10月の債券相場の推移を振り返ってみたい。10年債の利回りは9月1日に1.600%、その後いったん9月6日に1.740%まで利回りが上昇後、再び9月末にかけて利回りは低下し、9月25日に1.605%をつけた。チャート上、この1.600%と1.605%が結果としてダブルトップの形となった。
そして10月に入り、米国経済は住宅市場の落ち込みも底入れといった見方も出てきており、ソフトランディングシナリオが台頭。米FRBによる利上げ観測の後退どころか利下げ観測まで出ていたが、そういった利下げ観測もさすがに後退し、米債は下落基調となってきた。さらにNYダウは市場最高値を更新するなど株価の上昇などもあり、日本の長期金利もこういったことを背景に上昇圧力を強めた。
日本の長期金利は10月24日に1.850%まで利回りが上昇したが、その要因としては日銀の追加利上げ観測の強まりもあったものとみられる。10月6日の武藤副総裁の会見において「クリスマス商戦を見極めないと判断できないかどうかについては、米国の消費動向を占ううえで重要なものと理解しているが、それの見極めがないと、政策展開ができないという考え方を採っているわけではない」とし年内利上げを否定しなかったことに加え、10月13日の日銀金融政策決定会合の後に行われた日銀総裁の記者会見において、福井総裁も「年内利上げの可能性否定できない」とし、あらためて年内利上げの可能性に含みを持たせたものとなった。
しかし、10月25日に発表された米FOMC後の声明文において、インフレ警戒を強めた内容ではないかとの懸念もあったが、結局、前回とほぼ同様の内容となり、これはハト派的内容とも捉えられたようで米国の追加利上げ観測が後退し、米債は大きく反発することとなった。
この米債の急反発に加え、27日に発表された8月の全国消費者物価指数は前年同月比+0.2%となったことで、年内の日銀による追加利上げ観測が再び後退し、長期金利は1.7%近くまで低下してきた。ここにきて急激な動きを見せているのは米債や円債だけではなく、原油先物や金価格、さらに為替市場にも及んでおり、ファンダメンタルズの影響を受けていることも確かではあるが、ヘッジファンドなどの決算に伴ってのポジション調整といった動きが拍車をかけた面もあるとみられる。
そういった動きが11月に入っては次第に沈静化してくるものとみられる。そうなれば米FRBの金融政策の行方とともに、追加利上げのタイミングを見計らっているとみられる日銀の動向といったものにさらに焦点が集るものとみられる。
今月16日に発行された秋の個人向け国債の販売額は、固定利付債が8584億円、変動利付債が7323億円、合計で1兆5907億円(うち郵便局1991億円)となったことが明らかとなった。前回の7月発行分は10年変動タイプと5年固定タイプの合計で2兆2243億円であったことから、これに比べて6336億円と約3割程度の減少となった。
変動・固定ともに前回の夏の個人向け国債の初期利子や利率を下回ったことがこの減少の要因かともみられる。固定タイプは1回、2回に比べては利率は高いものの発行額は減少し、これまで4回発行された固定タイプの中では最も発行額が少ない。個人向け国債は財務省のみならず取り扱い金融機関などが積極的にテレビCMなとも利用して人気商品となった。その人気が大きく薄れることは考えづらい。ただ、現在の金利を取り巻く環境下、今後の発行額の大幅な伸びはいまのところ期待しにくいが、それでも安定的に発行が続けられていくものと思われる。
これまで発行された個人向け国債の回号別販売額と初期利子(固定は利率)は下記の通り
第1回変動10年(2003年3月)3,835億円(うち郵便局499億円)、0.09%
第2回変動10年(2003年4月)3,486億円(うち郵便局746億円)、0.05%
第3回変動10年(2003年7月)2,802億円(うち郵便局588億円)、0.05%
第4回変動10年(2003年10月)9,432億円(うち郵便局1,659億円)、0.77%
第5回変動10年(2004年1月)1兆3,951億円(うち郵便局995億円)、0.62%
第6回変動10年(2004年4月)1兆4,185億円(うち郵便局1,244億円)、0.55%
第7回変動10年(2004年7月)1兆7,726億円(うち郵便局1,990億円)、0.74%
第8回変動10年(2004年10月)1兆8,652億円(うち郵便局2,484億円)、0.74%
第9回変動10年(2005年1月)1兆7,647億円(うち郵便局2,436億円)、0.67%
第10回変動10年(2005年4月)2兆3,374億円(うち郵便局1,990億円)、0.73%
第11回変動10年(2005年7月)1兆6,423億円(うち郵便局2,484億円)、0.45%
第12回変動10年(2005年10月)1兆3,629億円(うち郵便局2,483億円)、0.55%
第13回変動10年(2006年1月)8,001億円(うち郵便局1,488億円)、0.68%
第14回変動10年(2006年4月)8,285億円(うち郵便局1,491億円)、0.85%
第15回変動10年(2006年7月)9,813億円(うち郵便局995億円)、1.10%
第16回変動10年(2006年10月)7,323億円(うち郵便局997億円)、0.92%
第1回固定5年(2006年1月)1兆1,285億円(うち郵便局497億円)、0.80%
第2回固定5年(2006年4月)9,883億円(うち郵便局1,490億円)、1.01%
第3回固定5年(2006年7月)1兆2,430億円(うち郵便局996億円)、1.30%
第4回固定5年(2006年10月)8,584億円(うち郵便局998億円)、1.13%
31日に発表される日銀の経済・物価情勢の展望、いわゆる「展望リポート」が注目されているが、その内容に関して25日にロイターが「日銀展望リポートで利上げの必要性示す、CPIは今年度0.3%・来年度0.5%程度の方向」と報じている。
展望リポートでは、2006年度の消費者物価指数(除く生鮮)の見通し中央値が+0.3%程度、2007年度が0.5-0.6%になる見通しのようである。これはもちろん2005年基準に直してのものであり、2007年度はやや高めと出る可能性はすでに指摘されており、この予想にも違和感はない。
ロイターによると、「日銀はこうした物価や経済の見通しなどを背景に徐々に金利調整を行うとの姿勢を改めて打ち出し、追加利上げの必要性を示す方針だ。政策変更の時期は、年内の可能性も含めて今後の経済指標や市場動向なども材料にしながら判断していく」と、追加利上げに向けての姿勢を打ち出す方針のようである。これについてみ福井日銀総裁の会見などによる発言内容と整合性もあることで違和感はない。時期については引き続き「予断は持たず」との姿勢を表明するとみられるが、年内も含めてターゲットを置いていることも確かであろう。
4月展望リポートでは、CPIの見通し中央値は、2006年度が+0.6%、2007年度が+0.8%。多くの幹部は「物価見通しは4月時と大きく変わっていない」と述べているようで ある。8月にCPIは2005年基準に改定され、1-7月平均で0.5%程度下方修正されている。ただ、「下方改定幅は、年初が大きくなっている点や、携帯電話料金の指数算出方法の見直しに伴う部分0.14%ポイントが11月以降ははく落することなどから、06年度を通してみると、0.3%ポイント強の押し下げ要因になる」(ロイター)と日銀では分析しているようである。さらに「基準改定実施後初めての展望リポートとなる今回は、基準改定のCPIへの影響について記述する方向だ。」とか。この説明も当然ながら必要なものであろう。
原油価格が7月のピーク時から1バレルあたり約20ドル下落し、CPIがマイナスに戻ることへの懸念を示し始めているむきもあるが、日銀は一進一退となるだろうとの見方をしているものの「CPIが再び下落方向になることはない」とも見ているようである。1バレル60ドル前後という現在の水準は、4月展望リポート時と同水準であることや、世界経済の拡大が続く以上、さらに原油価格が下落する可能性は低いと見ていることなどがその背景にあるともロイターは指摘している。
ソフトバンクモバイルが23日に発表した携帯電話新料金プランについては、総務省が今回の値下げを消費者物価指数にどのように採用するか、他社がどのように動くかが分からないため「現時点ではCPIへの影響は不透明」とのスタンスも当然かと思うが、ソフトバンクを使っている私の私見では全く影響はないと思っている。ドコモなどが追随するほどの影響はなく、むしろソフトバンクからの流出の方が避けられないものとも思っている。一見して低料金に見える今回の新料金プランについて、私を含めてあまり好意的には見ていない向きも多いと思われる。
また、成長率の見通しについても「4月と大きく変わらない」とみられ、これに関して大方の予想通りではないかと思われる。
「経済が緩やかに拡大し、物価も緩やかに上昇するとのシナリオを維持する中で、展望リポートでは金融政策について、経済・物価情勢の変化に応じて、徐々に金利水準の調整を行うとの姿勢を改めて示す見通し。」(ロイター)
さらに、「日銀は翌日物金利0.25%の現状は非常に緩和的と認識している」(ロイター)とも見られているが、これについてもこれまでの日銀幹部の発言を見る限り、そういった認識は共有していてもおかしくはない。「超低金利を継続することで、先行き、設備投資の過熱や資産価格高騰などゆがみが出る可能性があるため、徐々に金利水準を調整することで物価安定化での持続的な成長を長続きさせるとしている。ただ、現時点で設備投資や土地投資に過熱感が出ているとは見ていないほか、物価上昇も緩やかなペースにとどまると予想している。このため金利調整はゆっくりと進めるとの考え方を維持している。」(ロイター)
これは福井総裁の会見などでもコメントされていた内容でもあり、これにより、「超低金利継続によるゆがみが顕在化する前に、金利調整を行うことが必要との指摘は多くなっている」ことで、「フォワードルッキングな観点で小刻みな金利調整を志向する」日銀は、経済・物価が展望シナリオに沿って進展することを確認した上で、追加利上げの時期を見定めていくとの見方には、私も同意である。
日銀は2006年3月9日の金融政策決定会合において、2001年3月から5年あまりにわたって続けた量的緩和政策の解除を決定した。この量的緩和政策とは、ゼロ金利政策により金利をゼロ近辺に誘導してもまだデフレ脱却への動きを見せなかった日本経済の活性化に向けて、異例ともいえる究極の緩和政策である。民間金融機関が日銀の当座預金に置いている残高を、決められた額である6兆円程度に対して最終的には30兆円から35兆円になるようにと日銀は積極的な資金供給を行った。
この究極の日銀の金融政策により、銀行など金融機関の資金繰りは楽になり、金融システム不安が解消に向かうとともに、日本経済回復やデフレ解消に向けてのひとつの原動力ともなった。そして、米国や中国の経済拡大などを背景に日本でも景気が回復基調となっていた上に、量的金融緩和解除の条件としていた消費者物価指数が前年比プラス基調となってきたことで、日銀は異例とも言われる量的緩和政策の解除を行った。
これにより金利に乗せられていた大きな重石を取り除くこととなり、短期金利も少しずつ金利がつくようになった。そしてさらに日銀は7月14日にゼロ金利政策も解除したのである。
日銀が異例とも思われる2つの政策を解除してきたことで、今後は緩やかながらも金利は上昇傾向に向かうものと考えて良いかと思う。ただしそのペースについては、物価がまだ安定していることから、極めて緩やかなものとなることが予想されている。
日銀は半年後に発表する展望リポートと言われるもので先行き予想をしているが、消費者物価指数を含めた物価に関しては、「先行きについても、景気の拡大が続く中で、マクロ的な需給ギャップが需要超過で推移していくと考えられることから、物価のプラス基調が続いていくとみられます。ちなみに、短観や各種サーベイ調査の結果をみても、企業や家計が、先行き物価が上昇していくとの見通しを持っていることを示しています。」(京都府金融経済懇談会における武藤副総裁講演より)との見方をしているものとみられる。
10月13日の日銀金融政策決定会合の後に行われた日銀総裁の記者会見において、福井総裁は「年内利上げの可能性否定できない」とし、あらためて年内利上げの可能性に含みを持たせたものとなったが、年内利上げの可能性についての総裁発言は今回が初めてというわけではない。7月31日に行われた時事通信との単独会見においても、福井総裁は追加利上げの時期について「年内はないとまでは言っていないのが真意だ」と述べたことが伝わっている。さらに先週の武藤副総裁の会見においても「クリスマス商戦を見極めないと判断できないかどうかについては、米国の消費動向を占ううえで重要なものと理解しているが、それの見極めがないと、政策展開ができないという考え方を採っているわけではない」とし年内利上げは否定していない。
福井総裁は追加利上げのタイミングについては予断を持っていないとの発言を繰り返しているが、懸念されていた米国経済が住宅市場の底打ち感の強まりなどによって、ソフトランディングするといった見方が強まっている。日本経済についても日銀短観などを見る限り回復基調を続けていると見てよいと思う。 このため、早ければ12月もしくは1月の金融政策決定会合にて追加利上げが実施される可能性は強いと予想される。一時は債券市場内部でも年内利上げ派が一時急減していたものの、ここにきて再び年内利上げを指摘する声も高まっていることも事実である。
ただし、仮に年内に日銀が無担保コール翌日物の金利の目標水準を0.5%に引き上げたとしても、そこからの追加利上げにはさらに時間をかけてくるとも予想される。来年度の基準が変更された消費者物価指数の予想も1%程度までの上昇はなかなか見込みづらい。0.5%以上の追加利上げをするには、消費者物価指数もやはり前年比0.5%以上の伸びも必要になると思われるためである。
これまでの物価の上昇は極めて緩慢であり、急速にインフレが台頭するといった環境下にもない。実際に原油価格が急騰してもそれによる影響はかなり限られたものとなっていたぐらいである。
これは個人投資家もある程度予想しているものとみられ、たとえば個人向け国債の売れ行きなどを見ても、金利が上昇基調となっているにも関わらず、10年の変動タイプよりも5年の固定タイプが売れている。これは期間の問題や変動タイプの仕組みがわかりづらいという面もあろうが、今後の金利上昇はかなり緩やかなものとなるといった見方も反映しているのではないかともみられる。債券市場関係者からみると変動の方が有利との声も実際には多い。しかし、現実に量的緩和解除やゼロ金利解除を 実施しても長期金利の上昇はせいぜい2%止まりとなり、ゼロ金利解除後にはむしろ一時1.6%にまで低下していたぐらいである。
長期金利が低位安定している背景としては、国債の需給が締まっているという側面もある。一時、国債暴落などが騒がれた時期もあったものの、日本国債への信任は強く投資家も引き続き資金を国債に投じているとともに、財務省による国債管理政策によって国債発行も順調に行われている。
ファンダメンタルズによっての金利の急上昇は見込めず、さらに国債への信任低下などによる長期金利の急騰も考えづらい。現状の長期金利は2%超えがせいぜいかとみられるが、日銀の予測どおり物価がさらに上昇となれば無担保コールの誘導目標を1%程度まで引き上げてくる可能性は否定できない。そうになれば長期金利の上昇もあるとみられるが、せいぜい3%近辺止まりかと予想している。
財務省が出している雑誌「ファイナンス」というものをご存知だろうか。広報が出しているもので内容は財務省が行っていることをなるべくわかりやすく伝えようとしているものである。10月号の表紙を開けると谷垣前財務大臣から尾身財務大臣の引継ぎの様子の写真が掲載されていたりする。この10月号に、運用部ショック後の国債管理政策の拡充にご尽力され、現在は大臣官房総合政策課政策調整室長の齋藤通雄氏が書かれた「金利と経済 金融政策入門」が掲載されている。
大臣官房総合政策課政策調整室長という長い肩書きではどのような仕事をされているのかはわかりにくいかもしれないが、金融政策などに関わる日銀と財務省とのまさに調整役といった立場の方である。このため国債に関してはもちろんのこと、日銀の金融政策に関しても詳しい方であり、そういった方がわかりやすく金融政策について書かれているのである。
財務省の方が書かれた金融政策に関するものはそれほど多くはないものとみられ、財務省にいる方がどのような視点で金融政策を見ているのかを見る上でも参考になるのではなかろうか。「ファイナンス」の定価は560円。ご希望の方は財務省の広報などにお問い合わせいただければと思う。ちなみに10月号が上となっており、11月号で続きが読めるそうである。
21日の朝日新聞などが報じたところによると、本間正明教授が会長に就任することが決まった政府税制調査会の新たな委員に、小説「タックス・シェルター」などの著書がある作家の幸田真音さんらが内定したそうです。ラジオのパーソナリティーに今度は政府税調の委員とはすごいですね。
その幸田真音さんが、初のエッセイ集を出されるそうです。タイトルは『表の顔と裏の顔』、小学館より10月30日に発売されます。ぜひお買い求めください。今回もサイン会が企画されており、政府税制調査会委員でもありラジオのパーソナリティでもある幸田真音さんに直接お目にかかるチャンスでもあります。サイン会は11月10日(金)の夕方八重洲ブックセンターで開催されます。今年三度目のサイン会、私も伺うつもりです。お誘いあわせの上、「ぜひいらしていただけると嬉しいデス!!」との幸田真音さんからの伝言もいただいております。
10月18日に9月7〜8日分日銀金融政策決定会合の議事要旨が発表された。8月25日の基準が改定された消費者物価指数の発表後の決定会合であったことで、特にその消費者物価指数に関する発言などが注目された。
7月全国消費者物価指において2005年の新基準で+0.2%と発表され予想された+0.5%を下回った。2000年基準から2005年基準に伴う修正値が市場予想の0.2%程度から実際には0.4%程度あった。これはある程度携帯電話の通信料分で説明が可能とみられる。いずれにしてもこれはあくまで技術的なものとは見られていたものの、相場は過剰反応を示し10年債の利回りは1.8%から1.6%へと急低下している。この理由としては、この消費者物価指数の改訂によって各なくとも年内もしくは年度内の追加利上げが困難との見方を市場参加者の多くが示したためと解説された。
しかし、現実にはその肝心要の日銀は基準が改定された消費者物価指数を確認してあともこれまでの方針に大きな変化がなかったことが、9月7〜8日分日銀金融政策決定会合の議事要旨からも伺えるのである。たとえばCPIに関しては次のような発言があった。 「消費者物価(全国、除く生鮮食品)について、委員は、2005年基準指数の動きをみてもプラス基調で推移しており、先行きも、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中で、前年比プラス基調を続けていくと予想されるとの見方を共有した。」 さらにその上で改訂の影響についても、
「委員は、消費者物価指数の2000 年基準から2005 年基準への改定について、前年比押し下げ幅が大方の事前予想を幾分上回ったことに言及したうえで、この基準改定は物価を巡る基本的な判断に変更を迫るものではないとの見方で一致した」
ここには市場参加者の見方とややギャップがあったものとみられる。私自身は日銀の方針には変化なく年内利上げも可能としていたが、基準改訂後はこういった見方は極めて少数派ともなっていた。
ただし「一人の委員は、基準改定に伴い、技術革新や規制緩和が進む品目のウェイトが大きくなったことが、今後の指数の推移に及ぼす影響にも注意を払いたいと述べた」といった発言にはやや注意も必要であり、改訂の影響がまったくないわけではないことも示唆している。
もちろん今後の政策変更に時期に関しては、「経済・物価情勢次第であり、現時点で何らの予断も持っていないことを丁寧に説明していくことが大切であるとの認識を共有した」とあるように引き続きフリーハンドという日銀の姿勢に変化がないということでもある。
今年の8月末からの長期金利の大幅な低下のきっかけは、8月25日に発表された7月全国消費者物価指数であった。
7月全国消費者物価指において2005年の新基準で+0.2%と発表され予想された+0.5%を下回った。2000年基準から2005年基準に伴う修正値が市場予想の0.2%程度から実際には0.4%程度あった。これはある程度携帯電話の通信料分で説明が可能とみられる。いずれにしてもこれはあくまで技術的なものではあったが、相場は過剰反応を示し、10年債の利回りは1.8%から1.6%へと急低下している。
これはCPIショックとも呼ばれているが、利回りは低下したものの債券価格は上昇していたわけで、株価の急落が伴っていたわけでもなく、債券価格の急上昇を示すにはショックという言葉を使うことにはやや違和感がある。
それではなぜこういった債券利回りの急低下が引き起こされたのか。8月末にかけては米国の長期金利が低下していたこともひとつの要因とも指摘されている。米国経済においては住宅市場が下げ止まらずにFRBの追加利上げ観測は急速に後退し、むしろ利下げ観測まで出るなどしていたことも大きな影響があったとみられる。
さらに債券相場の好需給も背景のひとつではあるが、このタイミングで需給が突然良くなったわけではない。むしろ意外であったのは、公社債投資家別売買高をみるとこの8月と9月に都市銀行が短期国債を除くと売り越しであったことである。
CPI改訂値発表前に市場観測ながらもメガバンクが中期債主体に買いに転じたのではないかとの観測が流れていた。スワップ市場あたりで動きがあったのではないかともみられていたのだが、結果を見る限り、少なくとも現物債は売り越しであった。相場が大きく動く際にはメガバンクもしくは海外投資家が動いていることも多いが、今回はメガバンクが債券の上昇相場を演出したわけではないようである。
そうなると疑わしいのが海外投資家ともなる。外国人投資家は7月には1兆円規模の売り越しであったものの、8月と9月はそれぞれ買い越しに転じている。さらにこの時期にはヘッジファンドの破綻などの影響で商品市況も大きく揺れ動いており、そういった流れがデリバティブなどを通じて円債にも波及していた可能性も否定はできない。
ここにきて年内の日銀追加利上げ観測も再浮上しているが、現実には日銀はこのCPI改訂があっても方向性を変えているわけでもない。海外投資家などによる需給への影響に加え、米経済などを見ながら市場心理が揺れ動いていたことでこういった相場が演出されたものと思われる。
日経新聞の今月の私の履歴書は行天元財務官が書かれています。プラザ合意の内幕などの一部が明らかになるなどなかなか興味深いものとなっていますが、当時からの金融市場に関係する歴史をざっと追ってみたいと思います。
1971年にニクソンショックが世界を襲います。当時のニクソン米国大統領は、米国の国際収支の赤字を削減してドルの流出を防ぐ目的により、外国の通貨当局に対してドルと金との交換停止を通告したのです。これによって戦後続いてきたドルを基軸通貨とする固定相場制は終了し、1ドル360円の固定相場制は中止され、変動相場制に移行したのです。
1973年には石油ショックが起きました。第4次中東戦争が始まり、アラブ諸国は禁輸措置を実施し、石油輸出国機構は原油価格の引き上げを実施。石油価格は一気に4倍となり、卸売物価が前年比30%、消費者物価指数は前年比25%も上昇したのです。
この年には、フィッシャー・ブラックとマイロン・ショールズがオプション料の価格算出式「ブラック・ショールズ式」を考案し、これを元にしたデリバティブ商品であるオプション取引が盛んになります。
1985年にはニューヨークのプラザホテルで先進5カ国(米国、イギリス、西ドイツ、フランス、日本)は、協調して為替レートをドル安に進めることに合意しました。いわゆるプラザ合意です。この年の10月に東京証券取引所で債券先物取引が開始され、銀行も国債のフルディーリングが本格化したことから国債主体の債券取引がこのころから活発化しました。
1987年にはブラックマンデーと呼ばれる株価の急落が起きましたが、その後株価は回復し、プラザ合意後の急激な円高に対処するための、度重なる利下げによる未曾有の金融緩和に加え、当時の宮沢大蔵大臣が実施した公共事業拡大による財政出動などによって、日本で、いわゆるバブルが発生しました。
1991年あたりからは、バブル崩壊の実態が本格的に表面化し始めました。1992年に地価税が導入され、土地神話は完全に打ち砕かれました。貸借対照表の資産価格が土地や株価の下落で下落しても負債はそのまま残り、自己資本比率が低下するバランスシート不況が不良債権問題を生み出すことになりました。
1998年4月からは、金融ビックバンがスタートしました。金融ビックバンとはフリー、フェア、グローバルを3原則に、閉鎖的だった日本の金融市場の構造を改革することです。外国為替法が改定され、ドル建てやマルク建てなど資本取引や受け払いが自由化されました。また銀行や証券、保険など業態別に隔てていた壁が取り払われ、銀行の証券業への進出など、業態ごとの相互参入が可能になったのです。証券会社は免許制から登録制となり、株式売買委託手数料が徐々に自由化されることになりました。また、日銀法も改正され新日銀法が施行されました。これは大蔵省不祥事に端を発して、金融改革に対する機運が盛り上がり、大蔵省の影響下にあった日銀をより独立色の高いものにしようとの試みです。
1998年末には「運用部ショック」と呼ばれる国債の急落があり、これがひとつの要因となって1999年に日銀はゼロ金利政策を実施しました。またこれ以降、国債の大量発行に向けての国債管理政策も進められていったのです。
日本の景気も回復基調となり、デフレも緩和されつつあることから日銀は2006年3月に量的緩和政策を解除し、7月にはゼロ金利政策も解除したのです。
安倍政権下で初めての経済諮問会議の席上、メンバーの一人、福井日銀総裁は「イノベーション(技術革新)を身につけた人と、つけない人の格差は広がることを覚悟しないといけない。差が縮まるという幻想を与えないほうがよい」と発言したことを19日の日経新聞が伝えている。
安倍首相は良く「再チャレンジ」という言葉を使う。実際に「再チャレンジ推進会議」なるものも設けられている。小泉政権下が勧められた構造改革やそれにともなっての市場化といったものによって格差が広がっていくことは避けられない。たとえ改革をせずとも、これまでリスクを負っていた国や銀行、そして民間企業がそのリスクを個人に転嫁しつつある。国の莫大な債務によって公共事業といったものは抑えられ、社会福祉についても積極的には財政を傾けられない状況となっている。さらに不良債権処理などによって金融機関も体力を消耗した上、護送船団方式というセーフティーガードも消滅し、間接金融から直接金融といった流れも加速している。「貯蓄から投資へ」とは国や金融機関が負っていたリスクを直接個人に負わせるといった意味ももつ。
こういったリスクが広がることに対処するには、まずはチャンスを広げていく必要がある。そのためが規制緩和などを含めての構造改革が必要とされる所以である。そこにはどうしても格差の広がりは避けられない。国が構造改革を行っているから格差が広がるというよりも、日本の社会経済構造の変化によって格差が広がってしまうことは避けられず、だからこそ構造改革が必要とされ、チャンスの場を広げていかなければならない。
この構造変化により、いったん会社に入ってしまえばそのまま定年までの人生設計が成り立った時代が過去のものとなる。このため個人の技量に応じて収入が決まるといった時代に変化している。福井総裁のイノベーションとは、この個人の技量といったものを示しているのではないかと思われる。
そして、こういった避けられない格差社会において必要とされるのが、再度チャレンジできるといった社会である。これは以前、現在キャスターもされている村尾さんの勉強会でも大いに議論されていたことでもあった。宣伝ともなってしまうがその議論のいったんは私も執筆者の一人として参加している 『日本を変えるプランB』(村尾信尚・責任編集、関西学院大学出版会)にも入っている。重版もされており、ご興味のある方はぜひ書店にて手にとっていただきたい。再チャレンジできる機能は今後ますます必要となる。
ただし、その前に格差社会に立ち向かうには、なにかしらのイノベーションをつける努力が必要となるのも言うまでもない。
毎日新聞によると、筑波山の温泉旅館組合青年部が、筑波山山頂から関東平野を一望する夜景を「つくば大星雲」と名付けてツアーをはじめるそうである。地元にいるため筑波山からの夜景は何度も見ているが、なかなか綺麗なものである。特に12月などは空気も澄んでおり見ごたえがある。
しかし、これを商品化することまでは考え付かなかった。昔ならば田んぼや畑でほとんど電気の灯かりも見えなかったと思うが、現在ではつくば市はまさに都会(あくまで田舎の都会、別名とかいなか、とも)であるため、結構夜景らしい夜景となっている。霞ヶ浦近辺は土浦市の夜景、さらに遠くの東京に向けての夜景も見ることができる。空気の澄んだ日には、東京タワーから筑波山も見えるため、当然反対からも見えることとなる。山頂へはロープーウェイもあり、ここからの夜景もなかなか目を見張る。夕闇迫る時間帯には富士山がシルエットとなって浮かび上がる。
よろしければ是非足を運んでいただければと思う。つくばエクスプレス経由だとバスに乗り換えて時間もかかるため、できればクルマでロープーウェイ発着場まで登ってそこの無料駐車場に止めたほうが楽ではないかと思う。詳しいことは、筑波山旅館組合青年部提供の筑波山観光情報サイト(http://www.tsukubasan.com/)などでご確認ください。
9月7〜8日分日銀金融政策決定会合の議事要旨が発表された。8月25日の基準が改定された消費者物価指数の発表後の決定会合であったことで、特にその消費者物価指数に関する発言などが注目された。
米経済に対して・・・「多くの委員は、住宅投資の減少が明確になってきたことを指摘した。このうち何人かの委員は、こうした動きは想定された範囲内のものであり、経済はソフトランディングに向かう過程にあるとの見解を示した。別の何人かの委員は、先行き住宅投資の減少が行き過ぎると景気全体が下振れるリスクもあり、注意を要するとコメントした。」
国内設備投資に関して・・・「複数の委員は、先行き、設備投資の加速を通じて景気の振幅が大きくなる可能性がないか、引き続き注意を払いたいとコメントした。」
CPIに関して・・・「消費者物価(全国、除く生鮮食品)について、委員は、2005年基準指数の動きをみてもプラス基調で推移しており、先行きも、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中で、前年比プラス基調を続けていくと予想されるとの見方を共有した。一人の委員は、品目別に物価の動きをみると、エネルギー関連以外では、物価上昇圧力の高まりは観察されないとコメントした。一方、別のある委員は、物価が上昇している品目に拡がりがみられると指摘した。この間、委員は、消費者物価指数の2000 年基準から2005 年基準への改定について、前年比押し下げ幅が大方の事前予想を幾分上回ったことに言及したうえで、この基準改定は物価を巡る基本的な判断に変更を迫るものではないとの見方で一致した。何人かの委員は、基準改定による前年比押し下げの要因について、指数算式上のリセット効果や、新規採用品目の影響については、概ね事前予想の範囲内であり、移動電話通信料などの既存品目において指数算出方法が変更されたことの影響が大きかったとみられると指摘した。また、この指数算出方法変更の影響の多くについては、当該品目の指数の変化から1年を経過した時点で前年比への影響が剥落する可能性が高いと述べた。一人の委員は、基準改定に伴い、技術革新や規制緩和が進む品目のウェイトが大きくなったことが、今後の指数の推移に及ぼす影響にも注意を払いたいと述べた。この間、ある委員は、基準改定後の指数を改定前の指数と比べると、前年比が低下した一方で、本年入り後の前年比の改善傾向はむしろ明確になった面があるとコメントした。」
今後の政策変更に時期に関して・・・「今後の政策変更の時期については経済・物価情勢次第であり、現時点で何らの予断も持っていないことを丁寧に説明していくことが大切であるとの認識を共有した。」
消費者物価指数の基準改定に関連して・・・「消費者物価指数の基準改定に関連して、委員は、「新たな金融政策運営の枠組み」のもとで示される「中長期的な物価安定の理解」は、中長期的な概念であるため、今回の指数改定に伴って変更されるものではないことを確認した。この間、ある委員は、先行きの物価見通しなどについてコミュニケーションを行ううえでは、基準改定に伴う指数算式上のリセット効果を回避可能な連鎖型の物価指数を利用することも有益であると指摘した。何人かの委員は、この点は認めながらも、消費者物価の連鎖指数については確報の公表が従来の指数に比べ遅れることや、国民の認知度が相対的に低いことなども勘案する必要があるとの意見を述べた。」
8月25日のCPI基準改定の結果によって日銀は追加利上げが難しくなるとの観測が一時的にせよ強まっていたが、この議事要旨の内容からは、前年比プラス基調を続けていくとの見方に変化はなく、基準改定による前年比押し下げの要因についても、当該品目の指数の変化から1年を経過した時点で前年比への影響が剥落する可能性が高いといった認識を持っていたことが伺える内容となっていた。
1989年の8月にシリーズ3という米国の先物外務員資格を取るためにニューヨークへ研修に行った際に、1週間ほどシカゴでの研修が組まれていた。私が債券先物取引をやりたくて債券ディーラーとなって3年目のことでもあった。先物取引のメッカといえばこのシカゴであった。ギャングの街というイメージも持っていたが、シカゴは五大湖のひとつミシガン湖畔に位置するとても美しい街というのが着いたときの第一印象であった。
現在のかたちでのデリバティブ、つまり金融派生商品が登場したのが米国のシカゴにおいてである。米国では19世紀に中西部の開拓が進み、穀物の取引が盛んになった。ミシガン湖畔で海上交通上の主要地であったシカゴに穀物は集められ、この穀の季節的な価格変動リスクを避けるために、収穫前に値段を決め収穫時に現物を受け渡すといった取引が盛んになり、1848年に世界初の先物取引所といわれるシカゴ商品取引所(CBT)が設立されたのである。ここではまず穀物に対する先物取引が行われ始めた
1972年にこのシカゴにあるもうひとつの大きな取引所のシカゴ商業取引所(CME)で、通貨先物取引が開始された。そして1975年にはシカゴ商品取引所(CBOT)で初めて金利先物が上場されたのである。こののち金融の世界にもデリバティブ取引が世界的に広がって行くことになる。
1982年にシカゴ商業取引所で株価指数先物・株価指数先物オプション、さらにシカゴ商品取引所では債券先物オプションが導入され、現在行われているデリバティブ取引の多くがスタートしている。日本でも1985年に日本初の金融先物取引となる債券先物取引が東証に上場されている 。
そしていよいよこの2つの先物取引所が合併することとなったと18付日経新聞で伝えている。合併は株式交換と現金の組み合わせにより実施され、株式交換ではCBOT1株にCME株0.3006株を割り当てるという、CMEによるCBOTの事実上の買収となるそうで、買収規模は80億ドルだとか。合併後の新会社の名称は「CMEグループ」となり、規制・監督当局の認可を前提に2007年半ばまでに合併を完了する見通しと読売新聞も伝えている。CMEはすでに欧州の大手デリバティブ市場「ユーレックス」を傘下に持つドイツ取引所との統合を目指した話し合いも進めているとみられ、今後は欧米をまたぐ巨大な取引所が誕生する可能性もあるとか。
日本での金融先物取引は欧米にやや遅れてスタートした。債券先物が東証、日経平均先物は大証、短期金利の先物は東京金融先物取引所と分散されている。日本でも金融市場におけるデリバティブ取引は定着し、金融取引としてもすでになくてはならないものともなっている。バラバラに分散されているこういった国内のデリバティブ取引をまとめあげるような仕組みも今後は必要となるのではなかろうか。たしかにシカゴは先物などデリバティブ取引のメッカである。しかし、その取引の源流は江戸時代の日本における堂島の米の先物取引に遡る。元祖としてのがんばりも見せてもらいたいところである。
日本銀行は今年3月に量的緩和政策を解除し、7月にはゼロ金利政策も解除している。政府はこの間、デフレ脱却宣言は結局出すことはなく、物価に対しての認識が政府と日銀ではやや異なっていたことが伺える。
しかし、これほど大きな日銀による金融政策の変更の際に、政府側からは表立った反対姿勢といったものはみられなかった。小泉政権下において金融や経済に絡んでのご意見番ともみられていた竹中総務相(当時)などは、量的緩和解除は時期尚早との立場を維持していたものの、政府は最終的に判断は日銀に任せる格好となった。 ただし、失敗した際にはその責は日銀が負うとの認識も小泉首相は持っていたのではないかとの観測もあった。本音はご本人に聞くしかないものの、首相という立場にいる以上は勝手にどうぞというわけにもいかないはずである。
日銀法の第4条にも「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。」とある。
2000年8月のゼロ金利解除の際に政府は議決延期請求権を行使し、政府と日銀との溝が深まった。このときの行使に対しての決定権は当時の宮沢蔵相に任せられていたとみられる。当時の宮沢氏は自らの意見を重視したというよりも自民党政権内部の総意といったものを強く意識したものと思われる。
2000年8月当時と2006年の量的緩和解除当時の政府側の状況では大きな変化が生じている。つまり、小泉政権となり政府の意向が自民党の意向ではなく政府官邸の意向に変化していたことである。
小泉政権によって政府と呼ばれるものが自民党内部での意見調整から首相官邸への移行した。それだけ首相の権限が強化されるとともに、透明性も強化され、首相の決断がさらに重きをなすようになった。
つまり2000年当時ならば日銀が政府に対して議決延期請求権の行使を止めさせようとするならば、自民党の関係議員のみならず権力者と呼ばれる議員への根回しも当然必要となった。ところが小泉政権下のシステムでは首相官邸の意向といったものがすなわち政府の意向ともなる。
そして決定権者でもある首相は、首相官邸の独立性ならぬ日銀の独立性についても配慮する必要を感じていたのではないかとみられるのである。さらにこういった大きな決断の際にはそれなりの専門家に話を聞くことが多いとみられた小泉首相だが、日銀の金融政策に理解を示すブレーンがいた可能性もある。
以上はあくまで結果からみた個人的な推測にすぎないが、首相官邸の権力強化が日銀にとって解除にむけてのフォローとなった可能性もありそうである。。
10月13日の日銀の金融政策決定会合の後に行われた日銀総裁の記者会見において、福井総裁は「年内利上げの可能性否定できない」とし、あらためて年内利上げの可能性に含みを持たせたものとなった。
年内利上げの可能性についての総裁発言は今回が初めてというわけではない。7月31日に行われた時事通信との単独会見においても、福井総裁は追加利上げの時期について「年内はないとまでは言っていないのが真意だ」と述べたことが伝わっている。さらに先週の武藤副総裁の会見においても「クリスマス商戦を見極めないと判断できないかどうかについては、米国の消費動向を占ううえで重要なものと理解しているが、それの見極めがないと、政策展開ができないという考え方を採っているわけではない」とし年内利上げは否定していない。
ただし、総裁も発言していたように「追加利上げの時期、特定して考えているわけではない」「追加利上げの時期はきわめてオープン」であり、予断を持っているわけではないことも強調している。7月31日の単独会見においてもまったく同様の発言をしていることから、8月以降の米経済情勢や国内の景気・物価情勢を確認した上でも従来の姿勢に変化はないことが伺える。年内利上げについては、あくまで慎重な姿勢には変化はないものの、今後の経済や物価上昇を見極めた上での可能性はありうることを示している。
債券市場などでは、米経済の先行き等などを意識して、年内どころか年度内も日銀による追加利上げは難しいといった見方も強まっていたことも確かであり、そういったマインドが高まりつつあった市場には、同じ言葉の繰り返しと言えども市場へのインパクトは強かったとも思われ10年債の利回りはCPIショック前の水準に戻っている。
思いのほか9月調査の日銀短観もしっかりしていた上に、原油価格下落によっても物価に対しての上昇圧力がそれほど緩和されていないことは企業物価指数なども見て取れる。今回の総裁発言もこういった状況を加味しながら、可能ならば12月までに年内利上げのチャンスを窺うとのメッセージと確かに取れなくもない。
ここで何度も繰り返しとなってしまうが、引き続き年内の日銀による追加利上げの可能性は高いものとみている。これは物価の上昇基調や景気回復基調に変化はないとも見ているためではあり、日銀にとって0.5%までの利上げは必要との認識を持っているとみているためである。利上げのタイミングは11月もしくは12月の可能性が高そうである。
本日の金融政策決定会合において、金融政策そのものは全員一致での現状維持となったが、変動利付国債に独自の担保価値を設定することも決められた。従来は変動利付国債の担保価値は固定利付国債と同じだったが、変動利付国債については独自の担保価値が設定されることとなり、これは10月末までに実施される。
10月6日に発表された米雇用統計において、8月の非農業雇用者数が12.8万人から18.8万人に上方修正され、さらに賃金の伸びや失業率の低下などを受けて下落したことから5年債の利回りは1.2%台に乗せた。北朝鮮による核実験の影響で一時日経平均は下落したがすぐに回復し、債券市場には質への逃避と言った動きも見られず、東京市場への影響は限られたものとなった。10日に発表された8月機械受注(船舶、電力を除く民需)は、前月比+6.7%となり、予想された12%程度を下回り債券先物は134円50銭台を回復した。しかし、10日の米10年債の利回りは一時4.76%と9月19日以来の水準まで売られ、株も買いが先行したことから円債も上値が抑えられ11日に債券先物は一時134円02銭まで売られた。2年の0.7%、5年の1.2%そして10年も節目と見られた1.75%台をそれぞれつけてきた。12日に実施された5年国債入札は利率1.2%で60回リオープンとなったが入札自体は好調ながら投資家は慎重な姿勢となっていた。週末13日にはダウがさらに高値を更新したことを好感し日経平均も上昇。この株高が嫌気されたとみられ、債券先物は9月11日以来の134円割れとなった。
現物の10年債利回りは8月25日のCPI改定値を受けた債券相場上昇分が剥げ落ちてきている。米国経済は住宅市場の落ち込みもそろそろ底入れといった見方も出てきており、ソフトランディングする可能性が出てきた。米FRBによる利上げ観測の後退どころか利下げ観測まで出ていたが、そういった利下げ観測もさすがに後退し、米債は下落基調となっている。反面、ダウは市場最高値を更新しており、日本株も新興市場は重いものの日経平均そのものは堅調な地合となっている。いざなぎ景気超えといった記事も新聞紙面を賑わせているが、景気は緩やかながらも拡大基調を継続させており、物価も上昇しつつある。機械受注など弱めの経済指標の発表などによって日銀による早期の追加利上げ観測が後退したといった見方もあったが、日銀短観などはしっかりしており、現実には年内を含めて日銀が追加利上げを実施する可能性も強い。このため投資家も慎重姿勢は崩してはおらず、5年債の1.2%や2年債の0.7%は強固な岩盤とは意識されないとみられる。10年債利回りは1.8%台をつけていくる可能性もあり、債券はやや弱含みの展開を予想している。17日の30年国債入札動向にも注意したい。
液晶テレビのアクオスを購入したのは良いが、これを機会にとばかりビデオデッキも撤去、いずれDVDレコーダーを購入するからもうビデオは使わないようにとの宣言をしてしまった。ところが10月のテレビ番組の編成によって、子供たちが見たいアニメの放映時間と塾の時間が重なってしまったことが判明。ビデオを戻すかDVDレコーダーを急遽購入するかの選択に迫られ、後者を選択することになった。
せっかく新型のアクオスを購入した以上は、アクオス・ファミリンクが使えたほうが良い。ところがファミリンク対応のDVDプレーヤーはまだ9月に出たばかりで値が張る。そうなればやはり価格比較サイトにて検索するしかない。秋葉原近くの知っている店でアクオスDV-AC32が昨日入荷とのコメントを発見。できれば500Gバイト以上にしたいところだが、今後のパソコン購入などの予算の関係等、250Gでもいたしかたない。
このアクオスDV-AC32でも通常の量販店などでは10万円近い価格になっている。それが65000円を切る価格で購入できることで、会社帰りにその秋葉原近くの店に行ってきた。在庫があり価格もネット表示であることを確認。購入後2〜3日ならば故障等は店で対応するが、それ以降はメーカー対応となるとのこと。もちろんメーカー保障はついている。持ち帰りにしたが、これが結構重い。秋葉原駅まで持って帰るのもたいへんであったが、故障したからといってまたこれを持ってくるのもしんどい。初期不良はとにかく、何かあった際にはいずれにしてもメーカーのサービスセンターに直接送るといったことにもなる。
液晶テレビもそうであるが、近くの家電量販店で購入すれば、たとえば5年といった長期保障などもつけられる。これまで長期保障つきで洗濯機やら冷蔵庫など近くの量販店で購入したものの、その保障を使った記憶はない。また、以前に購入した家電製品の多くを買っていた某秋葉原系電気店などは店舗自体がなくなってしまっている。現在の量販店などの店舗がこのまま5年も10年も先まであるという保障もない。いずれにせよメーカーに持ち込むことになるのならば現在は宅急便などでの配送も楽にできるため、購入先の店舗の信頼性や距離といったものより、製品が同じものであるのならば私はどうしても価格を優先してしまう。
価格の張る家電製品を知らないショップで購入するのも躊躇してしまう人も多いかもしれない。今回、液晶アクオスとアクオスDVDレコーダーをあわせて21万円程度で購入したが、これが量販店では、どんなに価格交渉をがんばっても、私のように気が弱くはったりも効かない、小まめな交渉が嫌いなタイプの性格では30万円近いものとなってしまう。その価格差でさらに購入予定の液晶接続用パソコンも買えてしまう。
ということで、話が飛んでしまったが、購入したDVDプレーヤーを家に帰り、さっそく取り付けようとしたところ、最も画質が良いHDMI接続をするには別途ケーブルが必要であったことに気がついた。そんなことネットでも出ていなかったよう、と泣き言を言ってもあとの祭り。これからハイビジョン対応のDVDレコーダーを購入検討されている方はケーブルの有無にご注意を。よくよく子供たちに聞いたところ、見たいアニメの曜日が変わったけど今週は特番が入って放送はないとのこと。おいおいそれも聞いてないぞと、結局、取り付けは本日以降となる予定。
「政府インターネットテレビ」が開始され、「安倍総理のライブ・トーク官邸」がスタートした。これまではメディアを通じた政府による情報配信が、直接視聴者へ向けて行われることとなる。メディアは政府から出されたコメントに対して、それまでの取材を元にしての裏読みなどを行い、真意といったものを探ろうとするところにマスコミとしての大きな価値があるとみられ、その意味ではこういった政府による直接配信は脅威にはならないかもしれない。しかし、政府の発する重要事項が今後、いったんマスコミを経由することなく、直接インターネットを通じて配信される可能性も出てきた。
個人がネットで配信する情報にはそれほどの重みはないかもしれないが、こういった政府による配信はかなりの重みを持つ。しかも、政治が自民党という党内の政治によって決着していた時代から、小泉政権以来、官邸主導型となっている。密室で行われていた政治がこれによって少しでも外に出てきた感もある。その意味でも政治が昔に比べてわかりやすくはなってきたとも思われる。
ポピュリズムという言葉がある。「カリスマ性のある為政者が大衆の評判を集める政策を行ない、内外の危機を煽るなどして民衆を扇動する主義。また、民衆が民衆本位に政治を動かす現象や希望も肯定的にポピュリズムと表現される事がある。」(ウィキペディア)。これはよく小泉首相に向けて使われた言葉でもあるが、小泉政権はその足元を固めるために使ったものがこのポピュリズムであったと思う。ただし、その際に透明性も加えることで、自らの私利私欲に走っているわけではないことも国民は理解していたのではないかと思う。ポピュリズムという言葉は好きではないが、小泉政権に対しては肯定的なものとして使われてしかるべきではなかったかと思う。
すでに10月ともなり来年度の予算なども気になってくるころでもある。増税よりも歳出削減を優先する安倍内閣の姿勢には共感を覚える。まだまだ切り崩すべきところがあちらこちらに控えている。新規国債発行の削減のためにも財政構造のリストラクチャリングをさらに勧めていただきたい。
最近、米国の動画配信会社の「YouTube」を「Google」が買収するというニュースが流れた。「YouTube」といえば日本語検索も可能なことから日本からの利用者もかなり多い。ただしその閲覧対象の多くは著作権に違反しているとみられるものである。あの疑惑のボクシングに絡んだものや、相方が悪いことをしてのお詫びのコメントなどテレビで放映されたものが「YouTube」に流れ、テレビを見逃した多くの閲覧者が殺到したりしたことでニュース記事になったものがある。歌のお姉さんが書いた一筆書きがあまりに不気味であったことで、それが「YouTube」に流れてキャラクター化してしまったり、最近では「言葉にできない」と題された動画がヒットしたりしていた。
これらは、何のことか良くわからないという方も多いかもしれない。ある意味マニアックながらも簡単に動画が楽しめるということで「YouTube」は一気に広がりを見せた。だからこそ「Google」も目をつけたのだろう。しかし、著作権の問題がここには立ちはだかる。日本で放送されたばかりのドラマやアニメなども10分に刻まれて流されている。10分というのはあまりに著作権違反が多いことで「YouTube」が動画の一本あたりの配信時間に制限を加えたためである。それでも30分番組はしっかり番号が振られて3つに分けてアップされたりしているが。
こういった著作権に抵触するようなものは利用者にも問題があることは重々承知はしている。しかし正直、私もYouTubeはよく利用している。武勇伝というものが流行っていると聞いて、最初に探したのがYouTubeであった。そこで初めてオリエンタルラジオの武勇伝なるものを見た。確かに面白かった。武勇伝一本ならば10分もいらないし、簡単に見られてしっかり楽しめてしまう。
音楽関係の動画なども多く、昔懐かしい歌手などが視聴できたりする。ある意味これが著作権に接していないアーカイブとしての利用となれば、これほど便利で楽しく懐かしいものはない。画質はFLASHの技術が使われておりファイルをコンパクトにする関係からあまり良くはないが、パソコンで見るだけならば問題はないし、いちいち全部を残しておく必要もない。
「Google」がこの著作権の問題をどのようにクリアーしてくるのか興味深い。著作権に対してグレーの部分があるからこそこれだけの閲覧者がいたとも思われ、規制すればあっという間に見る人がいなくなってしまうのもネットの怖さでもある。そういったことは重々承知のはずの「Google」でもある。今後の「Google」の「YouTube」に対する対応にも注意を払っていきたいと思う。
債券相場はCPI基準の改定に加えて、その後の鉱工業生産指数速報や機械受注といったこれまではどちらかといえばそれほど反応してこなかった経済指標にも過剰反応していた。さらに米国債の動きに妙に連動するような展開も続いていた。また、イールドカーブが極端に動いたりするといったこともみられていた。
これらの動きにどれだけ影響があったのかは確認できないものの、天然ガスなどの商品先物で痛手をくったヘッジファンドなどによるポジション解消の動きもあったのではないかとみられている。特に円債に対しては量的緩和解除に向けて日銀が動いていた際に、一部のヘッジファンドが、かなりのロットでフラットニングポジションを作っていたとみられる。そのポジションは実際に量的緩和解除後にかなり解消されていたとみられるが、一部ポジションが残り、ヘッジファンドの決算に向けての解消の動きが一時的に出ていたのではないかともみられていた。
また、債券相場がどちらかといえば買いの材料に反応しやすくなっていたのは、好需給という側面もあったが、市場の日銀による追加利上げの時期を巡る思惑がかなり後ずれし、少なくとも年内の追加利上げ観測は急速に後退していたことなども大きい。
こういったマーケットのマインドを察してか、武藤副総裁は10月6日の、講演後に行われたの記者会見においてそういった見方を牽制するような発言を行った。
「日銀の基本的なスタンスは、繰り返し言っている通り、予断を持っていない。今後、事態の変化、次々出てくる経済・物価関係の指標を見て判断していくわけだが、そういうデータが一つ一つ現実のものになれば、市場もそれを織り込んで、自律的な判断をされる可能性が十分ある。」
日本経済の下振れに影響するようないろいろなリスク要因もあるが、たとえば米経済に対しても「住宅産業が全てではない。その他の指標を見ると、住宅を除くと好調なものが多い」といったように日銀は悲観的にはなっていないものとみられる。
日銀は、今後の日本経済の拡大基調には変化はなく、さらに物価も上昇するとの展望レポートに沿った動きを見込んでいるともみられ、それを指標が裏付けてくれば自ずと追加利上げ時期について市場は判断してくるであろうとの見方と思われる。
年内どころか年度内の追加利上げ観測まで後退との見方も強まったように思われるが、日銀は次の一手については否定もせず、それに向けての姿勢も崩していない。ここにきてアジア情勢が緊迫化しているが、外部要因に大きな変化がない限り、日銀の追加利上げのタイミングが年内であったとしてもおかしくはない。
日銀は本日、日銀保有の国債の特定銘柄をオペを通じて市場に一定期間供給する「国債補完供給オペ」を4月3日以来、半年ぶりに実施した。このオペは2004年4月に導入され、今回で3回目の実施となる。今回の対象は20年国債の17回となった。日銀は即日供給し明日買い戻しを行う。今回の実施は国債の清算機関に加入していない投資家が絡んで相殺ができなくなったための措置とみられる。
我が家にもついに液晶テレビがやってきた。カラーテレビがやって来た時ほどの強い印象はなかったものの、それでもこれまでのテレビとはやっぱり違いが大きい。設置をしながら気づいたのだが、今まで見ていたテレビは我が家の長女が生まれる前から使っていたものであった。ということは、子供たちにとっては生まれて初めてこれまで見ていたテレビが変わったこととなる。これまでのテレビはビクターに勤めていた友人の社内販売を利用させてもらって購入したものであったが、故障もせず15年以上も持ったことになる。このテレビはまだ使えるので別室でテレビゲームのモニターとして第二の余生を迎えることとなった。
今回、購入したのは液晶テレビといえば亀山モデルといわれるシャープ製。ブランド志向と言われそうだが、結果としてアクオスとなったまで。当初はインターネットアクオスを買うつもりでいたため、液晶も32型か37型の選択をしていた。しかし、パソコンは別途ハイビジョンレコーダーとともに購入した方がむしろ割安となることで、結局、単独で液晶テレビを購入することにした。ただしフルハイビジョンではパソコンとの接続が無理となる上さらに価格差も大きいため除外。通常のハイビジョンの比較となり、結局当初検討していたうちのコストパフォーマンスの良い32型の最新型のアクオスを購入することとなった。
インターネットアクオスの液晶テレビはタイプで言えばBD1というタイプと同型のものが使われている。このBD1の32型はかなり価格も下がっており現在もっとも売れている液晶テレビともみられている。しかし、9月にはその後継となるGH1が出ている。違いはアクオス・ファミリンクへの接続可能といったもの程度で大きな違いはないが、GHはHDMI端子が2つついている。家電店などではBDとGHの表示上の価格差はまだ大きいが、価格の比較サイトなどの最低価格はかなり接近している。ということで、近くの家電量販店で価格交渉をしても限度がありそうなので、ややリスキーながらインターネット通販を利用した。さらにここまで安いのならばアンダースピーカータイプのGH1ではなく1万円程度割高でも、音の広がりが期待できるサイドスピーカータイプのGH2の方が良いとの意見が出たことで、15万円を切っていたGH2を購入した。ちなみにGH1の最低価格帯は14万円を切っている。
ということで、申し込んでから入金を済ませ、1週間ほどでアクオスが我が家に届いた。気になったドット欠けなども見当たらず、とりあえずアナログにつないでみたところ問題なく映った。BSもカードを設置して閲覧可能となり、NHKのハイビジョン放送を始めて家で見ることができた。ここまで確認したあと家電量販店にデジタル放送受信用のUHFアンテナ購入と設置依頼に行くこととなった。アンテナ設置込みで2万円弱程度の費用。こればかりは2階屋根に自分で登ることは無理があるため、専門家に依頼せざるを得ない。
電波については家が高台にありビルなども当然なく、東京タワーに向けては障害物はほとんどない。しかも設置していたブースターに取り付けるだけということでアンテナの設置も無難なく終わった。早速、デジタル放送を確認しようとしたが何故か映らない。業者の人が、ふとアンテナコードの端子を確認して、取り付けが間違っていたことを発見。アンテナをつけてもらっている最中に急いで自分で取り付けていたのが、配線が違ったようであった。ということで、配線を正しいものにしたところで、デジタル放送確認画面が稼動。NHKと民放が入り、さらにMXテレビも受信、放送大学の試験放送も綺麗に映った。
この日は月曜日、ということでいつもなぜか見てしまう「水戸黄門」がハイビジョン放送であったことに気がついた。心なしか印籠が綺麗に見えた。
これまで発行された個人向け国債の回号別販売額と初期利子(固定は利率)は下記の通り
第1回変動10年(2003年3月)3,835億円(うち郵便局499億円)、0.09%
第2回変動10年(2003年4月)3,486億円(うち郵便局746億円)、0.05%
第3回変動10年(2003年7月)2,802億円(うち郵便局588億円)、0.05%
第4回変動10年(2003年10月)9,432億円(うち郵便局1,659億円)、0.77%
第5回変動10年(2004年1月)1兆3,951億円(うち郵便局995億円)、0.62%
第6回変動10年(2004年4月)1兆4,185億円(うち郵便局1,244億円)、0.55%
第7回変動10年(2004年7月)1兆7,726億円(うち郵便局1,990億円)、0.74%
第8回変動10年(2004年10月)1兆8,652億円(うち郵便局2,484億円)、0.74%
第9回変動10年(2005年1月)1兆7,647億円(うち郵便局2,436億円)、0.67%
第10回変動10年(2005年4月)2兆3,374億円(うち郵便局1,990億円)、0.73%
第11回変動10年(2005年7月)1兆6,423億円(うち郵便局2,484億円)、0.45%
第12回変動10年(2005年10月)1兆3,629億円(うち郵便局2,483億円)、0.55%
第13回変動10年(2006年1月)8,001億円(うち郵便局1,488億円)、0.68%
第14回変動10年(2006年4月)8,285億円(うち郵便局1,491億円)、0.85%
第15回変動10年(2006年7月)9,813億円(うち郵便局995億円)、1.10%
第16回変動10年(2006年10月)億円(うち郵便局億円)、0.92%
第1回固定5年(2006年1月)1兆1,285億円(うち郵便局497億円)、0.80%
第2回固定5年(2006年4月)9,883億円(うち郵便局1,490億円)、1.01%
第3回固定5年(2006年7月)1兆2,430億円(うち郵便局996億円)、1.30%
第4回固定5年(2006年10月)兆億円(うち郵便局億円)、1.13%
武藤副総裁の講演の内容はどちらかといえば中立的でオーソドックスなものであったが、その後の記者会見におけるコメントは市場の思惑を修正すべくやや踏み込んだかたちのものとなった。CPI基準の改定に加えて、その後の鉱工業や機械受注といったこれまでそれほど反応してこなかった経済指標にも過剰反応して、長期金利は1.6%近くまで一時低下していた。市場の追加利上げの時期を巡る思惑もかなり後ずれし、少なくとも年内の追加利上げ観測は急速に後退していた。
こういったマーケットのマインドを察してか、武藤副総裁は講演ではなく会見においてそういった見方を牽制するような発言を行ったようにもみられる。
「クリスマス商戦を見極めないと判断できないかどうかについては、米国の消費動向を占ううえで重要なものと理解しているが、それの見極めがないと、政策展開ができないという考え方を採っているわけではない。」(ロイター)
米国の年末商戦や、移動電話通信料などの指数算出方法が変更されたことによるCPI修正分が剥落する11月のCPIを確認した上で、早くとも来年1月以降に追加利上げが実施されるとの観測が市場内では強まっていたとみられるが、そういった観測に対して年内の可能性がないわけではないことを示唆したものとも受け取れる。
これまで福井総裁の発言にもあったように「利上げ、政策変更は、物価が重要なひとつのデータだが、物価だけで判断するわけではない。その他の経済情勢を総合的に判断する。」とも昨日の武藤副総裁も発言している。
米クリスマス商戦に関しての武藤副総裁の発言は、「米クリスマス商戦と11 月のCPI を見極めないと追加利上げはできないか」という時期を特定する記者からの質問に答えたものであったようで、このような答え方になったものとみられる。この質問に対して、もし「そういったものも確かめながら予断を持たずに」と言った答え方をすれば年内利上げなしとも捉えかねないことも確かである。
「日銀の基本的なスタンスは、繰り返し言っている通り、予断を持っていない。今後、事態の変化、次々出てくる経済・物価関係の指標を見て判断していくわけだが、そういうデータが一つ一つ現実のものになれば、市場もそれを織り込んで、自律的な判断をされる可能性が十分ある。」
いろいろなリスク要因もあるが、たとえば米経済に対しても「宅産業が全てではない。その他の指標を見ると、住宅を除くと好調なものが多い」といったように比較的、米景気の見通しに対して日銀はそれほど悲観的にはなっていない。今後も経済の拡大基調に変化なく、物価も上昇するとの見込んでいるともみられ、それを指標が裏付けてくれば自ずと追加利上げ時期について、市場は判断してくるであろうとの見方と思われる。
「今すぐ、市場に対して、何か政策展開をしたら、ショックを生じるという状況だとは思っていない。今後の展開次第によっては、そういう可能性がないわけではないが、今後の展開が一つの大きな流れを作っていくのではないか。」
今後の展開がひとつの大きな流れを作っていくとのことであるが、これから出てくる経済指標やそれとともに月末にも発表される日銀の展望レポートの内容などを確認しながら、日銀は次の利上げ時期を探っていくものとみられる。さすがに今月中の利上げはなさそうだが、12月までの可能性は武藤副総裁の会見内容からもありうると考えている。
日銀短観後であっただけに注目された武藤副総裁の講演の内容は、これまでの日銀のスタンスには変化がないことを示しており、市場には中立的な内容ともとられた。しかし、今後の利上げの可能性については引き続き含みを残しており、この点にも注意は必要かとみられる。
物価について武藤副総裁は、以下のように上昇基調が継続されていることを示している。消費者物価指数の基準改定についても物価を巡る基本的な判断に変更を迫るものではないとしている。
「先行きについても、景気の拡大が続く中で、マクロ的な需給ギャップが需要超過で推移していくと考えられることから、物価のプラス基調が続いていくとみられます。ちなみに、短観や各種サーベイ調査の結果をみても、企業や家計が、先行き物価が上昇していくとの見通しを持っていることを示しています。」
そして注目される今後の金融政策に関しては、下記のように発言している。注意すべきは「政策金利水準の調整については」徐々に「行う」ことになり、それでも「極めて低い金利水準による緩和的な金融環境が当面、維持される可能性が高い」としている点である。これは追加利上げをゆっくりと行ったとしても、その水準でも極めて低い金利水準となっていることを示しているとみられる点である。
「経済・物価情勢を丹念に点検しながら判断していくことになります。具体的な政策変更の時期について予断を持っている訳ではありませんが、経済・物価情勢が4月の展望レポートで示した見通しに沿って展開していくと見込まれるのであれば、政策金利水準の調整については、経済・物価情勢の変化に応じて徐々に行うことになります。この場合、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境が当面、維持される可能性が高いと考えられます。これまで繰り返し述べてきたように、金利水準の調整は、経済・物価情勢を良く見極めながら、ゆっくりと進めていくということです。」
10月2日に発表された9月調査の日銀短観において、大企業製造業業況判断DIは+24と予想の+21を上回った。大方の予想は+21と6月と変わらずとなっていたこともあり、これをきっかけに債券相場は大きく売られる結果となった。
それまで1.6%台となっていた長期金利は1.7%台に乗せ1.74%まで利回りが上昇し、債券先物も前日比72銭安の134円08銭まで下落した。翌日3日に実施された10年国債の入札の結果は無難なものとなり、ひとまず押し目買いも入った。しかし、9月相場のように米国経済の影響を受けての日本経済に対しての過度の悲観論も今後は後退してくるとみられ、今後も日本経済の足取りの強さとそれにともなっての物価上昇圧力を確認できれば、日銀は追加利上げを実施してくるものとみられる。
もう少し短観の内容を見てみると、大企業製造業業況判断DIは2四半期連続で改善する結果となったが、3か月後の先行きについてはプラス21とやや落ち込むとの予想となっている。今回の大企業製造業業況判断DIの上昇については、円安の影響といったものも大きかったとみられる。しかし、2006年度大企業・全産業の設備投資計画は+11.5%となり、6月調査分からは0.1%下方修正されたが、それでも6月調査の強めの計画が維持されている。さらに、雇用について大企業非製造業、中小企業製造業・非製造業では不足超幅が拡大するなど改善傾向が強まっている。そして日銀が重視する「短観DIによる需給ギャップ」は先行き一段の改善を示唆している。
これによってすぐにも市場における年内利上げ観測が再燃ということにはならないとみられるが、今後の消費者物価指数など物価上昇トレンドを確認した上で、個人的には引き続き年内利上げの可能性はありうると引き続き考えている。それを占う意味でも、この短観なども意識して出される日銀による10月の展望レポートが注目されよう。9月30日の日経新聞によると2007年度の日銀におけるCPI予想は0.4-0.5%にする見通しのようである。今年度分よりも上方修正されるといった見方も強かったことでこれにも違和感はない。
尾身財務相もこの日銀短観を受けて「デフレ脱却宣言しないのは不自然」との発言をしているように、これまで慎重なスタンスを取ってきた政府もデフレ脱却の宣言を行う可能性も高まってきているものと思われる。
以上のように今後は日銀の追加利上げ観測が再燃してくる可能性が高いものとみている。長期金利は上昇基調となり、それほど時間を置かずに1.8%台を試しにくると思われる。
日銀が算出している円の実質実効為替レート(1973年3月を100とする)が、9月に101.3となり、1985年9月のプラザ合意の時点(94.8)以来の水準まで低下したと日経新聞が伝えた。
日銀のホームページによると実質実効為替レートについては次のように解説されている。
「実効為替レートは、特定の2通貨間の為替レートをみているだけでは分からない為替レート面での対外競争力を、単一の指標で総合的に捉えようとするものです。例えば、一口に「円高」と言っても、円が米ドルに対してのみ上昇している場合と、多くの他通貨に対して上昇している場合(「円の独歩高」の場合)とでは、円と米ドルの2通貨間の為替レートが同一でも、日本の価格競争力、ひいては貿易収支等に与える影響が異なってきます。 具体的には、円と主要な他通貨間のそれぞれの為替レートを、日本と当該相手国・地域間の貿易ウエイトで加重幾何平均したうえで、基準時点を決めて指数化する形で算出します(これが「名目実効為替レート」です)。」
月次で集計され、発表は原則として翌月第2営業日。
最もポピュラーなドル円については、ここにきて円安となったとはいえ118円台であり、プラザ合意の当時の240円と比べるとまだまだ円高水準にある。しかし、対ユーロで見ればすでに1ユーロ150円程度となっており、こちらでの円は最安値圏ともなっている。円はドル以外の他通貨に対しては大幅に下落している。
これは、たとえばグローバル・ソブリンオープンなどを通じて国内投資家の資金が海外金融資産に投資されていることや、海外のヘッジファンドが低金利の円を借りてドル資産などに投資する「円キャリートレード」を増やしてきているためと、日経は解説している。
為替というとどうしてもドル円を主体に見てしまいがち。国内貿易もドルでの取引も多く、外貨準備なども日本は引き続きドルが主体ともなっていることで、1985年以来の円安と聞いてもあまりピンとこないかもしれない。しかし、ユーロの比重も徐々に高まっていることも事実であり、なぜこれほどまでに円の実効レートが低下しているのかといったことも考えておく必要もありそうである。
本日実施された10年国債の入札は利率が1.7%とになり282回のリオープンとなったが、入札の結果自体は順調なものとなった。前日の日銀短観を受けて相場が反落していたことで投資家の押し目買い需要も見込めるとの認識や、カーブ上の割安感なども影響か。しかし、短観の内容を受けて足元景気がしっかりしていたことも確認され、先行きのやや減速懸念はあるものの、設備投資などを中心に順調な回復基調を今後も辿るものとみられる。尾身財務相は「デフレ脱却宣言しないのは不自然」との発言をしたようである。
1995年発売されたカシオのQV10からデジカメを買っていた私としては、ここまでデジカメが幅広く浸透してくるとは思わなかった。とはいえデジカメの良さである、すぐ見れて、無駄にシャッターを押せる利点は当時の画素数が25万画素しかなきても利便性が良かった。そもそも写真としてはあくまで記録と割り切っていたし、芸術的なセンスもなかったことでフィルム時代から一眼レフすら持っていなかったこともある。しかし、現在はすでにコンパクトデジカメで画素数が1000万を越えてきた。QV10の40倍。
デジカメはデジタル新製品に飛びつく一部のオタクやマニアのものから、お父さんたちの必需品ともなり、ファミリーに一台から次第に一人に一台という時代となりつつある。それでも、そろそろデジカメの普及もピークアウトと思ってしまうのは思い込みに過ぎない。富士フィルムが発売しているファインピックスZ3の購入層の6割が女性だそうである。その火付け役は、CMのエビちゃんが持っているピンクのデジカメだとか。通常デジカメの購入層は7対3で男性。しかも色は無難というかハイテク機器らしいシルバーが主体。しかし色をピンクにしたことで、そろそろデジカメ購入を考えていた女性のニーズにマッチしたものとみられる。新たな購入層の掘り起こしには、こういった別の視点も必要のようである。しかし、ソニーはこれを意識してゲーム機でピンク色を導入するそうである。色だけで女性が購入するわけでもないとは思うのだが。ソニーの視点がどこか微妙にズレが生じたままのような気もする。
朝方発表された9月調査の日銀短観において、大企業製造業業況判断DIは+24と予想の+21を上回ったことで、債券相場は売りが先行し10年債の利回りは1.7%台に乗せてきた。大企業製造業業況判断DIは2四半期連続で改善する結果となったが、ただ3か月後の「先行き」についてはプラス21との予想となっていた。雇用については大企業非製造業、中小企業製造業・非製造業では不足超幅が拡大するなど雇用に関しても改善傾向が強まっている。2006年度大企業・全産業の設備投資計画は+11.5%となり、6月調査分からは0.1%下方修正されたが、それでも6月調査の強めの計画が維持された。
これによってすぐにも市場における年内利上げ観測が再燃ということにはならないとみられるが、個人的には引き続き年内利上げの可能性はありうると考えている。ちなみに9月30日の日経新聞によると2007年度の日銀におけるCPI予想は0.4-0.5%にする見通しのようである。基準変更にともなってのものであるがほぼ予想されたものとなりそうである。
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