「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」


2007.2.28「円キャリートレードの巻き戻しか」

上海株式市場の急落などから、円キャリートレードの巻き戻しの動きが急速に強まり、欧米市場を直撃した。FTSEユーロネクスト300種平均は44.31ポイント下落し、1月11日以来の下げとなり、NYダウは一時543ドル安となった。これを受けて質への逃避の買いが入った米債は急伸し、10年債利回りは4.51%に低下した。

このパニックとも言える動きの、きっかけのひとつとなったのが、中国の株式市場の下落である。27日に中国での金融引き締め懸念などから、上海株が8.8%の下げとなり、1日の下げ幅としてはここ10年で最大となった。ただし、前日に上海総合株価指数が初めて3000ポイント台に乗せるなどここにきて急ピッチな上昇となっていただけに、達成感や高値警戒感といったものによる下げとの見方もできる。

これはある意味、円キャリートレードなどによる過剰流動性が招いた結果とも言える。値動きからはバブル崩壊時の日経平均の動きにも見える。そして、タイミングから21日の日銀の利上げによる影響といった見方も出るかもしれないが、現実に利上げがあった際の為替市場はむしろ円安が進行していた。むしろこの程度の利上げでは円キャリートレードは収まることはないといった楽観的な見方が蔓延するほどにバブルに似たような感覚が蔓延していた可能性もある。

リスクを感じさせない麻痺的な相場といったものは良く起こりうるが、これだけ大きな動きというのも久しぶりである。それだけ円キャリートレードといったものが膨れ上がっていたことを改めて思い知らされる。

その意味では、21日の日銀の追加利上げはむしろ遅すぎたとも言えるかもしれない。もちろん円キャリートレードや過剰流動性を抑制させるのが今回の追加利上げの主目的ではない。しかし、低金利国からの借り入れが温床となっている以上は日銀による超低金利の継続がその大きな要因であったことも確かであろう。

そういえば昨日、ラトIMF専務理事からの発言が少し気になっていた。ロイターによると「日本はデフレ圧力が完全に一掃されたことを明確にすべき」、「円安とキャリートレードが多くの国に影響していることは明らか」、 「キャリートレードの規模をはかるのは容易ではない」、「日本がより正常な金融政策へ移行するにつれ状況は変化」と日銀の利上げを擁護するような発言がIMF専務理事からあった。1月22日にIMFのラト専務理事は「日本経済は拡大が持続する見込みで、デフレ圧力は過去のものとなったとしながらも、インフレ圧力がないことを考えれば、日銀は利上げに慎重に対処すべきだ」とむしろ日銀の利上げを牽制する発言がみられていた。1か月の間で見方がどのように変化したのか。IMF専務理事の昨日のの発言は、今回の調整を見越していたようなものとなっていた。

今回の調整幅は大きなものではあったが、それでも日銀が利上げを実施せずにいたならば、この過剰流動性による反動といったものはさらに強まっていた可能性もある。要因ともなった中国株の今後の動向に注意すべきではあるが、株式の動きが日本のバブル崩壊を思わせるような動きとなっていたものの、取り巻く経済情勢といったものは様相は大きく異なる。中国は2008年の北京オリンピックまでは少なくとも高い経済成長は維持されるとみているが、もしそういった見方に仮に変調をきたした際には注意も必要となろうか。むろん米国経済の行方といったものにも注意が必要か。


2007.2.27「自民党内に利上げ容認論」

27日の産経新聞では「(日銀の)独立性尊重すべき」と自民内に利上げ容認論が出ているとの記事があった(http://www.sankei.co.jp/keizai/kinyu/070226/kny070226001.htm)。とても興味深い。

産経新聞によると、自民党は26日に金融政策などに関する合同会議(金融調査会と財務金融部会、金融政策に関する小委員会の合同会議)を開き、日銀からは雨宮正佳企画局長らも出席し、日銀の金融政策について議論した。この中で「日銀に口出しするのはやっぱり良くない。」日銀の独立性を尊重すべきだったとする意見が相次いだそうである。

1月の自民党の中川秀直幹事長が利上げに強く牽制し、日銀法改正にも言及し議決延期請求権を政府に要望するなどしていたことが記憶に新しい。しかし、26日の自民党の会合ではこうした論調は後退し「日銀は早く利上げすべきだった」との声もあったという。さらにこの後の議論では、中川幹事長の発言について「ルール違反だ。こういうことをさせてはいけない」との非難が相次いだとか。そのうえで「金利が低すぎて金融政策が成り立っていない。日銀は1月に利上げするべきだった」などと今後も継続的な利上げを求める意見も出たという(産経新聞)。

産経は、国内外から日銀の独立性への配慮を求める声が強まったため、同日の会合でも日銀の姿勢を尊重する声が出たとみられるとしているが、もちろんその影響もあろうが、それとともに反利上げ派の影響力が低下してきているのではないかといった見方もある。

16日の日経新聞によると、自民党の丹羽雄哉総務会長が「(日銀の)判断を尊重しないといけない。説明はしないといけないが、我々がとやかく言うべきことではない」と述べたそうである。また、津島雄二氏も「中央銀行が与えられた仕組みできちんと決めていくのが筋だ。政府が介入しているという印象はすべてマイナスになる」と指摘したと伝えられ、自民党内からの日銀への風向きに微妙な変化が生じていたことも確か。

日銀にとって、この自民党の微妙な変化は、独立性を維持し、金融政策へのフリーハンドを握る上でも重要なポイントとなる。しかし、なぜ1月から2月の間にこれだけ変化してきたのか、そこも知りたい部分でもある。やはり政治の世界なのか。


2007.2.27「10−12月期GDPギャップは10年ぶりの需要超過」

26日に内閣府から発表された10−12月期GDP需給ギャップは+0.6%となり、過去のデータも遡って改定した結果、1997年1-3月期以来約10年ぶりの需要超過となった。7-9月期とならして考えればゼロ近傍と理解との浜野内閣府審議官のコメントもあったが、 「デフレ脱却視野に入っており、ムデフレスパイラル脱却局面とは違う」との塩崎官房長官の昨夕のコメントなどもあったが、デフレから抜け出しつつあることも確かである。

今朝の日経にもあったが、潜在成長率に関しては日銀は「1%台半ば」(早川調査統計局長)とし、内閣府も昨年10-12月期で1.4%と見ているようである。正常化に向けての指標がまたひとつ。


2007.2.26「1月17〜18日日銀金融政策決定会合議事要旨より」

「先行きについて、委員は、最も蓋然性の高い見通しとしては、雇用・所得環境の改善が進むもとで、個人消費の基調を形成する動きはよりしっかりしていくとみられるとの認識を共有した。ただ、何人かの委員は、そうした先行きの判断に確信を持つには、もう少しデータの蓄積が必要であると付け加えた。」

先行きの判断に確信を持つためにはもう少しデータの蓄積が必要とした委員が「何人か」の複数人いたことがわかる。

「ただし、一人の委員は、IT関連分野の最終需要の動向には不確実性が高いため、引き続き今後の動向を注視する必要があると述べた。」

岩田副総裁であろうか。

「多くの委員は、重要な点は、足もとの指数の動きよりも、来年度までを展望して、物価形成の基本的なメカニズム、すなわち、需給ギャップやユニット・レーバー・コストと物価の関係をどう判断していくかであるとの考え方を示した。それらの委員は、需給ギャップやユニット・レーバー・コストの動きからみて、基調的な物価上昇圧力は着実に高まっているとみられると付け加えた。」

ちなみに本日、10−12月期GDPギャップは+0.6%と1997年1-3月期以来のプラスとなったと内閣府が発表している。ただし、7-9月期とならして考えればゼロ近傍と理解との内閣府審議官の発言も。

「一方、一人の委員は、グローバルな競争のもとで、企業が価格を引き上げづらい状況は続いているとコメントした。その委員も含め、何人かの委員は、消費者物価の上昇率が基調として少しずつ上がっていくとしても、その速度については依然として不確実性が残っているとの見解を示した。」

何人かの委員が消費者物価の上昇率の速度について不確実性が残っていると指摘。一人ではなかった。

「何人かの委員は、このところの原油価格の反落が当面の消費者物価の前年比に対し下押し方向に働くとみられ、場合によっては一時的に前年比がゼロ%ないし若干のマイナスとなる可能性があると述べた。」

こちらも何人かの委員の発言。

「そのうち一人の委員は、東京都区部の速報値などからみて、12月の前年比は11月対比鈍化する可能性が高いと付け加えた。」

現実に1月26日に発表された12月全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年比+0.1%となり、上昇率は前月の0.2%より縮まった。この発言も岩田副総裁のものである可能性が強いようにも思われる。

「一人の委員は、「見通し」に沿った景気の拡大や物価の上昇が実現する時期が後ずれしており、先行きの経済・物価の展開については不確実性が依然存在していると付け加えた。」

岩田副総裁か。

「次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針について、何人かの委員は、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標をこれまでの0.25%前後から、0.5%前後へ引き上げることが適当であるとの見解を示した。これらの委員は、最近の経済指標の動きが経済のメカニズムについての評価を変えるものではないことを踏まえると、今後とも経済・物価が望ましい姿で推移していくためには、ここで政策金利の調整を行うことが適当であり、こうした措置は長い目でみて物価の安定と持続的な成長に資するものであるとの考え方を示した。これら委員は、現行の政策金利水準を維持した場合のリスクとして、金融政策面からの刺激効果が強まり過ぎる可能性や、低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が強まる可能性を指摘した。」

「これら委員は、フォワード・ルッキングな金融政策運営を行っていく上では、先行きの見通しに十分な確信を得ることが重要であり、現時点においては、そうした確認作業を行う時間的な余裕があるとの考え方を示した。このうち複数の委員は、こうした確認作業を経て、経済・物価の先行きが見通しに沿って展開していくことについて十分な確信が得られた段階では、遅滞なく政策金利の調整を行い、低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着しないようにする必要があると付け加えた。」

この2つの、何人かの委員、これらの委員、は利上げを主張した須田、水野、野田の各委員かとみられる。

「委員は、@日本銀行としては、金融政策運営に当たって、時期を予め特定化する考え方は採っていないこと、A金融政策運営に当たっては、足もとまでの指標や情報を丹念に分析し、それをもとに先行きの経済・物価情勢を展望していくべきであること、Bその意味で「フォワード・ルッキング」と「データ・ディペンデント」は矛盾する概念ではないこと、Cこれらの点について丁寧に説明していくことが重要であること、を確認した。」

これは福井総裁か。

次に現状維持に反対した各委員のコメント・

「須田委員は、@経済・物価の先行きシナリオにより確信が得られたこと、A低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着するような場合には、金融行動・投資行動などを通じて、中長期的にみて、経済・物価が大きく変動する可能性があること、B安定的な成長を持続させるためには、金融政策の効果が現れてくるまでのタイムラグを踏まえると、問題が目にみえるようになる前に対応する必要があること、から、反対した。」

「水野委員は、@先行きの景気は緩やかな拡大を続ける可能性が高く、長い目でみれば、物価も徐々に上昇していくことが見込まれること、Aこうした展望が確認できた以上、金融政策の正常化を進めることが自然であり、正常化を進めないと、金融政策予想の不確実性を高めてしまうこと、Bそうした状況が金融市場に定着することによって、市場との対話が困難になること、Cまた今回利上げを見送った場合、為替円安の進行を容認したと誤解される惧れがあること、から、反対した。」

「野田委員は、@生産・所得・支出の好循環というメカニズムが維持されるもとで、展望レポートのシナリオに大筋沿って、経済の緩やかな拡大が続くと改めて判断されたこと、A現行の政策金利水準を維持すれば、金融政策面からの刺激効果が一段と強まり、将来、経済・物価の振幅が大きくなるリスクが高まってしまうこと、Bこのタイミングで政策金利水準を引き上げておくことが、フォワード・ルッキングな金融政策運営の考え方に適っていること、から反対した。」

金融経済月報に掲載する「基本的見解」が検討され、採決に付された。採決の結果、「基本的見解」が賛成多数で決定された。反対は須田委員1人。その須田委員の反対理由は以下のとおり。

須田委員は、@ 2006 年度の成長率下振れは、2005 年度計数が確報化されたことにより、2006 年度への発射台が縮小したことの影響が大きく、経済の実勢としては展望レポートに示したシナリオに概ね沿った動きを示していると考えられること、A7〜9月における個人消費の落ち込みには、天候不順や新製品投入前の買い控えといった一時的要因が大きく影響しており、10月以降の関連指標は総じて持ち直していることから、個人消費の現状判断における「やや伸び悩みつつも」という表現は不要であること、から反対した。


2007.2.26「格差」

「第一に、所得形成において、価値創造への個々人の貢献がより尊重される時代になりつつあります。そもそも、成熟段階に達した日本経済が持続的に成長できるスピードは、右肩上がりの高度成長期とは基本的に異なります。しかも、そうした比較的緩やかな経済成長でさえも、人、物、金、情報が自由に国境を越えられるというルールでの知恵比べによって、勝ち取っていかなければなりません。この価値創造過程に起業なども含めてどう関わるか、市場が求めるビジネスモデルやスキルの変化にどう対応するかによって、人々の所得は影響されやすくなってきています。」

これは、2007年2月26日「イエコノミー・シンポジウム」における福井総裁基調講演要旨(日銀ホームページより)の一部である。「知恵比べ」によって「勝ち取っていく」、「ビジネスモデルやスキルの変化」にどのように対応するかによって「人々の所得は影響されやすく」なってきている。

つまり成熟化した経済の中において、我々は市場の求めるニーズを適格に判断し、知恵比べによって所得を勝ち取っていかなければならない。こういった世の中においては、それに成功したものに対して、そういったチャレンジをしなかった者や失敗してしまった者との格差といったものはどうしても生じてしまう。これは避けられない。

この格差に対しては、セーフティーネットの構築も必要かもしれないが、ある程度のモチベーションを維持させるには過保護になりすぎてもいけない。何度でもチャレンジすることができる社会システムの構築の方といったものが優先されるべきだと思う。政府も再チャレンジとして人生の各段階で多様な選択肢が用意されている仕組みを構築すべく取り組みを進めているようだが、民間などの意見も積極的に取り入れて、作ってやったというものではなく、使ってみたいと思う仕組みを構築してほしい。


2007.2.22「2つの柱」

日銀の福井総裁は21日の会見において、『日本銀行としては、2つの「柱」による点検を踏まえた上で、経済・物価が今後とも望ましい経路を辿っていくためには、この際金利水準の調整を行うことが適当と判断したわけです。』と述べている。この2つの柱とは、2006年3月9日に日銀から発表された「新たな金融政策運営の枠組みの導入について」には下記のようにある。(日銀のホームページより)

『金融政策の運営方針を決定するに際し、次の2つの「柱」により経済・物価情勢を点検する。』

『第1の柱では、先行き1年から2年の経済・物価情勢について、最も蓋然性が高いと判断される見通しが、物価安定のもとでの持続的な成長の経路をたどっているかという観点から点検する。』

『第2の柱では、より長期的な視点を踏まえつつ、物価安定のもとでの持続的な経済成長を実現するとの観点から、金融政策運営に当たって重視すべき様々なリスクを点検する。具体的には、例えば、発生の確率は必ずしも大きくないものの、発生した場合には経済・物価に大きな影響を与える可能性があるリスク要因についての点検が考えられる。』

福井総裁は会見においては次のように述べていた。

「今回の政策変更は、あくまで2つの柱による点検を踏まえたものです。第1の柱、第2の柱とも十分点検したものだということです。第1の柱、すなわち先行きの経済・物価情勢について最も蓋然性の高いと判断される見通しを点検しました。そしてその蓋然性がやはり高いということに至ったわけですので、物価安定のもとで持続的成長が続くということであれば、その変化に応じて徐々に政策金利水準を調整する、これが息の長い成長につながる。これが第1の柱による判断です。」

「第2の柱というのは、起こる蓋然性はそう高くなくても起こればダメージの大きいリスクというものをあらゆる角度から点検するということであります。この点については、やはり低金利が実勢と離れて長く続くという期待が定着する、そのような場合には、行き過ぎた金融・経済活動を通じて資金の流れや資金配分に歪みが生ずる、これはむしろ息の長い成長を阻害する可能性――起こる蓋然性が高いと言っているわけではありません――がある。それらを踏まえて判断したという意味で、2つの柱による判断であったと思っております。」

これを見ても明らかなように日銀はフォワードルッキングによっての正常化路線に再び戻ったと言える。戻ったといえことは一時的に、この路線からやや外れていたということにもにもなりそうだが。12月や1月の決定会合で利上げが見送られた背景のひとつとしては、政策委員とともに日銀内部でもさらなる景気や物価への点検の必要性を感じていたためとも思われる。加えて1月など政府側からのあまりの圧力によって、無理に利上げに踏み切れば政府との軋轢を残すこととなり、今後の政策運営にも大きな支障を残す可能性もあった。これは2000年8月のゼロ金利解除の際に一度経験していることでもあり、避けたかったのではなかろうか。

今回は政府もマスコミも静かに会合の行方を見守っていた。特に反利上げの急先鋒であった人物も今回は言動を控えていた。この背景には欧米の政府関係者あたりから何がしかの意見があったのではないかとの見方もあったが、ここで日銀との対応にぎくしゃくしてはむしろ政府への批判も高まりかねないとの判断も働いたといった見方もあった。また政府も注目している指標であるGDPが良かったことも影響はあったのかもしれない。市場の波乱要因ともなることで、できれば政府には今後も大人の対応をしていただきたいと思う。

マスコミも今回は妙なリーク合戦は控えられていた。しかし、決定会合開催中にNHKが議長提案を報じたことはいただけない。特に今回は他のメディアが静かだっただけに、NHKが抜け駆けしたかの印象もある。これはひとつの情報漏えいともいえるものでもあり、決定会合に絡んでいる方々には十分な注意をしていただきたいと思う。


2007.2.21「現実にひび割れた一枚岩」

読売新聞によると、昨日の金融政策決定会合において、消費者物価や個人消費の先行きに懸念があると訴える文書を政策委員全員に配り、利上げで日本経済がデフレに逆戻りする恐れがあると力説したそうである。また、朝日新聞によると、政策委員の意見表明をやり直したとも伝えられている。政策委員の意見表明をやり直したが、岩田氏の主張は変らなかったとも伝えられた。読売は東大教授だった岩田氏は、2003年3月に当時の竹中平蔵経済財政相の推薦で小泉首相が日銀副総裁に起用したともコメントしていた。

総裁と副総裁の執行部の票が割れるということは、新日銀法下ではもちろん初めてだが、円卓と呼ばれた旧日銀法時代の政策決定においてもなかったことである。たしかに英国のイングランド銀行では正副総裁の票が割れることはめずらしくないとはいえ、日本と同じく金利をターゲットに置いているFRBなどでは執行部の意見が割れることはまずないとされる。読売にも出ていたが、1986年には当時のレーガン政権が送り込んだ副議長らがボルカー議長に造反したが、結局、造反組は辞任に追い込まれている。

今回、執行部の一枚岩がひび割れたことは今後の金融政策にも少なからぬ影響もあるともみられる。尾身財務大臣の言うように、今回は全会一致がむしろ、不自然であったかもしれないが、その反対票が副総裁から出されたということの意味は大きいものがある。今後の日銀の金融政策を見る上で、岩田副総裁の動向といったものも注目される。

12月や1月の利上げを巡るゴタゴタで日銀の信認もやや低下したようにも思うが、今回の利上げで再び軌道修正を行い、今後失いかけていた信認を徐々に取り戻していく必要もある。正常化に向けての明確な反対者が出たことで、今後の決定会合もこれまで以上に踏み込んだ議論が交わされるかもしれない。さらに、執行部の票割れによって、執行部3票をひとつと考えられなくなり、武藤副総裁も状況次第では総裁と意見を異にする可能性もないとは言えない。

今回以降は、金融政策がまさに1票、1票が重みを持つ本来の意味での多数決によって決定されることとなろう。このため、金融政策の予測といったものはさらに難しいものとなる。しかし、政策委員一人一人の意見といったものがより明確化されれば、自然と市場もある程度の読みも可能となるかもしれない。

今回の金融政策決定会合は、あとで振り返ってみれば日銀の金融政策の歴史のひとつの分岐点となるのではなかろうか。


2007.2.21「日銀は追加利上げを決定」

本日の日銀金融政策決定会合において、福井総裁は利上げを議長提案し、8対1の賛成多数で追加利上げが決定され、無担保コール翌日物の誘導目標値は0.25%から0.5%に引き上げられ即日実施された。反対したのは岩田副総裁であった。新日銀法による現在の金融政策決定会合の仕組みが出来てから、総裁と副総裁のいわゆる執行部の賛否が割れたのは初めてのケースとなった。補完貸付の基準貸付利率もやはり8対1で0.75%に引き上げられた。

消費や物価などの足元経済指標が弱かったことを背景に、昨年12月と今年1月の追加利上げは見送られた。しかし、2006年10-12月期GDP速報値では、実質で前期比+1.2%増、年率換算で+4.8%となり、注目の個人消費は前期比+1.1%となり、前期の-1.1%(改定値)から2四半期ぶりにプラスに転じたことから、消費の低迷も一時的との見方も強まった。ただし回復基調は極めて緩やかなものでもあった。

12月と1月に利上げが見送られた背景としては、政策委員の内部でも、金利正常化に向けてフォワードルッキングを意識している委員と、経済指標を重視して慎重になっている足元ルッキング派の委員に分かれてしまったことがひとつの要因ともみられていた。15日の朝日新聞も「データ重視派と金利正常派に色分けされている」と報じていた。

データ重視派の中においても、足元データを見ることで慎重となっている委員と、経済データなどを見ながら景気認識の違いによって早期利上げに反対している委員とに別れているようであった。その一人が岩田副総裁とも見られていた。

今後CPIが、原油価格下落の影響が出る2月か3月には、一時的にマイナスになる可能性もすでに指摘されている。それが一時的なものであるにせよ、利上げを急ぐ必要はないとの見方は、政策委員のみならずエコノミストなどにも多いことも確かである。

しかし、日本経済が最悪期を脱して回復地合を強めていることも確かである。ここから再びデフレに戻るといったことも考えづらい。米国も住宅市場が懸念されているもののバーナンキ議長もソフトランディングへの期待を強めている。中国経済も引き続き拡大基調を続けるなど、日本の景気腰折れといったものの可能性は少ない。

物価がなかなか上昇しないというのも、需要の低迷による要因などよりは、技術革新や普及度合いなどによるハイテク製品の価格下落などによる影響が大きいものとみられている。日銀はこのCPIについては「原油価格の動向などによっては目先ゼロ近傍で推移する可能性がある」としながらも、「長い目で消費者物価の動きを見通すと、設備や労働といった資源の稼働状況は高まっており、今後も景気拡大が続くと考えられることから、基調として上昇していくと考えられる」としている

すでに日銀は昨年7月にゼロ金利を解除したとは言え、まだ無担保コールの誘導目標値は0.25%に過ぎなかった。日本の超低金利が要因となっての円安などが欧州の金融関係者などから懸念されるなど低金利に伴う弊害といったものも指摘されていた。

政府もデフレ脱却宣言をそれほど時間をかけずに行ってくるともみられ、そういった意味でも政府と日銀の景気物価への見方にはそれほど大きな隔たりはないはずである。しかし、政府関係者からはいまだ追加利上げに批判的な声もあり、そういったバイアスがマスコミなども通じて、日銀の金融政策への市場の見方を混乱させるなどの弊害も生じていた。

日銀が追加利上げを決定したことで、再び正常化路線に戻してきたとも言えよう。今後の追加利上げに関しても少し時間を置くとみられるが、少なくとも年内1回は実施してくるのではなかろうか。

ただし、12月と1月の利上げ見送りによって日銀のフォワードルッキング重視の姿勢がやや揺らいでいるのではないかともみられていた。このため日銀に対しての信認といったものもあらためて再構築していく必要がある。今回の決定会合ではどのような議論が交わされていたのかもはっきり示し、結果として多数決で決められたことに対しての責任といったものも十分に説明していなければならない。


2007.2.19「債券売買高が1京円を超える」

日経新聞は一面で2006年の債券売買高が1京円台に乗せたことを伝えた。1987年にも1京円に迫ったことがあった。当時債券ディーラーであったこともあり、1京円に迫るとはなんてすごいことなのだと感激していた。すでに償還され、伝説ともなっている89回10年国債主体の債券ディーリング相場を体験した人も、ずいぶん少なくなってしまったような気もする。

しかし、今回はあまり感慨も当時に比べて少ない。新聞の取り扱いも1面とはいえ小さい。当時のような値動きの激しいディーリング相場は終焉しており、投資家主導の相場となっているためであろうか。先物もその4割が海外投資家、いわゆるヘッジファンドなどが主体の売買を行っており、国内金融機関による切った張ったの世界ではなくなっている。それでも兆という単位を超えて京の単位まで到達したことも確かである。それほどの売買が大きなトラブルもなくスムーズに行われているという事実も、それだけマーケットが整備されているということであろうか。


2007.2.16「票読みの憶測」

12月と1月の金融政策決定会合で追加利上げが見送られたのは、足元の経済指標にやや弱めのものが出たことなどにより経済指標を重視して慎重に見極めたいとの見方が審議委員の中でも強まったからではないかと指摘した。政策委員の中で、金利正常化に向けてフォワードルッキングを意識している委員と、経済指標を重視して慎重になっている足元ルッキング派の委員に分かれてしまっているのではないかとみられる。15日の朝日新聞でも「データ重視派と金利正常派に色分けされている」と報じているようである。

1月に利上げを主張したとされる3人の審議委員、須田氏、水野氏、野田氏は、金利正常化派と見なされよう。この3委員は、15日に発表された10-12月期のGDPも悪い数字ではなかったことから、2月においてもやはり利上げを主張するものと思われる。

そのほかの6人の委員は、かなり憶測も入ってしまうものの、データ重視派ながらもとりあえず足元データを見ることで慎重となっている委員と、経済データなどを見ながら景気認識の違いによって早期利上げに反対している委員とに別れているのではないかとみられる。

1月の現状維持に賛成した委員は、武藤副総裁、岩田副総裁、福間委員、西村委員、春委員である。このうち福間委員はブルームバーグによると「GDPの高成長で世間的な理解を得られると判断する公算が大きい」と発言したと伝えられた。10-12月期GDP発表を受けてこの福間委員が利上げに賛成する可能性はありうる。

また、春審議委員は2月8日の記者会見において「今後の消費の先行きについて私どもなりに点検したうえで、金利を調整していく、あるいは、しないという場合には、それなりの根拠をきちっと説明する必要があると思います。2 月の金融政策決定会合の後で、金利を調整した場合であっても、しない場合であっても、消費についてどういうデータに基づいて、どういう見方をしていくのか、というご説明を精一杯させて頂くということではないかと思います」と微妙な発言をしている。

勝手に決め付けてしまってはいけないかもしれないが、福間委員と春委員については、データ重視派ながらもとりあえず足元データを見ることで慎重となっている委員ではないかと思われる。

対して岩田副総裁はどうやら景気認識の違いによって早期利上げに反対している委員ではないかともみられており、もしかすると西村委員についても同様であるのかもしれない。あまりに憶測もいけないが。

さらにもう一人の重要人物である武藤副総裁に関しては、正直良くわからない。これまでの発言からは金利正常派ではないかとも見ていた。ただし、日銀内部でも12月や1月は慎重論が強まったとも言われ、そういった空気を意識して慎重姿勢になっていたのではないかと勝手に解釈していた。その慎重な姿勢が果たして10-12月期のGDPによって覆されるのかどうか。今後CPIが一時的にマイナスになる可能性もすでに指摘されているが、そういったことも睨んで慎重となっているならば、今回も利上げには反対票を投じたとしてもおかしくはない。ただし、武藤副総裁は日銀の副総裁という立場で総裁を支えるという役目もある。追加利上げに向けての議長提案が出されれば、そちらに賛成する可能性も強い。そういえば岩田氏も副総裁ではあるが。

以上の独断的な解釈を含めての見方から票読みをしてみたい。須田氏、水野氏、野田氏が引き続き利上げを主張し、10-12月GDPを確認して慎重派であった福間委員がこれに加われば4人となり、まさに議長以外の票が真っ二つとなる。仮に総裁が追加利上げを議長提案すれば、少なくとも5対4で可決される可能性がある。そしてその際には春氏と武藤副総裁の票が加わる可能性もあり、もしそうなれば7対2で利上げが可決される。

ただし、これはあくまで議長提案が出されたとしての推測でもあり、出されなかったならば前回同様に6対3もしくは5対4という僅差での現状維持となる可能性もある。はたまた民間議員がもし5人で利上げを主張するとなれば、数の上では議長提案がなくとも利上げの可能性もないとは言えない。ただこれはちょっと現実離れしているかもしれない。


2007.2.16「決定会合に向けての政治的圧力が多少緩和か」

12月と1月の金融政策決定会合で追加利上げが見送られた背景には、足元の経済指標にやや弱めのものが出たことなどにより経済指標を重視して慎重に見極めたいとの見方が審議委員の中でも強まったからではないかとみられる。また、間接的にせよ政治的な圧力もやや気がかり材料ともなっていた可能性もある。

特に1月は中川秀直自民党幹事長などは議決延期請求権を政府に要望するなど、あからさまに日銀に圧力をかけるような発言が繰り返されていた。1月18日にTBSは「日銀は、今回の金融政策決定会合で、金利の引き上げを見送る見通しである、と今週初めまでに政府側に非公式に伝えていたことが、JNNの取材で明らかになりました。」とも伝えていた。この真偽は不明ではあるが、こういった記事が出るぐらいに、日銀もこの政府の意向といったものをかなり意識していたことは確かではなかろうか。

政府からの日銀の金融政策に対する姿勢について、これまでと比べて多少様相も変ってきているようである。16日の日経新聞によると、自民党の丹羽雄哉総務会長が「(日銀の)判断を尊重しないといけない。説明はしないといけないが、我々がとやかく言うべきことではない」と述べたそうである。また、津島雄二氏も「中央銀行が与えられた仕組みできちんと決めていくのが筋だ。政府が介入しているという印象はすべてマイナスになる」と指摘したそうである。

ここで気をつけなければならないのは丹羽氏は確かに自民党三役の一人ではあるが、決して首相に近い人物ではないということである。実は丹羽氏の選挙区に私の家も入っているが、そのポスターがなかなか微妙である。ポスターの写真は、丹羽氏が自民党の会合か何かで立って話をしている姿であるが、その後側に座っている安倍首相が何気なく写っているのである。握手をしているとかではなくて、たまたま隣に写っているポスターなのである。つまりそんな距離感なのである。

それはさておき、尾身財務大臣も16日に「具体的な金融政策についてとやかく言うことは控えたい」とある意味「とやかく言っている」人に向けたような発言もあった。そのとやかくの一人、やはり自民党三役の一人中川昭一政調会長は「1月の状況とあまり変っていないという認識は持っている」と利上げに踏み切れる情勢ではないとの認識を示していた。そして注目の中川秀直氏は16日に「政府と経済政策の目標を共有し、日銀が冷静に判断する」、「10-12月期GDP、7−9月期GDPとならしてみるべき」とコメントした。

なにはともあれ、1月に比べてだいぶマスコミも慎重な報道となっている。政治家からの日銀への圧力ととも取れる言及も限られ、一部からは利上げ容認論も出ていることはやや様相が異なってきている。これが本来の姿であるべきとも思うのだが。


2007.2.15「10-12月期GDP」

朝方発表された2006年10-12月期GDP速報値は、実質で前期比+1.2%増、年率換算で+4.8%と予想(+3.8%)を上回った。また、7-9の実質成長率は前期比+0.1%、年率で+0.3%に改定された。

注目の個人消費は前期比+1.1%となり、前期の-1.1%(改定値)から2四半期ぶりにプラスに転じている。

すでに過去の数字でもあり、これが20日から21日にかけての日銀金融政策決定会合に直接影響することはないとみられるが、7-9月期の個人消費の落ち込みが一時的なものであったことは確認できたことはフォローの材料とはなろう。

このGDPを受けて大田経済財政担当相は、 「デフレ脱却が確実に視野に入っている」とし、さらに「金融政策は日銀の専管事項」としながらも「消費は7−9月期から均すとほぼ横ばい、依然として弱さみられる」とも発言し、ある意味日銀の利上げに向けては釘を刺した格好に。

なお、日銀の春審議委員は、2月8日の記者会見において次のような発言をしている。(日銀ホームページより)

「特に7〜9 月のGDPの結果として出てきた前期比マイナス0.9%、これは非常に大きな落ち込みだろうと思いますが、これが全部実態を表わしているのかという意味では必ずしもそうではないのではないか、ということを申し上げましたわけで、決して、悪化していないということではありません。何がしかの減速はあったと思いますが、それがマイナス0.9%とやや大きく出たかな、というのがご挨拶で申し上げた実感です。今後の消費の先行きについて私どもなりに点検したうえで、金利を調整していく、あるいは、しないという場合には、それなりの根拠をきちっと説明する必要があると思います。2 月の金融政策決定会合の後で、金利を調整した場合であっても、しない場合であっても、消費についてどういうデータに基づいて、どういう見方をしていくのか、というご説明を精一杯させて頂くということではないかと思います。」


2007.2.14「メールが送れない」

ネット上でアドレスを晒していたのもいけなかったが、とにかく最近のジャンクメールというかスパムメールの数はひどい。このため休み中はメールを開けないこともあるようになってしまった。しかし、2月9日と13日に休暇をいただいたのだが、一部自宅で仕事もしていた関係から、メールを使った。ところがメールが送信できない状態になっていたのである。受信はできているが送信ができない。ソフトが壊れたのかハードに問題か。などと悩んだが、ネットで良く調べたところ、どうやら使っているプロバイダーが、ウイルスに感染したメールを開くことでの感染拡大を防ぐ目的でメールサーバーの仕様を一部変更していたことがわかった。たぶん通知もあったのかもしれないが、気が付かなかった。大手プロバイダー数社が仕様を変更していたようなので、もし同様の症状となった方は、まず契約しているプロバイダーのホームページで確認した方が良い。しかし、これを対処するのに半日近くもかかってしまった。


2007.2.14「2月の決定会合にむけて」

日銀の次回の金融政策決定会合は、2月20日から21日にかけて開催される。1月のような報道合戦もなく、政府関係者も日銀に対しての発言は限られている。しかし、2月の会合は1月以上に注目すべきかもしれない。

1月決定会合後の記者会見において、総裁は「例えば4対4というケースもあり得るわけで、そのときには最終的に議長が決めるということになっています。この点につきましても、ルールに則って整斉と議事を進めていきたいと思っています」と述べている。

これはひとつの極端な事例かとも思われたが、現実に6対3という1月の結果からみて、そういった事態の可能性もないとはいえない。1月は議長を除く8人の政策委員のうち3人が利上げを主張したわけだが、残りの政策委員の1人がもし利上げ派に加わればまさに数字上は4対4となりうる。

ロイターによる日銀の福井総裁との単独インタビューの内容が、1月24日の早朝3時という時間帯に流されたが、この中で総裁は、政策委員の意見の差について「比較的早く縮まる可能性もあると思うが、逆に、すぐには縮まらない可能性もある」と発言している。

フォワードルッキングを重視すべきか、足元経済指標をもう少し丹念に確認する必要があるのか。これは政策委員だけでなく市場参加者にとっても見方が分かれるところでもあろう。

しかも今回は執行部の意見も割れているようにも思われる、1月19日の日経新聞の記事には「副総裁の岩田一政は当初から1月利上げに消極的だった」とあり、さらに「福井はもう一人の副総裁、武藤敏郎を含め、執行部が一枚岩になれるかを瀬踏みしたとされる」とあった。

執行部が一枚岩である必要性は確かにない。日銀法にも「委員会の議事は、出席した委員の過半数をもって決する。可否同数のときは、議長が決する。」とある。まさに多数決で決められる。日銀法が改正されて反対票3票のケースはこれまでにも何度かあったが、可否同数といったことはなかった。

1月の決定会合の結果から見ても意見が完全に割れていることが伺える。そしてその次の会合では、その流れに微妙な変化が出たとしてもおかしくはない。


2007.2.13「政策委員と決定会合」
第21条 日本銀行に、役員として、審議委員六人のほか、総裁一人、副総裁二人、監事三人以内、理事六人以内及び参与若干人を置く。
第22条 総裁は、日本銀行を代表し、委員会の定めるところに従い、日本銀行の業務を総理する。
第23条  総裁及び副総裁は、両議院の同意を得て、内閣が任命する。
第24条  総裁、副総裁及び審議委員の任期は五年

上記は日銀法の一部であるが、今回は日銀の役員について再考してみたい。日銀総裁とは日本銀行を代表し、内閣によって任命され、任期は5年だが、再任されることができる。日銀には最高意思決定機関として政策委員会が置かれている。この政策委員会は、通貨及び金融の調節に関する方針を決定するほか、その他の業務の執行の基本方針を定め、役員の職務の執行を監督する権限なども有している。

政策委員会のメンバーとは総裁一人、副総裁二人、そして審議委員六人で構成されている。金融政策などを決定するにあたって、その議決に際しては一人一票をそれぞれ保有している。

現在の政策委員のメンバーは、総裁が福井俊彦氏(平成20. 3.19)、副総裁が武藤敏郎氏(平成20. 3.19)と岩田一政氏(平成20. 3.19)、審議委員は須田美矢子氏(平成23. 3.31)、春英彦氏(平成19. 4. 4)、福間年勝氏(平成19. 4. 4)、水野温氏氏(平成21.12. 2)、 西村清彦氏(平成22. 4. 7)、野田忠男氏(平成23. 6.16)である。()内は任期。

日銀の金融政策を決めるのが金融政策決定会合である。新日銀法のもと1998年1月に発足した。毎月1回もしくは2回開催される。政府からも財務大臣および経済財政政策担当大臣もくしはその代わりとなる政府代表がオブザーバーとして出席するが、政府出席者には議決権はない。ただし、議決の延期を求める議決延期請求権を保有する。

決定事項については、会合終了後直ちに、当該会合における決定内容を公表することになっており、政策変更がない場合も現状維持としてその旨を公表している。また、決定会合後に日銀総裁が記者会見を行うようになった。会合の約1か月後に議事要旨を公表することも決められている。ただし議事録については10年後に公表される予定である。

日銀の次回の金融政策決定会合は、2月20日から21日にかけて開催される。1月のような報道合戦もなく、政府関係者も日銀に対しての発言は限られている。しかし、1月は議長提案に3名の反対者が出た。もし2月に追加利上げがなければマーケットも当分の間利上げは困難との見方も強めよう。1月以上に今回の会合結果は注意も必要か。


2007.2.8「40年国債続報」

産経新聞によると、「財務省は6日、今年秋にも過去最長となる40年債を発行する方針を決めた」模様である。初回の発行額は500億円程度を計画、1〜2年程度で発行残高が1兆円程度になるように継続発行していくとか。

40年債の具体的な発行頻度や1回あたりの発行額はまだ未定だが、財務省では、「売買が活発に行われて投資家を引きつけるには、1兆円以上の市場規模が必要」とみているようで段階的に発行額を増やす方針とみられる。

産経は「40年債のような超長期債をめぐっては、欧州の会計基準で将来支払うべき負債と現在保有している資産の償還期間をできるだけそろえるよう指導されており、需要は高まりつつある。」ともしている。


2007.2.8「日銀はこうして金融政策を決めている」

本を書くための資料として日銀関係の書籍を買い漁ったことがあったが、さらっと目を通すだけでなかなかじっくり読む機会がなかった。そんな中の一冊「日銀はこうして金融政策を決めている」(日経新聞者)を久しぶりに引っ張り出して通勤時間に読んでみた。

著者は日経新聞記者で、日銀記者クラブでのキャップも務めた清水功哉氏。記者から見た日銀の政策決定の現場が生々しく書かれている。最近はどうしても目先のことばかり追ってしまい、過去のことを振り返ることをしなくなってしまったが、現在の日銀の姿を改めて確認するには、過去を振り返る必要性を痛感した。政治との絡み、為替市場との絡みなどは過去の金融政策の変更にも直接間接に影響があったはずである。

12月と1月の利上げ見送りの背景にはいったい何かあったのか。もちろん経済や物価実態を反映したものとの解説が正しいのかもしれないが、決定会合前には利上げに向けての姿勢なども示されていたなど、現実にはいろいろな駆け引きといったものもあったのではなかろうか。1月の会合での議長提案に対しては3名の反対者がいた。新日銀法になって3名もの反対者がいたことは、これを含めても3回程度しかなかったはずである。

今後の日銀の動向を占う上でも、こういった本を読んでみるのも良いかと思う。久しぶりに時間を忘れて読みふけった本となった。


2007.2.7「福井日銀の決定会合結果一覧(〜2004年3月)」

2003年3月25日
議長案「3月31日までは、日本銀行当座預金残高が15〜20兆円程度となるよう金融市場調節を行う。4月1日以後は、日本郵政公社の発足に伴い、日本銀行当座預金残高が17〜22兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」
賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、植田委員、田谷委員、須田委員、中原委員、春委員、福間委員
反対:なし

2003年4月7日と8日
議長案「日本銀行当座預金残高が17〜22兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」(現状維持) 賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、植田委員、田谷委員、須田委員、中原委員、春委員
反対:福間委員

2003年4月30日
議長案「日本銀行当座預金残高が22〜27兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」(追加緩和)
賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、植田委員、田谷委員、須田委員、中原委員、春委員、福間委員
反対:なし

2003年5月19日と20日
議長案「日本銀行当座預金残高が27〜30兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」(追加緩和)
賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、植田委員、中原委員、春委員、福間委員
反対:田谷委員、須田委員

2003年6月10日と11日
議長案「日本銀行当座預金残高が27〜30兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」(現状維持)
賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、植田委員、田谷委員、須田委員、中原委員、春委員、福間委員
反対:なし

2003年 6月25日
議長案「日本銀行当座預金残高が27〜30兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」(現状維持)
賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、植田委員、田谷委員、須田委員、中原委員、春委員、福間委員
反対:なし

2003年7月14日と15日
議長案「日本銀行当座預金残高が27〜30兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」(現状維持)
賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、植田委員、田谷委員、須田委員、中原委員、春委員、福間委員
反対:なし

2003年8月7日と8日
議長案「日本銀行当座預金残高が27〜30兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」(現状維持)
賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、植田委員、田谷委員、須田委員、中原委員、春委員、福間委員
反対:なし

2003年9月11日と12日
議長案「日本銀行当座預金残高が27〜30兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」(現状維持)
賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、植田委員、田谷委員、須田委員、中原委員、春委員
反対:福間委員

2003年10月9日と10日
議長案「日本銀行当座預金残高が27〜32兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」(追加緩和)
賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、中原委員、春委員、福間委員
反対:植田委員、田谷委員、須田委員

2003年10月31日
議長案「日本銀行当座預金残高が27〜32兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」(現状維持)
賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、植田委員、田谷委員、須田委員、中原委員、春委員、福間委員
反対:なし

2003年11月20日と21日
議長案「日本銀行当座預金残高が27〜32兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」(現状維持)
賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、植田委員、田谷委員、須田委員、中原委員、春委員、福間委員
反対:なし

2003年12月15日と16日
議長案「日本銀行当座預金残高が27〜32兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」(現状維持)
賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、植田委員、田谷委員、須田委員、中原委員、春委員、福間委員
反対:なし

2004年1月19日と20日
議長案「日本銀行当座預金残高が30〜35兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」(追加緩和)
賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、植田委員、中原委員、春委員、福間委員
反対:田谷委員、須田委員

2004年2月4日と5日
議長案「日本銀行当座預金残高が30〜35兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」(現状維持)
賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、植田委員、田谷委員、須田委員、中原委員、春委員、福間委員
反対:なし

2004年2月26日
議長案「日本銀行当座預金残高が30〜35兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」(現状維持)
賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、植田委員、田谷委員、須田委員、中原委員、春委員、福間委員
反対:なし

2004年3月15日と16日
議長案「日本銀行当座預金残高が30〜35兆円程度となるよう金融市場調節を行う。」(現状維持)
賛成:福井委員、武藤委員、岩田委員、植田委員、田谷委員、須田委員、中原委員、春委員、福間委員
反対:なし


2007.2.6「G7」

2月9日から10日にかけて、ドイツのエッセンにて開催される先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が注目されている。特に欧州関係者から円安問題が協議されるとの見通しが伝えられており、それに絡めての日銀の追加利上げ観測も出ている。

1月末のダボス会議の参加者からの発言として、「ユーロ圏各国が2月9-10日の7カ国財務相・中央銀行総裁会議で円安警戒を示すことを考えている」と伝えられた。

そして2月1日の引け後、2年や5年あたりにまとまったスワップの払いが入った。この要因としては、ドイツの財務相などがG7で円安問題が協議されるとの見通しを明らかにし、またポールソン米財務長官も一時、円安注視とのコメントも伝えられたことで、日銀に対してG7の財務相などから円安懸念からの利上げ圧力が高まるとの観測が出たのためである。

しかし、その後にポールソン長官からは、円相場は競争が確保された市場で決定とも発言した。G7が円安を議題に取り上げることはないといった渡辺財務官の発言もあり、日米の当局者からは、G7で円安問題は主要議題にならないとの発言が出ていた。しかし、その後も欧州当局者による度重なる円安問題への発言もあったことで、議題に取り上げられるかどうか不透明となっている。

5日にはルクセンブルグのユンケル首相兼財務相が、G7で円の問題を話し合うつもりだと述べ、さらにイタリアのブロディ首相も、円やドルに対してのユーロ高を深刻な問題だと述べていた。EUのユンカー議長も週末のG7で、円については間違いなく議論されるとの発言が伝えられた。 これを受けて5日の東京市場ではやはり引けあとに再び2年や5年あたりにまとまったスワップの払いが入ったように、かなりこの問題に海外投資家は注意を払っているとみられる。

現実には日米の当局者が議題にならないと述べるなどしていることもあり、円安是正のために日銀が追加利上げに動くこと自体は考えにくい。しかし、この流れを期に日銀が利上げを実施するとの可能性を完全に排除することも難しい。1月の決定会合ではすでに3人の審議委員が利上げを主張していた。もし日銀が追加利上げのチャンスを伺っていたとするのならば、流れに乗じて一気に推し進めるチャンスでもある。 ただし、経済環境が大きく好転している兆しのない中での利上げは、説明責任という意味からも難しいともみられ、今回もまた日銀は動くことはないと予想される。いずれにせよ、久しぶりにG7が債券市場でも注目を集めそうである。


2007.2.5「12月の家計消費状況調査」

総務省が、世帯における購入頻度の少ない高額商品・サービスへの支出、情報技術(IT)関連の商品・サービスへの支出などを調査している家計消費状況調査の12月の数値が発表された。全世帯調査では、1世帯あたりの支出総額が398148円と前年同月比+1.1%となった。ただし10-12月期でみた場合には前年同期比+0.1%となり、伸び率は7-9月期の+1.5%を下回った。この支出総額は日銀の消費動向分析に重視しているとされている。12月の家計調査は前年比実質-1.9%と消費支出は12か月連続で前年割れとなり、減少率は11月の-0.7%よりも拡大していたが、家計消費状況調査では改善が見られた。

2月3日の日経新聞によると、家計消費状況調査の調査対象の64品目のうち約40品目がGDPの個人消費の推計に利用されているそうである。支出総額には高額品やIT関連意外も含まれているが、高額品とIT関連に限定した64品目の支出合計額は前年同月比+3.1%だが、約40品目ではマイナスとなったそうである。

以下その64品目、総務省のホームページより http://www.stat.go.jp/data/joukyou/12.htm

01 移動電話(携帯電話・PHS)使用料、02 固定電話使用料、03 インターネット接続料(プロバイダー料と通信料)、04 インターネット接続料(プロバイダー料)、05 ケーブルテレビ受信料(受信料とインターネット接続料)、06 ケーブルテレビ受信料(受信料)、07 衛星デジタル放送視聴料、08 たんす、09 ベッド、10 布団、11 机・いす(事務用・学習用)、12 食器戸棚、13 応接セット、14 楽器(部品を含む)、15 背広服、16 婦人用スーツ・ワンピース、17 和服(男子用・婦人用)、18 自動車(新車) 、19 自動車(中古車)、20 自動車保険料(自賠責)、21 自動車保険料(任意)、22 自動車以外の原動機付輸送機器、23 自動車整備費、24 家屋に関する設備費・工事費・修理費(内装)、25 家屋に関する設備費・工事費・修理費(外装)、26 給排水関係工事費、27 庭・植木の手入れ代、28 家賃、29 宅地の地代、30 冷蔵庫、31 洗濯機、32 エアコンディショナ、33 ミシン、34 ステレオセット、35 パソコン、36 パソコン用周辺機器・ソフト、37 移動電話機(携帯電話機、PHSの本体価格と加入料)、38 インターネット接続機能付固定電話機、39 ファクシミリ付固定電話機、40 デジタル放送チューナー内蔵テレビ、41 デジタル放送チューナー内蔵テレビ以外のテレビ、42 デジタル放送用チューナー・アンテナ、43 ビデオデッキ(DVDレコーダー・プレーヤーなどを含む)、44 インターネット接続機能付テレビゲーム機、45 デジタルカメラ、46 デジタルカメラ以外のカメラ、47 デジタルビデオカメラ、48 デジタルビデオカメラ以外のビデオカメラ、49 インターネット接続機能付カー・ナビゲーション、50 歯科診療代、51 歯科以外の診療代、52 出産入院料、53 出産以外の入院料、54 国公立授業料等(幼稚園〜大学、専修学校)、55 私立授業料等(幼稚園〜大学、専修学校)、56 補習教育費、57 自動車教習料、58 航空運賃、59 宿泊料、60 パック旅行費(国内)、61 パック旅行費(外国)、62 挙式・披露宴費用、63 葬儀・法事費用、64 信仰関係費

ちなみに、家計消費状況調査のイメージキャラクターはヤドカリのような「ミーナ」だそうである。良くミーナくてはと、「家計消費状況調」をネットで検索するとこんなページ(謎の家計消費状況調査)をヒットした。こにに書かれた調査員はさすがに問題であるが、こういった調査がどのような方式で行われているのか、念の為確認してみた。どうやら直接、総務省の職員が調べているのではなく「民間調査機関」が介在しているようである。

しかし、こういう調査対象にもし選択されたとして、自分では果たして受けるだろうか。自らのプライバシーを1年にも渡って曝け出す上に、かなりの集計作業に時間も手間もかかる。さらに勝手に個人情報保護法とかで縛り付けているにも関わらず、こういった調査には協力しろというのもいかがなものであろうか。もちろん使う方の立場からすればこういった調査の必要性は認めるものの、もう少し積極的に協力できるようなものにできないものか。それにしても、この約30,000世帯は、何も言わずに真面目にせっせと毎月の報告を行っているのであろうか。


2007.2.2「日本国債の新たな買い手か」

日本国債の買い手のうち海外や国内個人の比率が低いと言われていたが、財務省の努力もあり、徐々にではあるが比率が伸びてきている。私が自分で日銀の資金循環統計から日本国債の国債所有別内訳を算出し始めたのが2002年9月時点からであるが、このときは海外3.7%、家計(個人)2.6%であった。そして直近のデータは2006年9月の海外5.1%、家計(個人)4.5%である。これを金額でみると2002年9月時点で海外184,875億円、家計(個人)130,845億円に対して、2006年9月では海外344,465億円、家計(個人)300,435億円である。2002年9月時点から2006年9月までの間に、家計はまさに倍以上の増加となっている。海外も倍まではいかないもののそれに近い増加であった。

そして、昔からの知り合いの方に面白い情報をいただいた。韓国の資産家たちが日本国債の買いに走っているそうなのである。内容については、こちらのページ「日本国債」買いに走る韓国の資産家たちを参照していただきたい。韓国では債券利子に対しては15.4%の利子所得税が掛かるが、為替差益に対しては課税されない点をうまく利用してももののようである。こんな日本国債の買い手もいたとは。


2007.2.2「G7」

ここにきて、9日からドイツのエッセンにて開催される先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が注目され始めた。ドイツの財務相などがG7で円安問題が協議されるとの見通しを明らかにしており、またポールソン米財務長官も一時、円安注視とのコメントも伝えられた。しかし、その後にポールソン長官は円相場は競争が確保された市場で決定とも発言している。そして、この円安問題に絡んでは、日銀に対して円安懸念からG7の財務相などから利上げ圧力が高まるとの観測すら出ているのである。

しかし、G7が円安を議題に取り上げることはないといった渡辺財務官の発言(1日)もあったように、議題に取り上げられるかどうかも不透明であるのも事実。とはいえ、この流れを期に、日銀が利上げを実施するとの可能性を完全に排除することも難しい。実際に1月の決定会合ではすでに3人の審議委員が利上げを主張していたこともある。久しぶりにG7諸国の財務相や中銀関係者のコメントなどが、債券市場でも注目を集めそうである。


2007.2.1「1月の債券相場と2月の予想」

1月の動き

日銀は1月も追加利上げを見送ったが、利上げに絡んでの思惑がマスコミ報道などを受けて翻弄され、債券相場も揺れ動いた。 1月12日に日銀は利上げに向けて動きを見せたとも言われ、メディアも利上げ決定かと一斉に報じた。さらに16日の閣議後の官房長官や財務相などの発言は、それぞれほぼ同じようなものであった。議決延期請求権の行使はしない。日銀の独立性は尊重すると。 しかし、結果としてこれは利上げ容認ではなかった。すでにこの時点で日銀は利上げ見送り方針を固めていた可能性が高い。16日の9時近くにTBSがニュースにおいて「日銀が1月利上げ見送りの方向で最終調整」と伝え、その後各社も同様の報道があり、追加利上げ観測は急激に後退した。

18日の金融政策決定会合においては6対3の賛成多数で現行の金融政策維持を決定した。反対したのは、水野、須田、野田各審議委員か。

福井総裁は18日の会見において、「このところ、強弱様々な経済指標が出ていることも事実であり、今後の経済・物価情勢をさらに見極めていくことが適当との結論に至った次第です」と述べていた。

長期金利は1月15日に1.760%まで利回りが上昇していたが、利上げ見送り観測や実際に利上げが見送られたことから、一時1.645%まで買い進まれた。しかし、米国長期金利が上昇していたことなどから、その後は再び1.7%台まで売られる場面もあった。

2月の予想

11月の家計調査などからみて、2月15日に発表される10−12月期のGDP統計上の実質民間消費は前期比プラスに回復する可能性が高い。これを受けてGDPも高めの予想(実質3%台後半)となっている。企業収益が今後急激に落ち込むことも考えられないことで、景気は引き続き緩やかな拡大基調を続けるものとみている。

米国経済が軟着陸をみせつつあり、原油価格の落ち着きや、一時的にせよ円安傾向ともなっており、足元経済については引き続き回復基調にあることも確かである。それがいずれ個人消費などにも影響してくるとみられる。

しかし、2月20日から21日にかけての金融政策決定会合で、追加利上げが実施される可能性は低いとみている。福井日銀総裁は12月に利上げを見送った際に、「フォワードルッキングながらも足元の経済物価情勢を無視できない」と発言していたが、その中でも特に個人消費や消費者物価の動向に対して注目していた。1月26日に発表された12月全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年比+0.1%となり、市場予想の+0.2%を下回っていた。これに続いて個人消費も予想以上に回復力が鈍いとなると、12月や1月に見送られた利上げを2月に行うことを正当化できるための要因が見当たらないためである。

ただし1月の日銀金融政策決定会合で利上げ賛成派が3名いたことで、もし福井総裁が議長提案を行えば、利上げが実施される可能性も排除できない。しかし、副総裁が慎重ともみられており、議長提案も難しいのではないかと思われる。

利上げの時期を特定することは難しく、今後発表される経済指標に一喜一憂するともみられるが、総じて長期金利は上昇しにくい状況にあるとみられる。1.7%近辺の動きが当面続くものと予想している。


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