総務省が本日発表した2月の全国の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)で99.4となり、前年同月比マイナス0.1%となった。全国のコアCPIの伸び率がマイナスになるのは2006年4月のマイナス0.1%以来の10か月ぶりとなった。ホワイトプランの導入などで移動電話通話料が低下し、さらに原油安の影響により、ガソリンなど石油製品の価格が低下したのが大きな要因とみられる。
また2月鉱工業生産速報は前月比-0.2%となり予想の-0.8%よりは良かったものの、2か月連続でのマイナスとなった。携帯電話向けなどの電子部品やデバイス工業で生産調整の動きなどがあったものとみられる。経済産業省は基調判断について、「生産は上昇傾向」から「緩やかな上昇傾向」と下方修正した。2月鉱工業出荷指数は前月比-1.4%、在庫指数は-0.4%となり、3月の生産予測は前月比+1.5%、4月は+1.3%と今後は上昇と見込んでいる。
そして、2月全世帯消費支出は実質+1.3%と発表された。こちらは2か月連続のプラスとなった。暖冬の影響で春物衣料が伸びたことや、自動車購入や携帯電話料金などの交通・通信も伸びたことが要因となった。
2月20日〜21日開催分の金融政策決定会合議事要より、消費者物価指数に関して各委員の発言についてみてみたい。
「消費者物価指数( 全国、除く生鮮食品)の前年比について、委員は、小幅のプラスで推移しており、目先、原油価格反落の影響などからゼロ近傍となる可能性があるが、より長い目でみると、マクロ的な需給ギャップが需要超過方向で推移していく中、プラス基調を続けていくと予想されるとの見方を共有した。」
これは福井総裁が会見などでも良く指摘している部分でもある。「ゼロ近傍」との表現もあることで総裁を主体としての意見を取りまとめたものとみられる。
「大方の委員は、このところの原油価格の反落が当面の消費者物価の前年比の下押しに働くとみられ、場合によっては一時的に前年比がゼロ%ないし若干のマイナスとなる可能性があると指摘した。」
岩田副総裁が追加利上げに反対した理由の中に「物価上昇率の先行きに不透明感が強いこと」を指摘している。ただし、前年比がゼロ%ないし若干のマイナスとなっても「一時的」との見方が多数となっているものとみられる。福井総裁は先日の参院財政金融委員会において「消費者物価の前年比、プラス基調で推移すると予想」と述べている。この発言をもってマイナスの予想は後退したのかは定かではない。
「このうちの何人かの委員は、原油価格反落に加え、携帯電話の新料金プラン導入も、下押しに働く可能性があると述べた。」
これはソフトバンクのホワイトプランのことか。ちなみに私もソフトバンクだが料金は下がってない。早く他社に乗り換えたい。
「一方で、このうちの一人の委員は、サービス価格に上昇の兆しがみられるほか、帰属家賃の上昇が見込まれるなど、先行きの物価の押し上げ要因があると付け加え た。」
この帰属家賃は今後も注意すべきものである。帰属家賃に関してはこういった解説が検索された。「持家に住んでいる人は、家賃こそ支払っていませんが、借家に住んでいる人同様住宅サービスを享受しています。その持家の住宅サービスを、市中の家賃で評価したものを帰属家賃といいます。」(高知県のホームページより)
「もう一人の委員は、足もとでも、国内での鉄・非鉄金属の価格上昇、中国からの素材輸入価格上昇、円安による輸入価格上昇などの押し上げ要因が観察される点は、今後の物価動向を見通す際に勘案する必要があるとコメントした。」
複数の委員が、物価の上昇要因についてそれぞれ述べている。これは基調としては物価上昇圧力が強まっていることを個別要因からもフォローしているものとみられる。
「その上で、多くの委員は、重要な点は、足もとの指数の動きよりも、物価を巡る基本的な環境をどのように判断するかであるとの認識を示した。これらの委員は、この観点から判断すると、設備や労働といった資源の稼働状況が高まっており、今後も景気拡大が続くと考えられることから、より長い目でみると、基調的な物価上昇圧力は高まっていくとみられるとの見解を示した。」
2月の追加利上げに賛成した政策委員の消費者物価に対しての見方といったものが、ここに収斂されているのではなかろうか。
「先行きの物価動向に関連して、ある委員は、昨年の基準改定後の新指数では、消費者物価のトレンドを捉えにくくなっていると指摘した上で、新指数は、従来の指数に比べて、需給ギャップへの感応度が低下している可能性があると述べた。また、企業物価指数の動きから、内外需給の引き締まり傾向が一段落している可能性が窺われるほか、賃金の伸び悩みを踏まえると、今後、ユニット・レーバー・コストが低下することも考えられる点には留意する必要があると述べた。
この発言は面白い。どのようなかたちで需給ギャップへの感応度が低下しているのかを示してほしいところでもある。これは発言の内容からは西村委員の発言ではないかと推測される。1月は慎重姿勢であったとみられる西村委員が2月に賛成票を投じたが、この発言からも物価の先行きについてはやや慎重な見方でもあるように感じる。
「資産価格の動向に関連して、一人の委員は、都心における企業のオフィス需要は高まっており、不動産市場の活況には注意を払う必要があると述べた。その上で、この委員は、全体としてみれば、これまでのところ、企業は採算を慎重に見極めて不動産投資を行っており、実勢に見合った価格形成が行われているとの見方を示した。」
都心における企業のオフィス需要については、国土交通省が本日発表した2007年1月1日時点の公示地価などからも明らかとなっている。資産価格の上昇についてはまだ警戒水域には達していないとの認識であろう。とはいえ注意する必要も認識していることが伺える。
3月16日の国債市場特別参加者会合において財務省から下記の発言があったことが議事要旨に記載されている。
「入札日程については、概ねの原則として、利付国債の場合は火曜・木曜に行うこととしている。また、FB3M は、T+3での月曜発行を原則として水曜日に入札を行うのが通常である。しかし、この原則的な考え方で日程をセットした場合、日本銀行の政策決定会合の日とこれらの入札日が重なることがあった。当局としては、従来、例えば2年、5年、10年債等、政策変更の影響を受けやすい年限債の入札については決定会合当日とずらすよう配慮はしていたが、超長期債については原則通りの日程で置いていた。超長期債の入札についても日程をずらした方が良いかどうか、御意見をお聞かせ頂きたい。」
本日の日経新聞ではこれに関して、今年の6月以降は金融政策決定会合の当日には国債入札を実施しない方針を財務省が明らかにしたと伝えている。国債市場特別参加者会合では、さらに下記のような財務省による発言もあった。
「政策決定会合の日程に関わらず、そもそも月曜日や金曜日に入札を行うことの是非についても御意見をお聞かせ頂きたい。これまでは、月曜日、金曜日は市場での取引量が少なく、ヘッジがしづらいことや入札後の販売が進まないなどの問題があるということで、原則として入札を実施していない。しかし、発行量が少なく、マーケットのショート銘柄を対象としている流動性供給入札などは、金曜日に実施しても特段問題はないのかと考えているが、流動性供給入札を含めた月曜日、金曜日の入札の実施について、市場参加者の視点から何か問題点があるかどうか、御意見を頂きたい。」
財務省における事務的な問題がない限りは金融日入札も問題はないかとも思われる。この会合参加者からも問題なしとの声が多かったようである。ただし、金曜日は週末で休みを控え、さらにCPIなど国内の経済指標の発表も重なることも多く、米国の雇用統計の発表などを控えていることでややリスクも取りづらいといった側面もあろうが、それほど大きな問題とはならないと思う。
ただし、いまだに私の記憶に鮮明に残っているのが、例外的に金曜日に行なった、とある10年国債の入札である。その日付は忘れもしないし、拙著「日本国債は危なくない」(文春新書)にもしっかり発行日として刻まれている。そう、10年国債の入札史上初めて「未達」いや「札割れ」が生じたのが、平成14年9月20日の金曜日であったのである。
追加利上げが決定された2月20日から21日の日銀金融政策決定会合の議事要旨が発表された。この中から「個人消費」についての箇所を確認してみたい。
「複数の委員は、10〜12月のGDP統計の個人消費は増加しており、7〜9月の落ち込みが一時的なものであったことを裏付けているとコメントした。」
1月の追加利上げに関して慎重姿勢を取っていた複数の委員は、この個人消費の動向もひとつの重要なポイントとして認識していたとみられる。
「多くの委員は、昨年夏場の個人消費関連指標の落ち込みは、天候不順、新製品投入前の買い控えや統計の振れなどによる一時的なものであることが確認されたと述べた。」
この多くの委員の中から、何人かの委員が個人消費の堅調さに関して発言している。
「このうちの何人かの委員は、デジタル家電、新型ゲーム機、携帯電話などの家電販売は増加しており、サービス消費も総じて堅調であると指摘した。」「ある委員は、鉱工業生産統計における10〜12月の消費財出荷も増加していると指摘した。」「別のある委員は、ガソリン価格の低下や株価上昇も個人消費を支えるとみられるとコメントした。」
しかし、下記のように一人の委員が個人消費に対して慎重意見を述べている。これは岩田副総裁であることは間違いないとみられる。
「一人の委員は、10〜12月のGDP統計の個人消費を前年比でみると雇用者数の伸びに満たず、また、賃金の動きが鈍いといった弱めの動きがあることにも留意する必要があると述べた。」
これを1月17日〜18日の金融政策決定会合議事要旨の個人消費に関する部分と見比べてみた。
「何人かの委員は、7〜9月のGDPにみられたような落ち込みが一時的なものであった点は確認できたのではないかとの見方を示した。」「別の何人かの委員は、ミクロ情報によると、年末商戦や初売りは総じて堅調であったが、その後の動きはやや伸び悩んだ模様であると述べた。」「何人かの委員は、コンフィデンス指標の改善が引き続き足踏みしている点を指摘した。」「何人かの委員は、そうした先行きの判断に確信を持つには、もう少しデータの蓄積が必要であると付け加えた。」
繰り返されて使われているのが「何人かの委員」である。個人消費に関してみる限り、1月の会合では複数の委員同士で見方が完全に分かれていたとみられる。しかし2月になると慎重な見方となっていた委員が一人となっていた。 金融政策は多数決によって決定される。慎重に委員の一部がデータの蓄積によって先行きの判断に確信を持った結果、2月の会合での利上げに繋がったとも考えられる
3月16日に開催された第15回国債市場特別参加者会合の議事要旨が財務省のホームページにアップされている。この中で40年国債については、「40年債の入札は早くても11月以降になると考えている」「仮に発行することとなった場合には、ある程度の流動性が出るまでの期間は同じ銘柄をリオープン発行することになるのではないかと考えている」とあった。
40年国債は財務省にとり新商品となることでシステム開発等の体制整備が必要となり、これが終了するのが現時点では10月下旬頃になるとの見通しだそうで、10月には30年国債の入札が予定されるため、40年国債の入札は今年の11月が目安となりそうである。1銘柄当たりの発行額が小さいと流動性の問題が生じるため、当初は同じ銘柄をリオープン発行する予定であるとか。このため、場合によっては将来のリオープンを念頭に置いて当初は、40年ではなく40数年債として発行する可能性もあるとも指摘されている。
「発行額については、当局として40年債を何が何でも発行しなければならない状況ではないので、必要な発行額のイメージが先にあるわけではない」との財務省からの発言もあったようだが、一回あたりの発行量が数百億円に止まる可能性もありそうである。生損保などの投資家による買いといったものも期待できるが、多くの投資家もある程度のロットがまとまるまでは動きづらいかとも思われる。
また、新たな国債窓口販売スキームについても検討されているようである。個人向け国債の発行が開始されてからも、通常の国債の個人向け販売は行なわれている。しかし、「その機関数は少なく、販売を行っている金融機関でも個人販売向けに用意している国債はそれほど多くない」(財務省)、というのが実情であり、何をいつどのぐらい売っているのかといった情報を個人が得るには直接証券会社などに問い合わせる必要があるなど、個人が個人向け国債以外の国債を購入しようとしてもなかなか購入しにくいのも現状である。
しかし、同じ5年国債を購入するとして途中売却の可能性がほとんどないとならば、個人向け国債の5年固定ものよりも、5年国債そのものを購入したほうが利子は若干有利となるなど、現実には個人向け国債以外の国債を購入したい個人投資家も潜在的にはかなり多いのではなかろうか。
このため、財務省は検討案として、まず10年、5年、2年の国債を対象とし、それぞれ募集額100円当たり10年債20銭、5年債15銭、2年債10銭の募集手数料を支払い、対象銘柄の入札日の3営業日後から募集を開始するという素案が発表されている。
さらに「現在の郵政公社による窓販においては、募集予定額を定め、募集残が生じた場合には当該残額を郵政公社が引受けているが(募残引受)、新窓販スキームでは当該募残引受は撤廃する。」そうであり、販売する金融機関としてはより販売がしやすくなる。
「いずれにしても何らかの形で本年10月には募集取扱方式による窓販玉の発行を、郵政公社だけでなく民間金融機関にも拡大する予定。」としているように、今回の検討は10月からの郵政民営化を意識してのものではあるが、これにより個人がより国債を買いやすくなることも確かである。
2006年10〜12月資金循環勘定速報が日銀から発表された。このうち家計の金融資産は再び1500兆円台に乗せ、1540兆8478億円と過去最高を記録した。この家計のうち国債は32兆3468億円(9月末30兆0439億円)、株式108兆7710億円(9月末106兆5053億円)、投資信託は66兆1641億円(9月末59兆6818億円) となった。9月末の日経平均は16127円58銭、12月末は17225円83銭。
今回もこの資金循環勘定速報をもとに 2006年12月末現在日本における国債所有別内訳を算出してみた。ちなみに資金循環統計の一部部門分類の見直しおよび遡及改定についてが日銀のホームページに掲載されており、2006年10〜12月資金循環勘定速報分から、単独運用型の金銭信託の保有については、信託勘定の運用資産を各投資主体に配分することで欄は廃止された。
2006年12月末の国債残高と、そして全体に占めるシェア、2006年9月末比(億円)
合計 、676兆0500億円、100.0%、9509億円増
郵便貯金、134兆6808億円、19.9%、9879億円増
民間預金取扱機関、114兆5553億円、16.9%、7兆4544億円減
民間の保険年金、86兆6166億円、12.8%、9143億円増
日本銀行、75兆5147億円、11.2%、1兆5153億円減
公的年金、65兆1660億円、9.6%、7兆1354億円増
簡易保険、59兆2194億円、8.8%、5381億円減
海外、39兆1989億円、5.8%、4兆7524億円増
家計、32兆3468億円、4.8%、2兆3033億円増
財政融資資金、27兆0063億円、4.0%、4兆5246億円減
投信など金融仲介機関、23兆3893億円、3.5%、7369億円増
その他、18兆3559億円、2.7%、1兆8559億円減
参考までに自分で集計を始めてからの、日銀資金循環統計を元にした国債残高の推移は下記のようになっている。一番右の数値は前回比である。(単位、億円)
2002年09月末、5,045,257
2002年12月末、5,228,730、183,473
2003年03月末、5,384,464、155,734
2003年06月末、5,441,370、56,906
2003年09月末、5,437,060、-4,310
2003年12月末、5,545,297、108,237
2004年03月末、5,699,256、153,959
2004年06月末、5,759,771、60,515
2004年09月末、5,993,527、233,756
2004年12月末、6,197,909、204,382
2005年03月末、6,424,669、226,760
2005年06月末、6,613,991、189,322
2005年09月末、6,591,695、-22,296
2005年12月末、6,718,823、127,128
2006年03月末、6,670,712、-48,111
2006年06月末、6,591,136、-79,576
2006年09月末、6,750,991、159,855
2006年09月末、6,760,500、 9,509
(なお上記は、私がエクセルで資金循環勘定速報をもとに再集計したものであり、数値のチェックはしているものの、一部入力ミスしている可能性が皆無とはいえないため、使われる際には、ご注意ください。)
国土交通省が本日発表した2007年1月1日時点の公示地価は、全国平均では前年比+0.4%と1991年以来の16年ぶりの上昇となった。このうち商業地は前年比+2.3%、住宅地は前年比+0.1%とそれぞれ16年ぶりの上昇となった。 3大都市圏の商業地は前年比+8.9%と2年連続の上昇となり、住宅地は前年比+2.8%と16年ぶり上昇。地方圏の住宅地・商業地は3年連続で下落幅が縮小した。
日銀のホームページに「日本銀行当座預金・現金供給サービスの見直しについて」というものがアップされ、これについての意見を募っている。日銀は金融機関の現金事務の環境変化に対応して、当座預金取引先金融機関に対しての、現金供給サービスについての見直しを検討している。
銀行の本支店などで良く見かける光景に、警備会社のクルマが横付けされ警備員に守られて何かしら作業をしている場面がある。これはたぶん現金の輸送を行なっているとみられる。金融機関はバブル崩壊後の不良債権処理などによって大幅なリストラを行なった。これによって大手銀行の合併などにより、支店の統廃合も行なわれ、人員削減もあり、それとともに景気低迷化における現金強奪犯罪なども増加した結果、職員の現金輸送といったものから、警備会社に委託しての輸送といったものに切り替えられているものと思われる。
また、私たちが現金を必要とする際には、銀行の窓口もしくは銀行のATMから引き出すことが多かったが、最近ではコンビニでのATMを利用することも多くなっている。日銀調べによると、2006年3月末における全国銀行ベースの国内本支店は12082店と5年前から1616店減少していたが、主なコンビニエンスストア等における2006年のATM設置台数は22915台とやはり5年前と比較して17209台もの大幅な増加となっている。
こういった現状により、金融機関の支店が減少した反面、現金事務について金融機関は支店とは別に設置した事務センターなどで集中的に処理をしているケースが増加しているそうである。支店ではなく別法人での店舗といったものも出ているなどの多様化も進んでいる。
現金輸送についても、警備会社に委託している動きが拡大し、さらに複数の金融機関が共同してひとつの警備会社に現金配送を委託しているケースも少なくないとか。加えて警備会社自身も現金に関しての事務処理能力が向上し、現金の精査事務も委ねられ、金融機関が再精査することを省略する動きも強まっているそうである。
また、日銀との現金の授受については日銀小切手という「紙」が必要とされることも不便ともなっていることで、これに代わりオンラインを前提としての現金受払い手段の導入も検討を開始するそうである。
時代の移り変わりによって、日銀と金融機関との間での現金のやり取りも変化し、日銀もそれに適応しようとの動きとみられる。ここにきて銀行の合併や、それにともなっての支店などの統廃合も一段落し、さらにコンビにATMの存在も大きくなるなどしたことで、現金の授受に関しても見直しする時期ともなったのか。
現金といえば通貨供給量統計についても日銀は見直しを検討しているそうである。10月の郵政民営化に伴ってM2+CDに民営化後の、ゆうちょ銀行の資金量を加え、さらに一部項目の推計方法も変更する見通しと、22日の日経新聞が報じている。
市場との対話、そして政府との対話については日銀に関わらず、世界の中央銀行にとっても大きな課題となっている。米FRBはマエストロと呼ばれたグリーンスパン前議長の金融政策への舵取りが見事であったと認められることから、市場や政府から全面的な信頼を得た。しかし、それも1987年8月に議長に就任してから2か月後に起きたブラックマンデーを巧みな手綱裁きで乗り切るなどの実績が背景にある。その議長職を受け継いだバーナンキ議長も、利上げ継続後、その停止のタイミングなどによって、うまく米経済をソフトランディングに導き、インフレを抑制してきたと評価されつつある。もちろんここにきてのサブプライムローン問題などの住宅市場の問題など出てはいるが、米経済全体に大きな影響を及ぼさないとの見方も強い。これによってバーナンキ議長に対して批判といった声も聞かれない。
ECBのトリシェ議長も就任後初めての金融政策となった2005年12月の利上げとその後の利上げ継続については、市場や政府からは大きな批判といったものも聞こえず、「金利の正常化」を進めている。ECBについては加盟諸国のそれぞれの経済環境など異なっているなど、それぞれの国の事情といった要因からなかなか意見の取りまとめも難しいようにも思えるが、トリシェ議長の手綱裁きも結果を見るとなかなか見事なものとなっている。
日銀は2006年3月にゼロ金利政策を解除し、同年7月に量的緩和政策を解除した。この際には市場との対話を通じて、それぞれの解除を織り込ませることによって波乱なく実施されてきた。しかし、それでも市場内においても解除は時期尚早との声も燻っていたことも確かである。小泉政権から安倍政権に変り、追加利上げのタイミングを探っていた日銀は、足元の経済指標などの一時的な悪化などにもよって、日銀内部はもちろん政策委員それぞれの見方に微妙な変化が生じた。ここに政治的な介入を招いてしまった隙が生じたとも思われる。
市場との対話において必要とされるのは、日銀と市場との信頼関係にあると思う。その日銀が市場に向けて見方を伝えるには、総裁を含めて政策委員の講演や記者会見などを通じて行なうとともに、マスコミを経由してのものもある。昨年12月と今年の1月の金融政策を巡って、市場の見方が収斂されずに揺れ動いたのは、このマスコミを経由してのノイズも働いたことも大きい。情報元が日銀なのか政府関係者なのか不透明なものからマスコミも利上げの在るなしを大きく取り上げた結果として招いたのは日銀への不信感といったものではなかったろうか。
FRBもECBも政府との関係にはこれまでも苦慮している。しかし、いろいろな経験を通じてそれぞれの距離感といったものをうまく計ってきているように思う。日本でも12月と1月の金融政策を巡る動きは、結果としてみればひとつの教訓ともなったのではなかろうか。政府関係者からの批判といったものも抑えられ、マスコミも静かに会合結果を見守っていた。市場も追加利上げをある程度織り込んでいたことで、利上げが決定されても大きな波乱はなかった。
須田審議委員は1月25日の講演で次のような発言をしている。「今後、日本銀行、市場、マスコミが学習を重ねることで、政策先行き予測の乱高下は次第に回避できるようになると期待しています。」。ここにはあえて加えていなかったが、今後、日本銀行、市場、マスコミそして政府関係者も含めて学習を重ねて行くことで市場との信頼を回復し対話もスムーズに行くものと期待したい。
3月18日から関東の私鉄や地下鉄で利用できる磁気型乗車券「パスネット」の非接触ICカード版である「PASMO」の利用が開始された。JRのSUICAとの相互乗り入れも同時に開始され、これにより首都圏のほとんどの鉄道やバスで利用することができる。
都市圏主体に通勤や仕事で手何かしらの公共交通手段を使う人にとってはたいへん便利なカードとなる。交通費の支給ではなく会社で用意したPASMOを利用しようとしている企業などもあるとか。ちなみに利用明細はインターネット上で利用履歴を確認できる。
しかし、切符代わりといった利便性だけでなく、PASMOなどの非接触ICカードにはまた違った使い方も可能となる。ある小学校では児童に一枚ずつこのカードを持たせることによって、親が子供が学校に着いたかどう確認できるシステムもできているそうである。
さらに注目すべきは電子マネーとしての存在か。PASMOは財布代わりともなる。私も朝は駅のコンビニで朝食を買っているが、SUICAを利用できるためそのための小銭を持ち歩く必要がなくなっていた。SUICAを利用できる施設でもPASMOはもちろん利用可能となり使える範囲は拡大する。
今後コンビニや飲食店、自動販売機といったものでもPASMOが使えるようになれば、それこそ定期入れ一枚でとりあえず一日を済ませることも可能になる。大きな買い物はクレジットカードで済ませ、細かい買い物はPASMOなどの非接触ICカード、もしくは携帯電話での同様の機能を使ってすませる。そういうケースが多くなれば、現金を持ち歩くことが多いといわれる日本人の生活習慣も変わってくるかもしれない。
3月19日から20日にかけて金融政策決定会合が開催される。ここにきて米国のサブプライム問題などをきっかけに世界の株式市場が一時動揺を示していたもののやや落ち着きを取り戻してきた。日銀としてもこの動きには注意を払ってはいると思うが、「株式市場中心に、自立的調整進めている」との福井日銀総裁の発言もあったように一時的な調整とみているものと思われる。
金融政策に関しては、全員一致での現状維持となるものと予想される。2月に追加利上げに反対した岩田副総裁も、さすがに利下げを提案するとは考えらない。岩田副総裁は7日の会見において、「現在の金利水準、0.5%になったわけですが、が現在の経済の拡大の力を削いでしまうようなものになるのかというと、そこは必ずしもそうではないと思っています。」とも発言していることもあり、現状維持の議長提案に賛成するとみられる。2月に利上げをしたばかりでもあり、他の審議委員も現状維持に賛成しよう。
審議委員のうち春英彦審議委員と福間年勝審議委員は4月4日で退任されることで、今回が最後の決定会合となる(4月最初の会合は9日から10日)。お二人が2002年4月に審議委員に就任されたとききは、量的緩和政策の真っ最中。2002年4月当時の日銀当座預金残高の目標値はまだ10〜15兆円程度であった。
日経平均株価は2月26日に18300円台をつけていたが、3月5日には16500円台まで急落した。その後、12日に17300円台まで戻したが、14日には16600円台まで下げている。円借り取引の巻き戻しに加え、米国のサブプライム問題が要因とも指摘されているが、日経平均は2006年6月の14200円台から2007年2月に18000円台まで上昇してきた分の調整が入ったとも見える。
円キャリートレードーの実際の規模といったものもはっきりしたことはわからず、現実にどの程度の巻き戻しがあったのかも定かではない。米国でのサププライムローンの問題がさらに住宅市場に大きな影響を及ぼすのかといったものもはっかりしないこともあり、市場では不安心理が強まり、相場も乱高下を繰り返している。ただし、サブプライム問題についてはリーマンブラザーズのCFOが、サブプライム等住宅ローンの延滞問題については、全米経済に深刻な問題になるとは思えない」と述べた事が伝わるなど、関係者による不安心理への沈静化に向けての動きも出ている。
相場は見えないものに対しては極端に不安視する傾向があり、それが実体化すると所謂、材料出尽くしとなる。今回の世界的な株式市場の連鎖の動きもあとでみれば一過性のものになるのではないかと思われる。
米国のサブプライム市場とは、信用力の比較的低い消費者層への融資市場で、1990年代に入り米国で急速に発展した市場である。ちなみに「prime」とは辞書を引くと、「信用リスクの小さい消費者。一般に高所得者をいう」とあり、これに対して「subprime」とは「信用リスクの大きい消費者。一般に中低所得者をいう」とある。
プライムとサププライムの違いには明確な定義はないが、サププライムは伝統的な金融機関から融資を受けることが比較的難しい階層ともいえる。低所得者層だけではなく、クレジットカードの延滞履歴があるなど信用リスクが高い顧客層も含んでいるとされる。一般的に平均世帯収入の下位50%に含まれる階層とも理解されている。米国で住宅ローンを借りる人の15%程度がサブプライムローンを利用するとされ、住宅ローン全体の約1割を占める。
このサブプライム層に向けた住宅ローン市場において、返済遅延の急増などにより、不動産融資専門会社の経営不安や金融機関の収益悪化懸念が高まったことをきっかけに13日の米国株式市場は急落した。
全米抵当貸付銀行協会が発表した住宅ローン不履行率が大幅に上昇していたことで、住宅ローンの不良債権問題に対する懸念が一段と高まり、下げ幅を拡大させる展開となった。
サブプライム住宅ローンのアクレディテッド・ホーム・レンダーズ(本社San Diego)は大幅に下落した。同社は昨年末に202億円を超えるの資金を保有していたが、その後追加担保の返済に追われ、資金が枯渇しつつある事を同社広報が認めた上、事業継続には新たな資金が必要とし身売りを含めた対応を検討していることを明らかにした。また、同業で実質破綻状態にあるとされるニュー・センチュリー・フィナンシャルはNY証券取引所が上場廃止を決定した。
13日付け日経新聞の経済教室の執筆者は日銀の西村審議委員であった。この西村審議委員が2月の決定会合で利上げに賛成するのかどうか、自分としては見極めづらかった。岩田副総裁同様に「足元重視派」ではないかとの見方があったためである。
2月21日の金融政策決定会合において、西村審議委員は結局、追加利上げの議長提案に賛成している。今回の経済教室は今回の決定に関しての学者としての立場も踏まえての理論的な背景の説明ともなっている。
しかし、「慎重な見極めが必要」、「データの蓄積」といった言葉が見受けられるように、2月時点では「霧が晴れつつある」との認識も持ったのかもしれないが、積極的に利上げを進めるべき状況にあるといったようにも受け取れない。また、「正常化」といった言葉が使われていないなど、福井総裁の発言内容とは一線を帰しているようにも受け取れる。もちろん学者としての立場からの解説といった側面もあったとは思うが。
西村審議委員は今回の追加利上げに関して、どちらかといえば岩田副総裁の考え方に近いものであったものと考えられる。しかし、議長提案に対しては、結果としては反対の姿勢は示さず、慎重ながらも容認する姿勢を示したのではなかろうか。これは、あくまで私見であることをお断りしておきたい。
2006年3月9日に日銀は量的緩和政策を解除し、それから1年の月日が流れた。2006年7月14日には誘導目標値となった無担保コール翌日物金利を0.25%に引き上げ、所謂ゼロ金利政策を解除した。この際に公定歩合という名称から、「補完貸付制度の基準金利」と改められたロンバート金利についても、0.4%に引き上げられている。ゼロ金利解除については全員一致で決められたものの、この補完貸付制度の基準金利の0.4%への引き上げについては、6対3の賛成多数での決定となっていた。反対したのは須田委員、水野委員、そして野田委員。反対理由は無担保コールレートとのスプレッドをもう少し拡大すべきというものであった。
市場でも補完貸付制度の基準金利については0.5%に引き上げられるのではないかとの見方も強かった。事前の新聞報道で0.4%の可能性も指摘されていたことで、決定事項に対してはさほど影響はなかったものの、3名の委員は0.4%ではなく0.5%にすべきとの主張ではなかったかと思われる。すでにお気づきかと思うが、この須田委員、水野委員、そして野田委員は2007年1月の金融政策決定会合において、現状維持との議長案に対して反対した。
2007年2月21日に、日銀は追加利上げを実施した。誘導目標と無担保コール翌日物金利を0.25%引き上げて0.50%としたのだが、この際に補完貸付制度の基準金利については0.75%と0.35%引き上げられている。
2007年2月の追加利上げに対しては、8対1の多数決によって決定されたが、反対したのが岩田副総裁であった。一枚岩とも言われた執行部の票が割れるという事態となったが、これもある程度事前に予想されていたことでもあり、大きな混乱といったものも生じることはなかった。ただし、この執行部の票が割れたことによって、今後は政策委員それぞれの一票にさらに重きが置かれるようになろう。
4月4日に任期満了となる春審議委員と福間審議委員の後任には、三菱商事の亀崎英敏副社長と商船三井フェリーの中村清次社長が内定している。産業界を代表する2人の新審議委員はどのような考え方をするのか、といったものも今後注目されるとみられる。
この1年間の日銀の金融政策における状況から見て、須田委員、水野委員、そして野田委員が正常化に向けての姿勢を強めていることが明らかとなり、その反対側に足元経済や物価動向も慎重にみるべきとする岩田副総裁が対峙する構図となっているかと思う。総裁も正常化に向けての姿勢に近いとも思われるが、武藤副総裁ともどもあちらこちらに目配りしながら、今後の政策についても模索していくものとみられる。
この一年間の日銀の動きにあって、福井総裁の村上ファンド拠出金問題に加えて、12月や1月会合前の中川秀直自民党幹事長などによる明らかな利上げ牽制といった動きもあり、日銀への信認といったものがやや崩れかけた。しかし、2007年2月の決定会合では政府からの牽制といったものも鳴りを潜め、マスコミも観測記事といったものは手控えた。ここにはいったい何があったのか、これは当事者でしかわからない何かが作用していたようにも思われるが、日銀の独立性といったものも尊重すべきという意思も働いた結果であると素直に受け取りたい。崩れかけた信認を立て直すのもたいへんだが、これも今後の日銀にとりひとつの大きな仕事となろう。
8日の5年国債入札の結果により、2007年春の個人向け国債の5年固定タイプの利率が決定された。今回募集される個人向け国債のうち5年固定タイプの利率は1.13%となる(税引き後0.904%)。ちなみにこの基準金利は、8日の5年固定利付国債の入札結果から算出された金利1.18%でありここから0.05%差し引かれたものが、5年固定タイプの利率となる。
ちなみに10年変動タイプの初期利子は、0.87%(税引き後0.696%)。固定タイプ、変動タイプともに募集期間は本日3月9日から4月3日までとなっている。
3月7日の岩田日銀副総裁の会見の要旨が日銀のホームページにアップされた。
『仮に消費者物価指数(除く生鮮食品)がマイナスの場合でも、利上げが行われるのかということについては、2つの「柱」に基づいてしっかりと点検をしながら、その中で決定していくことになります。その中で物価の先行きがどうなるかということは、もちろん重要な点であり、十分考慮しなければならないポイントの一つだと思い ます。ただ短期的な物価の変動と、少し長い目でみた物価の安定は同じことではありません。私どもとしては、「中長期的な物価安定の理解」で考えているところに長い目でみた物価上昇率が上手く収まっていくかということが基本的に重要な点でないかと考えています。』
2月の金融政策決定会合において、岩田副総裁は一人利上げに反対した。その反対理由については2月21日に福井総裁は会見で、「岩田副総裁の主張は、物価の先行き見通しの不確実性というところに他の委員と比べるとより強い力点を置いておられた」と述べていた。3月8日の岩田副総裁の講演や会見で、この物価の動向についてどのように見ているのかがひとつの注目点となっていたが、上記の岩田副総裁の発言からは、福井総裁などの考え方とはそれほど大きくは乖離していなかったことが伺われる。
この会見においてもあらためて反対した理由を次のように岩田副総裁は発言している。
『賃金あるいは個人消費の弱めの動きは、現在、必ずしも払拭されていない、そしてIT部門を中心に生産面で軽度の調整が起こる可能性もあるという状況のもとで、物価上昇率の先行きに不透明性が強いということが、私が反対した半分の理由です。もう半分の理由は、私どもは現時点では2007年度までしか成長率や物価の見通しを出していませんが、中長期の意味での物価安定が重要だということを考える場合、やはりそうした点も含めて展望レポートなどで丁寧に説明してからでも遅くはないのではないかという点から反対票を投じました。』
物価上昇率の先行きに不透明性が強いということは確かであり、もう少し様子を見る必要があるという指摘もある意味適切なのかもしれない。しかし、総裁が21日の会見で示していたように「より長い目で消費者物価の動きをみると、設備や労働といった資源の稼働状況は高まっており、今後も景気拡大が続くと考えられることから、基調として上昇していくと考えられます。」との見方からの利上げについても共感しうる。
今後はこういった反対意見があることによって、見方の違いからの意見交換を通じて、より金融政策の決定過程の透明度が増してくるとも考えられ、今回の副総裁の反対というのはそういった意味では良かったのではないかとも思う、
岩田副総裁は『2005年8月に英国の中央銀行であるイングランド銀行ではキング総裁がむしろ少数意見になってしまいましたが、キング総裁は個人的な意見は必ずしも賛成ではないものの、当然ながら決定事項を全力を挙げて執行されたと思います。』とも発言している。反対はしたが決まったことに対しては全力を挙げてそれを執行するとの意思表明ともなり、こういったことも日銀への信認を高めるものとなるのではなかろうか。
昨年の日銀による量的緩和解除やゼロ金利政策の解除、その後12月や1月の決定会合での利上げ見送り、2月の追加利上げ決定の背景にはどのようなものがあったのか、興味があるが、いずれドキュメンタリー形式の本なども出されるのかもしれない。日銀も新日銀法改正で大きく変わったが、世界の歴史の中で、突然大きな中央銀行ができた上に、国を跨いでの新通貨を発行するなど、過去にあまり例のないことを成し遂げてきたところがある。それが欧州中央銀行(ECB)である。しかし、ECBそのものは1998年に発足し、さらに新通貨ユーロの発行は2002年に開始され、すでに過去のこととして記憶も薄れつつある。
この国を跨いだ中央銀行が信認を得ていく過程といったものは、たいへん興味深いものでもある。今回、日銀もあらためて信認を再構築しようとしているが、ECBもいろいろと試行錯誤が繰り返されていたことも事実であった。日経新聞評論社から出されている「進化する欧州中央銀行」(斉藤淳氏著)は、記者の立場でこのECBの歴史を紐解いている本である。学者の方の書かれた中央銀行に関する本はとても参考になる反面、難解さも伴ってちょっと活字を追うにも苦労することが多い。しかし、こういった記者の方が書いたものは、読みやすい上に、生々しい出来事なども書かれていることで関心も引く。中央銀行とは何なのか、もう一度考えて見たいと言う方にぜひお勧めの一冊である。
政府は、4月就任の日銀審議委員に、三菱商事の亀崎英敏副社長と商船三井フェリーの中村清次社長を起用する人事を内定とロイターが伝えた。
日銀による2006年3月の量的緩和政策の解除と7月の量的緩和解除、そして、2007年2月の追加利上げにより、低迷し続けていた短期金融市場も活性化しつつあり、その意味で、失われた10年の溝を埋めて正常化しつつあるといえる。しかし、この失われた10年はまだいろいろなところに歪も生んでいる。その間にRTGSが実施されるなど決済方式も大きく変わった。
日銀が誘導目標としている無担保コール翌日物の金利であるが、これはブローカー経由と取引と直接相対で取引するダイレクトディールに分かれている。昔はブローカーを通じた取引がメーンであったものの、ゼロ金利政策により金利がほとんどつかなくなり、金利に比較して手数料が大きいといった事態が生じたことで、ダイレクトディールが増加し、その傾向はゼロ金利解除後も大きくは変わっていないようなのである。ブローカー経由にともなうコールレートとともにダイレクトディールにともなえコールレートも存在するが、後者については公表されていない。
さらにコール市場において資金の最大の取り手でもあった大手銀行が預超となっていることで資金の出してに回ることが多く、資金の取り手としては外銀などが大きな存在となっているようである。コール市場はある意味、日銀を中心としたムラ社会的な存在であり、それなりにいろいろと暗黙の了解事項等あったとみられるが、そういった体制も外銀などが積極的に参加してきたことで崩れつつあるとか。そういった意味でのコール市場における昔の常識といったものが通用しなくなっているとも言われる。
時代とともに市場も変化してくるのは当然ながら、一時期ほとんど機能していなかった市場が突然、目覚めることとなり、そこにいろいろなギャップが生じてくるのはいたしかたないのかもしれない。
たとえば、すでにレポ市場の残高がコール市場の残高を大きく超えていることで、日銀の政策目標そのものも無担保コール翌日物金利ではなくGCレポ金利にすべきではないかといった声も強い。3月7日の加藤出氏のレポートにもあったが、こういう意見に対しては「日銀が直接操作できるのは日銀当座預金残高である。それにより準備預金の進捗をコントロールすることで最も影響を与えられる市場金利は、無担保コール・オーバーナイト金利と言える」としている。米国でも「レポ市場の方がフェデラルファンド市場よりも遥かに巨大な残高になっている。それでもFRBはフェデラルファンド金利を誘導対象にしている」といったこともある。
日銀の金融政策が正常化に向けて動きつつある中、そのお膝元というべき短期金融市場の姿も失われた10年以前とはまた様相を異にしつつある。OIS市場といったものも形成されているが、こういった短期金融市場の変化といったものにも注意して行く必要があるのかもしれない。
2月26日に、国際通貨基金(IMF)のラト専務理事は、ハーバード・ビジネススクールの夕食会でのスピーチにおいて、円キャリートレードの増加について警告していた。ラト専務理事は、ブラジルやトルコなどへの資本流入や、韓国からラトビアまで多くの国々での円建て住宅ローンの増加といった影響を指摘し、キャリートレード全体の規模は極めて不透明だと語っていた(ロイターより引用)。
日本からの資本流出の増加に言及し、「金融市場の国際化、また現在のボラティリティーが低い状況や金利差が大きい状況を反映している。ただ、これは為替レートの不均衡の定着化につながる可能性があり、そうなれば世界的な不均衡を悪化させる」との考えを示していた。
そしてラト専務理事は、突然資本の流れが逆転すれば、さまざまな金融市場や国に影響を与える危険性があると警告していた。さらに「日本の金融政策がさらに正常化すれば、このような状況はやがて変化するだろう。しかし、変化にはある程度時間がかかる」と指摘もしていたのである。
このラト専務理事の警告した事態は、この発言直後に現実のものとなった。上海株式市場での急落をきっかけとして世界的な株式市場の急落につながり、2月26日に18300.39円まで上昇していた日経平均は、28日からの急落によって3月5日には16532.91円に下落した。その間の下げ幅は1767.48円と1割近い下げとなっていた。
今回の世界的な株式安連鎖の発端は28日の上海株式市場の急落によるとの見方が強いが、それとともに26日にグリーンスパン前FRB議長が「景気後退後の期間がこれほど長期化する場合、常に次の景気後退の要因が集積する。すでにこの兆候が見え始めている」としたうえで、年末までに景気後退局面に入ることが「あり得る」との見方を示したことも大きな要因とも見なされてもいた。世界経済を支える米国経済の先行き不透明感の強まりも、サブプライム住宅ローンへの懸念とともに今回の株下落の複合的な要因のひとつともなっていた。
今回は世界的な株安とともに円高が急激に進んだことで、円キャリートレードの巻き戻しといったものが指摘されていた。円キャリートレードがどの程度の規模となっているのか、現実に巻き返しの動きがあるのかといったところも不透明でもある。しかし、多かれ少なかれあったことは事実であろうが、それとともに日本の個人を含む投資家による資本流出もかなりの規模ともなっていたはずである。
中国株やインド株を組み込む投信がブームとなり、より高金利を目指しての外債投資といったものも盛んとなっている。販売業者にとっても手数料収入を得られることもあり、積極的な販売を行なっていたとみられる。1500兆円とも言われる個人資産の一部でもこういった海外資産に向かえば、市場規模と比較して過剰な資金が流れる結果ともなりうる。状況はやや異なるが上海株式市場の急落も、経済成長に伴っての中国国内の大量の余剰資金が株式投資に向かった反動ともいえるのではなかろうか。
ラト専務理事も指摘していたように、日本の金融政策がさらに正常化すれば、このような状況はやがて変化するものとみられる。突然資本の流れが逆転するとどのような結果を招くのかを今回の世界株安連鎖はまざまざと示した。今回の動きは一時的なものであるとみられるが、資本の流れに微妙な変化が見え始めているのも確かなのかもしれない。しかし、まだまだ日本の国内金利は低いことも事実である。とはいえ、特に日本の個人投資家にとって投資のリスクといったものをあらためて再認識させる出来事でもあったかと思う。
今月、長女が中学校を、三女が小学校を卒業する。さらに4月上旬には旅行の予定もあり、思い切ってビデオカメラを買い変えることにした。これまで使っていた松下製のデジタルビデオ「NV C5」はまだ現役で使えるものの、すでに購入してから6年以上経っていることもあり、いつ壊れてもおかしくはない。買うとなったら早速下調べをして、やはり今購入するならばハイビジョンビデオカメラが良いとの結論に達した。
問題は保存するメディアである。今流行りはハードディスクタイプやDVDタイプ、SDカードタイプなどである。しかし、価格コムなどでのビデオカメラの任期上位機種はminiDVが多い。いずれminiDVはなくなる方向にあるとは思うが、これまでNV C5で撮ったminiDVも見ることができる上に、フルハイビジョンで撮影する際にDVDなどよりテープの方か圧縮されていない分、写りも良いとの見方もあったことで、miniDVを使う機種にすることにした。
当初はソニーの機種にしようかと思ったが、キャノンのHV10の方が動画が優れているとの評価もあり、そちらに傾いた。しかし、HV10はあまり好きではない縦型であった。ところがタイミングよくHV20という新製品が3月3日に発売されることがわかった。こちらは好きな横型であり、HV10の小型化に向けて省かれていた端子などもつくことで、まさにニーズにヒッタリ。ちょっと大きいがNV C5と比べればさほど気にしない程度のものでもあった。
ということで、発売日に電器量販店に行って購入した。当初、まだ販売していないとの店員の声に、とりあえず価格だけでもと聞いたところ、実際には在庫が届いていたことが判明し、その場で価格交渉もせずに購入してしまった。実は発売日前日に都内の大手量販店で販売価格を聞いたところ、ええっという価格であったのが、近所の量販店での提示価格はそこからは大幅に割り引かれていた。それで即決してしまったとはいえ、もう少し値切ることができたはず、どうも値切るといったことがあまり得意ではない。
あとで肝心のテープを買い忘れたことに気づいて、試し撮りは昨日実施した。ちょうど庭にいた三女や、満開の梅の木、てんとう虫、モンキチョウ、そしてビオトープ鉢のメダカを撮影した。これを家の液晶テレビ(亀山ブランド???)で映したところ、まさに感動物の美しさであった。これがビデオカメラの映像かといったほどの画質であった。まさにハイビジョンカメラにして良かったと感じた次第。このキャノン iVIS HV20は3日からテレビCMも始まっているが、そこでも強調されているようにオートフォーカスも早い。まさに満足のゆく買い物ではあった。しかし、また大きな出費をしてしまったような。
財務省は昨年10〜12月期の法人企業統計を発表した。全産業の設備投資額(ソフトウエア含む)は前年同期比+16.8%となり15期連続で前年の水準を上回った上に、さらに伸び率は比較対照できる2002年以降では最も高い伸びを示した。製造業の設備投資は+15.4%、非製造業も+17.5%といずれも増加した。これを受けて10-12月期のGDPは年率5.3%程度に上方修正される見通しだとか。ただし、全産業の経常利益は、前年同期比+8.3%と18四半期連続で増加したものの、伸び率は前期の15.5%から大幅に縮小したのは、やや気がかり。
本日発表された1月の全国コアCPIは前年同月比横ばいとなった。市場予想も前年同月比+0.0%となっていた。日銀の福井総裁もゼロ近傍との見方をしており、8か月ぶりに上昇が途絶えたものの、これによる相場への影響は限られた。
2月の東京都区部コアCPIは前年同月比0.0%となっていた。全国コアCPIのエネルギー価格のウェイトは東京都区部のコアCPIのウエイトよりも高い。ガソリンなど石油製品が値下がりが続くなどエネルギー価格の上昇率は鈍化傾向となっており、2月の全国コアCPIは前年比でマイナスになる可能性が高いとも予想されている。
日銀も今後のCPIについてはゼロ近傍との表現で一時的なマイナスになる可能性も予想している。しかし、この落ち込みも一時的なもので物価の緩やかな上昇基調に変化はないとみている。問題は春先以降の物価の動向となろう。
そして、1月の全世帯家計調査(農林漁業世帯含む)によると、1世帯あたりのの消費支出は、物価連動を除いた実質で前年同月+0.6%となった。消費支出が前年を上回ったのは2005年12月以来となった。暖冬や好天の影響で、外食や衣料の初売りなどが好調だったとか。食料は+2.8%、衣料品は+7.7%、交通・通信も+6.2%と増加した。反面、教育や高熱・水道などは減少。また、サラリーマン世帯でも、消費支出はやはり13か月ぶりに+1.0%となり、実収入も+0.7%となっていた。消費は10-12月の回復もあったが、緩やかながらも回復基調を続けているものとみられる。
本日の10年国債入札の結果、春の個人向け国債の10年変動タイプの初期利子は0.87%。基準金利は1.67%となったことでこれから0.80%を差し引いた0.87%(税引後0.696%)となる。5年固定タイプの利率は8日の5年国債の入札の結果によって決定される。
今回の春の個人向け国債の募集期間は、5年国債入札日の翌日、3月9日から4月3日までとなる。発行日は2007年4月16日、利払日は毎年4月15日及び10月15日の年2回。お問い合わせはお近くの証券会社や銀行、郵便局などでお願いします。
「中国政府が株式投資収益への課税を検討している」との噂などをきっかけに上海株が8.8%の下げとなり、この上海株式市場の急落などから、円キャリートレードの巻き戻しの動きが急速に世界的に強まり、米国市場も直撃し、NYダウは一時543ドル安となった。しかし、このダウの急落の要因にはもうひとつシステム障害も影響していた。
27日の急落の一因として、米ダウ・ジョーンズによるシステム障害も影響していたとか。ダウ平均を算出する米ダウ・ジョーンズ社のシステムにおいて、1時50分から午後3時までの70分間に渡り障害が発生、この間のリアルタイムの株価が正確に反映されなかった。この間の指数算出が遅れ、代替のシステムが稼働した午後3時に、ダウ平均がわずか数分間で一気に200ドル超も急落し、さらにパニックを招き、株価下落に拍車をかけた可能性も指摘されていた。
中国株の急落が米国市場にも波及し、ニューヨーク証券取引所は指数裁定取引の制限措置、いわゆるサーキットブレーカーが発動された。これにより代替売りとして、現物株の売りが殺到したことで、このシステム障害が起こったものとも。
2月28日は、東証一部の売買代金は過去最高となり、日経平均先物の当日出来高も20万枚超えてこちらも過去最高を記録したものの、システムは順調に動いていた。しかし、かといって楽観視もできない。今後想定外の負荷が金融を支えているシステムにかかる可能性もある。
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