「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」


2006.11.30「日銀保有の外貨資産の内訳がはじめて明らかになる」

30日の日経新聞が報じたところによると、日銀は外国債券などで保有する外貨資産の通貨構成比率を初めて明らかにした。2006年9月末時点で、米ドルが約65%、ユーロ約30%、英ボンドが約5%。日銀保有の外貨資産の残高は9月末現在で5兆2341億円。国際通貨基金によると世界の外貨準備で通貨が判明している分の構成比率は6月末時点で米ドルが約65%、ユーロが約25%、円が約3%となっているそうで、日銀保有の外貨資産の通貨構成比率もこれに近いものとなっている。

できればこういった情報開示は、もう少し早めに行ってほしかった。(一部、独り言部分あり・・・)


2006.11.29「10月の鉱工業生産指数は前月比+1.6%」

本日発表された10月の鉱工業生産指数は前月比+1.6%となり、予想の-0.5〜-0.7%を大きく上回るサプライズとなった。10月の生産は前月比1.6%の上昇と2か月ぶりの上昇(前年同月比は7.4%上昇)となり、指数水準は107.8(季節調整済)となった。この生産指数の107.87は過去最高水準となる。11月生産予測は前月比+2.7%、12月は+0.1%と発表された。

品目別では、半導体製造装置や蒸気タービン、自動車などの輸出が好調だったほか、液晶テレビやゲーム機、携帯電話向けの半導体が上昇に寄与したようである。10月の生産が予想以上に強かったのは、こういった電子部品・デバイス工業が当初の見通しを大幅に上回ったことが寄与していると指摘されている。製造工業予測指数によれば、電子部品・デバイス工業における11月の生産見込みは同+5.3%と先月時点での11月予想(同+1.9%)から上方修正されている。また、在庫は前月比で6か月連続増加となり、前年比では在庫水準は+41.7%と高い水準となっているが、これは年末商戦などを意識して、先行きの需要拡大を見越して在庫も積み上げられているものとみられ、「意図した在庫積み増し」とみられる。

すでに米国の年末商戦も液晶テレビやゲーム機主体に好調なスタートを切っているが、日本でも新型ゲーム機については年内入手すらかなり難しい状況にある。普及価格帯に移行しつつある液晶テレビなどの売れ行きも好調となり、地上デジタル放送の全国展開などもあわせ普及率が大きく上昇する可能性が高い。それとともにDVDレコーダーの売れ行きも伸びてこよう。懸念される携帯電話も今後、ニーズの強い新型商品がドコモやauなどから続々発売されることからナンバーポータビリティの影響もあり、販売拡大に繋がりやすい。国内の年末商戦を気にするむきもあるが、ことハイテク商品について問題はないと思われる。


2006.11.29「40年国債」

日経新聞によると財務省は期間40年の国債発行を来年度下期にも発行する検討に入ったそうである。種類の多様化を図り国債の利払い負担を軽減することなどが目的とみられる。国内の年金基金の需要を見込むほか海外の投資家層を広げる狙いがあると日経は伝えている。ニーズとしては生保あたりが強いとも思うが。

ただし来年度の国債発行計画の中には、この40年債は盛り込まず主に機関投資家向けに単発で発行される可能性が高いとみられる。規模は数百億円の案を軸に調整。

国債市場特別参加者会合(第13回)において、財務省は30年超の超々長期債について次のような説明があった。

「現時点では既存商品のように定期発行できるだけのニーズは認められないことから、カレンダーベース市中発行のラインナップに加えることは考えていない。」「市場にニーズがあるのであれば、数百億円程度とごく小さいロットとなる可能性もあるが、19年度中に適宜発行することはあり得ると考えている。」「発行するとしても19年度下期以降になると考えている。」


2006.11.28「福井日銀総裁の講演などより」

24日の茨城県経済界との意見交換会で福間年勝審議委員は、はその基調説明において「FRBのコーン副議長は、87年のブラックマンデー、98年のLTCM危機などにおける資産価格の急激な変動を踏まえた教訓の一つとして、「わずかな予防は、膨大な事後対応にも値する(an ounce of prevention is worth many pounds of cure)」ことを指摘しています。」と発言した。

また、27日の大阪大学金融・保険教育研究センター設立記念講演における福井日銀総裁の挨拶には、「80年代と同じようなバブルの再来を防ぐ環境は、かなり整えられてきたのではないかと考えられます。しかし、歴史上のあまたの例を引くまでもなく、次のバブルは形を変えて忍び寄ってくる可能性があります。」との内容もあったが、これもコーン副議長の教訓が意識されたものか。

実質消費支出が前年比-6.0%と大きく落ち込んだ9月の家計調査や、前月比-7.4%とこちらも予想を下回った9月の機械受注などのように弱めの指標が続いていた。9月の家計調査について福井総裁は、「前期に大きく増加した反動の面があるほか、携帯電話の受注減が大きく寄与している模様」とし、家計調査については「販売統計など他の消費関連統計に比べかなり弱い数字となっている点には留意が必要です。ただ、この点を割り引いたとしても、7〜9月の個人消費の動きが弱めであったことは確かであり、これが天候不順やたばこ増税といった一時的要因によるものであったかどうか、秋以降の個人消費の動きをよくみていきたいと思います」としている。

これらに対して、7〜9月期のGDP速報値が前期比年率+2.0%と市場予想を上回るなど、強めの数字も出ており、これらを受けて債券市場においても大きく値動きしており、市場関係者の景況感が振れやすくなっていることも確かである。

ただし、福井総裁は「強弱双方の経済指標が出ていますが、いずれも、こうした経済のメカニズムが変わったことを示唆するものではないと考えています」とも述べており、展望レポートで示した「経済・物価情勢の見通し」に沿って経済・物価が推移しているとみている。

data dependant(データ重視で)という意味で、今後、市場が注目するとみられる経済指標としては、来週以降では、10月家計調査さらに12月8日発表の7〜9月GDP改定値と10月の機械受注、そして12月15日の日銀短観などがある。

福井総裁は名古屋の講演において、 「需給ギャッププラスになり、昨年秋以降景気は新しい局面に入った」「2%付近への成長鈍化でも、物価上昇率は目立たない形でたまっていく」「金融政策、景気の振れを小さくして企業活動やりやすい環境を提供」「引き締めるのではなく、景気を長持ちさせるための金利調整は避けられない」「市場をサプライズさせるのではなく、十分コミュニケーションをして政策を行う」(以上、ロイターより)といった発言をしており、秋以降に新しい局面に入り、市場と十分コミュニケーションを取った上で、景気を長持ちさせるため適切な金利調整を行うことを示唆している。

そのタイミングについては「いかなる時期も、頭から排除して考えていない」「具体的なタイミングをすでに念頭においているということもない」と27日の記者会見で総裁は述べているが、これらの発言から見る限りにおいて、年内12月の可能性も引き続き高いものと思われる。


2006.11.27「設備投資と家計調査」

日本銀行の福間年勝審議委員は、24日の水戸市が行われた茨城県経済界との意見交換会における基調説明の中において、『先行きの金融政策運営方針については、このような2つの「柱」に基づいて、data dependantに(データ重視で)経済・物価の状況をみながら、市場との対話も図りつつ、予断を持つことなく慎重に判断していく所存です。』と発言した(日本銀行ホームページにアップされた茨城県経済界との意見交換会における福間年勝審議委員基調説明要旨より)。

data dependantという意味で、今後、市場が注目するとみられる経済指標としては、29日に発表される10月鉱工業生産速報、12月1日に発表される10月全国消費者物価指数、11月東京都区部消費者物価指数、10月家計調査。さらに12月8日発表の7〜9月GDP改定値と10月の機械受注、そして12月15日の日銀短観などがある。

11月14日に発表された7−9月期実質GDP速報値では、民間設備投資は +2.9%と前期の+3.5%から0.6ポイントの低下ではあったものの、10四半期連続の増加となっていた。しかし、設備投資の先行指標として注目されている機械受注は9月が前月比-7.4%となりその結果7-9月期の機械受注実績は前期比-11.1%と現行調査開始以来の最低となっていた。ただし、この要因については「前期に大きく増加した反動の面があるほか、携帯電話の受注減が大きく寄与している模様」(11月27日大阪経済4団体共催懇談会における福井日銀総裁挨拶より)。これにより、12月8日発表の7〜9月GDP改定値の中の設備投資も下方修正される可能性があるが、このまま設備投資が落ち込むことも考えづらい。11月27日の日経新聞によると、日経新聞が調査した2006年度の設備投資の修正計画において、全産業での設備投資は前年度を15%上回ったそうである。この伸び率はバブル期の1990年度以来の水準になるとか。設備投資を含む企業部門の動向に関しては、12月15日の日銀短観の内容などもチェックしておく必要もありそうである。

9月の全世帯家計調査では実質消費支出が前年比-6.0%と事前予想を大幅に下回る結果となった。この家計調査の数値を見る限りにおいては、家計消費の状況は極めて悪い。実収入・可処分所得ともに3か月ぶりの減少となっていたように収入の伸び悩みも影響したともみられる。14日に発表された7〜9月期の実質GDPの個人消費でも前期比-0.7%と前期の+0.5%から2四半期ぶりのマイナスともなっていた。福井総裁も11月27日の講演において「家計調査は、販売統計など他の消費関連統計に比べかなり弱い数字となっている点には留意が必要です。ただ、この点を割り引いたとしても、7〜9月の個人消費の動きが弱めであったことは確かであり、これが天候不順やたばこ増税といった一時的要因によるものであったかどうか、秋以降の個人消費の動きをよくみていきたいと思います」としており、12月1日に発表される10月家計調査などとともに、12月8日発表の7〜9月GDP改定値における個人消費なども注意深くみておく必要があろう。


2006.11.27「新刊のお知らせ」

12月7日に秀和システムより私の5冊目となる新刊が発売されます
「金融の仕組みとカラクリがよ〜くわかる本」投資を始めてもっと金融のことが知りたいという個人投資家の方や、金融について興味のある学生や社会人の方、もちろん金融の現場にいる方もぜひ読んでいただければと思います。

そして、11月22日には、やはり秀和システムより、藤崎達哉氏の新刊が発売されました。 「デリバティブの基本とカラクリがよ〜くわかる本」 デリバティブに関心のある初心者向けにやさしくかかれた本です。

さらにさらに、12月7日の私の新著の発売日と同じ日には、ちくま新書から倉都康行氏の「世界がわかる現代マネー ─6つの視点」も発売されます。

私の新刊「金融の仕組みとカラクリがよ〜くわかる本」ともども、藤崎氏、倉都氏の新刊もよろしくお願いいたします。


2006.11.24「an ounce of prevention is worth many pounds of cure」

茨城県経済界との意見交換会における福間年勝審議委員はその基調説明において、米FRBのコーン副議長の言葉を引用している。日銀が発表した要旨によると、「FRBのコーン副議長は、87年のブラックマンデー、98年のLTCM危機などにおける資産価格の急激な変動を踏まえた教訓の一つとして、『わずかな予防は、膨大な事後対応にも値する(an ounce of prevention is worth many pounds of cure)』ことを指摘しています。」


2006.11.24「つくばエクスプレス、秋葉原駅改札拡張工事」

つくばエクスプレスの秋葉原駅は改札の拡張工事が始まる。利用者の増加に対応するものとみられる。また、12月8日からダイヤ改正が実施されるが本格的なダイヤ改正は今回が初めてとなる。これによりいくぶんか利便性が向上するようである。

11月22日には柏の葉キャンパス駅に隣接した商業施設「ららぽーと柏の葉」もオープンした。「A列車で行こう」というゲームがあるが、このゲームの世界がTX沿線でも繰り広げられている。開通初日から通勤に利用しているが、日々新しいビルや住宅が増えていくのが車窓から実感できる。

さらにTXでは開通してから死亡事故は一件も出ていない。駅のエスカレーターで転倒したり、乗車時に電車とホームのほんのわずかな隙間にストンとはまってしまった人がいたという噂を聞いたが、たいした怪我とかではなかったと聞く。新幹線と同じ高架が主体で都に入ると主に地下を走り踏み切りがないことや、ホームに線路との隔壁が設けられるなどの安全対策が施されていることが大きな要因かとみられる。また遅延といったこともめったにない。ある意味、この安全性などは後から出来た新線の強みでもあるのかもしれない。


2006.11.22「新型ゲーム機の影響」

ソニーのプレイステーション3が日本で11月11日に、米国では11月17日に発売が開始された。また、任天堂のWiiは米国が先んじて11月19日に発売が開始され、日本では12月2日に、ヨーロッパでは12月8日に発売される予定となっている。

プレイステーション3(PS3)については発売2日間で8万8400台の売り上げだそうだが、あまりに高機能であるため部品の供給が追いつかないことで台数が制限されている。これもあってか秋葉原では一時パニックとなった店があったり、転売目的の購入なども見受けられたとか。

Wiiについても米国では販売日には列も出来て、好調な滑り出しとなったようである。Wiiは12月31日までに全世界で400万台出荷する見込みとされ、これはPS3の年内出荷予定台数の2倍となる。これからマイクロソフトのXBOX360との三つ巴の戦いが日本、そして欧米で始まることとなるが、この新型ゲーム機には、実はゲームそのものとは別な理由で、予想以上の需要が見込まれる可能性がある。

これまで子供や一部マニアのものとの認識の強かったゲーム機が任天堂のDSによって覆されている。日本でのDSブームの火付け役ともなった脳トレが、欧州でもブームとなりすでに100万本もの売り上げとなっているとか。こういった新たな需要層の掘り起こしが任天堂のWiiにも期待できる。日本でのWiiの予約がアマゾンでスタートした際には瞬時で受付が終了された。本日はトイザラスでWiiの予約受付が開始されたが、こちらもすでに開店時にはほぼ予約販売分は裁けてしまったようである。こうなると12月2日の発売日でもかなり前もって並ばなければ入手は困難となりそうである。私も当分の間、Wiiの入手はあきらめ、その代わりにXBOX360を購入する予定でアマゾンでブルードラゴンとともに予約した。

任天堂のWiiは、まさに体感的なゲームが可能となり、DS同様に新たな需要層を取り込めるものとみられるが、PS3とXBOX360には別な追い風も吹いてきている。ハイビジョンテレビの大幅な価格下落である。以前に販売の主流となっていた32型の液晶は10万円台前半の価格となり、現在の販売の主流は40型以上に移っている。このため、私も購入した32型などはすでに普及価格帯に移行しているともみられ、地上デジタル放送が12月2日から全国展開されることに合わせて、薄型テレビの普及は一気に加速されることが予想される。

ハイビジョンテレビはすでに購入した御家庭も多いとみられるが、我が家ではアクオス購入後、これまで見ていたテレビを別の部屋に移動させて、子供たち専用としたのだが、子供たちによると、いったん液晶テレビの画面を見たら、前のは画面がみづらくて見たくないとのことである。現実にテレビを変えてみてわかったことであるが、液晶テレビのインパクトは思ったより大きく、白黒テレビからカラーテレビへの移行と同様なインパクトがあるのではなかろうか。

我が家の液晶はPC接続を予定していたことでフルハイビジョンではないが、それでもかなりの高画質であることは間違いない。その画質に合わせるように、XBOXとPS3の画像処理はかなり高度化しており、むしろハイビジョンでなければ本来の機能は享受できない。Wiiも画質はPS2よりも向上しているとされているが、ハイビジョン画質仕様ではない。ただし、プログレッシブ出力には対応しており、16:9のワイド画面でのゲームは可能である。このWiiにはなくて、XBOXとPS3に備わっている大きな機能がひとつある。それが次世代DVDとも言えるHD-DVDとBlu-ray Discへの対応である。

Wiiも来年発売される新型でDVD機能をつけるそうだが、この通常のDVDの画質はハイビジョンに比べてかなり劣ることはご存知のとおり。このため、今後ハイビジョンが普及期に移行し、目が肥えてしまった人たちにとってはHD-DVDとBlu-ray Discへの対応といったものを考慮し始めることと思われる。HD-DVDとBlu-ray Discはそれぞれ専用レコーダーやプレーヤーが発売されているが、今のところ本体も高価ならば、記録ディスク自体も既存のDVDメディアに比べればまだまだ高い。まずはPS2が発売されたときにDVDプレーヤーとして意識されたように、プレーヤー機能が意識される可能性がある。そうなれば本体を持っていれば2万円程度でXbox360にはHD-DVDプレーヤーが接続でき、PS3はそのままBlu-ray Discを鑑賞することができる。ハイビジョンテレビへの対応プレーヤーとしてのニーズもこの両ゲーム機が強く意識される可能性がある。

そして、もうひとつの興味深い機能が、Wiiを含めたこの3つの新型ゲーム機には存在している。これは任天堂DSにも備わっていたものでもあるが、無線LANなどを使うことによって、簡単にインターネット接続が可能なのである。パソコンもウインドウズ・ビスタでのディスプレーが、ハイビジョンテレビを意識されているように、横長のディスプレーが今後主流になるとみられる。現在のデスクトップの売れ筋はパソコン誌などによると、ディスプレーはハイビジョンテレビそのもののインターネットアクオスだそうである。今後はハイビジョンテレビでインターネットを楽しむという人も多くなる傾向にあるのは間違いないとみられる。ただし、ハイビジョンテレビに直接既存のパソコンをつなげるにはそれなりの知識も必要である。しかし、これら新型ゲーム機にはすでにハイビジョンテレビを使ってのネット接続が可能になっているのである。こういったことから、ハイビジョンテレビの急激な普及にシンクロするようなかたちで、これら新型ゲーム機へのニーズが来年にかけて大きく盛り上がることが予想されるのである。


2006.11.21「武藤日銀副総裁の時事通信との単独会見」

武藤日銀副総裁の時事通信との単独会見の内容がフラッシュで通じて伝わった。「追加利上げ、判断固めれば果断に実行」、「利上げ時期、12月を含め特定しておらず白紙だ」、「為替市場のキャリー取引などに留意」、「政策運営、できる限りサプライズない情報発信や透明性確保に努める」(ロイター)との内容となっており、追加利上げについて前向きとも取れる内容となっていた。

これまでも福井総裁や武藤副総裁などベンダーの単独インタビューで、量的緩和解除やゼロ金利解除に向けての日銀の姿勢を示したことが何度かあった。今年6月1日の夕方に突然ブルームバーグにアップされた福井日銀総裁との単独インタビュー記事に驚いたことも思い出される。この際には日銀総裁が通信社との単独インタビューに応じるということはこれまでほとんど聞いたことはなく極めて異例とも言わざるを得ないものであった。ブルームバーグは昨年9月に武藤副総裁との単独インタビューを行っており、その際に量的緩和解除に向けてそれまで慎重派とも見られていた武藤副総裁から、踏み込んだコメントが出てきたことも注目されたことも思い起こされる。


2006.11.21「国債に係る手数料の見直しについて」

17日に開催された国債市場特別参加者会合(第13回)では、国債に係る手数料の見直しについても発表された。

「今年5月に成立した行政改革推進法等で、国債整理基金特別会計において経理される事務について、その費用の節減等に向けた見直しが求められており、その一環として、国債に係る各種手数料についての引下げを検討している。見直しの方向性については、現下の我が国の厳しい財政状況、一般債の手数料水準等を踏まえ、大幅に引き下げることとしており、具体的には、償還手数料は元本額の0.0006%として現行の150分の1程度の水準に引き下げ、利払手数料は現在利払額の0.18%であるところを、算定ベースを元本額に変更した上で料率を0.0006%として現行の2分の1程度の水準に引き下げる。また、金融機関が自己口で保有する国債に係る償還手数料及び利払手数料については、日本銀行の振替口座簿だけで完結する取引であることから、手数料は支払わないこととする。更に、起債等手数料を大幅に引き下げるなど、その他の手数料についても見直しを進める。」

「なお、見直しの実施時期については、平成19年度から順次実施することとし、起債等手数料は19年度から大幅に引き下げる。一方で、利払手数料及び償還手数料の見直しは、日本銀行におけるシステムの変更に要する期間や手数料の変更がマーケットの価格形成に与える影響等を踏まえ、ある程度のアナウンスメント期間を設ける必要があることから、2年程度後(早ければ平成20年10月)を目途に、その後に償還又は利払が行われる分から適用することとする。」

個人向け国債も含めて国債にはそれを取り扱っている業者に対して国から償還手数料と利払い手数料が入る。すでに1月からの振替社債制度導入により、すでに一般債の償還手数料や利払手数料が大幅に引き下げられていることを踏まえて、国債においても引き下げが行われるようである。

特に償還手数料の現行9銭というのは、償還が近づいた国債の売買にも影響を与えていた。この償還手数料があったことで、表面上マイナス金利での国債の取引といったことも、特にゼロ金利が実施されている中にあっての資金運用の一環としてあった。

業者にとってはこの手数料の見直しは痛いものかと思われるが、こういったことも時代の趨勢となっている以上、いたしかたない。また償還手数料き大幅な引き下げによって償還期間がたいへん短い期間の国債の利回りにも影響を与える可能性もある。


2006.11.21「平成19年度の国債発行計画について」

17日に開催された国債市場特別参加者会合(第13回)において、平成19年度の国債発行計画に関しての話し合いが行われ、その内容が議事要旨にアップされている。そのたたき台ともいえる来年度の国債の発行額等についての現時点での理財局の考え方が最初に述べられている。

「平成19年度の新規財源債については、18年度予算の30兆円を下回り、可能な限り縮減する方向で予算編成が行われていると聞いているが、具体的な水準については見えていない。」

これについては、政府は来年度予算に盛り込む国債の新規発行額を27兆円以下とする方針を固めたと伝えられたのち、9日には「財務省は平成19年度予算の新規国債発行額について、25兆円台への圧縮を視野に調整する方針を固めた」とも伝えられ、さらに自民党の中川昭一政調会長は13日のロイターとのインタビューの中で、平成19年度年度の新規国債発行について、26、27兆円を目標とする考えを明らかにしている。

ちなみに、20日の藤井財務省事務次官記者会見によると、「具体的な公債減額幅がどうなるのかと、あるいは補正の規模がどうなるかということについては今しばらく時間がかかる」とも発言している。

再び17日に開催された国債市場特別参加者会合議事要旨に戻り、今度は借換債についてのコメント。「借換債については、19年度のバイバックのあり方等とも関係するが、これから直近までの発行実績等を踏まえて精査していく予定である。現時点では、18年度予算の108.3兆円からは減少する見込み」としている。参考までに今年1月に発表されている「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」(http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/h18/sy180125b.htm)によると、103.8兆円となっている。

財投債については、「今後の財投編成によるものであり現時点で具体的なことは申し上げられる段階ではないが、あえて申し上げれば、経過措置分を含む全体の発行規模は18年度計画よりも減額する方向になるのではないか、と聞いている」としている。平成18年度の経過措置分を含む財投債の発行額は27.2兆円である。

以上によって、「19年度の国債発行額は、18年度予算の165兆円に比べ、減少するのではないかと見込まれる。」としている。

市中消化を見る上で注意すべきはとなるのは日銀乗換といったむしろ国債の消化面についてのようである。日銀乗換は「バイバックの効果もあり、日銀の19年度償還予定国債の保有額が10月末時点で10兆円、今後のバイバック予定を差し引くと9兆円となっている。これから12月までにどれくらい日銀が対象銘柄を買い入れるか等によって変わるものであるが、18年度計画の16.6兆円から大幅に減少する見込みであるので、予算ベースの市中発行額については、18年度に比べて減るかどうか分からない状況」としている。

平成19年度の市中発行額については、国債発行額は18年度予算の165兆円に比べ新規財源債などの減額幅によっては数兆円規模の削減もありえるものの、消化分の対象のなる日銀乗り換え分がもし今年度の16.6兆円から10兆円弱程度まで減少するとなれば、かなり相殺されてしまう。

ただし、財務省は「いわゆる20年度問題の解決を踏まえ、今後の国債発行に支障を来たさない範囲で借換債の前倒し発行の減額が可能であることから、その活用により、カレンダーベース市中発行額については、18年度現行(115.1兆円)を上回らない方向で考えていきたい」としており、前倒し発行の減額などによって、19年度の市中消化については、現時点では今年度を上回らない程度の見込みとなっているようである。


2006.11.21「12月以降の国債の買入消却と入札発表時間の変更について」

財務省は、「平成19年12月以降の買入消却について」と「12月以降の入札結果発表時刻の変更について」を17日に発表している。

まず、「平成19年12月以降の買入消却について」は、国債市場特別参加者会合(第13回)議事要旨によると、現在、マーケットからの固定利付債を対象として毎月1,500億円程度で実施している国債の買入消却は、12月以降は、物価連動債、15年変動債についても、システム対応が整ったため、買入消却の対象とすることとなった。これにより、入札は、固定利付債、物価連動債、15年変動債の3通りとなり、固定利付債については毎月実施するほか、物価連動債又は15年変動債のいずれかを月1回実施する。

実施予定額は、毎月総額は1,500億円程度とし、固定利付債について1,000億円程度、物価連動債又は15年変動債については500億円程度とすることが基本となる。各月の買入消却において、物価連動債と15年変動債のいずれを買入対象とするかについては、入札の前月末までに財務省HP上にて公表される。まず、12月に15年変動債、1月に物価連動債を買い入れる予定となっている。

物価連動債と15年変動債の入札方式は、日本証券業協会公表の店頭売買参考統計値表の平均単価をもとにした「希望価格較差・コンベンショナル方式」による。

「12月以降の入札結果発表時刻の変更について」は、日本銀行の方でシステムの変更が行われ、12月より国債の入札発表時刻が現在の13時から15分繰り上げられ12時45分となる。FB・TBの発表についても、現在の12時40分から5分早まり12時35分となる。また、バイバックの時間帯についても11時30分の応募締切、12時15分の結果公表というタイムテーブルに変更される。この他の流動性供給入札及び借入金等の入札時刻については、現状からの変更はないそうである。


2006.11.20「今後の日銀総裁などの講演・会見予定」

11月24日、福間日銀審議委員、茨城県経済界との意見交換会で講演、会見の予定はなし
11月27日、福井日銀総裁・大阪経済4団体共催懇談会における挨拶・記者会見
11月28日、福井日銀総裁・名古屋での各界代表者との懇談における挨拶・記者会見
11月30日、野田日銀審議委員・岡山県金融経済懇談会における挨拶・記者会見
12月6日、西村日銀審議委員・長野県金融経済懇談会における挨拶
12月7日、岩田日銀副総裁・「金融リテール戦略2006」カンファレンスにおける講演


2006.11.20「2006年度補正予算にともなう国債の減額規模は」

2006度の補正予算案を予想するのも難しいがわかる範囲で行ってみたい。予算については細かい内容についてはまだまだ勉強不足でもあり、何かお気づきの点などあった際にはご一報いただけるとうれしい。

まず歳入について予想すると、税収については報じられたように4兆円近い税収増が見込まれている。税収と税外収入を合わせてとりあえず4兆円と置く。前年度の剰余金受入は15,040億円(http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/kesan/ke180731.htm)となり、この内、財政法6条剰余金 9,009億円、地方交付税交付金 6,030億円となる。

歳出についての予想は難しい。7月の集中豪雨災害の復旧費など今年度の災害対策費の見積もりは災害の規模等の昨年度と今年度の比較検討が必要になる。

義務的経費等の追加、既定経費の削減なども推測が難しいことで、やや大雑把とはなってしまうものの、この3つについては昨年度の補正予算の数値に近いものを置いてみた。災害対策費は6,000億円、義務的経費の追加は13,000億円、既定経費の削減13,000億円とする。

地方交付税交付金については前年度剰余金受入の地方交付税交付金の6,030億円と、税収増分の予想4兆円の約3割程度を合わせて1兆8,000億円程度と置く。

国債整理基金特別会計への繰り入れは、報じられたように、昨年度の財政法6条剰余金9,009億円がそのまま繰り入れられる。

上記により、2006年度補正予算歳出規模は3.3兆円程度と推測される。上記歳入計が5.5兆円程度となることで、この歳出規模との差額が公債金となる。それは2.2兆円程度と逆算される。やや大雑把な推測となってしまうが、いずれにせよ2005年度に続き補正予算によって国債の減額が実施されることは確かであるとみられる。

この減額分については来年度の国債発行計画と合わせて考えておく必要がある。この補正予算による削減分は、今年度の新規財源債の減額に繋がる。しかし、その分がそのまますべて今年度の国債の市中消化の減額に繋がることではない。国債の前倒し発行などによって来年度の国債発行をその分楽にさせるものとなる。


2006.11.17「2005年度決算の剰余金9009億円を全額、国債整理基金に繰り入れ見通し」

14日に日経新聞などが報じたところによると「安倍首相は14日、災害復旧などのため、2006年度補正予算の編成を検討するよう尾身財務相に指示した。2006年度の税収が当初予算(45.9兆円)を3兆〜4兆円上回る見通しとなったため、税収の増加分を財源に年内に補正予算案を編成する」。

その際の歳出には「7月の集中豪雨災害の復旧費などに充てる」。その一方、必要額を除いた税収の増加分については、当初予算で29.973兆円としていた新規財源債の減額に回す方向で検討すると伝えられた。

さらに本日の日経は「財務省は今年度の補正予算で2005年度決算の剰余金9009億円を全額、国債償還のための国債整理基金に繰り入れる方針を固めた」と報じている。剰余金を全額繰り入れるのは2年連続となる。繰入額は過去3番目の規模となり、2007年度末時点での国債整理基金残高は過去最高となる見通し。ちなみにこの2005年度の剰余金は、財務省のホームページ(http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/kesan/ke180731.htm)から確認できる。

剰余金は財政法6条で、2分の1以上を国債などの償還財源に充てることが決まっている。(財政法 第6条 各会計年度において歳入歳出の決算上剰余を生じた場合においては、当該剰余金のうち、2分の1を下らない金額は、他の法律によるものの外、これを剰余金を生じた年度の翌翌年度までに、公債又は借入金の償還財源に充てなければならない。)

昨年度の補正予算では1980年度の補正予算以来、25年ぶりに剰余金の全額を国債整理基金特別会計に繰り入れ国債償還に回している。今年度も税収見積増などによって補正財源は潤沢となっていることや、安倍内閣の財政構造改革にともなう歳出削減努力を示す上でも、全額繰り入れとなるものとみられる。これによって2005年度末で11兆1353億円(見込み)の国債整理基金の残高は、今年度末の当初見込み10兆5295億円から補正予算での剰余金全額繰り入れにより11兆4千億円となり過去最高を更新するとみられている。

(参考)昨年2005度の補正予算
歳入の内訳は、税収 30,350億円、税外収入 7,785億円(内、NTT−B事業償還分 7,610億円、その他 175億円)、公債金 ▲ 9,210億円、前年度剰余金受入 16,294億円(内、財政法6条剰余金 11,972億円、地方交付税交付金 4,322億円)

歳出の内訳は、災害対策費 5,733億円、義務的経費の追加 12,474億円、NTT−B事業償還時補助 7,610億円、国債整理基金特別会計へ繰入 19,582億円(内、前年度剰余金11,972億円、NTT−B事業償還分 7,610億円)、地方交付税交付金 13,516億円、既定経費の節減▲ 13,697億円。


2006.11.16「PTS」

日経新聞によると、米の有力投資銀行7社(ゴールドマン・サックス、シティグループ、モルガン・スタンレー、クレディ・スイス、ドイツ銀行、メリルリンチ、UBS)は2007年後半に独自の欧州株の取引市場を設立すると発表したそうである。取引所への売買集中義務が緩和されるのをにらみ、低コストの取引市場を目指すとされる。参加する7社合わせて欧州株取引全体のほぼ5割を取り次いでいるそうで、証券取引所の経営にも大きな影響が出てくる可能性がある。取引の形態としては、コンピューターネットワーク上で売買を成立させる私設取引システム(PTS)になる見通しのようで、欧州株全般を取引対象にするとか。

このPTSとは「私設取引システム」(proprietary trading system)の略称。民間の証券会社が開設したコンピューターネットワーク上で市場を形成して取引を行うことである。米国では電子証券取引ネットワークと呼ばれるPTSが、ナスダック市場取引高の3割から4割を占める状態になっているとか。

日本では債券市場などですでに導入されているが、株式市場でも夜間取引において、この私設取引システム(PTS)による競売買(オークション)方式を利用した取引も開始されている。1998年施行の金融システム改革法で、証券取引所以外での取引を禁じた「取引所集中義務」が撤廃され、これによって証券会社は投資家と1対1の相対で売買したり、金融庁の認可が得られれば、ネットで結んだこの私設取引システム(PTS)で売買の仲介をしたりすることができるようになった。ただし取引量に上限があり、株価情報などの即時公表が義務付けられるなどの制約はあるが、取り扱い銘柄を他の取引所の上場銘柄に限定していることもあって上場審査機能などは不要とされている。

さらに2005年の証券取引法の一部改正により、私設取引システム(PTS)における競売買(オークション)方式の取引が認められ、この方式では、取引所と同様に、投資家からの様々な売買注文を付け合わせて取引を成立させることができる。これにより売りと買いの需給バランスの変化に応じて株価が変動する、まさに現在の取引所における取引に近いものが可能となっている。

取引所もグローバルな再編の動きを強めており、ユーロネクストは米NYSEと来年に経営統合を予定していおり、東証はそのNYSEグループとの資本・業務提携を模索している。今回の動きは欧州の取引所の巨大化による手数料の高止まりを懸念しての、有力投資銀行7社による新市場構想とみられる。これまで取引所のライバルは他の取引所であったのが、取引所への売買集中義務が緩和されることで、今度は生き残りをかけてライバルであった取引所同士が提携し合う動きも続いている。シカゴのCBOTとCMEの合併の発表などはある意味象徴的な出来事でもあった。

国内債券市場は現物はその多くを店頭市場が占めている。さらに現物のPTSも稼動しているが、相場の動向を知る上では東京証券取引所の債券先物取引が大きな役割を占めていることも確かなため、こういった取引所の動きについても注意が必要となろう。


2006.11.15「個人消費の伸びない理由か」

14日に発表された7〜9月期GDPでも個人消費は年率-2.9%と事前に予想されたレンジの下限に近い数値となった。個人消費の低迷が続いているが、それは景気回復が賃金上昇になかなか繋がってこないといったことが要因のひとつとも指摘されている。雇用体系も変化しており、ベアという言葉すら忘れてしまったサラリーマンも多いのではないかと思うが、ここには構造的な問題もありそうである。また、すでに格差は広がっていることで、高い所得層の一部の購買力はあっても、今後に備えて大きな買い物が出来ない層というのも私も含めてかなり厚くなっているのが現状かと思う。

それでも数年前に比較すれば実際に景気が良くなっており、財布の紐も少しずつ緩んできているのも事実である。そこにタイミングよくテレビの世代交代という要因が加わって、家電製品の伸びに繋がっている。地上デジタル放送開始とともに薄型テレビの価格が低下しており普及価格帯まで低下している。今後、この中型液晶主体に爆発的な伸びが期待できる。我が家にも液晶テレビがやってきて、つい気になって他の家のアンテナを見てもUHF用のアンテナがあちこち見え始めている。

この薄型テレビに接続して遊べるゲーム機器が今年のクリスマス商戦の目玉となる。先日、ソニーのプレステ3が発売されたが、マイクロソフトのXBOX360とともに、画像処理に優れていることでハイビジョンテレビー向けゲームに薄型テレビの普及にあわせて期待が集ろう。個人的に任天堂のWiiへの期待を寄せていたが、こちらは画質重視というよりもゲーム性が重視されている。ハイビジョンの今後の普及を考えると、対応ソフト次第ではあるが、プレステ3やマイクロソフトのXBOX360の普及の方が優勢となる可能性も否定できくなってきた。むろんWiiも買うつもりだが、先日、クリスマスプレゼント用にXBOX360とブルードラゴンを予約してしまった。

といった私事はさておき、こういった薄型テレビや新型ゲームなどむろん安い買い物ではないにしろ、住宅やクルマなどに比べればそれほど高い買い物ではない。トヨタが世界一の売り上げを目指しているが、こと、このクルマに関しては日本ではあまりぱっとしていない。15日の読売新聞によると、「自動車が新車登録され抹消されるまでの車の平均寿命は11年」と報じている。「自動車検査登録協力会が14日に発表した2006年3月末時点の自動車保有動向によると、軽自動車を除く自動車の平均使用年数は11.10年で調査を始めた1974年以降で最長になった」そうである(読売新聞)。

それだけ日本車の技術が優れているという証でもあろうが、現在の携帯電話のごとく1年半や2年で新しいものに乗り換えるといったことはすでに過去のこととなっている。ここでまた我が家のことを持ち出して恐縮だが、現在も乗っているトヨタのエスティマは、すでに小学校6年になった三女が生まれる前から乗っている。いずれ買い換えたいとは思うものの、とりあえず乗りつぶしてしまうかとも思っている。新しく買うにもお金もさておき、新車で乗りたいというクルマがないということもある。軽自動車などを除いて日本車が売れていないのは、買いたいクルマがないというのも影響しているのではなかろうか。環境にやさしいのはいいが、別にハリウッドスターが自らの環境保護精神をアピールするために乗っているようなハイブリッドカーを、庶民がそれほど求めているわけではないと思う。経済性という側面もあるにせよ。そういったスターに限ってCO2を撒き散らす自家用ジェット機なども乗り回していたりするのが摩訶不思議。

話があちこち飛んでしまったが、言いたいのはクルマのデザインである。ある程度環境にやさしいクルマというのは、すでにそういった基準に適合しているクルマであれば問題はない。エンジン性能も10年以上の前のものでも実証済みでしっかりしている。あとは買いたい気持ちを起こさせるだけのデザインではないかと思う。どのクルマも似たり寄ったりで特にフロントの見栄えがぱっとしないと思うのは私だけであろうか。ということで個人消費の低迷の要因はクルマのデザインにありというのは、やや筋違いか。


2006.11.15「オーストリアの日本語表記をオーストリーに」

旧オーストリア大使館商務部のホームページ(現、オーストリー大使館商務部)によると、日本ではヨーロッパに位置するオーストリアと南半球のオーストラリアが混同され続けているため、この問題に対し、大使館が過去の文献などを参照し検討を行った結果、日本語表音表記を 「オーストリー」と変更するそうである。

たしかに小学生のころも地理の時間に、オーストラリアとオーストリアがつい混同されてしまっていた。日本人には歴史あるオーストリアよりも、カンガルーのオーストラリアの方がどちらかといえば知られていた。一時期の新婚旅行先としてもオーストラリアがトップの時代があったぐらいである。その日本語表記を変更するというのは日本の地理の教科書や世界地図、地球儀等々にも影響が出てくるものとみられるが、なぜかこれにかんしてのニュース記事などは見られない。そもそも高校生にとっては世界史や世界地図は履修科目から除外されているためか(?)。

かくいう私も、このことは知り合いの方(ドラさんですが)に教えていただいた。これで首都がウイーンのオーストリーへの興味も出てくれれば、ハプスブルク家の歴史など含めて世界史への関心も高校生に出てくるのではとも思うのだが。


2006.11.14「7-9月GDP」

朝方発表された7−9月期実質GDPは前期比+0.5%、年率で+2.0%と予想の+0.9%を上回った。寄与度は内需+0.1%、外需+0.4%。民間企業設備投資寄与度は+2.9%、民間在庫投資寄与度は+0.3%、消費支出は-0.7%。内閣府は今回、総務省が8月に消費者物価指数の基準改定を実施したのに伴い、総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターを2005年4―6月期にさかのぼって改定したが、このGDPデフレーターは前年同期比-0.8%であった。ただし、国内内需デフレーターは前年同期比+0.1%と2004年10-12月期以来の7期ぶりのプラスに、また民間需要デフレーターは1998年1-3月期以来のプラスとなった。

個人消費は11月8日の水野日銀審議委員の講演でも、7〜9月期の実質GDPの個人消費が前期比マイナスになる可能性が高いとの予想が示されていたが、この予想通り個人消費は前期比-0.7%と前期の+0.5%から2四半期ぶりのマイナスであった。しかし、輸出の伸びによって外需の寄与度が+0.4%に拡大し、さらに民間設備投資も +2.9%と前期の+3.5%から、0.6ポイントの低下ではあったものの、10四半期連続の増加となっており下支えの要因ともなった。

このところ発表される経済指標はCPIや機械受注など予想を下回るものが多かったことで、追加利上げのタイミングを模索しているとみられる日銀にとってはややアゲインストの風が吹いているともみられていたが、いったんそういった風もこのGDPによって収まるものとみられる。ただし、本来このGDPは過去の数値であり、以前はこのことでも思いのほか材料視はされていなかったが、今回はこの日銀の金融政策への影響が出るのではとの見方で注目も集っていた。

日銀のこれまでの姿勢は維持されることは確かであり、市場でも来年1-3月の追加利上げ予想が多い状態は継続されよう。年内の可能性についてもまだ残っているとは個人的ながらも思っている(11月13日若き知参)。


2006.11.13「金融政策決定会合等の日程(2006年11月〜2007年3月)」

11月15日(水)〜16日(木)、追加利上げの勝手予想 0%
12月18日(月)〜19日(火)、追加利上げの勝手予想 30%
1月17日(水)〜18日(木)、追加利上げの勝手予想 30%
2月20日(火)〜21日(水)、追加利上げの勝手予想 20%
3月19日(月)〜20日(火)、追加利上げの勝手予想 20%


2006.11.13「つくばエクスプレス秋葉原駅のクリスマスツリー」

コンピューターでの自動走行が可能な上に、無線LANが整備され、つくばと秋葉原という電脳都市を結ぶ、日本初のブロードバンド列車「つくばエクスプレス」にふさわしいクリスクスツリーが、つくばエクスプレス秋葉原駅コンコース内のオープンスペースに飾られている。

このツリーが飾られているところを帰りがけに見ていたのだが、普通のツリーかとさほど気にも留めずに通りすぎていた。しかしこのツリー、良く見るとイルミネーションがハイテクなのである。まさに「Intel in it」。パソコンではないが、インテル製のCPUが2000個も飾られているのである。もちろんあくまで飾りである。もし2000個ものチップを掲載したツリー型パソコンであったらスーパーコンピューター顔負けのものになってしまう。

報道によると「2006年に列車内・駅構内を含めた全路線に無線LAN環境を整備し、今年8月に開業1周年を迎えたつくばエクスプレスと、その無線LAN化を支援し、8月にCore 2 Duoプロセッサーを発売したインテルが、両社にとって特別な年を記念して製作されたもの。」だそうである。ツリーに飾られている2000個のCPUの中にも、6個の高価なCore 2 Duoが混ざっているそうである。ただし変な気は起こさないように。しっかりテレビカメラによって監視されているので。

インテルと、つくばエクスプレスの繋がりについては、ハイテク好きの方にとってはピンとくる人も多いはず。日本のインテル本社があるのが、つくば市なのである。その本社でかき集めたのが、ツリーに飾られた2000個のCPUなのである。

つくばエクスプレスの秋葉原駅を利用する際などは、ぜひちょっと立ち寄って見てはいかがか。私は土日祝日を除いて毎朝夕に見ることになりそうだが。

そうそう、先週金曜日から、つくばエクスプレスの車窓から雪をかぶった富士山が見えるようになった。秋葉原からつくば方面に向かう際には、南千住駅から地上に出て、左手の後方に見ることができます。TXの運転士さんが感激するぐらいの綺麗な富士山が見える。


2006.11.10「政府対日銀、ジャブの応酬か」

福井日銀総裁は9日の読売新聞のインタビューで、今後の金融政策について「先行きの景気の振幅を大きくしないように、金利水準は徐々に調整していく。金利を上げないリスクを分かっていただきたい」と述べ、利上げへの理解を求める考えを示した。(ネット版読売新聞より)

福井総裁は「(米国経済の動向など)様々なリスクを読みながら早めに小刻みに対応する。景気のダウンサイド(下ぶれ)リスクばかりに目を奪われて必要な政策調整をしないと、リスクを作り出す」と強調。(ネット版読売新聞より)

「景気拡大を長続きさせる点は(政府と目標を)共有している。何回か金利を上げたとしても、景気回復の芽を摘むような引き締めではない」と理解を求めた。

具体的な利上げ時期については「あわてる必要はないが、遅すぎてもいけない」と述べた。(ネット版読売新聞より)

また、フランクフルトで記者団に対し、今度は岩田日銀副総裁「日本経済がシナリオ通り進めば日銀は緩やかに利上げしていく」「データが政策決定に非常に重要」「弱めのデータならより速く利上げへ」「強めのデータならより緩やかな利上げへ」(以上ロイターより)と発言したと伝えられ、福井総裁と発言内容とほぼ沿ったものとなっている。

これに対して、政府側からはたとえば、中川自民幹事長は自らのホームページにて、福井日銀総裁の講演内容に関して、「私も、金融政策の「手段」について、日銀に100%独立性が与えられていると考えている。今回、政府との「目標を共有」し、日銀が行う金融政策の結果について「全責任を負う」との決意を述べられている点を注目したい。」と、正面から反対する姿勢を示したわけではないが、遠まわしに日銀の追加利上げへの姿勢に対して牽制コメントをしている。

また、10日の朝、大田経済財政担当相は「足元景気動向、下ブレリスクに、より注意」「足元の消費動向、気にしている」(以上ロイターより)と発言し、まるで読売新聞の福井総裁のコメントに対応するかのようなものとなっていた。

日銀と政府がジャブの応酬を行っているともみられているが、これは以前どこかでも見たことがあったような姿でもある。日銀の追加利上げを狙っているタイミングは年内を含んで、それほど先のことではなさそうである。


2006.11.10「2007年度新規財源債発行額は25兆円台の可能性も」

財務省は9日、平成19年度予算の新規国債発行額について25兆円台への圧縮を視野に調整する方針を固めたと新聞などが伝えている。所得税の定率減税の全廃や景気回復による法人税収の増加で、今年度の当初予算よりも5兆円程度の増収が見込まれている。

7〜9月期の国内総生産速報などを踏まえた上で年内に4兆円程度の予算の増額修正を固める。その際の2006年度補正予算での税収見積もりを基準として2007年度の税収見積もりが出されるが52兆円に迫る水準が期待されるようである。この2008年度の税収見通しを確定したのち2008年度予算編成作業で歳出削減額を固め、最終的に国債発行額を決定する。

政府内には、税収増を法人税減税に回すべきだとの意見もあるようだが、財政制度等審議会は可能な限り国債発行額を抑制する方向のようである。


2006.11.9「平成18年第24回経済財政諮問会議議事要旨より」

第24回経済財政諮問会議議事要旨より、福井日銀総裁の発言内容をピックアップしてみたい。

「日本銀行では展望レポートと称して4月と10月の年に、ややロングランな経済・物価の見通しを出している。10月31日に最新の展望レポートを出した。(この中で)実体経済だが、日本経済は持続可能性の高い成長軌道に乗っており、今後もこの2年度間を展望する限り、息の長い拡大を続けると予想している。物価については、これまでの経済の回復により、需給ギャップが需要超過幅を緩やかに拡大するという局面に入っている。一方、ユニット・レーバー・コストからの物価押し下げ圧力が減じてきているので、例えばCPIについては、2007年度にかけて前年比のプラス幅が、ゆっくりだが次第に拡大していくと予想している。今申し上げた見通しは、日本銀行が最新の判断をした標準的な見通しだが、この標準的な見通しは好ましい見通しだという評価を加えている。つまり、我が国経済はこういう推移で行けば、物価安定のもとでの持続的な成長を実現していく可能性が高い、とポジティブな判断を加えている。」

「標準シナリオが順調に推移していく蓋然性が非常に高いが、よりロングランに見ると、もしかすると起こってくるかもしれないリスクがある、としている。もしそういうリスクが起これば結構コストが高い。そういうリスクをあらかじめ明示しているということである。1つは、金融政策面からの刺激効果が一段と強まり、中長期的に見ると、経済活動や物価の振幅が大きくなるリスクがあるということ。もう1つは、逆に景気拡大や物価の上昇が足踏みするような局面も考えられる。ただこの場合に、過去10年の間に大変心配したような物価下落と景気悪化の悪循環に転化するリスクは小さくなっているという評価を加えている。」

「こういう標準的な見通しのシナリオに沿って、これから経済が本当にそのとおり動くかどうかということを、日本銀行は必死になってチェックしていく。市場も市場外の皆さんも、こういう基準で評価し続けていただければ、日本銀行の政策の方向性について認識の不一致が出にくくなる。特に、マーケットにおいては、市場参加者が自らの情勢判断というものを市場金利という形で反映してくるので、今後の市場金利の出方を通じて、日本銀行の政策金利についてのコミュニケーションを行うことができる。」

「そして先行きの金融政策の運営方針だが、望ましい標準シナリオどおり経済が推移していく限り、日本銀行としては、早めに金利を引き上げることによって景気拡大の芽を摘むという考えはとらない。逆に金利政策のタイミングが遅過ぎて、経済が不必要に加速することによって先行きの景気の波を大きくするということも避けたい。」

「標準シナリオどおり経済が動く限り、極めて低い金利水準による緩和的な金融環境を当面維持しながら、経済・物価情勢の変化に応じて、徐々に、早過ぎず、かつ遅過ぎず、テンポとしてはゆっくりと金利水準の調整を行うことになるという考え方を示している。」

「なお、日本経済の中長期的な課題について、政府もイノベーションを軸に経済成長力そのもの、潜在成長能力を上げていこうという御方針である。日本銀行もこれは全面的に支持しているが、これからその施策が実を結んで潜在成長能力が上がってくれば、それはそのまま現実の経済成長として実現していきたいということにつながる金融政策の方針である。また、人口減少という困難な問題に立ち向かう、あるいは財政再建を着実に実現していく、その経路とも整合的な金融政策の枠組みとして打ち出しているつもりである。」

「企業収益の水準が非常に高く設備投資が強い。一方、企業収益の水準が高いのに、賃金の伸び率が十分上がってこない。この点について、やはり企業は非常に厳しい国際競争にさらされており、今後とも国際競争には絶対勝っていかなくてはいけない。したがって、企業収益を十分上げてイノベーションを施し、必要な設備投資は外国の企業に負けないように早いタイミングでやらなくてはいけない。一方、諸コストは、今後とも極力抑制していかないと競争力を保てない。コストの中で一番大きい人件費に対して慎重だと、こういう構図であると理解している。」

「しかし、雇用が増え、労働市場がタイトになってきている。しかも、質の高い労働力を確保したいということで、正規労働者の雇用が増えるというように変わっている。賃金も、まずボーナスで払うが、いずれ所定内賃金の上昇に結びつくというように、タイムラグがあると見ている。八代議員から、日本銀行は設備投資が強くなるリスクを強調し過ぎていないかという御指摘があった。ここで掲げたリスクは、今見えているリスクではない。現在の状況では、標準シナリオどおり好ましい経済が実現するだろう。そのとおりになるかどうかよく見ていただきたい。しかし、今見えていなくても、日本銀行があまり安心し過ぎて金融環境が甘いままで行くと、設備投資だけでなく、資産価格その他の面で思わぬリスクが出てくる。それを、出てきてからたたくのではなく、早めに意識しておこうという程度の話である。伊藤委員が御指摘の物価について、ヘッドラインCPIで物価安定の理解をしているのは、あくまで中長期の概念である。短期的に、物価がインフレの方向にどれぐらい動いているか、逆にデフレに逆戻りしないかは、様々なコアCPIや他の物価指標を総合的に判断していく。」

以上のことはこれまでに何度も総裁自信から述べられていることである。まとめると、日銀の標準シナリオでは、日本経済は物価安定のもとでの持続的な成長を実現していく可能性が高いとポジティブな判断をしている。これを前提にしたリスクは「金融政策面からの刺激効果が一段と強まる」場合をまず置いている。これは金融緩和緩和に伴う刺激効果が強まってしまう場合を想定している。2つめのリスクは、標準シナリオどおりには回復しない場合である。ただし、過去10年の間に大変心配したような物価下落と景気悪化の悪循環に転化するリスクは小さいとデフレスパイラルが再現される可能性を否定している。大きな構造的な変換が日本経済で起きており、負のの連鎖からは逃れているとしているものと思われる。ただし日銀もその動きが確かなものかを「必死になって」チェックしていくとしている。市場でも同様なチェックを行っていることで市場と日銀の認識はいずれ縮まるとしている。この点は市場が目先の指標を意識していることもあって認識のズレの修正はかなり難しいものがあると思う。

雇用の増加からの賃金上昇波及プロセスについては従来型の経済モデルなどもあまり通用せず、個人消費が指標上上向いてこないひとつの要因ともなっている。ただしもこの個人消費が横ばいならばともかく落ち込みが続いているというのは実感とは異なっているようにも思われる。「金融環境が甘いままで行くと、設備投資だけでなく、資産価格その他の面で思わぬリスクが出てくる。それを、出てきてからたたくのではなく、早めに意識しておこう」というのがひとつのフォワード・ルッキングということかと思うが、追加利上げについても、こういったことが意識されてのものかとみられる。


2006.11.8「イノベーションに関する日銀総裁発言」

10月13日に開かれた経済財政諮問会議でにおいて福井俊彦日銀総裁が、「イノベーションを進めると、所得差が縮まるという幻想を与えない方がいい」と発言していた。

これに対して、自民党中川秀直幹事長は自らの公式サイトで、「経済財政諮問会議では、実質成長率を引き上げることと格差の問題について、管轄外の日銀側から忌憚のない意見が出た。」さらに「経済成長は格差是正と無関係なのだろうか。党務を預かる私と意見が異なるのは構わない。しかし、安倍首相との意見の相違があるのか、ないのか」となかなか手厳しいコメントもあった。

もともと中川氏は、日銀の金融政策に対して反対し続けてきた竹中前総務相と意見が近いということで、こういった意見が出てもおかしくはない。それでも、現在は自民党の幹事長という立場だけに、このコメントによっていろいろと憶測も呼んだものとみられる。

しかし、イノベーションを軸とした経済成長を目指すというならば、福井総裁の発言内容の方が正論である。第一回の会合ということで、民間議員や閣僚からは経済運営の看板である成長戦略に積極姿勢を示す発言が相次いでいたことは、それなりの意気込みを見せようとしていたのかもしれない。しかし、それに対して唯一前回からのメンバーでもあった福井氏が注意を促したともいえる。 「成長なくして未来なしというフレーズが、一般の国民の皆さんにちょっと耳ざわりがよすぎないか。」との福井総裁の発言の中で「耳ざわり」という表現は当初原稿にはなかったそうである。これが安倍批判に当たるとは思えないが、良い部分だけを見ずにもう少し現実を直視すべきということであろう。

「イノベーションを身に着けた人と、なかなかつけられない人の所得の格差はむしろさらに広がる。差は縮まるという幻想を余り容易に与えないほうがいいのではないか」

経済成長をイノベーションによって促すというのならば、それは格差是正ではなく、いったんは格差の広がりに通じる。しかし日本経済全体のパイを大きくすることに繋がれば、体感的な格差は薄まる。

「これからは低い潜在成長能力を上げながら、かつ現実の成長を実現していくという、いわばツーステップアプローチになっているところが基本的に違うと思う」 日本の景気や物価の先行きに慎重な政府に対して、追加利上げも模索している日銀ではあるが、こと将来の経済成長の行方についてはある意味、慎重な見方の福井日銀総裁に対して、政府関係者や他の経済財政諮問会議メンバーはやや楽観的な見方をしているようにも思える。


2006.11.7「経済諮問会議と日銀」

経済財政諮問会議とは、経済財政政策に関し、民間有識者の意見を政策形成に反映させつつ、内閣総理大臣がそのリーダーシップを十分に発揮することを目的として、平成13年1月6日の省庁再編とともに、その柱として内閣府に設置された。

会議は議長と10人以内の議員から成っている。議長には内閣総理大臣が充てられ、議員には内閣官房長官、内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)、財務大臣、総務大臣、経済産業大臣、日本銀行総裁、財界からの代表者や学識経験者などが充てられている。議員の任期は2年間で、再任されることができる。運営については内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)が行います。会議は月2、3回開かれ、民間メンバーの提案をたたき台にし、関係閣僚が意見を述べて方向性を決めるパターンが定着している。

安倍政権となり、福井日銀総裁以外のメンバーは総入れ替えとなった。現在のメンバーは、安倍晋三・内閣総理大臣(議長)、塩崎恭久・内閣官房長官、大田 弘子・経済財政政策担当大臣、菅義偉・総務大臣、尾身幸次・財務大臣、甘利明・経済産業大臣、福井俊彦・日本銀行総裁、伊藤隆敏・東京大学大学院教授、丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長、御手洗冨士夫 ・キヤノン会長(日本経団連会長)、八代尚宏・国際基督教大学教授。

議員には、首相や官房長官、経済関連の大臣などだけでなく、経済界を代表する民間議員や、経済学などが専門の大学の教授が名を連ねている。そして日本銀行総裁も議員となっている点などみても、金融にも大きな影響を持っているともみられる。

新メンバーの中でもインフレターゲット導入が持論の伊藤隆敏東京大学大学院教授は、ロイターのインタビューの中で、諮問会議で利上げの是非など具体的な金融政策について議論する気はないと述べたと伝えられた。

しかし、塩崎官房長官は31日の記者会見において「マクロ経済政策の大きな柱は金融政策なので、話題にのぼるのは当然のことだと思う」と述べ、日銀の金融政策のあり方について、今後、経済財政諮問会議で議論していくべきだとの考えを示した。しかし、6日には「政策手段は日銀が独自に考えること」との塩崎官房長官の発言などが伝えられ微妙な修正も加わっている。

この経済財政諮問会議が日銀の金融政策に関して何らかの影響力を与えるとの見方も強いようであるため、その動向にも今後は注意深く見ていく必要もありそうである。


2006.11.6「米雇用統計」

3日に発表された米10月雇用統計において、失業率が4.4%と2001年5月以来の低水準となり、非農業雇用者数は10月分は前月比9.2万人増と市場予想の12.5万人増を下回ったものの8月と9月分が大幅上方修正された。8月の非農業雇用者数は23万人増に改定され、9月の非農業雇用者数は前月比5.1万人増からその3倍近い14.8万人増に大幅に上方修正された。これを受けて米10年債は一気に4.7%台に上昇し、日本の債券も10年債が先週末比0.5%もの上昇となるなど、米債も円債も大幅な下げとなった。

4日付読売新聞によると、ブッシュ米大統領は3日、10月の雇用統計で、非農業部門の就業者数が前月比9.2万人の増加となったことを受け、ミズーリ州で演説し「過去3か月で47万人の新規雇用を生み出した」と強調したそうである。さらに読売は、同統計は改定によって大幅な上方修正がなされており、市場の一部では「好調な経済を強調したいブッシュ政権の策略」との憶測が流れているとも伝えている。


2006.11.2「参院財政委員会での福井総裁発言など」

参院財政委員会において、尾身財務相は「日銀に対して政府が個別具体的に要望することは適切ではない」と発言した。さらに福井日銀総裁は、「金利変更は小刻みに、インターバルはゆとりを持って判断できる状況」「ゆっくりと、は当面利上げをしないとか利上げを後ズレさせるという意味ではない」(ロイター)といった発言が伝えられた。さらに「ゆっくりと物価上がるながで低金利維持すると、緩和が行過ぎるリスク」との稲葉日銀理事の発言も伝わっている。日銀の追加利上げへ向けての姿勢に変化はないとみられる。


2006.11.2「安倍首相、デフレ脱却宣言は時期尚早」

時事通信によると、安倍晋三首相は英紙フィナンシャル・タイムズとのインタビューに応じ、安倍政権が公約に掲げる今年度中のデフレ脱却宣言について「まだデフレ脱却の目標には達していない」と指摘、同宣言の時期は慎重に判断する姿勢を示したそうである。

日銀内に追加利上げを模索する動きがあることについては「金融政策の手段は日銀が判断すること」としながらも、「日銀には金融政策で経済を下支えしてもらいたい」と語ったそうである。日銀の独立性を意識したコメントともみられ、これも小泉路線を世襲したものとも考えられる。もちろん追加利上げについては慎重にとのスタンスか。

「日銀にインフレ目標設定を期待するか」に関して首相は「そうは考えていない」と否定的な考えを示したそうであるが、やや聞く人を間違ってはいないかとも思いながらも、一部の政治家から依然としてインフレ目標期待論も出ている中、首相からそれを求めるようなことはなさそうである。


2006.11.2「来年度予算、新規国債27兆円以下に」

毎日新聞によると、政府は来年度予算に盛り込む国債の新規発行額を27兆円以下とする方針を固めた、安倍晋三首相が近く、政府・与党に指示すると伝えている。景気回復に伴う税収増と小泉政権の財政構造改革を受け継ぐ形での歳出削減の徹底で、小泉政権時代を上回る赤字縮小を目指しているねのとみられる。政府・与党内には、いまだに税収の自然増を法人減税や歳出拡大に充てるべきだとの意見も根強いそうであるが、27兆円に抑えたといえども、すでに国債残高は536兆円(2006年3月末)もある。27兆円という借金がさらに積み重なるわけである。歳出削減もまだまだ余地があるとみられ、この政府の方針はさらに貫き通していただきたい。来年度も27兆円よりもさらに押さえ込むことも可能なはずである。


2006.11.1「10月の展望レポート」

31日に発表された日銀の経済・物価情勢の展望、いわゆる「展望リポート」においては、 前回と比較して「これまでのところ、企業部門は幾分強め、家計部門は幾分弱めとなっている」ものの、「日本経済は息の長い拡大を続ける」として景気判断は据え置いた。

実質国内総生産(GDP)の伸び率の見通しについては、2007年度は4月予想の2.0%から2.1%にわずかながらも上方修正された。2006年度の消費者物価指数(除く生鮮)の見通しについては中央値が+0.3%程度、2007年度は+0.5%の見通しとなった。この数値はもちろん2005年基準に直してのものであり、日銀は「CPIの基準改定により同指数の伸び率は2006年1〜7月の平均でみて0.5ポイント程度低下したが、移動電話通信料などで指数計算方法が変更されたことの影響の多くは当該品目の指数の変化後1年を経過した時点で剥落、このため新旧基準の乖離幅は今後縮小すると考えられ、2000年基準で示した前回の見通しと比べ基調的な判断は変わりない」としている。

日銀はこうした比較的強気の物価や経済の見通しなどを背景に徐々に金利調整を行うとの姿勢を改めて打ち出しており、年内も含めての追加利上げの必要性を示す方針とみられる。追加利上げの時期については引き続き「予断は持たず」との姿勢とみられる。

ただし、8月の10月27日に発表された8月の全国CPIは前年同月比+0.2%となったことで、債券市場などでは年内利上げ観測も後退していたが、この展望レポートの内容からも日銀は引き続き年内も含めてターゲットを置いていることも確かであろう。

「消費者物価指数の前年比は、需給ギャップが需要超過幅を緩やかに拡大し、ユニット・レーバー・コストからの下押し圧力が減じていくもとで、2007年度にかけて前年比プラス幅が次第に拡大していくと予想される」としており、PIが再び下落方向になることはないと見ているようである。

日銀は翌日物コールレートの0.25%という現状の金利もまだ非常に緩和的と認識しているとも見られており、「極めて低い金利水準による緩和的な金融環境を当面維持しながら」も、「経済・物価情勢の変化に応じて、徐々に金利水準の調整を行う」としている。

現在の金利を極めて低い水準と認識し、フォワードルッキングな観点で小刻みな金利調整を志向している日銀は、この経済・物価が展望シナリオに沿って進展することを確認した上で、追加利上げの時期を見定めていくとの見方であるとみられる。


平成18年10月分 平成18年9月分 平成18年8月分 平成18年7月分 平成18年6月分 平成18年5月分 平成18年4月分 平成18年3月分 平成18年2月分 平成18年1月分 平成17年12月分 平成17年11月分 平成17年10月分 平成17年9月分 平成17年8月分 平成17年7月分 平成17年6月分 平成17年5月分 平成17年4月分 平成17年3月分 平成17年2月分 平成17年1月分 平成16年12月分 平成16年11月分 平成16年10月分 平成16年9月分 平成16年8月分 平成16年7月分 平成16年6月分 平成16年5月分 平成16年4月分 平成16年3月分 平成16年2月分 平成16年1月分 平成15年12月分 平成15年11月分 平成15年10月分 平成15年9月分 平成15年8月分 平成15年7月分 平成15年6月分 平成15年5月分 平成15年4月分 平成15年3月分 平成15年2月分 平成15年1月分 平成14年12月分 平成14年11月分 平成14年10月分 平成14年9月分 平成14年8月分 平成14年7月分 平成14年6月分 平成14年5月分 平成14年4月分 平成14年3月分 平成14年2月分 平成14年1月分 平成13年12月分 平成13年11月分 平成13年10月分 平成13年9月分 平成13年8月分 平成13年7月分 平成13年6月分 平成13年5月分 平成13年4月分 平成13年3月分 平成13年2月分 平成13年1月分 平成12年12月分 平成12年11月分 平成12年10月分 平成12年9月分 平成12年8月分 平成12年7月分 平成12年6月分 平成12年5月分 平成12年4月分 平成12年3月分 平成12年2月分 平成12年1月分 平成11年12月分 平成11年11月分 平成11年10月分 平成11年9月分 平成11年8月分 平成11年7月分 平成11年6月分 平成11年5月分 平成11年4月分 平成11年3月分 平成11年2月分 平成11年1月分 平成10年12月分 平成10年11月分 平成10年10月分 平成10年9月分 平成10年8月分 平成10年7月分 平成10年6月分 平成10年5月分 平成10年4月分 平成10年3月分 平成10年2月分(その2) 平成10年2月分(その1) 平成10年1月分(その2) 平成10年1月分(その1) 平成9年12月分 平成9年11月分 平成9年10月分 平成9年9月分 平成9年8月分