりの経験やネットワークも必要とされるため、ある種の職人芸に近いものといったものでもある。そういった経験者が皆無となってしまっては、いざ金利が正常化に向かった際には銀行自身が対応できなくなってしまうリスクがある。
このため日銀も研究論文や政策委員の講演、会見などを通じ、金融機関に短期金融市場部門の充実を要請することにしたようである。ただし、大手行についてはかなり準備も進んでいる見方もある。反面、地方銀行や短資会社などはまだ整備が遅れているところもあると言われる。これまでほとんど何も考えなくても資金が調達できたものから、資金繰りのノウハウが再び求められることとなり、金融機関の早急な対策も必要になろう。
13日に訪米中の谷垣財務相は記者団のインタビューに応じ、日銀の量的緩和解除に対して、容認するようにコメントをしていた。 仮に今年中にデフレから脱却した場合、量的緩和解除も当然あるということかとの質問に対して、 「当然ということかどうかは分からないが、議論としては、ある程度、連続した面があることは事実だろう」
日銀が年内に量的緩和解除に踏み切った場合、政府との見方が一致している以上は反対しないのかとの質問には、
「政府と日銀があさっての方向を向いているようなことはよくないので、やはり基本的な認識は日銀法4条にもあるようにすりあわせていかなければいけない。反対するような状況は現在、想定しているわけではもちろんない。日銀は3条件を出しており、日銀自身も、幅広く背景にあるものもみながら考えていく姿勢を総裁が示している。そういうあたりを、よく認識をすりあわせながら幅広く考えていく、そこで、政府と日銀の判断が食い違うことを前提にして考えるのは間違いだと思う」
谷垣財務相は17日にもあらためて、「量的緩和解除は拙速に判断すべきではない」としながらも「量的緩和解除、日銀が示す3条件を満たすことでよい」ともコメントしている。憶測に過ぎないものの、日銀の量的緩和解除擁護の姿勢とみられるグリーンスパンFRB議長との渡米時の会見の影響といったものも少なからずあった可能性もある。
そしてまた16日に今度は与謝野経済財政担当相が通信社のインタビューに答え、 「量的緩和を少しずつ解除していく、ゼロ金利を若干上げるという時に、マイナスの影響を与えてはならない。注意深い移行が必要だ」と述べたと伝えられている。
もともと与謝野氏は日銀の量的緩和解除に理解を示していたとも見られていた。しかし、竹中総務相やその意を受けたとみられる中川政調会長が量的緩和解除反対の姿勢を強めていたことで、与謝野氏もややトーンダウンしていたが、小泉首相と福井総裁の会談を経て、さらにここにきて以前の姿勢に修正しつつある。
最大のキーパーソンが小泉首相であることは以前にも指摘したが、議決延期請求権を行使できる立場にある2人の担当大臣である谷垣財務大臣と内閣府を担当する与謝野大臣が、日銀の量的緩和解除に対して容認とも言える姿勢を示した。これにより4月末にも量的緩和が解除される可能性はさらに高まったとみられる。そして、焦点はその先にある本格的な利上げに移っているとも思われる。
結局は耐震強度ゼロ、鉄骨ではなく札束によって形作られた企業がライブドアであった。私もパソコンやネット歴は長いが、その中にあって怪しいものには近づくなという鉄則を守っている。その中にライブドアがあった。自分のブログを選択するにあたって真っ先に排除したのもライブドアである。ネット企業もいろいろ見てきたが、なんとも得体の知れず、実体のない会社であったためである。
マッキントッシュやiPodを生み出したアップル。アップルの二番煎じと言われながらもウインドウズで世界シェアを取ったマイクロソフト。こういったIT企業は自ら売るものをしっかりと持ってる。しかし、ライブドアが売っているものはせいぜい買収先の企業がこれまでやってきた商売にすぎなかった。
金融ビックバンや個人のネットによる株売買の隆盛の波をうまく泳ぎ、時価総額の伸びをうまく利用して、実体を持たないホロウの企業が社長のカリスマ性などを武器に巨大化していった。
しかし、虚像は虚像であった。現代社会にあっても錬金術はなく、何も生み出さずにカネだけを生み出すには法の網を潜り抜ける他に方法がなかったのであろう。
ライブドアはそのからくりが暴かれた以上は、すでにデスドアと化している。虚像を膨らませようとマネーゲームに現を抜かしたライブドアの経営陣、そしてそのマネーゲームに踊った個人投機家たち、いずれ虚像は消え去るのみ。
「脳トレ」がやりたい!、との声に答え、今更ながら秋葉原のゲームコーナーを回ってみると、どこもかしこも「ニンテンドーDSは完売、入荷待ち」状態。ネットのアマゾンも同様であった。
DSの累計普及台数は昨年末までの実売ですでに500万台を突破し、松嶋菜々子さんのCMでさらに火がついていたそうで、600万台を超えるのも時間の問題だとか。気がつくのがあまりに遅かった。特に「脳トレ」は幅広い世代からのニーズを集めていることで、子供たちにねだられても親が「もう少し待ってお小遣いをためてからにしなさい」状態ではなく、まさに「大人買い」が入ったことであっと言う間に売り切れてしまったとも予想される。
欧米市場でも「ニンテンドッグス」が北米と欧州でもミリオンセラーを達成しており、やはりDSの人気が高い。そして昨年末、三女がほしがっていた「おいでよ どうぶつの森」は国内累計出荷本数100万本を軽く突破していたようで、ミリオンタイトルもすでに4作品もあるとか。
今後も売れ筋のタイトルが続々出てくるようで、特に注目されるのはゲームボーイの普及に大きく貢献した「ポケットモンスター」の新作か。ポケモン世代もすでにそれなりの年齢に達していると思うが、やはりニーズは相当あるものとも予想される。
そんなことより、はやくDS本体を探さなくてはならないのだが。それともその前に任天堂の株を買ったほうが良いのか。ずいぶん高くなってはいるが・・・。
財務会計基準機構は、物価連動国債の会計処理見通しについて公開草案を27日に公表するとしたようである。この公開草案では、物価連動国債の会計処理見通しが他の利付債並みにとなり、今3月期からの早期適用も可能としているものとみられる。約1ヶ月の間でパブリックコメント手続きを行い、年度内には最終的な適用指針を公表する運びとなるようである。
物価連動債に関する会計処理の問題については、財務省が財務会計基準機構等との協議を開始して以降、同機構等において検討いたものとみられる。昨年の10月28日には、同機構の企業会計基準委員会において、物価連動債の会計処理の見直しが正式に議題として取り上げられ、金融商品専門委員会に付託されることが決定され、同専門委員会で本格的に議論が行われることとなった。
物価連動国債は複合金融商品として認識されているが、デリバティブ部分のリスクが当初元本に及ぶ可能性は低いとして、一体としてその他有価証券に区分することを容認する物となると観測されている。包括的な償却原価法の適用が可能になるようである。しかし、リスクが当初元本に及ぶ可能性は低いとしながらも、償還元本及び総受取利息金額が確定しないことから、満期保有目的債権への計上は認めないとされるようである。(一部、TFJ クレジット・リサーチ部の八須氏のコメントを参考にさせていただきました)
1月20日の日銀金融政策決定会合終了後における福井総裁の会見要旨が日銀のホームページにアップされたので、その内容を見てみたい。
「枠組み変更後のプロセスは、極めて低い短期金利の水準を経て、次第に経済・物価情勢に見合った金利水準に調整していくという順序を辿るということである」
量的緩和解除後のプロセスについてのコメントであるが、これまでの内容とほぼ同じものとなっている。私の個人的な見方ではあるが、4月末の決定会合での量的緩和解除の可能性が高いと思われ、景気の大幅な落ち込みはなく物価が上昇基調となることが確認できることを前提に今年秋あたりの利上げの可能性が十分あるとみられる。
「物価指数がまだ少しマイナスである、あるいは少しプラスになったばかりであると、非常に視野を狭くして見るのではなく、もう少し経済全体の動き、人々の先行きの物価観、それらの中から出てくる色々な方向への変化をすべて把握した上で、正しい情勢判断をしなければならない。局面はそのように変わってきていると理解している。」
量的緩和は時期尚早との見方に対してのコメントである。単純に物価だけの動きではなくもう少し視野を広げて、日本経済を取り巻く流れといったものを認識すべきとの意見であるかと思う。日本経済の先行きに楽観的な私としては同意する部分が多い。
「この先、金融政策にとってもっとも重要なことは、情勢判断に即応できる、つまり機動性の高い金融政策であり、何か特定のことに縛りを受けている──ストレート・ジャケット(拘束服)を着たような──金融政策は必ず害が出るということである。従って、金融政策運営の透明性とフレキシビリティーの両立というポイントは欠かせないと思う。」
これは量的緩和解除後に何らかの道しるべが必要と述べていたことに対しての追加コメントとみられる。「何か特定のことに縛りを受けている」とか「ストレート・ジャケット(拘束服)を着たような」という言葉から、インフレターゲットやインフレ参照値といったものは採用することは想定していないことがうかがい知れる。。
「物価に関して特定の参照値という形で何かを示すことが、今後の日本経済情勢とか日本経済を巡って人々が抱いている期待との関係で本当に良い手法なのかどうか、よく検討しなくてはならない。議論としては極めて単純にターゲットだとか参照値だとか出ているが、過去のパターンをそのまま引用したような議論が多く、私どもとしては多少閉口している。実は、透明性の議論の幅は非常に広い。皆さんも心にゆとりを持って、どんなものが出てくるのかというぐらいで楽しみに待っていて頂きたい。」
上記の続きであるが、「私どもとしては多少閉口している」という部分は学者というよりも政治家に向けられたものなのであろうか。それにしても、どんなものが出てくるのか楽しみではあるが、それほどマーケットに対しては、インパクトのあるものでもないものと思われる。
「むしろイールド・カーブはよりフラット化する方向になっている。イールド・カーブのフラット化について、市場が先行きのリセッションを明確に予測していると読み取る人は非常に少ない。」
「今のイールド・カーブの形成のされ方は世界的にまだ十分解明されていないところがある。しかし、実際、実体経済そのものが様々なリスクを吸収しながら安定的に前進しており、先行きの見通しについて非常に多くの人が確信を持っている状況で、今のイールド・カーブの形成のされ方について、どこかに大きな落とし穴があるというよりは、何がしかコンシステント(整合的)なところがあるのではないかという推測を交えながら注意深くみているという状況である。」
長期金利の動向についてである。世界的にフラットニングの傾向にあり、日本も同様となっているが、それは先行きのリセッションを予測してのものではないとしている。別途要因が当然あるはずであるが、世界的に十分解明されていないともコメント。これはグリーンスパンFRB議長の「謎」発言と相通ずるところか。何がしかコンシステントなところは市場内でも論議されているところではあるが、まだ明確な答えも見つかっていない。
ここのところ株の個人投機家に絡めてのコメントを続けているが、今回もこの問題を取り上げてみたい。債券関係者が20年もの前ぐらいに行ってきたようなことを、現在の個人の投機家たちも行ってきている、まさに歴史は繰り返すというかもしれない。結果としては相場は相場なのであり、債券と株という商品は違えども、売買手法は似たり寄ったりなものとなりうる(ちなみにプロのデイトレーダーは株や為替市場にも存在している)。
デイトレードや日計りといわれるように一日何度も売り買いを繰り返す売買においては、まず全体のバイアスが売り買いどちらにかかりやすいのか。またそのバイアスを変える可能性のある事象は何になりそうなのかを見極める。それは相場が始まる前にある程度、自分なりで分析をしておく。ただし、状況は常に変化するため、朝方の予想はあくまで朝方の予想であって、状況変化には即時に対応する必要がある。
そのために見ておく必要があるのがテクニカル分析となる。20年近く前では債券先物のティックデータを残しているようなベンダーはなかった。このため、私はいちいちついた値段をすべてポイント&フィギュアでグラフ用紙に記入して、相場の流れをつかんでいた。もちろんデイリーのローソク足などをグラフ用紙につけることも必須としていた。
現在ではパソコンやインターネット、そして証券のネット取引の環境整備によって個人も家にいながらにして、こういったグラフも瞬時に引き出せる。しかし、相場の動きを実感としてつかむには、自らグラフ用紙に書き込むのが一番であると今でも思っている。それはともかく、ティックデータを元にしたグラフは、アマといえど随時チェックしているものと思う。
テクニカル分析はデイトレードにとっては最も重要視されるものではある反面、それが絶対ではないことも経験を積めばよくわかる。当時、流行していたものに「酒田五法」とか「一目均衡表」なるものがある。また月の満ち欠けやアストロジー(占星術)といったものを使う者もいた。最近ではこの酒田五法の本がまた売れているようであるが、さすがにアストロジーとかまでは手は出されていないか。
債券先物でシステム売買が流行したのも1980年代の終わりごろにかけてかと思う。大手証券や大手銀行が数百億円や数千億円とまとまったロットでの売り買いをまさに機械的に入れてきた。それを利用して儲けようとした参加者もいたこともあるが、残念ながら利益を常に捻出できるシステム売買などは存在しなかった。こういった売買も出ては消え、再び出ては消えていった。
もし仮に永続的に儲かるシステム売買が存在したとしよう。それは決して表には出てこない。出てしまったら皆同じことをするか、もしくはそのシステム売買のタイミングを事前に察知することで、うまく利用され、結果として利益が捻出できなくなってしまうためである。債券の先物やオプションではロケット工学の博士号を持つ人間なども入って、いろいろなテクニカル売買を模索したようだが、システム売買という錬金術が成功したといったことは聞いたことはない。ましてそれが個人などに可能なはずもない。
そうはいってもテクニカル指標が使えないというわけではなく、相場に重要なのは自らの感性であるため、それを補う意味でそういったテクニカル指標が重要になるのである。スポーツなどでもそうだが感性なきものは相場でもうまくいくとは思えず、まして他人に頼ったり機械的な売買に頼っては絶対に儲けることなどできない。
それともうひとつデイトレーダーの目安にしているのが板の状況かと思う。板とは値段ごとの売り買いの数量を一目でわかるようにしてたものであるが、その板上での「見せ玉」が今問題視されている。しかし、すでに20年程度前の債券先物市場でも、まったく同様のことが生じていたのである。大手金融機関などが頻繁に大口の売り買いを入れたり出したりして相場を誘導しようとしていたこともあるし、一部のディーラーがそういった見せ玉を使うことで、利益を上げていたことも確かである。
歴史は繰り返す。入ることは容易な株のデイトレードも現実に儲けをコンスタントに積み上げるのは並大抵ではない。マスコミで騒がれている個人投機家は債券ディーラーにもいたような一部の天才的な感性を持った者もなのかもしれない。しかし、その人達の中には実際に債券ディーラーにもいたのだが、一時相場の波に乗ってたまたま大勝してしまったことで、その後その利益を全部飛ばしてしまい、さらに損失を膨らませてしまうこととなる者なのかもしれない。
「投資」と「投機」はどのような違いがあるのか。「投資」は一般に、利益を得る目的で資金を証券・事業などに投下することとされる。これに対して「投機」は、将来の価格変動を予想して価格差から生ずる利益を得ることを目的として行う売買取引という。
これではあまりに漠然としたものと思われる。もう少し具体的にみてみると、お金を何かに投じて売買する期間の長短が「投資」と「投機」でははっきりしている。「投資」はある程度長期的な資金の運用を意味しており買ってから売るまでの期間は最低でも1年程度を想定しているものとみられる。これに対して「投機」は極めて短い時間で売買を繰り返すことが想定されている。
「投資」も「投機」もいろいろな意味においての情報収集やその分析が重要視される。ただし、「投資」はファンダメンタルといわれるような経済や物価といった動きの予想や、株式ならばその会社の将来性といったことが重視される。これ対して「投機」は、値動きのパターンや価格に反映されるとみられる目先の情報が重視され、その上で経験に裏付けられたひらめき、勘といった部分がさらに重要視される。
「投資」はある程度安全性が求められ、極力元本が維持できるものを対象に資金を投じる反面、その収益性も年率で数%といったように大きなものは求めらない。「投機」の収益性については年率換算といったものではなく、投じた金額の数倍といったことも目標にされることがある反面、投じた資金がなくなってしまうといったことも考えておかなくてはならない。
昨日、東証は終了20分前に売買全面停止という事態に陥り、これにより日経平均株価は一時700円以上下げるなど、ライブドアショックで不安定になっていた市場に対して、さらに火に油を注ぐかたちとなってしまった。東証は今月10日に1日あたりの注文件数処理能力を750万件から900万件に引き上げ、これにより約定件数も450万件に引き上げられていたが、それでも間に合わないという不測の事態となってしまったのである。
単元株制度の導入により、発行企業が最低売買単位(単元)を自由に設定できるようになり、現在では数百円から数百万円までと大きな開きが生じている上に、最低売買単位も1株から1000株まで多岐にわたっている。このため先日の大手証券の発注ミスのように、プロですら売買単位を間違いやすい状態にもなっている。
さらに数百円で取引できるライブドアなどは1株を百株に分割された結果のものであり、これもライブドアの株価吊り上げのひとつの要因とも見られている。1株500円台で売り買いできるため、その分取引件数はかさ上げされる上、よりによってそのワンコイン株価を作り上げた張本人であるライブドアの事件ということで、さらに注文件数が急増したものとみられる。
ヘッジファンドなどの小口に分散しての売買も売買高増加要因とも指摘されているが、極端なことを言えば、まさか法人がライブドアを1株ずつ注文するとも思えず、主要因は最低取引価格の引き下げとそれにともなう個人投資家の頻繁な売買にあるのではないかとみられる。
最低取引単位の引き下げと個人投資家による異常なまで回転売買を、そのまま放置しておいてシステムだけで対応しようとした東証は、やはり対策を誤っていたのではなかろうか。個人株主の育成は東証だけでなく日本の資本市場にとっても不可欠とみられていただけに、現在の個人による株式売買の異常なまでの広がりを規制することは、なかなか踏み出せなかったというのも理解はできなくはないが、何事も度が過ぎれば問題が引き起こされる。
ベテランの債券市場関係者にとっても1980年代の債券ディーリング盛況の時代は懐かしいながらもややほろ苦い思い出にもなっていよう。言い過ぎかもしれないが当時は債券関係者は総ディーラーといった様相で頻繁に89回債や先物を売買していたはずである。しかし、それも長くは続かなかった。その後の急落などで大きな痛手を蒙った参加者も多いはずであり、痛手ではすまず犠牲になった参加者もいたのも事実である。そして債券バブルの崩壊にあたっては「タテホショック」といわれる事業法人による債券先物の大幅損失といった事態も引き起こされていた。この経験を今回の株式市場における個人投資家の動きと重ね合わせるには無理があるかもしれないが、かたやプロ主体、かたやアマ主体といっても所詮相場は相場である。
今回は東証の想定したキャパの問題が主原因ではなく、売買単位や過剰なまでの回転売買を繰り返す個人投機家に対して何ら手を打たなかったことが大きな原因できなかったかと思う。14年間も回転商いで飯を食っていた私が主張しても説得性はないかもしれないが、個人が仕事を持たず株の回転売買だけで生活していくといったことは、やはり異常であるといわざるを得ない。
私が14年間、現在巷で言われるデイトレーダーを仕事としてやってきた。債券先物主体に一日でなんども売買を繰り返す、当時で言うところの「日計りディーラー」であった。当時の債券市場ではこういった存在は少なくなく、多くのデイトレーダーたちがいたし、現在でも生き残ってがんばっているディーラーもいる。しかし、多くのディーラーはいつしか消えていった。私も決してうまいディーラーではないと思うが、損をしないこを心がけて14年の間、この仕事をしてきた。
私は会社の資金を動かしていたことで、自分の資金をもとに売買している株式の個人投機家たちとは相場に臨む意識が異なっていたかもしれない。しかし、元手はどうあれ、売買で儲けることが目的であるし、そのためにはいろいろと試行錯誤し、神経も常に張り詰め、一日ディスプレーに向かっているなど状況に大差はないと思う。
債券相場がディーリング色を強めていた1980年代後半などは、売買するチャンスが多く、うまくすれば利益をしっかり稼ぎ、多少損をしてもそれを取り返すことができた。大手金融機関が力任せに売買を仕掛けてもそれをうまく利用したり、もしくは対抗しながらもしっかり儲けたディーラー達もいた。しかし、結局、大儲けしてもそれを全部吐き出してしまうなりするディーラーも多く、本当に億という単位を恒常的に稼げたディーラーは債券というプロ化した環境においてですら数%にしか過ぎなかった。
今回のライブドア事件にともなう株式市場の急落は、ある意味一本調子に近い上昇を見せた株式市場のやっと来た調整であったのかもしれないが、これは個人「投機家」にとっての試練の場でもあると思われる。ちなみに投資家ではなく投機家と書いたが、私もディーラーといえば格好が良いかもしれないが、ようは投機家であり、鞘取りであったと思っている。
日計りディーラーは結局自らの勘が武器である。それでも常に値動きを追いつつ、自ら好むチャートなどをつけていた。パソコンでのシステム売買など今ごろになって個人向けの本が数多く出ているが、すでに20年前には同じようなことをしていた。出版社や著者などにご迷惑をおかけするかもしれないが、結論としてシステム売買(自動売買とも言われる)など儲かることはありえないとだけは断言しておきたい。過去の数値をいろいろとシミュレートすればシステム上儲かったものはいくらでも算出できる。ただしそれが今後も当てはまるかどうかは全く未知数であることを理解しておく必要がある。未知数と言ったが現実には当たるも八卦、外れるも八卦である。
システム売買本の非難をするために書いていたわけではなく、あくまでチャートは武器のひとつとして認識し、得意なチャートの癖などを見抜いて、自らの相場観と照らし合わせ、相場に入るタイミングや切るタイミングをみつける上での補助の道具として使うべきものである。
それでも儲けられる人は小数である。買うか売りかして儲けられる確立は5分5分にしかすぎない。しかし、そこに人間の欲が入り込むことによって、さらに儲けられる人間が限られてしまうのである。野球やサッカーのプロは多いが、本当に稼げる人は小数であるのとある意味同じであろう。
デイトレーダーの先輩としての助言といってはおこがましいが、株のインターネットトレーダーも本当に儲けられる人は一部に限られると言っておきたい。天性の勘を持っていないならばそれは努力で補わなければならない。今回の急落で痛い目を見た個人投機家も多いと思う。しかし、これが相場である。一時的な突発的な出来事として無視すべきものではない。もし天性の勘を持つディーラーならばこういった相場こそ、実は大きな収益チャンスとなりうるのである。普通のディーラーならば、少なくともこういった相場展開の際には損失を極力低く抑える努力が必要となり、そういった際には切るタイミングを計る意味でもチャートといったものが有効な武器にもなりうる。損失がいくらと頭の中で計算していると切るものも切れない。それに対して機械的に切るタイミングを事前にチャートなどで認識して実行すれば大きな損失は回避されるためである。
1月16日に発行された個人向け国債の発行額は以下の通り。
第13回変動10年の民間金融機関の販売額は6514億円、また郵便局における販売額は1488億円となり、合計販売額は8001億円となった。10年変動としては第4回以来の1兆円割れとなった。これは固定タイプの販売の影響も大きい。
その第一回固定5年民間金融機関の販売額は1兆0788億円、また郵便局における販売額は497億円となり、合計販売額は1兆1285億円となった。個人は単純に利率を比較して購入することも多いため、固定の利子が変動の初期利子を上回ったで固定の発行量が大きく上回ったものとみられる。また固定ということでより理解しやすかった面もあったのかもしれない。2つ合わせた合計は、1兆9286億円となり、一回あたりの発行額として比べれば2005年4月の発行分に次ぐ大きさとなった。
これまで発行された個人向け国債の回号別販売額と初期利子(固定は利率)は下記の通り
第1回変動10年(2003年3月)3,835億円(うち郵便局499億円)、0.09%
第2回変動10年(2003年4月)3,486億円(うち郵便局746億円)、0.05%
第3回変動10年(2003年7月)2,802億円(うち郵便局588億円)、0.05%
第4回変動10年(2003年10月)9,432億円(うち郵便局1,659億円)、0.77%
第5回変動10年(2004年1月)1兆3,951億円(うち郵便局995億円)、0.62%
第6回変動10年(2004年4月)1兆4,185億円(うち郵便局1,244億円)、0.55%
第7回変動10年(2004年7月)1兆7,726億円(うち郵便局1,990億円)、0.74%
第8回変動10年(2004年10月)1兆8,652億円(うち郵便局2,484億円)、0.74%
第9回変動10年(2005年1月)1兆7,647億円(うち郵便局2,436億円)、0.67%
第10回変動10年(2005年4月)2兆3,374億円(うち郵便局1,990億円)、0.73%
第11回変動10年(2005年7月)1兆6,423億円(うち郵便局2,484億円)、0.45%
第12回変動10年(2005年10月)1兆3,629億円(うち郵便局2,483億円)、0.55%
第13回変動10年(2006年1月)8,001億円(うち郵便局1,488億円)、0.68%
第1回固定5年(2006年1月)1兆1285億円(うち郵便局497億円)、0.80%
貯蓄から投資へといった動きが本格化しつつある。2004年度に家計が手取り収入から貯蓄に回した割合が2.8%と、統計を取り始めた1955年度以降で最も低くなったことが、内閣府から発表された。これは2004年度ということで賃金やボーナスが伸び悩むなど景気低迷による収入減に加えて、高齢化が進んで貯蓄を取り崩して生活費に充てる世帯が増えたことが大きな要因と思われた。そのため、これが一概に貯蓄から投資への動きを示しているとは思えないものの、その後、景気が回復基調となっていても、団塊の世代の大量退職が2007年から始まることなどにより、この世代が貯蓄を消費に回すなり、「投資」に向けることが考えられ、家計貯蓄率はその後もさらに低下する可能性が指摘されている。
なんといっても貯蓄率の低下とは反対に、投資商品の伸びがここにきてさらに大きくなっていることも確かであろう。
2005年末には株式投信の純資産残高で公募の合計額が55兆円余りに上り、バブル経済時の1989年末を大きく上回った。さらに現在日本最大の投資信託である「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」の純資産額は昨年11月24日に5兆円を突破している。
また、より安全性の高い投資先としての人気化している個人向け国債に関しても、2005年度の発行額が7兆円を超え、これまでの発行額も17兆円を上回るなど、個人向け投資金融商品として幅広く認知されつつある。
そして、株式投資のうち個人投資家の割合も急激に伸びている。2005年1月から10月までの個人投資家の売買高シェアは53.2%と全体の半分を超え、年間でも1984年以来21年ぶりの高水準となるのは確実とみられている。ただし、個人の株式投資については、株式手数料の自由化に伴う大幅な引き下げと、その後のインターネット取引の普及による影響が大きい。これによりデイトレーダーと呼ばれるような売買を頻繁に行う投機的な取引が主流を占めていると見られる。所謂投資としての株式投資はこの数字ほどの伸びは見せていないものの、個人の株式投資に対する嫌悪感といったものはここにきてかなり後退してきていることも事実であろう。
ペイオフの全面解禁や郵政民営化といったものも、個人の金融資産の貯蓄から投資への動きを促進させているとみられる。「投資サービス法(仮称)」の制定についても論議が始まっているようだが、「貯蓄から投資へ」の動きが顕著になりつつある現在、いろいろと分かれている法律を一本化させるなどのルール整備も早急に進める必要があるとも思われる。
もともとかなり慎重な性格でもありこれまで経験がなかったのだが、この年になって始めて骨折をしてしまった。13日の金曜日、日も悪かったのだろうか。友人達との新年会のあと、帰宅途中の駅のエスカレーターで転倒してしまったのである。アルコールが入っていたこともあるが、両手に荷物を下げてさらに電車に間に合うようにと駆け下りてしまったことが原因であった。
テレビドラマなどで、よく事故のシーンなどスローモーションとなることがあるが、現実でも、まさに起こっていることがスローモーションのように見えていた。ゆっくりとひっくり返って、はっと気がつくと周りの方に「大丈夫ですか」と声をかけられていた。
その場にいて気遣っていただき駅の係員の方を読んでいただいた方、また手当てしていただいた駅の方々にはあらためてお礼申し上げます。ありがとうございました。
駅員の方に手当てしていただき、そのまま最終電車に乗り駅についてから家に連絡した。家人が来るまで駅の出口に待っていたのだが、次第に立っていられなくなり、へたへたと座り込んでしまった。額を切ってしまったことで出血もあり、手も上着も赤くなっていた。座り込む際に「なんじゃこりゃ、松田優作のジーパン刑事の最後のシーンじゃねえか」と、ふと考えるだけの余裕はあった。
その後、地元の救急病院で見てもらった。結局、右目の上を11針縫ってもらい、レントゲンの結果、右手中指が薄利骨折とわかり固定してもらった。また右目の回りや足もかなり腫れていたが異常はなかった。これで済んだことをむしろ幸いと思わなければならないかもしれない。眼鏡はレンズの片方だけが見つかった・・・。
多くの方にご心配をおかけするとともに、ご迷惑もおかけしあらためてこの場でお礼とお詫びを申し上げたい。
ある程度の年配となったらいくら体力に自信があっても、走ることは危ないので是非、気をつけてください。私も今回のことでしっかり反省いたします。
与謝野馨経済財政担当相は13日の閣議後の記者会見で国債残高に上限目標を設けることを正式に表明したと新聞各紙が伝えている。税収などで政策経費を賄えているかを示す基礎的な財政収支、つまりプライマリーバランスを黒字にした後に長期債務残高を目標導入で改善させるとの考えを示したようである。
政府は2010年代初頭にプライマリーバランスの黒字化を目標としており、2006年度は2005年度よりもプライマリーバランスが改善されることで、その足がかりを作ったばかりである。しかし、さらに先を見据えて国と地方で774兆円に上る長期債務残高の膨張を防ぐための上限を設定するようである。GDP比となるのか絶対額で抑えるのか、具体的な目標といったものは今後つめて行くようで、内閣府は歳出入改革の補佐室を新たに設置するそうである。
各国の債務を比較する際にはGDP比が使われることが多く、その意味で絶対額ではなくGDP比(2006年度末151.2%)が使われる可能性が高いものと思われる。ちなみに2005年の比較では、日本が161.1%、米国66.4%、英国46.3%、ドイツ71.6%、フランス74.2%、イタリア120.8%、カナダ68.3%となっている(財務省資料参)。
春に向けての日銀による量的緩和解除の可能性が強まる中、審議委員人事も注目されている。特に3月31日に任期満了を迎える唯一の女性議員である須田委員の後任選びが注目されている。女性枠というわけではないが、後任には女性が選ばれる可能性が高い。産経新聞によると後任候補として、川本裕子早大大学院教授や昨年末の経済協力開発機構(OECD)事務総長選に立候補した竹内佐和子京大大学院特命教授らの名前が浮上しているとか。須田委員の後任ということで学識経験者からとの見方も強いが、予想外の人事といったことも考えられ注目したい。
また、6月16日に任期満了を迎える東京三菱銀行出身の中原委員の後任選びも注目される。デフレ脱却の機運の高まりとともに、量的緩和解除とその後の利上げといった金融政策にとっても大きな変化の時期も近づいていると思われ、さらに政治との関係などを含めて日銀も難しい対応を迫られていると思われるだけに、議決権の1票を持つ審議委員の責任といったものもさらに重要視されるものと思われる。
これまで私が直接お会いして、もっとも印象に残った方の一人が塩川正十郎前財務大臣である。塩爺の愛称で親しまれ、ややアイドル的な存在ともなっていたこともあるが、それ以上に塩川氏の考え方に共感する部分がたいへん多かったことも大きい。塩川氏の大臣会見内容が財務省のホームページにアップされるたびにいつもしっかりと目を通していた。こういっては現大臣に怒られてしまうかもしれないが、最近はほとんど大臣会見内容には目を通さなくなってしまったぐらい塩爺のコメントには関心を寄せていたのであった。
実際に直接お話を聞いても、その印象は変らないどころか、さらにその考え方に共感した。本日の日経新聞朝刊にその塩川氏のコメントが寄せられていた。
「政治家が選挙で余計なことばかり約束してしうから、無限にミニマムが増える。行政そのものをもっと整理しないと歳出削減はできない」
これは政治家を引退されたから言えることではあるとも思うものの、現役の頃よりそういった考え方はされていたように思う。
「役所にとっては予算は自らの営業品目。自分で削れない。外部チェックが必要だ」 「公務員制度も見直すべきだ。本能的に自らの地位を守るために仕事を増やしてしまう」
財務省の社長という財務大臣という立場では、なかなかこういったコメントはしずらかったように思われたが、これも塩川氏の本心であったかと思われる。民間の外部チェックは難しいとか、自らの地位を守るために仕事を増やしているわけではないといった意見も当然あるとは思うが、この点でも塩川氏の意見に同意である。競争格差社会となり、就職先としての公務員はまさにラストリゾートともなっている。しかし、少子高齢化社会にあっては効率性が重視され、公務員だからといってそれを無視することはできない。それどころか、むしろ率先して効率性を重視していかなければならないのではないかと思う。
「国会議員が役人とつるんでいるから合理化が進まない」
これが国会議員でも役人でもない外部の方の発言ならばあまり説得力を持たないかもしれないが、長らく自民党衆議院議員であり、いろいろな大臣も経験された塩川氏にとってこれについてはある意味裏の裏までご存知のことと思われる。国会議員が役人とつるんでいるから政治がスムーズに動くとの見方もあるかもしれないが、その弊害の方が大きいことを、自らの経験に照らし合わせ塩川氏は指摘しているのである。
塩川氏は1944年に慶應義塾大学経済学部を卒業されており、私の大学の大先輩でもある。大学時代は当時としては、かなりめずらしともみられたスポーツであるハンドボール部で活躍されていたとも聞いている。ハンドボールはジャンプしている間に、ボールを投げるところを確認して、場合によっては跳んでいる間に変更する必要もある。塩爺の現役時代の答弁の切り返しのうまさなど、独特の関西弁というベールもありながらも、ハンドボールの経験が生きていたのかもしれない。
ちょうど20年前の昭和61年(1986年)11月に国債の「指標銘柄」となったのが、10年利付国債の89回債であった。89回債の市中向けの発行量は2兆7075億円と、当時としてはかなり大型の指標銘柄ともなった。ちなみに、当時の国債の指標銘柄とは10国債のなかで発行量が比較的多く、売買高の最も多い国債のことを指しており、国債売買のまさに指標的な役割となっていた。
1987年5月14日、この89回債は10年債でありながら、代表的な短期金利でもある公定歩合(2.5%)に接近した。日本相互証券の端末の板状において、89回債の売りが、2.555%に約3000億円、2.550%には約2000億円もまとまって並んでいたのであるが、それが一気に買い上げられた。これを全部買ったのが新聞紙上で「公定歩合が高すぎる」というコメントをした大手証券のディーラーとも言われている。
結局、ここで債券バブルは終焉し、この2.550%が当時の10年国債の最低利回りとして記録されることになった。この89回債は、結局翌年の1987年11月まで指標銘柄として売買された。(拙著「日本国債は危なくない」より)
大手金融機関のシンクタンクが、何千億円の経済効果をもたらすといった発表をして、それをマスコミが取り上げることがある。こういった数値が発表されるたびに算出根拠などを含めて何かしら違和感を感じていたが、今回の厳冬の経済効果が6600億円といった試算発表については、違和感というよりも疑問すら感じた。
厳冬による関東地方への影響は気温の低下といったことが大きいものの、日本海側地方を中心とした雪国では記録的な積雪ともなり死活問題のはずである。非常事態宣言の発令すら検討されているとも報じられている。この記録的な大雪に恐怖を抱いている人たちに向かって「プラスの経済効果」という表現はさすがに問題ではなかろうか。
たとえば愛・地球博の総入場者数とか、つくばエクスプレスの一日あたりの予想乗降者数といったものは、予想に対してかなりの費用と労力がかけられているはずである。その予想数値が元になって運営されるためでもある。このため現実と乖離したものとなれば、算出をしたものの責任といったものも問われよう。
ところが、この経済効果という数値は事後検証といったことも見たことはなく、数値を出したものが何かしら責任を問われるものでもない。つまりある意味出した者勝ちといったものとも言える。
とはいえ、この数値が出されて、それで何かしかの経済活動に影響を与えるものでもなく、マスコミによる話題提供にすぎないといえばそれまでかもしれない。しかし、今回のように、一部の人に不快感を与えるようなものは極力発表は控えるべきものあると同時に、採用したマスコミの対応にも疑問を抱かざるを得ない。
2002年9月20日、10年国債入札で始めての生じた未達(正式には札割れ)発生日「当日」に発売された拙著「日本国債は危なくない」。この本のアマゾンのカスタマーレビューに12月11日に下記内容の投稿をいただきました。
『特に役に立った部分は、第4章「国債の歴史」。日本の景気(神武、いざなぎなど)、ニクソン・ショック、プラザ合意、バブル経済、消費税、総合経済対策、公的資金注入・・・など、国債に絡めて日本の財政・経済などの動きが、わかりやすくまとまっている。第5章は「国債の安全性」。国債の買い手、外貨準備、プライマリー・バランスなどの観点から検討されている。また、日銀の資産劣化などの長期金利上昇リスクについても述べられており、タイトルから感じるほど単純な本ではなく、一読の価値あり。』
発売されて期間が経つにもかかわらず、読んでいただいている方がいらっしゃること自体たいへんうれしいことであるにも関わらず、さらにこのようにお褒めの言葉をいただき、本当にありがとうございます。
個人向け国債が売れているように、日本国債は投資対象として決して危ないものではないということは、多くの方に理解されたものと思います。2002年に「日本国債は危なくない」に書いていたことは決して間違ったものではなかったことも、その後の国債の動向を見ても明らかです。莫大な借金を抱えた日本は破産状態であるとの指摘もありますが、それで国債が暴落したり、紙くずになることはなく、その懸念すらほとんど市場では存在しておりません。そのような事実を再確認する上でも、ぜひ読んでいただけるとうれしいです。
12月に募集された冬の個人向け国債は、販売希望額ベースではあるが、5年固定タイプが10年変動タイプを上回ったようである。トータルの販売希望額は2兆3004億円とみられ、このうち10年変動は1兆0818億円、5年固定が1兆2186億円と僅差ながら5年が多い。内訳は、民間金融機関は10年変動が9318億円、5年固定が1兆1686億円。郵便局分が10年変動1500億円、5年固定500億円。
1月16日に実際に発行される金額もほぼこれに近いものとみられ、販売総額でみれば、これまで最高額となっていた2005年春の個人向け国債の発行額2兆3374億円とほぼ並ぶこととなる。
2006年の債券相場の注目材料としては、上昇を続ける株式市場も注意したいが、やはり日銀による量的緩和解除の行方となろう。4月発表の短観を見て、さらに展望レポートの発表に合わせるかたちで4月末に開かれる金融政策決定会合にて、量的緩和の解除が実施される可能性が高い。さらに、利上げのタイミングは解除後、一定期間、極めてゼロに近い金利目標とした上、秋口以降になるともみられ、10月あたりに0.15-0.25%あたりの利上げが実施される可能性があると予想する。
しかし、これはあくまで2%程度の成長率と予想している政府や日銀の経済・物価見通しを前提にしたものであり、もし経済環境に変化が生じれば当然状況は異なってくる。物価、特に消費者物価指数が再び下落すると言った可能性も少ないながらもないとは言いきれない。
さらに、小泉首相の後継者が誰になるのかといった問題もある。安倍官房長官などが有力候補と見られているが、安倍氏は日銀の量的緩和解除については時期尚早といったコメントも発しており、後継者人事は日銀の福井総裁としてもかなり気になるものとなろう。さらにグリーンスパンFRB議長の後任となるバーナンキ新議長の存在も、日銀にとっては気になるところか。どちらかといえば小泉首相やグリーンスパン議長は日銀の意向に対してある程度理解を示しているとみられるが、後継者はかならずしもそうとは限らないためである。
長期金利との関連性が薄れているとはいえ、株価や為替動向も無視はできない。日経平均は現在のトレンドが継続すると仮定すれば、今年には 2万円という大きな節目も見えてくる。実質マイナス金利となれば、ミニバブル的なことも起こりうる。しかし、一本調子の株価の上昇も考えづらいため、どこかで大きな調整も起ころう。海外動向としては、米国の中間選挙による影響なども考えておく必要があるかもしれない。債券は株の上昇にはあまり反応しなかったとは言え、株が下落するとなれば一時的にせよ長期金利は低下圧力を強める可能性がある。
需給面に関して言えば、来年度の国債発行額は減額されることもあり、国債の好需給が継続し、需給面で債券への売り圧力がかかる可能性は低く、また、財務省発の国債に関するイベントリスクといったことは国債管理政策が進んでいることからも考えにくい。このため、もし今年、国債が売られ長期金利が大きく上昇するとすれば、国債への信認といった側面によるものではなく、ファンダメンタルによる要因が大きいものと考えられる。
新年、あけましておめでとうございます。
今年は戌年、私は年男です。また、今年は「債券ディーリングルーム」を開設してから10年目となります。四半世紀前、にPC8001を購入して以来のパソコンとの付き合いとなり、そして、1995年あたりから自宅地域のインフラが整い次第のインターネットとの付き合いとなりました。そして、テスト段階を経て1996年春ごろにホームページ「債券ディーリングルーム」を立ち上げました。
このホームページを通じて、本当にたくさんの方々との出合いがありました。そして幸田真音さんの小説「日本国債」にも登場させていただきました。この10年を振り返る意味でも、久しぶりに「牛熊友の会」もぜひ再開させていただけたらとも考えております。
あらためまして、どうか本年もよろしくお願いいたします。
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