「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」


2006.3.31「あきんど 絹屋半兵衛」

幸田真音さんの小説『藍色のベンチャー』が『あきんど 絹屋半兵衛』と改題され、文庫となって発売されます。幸田さん初の時代小説。この本もいったん読み始めたら、最後まで一気に読んでしまいます。時代は変っても人の力によって物事は生み出されるということを感じさせる小説です。新潮文庫から上下刊各700円で4月に発売されます。まだ、『藍色のベンチャー』を読んでいらっしゃらない方、ぜひ文庫版でのご一読をお勧めいたします。


2006.3.31「シ団廃止」

本日で40年の長きにわたって存続していた国債の引き受けシンジケート団が廃止される。1966年1月に戦後始めての国債が発行されて以来、国債の安定消化のための組織として機能した反面、国債の競争入札制度の普及とともに形骸化していた。国債シ団廃止といえば、思い出されるのが、幸田真音さんの小説「日本国債」である。小説の中ではすでに2000年頃に廃止される設定になっていたが、それから現実の廃止まで6年の期間を要した。そういえば幸田さんの小説「日銀券」では2004年あたりでの量的緩和解除の設定になっていたと思うが、現実の解除まではそれほど時間を要してはいなかった。

国債シ団がいざなくなってしまうとなれば、寂しい気もしなくもないが、これも時代の流れであろう。4月3日には記念の会合もあると聞いている。


2006.3.30「長期金利一時1.8%台」

債券の売りは続き、債券先物はヘッジ売りなどから2000年10月30日以来の約5年5か月ぶりに一時132円台に。その前に日経平均は2000年9月1日以来の5年7か月ぶりに17000円をつけていた。現物債も同様に、5年54回は約5年6か月ぶりに1.3%台。10年277回も2004年8月以来となる1.8%台に。

デフレ脱却や日銀によるゼロ金利解除も意識され、特に債券は中期ゾーン主体にスワップの払いなど含めて売り圧力を強める。ユーロ円金先の中心限月も99.285に下落しており、こちらは7年7か月ぶりの水準に。


2006.3.29「パナソニックTZ-1」

次女の卒業式に合わせてデジタルカメラを購入しようといろいろ迷ったあげく、結局、松下から今月24日に発売されたTZ-1を購入した。広角よりもズームを重視して性能を比較していたところ既存のものよりもかなり進んだ機能を持っていたことで、購入を決めたのは良いが、発売日が次女の卒業式を過ぎてしまっていた。入学式には間に合うか。

パナソニックのルミックスでは「Ayuは28mm」のテレビCMなどで、FX-1の方が目立っているが、こちらは広く取れることが優先されており、かなり女性向けが意識されているようにも思われる。それに対して、TZ-1は男性、というより家族持ちの「おじさん」向け仕様とも取れなくもない。コンパクトデジカメで10倍ズームというのは子供の卒業式や運動会では広角よりも活躍する。

しかし、これまで使っていたデジカメは300万画素のかなり古いタイプであったので技術の違いにはいつもながら驚かされた。新型は手ぶれ機能はついているわ、ヴィーナスエンジンIIIというものでかなりの高画質、高速レスポンス。さらに通常撮影モードでもISO800の高感度撮影が可能。多彩な撮影機能までついているというのは、ずいぶん機能が充実している。実際に撮ってみたが写りはかなり良い。部屋の中でもウサギが綺麗に撮れた。

SDカードも1Gの高速カードで5千円台で買えてしまい、数百枚の撮影が可能。昔のフィルムカメラでは現像代を考えるとバシャバシャ撮れなかったが、デジカメはそんなことを意識する必要はない。プリントも500万画素もあれば大きく伸ばさない限りは、フィルムタイプとはそれほど遜色ない。

桜の季節ともなり、早速、あちらこちらの桜を撮りにいかないと。


2006.3.29「政府のデフレ脱却宣言とゼロ金利解除」

参院本会議で2006年度予算が成立した。来年度予算の中で一般会計総額は79兆6860億円と80兆円を割り込み、新規財源債の発行額は29兆円9730億円と5年ぶりに30兆円を割り込んだ。プライマリーバランスは改善傾向にはあるものの依然として11兆円の赤字となっている。

来年度予算が成立したことで、政治に関する今後の注目点は小泉首相の後継者選びになった。その小泉首相の任期は9月までとなっている。小泉首相は「できるだけ早い時期にデフレ脱却を目指したい」とし、9月までにデフレ脱却を目指す考えを明らかにしている。

これを後押しするかのように、内閣府はデフレ脱却の判断」について「物価の基調や背景を総合的に考慮し判断する必要がある」と明記。「GDPデフレーター」に加え「消費者物価」、「需給ギャップ」、「単位労働コスト」の4指標を中心に総合的にみることでデフレ脱却を判断する。現在、GDPデフレーターと単位労働コストはマイナスとなっているが、この状態においてもデフレ脱却を判断することもありうると指摘したそうである。

政府のデフレ脱却宣言については、GDPデフレーターのプラス転換が絶対必要条件とはなくなり、ある程度判断に融通性をもたせることとなった。これも9月までという期間を意識したものと捉えられなくもないが、単一の経済指標にとらわれずに総合的に判断するとの方針は正しいものとも思われる。

この政府の方針に絡んで、日銀の福井総裁は「デフレ脱却の時点を定義し、そこに縛りを設けて金融政策を行うことは決して好ましくない」とし、ゼロ金利の解除時期についてはデフレ脱却宣言の時期に左右されないとの姿勢を強調したものと思われる。 今回の福井総裁発言によって、政府のデフレ脱却宣言を待たずにゼロ金利政策の解除を実施する可能性もでてきた。このゼロ金利解除のタイミングについては今年10月以降との見方が多かったが、一部、今年の夏にもありうるとの見方も出てきている。


2006.3.28「日銀、金融機関向け資金の最低金利0.01%に上げ?」

日銀は金融機関に入札方式で資金を供給する際の最低金利を現行の0.001%から0.01%に引き上げる方針を固めたようであると日経新聞が伝えている。金融機関の応札金利が上昇傾向にあることに対応し4月中にも実施する見込み。

これにより金融機関は金融政策の操作対象である無担保コール翌日物取引の最低金利を0.001%から0.01%に引き上げる。財務省も同様に4月から政府短期証券3カ月物と割引短期国債6カ月物の入札時の最低金利を引き上げる。

ただし、上記記事に関しては、確かに財務省は実勢を反映し、FB入札の刻み幅を0.01銭から0.05銭に戻すことを発表したものの、日銀のオペの最低金利引き上げの記事に関しては、完全な憶測記事との見方と見られる。


2006.3.27「中曽金融市場局長がBIS市場委次期議長に」

日経新聞によると日銀は22日、中曽金融市場局長が国際決済銀行市場委員会の次期議長に決定し6月1日に就任するとの発表を伝えた。日銀からの議長就任は1985年の緒方四十郎氏以来となる。

国債決済銀行とは第1次世界大戦の賠償問題の解決を企図したヤング案の実施機関として1930年1月に設立。略称はBIS(Bank for International Settlements)。各国の中央銀行が出資する国際機関であり本部はスイスのバーゼルにある。

BIS市場委員会は、隔月の中央銀行総裁会議と合わせて実施される会合であり、金融市場の最近の動向、様々なイベントがこれらの市場機能に与える影響などについて、意見交換している。委員会としては他に、バーゼル銀行監督委員会、支払・決済システム委員会、グローバル金融システム委員会がある。


2006.3.27「日銀審議委員に野田忠男氏を任命へ」

朝日新聞によると、政府は24日、6月16日に任期が切れる日本銀行の中原真審議委員(旧東京銀行出身)の後任として、元みずほフィナンシャルグループ副社長の野田忠男氏(旧第一勧業銀行出身)を起用する方向で最終調整に入ったと伝えられた。


2006.3.24「ここ数年間の個人の金融資産の推移」

日銀の資金環勘定(速報ベース)をもとにここ数年間の個人の金融資産の主なものの推移を追ってみた。2002年から2005年のそれぞれ年末の数値を比較してみた。個人向け国債が発行されたのが2003年3月からということもあり、国債はほぼコンスタントに伸びているが、株式や投資信託は特に昨年からの伸びが大きくなっている。特に株式については値上がり益による影響も大きい。その反面、定期性預金は減少傾向が続いており、これからも貯蓄から投資へ個人の資産が動いていることがうかがえる。

単位、億円   2002年、  2003年、  2004年、  2005年
合計    13,960,161、14,098,740、14,235,461、15,086,760
定期性預金 5,513,839、 5,442,851、 5,309,536、 5,115,450
国債     126,146、 133,796、 197,583、 260,345
投資信託   284,780、 323,905、 364,582、 510,798
株式     518,418、 685,840、 792,761、 1,180,023


2006.3.24「2005年12月末現在の国債保有者別残高」

2005年10-12月資金循環勘定速報が日銀から発表された。このうち家計の金融資産は1508 兆6760億円と1979年度末の調査開始以来の最高額をさらに記録し始めて1500兆円の大台に乗せている。家計のうち国債は26兆0345億円、株式118兆0023億円、投資信託は51兆0798億円となった。今回もこの資金循環勘定速報をもとに2005年12月末現在日本における国債所有別内訳を算出してみた。

2005年12月末の国債残高と、そして全体に占めるシェア、9月末比(億円)

合計 、671兆8823億円、100.0%、+12兆7128億円

民間預金取扱機関、130兆0318億円、19.4%、3兆2188億円減
郵便貯金、120兆7178億円、18.0%、9兆6991億円増
日本銀行、93兆9786億円、14.0%、2兆0129億円増
民間の保険年金、82兆5238億円、12.3%、4兆3971億円増
公的年金、58兆3179億円、8.7%、6880億円増
簡易保険、56兆6287億円、8.4%、3兆8880億円増
財政融資資金、43兆1123億円、6.4%、1兆1272億円減
海外、31兆2697億円、4.7%、2864億円減
家計、26兆0345億円、3.9%、1兆0403億円増
投信など金融仲介機関、17兆9123億円、2.7%、5兆7478億円減
その他、11兆3549億円、1.7%、7948億円増

参考までに自分で集計を始めてからの、日銀資金循環統計を元にした国債残高の推移は下記のようになっている。一番右の数値は前回比である。(単位、億円)

2002年09月末、5,045,257
2002年12月末、5,228,730、183,473
2003年03月末、5,384,464、155,734
2003年06月末、5,441,370、56,906
2003年09月末、5,437,060、-4,310
2003年12月末、5,545,297、108,237
2004年03月末、5,699,256、153,959
2004年06月末、5,759,771、60,515
2004年09月末、5,993,527、233,756
2004年12月末、6,197,909、204,382
2005年03月末、6,424,669、226,760
2005年06月末、6,613,991、189,322
2005年09月末、6,591,695、-22,296
2005年12月末、6,718,823、127,128

(なお上記は、私がエクセルで資金循環勘定速報をもとに再集計したものであり、数値のチェックはしているものの、一部入力ミスしている可能性が皆無とはいえないため、使われる際には、ご注意ください。)


2006.3.23「米国の貯蓄国債」

日本の個人向け国債のモデルにもなったと思われる米国の貯蓄国債についてみてみたい。。現在、貯蓄国債で購入できるのはSeries EEとI Bondの2種類となっている。Series EE などからの乗り換えのみが認められるSeries HHは2004年9月に新規発行が廃止された。

Series EEは2005年5月のEE Bondの金利ルール変更で変動金利から固定金利となり、何年保有しても利率は変わらない。新規発行分の金利は毎年5月と11月に見直しが行われる。

インフレ連動型のI Bondはインフレ率に応じて利率が決まるインフレ対応型の債券。I Bondの利率は30年間変更されない固定金利部分と半年毎に変動するインフレーション率部分の合計になる。インフレ率は利息は毎月計上されるが換金まで利息の支払いを受けることはできない。

貯蓄国債の有利な点は、米国債でありながら少ない額(ネット利用の際には最低25ドルから)購入できることがあげられる。銀行やインターネットを通じたTreasury Direct で簡単に購入できることも魅力。利回りも比較的有利になっており、さらに州税や市税が非課税なのも利点。ただし、連邦税は課税されるが換金まで払う必要はない。

換金は発行月から1年を超えた次の月から可能となっている。ただし、発行から5年以内に換金する場合は、換金日の直近の3か月間分の利息をペナルティとして取られる。

貯蓄国債は国が発行する債券であり信用度が高く、小額での購入が可能な上、税制上のメリットもあり、教育資金に使う場合には利息が非課税になるという利点もある。

http://www.savingsbonds.gov/indiv/indiv.htm


2006.3.22「金融政策運営の新たな枠組みの導入」

3月16日の日本商工会議所会員総会における福井総裁講演要旨から、3月9日の量的緩和政策の解除とともに打ち出した日銀による金融政策運営の新たな枠組みの導入について見てみたい。

金融政策について、総裁は本来「フォワード・ルッキング」つまり、柔軟かつ機動的に運営すべき性格のものを前提とした上で新たな枠組みについてコメントしているが、これは量的緩和時の「ビハインド・ザ・カーブ」とは180度異なる方針ともなる。金融政策の正常化とは金利機能を回復させるとともに、柔軟かつ機動的な先を見ての金融政策という機能を回復させることがもうひとつ大きな狙いであったものと考えられる。

新たな政策運営の3つの枠組みは、まず第一に、金融政策の目的である物価の安定についての明確化を上げている。具体的には、物価の安定についての日本銀行としての基本的な考え方を公表するとともに、金融政策運営に当たり、現時点において政策委員が中長期的にみて物価が安定していると理解する物価上昇率を示すこととし、「中長期的な物価安定の理解」の範囲としては0〜2%程度としている。中心値は大勢として概ね1%前後となり今後原則としてほぼ1年ごとに点検を行うことにした。

「中長期的な物価安定の理解」とはある意味「理解しにくい」表現であり、これは今回の政策運営の枠組みがインフレ目標値といったものとは一線を帰するものであることを示しているものとも思われる。

第二に、金融政策運営に当たって経済・物価情勢を点検するための視点「2つの柱」というものを明らかにしている。第1の柱は、先行き1年から2年の経済・物価情勢について、最も蓋然性が高いと判断される見通しが、物価安定のもとでの持続的な成長の経路を辿っているかどうかという観点からの点検。第2の柱としては、より長期的な視点を踏まえつつ、物価安定のもとでの持続的な成長を実現するという観点から、金融政策運営に当たって重視すべき様々なリスクを点検することとしている。つまりは、短期的な物価の安定にとらわれて金融政策を運営するのではない面を強調しているように思える。

第三に、このような点検を踏まえたうえで、当面の金融政策運営の考え方を整理し、基本的には展望レポートにおいて定期的に公表していくこと。 これについて総裁は、実質金利の低下などを通じて、景気・物価に対する金融政策面からの刺激効果が一段と強まる可能性も指摘し、結果として 景気の振幅が大きくなってしまうリスクを含めての長い目でみたリスク要因を点検していく必要性を強調している。 これらは結果としてゼロ金利解除を意識したものとも思われる。


2006.3.20「2月の公社債売買状況」

本日、日本証券業協会から2月の公社債投資家別売買状況が発表された。1月は6625億円の売り越しとなっていた都市銀行は9479億円の買い越しに転じた。このうち中期国債が7030億円を占めていた。地方銀行は1月の2795億円の買い越しからさらに増加し6542億円の買い越し。信託銀行は1月に1兆6745億円の買い越しであったが2月も1兆7587億円の買い越しとなり業態別での買い越し額のトップが続いている。農林系金融機関は1月の3721億円の買い越しに続き2月も5861億円の買い越しとなっているがこのうち超長期国債を2723億円を買い付けとなった。外人は1月の1兆6162億円の買い越しから2月は一転し6385億円の売り越しとなった。


2006.3.16「政府のデフレ定義の見直し」

本日の日経新聞によると、政府はデフレ脱却について、指標として重視してきたGDPデフレーターだけでなく、GDPギャップや単位労働コストの2指標も重視する方向に見直しするようである。量的緩和解除前に小泉首相をはじめ政府要人が「デフレは脱却していない」としてきたのは、3月の早期解除に向けての日銀への牽制との意味合いも入っていた可能性があるが、政府のデフレ脱却宣言が出ていない以上は当然といえば当然の発言でもあった。

GDPデフレーターでは輸入価格が上昇しても下落してしまうということが問題点として指摘されてきていたが、政府もこれを考慮し、GDPギャップや単位労働コストの2指標に加え、日銀の量的緩和解除の条件として使っていたCPIなども加味して総合的に判断する見通しとみられる。

政府も今回の日銀の量的緩和の解除を結果としては容認しており、デフレ脱却とはいえないものの脱却への動きを強めているといった表現をしている。今回の政府によるデフレ定義の見直しは、穿った見方をすれば9月の小泉首相の退陣前にデフレ脱却宣言をするための準備ともいえなくもない。さらに、経済実態がかなり脱デフレ色を強め、賃上げといった動きも広がりつつ。その中でGDPデフレーターに固執するあまり、デフレ脱却宣言がタイミング遅れとなってしまうといった懸念も考慮しているのではないかともみられる。


2006.3.16「政策金利」

大津市で行なわれた水野審議委員の講演では、「個人的には、全要素生産性の上昇等を受けて、潜在成長率が+1.5〜+2.0%程度まで上振れている可能性は否定できないと思います。潜在成長率の上振れは、均衡水準の実質金利の上振れを意味します。」

均衡実質金利は、潜在成長率+1.5〜+2.0%程度とすれば1月の全国コアCPIが+0.5%となり、合わせると2%〜2.5%となる。

この均衡実質金利は政策金利の中立金利となる。この中立金利が+1.5〜+2.0%となれば、長期金利の2%というのもそれほど高いものとはいえなくなる。

ただし水野審議委員は、講演後の会見において、「ただ、足許ゼロ%の政策金利がいきなり1.5%にワープするのではない。だから漸進的と言っている。また、漸進的というのは何か月とか何年とか言っている訳ではないという点はご理解頂きたい」ともコメントしている。


2006.3.15「郵便局での投信販売」

郵政公社は平成18年1月30日に公募を行った郵便局で募集の取扱い等を行う証券投資信託について合計14社27商品の応募があったことを明らかにした。このうち4商品を採用して6月から販売する予定のようである。

現在、郵便局で販売されている投資信託は、野村世界6資産分散投信、大和ストックインデックス225ファンド、ゴールドマン・サックス日本株式インデックス・プラスの3本の追加型株式投資信託である。

新たに加わる投資信託は、海外債券ファンド(定期分配型)、海外株式ファンド、世界REITファンド(定期分配型)、国内株式SRIファンドの4本となる見込み。REITファンドやSRIファンドなど品揃えが拡充するとともに、現在の投資信託の売れ筋商品である定期分配型が新たに2本含まれる。

さらに販売を手掛ける郵便局も現在の575局から2006年度中に1153局へ拡大し、販売員も2倍以上の1万人体制にする予定のようである。また、2006年度末までに販売する投資信託の残高目標を約6430億円とすることを明らかにした。昨年10月の郵便局での投資信託の取り扱い開始から3月末まで半年間の残高目標は1073億円であったが、14日時点での販売残高は1039億円で、3月末までの目標達成はほぼ確実となっている。

郵便局での投信販売は当初、昨年10月スタートから12月末までの販売実績は300億円強しかなかった。しかし年明けからはリスク商品に対して郵便局職員も説明等になれてきたことで、順調に販売額を伸ばしているとも報じられている。


2006.3.14「何故、個人向け国債が発行されたのか」

個人向け国債が発行される前に、何故個人に国債を買わせるのか、個人に国の借金を押し付けるのかと言った意見が出されていました。国の巨額な債務は返済不可能との見方から、個人向け国債は戦時中。大量に発行された戦時債券が連想されたのかもしれません。 第二次世界対戦に突入した当時の日本は、巨額の軍事支出をまかなうため、政府は大量の国債を増発しました。軍事費の膨張により国債の市中消化は次第に困難となりその大部分は日銀引受けで発行され、それが結果として悪性インフレーションの元凶となったのです。多額の戦費が必要となり、それを補うために貯蓄が奨励され、さらに臨時資金調整法に基づき発行されたのが戦時債券でした。国債の一般への売出しは郵便局で行われ戦時債券については郵便局に加えて、各種金融機関のほか、たばこ屋やデパートなどでも行われたようです。

終戦後、日本は戦後処理として巨額の財政支出を余儀なくされ、これによりハイパーインフレが発生しました。このため政府は、金融緊急措置令および日本銀行券預入令を公布し、いわゆる預金封鎖を行ったのです。この預金封鎖とハイパーインフレにより、戦時中に発行された国債や多くの紙幣が紙屑同然になりました。   このイメージが残っていたことや、政府の債務残高や日銀の国債保有割合などの様子に加え、さらに郵便局でも発行されることなどから、当時と非常に似た状況になっていたことで、個人向け国債発行に対してのマイナスイメージがもたらされたものと思われます。

バブル崩壊後、金融システム不安やデフレの進行といったことから日本経済も大きな打撃を蒙りました。しかし、戦後の状況に比べれば経済状況などは大きな違いがあります。私も戦後生まれですので戦後の悲惨な状況は親などからの話などからしか実感はできませんでしたが、国民の生活水準などはまったく比べようもないぐらい現在の方が安定していたことも事実です。

膨大な政府の借金を返済するためには、ハイパーインフレなり、預金封鎖を実施せざるを得ないといった極端な意見すら聞かれることもありました。しかし、現在、政府が巨額債務を抱え、さらに海外格付け機関から日本国債の格下げが実施されようと、国債は安定的に発行され続けているのは事実です。まだ、個人に買ってもらわなければ国債消化ができないといった状況でもありません。日本国内の機関投資家などの買いによって十分に安定消化されているのです。これは結果とすれば我々国民の預貯金や生保や年金のお金で国債を買っているということにもなります。

しかし、今後もさらに安定した国債発行を行うためにも投資家層の拡大が必要であり、それは国債管理政策といわれるものの一環でもありました。そのためには海外投資家による国債購入を促進したり、個人に直接国債を買ってもらうという必要性が出てきたことで、個人向け国債が発行されたのです。


2006.3.13「滋賀県金融経済懇談会における水野審議委員講演内容より」

本日の滋賀県金融経済懇談会における水野審議委員講演内容(http://www.boj.or.jp/press/05/ko0603c_f.htm)はたいへん興味深い内容ともなっており、内容をしっかり吟味する必要がありそうだが、今回は「金融調節面の措置」について見てみたい。

「今後、当座預金残高を引き下げ始める場合、(1)資金供給オペの頻度の減少、規模の縮小、期間の短縮、(2)将来の政策金利引上げ時期に関する憶測に伴う金利先高観、(3)RTGS(Real-Time Gross Settlement、即時グロス決済)導入後初めて金利先高観がある局面であるためターム物での資金調達に動く金融機関が増える可能性、という3つのルートに加え、テクニカルな要因から、ターム物金利に上昇圧力がかかりやすい状態になります。中短期セクターの債券相場のボラティリティーは量的緩和政策の解除後も暫く高止まりすることが予想されます。」

量的緩和という金利の大きな重石が徐々に取り除かれる際には、5年という長きにわたる期間ねあったことから、短期市場も当然のごとくリハビリも必要になる。この際にターム物金利に一時的なり上昇圧力が加わることも想定される。量的緩和政策の解除後に中短期セクターの債券相場のボラティリティーが高止まりするとの指摘は、本日の中期債などの動きをを見ても明らかである。

「ポスト量的緩和政策の金融政策運営を考える上で重要なポイントは、(1)債券相場の調整を秩序だったものにとどめる、(2)透明性と機動性のバランスがとれた金融政策運営を行う、という2点です。「景気は着実に回復を続けていくとみられる。」という金融経済月報の基本的見解が適切ならば、将来の金融政策の自由度を縛らずに、金利先高観を抑制することは、簡単ではありません。」

景気の回復が予想通りとなれば、自然体で金利先高感がある程度形成されることは避けられないとの見通しであるが、そうとなれば債券相場の調整を秩序だったものにとどめることもなかなか困難ともなりうる。今後は強めに出された経済指標に対しての感応度が強まるとともに、日銀関係者の発言内容への感応度もより一層高まってくるとみみられる。

「量的緩和政策の枠組み変更は、「金融政策の正常化」の通過点に過ぎません。正常化のプロセスで最も重要な点は、日本銀行として「2007年度にかけての景気回復の持続性に自信が持てるかどうか?」だと思います。量的緩和政策の枠組みを変更した後は、コミットメントのないゼロ金利となります。「量的緩和政策の解除は4月以降」と判断してきた市場参加者が少なくなかったことを考えると、強めの経済指標や株価上昇に対して債券市場は過敏に反応する可能性があります。今後の金融政策運営は全くオープンですが、ターム物金利に上昇圧力がかかり、早期利上げを催促する展開も想定されます。」

量的緩和解除はまだ正常化に向けての通過点に過ぎないが、それでも大きな関門であったことも確かである。量的緩和政策の解除は4月以降と判断してきた市場参加者が少なくなかったのは確かではあるが、4月28日までとすればかなり多くの市場参加者が解除ありと予想していた。それが1月ちょっと早まったに過ぎないとの見方はやや楽観的すぎるのであろうか。ただそれだけ日銀が解除に向けて前向きであったということでもあり、それはつまりゼロ金利解除についても、市場のコンセンサスに近い今年秋口よりも前倒しされる可能性も意識されるということであろうか。


2006.3.10「春の個人向け国債、第2回固定5年の利率は1.01%」

本日5年国債の入札が実施され、最低落札価格100円16銭(1.066%)、平均落札価格100円18銭(1.061%)、応札倍率2.41倍と発表された。この結果、個人向け国債(固定5年)の基準金利となる複利利回りは1.06%となった。固定5年の適用利率の算式はこの基準金利-0.05%となっており、1.01%となる。第1回固定5年の0.80%に比べて0.21%の上昇となり、春の個人向け国債のもうひとつ第14回10年変動の初期利子0.85%を前回同様に上回る。しかも前回はその乖離が0.12%であったが、今回は0.16%と乖離も大きくなっている。

1%という大きな心理的な節目も越えていることで、この第2回個人向け国債は前回以上に人気化する可能性が高い。購入される方は念のため、早めに金融機関に問い合わせしておいた方が良いかと思われる。


2006.3.10「量的緩和解除後の状況」

日銀は3月9日の金融政策決定会合において、2001年3月から5年あまりにわたって続けた量的緩和政策の解除を決定した。

債券市場ではこれまでの福井日銀総裁の発言内容から、3月9日もしくは遅くとも4月11日に解除されるとの見通しが強まっていた。このため、9日の解除決定発表後も大きな波乱もなく、落ち着いた値動きとなった。

市場関係者にとり予想外であったのが、政策委員が考える物価導入の目安としての、前年比0〜2%程度のプラスという目安にあった。これについて福井総裁は「新たな枠組みは金融政策が強いしばり受けること排除したもの」、「新たな政策の枠組み、インフレ目標と違いルールベースで運営するわけではない」とコメントしているように、インフレ参照値などとは概念的に大きく異なる点も強調している。

しかし、日銀に対してインフレ目標導入を求めていた中川自民党政調会長は「日銀決定、市場の信頼性・透明性確保の観点からたたき台として評価」とコメント、早期解除に慎重姿勢を見せていた安倍官房長官も「専門家が集まって十分検討した上での判断、尊重したい」、「0〜2%の具体的な判断基準の提示、透明性を評価」と今回の解除決定に対して好意的な発言をしていた。日銀の独立性を尊重しての発言とみられなくもないが、物価導入の目安を取り入れたことを大きく好感したのではないかみられる。

市場では4月解除との認識が昨年来強まっていたが、何故、日銀は量的緩和解除を急いだのであろうか。3月3日に発表された1月全国CPIコアが前年比+0.5%と1998年3月以来の高い伸びとなったことなどを受けてと見られるが、9月の自民党総裁選なども意識されたのではないかとの観測もあった。

福井総裁は、会見において、3月中の当預残は30兆円前後で推移する可能性が高いとし、流動性削減過程のあと、所要準備額を上回る流動性存在する限り、基本的にゼロ金利が続く、ゼロ金利のあとはきわめて低い金利、その後は経済物価情勢に応じた水準に調整としている。当預残については、3か月もたてば概ねよいところまで吸収できるが幅持って対処とコメントしており、これも市場予想に近いものとなっている。

ただ福井総裁は、昨日の会見にて、ゼロ金利と極めて低い金利と使い分けているが、極めて低い金利というのも、コール翌日物金利で0.1%程度までとみられる。当預の減額については最低で3か月、実質半年近くかけて6兆円の所要額ではなく10兆円をまず目標に引き下げて、その後状況を見て所要の6兆円程度まで減額するともみられる。


2006.3.9「解除に関する発言(ロイターなど) 」

安倍官房長官
「専門家が集まって十分検討した上での判断、尊重したい」
「0-2%の具体的な判断基準の提示、透明性を評価」
「物価の基調変動、緩やかなデフレ状況にあるが少しずつ改善」

福井日銀総裁
「3月中の当預残は30兆円前後で推移する可能性高い」
「流動性削減過程のあと、しばらくはゼロ金利」
「ゼロ金利のあとはきわめて低い金利、その後は経済物価情勢に応じた水準に調整」
「当預残、3か月もたてば概ねよいところまで吸収できるが幅持って対処」
「所要準備額を上回る流動性存在する限り、基本的にゼロ金利が続く」
「長国買い切り、長い目で見るといずれ縮減過程に入っていく」
「日本経済にショックあった場合、痛み具合に応じて金融政策を調整も」
「新たな枠組みは金融政策が強いしばり受けること排除したもの」
「物価安定の考え方は全員一致で決定」
「新たな政策の枠組み、インフレ目標と違いルールベースで運営するわけではない」
「解除条件満たしたと判断したので直ちに実施、金融政策の常道」
「量の実質的意味失われた以上、意味あるものとして出すことは自己否定」
「政府の反対を押し切ってやったとの気持ちは全くない」
「ECBのインフレ参照値とは概念的に異なる」
「デフレ脱却に関し、小泉首相と認識に相違ない」
「今後の政策運営、フォワードルッキング・総合判断でやっていく」

中川自民党政調会長
「日銀決定、市場の信頼性・透明性確保の観点からたたき台として評価」

与謝野担当相
「量的緩和解除、中央銀行らしく判断したのは世界のマーケットから高い評価受けると確信」


2006.3.9「牛さん熊さんの本日の債券、引け後の部」

熊「ついに5年に及ぶ日銀の量的緩和政策が解除された」
牛「これで普通の女の子に戻りまーす」
熊「キャンディーズじゃないんだから」
牛「福間委員は体調不調で欠席のようだった」
熊「うーむ、とても大事な会合だったのに」
牛「大事な日に良く休んでいた作者に通じるものがあるような、いてぇ」
熊「福井総裁は金融政策決定会合での量的緩和政策解除を提案とNHKがまず報じた」
牛「さすがに注目されていただけにテレビが開場に入っていたんやな」
熊「そして最後に福井総裁、得意のイナバウアーが決まって解除」
牛「量的緩和解除の女神が福井総裁にキスをしたと」
熊「そろそろやめなさいって指示が飛んでいる」
牛「とにかくNHKといえどリークはいけないと思うで」
熊「政策決定は8人のうち7対1の賛成多数」
牛「そうなるといつも反対の中原さんが反対したのかな」
熊「ちょっと中原違いのような気もするが、まあ中原さんだろうな」
牛「さらに解除後の市場の動揺を防ぐための安定化策として」
熊「将来の物価水準が望ましいかどうかの評価を公表する新指針も導入」
牛「これはいつまでゼロ金利を続けるかを示唆する政策運営の目安ともなるとみられ」
熊「これは前年比0〜2%とし、その中心値として1%という数値も明示」
牛「これにちょっと意外感もあったようやな」
熊「ある意味、物価目標値にも近く、あの山本自民党金融政策小委員長も順当と」
牛「ある意味、うまい妥協案を用意していたようにも思われる」
熊「昨日の安倍官房長官もこの数値指針であの発言だったのか」
牛「まあ真実は良くわからんけど、これでバーナンキさんも好感するんやないかと」
熊「いろいろな方面を見て、ただ解除するのではなくて、細かく配慮も加えている」
牛「まさにある意味、福井総裁らしい味付けとも」
熊「とりあえずこれで3月はなかなか難しいけど4月以降に当預残を減少させていくのか」
牛「株結局、指針を好感して買われ16000円の大台を回復」
熊「これで大きなイベントも終了」
猫「新指標もあって明日の5年国債入札は好調のように思われるわね」
熊「まさに歴史的な日となるわけか」
猫「なんかまだピンとこないわね」
牛「債券先物は135円25銭まで買い戻されて引けは04銭でした」

「牛さん熊さんの本日の債券」は、ロイター、ブルムバーグでもオプションのご契約をしていただければ朝、昼、引けあとの3回の配信をご覧いただくことができます。


2006.3.9「日銀、量的金融緩和政策を5年ぶりに解除」

日銀は本日の金融政策決定会合において、2001年3月から続いている日銀の当座預金残高という量を政策目標とした量的緩和政策を解除した。福井総裁が解除について議長提案し福間委員は体調不調で欠席のため、政策決定は8人のうち7対1の賛成多数で決定した。

さらに解除後の市場の動揺を防ぐための安定化策をまとめた。中長期的な政策運営の目安として、予測される将来の物価水準が望ましいかどうかの評価を公表する新指針も導入した。これはいつまでゼロ金利を続けるかを示唆する政策運営の目安ともなり、これは前年比0〜2%とし、その中心値として1%という数値も明示した。これは原則としてほぼ1年ごとに点検していく。

毎月1兆2千億円の長期国債の買い入れも継続。解除後は、市場に大量に供給してきた資金を数か月かけて減らしつつ、その間の短期金利は0.1%以内に押さえる。


2006.3.8「本日の引けあとの牛熊を公開」

熊「作者が悩んでいる」
牛「春になると中年ノイローゼの多いから注意しないと、いてぇ」
熊「福井日銀総裁は見識の高い、日銀総裁にふさわしい人物と」
牛「なんとあの安倍官房長官がコメントしたそうな」
熊「これまで安倍官房長官は日銀の量的緩和解除には慎重な立場にいたとされる」
牛「どちらかといえば、竹中総務相や中川政調会長などの側にいたようにも」
熊「ところがこのタイミングでこの発言というのはいったんなんでと悩んでいたのか」
牛「国会で小泉首相も、賢明な福井総裁なので、と言ったのでそれを受け継いだとか」
熊「取り方によっては、もう勝手におやりなさいと、突き放したとも」
牛「そうなると仮に小泉さんの後継者が安倍さんとなった際には」
熊「利上げどころの話ではなくなってしまうような懸念もないとはいえない」
牛「作者はもしかすると、明日の解除はないとみての発言ではないかと憶測」
熊「解除は4月にして政府側の慎重に姿勢にも配慮を示したと」
牛「まあこれすべてあくまで憶測や推測に過ぎないのであしからず」
熊「どちらにしても結論は明日出されるわけだが」
牛「まさにガス、やなくてまさに五分五分状態」
熊「買いが勝ったのが債券市場」
牛「前場は変な超長期債への買いが入ったが」
熊「後場に入ると中期が買われてきた」
牛「5年53回5.5毛強の1.030%、2年4毛強の0.475%」
熊「10年277回も4毛強の1.605%としっかり」
牛「債券先物も買い戻しが入り136円31銭まで買われた」
熊「明日の3月限の最終売買日を控えての買戻しと」
牛「昨日現在で3月限の建て玉は7兆円もあったし」
熊「しかし引けにかけては戻り売りに押され」
牛「大引けは7銭高の136円19銭となった」
熊「ということで、いよいよ明日」
牛「明日解除したとしても、しなくても」
熊「日銀はたいへんそうだな」
猫「もう状況を作っちゃったけど、待つことも大事よね」
熊「まだ梅が咲いたぐらいだし、桜の花まで待ってもいいんじゃねえか」
猫「東風吹かば匂い起せよ梅の花」
牛「日銀の主はいったいどう考えているのやら」


2006.3.8「2月の銀行貸出残高0.2%増、8年2か月ぶりのプラス」

日銀が発表した貸出・資金吸収動向(速報)によると、全国の銀行の2月の貸出残高(月中平均)は383兆3373億円と、前年同月比0.2%増え、1997年12月以来、8年2か月ぶりにプラスとなった。

内訳は都銀等は1.4%減と9年6か月連続のマイナスとなっているがマイナス幅は前月より0.3ポイント縮小した。地方銀行と第二地方銀行合計は2.1%増と11か月連続で増加。

全国の銀行に信用金庫を加えた残高も0.2%増となり2か月連続でプラスとなった。

貸出残高が回復してきた要因としては、企業の設備投資資金の融資に加え、不動産向け融資や個人の住宅ローンなどが好調になってきたためだ。銀行側も不良債権処理が一段落し、貸し出しを積極化させていることも背景にある。日銀は「貸し出しの改善基調は今後も続くとみられる」としている(読売新聞)。


2006.3.7「緩和解除は3月9日か4月11日か」

3月8日から9日にかけての日銀による金融政策決定会合に世界中の目が注目し始めている。6日の参院予算委員会に出席した福井日銀総裁は「決定会合で客観的に判断する」としたが、小泉首相は「デフレ脱却したとは思っていない」とこれまでの発言を繰り返すとともに「解除して2度とデフレにもドライことを前提に」と述べることで慎重な対応を求めたものとみられる。

小泉首相は「賢明な福井総裁なので、各状況をしっかりと見極めて判断されると思うので、特別に申し入れる考えはない」とも述べ、解除時期などは日銀の責任で判断されるとの考えを示した。

小泉首相は日銀の独立性を意識し、さらに政府と日銀との軋轢といったものも回避したい意向ともみられる。2月26日の読売新聞は日銀が3月に開く金融政策決定会合で、仮に量的緩和策の解除が提案された場合でも、議決延期請求権を行使しない方針を固めたと伝えているが、それも首相の意向といったものではなかろうか。

3月1日の日経新聞では量的緩和解除後も無担保コール翌日物金利で0.1%程度までに抑えるとの金利抑制報道や、読売新聞の解除後も当面、超低金利を保つ方針を盛り込んだ特別文書を出す方向で調整に入ったとの報道などにより、早期解除観測が急速に強まった。

さらに日銀が量的緩和政策の解除の大きな条件としている全国消費者物価指数に関して、コア部分は1月分が+0.5%となり、市場予想の+0.4%よりも高くなれば3月解除という観測まで出ていたことで、さらに3月解除説が強まったものとみられる。

これまでは「展望レポート」が出される4月28日に量的緩和政策が解除されるとの見方が強かったが、それが福井総裁の発言なり、マスコミの解除後についての報道なり、さらに1月CPIが予想を上回ったことなどから、前倒しされるとの見方が強まった。決算期末も意識しての4月11日説も出たが、その前に3月9日説の方が強まった。

しかし、過去に日銀の大きな政策変更の際にはマスコミがそれを事前に報じることも多かったが、まだ解除が決まったといったような報道も出ていない。まだ、解除に向けて審議委員の意見が固まったのかどうかを判断するのも微妙なところである。もちろん9日に決めることを事前にマスコミが報じることに問題はないとは言えないことも確かではあるが。

3月9日に量的緩和政策の解除宣言をして実際に当預残の引き下げは3月末の当預残や決算期末など意識して、4月から徐々に開始するといった可能性もある。しかし、慎重に4月11日に解除を行う可能性も十分にあるし私はまだこちらの可能性が少し高いとみているが、まさに五分五分といったところのようにも思われる。


2006.3.6「日銀に対する政府の意向」

10〜12月期GDPが発表された17日、小泉首相は「まだ、デフレ状況を脱却したとは言えない」としながらも「量的緩和政策解除の判断は日銀総裁に任せる」と述べている。

これに対してマスコミの一部では「小泉首相の量的緩和政策解除をめぐる発言が、大きく転換した日だ」との見方もしていた。小泉首相は昨年11月に「(量的緩和解除は)まだ早いのではないか」と述べたことで、日銀に対して強いけん制球を投げたとみられていた。

2月9日の福井日銀総裁会見で量的緩和解除に一段と踏み込んだ発言をした翌10日にも「(量的緩和解除は)よく状況を見極めてもらいたい。デフレ状況を脱却したかどうか、そのうえでの判断だ」と小泉首相は述べている。

ここで注意したいのは、デフレ脱却が量的緩和解除の絶対必要条件になっているのかどうかという点である。

与謝野経済財政金融担当相は22日の記者会見において「今言われているのは、GDPデフレーターがマイナスになっているということだけに過ぎない」とコメントしている。ただし与謝野担当相は日銀法改正に現在の福井総裁とともに関わっていた経緯もあり、やや日銀寄りの姿勢であることは念頭に置く必要がある。

しかし、内閣府の高橋進政策統括官(経済財政分析担当)はロイターとのインタビューにおいて、量的緩和解除とゼロ金利解除は異なるとし、デフレ脱却して初めて、ゼロ金利解除になると述べている。さらに、量的緩和解除については、日銀が提示している3条件が整えばいずれ解除されるものの、実体経済に大きな影響はなく問題はないとの考えを示した。

高橋統括官は「デフレ脱却と言い切れるのは、ある程度、消費者物価がマージンを持ってプラスになってくる。その時はGDPデフレーターもゼロ近傍、水面上に出てくる。その時になってデフレ脱却と言える」とし「それまでは、日銀は政府と一体となって確実にデフレ脱却するための政策を続けることに変わりはない。量的緩和解除とゼロ金利解除は全く違う。デフレ脱却して初めてゼロ金利解除になる」と述べたと伝えられている(ロイター)。

17日の小泉首相の発言も、もし内閣府の高橋進政策統括官の考え方に沿うと、政府もデフレ脱却宣言を出していない以上、「まだ、デフレ状況を脱却したとは言えない」。しかし、量的緩和解除とゼロ金利解除の意味合いが異なるとなれば「量的緩和政策解除の判断は日銀総裁に任せる」ということになる。これは私自身が首相の日銀の金融政策の考え方と勝手に解釈してきたものに近い。

1月全国消費者物価指数の発表を受けたあと、謝野経済財政金融担当相は「全ては日銀が決めることだが、物事を決断する以上、責任ある決断をしてほしいし、結果についても日銀が責任を負うという自覚のもとでやってほしい。独自の判断と責任は常に一体のものだ」と主張した。

竹中担当相は「日銀の金融政策の中身について事前にコメントしない。そこは日銀が責任をもって決めることだ」と指摘している。

量的緩和解除については日銀が責任を持って行うこととし、それについては政府は少なくとも反対はしない。つまりは議決延期請求権の行使はない。ただし、ゼロ金利の解除については、政府のデフレ脱却宣言が必要条件ともなるものとみられる。

小泉首相とすれば自らの退陣前にはデフレ脱却宣言を出したい意向とも思われる。そのため、もしGDPデフレーターがゼロ近傍かそれ以上が確認できればデフレ脱却宣言を出すこととなろう。そうなれば、それは日銀のゼロ金利解除、つまり利上げが実施される可能性が高まることを意味するものと考える。


2006.3.3「量的緩和解除は3月9日か・・・」

すでに日銀が量的緩和政策の解除の大きな条件としている全国消費者物価指数に関して、コア部分は10月が前年同月比ゼロ、11月同+ 0.1%、12月も+0.1%、そして3月3日に発表された1月分も+0.5%と1998年3月以来の高い伸びとなった。

量的緩和政策の解除の際に出すとみられる金融政策の新指針の内容が煮詰まれば3月9日の金融政策決定会合で決定される可能性が高まってきた。ただし期末決算もあり、政府与党などから解除は4月以降が望ましいとの声も出ているようであり、多少流動的でもある。個人的にはできれば4月11日希望・・・。

また3月9日に解除されるかどうかについては、解除の際に発表されるとみられる金融政策の新指針が決定されるかどうかも大きな焦点とみられる。3月3日の朝日新聞は、翌年度の物価の数値見通しに一定の評価を加えながら政策の方向性を示す案が有力と伝えている。これまで、展望レポートで参考資料として公表してきた翌年度までの消費者物価指数の見通しを政策運営の判断材料に格上げする案のようである。その見通をもとに日銀の見方を示し、その後の金融政策の道筋を示唆するとみられる。もしそうなれば、インフレ目標に比べて、新指針は政策の裁量性が高いものとなり、これまでの福井総裁の発言と整合する。

福井総裁は「緩和解除後は極めて低い金利経て、段階的に中立的水準に修正」としている。極めて低い金利とはコール翌日物金利で0.1%程度までとなる見込みのようである。3か月から半年程度かけて6兆円の所要額まで減額するともみられる。いったん10兆円に落としてその後6兆円に引き下げるという2段階方式などの採用の可能性もある。


2006.3.2「春の個人向け国債」

春の個人向け国債の募集が、3月13日から開始される。募集期間4月4日までとなる。日銀の量的緩和解除観測の強まりなどから金利は上昇しており、今回の個人向け国債はこれまで以上に人気化する可能性が強まった。

2日の10年国債の入札結果により、個人向け国債(変動10年)の基準金利となる複利利回りは1.65%と発表された。つまりここから0.8%を差し引いた0.85%が初回の利子となる。これまで発行された変動10年の1回から13回までの初期利子の中では最も高いものとなった。

さらに、固定5年は3月10日の入札結果次第ではあるが、3月2日現在で5年国債は1.1%近い利回りとなっているため、利率は1%以上となる可能性が今の所高い。この1%という金利は個人にとってかなり意識されるものでもある。

変動の初期利子がこれまで最も高いものとなったとはいえ、前回も固定の利子と比較して変動の初期利子が低かったことで、固定の方が発行量が結果として多くなった。

春の個人向け国債もどうやら固定主体に資金が集中してくる可能性が高い。発行額も過去最高を記録するのではないか予想される。

ちなみに発行日は4月17日、利払日は4月15日及び10月15日の年2回となっている。


2006.3.2「シ団廃止」

本日の10年国債入札を持って国債引受シンジケート団の引き受けが終わる。シ団廃止を訴えていた者の一人としては、やっときたかと思う反面、なんとなく寂しい気がしないでもない。来月債からは10年国債も他の国債と同様に完全競争入札となる。

国債のシ団制度が開始されたのは、私のホームページの「国債関連の歴史年表」によると1966年1月である。つまり、戦後初めて国債が発行されたと同時に、このシ団制度が作られた。約40年間に渡ってこのシ団は国債の安定消化のための役割を果たしてきたともいえる。ちなみにこのシ団制度とは、国債の募集、引受を目的として、主要な金融機関(平成17年12月現在1207機関)により組織された国債募集引受団(シ団)が総額引受を行う制度である。

市中公募入札の導入、その後の拡大によってシ団引受に係る競争入札比率は段階的に引上げられており、国債発行額に占めるシ団引受による発行額の割合は10%にまで低下していた。シ団制度に代わる日本版プライマリーディーラー制度というべき国債市場特別参加者制度もしっかり機能しており、このためシ団廃止に伴う影響もほとんどないものとみられる。

細かいことを気にすれば、これまで10年国債入札日については朝、8時半にシ団に提示するというかたちで利率や回号が発表されていた。シ団が了承することで10時半に正式発表となるが、これも形式だけのものとなり実質8時半発表において正式利率の発表と同様に見なされていた。しかし、シ団廃止となれば他の国債同様に10時半発表ということになる。


2006.3.1「日銀の金利抑制策」

福井総裁は「緩和解除後は極めて低い金利経て、段階的に中立的水準に修正」としている。極めて低い金利とは3月1日の日経新聞によると、それは無担保コール翌日物金利で0.1%程度までどなる見込みのようである。

量的緩和政策自体が未曾有のことであり、当然のことながら緩和解除についても市場参加者はもとより日銀にとっても始めてのこととなる。このため、緩和解除後の日銀の当座預金残高を縮小させる間、短期金利が状況によっては跳ね上がるリスクがあった。

これを意識してか、福井総裁は昨年途中から解除後の金利について、ゼロ金利とは表せず「極めて低い金利」との表現に置き換えている。これはゼロ金利政策中も実際のコールの金利はゼロではないことを示しているとともに、この跳ね上がりの可能性も意識してのものとも見られていた。

無担保コール翌日物金利の0.1%というのは、ロンバートレートとしての役割に代わった公定歩合と同水準である。翌日物金利がこの0.1%を超えそうになった際には、当座預金残高を引き下げるペースを落とすなり、手形の買いオペなどを通じて資金供給など行って金利を押さえ込むものとみられる。

さらに読売新聞は、日銀が量的緩和策を解除する際に、解除後も当面、超低金利を保つ方針を盛り込んだ特別文書を出す方向で調整に入ったと伝えている。当面、事実上のゼロ金利を継続する方針を特別文書で示すことにより、金利の急騰など市場の混乱を防ぐのが目的とみられる。通常の声明とは別に特別文書を公表して政策の狙いを詳しく説明し、解除後も金利や物価を安定させる効果を高めることにした、とも伝えている。

特別文書には「日本経済の物価上昇圧力は低いため、ゼロ金利を含む極めて低い短期金利の水準を当面継続することができる」との趣旨を盛り込み、日銀が政府とともに2006年中のデフレ脱却を確実にする姿勢を強調するそうである(読売新聞より)。


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