「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」


2007.8.31「サブプライム問題が中央銀行に与えた教訓」

昨日の水野日銀審議委員の講演や会見における発言の中で、現在の中央銀行の役割が以前に比べ様変わりしつつある様子が垣間見える。そのひとつが講演の中の「サブプライム問題が中央銀行に与えた教訓」にある。

「サブプライム問題は、既に金融市場参加者、監督当局、中央銀行等に幾つかのメッセージを与えたと思います。そのうち、中央銀行にとって重要なもののひとつに、(1)クレジット証券化市場の急拡大、(2)資金の調達・運用手段等の多様化、(3)クレジット・デリバティブを活用したリスクヘッジ手段の発達、(4)運用のグローバル化の下でその関係者が拡がっていく中にあっては、「広義の金融システム」に由来するリスク、具体的には経済主体が保有する金融資産・負債の毀損や資金仲介機能の低下等を通じ経済が不安定化するリスクなどをしっかりと把握していく必要があるということが挙げられます。」

「従来、金融システムのモニタリングに当たっては、金融仲介のプレイヤーのうち「伝統的な銀行業務を行う金融機関」に焦点を当てていました。こうした前提を踏まえ、金融システムの保持に向け、新しいモニタリング体制等を構築していくことが必要と考えています。実際、証券化市場など金融システムが「狭義の金融システム」よりもはるかに発展している英国や米国では、イングランド銀行やNY連銀を中心とするFRBは市場動向のモニタリングに多くの人材を配置しています。」(日銀のホームページ「山梨県金融経済懇談会における水野審議委員挨拶要旨」より)

これは裏を返せば、現在の日銀も「クレジット証券化市場の急拡大」「資金の調達・運用手段等の多様化」「クレジット・デリバティブを活用したリスクヘッジ手段の発達」、「運用のグローバル化」などを踏まえて市場動向のモニタリングのために多くの人員配置の必要性があるとみられる。モニタリングとともにそれを分析する役割を担った人の拡充といったものも求められると思われる。

そして、現在の中銀の姿が以前とはだいぶ異なってきていることが、次のような水野審議委員の会見内容からも伺える。

「日米欧の中銀が強調したと言われているが、話し合いはしたが協調したつもりはない。日本は日本で正しいと思うことをやったし、ECBがECBで正しいと信じることをやったということ。お互いについてコメントはしないし、するべきではないが、中銀ができることは庭先であるマネーマーケットの安定化を図るということ。したがって仮に日本の金融市場で流動性リスクのようなことが起きて、信用収縮が起きれば当然それなりに対処するが、今回は日本発ではない、したがって日銀は今回は積極的な行動を取ったと判断しないほうがいい」

「もっとも昨年5月や今年2月の混乱で、米住宅市場の混乱が金融市場の調整につながるとの認識は中央銀行は持っていたので、その不安心理を増幅しないように適切に対応を取ったというのが私の評価だ」(以上はロイター「水野審議委員の会見一問一答」より)

現在の、日銀やFRBやECBさらにイングランド銀行などは、以前に較べるとかなり政府からの独立性を維持している。これまではどちらかといえば政府主導での中銀の協調した金利操作なども行なわれた時代もあった。しかし、現在の対応はそれぞれの中銀に任され、さらに中銀同士の連携も政府が介在した時代とは状況も異なっている。

まずは庭先の安定化を図ることが重要となる。必要以上に積極的に行動を取ってしまうとその反動といったものがあるため、その国々の情勢を確認した上でのそれぞれ適切な対応が求められる。

しかし、それでもグローバルな金融市場の動揺に対しては、中銀同士の情報交換などを通じての状況認識といったものも重要になる。今回の金融市場の混乱に際しても、日銀でも現場サイドなどではかなり密に中銀同士での情報交換なども行なわれていたとも聞くが、ECBの対応も、FRBの対応も、さらに日銀の対応も連携というよりは、アイコンタクトのように、それぞれの判断での対策を講じたとみられる。

今後も同様の事態はいろいろなかたちで起こってくるとみられるが、その際にも各国中銀が適切な対応を行い、グローバルな金融不安の連鎖などに対処するために、情報の共有などを通じての、中銀の連携が求められるのではなかろうか。対処方法はそれぞれに委ねられても、問題をしっかり共有して適切に対処する限り、市場心理をうまく和らげ、必要以上のパニック的な動きを緩和させることが可能になるとみられる。それぞれの中銀が独立性を維持させるためにも、いかなるときにも柔軟に対処できるための基盤を構築していくことも必要となろう。


2007.8.30「水野日銀審議委員の会見」

本日の山梨県金融経済懇談会における水野審議委員の講演の要旨が日銀のホームページにアップされた。この中で特に注目されたのが、米国のサブプライム住宅ローンの悪化に伴う問題に端を発した最近の「金融市場の混乱」に端を発した最近の「金融市場の混乱」に関する部分かと思われる。

欧米の投資銀行のビジネス・モデルおよび提供商品の変化について、水野委員は「先進諸国の大手金融機関が信用リスクや金利リスクを内部に抱え続けるoriginate & hold型から、資金を必要とする主体と資金運用を求める主体とを世界的なネットワークの下で結び付け、これらの間でリスクとリターンの効率的な分配を実現していく“originate & distribute型”にシフトしている」点を指摘し、「金融のグローバル化が進むことによって、債務者に関するリスクが借り手の所在する国の金融機関だけでなく、世界中に拡がり、広く薄く分散されている」ことが今回のグローバルな金融市場の混乱を招いた背景にある点を説明している。

過去20年の金融市場を振り返ると、ほぼ3年に一度のペースで金融市場の混乱が発生していることも水野委員は指摘。1987年のブラックマンデー、1990年はのS&L危機を受けたクレジット・クランチ懸念、1994年のメキシコ危機、1998年のロシア危機とそれに続くLTCMショック、2000年のITバブル崩壊〜2001年9月11日の米同時多発テロを受けた混乱、2002年〜2003年にかけたデフレ懸念の台頭など。

さらに水野委員は、「好調な相場が3年も続けば、調整は時間の問題というのが率直な感覚です。」とし、昨年5月のいわゆるグローバル・リスク・リダクション、今年2月末の世界的な株価の調整は、足もとの金融市場の混乱の予兆であったと指摘している。

そして、今回の「金融市場の混乱」は、疑心暗鬼となった市場参加者の不安心理の伝播とその増幅に伴う流動性確保に向けた動きが引き起こしたものと捉えていると水野委員は発言していているが、まさにその通りであったかと思われる。

「今取り組まなければいけない課題は、金融市場におけるパニック的な行動を沈静化することと考えます」との指摘もあるが、私も市場の動揺を抑えるには市場参加者への不安を緩和させるため、不安解消への期待に働きかける必要があると考えている。

その対応策が「8月17日に行われたFRBの対応だと思います。FRBは8月17日、プライマリー・クレジット・レートを6.25%から5.75%へ引き下げました。これによって、FRBは、市場参加者のパニック的な行動を落ち着かせるべく、アナウンスメント効果を活用したほか、中央銀行として金融機関に積極的に流動性を補完しています。」

サブプライム問題が発生した背景について水野審議委員は、「世界的な過剰流動性」が存在する下で、行き過ぎた投資が行われていたことが大きい点を指摘。

世界的な過剰流動性がもたらされた理由として、世界的にインフレ率が安定していたこと、主要国の年金マネーやアジア諸国や産油国の膨張する外貨準備高などが国際分散投資を拡大していたこと、世界的に緩和的な金融環境が続いたこと、日本銀行が低金利政策を続けていたこと、など。

「サブプライム問題やそれに端を発した円相場の乱高下の原因として、わが国の低金利政策が無縁であるとは言えません」とし、足もとの金融市場の混乱は、「ファンダメンタルズから離れた金利水準を維持し続けることは金融市場をむしろ不安定化させるリスクがあること」も証明したとも指摘した。

そして、サブプライム住宅ローンの劣化に伴う影響について注意すべき点として、「システミックリスクに発展することはないか、体経済に深刻な影響を及ぼすことはないか」がポイントになるとしている。

「世界経済が極めて好調であること、日米欧ともに企業部門の財務体質が極めて健全であること、欧米の主要金融機関等の収益力が高く、自己資本の基盤もかつてないほど充実していること」などにより、「流動性の問題さえ解決すれば、時間の経過とともに金融市場におけるリプライシングのプロセスは進んでいくと」指摘し、水野委員は「システミックリスクの顕在化に発展する可能性や、実体経済に深刻な影響を及ぼす可能性は小さいと判断されます」としている。

また、「エマージング諸国は今や経常黒字国が少なくなく、外貨準備の運用の多様化に動いており、グローバルには潤沢な運用資金が存在します。また、年金マネーやソブリン・ウエルス・ファンド等を含めた巨大運用資金の存在は資産価格の下落余地を小さくする存在」と、グローバルな多額な資金の流れが、今回のような金融市場の混乱に対してクッションの役割となる点も指摘している。

水野委員は、サブプライム問題に関する個人の評価として、「現時点でのFRBの適切な政策対応を前提に考えています。つまり、FRBが流動性リスク、信用収縮のリスクを回避するための、保険的な利下げまでの政策対応で十分な金融環境であるならば、時間の経過とともに世界的に金融市場は安定化に向かうと見込まれます。」としている。これが水野委員にとり、メーンシナリオか。

ただし「一方、想定外の景気悪化を理由にFRBが利下げに踏み切った場合、議論の前提が変わってきます。今後のFRBの動きを占ううえで、私が重要と考えるのは、米国の雇用情勢です。想定外の景気悪化が見込まれるとすれば、米国の個人消費の下振れと思いますが、それは雇用情勢を起点に影響してくる可能性が高いとみているからです。」としている。こちらがある意味、リスクシナリオとなるのか。


2007.8.30「観光地化している秋葉原」

つくばエクスプレスを利用していることで、帰り際に秋葉原に立ち寄ることも多い。昨日もぶらぶらと歩いていたのだが、何台もの観光バスが目に付いた。側面にツアー名が英語で書かれたもので、外国人向けの観光バスであった。夏休みということもあるが、いつも以上に海外観光客の姿も目立っていた。すでに秋葉原は日本の観光名所のひとつとして認識されているようである。

今月初めに江の島に行った帰りに、鎌倉に立ち寄ったのだが、鎌倉大仏には大勢の海外からの観光客がいた。京都や奈良なども含めて、神社仏閣などが日本での昔ながらの観光名所であったが、そこにアキバが加わってきている。

まもなくラオックスのコンピューター館が閉店するが、秋葉原は家電の街からパソコンの街に移り代わり、現在はオタク文化の街となっている。果たして海外旅行客は何を目当てにアキバに来ているのであろうか。アニメやフィギュアなどは一部のマニア向けから、どうもワールドワイドに関心も高まっているようである。ある意味、アキバがそういったものの聖地ともなっている。

私の年代でも、物心ついたときには白黒テレビで鉄人やらアトムやらのアニメを見て育った。少年サンデーやマガジンも小学生のころには発刊されていた。大学時代にパソコンが出始め、社会人になるころにはオフィースにもパソコンが普及しつつあり、その後、インターネットが急速に普及した。同世代よりやや上でビル・ゲイツなどがうまく商売を始め、ネットを使っての商売は我々より若い世代がグーグルなどを起業した。

さらに若い世代では、子供の時代はアニメが常に放映されており、あらたにファミコンなどのゲームも加わったことでテレビーゲームも生活の一部になっていたかと思う。そして、アニメもゲームも日本製のものが世界的にヒット、普及し、それはひとつの文化を形成し、その文化が現在のアキバに集中しつつある。

こういった文化に目を背ける人も多いと思う。あの何が良いのか皆目わからんという人も多いかもしれない。しかし、そういった人も宮崎アニメなどはそれなりの評価をしているはずである。私もこういった文化は嫌いではない。だからこそ今のアキバをぶらぶらするのだが、それでもさすがにメイドさん姿などには違和感を感じなくもない。これはむしろ自らのオタクの感性が薄れたためなのであろうか。

時代が秋葉原を変えてきているが、その時代の流れを敏感に感じて姿が変えられる秋葉原という街の柔軟性といったものも、ある意味興味深いようにも感じる。


2007.8.29「中央銀行の機能としての、金融システムの安定」

金融システムとは、金融取引が安全かつ円滑に行われるためのインフラのことですが、この金融システムの安定を図ることは、物価の安定と並ぶ日本銀行の大きな目的となっています。金融システムが正常に機能して、企業や私たちがいつも安心してお金を利用することができるようにすることも、日銀の大きな役割なのです。 日銀法には「銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする」と記されています。「信用秩序の維持に資すること」とは、日銀が「銀行の銀行」としての役割を担っていることから、金融機関同士の資金決済が常に円滑に行われるように維持することを示しています。

この目的を達成するために、日銀は日銀券や日銀当座預金という安全で便利な決済手段を提供しているともいえます。さらに個別の金融機関の問題によって、たとえば信用に対しての不安心理が広がり、これが取引関係を通じて他の金融機関へ次々と波及し、金融システム全体が機能麻痺に陥ることがないようするために、いろいろな施策も講じています。日銀考査などを通じて民間金融機関の経営状態の把握に努めるとともに、決済システムなどの各種の制度や慣行といったものの整備や改善を図っています。


2007.8.28「7月11日〜12日、金融政策決定会合議事要旨より」

本日朝8時50分に、7月11日〜12日に開催された金融政策決定会合議事要旨が発表された。この中で、まず米サブプライム問題に関しては下記のような意見が出ていた。

「多くの委員は、サブプライム住宅ローンを巡る問題を含め、住宅市場の調整の帰趨には引き続き不確実性があるとの認識を示した。」

「ある委員は、住宅価格の伸びが鈍化していることによって、消費者信用の借入れがこれまでに比べて容易でなくなってきており、そのことの影響が消費行動に出ている、と述べた。」

「サブプライム住宅ローンについて、何人かの委員は、現時点で蓋然性が高い訳ではないが、仮にクレジット市場が深刻な影響を受けることになれば、わが国を含む世界の金融経済情勢に悪影響を及ぼす可能性は否定できないので、そうした観点からも引き続き注意深く事態の推移を見守る必要があると述べた。」

「これに対し、一人の委員は、住宅市場の調整は実体経済の基礎的条件に関する問題から、金融セクターの一部に限られた問題へと性格が変化しており、わが国の金融 政策を考えるうえでは大きなウェイトを占めないと述べた。」

米消費行動への影響を懸念する委員と、金融セクターの一部に限られた問題と指摘する委員と見方が分かれている点も興味深い。

中間評価に関しては、下記のように展望レポートに沿った推移としている。成長率の水準は、見通しに比べて上振れて推移しているとの意見は水野委員か。

「大方の委員は、わが国の景気は、4月の展望レポートで示した見通しに概ね沿って推移していると考えられると述べた。」

「これに対して、一人の委員は、生産・所得・支出の好循環のもとで息の長い成長が続くというメカニズムに変化はないが、成長率の水準は、見通しに比べて、国内・海外要因ともに上振れて推移していると述べた。」

「景気の先行きについては、この委員を含めて、見通しに概ね沿って推移すると予想されるとの見方を共有した。」

消費者物価に対しては、次のような発言となっていたが、「付け加えた」とする委員は岩田副総裁かとみられる。

消費者物価は、2007 年度、2008 年度とも、見通しに概ね沿って推移すると予想されるとの見方を共有した。一人の委員は、4 月の展望レポートにおける委員の見通しからは下振れ気味であるが、大きくは逸脱していないと評価しうる範囲内であるので、見通しに概ね沿って推移する、との表現に賛成すると付け加えた。」

そして注目の、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針については、まず下記のように水野審議委員の発言から

「一人の委員は、政策変更が可能な状況に至ったとして、無担保コールレートの誘導目標を、これまでの0.5%前後から、0.75%前後に引き上げることが適当であるとの見解を示した。」

これに対し、大方の委員は、 「無担保コールレート( オーバーナイト物) を、0.5% 前後で推移するよう促す、という現在の金融市場調節方針を維持することが適当であるとの見解を示した。」

その理由としては次のような発言があった

「これらの委員は、4月の展望レポートで示した見通しに概ね沿って経済・物価情勢は推移しているが、見通しの蓋然性とそれに対するリスクをさらに見極めるため、引き続きあらゆる指標や情報を丹念に点検することが適切であると述べた。」

もう少し様子を見たいというところか。

「何人かの委員は、現時点で考えられるチェックポイントとして、例えば、米国経済の状況、IT関連財など国内生産の動向、賃金の動向、物価を巡る環境などが考えられるが、金融経済情勢は、絶えず新しい事象が生じるものであるので、何か特定の指標なり、特定の分野を念頭に置いて考えることは適当でないと述べた。」

チェックポイントを絞るのも確かに変化に対応できなくなるが、常に事象の変化を追って行過ぎるのも、決断を遅れさせてしまうのではなかろうか。

「大方の委員は、引き続き幅広い視野で見通しの蓋然性を確認し、リスク要因を点検していくということが重要であるとの意見で一致した。」

「委員は、市場や報道で、次の利上げ時期が近づいているとの見方が強まっているだけに、対外説明においては、具体的な政策変更のタイミングについて予断を与えることのないよう、金融政策運営の基本的な考え方を繰り返し説明していくとともに、経済・物価の現状と先行きに関する判断を、引き続き丁寧に説明していくことが重要であるとの認識を改めて示した。」

最後の部分は福井総裁か。7月11日から12日の決定会合での利上げ見送りの背景は、本音とすれば参院選を控えてということであったろうかと思う。このあとの金融市場の混乱が生じたことで、選挙に関わらずこのタイミングで追加利上げをするべきであったとの意見もあった。しかし物は考えようでもあり、もしここで日銀が利上げを実施していたとしたら、米サププライム問題に端を発する金融市場の動揺の犯人ともされかねなかった。結果論ではあるが、この意味では7月の追加利上げの見送りはあとを振り返ってみても、むしろ良かったのかもしれない。


2007.8.28「L25」

残念ながら配付されている沿線からやや逸れていることもあって、R25やL25を手に取る機会は少ないのだが、地下鉄などに乗った際、見つけたときには手にとって読んでいるのがR25という雑誌。言うまでもなくフリーペーパーで成功を収めたリクルート発行の雑誌である。その女性向けがL25だが、残念ながらこちらは読んだことはなかった。

そのL25から、国債に関しての記事執筆依頼があった。どうやら「投資信託と個人向け国債がよーくわかる本 」を読んでいただいた担当者からの依頼であったようである。実は女性専用誌というのは初めての投稿ともなる。9月20日号に掲載される予定だが、もしご覧いただいた方がいらっしゃればご感想など聞かせてほしい。


2007.8.28「個人向け国債の改革・促進案」

今後の個人向け国債に関して、個人的な改革案をいくつか考えてみた。実現性の有無はさておき、個人の投資資産の中核的商品ともなるだけに、今後の改革といったものも必要ではなかろうか。以下、あくまで私案です。

10年物固定利付の個人向け国債発行
毎月募集に変更
子供の学費のための買い付けには税免除
贈与などに容易に使えるようにする、できれば税軽減も
今日の金利として10年、5年の国債金利をホームページに毎日アップし、それを借金時計のわきに掲載する。
個人向け国債購入者にカードを発行しポイントをつけ、国営施設入場料の割引など

コンビニでの購入可能、インターネットでの購入可能

個人向け国債のイメージキャラター作り
芸能人などによる一日「財務大臣」で個人向け国債購入の呼びかけ
漫画でわかる個人向け国債パンフレット作成し駅のR25の脇あたりに置く
セカンドライフに財務省の支店を出店し、個人向け国債の相談を受ける
ビデオでわかる個人向け国債を作成し、youtubeでも配信
イメージソング「コ・ク・サ・イ」を発表、コブクロあたりで
「買ってはいけない国債」「やっぱり危ない国債」の著者たちと「日本国債は危なくない」の作者による公開討論会


2007.8.24「福井総裁会見」

23日に発表された8月の日銀の経済月報(基本的見解)が先月と内容がほとんど変化がなかったが、福井総裁も会見においても「日本経済は引き続き緩やかに拡大していることを確認した」と発言した。

ただし、23日の金融政策決定会合で利上げが見送られた背景としては、「金融市場においては、世界的に振れの大きい展開となっており、影響を含めて状況を注視する必要があるとの判断になった」(福井総裁)ことが大きな要因となったものとみられる。

今回のサブプライム問題に端を発する信用収縮にともなう金融市場の動向に対して、福井総裁は「今回の金融市場の新しい調整プロセスは、リスク再評価の過程と言われているが、今春や昨年5-6月の株価の調整と比較すると、クレジット市場を中心にリスク評価が甘すぎた部分が、市場の中で納得できる新しい価格発見を行なっていくプロセスという点が違う」と発言した。

「今のところリスク再評価のプロセスは起こるべくして起こっているのであり、これがオーダリーに進む限りは次の安定的な経済の発展に繋がる市場の動きと受け止められる面が多く、このプロセスを大事にしたい」と、ある意味、今回の市場の動きについては市場の浄化作用ともなっていることを指摘している。

そしてこの、リスク再評価のプロセスには時間がかかるとも総裁は指摘しているが、その時間に関しては「今、ABCPとか、CDO、CLOのマーケットが機能停止に近い状態であることを考えると、これがほぐれていくために、やはり数週間でとは、なかなか考えにくいと思う」と述べている。

ちなみに、BNPパリバは23日に、今月7日に実施した傘下の3つのファンドの凍結を28日以降、順次解除すると発表している。市場が落ち着きを取り戻し、ファンドの資産価値を適正に評価する「諸条件が整った」としているが、説明の中にはファンドの「資産価値を計算できる新しい手法」を確立したと説明もあった。

あまり楽観的な見通しもいけないかもしれないが、各国金融当局も今回の相場変動にはかなり神経を尖らせており、いろいろと対策を講じてくるともみられる。今回の金融市場の混乱を招いたひとつの要因でもあったBNPパリバのファンドの凍結解除も、そういった動きの一環ではなかろうか。不透明なものも、いったん対策が講じられるようになれば、透明度を増す時間も意外に早まる可能性がある。

福井総裁は会見では、完全にほぐれるのには数週間では難しいとしているが、実際には、ある程度のほぐれてくる目処が立つまでには、それほどの時間も必要ないかもしれない。それ以前に、移ろいやすい市場がそういったものに対してのすでに興味を失い、あらたな材料に関心が向かってくることも考えられる。

次の決定会合までには、まだ時間もある。日本のファンダメンタルに大きな変化がない限りは、9月18日から19日にかけての決定会合での利上げの可能性は十分ありうるとみている。


2007.8.24「債券の目先の見通し」

米サププライム問題が収縮し、実態経済への影響も米国の住宅市場といったものに止まることも予想され、米個人消費への影響がそれほど大きなものとならない限りは、世界経済への影響も限定的となるとみられる。ECBも利上げに向けての姿勢を維持するとともに、FRBも今回の問題解決にはあまり効果的とはみられない政策金利の引き下げは見送る可能性も高い。このため市場の動揺が落ち着き、米経済にそれほど失速懸念が出なければ、9月18-19日にかけての金融政策決定会合での追加利上げの可能性は十分にありうると見ている。8月12日から18日にかけての外国人による中長期債の取得額は4兆2465億円、短期債の取得額は2兆3567億円と、2005年1月に統計を取り始めて以来、最高となっていたが、これは今後の債券の売り圧力に繋がる可能性もある。金融市場動向に対してあまり楽観的な見通しもできないものの、過剰ともなった悲観的な見方の後退により、債券市場も大きく調整してくる可能性もある。28日の20年国債入札、そして30日の2年国債入札の動向も注意したい。また、30日の水野審議委員講演内容にも注目。経済物価指標としては27日の米7月中古住宅販売件数、31日の8月東京都区部、7月全国消費者物価指数、7月完全失業率、7月有効求人倍率、7月家計調査、7月鉱工業生産速報が発表される。31日にはFRB議長講演も予定、テーマが住宅問題と金融政策だけに注目される


2007.8.23「プライマリーバランスの黒字化よりもTXの黒字化が速いか」

明日24日で、つくばエクスプレス(TX)が開通して2周年を迎える。開通当日から利用しているが、車窓からの風景もだいぶ変わってきている。そして、また乗降者数も日々増加しているように感じる。23日付け日経新聞(地方版)に、TXを運営している首都圏都市鉄道の高橋社長とのインタビュー記事が掲載された。

この記事によると、2006年度の乗客数は1日あたり19.5万人と開業当初から3割増加し、2007年4月以降は1日23万人程度で推移しているようである。割引を利用しない定期以外の乗客が引き続き4割を占めているという。

当初、黒字化には約30年かかると予想していたようだが、前期に予想収益が267億円となり、これにより最終赤字は37億円に止まった。単純計算だと営業収益があと50億円あれば黒字になるという。乗客増がこのまま進み、減価償却も変化がないという楽観的な仮定をすれば、営業収益を毎期10億円増やせば5年後に黒字化する可能性もあるとか。とりあえず営業収益が300億円を達成すれば黒字化が見えてくるそうである。TXの黒字化は、国のプライマリーバランスの黒字化と良い勝負となりそうである。

TXの魅力そのスピードなどもあるが、事故などの少なさといった信頼性も大きな魅力となっている。新幹線と同様に高架やトンネルを利用して踏み切りがなく、安全性もかなり配慮されているため、死亡事故などはこれまで聞いたことはない。

反面、平行して走る常磐線は歴史も古い分、何かと運行がストップすることが多く、人身事故なども多い。TXは、新しい路線ということもあるが、めったなことでは運行が遅れない。これまで2年間、通勤で乗っていても、遅れたことはほとんどなかった。いつぞや、震度3程度の地震があって一時的に駅にストップした際など、最終的に2分程度の遅れでの到着であったにも関わらず、運転手(車掌はいない)が、申し訳なさそうに、たいへんご迷惑をおかけしました、と車内放送をしていたぐらいである。

今後も特に安全面をさらに強化して、早期の黒字化とともに、それとは矛盾してしまうことなれど、できれば混雑解消なども早めに手を打っていただきたい。通勤ラッシュ時間帯はすでにかなりの混みようともなっている。


2007.8.23「日銀の金融政策決定会合結果は8対1で現状維持」

本日の日銀の金融政策決定会合の結果は、8対1の賛成多数での現状維持となった。反対したのは前回と同じく水野委員。ザプライム問題から信用収縮問題に波及し、金融市場の大きな混乱を受け、今回、日銀は利上げを見送ったものとみられる。

しかし、サププライム問題が収縮し、実態経済への影響も米国の住宅市場といったものに止まり、米個人消費への影響がそれほど大きなものとならない限りは、世界経済への影響も限定的となろう。ECBも利上げに向けての姿勢を維持するとともに、FRBも今回の問題解決にはあまり効果的とはみられない政策金利の引き下げは見送る可能性も高いとみている。このため、9月18-19日にかけての金融政策決定会合での追加利上げの可能性は十分にありうると見ている。

9月次回会合までのスケジュール
8月27日 内閣改造・自民党役員人事
8月28日 8月米消費者信頼感指数
8月30日 水野審議委員講演
8月31日 7月全国CPI・8月東京都区部CPI、7月失業率、家計調査、鉱工業生産速報、米FRB議長講演、テーマは住宅問題と金融政策
9月6日 ECB理事会
9月7日 8月米雇用統計
9月10日 4-6月期GDP2次速報
9月11日 7月機械受注
9月18日 FOMC
9月18-19日 日銀金融政策決定会合
9月20日 ECB理事会
10月1日 日銀短観・郵政民営化

過去一年間の日銀金融政策の推移
2006年9月8日 現状維持、全員一致
2006年10月13日 現状維持、全員一致
2006年10月31日 現状維持、全員一致
2006年11月16日 現状維持、全員一致
2006年12月19日 現状維持、全員一致
2007年1月18日 現状維持、賛成6反対3(反対は須田委員、水野委員、野田委員)
2007年2月21日 無担保コールレート翌日物誘導目標値を0.5%に引き上げ、賛成8 反対1(反対は岩田委員)
基準貸付利子を0.75%に引き上げ、賛成8 反対1(反対は岩田委員)
2007年3月20日 現状維持、全員一致
2007年4月10日 現状維持、全員一致
2007年4月27日 現状維持、全員一致
2007年5月17日 現状維持、全員一致
2007年6月15日 現状維持、全員一致
2007年7月12日 現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)
2007年8月23日 現状維持、賛成8 反対1(反対は水野委員)


2007.8.23「ECB がレポオペの期間を延長」

昨日、ECBはレポオペの期間(通常、2週間まで)を3か月に延長し、同時に期間91日の臨時買いオペにより、400億ユーロの資金供給を23日に実施することを明らかにした。さらに、金融政策スタンスをめぐるECBの立場は、8月2日のトリシェ総裁によって表明されたとのECBの声明も発表された。

また、米国では先日の公定歩合引き下げで、シティやJPモルガンなど米銀大手4行が連銀窓口を通じて合計20億ドルを借り入れたと伝えられた。


2007.8.22「市場の動揺が沈静化すれば日銀は9月にも追加利上げを実施か」

米サブプライム問題は、一部ヘッジファンドの破綻や欧米金融機関の資金繰りの問題に発展し、さらにヘッジファンドなどがリスクリダクションの動きを加速させ、欧米やアジアの株式市場を直撃した。日経平均は7月9日の高値18261.98円から8月17日までに3000円近く下落した。円キャリートレードの巻き戻しになどにより、ドル円は直近のドルの高値6月22日につけた124円17銭から8月17日には111円57銭をつけ、わずか2か月余りで12円以上もの円高となった。

長期金利も低下し、6月13日につけた1.985%から8月21日な1.540%をつけ、0.4%以上もの利回り低下となった。5年債利回りも6月13日の1.605%から8月17日つけた1.085%をつけ0.5%以上もの利回り低下となった。

今回の米サブプライム問題に端を発する信用収縮への懸念は、日本の金融機関などへの影響は限定的とみられているが、欧米の株式市場の下落や、円キャリートレードの巻き戻しなどによる円高などから、とりあえず国内でも安全資産への資金シフトが生じたものとみられる。米国でのCPからTBへの資金シフトなどは欧州の銀行などが、担保にサブプライムモーゲージが含まれているCPを発行することで資金を得てCDOなどを購入していたことが影響していた。しかし、日本国内でのCPの金利上昇や、レポレートが上昇するなどしたことは、やや過剰とも言える反応であった。

日本の金利低下の背景には、8月22日から23日にかけての金融政策決定会合での追加利上げ見送り観測といったものも影響した。市場の混乱が落ち着けば利上げは可能とみられていたが、8月17日にはFRBは公定歩合を0.5%引き下げるなどしており、タイミングとしても日銀の追加利上げは難しくなった。

しかし、長期金利が量的緩和解除前の水準にまで低下したことは、やはり過剰反応と見ざるを得ない。今回の米サブプライムの問題は今後の米住宅市場のよりいっそうの悪化や、それに影響されての消費低迷に繋がる恐れがある。しかし、世界的な景気トレンドが大きく変わるとまでは考えにくい。世界経済に占める米国経済の寄与度もひところに較べれば大きく低下している。日本の輸出を見ても米国向けが減少しても、それを他の地域向けが補っている。

とはいうものの、米国経済が大きく落ち込むようなことになれば、欧州やアジア経済全体への影響も少なからずあるため、その動向にも注意は必要だが、やや懸念が先走りしすぎている感もある。21日に米リッチモンド地区連銀総裁は講演で「最近の市場の混乱が消費支出を減速させる確率は比較的小さい」とも述べている。

信用収縮への懸念は引き続き予断は許さないものの、市場は次第に落ち着きを取り戻してくるとみられる。米公定歩合の引き下げに加え、21日にはポールソン米財務長官とバーナンキFRB議長、ドッド上院銀行住宅都市委員長が会談し、FRB議長が市場混乱の沈静に向けて確実に全ての手段を講じる姿勢を表明したとも伝えられた。

金融当局が本腰を入れて対策に乗り出すことが明らかとなったことで、漠然とした市場参加者の不安感や不信感は次第に後退すると思われる。この相場波乱に乗じて仕掛け的な動きをしていた市場参加者もいたことで、そういったポジションのまき戻しといった動きも入りやすくなる。

とはいうもののサブプライムローンに代表される米国住宅ローンの問題が改善されるわけではなく、またCDOといった複雑な金融商品に対してのリスク評価や格付といった問題も残る。9月18日のFOMCもしくはそれ以前でのFRBによる利下げ、つまり今度は政策金利であるFFレートの誘導目標値そのものの引き下げを期待する声も強い。しかし、CDOなどのリスクの所在がはっきりしないといった不透明感そのものを利下げで払拭はできない。物価については引き続き慎重に見ておく必要もあり、景気減速がしっかり確認できない状況では利下げは難しいと思われる。米リッチモンド地区連銀総裁は講演で「市場の混乱だけでFF金利の変更が迫られることはない」とも発言している。

ただし、日銀は「市場の混乱だけで」今回は利上げは見送らざるを得なかった。しかし、オーストラリア中銀のスティーブンス総裁の言にもあったように「日銀は金利を引き上げていくべき」という声も強い。そもそも今回のリスクリダクションに伴う株価の急落等の市場の混乱は、日銀の超低金利政策による影響も指摘されている。円キャリートレードのアンワインドといった動きも今回の混乱を加速させていたものとみられる。

日銀は9月18日から19日にかけての金融政策決定会合であらためて追加利上げを模索してくるものとみられる。ただし、9月6日にはECB理事会や9月18日のFOMCの動向次第では、日銀の金融政策への影響も出てくる可能性がある。仮に6日のECBでり追加利上げが見送られ、18日のFOMCで利下げが実施された際には、日銀だけが利上げを行なうことは難しくなろう。もちろん国内のファンダメンタルの状況といったものの確認した上でのこととなるが、ECBの利上げ、FOMCでの現状維持といった状況でなければ、日銀の追加利上げは難しいと見ている。しかし、市場が落ち着きを取り戻すことによって9月の日銀の利上げは可能であろうと思われる。

こういった環境化、今後の長期金利の動向については、急激な低下の反動といったものが起こってくると見ている。また、次第に9月の追加利上げ観測が浮上してくるとやはり大きく利回りが低下した中期ゾーンの利回りも上昇してくるものとみている。このため、長期金利は水準調整が行なわれるとみており、10年債利回りはいったん1.7%台あたりまで上昇すると見ている。しかし、市場の動揺が鎮まらないようであれば、引き続き債券には買いも入りやすくなり、米実態経済への影響が顕著になるなどすれば、長期金利がむしろ低位安定してくる可能性もないとは言えない。


2007.8.22「買ってはいけない国債が買われる理由」

国債は、「やっぱり危ない」、「買ってはいけない」という本が売れているようである。「日本国債は危なくない」という本を出させていただいたことで対抗意識を出すわけでも、むこうの方が売れているようなので僻んでいるわけでもない(たぶん)が、現実の金融市場を見る限り、買ってはいけなく危ない国債はしっかり買われている。特にサブプライムショックに起因した「危機」に直面したマーケットの中で、「危ない」はずの国債が「質への逃避」で買われているのはなぜなのか。

これは金融市場にある程度関係している人にとっては、何を今更ではあろうけど、それでも世の中では、「やっぱり危ない」と考えている方も多い。

ということで、これはどちらかといえば金融市場関係者以外の方に読んでいただきたいのだが、国債には買われる理由がしっかり存在しており、金融のプロと呼ばれる金融関係者にとっては、決して危ないものとか買ってはいけないものでも、暴落を想定しているものではない。

金融機関にとり、ほかに買うものがないのではないかとの意見はある意味当たっている。兆円といった単位で買える金融商品は国債以外には見当たらない。とは言うものの、金融機関はしかたなく買っているわけではなく、しっかりとした運用手段として購入している。

さらに国債に対して信認が得られているという事実もある。この信認が維持されなくなれば暴落はありうる。しかし、国債暴落説が流れてから何年経過しているであろうか。その兆候は全くと言ってよいほど市場動向を見る限り、ない。

むしろ、今回の状況を見ていても、危機対応としてCPといった企業の発行する社債などから、TBつまり短期国債への資金シフトが起きるなど、金融機関がより安全性を求める際には国債を買っている事実をどのように考えれば良いのか。

それでは、金融機関は国債の危険性をまったく認識していないのか。サブプライム問題に絡んでのCDOなど複雑化した金融商品のリスクの測定が難しいように、国債という金融商品に対してのリスクも金融機関は認識していないのではないかと思っている方もいるのかもしれない。

しかし、国債の信認は発行体である国への信認そのものとなり、リスクといったものははっきりしている。特に日本では巨額の債務を抱え、それが大量の国債発行残高へと繋がっている。その国債への買い手がいなくなれば、確かに国債は危なくなり暴落もしよう。しかし、この発行残高が維持されているという事実は、とりあえず信認が維持され、買い手が存在していることにもなる。ちなみにその買い手は国内金融機関、つまりは預貯金、生損保、年金などを経由した国民である。

国民のお金を利用して国債を買い支えているシステムを国が作っているので、なんとか信認が保っているとの見方もある。しかし、現在は国債引受シンジケート団も廃止されており、金融機関の引き受けで買い支えられているわけでもない。日銀も毎月1兆2千億円の国債を市場から買っているが、これはあくまで金融調節の一環であり、日銀が国債を買い支えているわけでもない。

国債は、買ってはいけないものとか、危ないものにするのではなく、国の財政構造改革などにしっかり国民が目を配って、買っても安心なもの、危なくないものと我々がしなければならないものなのである。


2007.8.22「イングランド銀行のスタンディング・ファシリティの利用」

英国のイングランド銀行は21日に、前日20日スタンディング・ファシリティを通じ、金融機関に対して3億1400万ポンドの資金を貸し出したと発表した。ロイターによるとイングランド銀行は貸し出し先を明らかにしなかったものの、関係筋によるとこれを利用したのは英国内で第三位の銀行バークレイズだった模様。ただし、この借り入れは流動性危機に対応したものではなく、当日の銀行勘定をスクェアにするための措置であったとみられる。前回同制度が利用されたのは7月17日で、年初来では13 回目。

スタンディング・ファシリティ(預金・貸出制度)は、イングランド銀行が銀行に対して政策金利であるレポレート(現在5.75%)より、100bp高い金利で限度なしに貸し出す制度である。日本での補完貸付、米国でのプライマリークレジットに該当するものとみられる。


2007.8.21「東京金融先物取引所、翌日物金利先物を12月に上場」

21日付け日経新聞によると、東京金融先物取引所は20日、短期金利の代表的な指標である「無担保コールオーバーナイト物金利を対象とする翌日物金利先物」及び「GCレポ・スポットネクスト物金利を対象とする翌日物金利先物」の先物取引を今年の12月3日に上場する予定であると発表した

東京金融先物取引所は、両商品を上場する理由のひとつとして、「両商品それぞれが現行のOIS取引に加え、新しい取引ツールとして、マーケットの多様性に貢献できること」としている。また、米国でも同様の先物が上場されている。

商品は取引対象が「翌日物金利の月中平均値」、最小変動幅0.005%、限月は各月の限月を12限月、取引単位が元本3億円、決済は差金決済となる。

無担保コール翌日物金利は、日銀が金融政策で誘導している金利、つまり政策金利である。無担保コール翌日物金利先物取引では、現行のOIS取引と同様に市場参加者による金融政策の予想が反映される仕組みとなり、店頭取引のOIS取引に較べ取引所取引となることで価格変化も確認しやすくなるといった利点もある。また、OIS取引は市場規模は急速に拡大しているものの、中心となる参加者が限定的となっている点など指摘されており、先物となれば参加者の裾野も広がるとみられる。


2007.8.20「家族でアジ釣り」

18日の土曜日はたまたま子供たちのスケジュールが空いていたので、家族では初めてのアジ釣りに行くことになった。いつもの鹿島の港公園に行くと、思いのほか釣り人が少なかった。先週末はお盆休みで混んでいたようだが、その反動で空いていたのかと思っていたが、どうもここにきて鹿島ではアジがさっぱり釣れなくなっていたようである。

竿を3本用意して、仕掛けを糸に結んで準備完了。しかし、ねばってもねばっても当たりなく、やっと三女のもつ竿にアジ1匹かかった。そのあと20センチ超えのアジが1匹。時間を経て、もう一匹。暗くなってもう一匹と結局、アジ4匹の釣果。

どうやら潮というよりも風向きが影響しているようで、周りの人たちもやはりさっぱりといった感じであった。まあ、4匹とはいえ釣れたことは釣れたので、堤防釣りがどんなものであるのかは子供たちも納得していたようである。

帰りは夜となってしまったが、途中、潮来の方面で花火が見えた。距離はあったもののさえぎるものがなく車内からも結構見ることができたが、あとで調べたところ「水郷潮来花火大会」がこの日開催されていた。


2007.8.20「FRBは公定歩合を0.5%引き下げ」

17日の米国時間早朝に、米連邦準備理事会(FRB)は臨時の連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、公定歩合を緊急に0.5%引き下げ年5.75%とすることを全会一致で決定した。

この日の早朝にはシティグループのプリンス会長、やJPモルガンのダイモン会長、メリルリンチのオニール会長など米主要金融機関の経営者らが、FRBによる緊急のコンファレンス・コールに召集された。約20分間にわたるビデオ会議で、FRBは今回の公定歩合の引け下げ等を説明したとも伝えられている。

公定歩合を引き下げたものの、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は現行の年5.25%に据え置かれた。これによりFF金利の誘導目標と公定歩合の差は1%から0.5%に縮小。また、地区連銀に期間がこれまでの1日から最長30日の貸し出しの供与を認めることも決めた。さらにFRBはこの日、ニューヨーク連銀を通じて米短期金融市場に60億ドルの資金供給も実施。臨時のFOMCでの緊急利下げは米同時テロ直後の2001年9月以来となる。

さらに、FRBはFOMC後の声明文において、「信用収縮の動きと不確実性の高まりが今後の経済成長を抑制する可能性がある。」とし「景気下振れのリスクがかなり高まった」とコメントした。さらに「市場の混乱が米経済に打撃を与える場合には、必要に応じて行動する用意がある」として、状況により政策金利の引き下げの可能性も示唆した。

これを受けて、米国株式市場は大きく上昇し、17日のダウは233.3ドル高の13079.08ドルと7日ぶりに反発し、ナスダックは53.96ポイントの上昇、S&P500株価指数は34.67ポイント高となった。20日の東京株式市場も寄り付きから大きく値を戻し日経平均株価は500円を超す反発となった。

8月9日あたりからのサププライム問題から信用収縮懸念の強まりによる世界的な株安連鎖などが引き起こされていた。こういった市場の動揺を抑えるには市場参加者への不安を緩和させる必要がある。このため金融当局が不安解消への期待に働きかける必要もあり、今回のFRBによる公定歩合の引き下げは、実質的な効果というよりも、金融当局の危機対応を市場に示すことにより、市場の動揺を沈静化する働きがあるとみられる。まさに公定歩合のもつアナウンスメント効果を利用したとも思われる。アナウンスメント効果は、直接的な影響ではなくあくまで「期待」に働きかけるといったことを目的にしている。

ちなみに米国は日銀と同様に公定歩合をロンバート化している。米連邦準備制度理事会(FRB)は2002年5月17日に連銀窓口貸し出し制度を改革することを発表し、この新制度はプライマリークレジット(優先貸し出し)と名称が変更され、日本銀行や欧州中央銀行(ECB)のロンバート金利と同様の働きを持つことになった。

これによりフェデラルファンド(FF)金利を下回っていた公定歩合による連銀窓口貸し出しは事実上廃止され、公定歩合をFF金利よりも高い水準に変更することで短期金融市場のひっ迫などでFF金利が跳ね上がるのを阻止することになった。FRBによるとプライマリークレジットは、経営状況が健全な金融機関を対象に、FF金利の誘導目標よりも、当初1%高い水準で導入するとした。

ちなみに日本での公定歩合は、以前は預金金利等の金利が公定歩合に連動していたため、金融政策の基本的なスタンスを示す代表的な政策金利となっていた。しかし、1994年に金利自由化が完了し、公定歩合と預金金利との直接的な連動性がなくなった。さらに銀行は高い公定歩合で借りるよりコールで調達するようになり、日銀も日々の操作を公定歩合による日銀貸し出しから、短期国債の売買などを通じてのものにシフトしてきた。

その後、公定歩合に関しては補完貸付金利(ロンバート型貸付金利)という役割に変化している。補完貸付とは、あらかじめ定められた条件を満たす限り、金融機関が希望するときに、担保の範囲内で希望する金額を日本銀行から借り入れることができるという制度である。


2007.8.17「負の連鎖を断ち切れ」

米サブプライム問題は、一部ヘッジファンドの破綻や欧米金融機関の資金繰りの問題に発展し、さらにヘッジファンドなどがリスクリダクションの動きを加速させ、欧米やアジアの株式市場を直撃している。日経平均は7月9日の高値18261.98円から本日までで3000円近く下落した。また、円キャリートレードの巻き戻しになどにより、ドル円は直近のドルの高値6月22日につけた124円17銭からわずか2か月余りで12円もの円高進行となった。長期金利も低下し、6月13日につけた1.985%から本日1.575%をつけ約0.4%もの利回り低下となっている。日銀の追加利上げ観測の後退から、5年債利回りも6月13日の1.605%から本日1.095%をつけ約0.5%の利回り低下となった。

すでにサブプライムの問題というよりも、世界的なリスク回避の動きが主導となっており、急激な円高もあり、東京株式市場などまさに売りが売りを呼ぶ展開ともなっている。懸念されていた円キャリートレードの巻き返しが、引き起こされている。このままでは実態経済への影響も懸念されるが、現在のところ日本の金融当局などには動きはない。しかし、市場の動揺を抑えるには市場参加者への不安を緩和させるため、金融当局が不安解消への期待に働きかける必要もあろう。金融当局の危機対応があらためて求められる。


2007.8.17「複雑な金融商品とサブプライム問題」

今月9日あたりからの、米サブプライム問題に端を発した世界の金融市場のパニック的な動きの発端は、9日にドイツ連邦銀行が、IKB産業銀行がサププライムでの投資に伴う損失発生に対しての救済策を協議するため、緊急会合を開催したことであったかとみられる。さらに仏銀最大手BNPパリバは9日、傘下の3つのファンド、に関して7日午後から応募と償還をともに凍結したことを発表した。次はどこかとの連想も加わり、欧州銀行向け資金の出し手が限られてしまい、ユーロ翌日物金利はECBの誘導目標値の4.0%から4.7%近辺に上昇し、このためECBは大規模な資金供給を実施した。

独IKB産業銀行の問題からは、銀行自身がこういった金融商品のリスクを十分に把握していないといった状況も明らかとなった。そもそもなぜ独IKB産業銀行などの欧州の銀行が、こういった複雑な仕組みの商品に投資していたのであろうか。

IKB産業銀行は中小企業向け融資を実施する堅実な銀行だったとみられるが、収益源の多様化・多角化が求められるようになった。この一環として、関連会社を設立して米国の複雑な債券に投資したのである。これには格付会社からの見えない圧力といったものも指摘されていた。今回の世界的な金融市場混乱にはこの格付会社の問題も指摘されている。

独IKB産業銀行の関連会社は、債券投資に必要な資金を、主に米国の金融機関などからコマーシャル・ペーパー(CP)と呼ばれる社債を起債することで調達していた。CPとは期間1年未満の短期の社債である。しかもその担保にはモーゲージが含まれていた。

今年の2月あたりから米国住宅市場が減速し、2005年から2006年に証券化されたサブプライムモーゲージが、金利が跳ね上がる2年を過ぎたものが出てきており、支払い遅延やデフォルトが相次ぐようになった。これによりCDOの価格が下落し、さらにCPを購入することで資金を供給していた米国投資家が、担保にサブプライムモーゲージが含まれていることを嫌気し、その購入を手控えてしまった。これにより独IKB産業銀行の関連会社は資金繰りの問題に直面し、ドイツ連邦銀行が救済策を協議したのである。

今回の金融市場の動揺の背景には、高度化というよりも複雑化した金融商品に隠れていたリスクが表面化したことも大きい。信用力が低いサブプライムローンの焦げ付きに関しては、グリーンスパン前議長も警告していた住宅市場のバブル崩壊が要因である。サブプライムローンには当初2年間は低い金利で借りることができるものがあり、その間での住宅価格の上昇を見込んだものの当てが外れ、結果として焦げ付きとなったとみられる。

しかし、ここまで問題が大きくなった背景には、米国で発達した新たな金融商品に対する問題がある。単純に考えれば、サブプライムローンについてはそういった層に融資していた金融機関など直接被害を受けるものの、それが世界的な影響を及ぼすことは考えづらいはずである。しかし、そもそもサブプライムローンという仕組みが可能となる「仕掛け」が金融工学を駆使していると言う米国市場にはあった。

その仕組みのひとつが日本でも一般的になりつつある「証券化」である。たとえば金融機関一社が、こういったローンのリスクを一人で背負うことには無理がある。そのため考え出されたのが、そのローンを担保にした証券を発行し、数多くの投資家に転売してしまおうという仕組みである。つまり一社では背負い切れないほどのリスクなれど、そのリスクを細分化して広範囲にばら撒いてしまう手法でもある。もちろんトータルのリスクが軽減するわけではない。しかし、この仕組みならば従来では不可能であったようなローンも組むことが可能となる。

こういった住宅ローンを裏付けにした証券が、住宅ローン担保証券、RMBS(Residential Mortgage-Backed Securities)と呼ばれるものである。さらにこれを組み入れて証券化したものが合成債務保証券、CDOである。CDOはRMBSなどの証券を複数束ねて再び証券化した金融商品である。これでさらに複雑化される結果となる。

例えれば、野菜が嫌いな子供に、野菜を食べてもらおうと、まず野菜本体を細分化して(RMBS)、野菜という存在を見えにくくした上、肉や他の野菜も組み合わせた上、さらにスパイスを効かせる(格付け等)などしておいしそうなカレーにしてしまったのが、CDOである。これならば投資家も美味しく食べられる、はずであった。

しかし、米住宅バブルの崩壊により、サブプライムローンの焦げ付きが増加した。そして格付け会社がそれを組み入れたRMBSやCDOを格下げしたことで、RMBSやCDOの時価評価の必要に迫られ、その結果、こういったCDOを保有していた欧米の金融機関での巨額な損失が表面化したのである。こういった商品はもともと評価の難しい個人向けローンが担保になったものであり、あまりに複雑にしすぎた結果、時価評価が難しいのは独IKB産業銀行の問題からも明らかとなっている。


2007.8.16「東京レポ・レート」

日銀は、公募していた東京レポ・レート(レファレンス先平均値)のレファレンス先の23社をホームページにアップしている。東京レポ・レートの公表は、現時点では10月中を目途に開始することが予定されている。今回公募されたレファレンス先は、毎営業日、GCレポ1の午前11 時時点のマーケット・レート(各レファレンス先が同時点の市場実勢とみなしたレート)を、午前11時45分までに日本銀行から事務委託を受けた者(今回の委託先は株式会社QUICK)に報告する形式となる。QUICKは各レファレンス先から報告を受けたレートの平均値を作成し、平均値および各レファレンス先の報告レートを公表する。


2007.8.15「サブプライム問題がさらに拡散」

カナダの格付会社、ドミニオン・ボンド・レーティング・サービシズが、カナダの資産担保コマーシャル・ペーパー(ABCP)発行体17社が、期日をむかえるた債務の借り換え資金調達のため、契約先金融機関に流動性供給を求めたが、もし資金確保が困難となった場合には債務不履行になる可能性があると報じられた。

また、米ファンド会社センティネル・マネジメント・グループが、顧客からの資金償還を停止できるようにと、米商品先物取引委員会(CFTC)に、申し入れたとも報じられた。

スペインのABC紙は、同国の銀行大手サンタンデールが、自動車ローン子会社ドライブを通じて、米国の高リスク融資市場に22億ユーロのエクスポージャーがあると報じた。ザプライム関連資産を保有しているとの報道も。

さらに、米大手投資銀の巨額損失の噂や、大手モーゲージ会社への信用不安の増大などの観測も。


2007.8.14「常総学院の木内監督現場復帰」

今年の夏の甲子園大会、茨城代表の常総学院高校は残念ながら緒戦で敗退してしまった。この敗退後、持丸修一監督の退任が発表されるとともに、噂されていた木内幸男氏の監督復帰が明らかにされた。

木内監督は私の母校でもある土浦一高出身で、母校の野球部監督後、取手ニ高に移ってから1977年の夏に甲子園に初出場を果たし、「のびのび野球」のキャッチフレーズで、1984年夏の甲子園では、あの桑田真澄、清原和博のいるPL学園と決勝戦で対戦し、優勝候補のPL学園を破って茨城県勢としては初めての全国制覇を達成している。

木内監督は、この優勝後に私立の常総学院に移った。県立高校の野球部監督時代は生活を含めてなかなか大変だったようだが、私立の常総に移ったことで監督業にしっかり専念できる上、選手層にも厚みが加わり、さらに設備等練習環境も大きくかわったとみられる。

「木内マジック」とも呼ばれた采配には、さらに磨きがかかり、常総学院は、木内氏の監督就任後2年目で甲子園初出場を果たした。1987年夏には今度はPL学園に決勝で敗れはしたものの準優勝、1994年春にも準優勝と、今度は全国優勝にあと一歩が届かなかった。しかし、2001年春の大会で念願の全国制覇を成し遂げた。

そして、2003年夏の大会、72歳になった木内監督は、この夏の甲子園を最後に監督を勇退することを決めていた。木内監督の最後の意気込みが選手にも通じたのか、はたまた木内マジックが見事に功を奏したのか、この大会決勝では、東北高校の好投手、現在も仕事では活躍しているもののプライベートではお騒がせの、あのダルビッシュを打ち崩して、木内監督自身2度目の夏の甲子園制覇を成し遂げたのである。

このときの監督引退にはご自身の健康上の理由も大きかったとみられるが、その後、2005年には体調も回復し常総学院の総監督として指導を再開していた。今回の夏の大会での常総学院の成績に関わらず、木内監督の現場復帰はある程度、事前に予定されていたものともみられる。先日の今年の夏の甲子園の緒戦も、娘が応援をしに行っていたこともあって、仕事中ながらもちらちらと見ていたが、監督の采配如何では勝てた試合ではなかったかと思う。76歳という高齢ながらも、甲子園40勝という歴代3位の記録を持った木内監督の現場復帰は、ちょっと期待したい。

木内監督の甲子園での成績は、春の大会出場が7回で13勝6敗、このうち優勝1回、準優勝1回。夏の大会の出場13回で27勝11敗、優勝が2回、準優勝1回。甲子園における通算成績は40勝17敗。この甲子園での40勝は監督として歴代3位の記録となる。


2007.8.14「日銀の資金吸収」

13日の欧米の中央銀行は、前週末に続く3度目の資金供給を実施したが、14日に日銀は反対に資金吸収オペを実施した。

これは15日の積み最終日を控えていたものの、欧米の危機対応の供給オペに呼応して10日と13日に資金供給をしたことの影響とみられる。

サブプライム問題に端を発する信用収縮懸念などで、日本の金融機関が資金を必要とする状況にあったわけではなく、あくまで市場の動揺を抑えることが、日銀の資金供給の目的であったと推測される。

日銀は10日、1兆円の即日供給オペを実施したが、「金利上昇を抑えるためのオペで、海外の中央銀行と協調したわけではない」との幹部の発言があったが、短期金融市場にさほど動揺があったわけではない。

日銀は13日にも、6000億円の即日資金供給オペを2営業日連続で実施した。今回の期日は週末をまたいでの20日となり、ターム物と呼ばれる長いオペを実施した。これは足元だけではなく先行きの資金需給まで意識したものとみられ、市場参加者に安心感を与えるといった目的もあったとみられる。

しかし、現実にはさほど資金は必要なく、大手銀行などは積み最終日に向けて淡々と積んでいたところに、この資金供給が行なわれたことで、結果として積み急ぐ結果となった。このため、大手銀行は積み最終日に向けて取り手ではなく出し手ともなっていた。

また、外銀なども欧米での大量の資金供給が行なわれていたこともあり、必要な資金を得るために、円を取ってドルやユーロに変えるといったことも必要はなくなっており、資金の取り手が限られてしまった。

このため、14日の短期金融市場では朝から無担保コール翌日物のレートが低下し、0.4%近辺で取引が開始されるなど、資金余剰感が強まっていた。 日銀は14日の朝に6000億円の即日「吸収オペ」を通知した。ただし、この金額ではまだ余剰感も残るとみられ、現実にオペ後も無担保コール翌日物レートでは0.2%台での取引があり、その後さらにレートは低下し0.1%も割り込んだ。

12時50分の定例金融調節において、当日2本目の吸収オペとなる即日に始まる1兆円の手形売りオペを日銀は通知した。

しかし、これによってのレート低下も限定的となり、積み最終日となる15日までは無担保コール翌日物金利は上昇しにくい状況となった。ただし、これはあくまで積み最終日という要因も大きく、16日からは再び無担保コールレートは0.5%台か。ただし、23日の決定会合での追加利上げの可能性も払拭していないこともあって、やや高めでのレート推移となるとも見込まれている。


2007.8.14「欧米で連日の資金供給」

13日、欧米の中央銀行は前週末に続く3度目の資金供給を実施した。ECBは昨日476億6500万ユーロ(約7兆7000億円)の資金供給を実施、FRBもNY連銀を通じて、20億ドル(約2300億円)の資金供給を実施した。

しかし、日本では無担保コール翌日物は0.4%近辺で取引が開始されるなど、資金余剰感が強まり、この短期金利の急低下を受けて、日銀は6000億円の即日吸収オペを通知した。ただ、この金額ではまだ余剰感も残るとみられ、オペ後、0.2%台での取引もあった。


2007.8.13「6年目の江の島」

今年は長女の林間学校などの予定が入ったことで、8月第一週の日曜の1泊ではなく、8月9日(木)と8月10日(金)の2泊で、毎年恒例の江の島に行ってきた。江の島に泊まるのは今年で6年目となるが、2年目からは5年連続で展望台近くの民宿「海上亭」さんに今年もお世話になった。

初日9日は平日の朝のラッシュを避けるため、朝4時半に家を出発。途中事故渋滞を避けるために一部一般道に降りたが、江の島には8時ぐらいに到着した。海上亭さんの契約している駐車場にクルマを止めて、6年連続で同じ江の島東浜海岸の海の家に向かった。いつもは初日が日曜日のため海岸は混雑するが、今年は平日でもあり、午前中はそれほど混んではいなかったものの、午後2時ぐらいにはほぼ砂浜はシート等でほぼ一杯の状態となった。当日は風が強く、ビーチテントが飛ばされそうになったが、その分景色が非常によく、日中でも富士山がはっきりと見えていた。

海水浴は15時前には切り上げて、エスカーに乗って海上亭さんに向かう。荷物を宿に置いて、子供たちが会いたがっていた恋人の丘近くで店を開いているおばちゃんの店に行く。今年81歳になられるそうだが、おばちゃんの元気な姿を見て子供たちもとても喜んでいた。お土産を持っていくと反対にいろいろなものをもらってしまった。いつもすみません。

初日の海上亭さんの夕食は、夕食は地元で取れた魚の新鮮な刺身や美味しい煮魚、サザエのつぼ焼き、エビフライ、岩海苔などが出たが、残念ながらこの日は生シラスはなかった。当日の強い風の影響で上がらなかったものと思われるが、少々残念。

初日夕方日暮れ時に展望台に上がる。予想したようにたいへん綺麗な富士山のシルエットが浮かびあがっていた。ハイビジョンムービーで撮影はしたが、うまく撮れているかどうか。

2日目には、井上つりえさ店さんで釣り道具を借りての磯遊び。釣りでは魚は掛かったものの逃げられてしまった。しかし、子供たちは網でしっかり魚を捕まえていた。昼食は軽めに、タレントや芸能人がお忍びで来ている「ロンカフェ」のフレンチトーストを食す。

この日の午後は「江ノ島新水族館」に。みなぞう君が亡くなって寂しい限り。

そして、2日目の海上亭さんの夕食がすごかった。最初に昨日のサザエのつぼ焼きの代わりにホタテの姿焼き、そして刺身とこの日は待望の生シラスも登場。そして煮魚は何かなと思ったら、出てきたのはマグロのカマ焼き。これにはさすがにびっくり。しかも炭火で焼いたものとみられ、たいへん美味しかった。ご飯とあら汁ももちろんついていたが、そのほかにお好み焼きまで登場。ちなみに、子供たちも以前とは違って生シラスもしっかり食べられるようになり、お父さんがまとめて一人で贅沢三昧の図式はすでに過去のものともなっていた。

10日の夜は鎌倉の花火大会があり、美味しい夕食後、急いで展望台の敷地内にある「ロンカフェ」さんの前にある広場に向かって花火鑑賞。絵と音の時間差から江の島から鎌倉まで直線距離にしておおよそ5キロメートル程度は離れているのではないかと推測。

11日はクルマで鎌倉に向かい駅前の駐車場に停めて、江ノ電で長谷寺や鎌倉大仏を見学し、小町通りから八幡宮に。この日の最高気温は35度を超えていたとか。とにかく暑かった。15時ぐらいに鎌倉を出て帰路に。この日は東京湾花火大会があり、湾岸の渋滞やら、お盆の帰省ラッシュもそろそろ始まるかと覚悟していたものの、やや有明近辺での渋滞はあったものの、比較的スムーズに帰宅できた。


2007.8.13「信用収縮懸念に対しての日欧米の中銀の対応」

仏銀最大手BNPパリバは9日、傘下の3つのファンド、パーベスト・ダイナミックABS、BNPパリバABSユリボー、BNPパリバABSエオニアに関して、パリ時間の7日午後から応募と償還をともに凍結したことを発表した。PBNPパリバは、米資産担保証券(ABS)の混乱により「三つのファンドの資産価値を適正に評価することができなくなった」との声明を出した。(日経新聞)

9日にドイツ連邦銀行は、IKB産業銀行がサププライムでの投資に伴う損失発生に対しての救済策を協議するため、緊急会合を開催した。次はどこかとの連想も加わって欧州銀行向け資金の出し手も限られ、ユーロ翌日物金利はECBの誘導目標値の4.0%から4.7%あたりまで上昇していた。楽観的な業績見通しを出して10日後に独IKBはサブプライムの損失を公表したが、銀行自身がこういった金融商品のリスクを十分に把握していないといった状況も明らかとなった。

ECBは9日、米サブプライムローン問題を契機とした信用収縮への懸念の拡大を防ぐため、欧州金融市場に約948億ユーロ(約15兆4000億円)の資金を緊急供給した。このECBによる大規模な緊急資金供給は、2001年の米同時テロ以来。ECB当局者は緊急措置の目的を「市場のひずみの微調整だ」と説明した。また、ブッシュ米大統領は9日の記者会見で「米市場には十分な流動性が供給されている」と述べ、米金融市場には不安がないとの認識を強調した。(日経新聞)

FRBは9日、NY連銀を通じ、米金融市場に総額240億ドル(約2兆8000億円)の資金供給を実施した。ただし、FRBは今回の資金供給を「通常の市場操作の一環」と位置付け、2001年9月の米同時テロ後のような緊急措置とは考えていないことを表明した。ECBの資金供給に呼応して、FRBも「通常操作の枠内」で市場の安定に協力したとみられた。カナダ中央銀行も9日、16億4000万カナダドル(約1800億円)の資金供給を実施。

日銀は10日、1兆円の即日供給オペを実施。前日の欧州中央銀行や米連邦準備理事会が相次いで資金供給を実施しており、これに追随する形となった。日銀は「金利上昇を抑えるためのオペで、海外の中央銀行と協調したわけではない」との幹部の発言を日経は報じた。

あおぞら銀行は10日、米サブプライムローンに関連し、2007年4―6月期に44億8000万円の評価損が発生し、すでに計上したと発表。

ECBは10日にも、610億5000万ユーロ(約9兆8000億円)の資金供給を実施した。9日に続く2日連続の大規模な流動性供給となる。また、FRBも10日、「必要に応じて金融市場に流動性を供給していく」との緊急声明を発表した上で、NY連銀を通じ190億ドル(約2兆2000億円)の資金供給を実施した。FRBが緊急声明付きで資金供給を実施するのは2001年9月の同時テロ直後以来となる。午前には190億ドルと160億ドルの2回、午後にもこの日3回目となる30億ドル(約3500億円の資金供給を実施し、合計では380億ドル(約4兆5000億円)に達した。

米中堅住宅ローン会社のホームバンクは12日までに、連邦破産法に基づく会社更生手続きの適用を裁判所に申請した。米国では6日にも、住宅ローン会社大手のアメリカン・ホーム・モーゲージ・インベストメントが会社更生手続きの適用を申請していた。

日銀は13日にも、6000億円の即日資金供給オペを2営業日連続で実施、期日は週末をまたいでの20日となり、翌日物より長いオペを供給したのは6月27日以来となった。


2007.8.13「4−6月期実質GDPは前期比+0.1%、年率+0.5%」

内閣府が本日発表した4−6月期実質GDP速報値は前期比+0.1%、年率+0.5%と発表された。10四半期連続のプラス成長となったが、市場の予想は年率+1.0%近辺となっており、この予想よりは下振れた。名目成長率は前期比で+0.3%、年率換算+1.1%。名目成長率が実質成長率を下回る名実逆転は昨年10〜12月期以来、2四半期ぶりに解消した。また、GDPデフレーターは前年比-0.2%と、マイナス幅は縮小している。国内需要デフレーターは前年比+0.1%とプラスに転じた。


2007.8.8「来週のGDPにも注目か」

今後発表される経済指標の注目は、13日に発表される4-6月期の実質GDP成長率である。予想は+0.2〜0.3%近辺か。成長率は鈍化するものの2005年1〜3月期から10四半期連続のプラス成長が見込まれている。日銀はこのGDPに関しては、減速しても驚くべきものではないとしており、多少減速したとしてもこれによって日銀の利上げに対しての阻害要因とはならないと見ている。

しかし、8月22日から23日にかけての金融政策決定会合での追加利上げが実施されるかどうかは、米国のサブプライム問題に端を発した信用収縮への懸念が収まり、金融市場での動揺が鎮まってくるかどうかも大きなポイントともなりそうである

夏季休暇シーズン中に開かれる8月の理事会は、慣例として電話会議で行われるため、8月2日は記者会見は予定されていなかった。しかし、トリシェECB総裁は2日のECB理事会後に予定されていなかった記者会見を行い、「物価安定に対する上振れリスクが現実のものとならないよう強い警戒は不可欠」として9月利上げの姿勢を示すとともに、信用収縮への懸念による金融市場での動揺に対しては「マーケットの値動きは注視に値するが、下落はリスク評価の正常化である」との表現をしていた。

また、7日のFOMC後の声明文において、サブプライムローンの焦げつきによる影響に対しては、金融市場の動揺や信用収縮などを背景に、景気の下振れリスクがやや高まったと指摘したが、最大の懸念は、物価上昇率が予想通りに低下しないリスクだとの文言は踏襲され、中立的な姿勢を引き続き示していた。

相場も先行き乱高下する可能性はあるものの、23日に向けて多少なり落ち着きを取り戻してくれば、日銀が利上げを実施してくる可能性は十分にあるとみている。市場の予想もほぼ五分五分となっているようだが、これは市場の見方が極端に偏りを見せているよりも、日銀にとってはむしろ居心地の良い状況とも言えるかもしれない。


2007.8.7「経済財政白書」

内閣府は平成19年度の年次経済財政報告を発表した。今回の白書の副題は「生産性上昇に向けた挑戦」とある。「人口減少というこれまで経験したことのない状 況の中で、経済成長を持続させていくことが今後の日本経済の最も重要な課題です」(公表にあたって)としている。

今回はこの白書の中で、「第3節 緩やかな物価上昇への動き」について見てみたい。

「2002年からの景気回復が続く中で、物価状況については改善がみられ、もはや物価水準が長期間にわたり持続的に下落するような状況ではなくなった。」

言葉尻を捉えるわけではないが、デフレとは「持続的な物価下落の状態」と2001年に政府は定義していたと思うが、その意味では上記の文面はデフレ脱却を意識しているともみられる。

しかし、引き続き内閣府はデフレからの脱却とはしておらず、その理由として次のように述べている。

「物価の動向を総合的にみると、デフレからの脱却は視野に入っているものの、海外経済の動向などにみられるリスク要因を考慮しつつ、デフレに後戻りする可能性がないかどうか、注視していく必要がある。」

物価の改善ペースは比較的緩やかなものにとどまっているおり、2002年からの景気回復が長期化している中にあっても、「単位労働費用」が低下し続けており、現時点では費用面からの物価上昇圧力の強まりはみられていないとしている。

また、白書では今後の物価上昇に向けて動きを展望する際に特に重要と考えられるのは「サービス物価の動向」としている。その理由として「海外動向をみても財価格には国際競争により厳しい下押し圧力がかかっている一方で、安定的な物価上昇を支えているのはサービス物価の上昇でありその背景には賃金の上昇があると考えられる。」ためである。

ただし、「物価の状況判断に際しては、消費者物価やGDPデフレーター関連の物価指標に加えて、経済の需給状況なども踏まえた総合判断が必要である。」とし、「実物市場における物価上昇圧力の高まりをGDPギャップからみると、2002年以降、踊り場局面を経ながらも改善を続けてきている。この指標がプラス方向に拡大している状態は、需要量が平均的な供給量を上回っていることを意味し、需給の逼迫から物価が上昇しやすい状況にあると考えられる。」と、GDPギャップ絡み手物価が上昇しやすい状況にあるとも指摘している。

GDPギャップは改善傾向にあるものの、「生産設備などの不足感が増してきている一方、景気回復が長期化する下でも、単位労働費用は依然低下を続けており、現時点では費用面からの物価上昇圧力の強まりはみられていない」と物価の抑制要因のひとつとして単位労働費用の低下を指摘している。

「2005年半ば以降は緩やかな増加を続けていた実質雇用者所得は2006年後半に横ばいに転じ、これが消費の伸びの鈍化につながり、需要面からの物価上昇圧力を緩和す る方向に作用したものと考えられる。」とも指摘し、賃金の伸びの鈍化に伴って、家計部門の所得水準を押し下げる方向に作用し所得が伸びなかったことも、物価上昇圧力を限定的なものとする要因の一つとしている。

また白書では、「サービス(公共料金を除く)については、アメリカ、EU で消費者物価上昇率の大半を占め、継続的に上昇しているのに対して、日本では寄与がほとんどみられていない。」点も指摘しており、サービス部門で賃金上昇が実現することが今後の安定的な物価上昇にとっては重要な要件と指摘している。


2007.8.7「中川氏VS福井総裁」

7日の月例経済関係閣僚会議で、中川幹事長が名目成長率が目標を下回っていることと、過去の金融政策との関係をどう認識しているか」と問いただしたそうである。

これに対して、福井総裁は「グローバル化で企業間競争が激しくなっている。原材料価格の上昇を点火しきれないセクターがあり、そうしたところでは円安も厳しい。金融政策については適切に運営することで、息の長い成長に繋げていきたい」と発言したそうである。これに対して中川幹事長は「日銀には説明責任を果たしてほしい」と重ねて釘を刺したとか(QUICKニュースより)。

毎日の記事によると、このとき中川氏は、地方で景気回復の実感が乏しいことが惨敗の背景との見方を示し名目成長率が上昇せず、政府の成長率目標が達成できていないことがあると指摘し、日銀の過去の政策に責任があるのでは、と発言そうである。「参院選大敗は日銀日銀のせいと、中川幹事長が八つ当たり」(毎日新聞)とも。

内閣改造は27日となりそうだが、26日にも自民党役員人事との首相の意向も伝えられた。経済関係閣僚会議でのこういった中川氏と福井総裁のやり取りも、今回限りとなるのは、寂しい限り(?)。

そういうば6日の同会議では、大田担当相が日本経済の脱デフレについて「後ズレしている」と明言したのに対して、福井総裁は「金利水準の調整をさらにゆっくり行なうと資源配分のゆがみをもたらす」と表明したと7日の日経新聞が伝えていた。

また、諮問会議で民間議員や一部閣僚が「展望レポート」消費者物価指数の想定が下振れしている点に言及し、量的緩和解除や今年3月の利上げの際に「見通しを誤ったのではないか」と福井総裁をただしたとか。

これに対して福井総裁は「需給が引き締まっている割に物価の上昇圧力が低いりは事実」都市的、「金利水準の調整はゆっくり行なっている」と説明。


2007.8.7「2011年度のプライマリーバランスの黒字化に黄信号」

国の借金の増加を防ぐには、まずはプライマリーバランスの均衡化が必要となる。内閣府は6日に2011年度までの日本経済の成長率や物価の動向などを試算し、この日開催された経済財政諮問会議に報告した。

今年1月に同会議が決めた中期方針では、増税なしでも2011年度のプライマリーバランス(国・地方の基礎的財政収支)の+0.2%(1兆4000億円)程度の黒字化が可能としていた。いわゆる「新成長経済シナリオ」である。

しかし、今回2006年度の税収が見積もりより1兆4000億円程度下振れする見通しとなったことや、消費者物価や賃金の伸び悩みなどから、2011年度の名目成長率を1月時点の試算値3.9%から3.7%に下方修正された。この結果、2011年度の黒字幅は収支均衡ぎりぎりのプラス0.01%(400億円程度)まで低下する見通しとなった。これと連動し、2008年度の名目成長率の見通しも、1月の試算値2.8%から2.6%に引き下げられている。

このシナリオの前提となっているのが、2007年度から2011年度の5年間で総額14兆3000億円の歳出を削減すること。

この数字は、政府の計画である11兆4000億円〜14兆3000億円の上限でもあり、政府が最大限の削減努力をしなければならない。

本日の日経新聞では来年度予算に関して公共事業3%減を政府は確認したそうである。しかし、参院選の結果を踏まえ、歳出増への声も強まる中、これまで通りの歳出削減といったものが可能かどうか、借金時計とともに国民も目を光らせている。


2007.8.6「借金時計が止まる?」

財務省のホームページに1日から「借金時計」がアップされたが、アクセス集中によりサーバーに負荷がかかり、財務省の他のページへのアクセスにも影響することで、わずか2時間半で掲載を停止していたそうである。1日の「若き知」をご覧いただき、アクセスされた方にはたいへんご迷惑をおかけいたしました。

財務省はこの件について、ホームページで次のように掲載しています。

「借金時計の掲載の一時停止について」

『8月1日、財務省ホームページの「日本の財政を考える」に掲載しました「借金時計」は、アクセスにより負荷がかかるため、公告等の掲載情報の円滑な閲覧を確保するため、一時掲載を取りやめております。不都合をおかけしている点をお詫び申し上げるとともに、掲載の準備が出来次第、再度掲載いたしますのでご了承ください。』

財務省の「借金時計」へのアクセス集中を見ても、国の借金に関してはかなりの関心がありそうです。

ちなみに、財務省が6月25日に発表した「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」によると、国債や借入金などを合計した国債及び借入金並びに政府保証債務現在高、いわば「国の借金」は2006年度末現在で834兆3786億円となっていた。これを、直近の推計人口(1億2775万人)で割ると、国民一人当たりの借金は約653万円となります。


2007.8.3「日本国債は危なくない」

最近、『国債は買ってはいけない! 』とか『やっぱりあぶない、個人向け国債―プロが教える「お金」の常識・非常識』という題名の本が出版されているのは知っていた。これらのアマゾンの書評などを見る限り、拙著「日本国債は危なくない」の対極に位置するもののようである。これらの本に対して批判的なコメントをして議論をする気はないが、できればこういった本を購入された方は拙著 「日本国債は危なくない」や 「投資信託と個人向け国債がよ〜くわかる本」も読んでほしい。私が書いたことが絶対に正しいとは言い切ることはできないが、冷静に考えて国債が安定的に消化できている現状をしっかり認識することも大事ではないかと思う。最近になってアマゾンで「日本国債は危なくない」に下記書評もいただいた。ありがとうございます。

「日本の国債の格下げや入札未達など不安材料が取り沙汰されていた頃に書かれた国債の入門書で、国債がいかに安全な投資商品かを説明しています。国債について不必要な不安を抱く必要はなく、むしろ財政の規律という側面が非常に重要なことを説いており、戦後の日本経済と国債発行の歴史に関する記述は特によくまとまっていますので、国債について色々な角度から広く浅く知りたいと思っている方に最適の入門書だと思います。」


2007.8.3「追加利上げ予想と長期金利動向」

ここにきて発表された経済指標は、消費者物価は引き続きゼロ近傍となってはいるが、鉱工業生産などがしっかりしており、さらに設備投資についてもさらに裾野が拡大との予想となっている。個人消費についても伸びは緩やかではあるが堅調なものとなっている。米国経済については不透明感も強いものの、たとえば多少米経済が落ち込んでも、BRICs諸国などへの輸出の伸びが十分にカバーするといった状況となっており日本経済に与える影響はこれまでよりも軽微となっている。以上のファンダメンタルズの状況からは、日銀の展望レポートなどの予想にほぼ沿ったものとなっていることで、日銀による追加利上げに向けての環境は整っているともみえる。

政治的な要因も参院選も終了し自民は大敗したものの安倍政権が維持されたことからも先行き経済への悪影響もなさそうである。利上げに向けて一番の懸念材料は米サブプライム問題に端を発した信用リスクの問題であるが、世界経済に与える影響はさほど大きくはないとも見ており、これも時間とともに懸念が後退してくるものと思われる。以上のことにより、日銀は8月22日、23日の決定会合で追加利上げが実施される可能性は十分ありうると見ている。

信用リスクを意識した米市場や東京株式市場動向などを見ながらも、利上げの可能性を踏まえながら当面は中短期主体に上値の重い展開が予想される。また、投資家も慎重姿勢となれば長いところも引き続き買い控えられる可能性もある。長期金利は緩やかながら上昇基調になると予想している。


2007.8.2「日銀と短期金融市場」

日銀は2月から約半年間のプロジェクトとして「短期金融市場の機能向上への取組み」を進めてきました。2007年7月24日に短期金融市場フォーラム・フォローアップ会合が開催され、福井総裁は次のような挨拶を行なっています。

「今日、短期金融市場は内外の金融機関が活動する場として、国際的な広がりを増しています。金融取引のグローバル化に伴って、より高いスタンダードが求められるようになっています。短期金融市場では、この半年の間にも多くの進展がみられ始めています。レポ指標レートや有担保コールの担保取扱いの見直し、コール市場のデータ整備等はいずれも市場参加者による短期精力的な検討の結果実現されたものです。」

「個社レベルの取組みとしても、新たな取引への参入やレート呈示の充実、取引の電子化・効率化に向けたシステム対応など、新しい動きが広がっています。短期金融市場は、わが国の中核的市場です。これが新たな時代の要請を満たす市場として発展を遂げていくことは、内外の多くの市場参加者に効率的な取引の場を提供するという点で、金融センターとしての東京市場の基盤を強化するものです」(短期金融市場フォーラム・フォローアップ会合における福井総裁挨拶要旨より)。

「短期金融市場の機能向上への取組み」において実現されたポイント(日銀「短期金融市場の機能向上への取組み」最終報告書より抜粋)

(1)市場に関する情報の充実

市場データの整備

市場参加者の資金需給見通しに役立つ情報の充実を図り、短期金利の円滑な形成に資する観点から、「準備預金残高見込みの前倒し公表」、「日銀当座預金の業態別残高の公表」を実施した(4月16日、6月18日)。また、ターム物市場の取引規模に関する情報の充実を図り、同市場の流動性向上に役立てていくため、短資会社の協力を得て「期間別の無担保コール市場残高の公表」を実施(6月7日)。

新たなレポ指標レートの作成・公表

市場参加者とともに「レポ指標レートに関する検討ワーキング・グループ」を設置し、指標レートの有用性や設計について議論した。その結果、日本銀行は、新たなレポ指標レート(東京レポ・レート)を作成・公表することとした(6月12日)。

OIS 市場調査の実施

OIS市場に関しては、多くの銀行、証券会社等が関心を示しているが、取引本格化から僅か1 年強ということもあり、市場の実情を把握できるデータ等に乏しい。日本銀行は、市場参加者の理解や取引方針の検討に役立てていくため、既にOIS取引を行っている先の協力を得て、市場規模、参加者構造等に関する調査を実施。

(2)その他の具体策

有担保コールの担保掛け目の効率化

担保の掛け目の見直し等によって担保効率を高めることは、有担保コール市場の参加者増加、活性化の観点から有益と考えられる。有担保コールの担保掛け目は、市場参加者による議論を受けて、2007年3月に担保効率を高める方向で見直された。

国債担保の差入れ・払出し事務の外部委託可能化

レポ市場等の取引実務の効率化に向けて、市場参加者の間では、国債受渡し事務の外部委託が重要な選択肢の1つと位置付けられている。これを踏まえ、日本銀行は、取引先が日本銀行に対する国債担保の差入れ・払出し事務を外部委託することを可能とするため、日銀ネットのメンテナンスに着手し、7月13日に骨子と実現時期の目途を公表。

金融政策決定会合の日程公表の拡充

日本銀行は、市場参加者からの意見も踏まえ、金融政策運営にかかる透明性を一層向上させる観点から、従来、「年4回、先行き6か月分」公表していた金融政策決定会合の日程を、本年6月から「年2回、先行き1年分」公表することとした。この結果、常に、少なくとも半年先までの会合の日程が明らかになる。

残された課題と日本銀行の今後の対応

残された課題を大別すると、1つは市場に関する情報の充実である。基本的な市場プロフィールや取引レートに関する情報充実への期待は強く、引き続き検討を進めていく余地がある。もう1つは、有担保の資金取引市場であり、取引実務の効率化が大きな課題として残されている。有担保コール市場の掛け目の効率化や日本銀行に対する国債担保の差入れ・払出し事務の外部委託を可能とするための日銀ネットメンテナンスなど、動き出した具体策もあるが、効率化の余地はなお大きい。

こうした点を踏まえ、日本銀行は、以下の対応を講じていく。

「取組み」で約束した施策の実現

東京レポ・レートについて、2007年度下期入り後の公表開始に向けて準備を進める。開始後は、レファレンス先との協力の下、本レートの適切な運営に万全を期し、信頼性を確保していく。

日本銀行に対する国債担保の差入れ・払出し事務の外部委託を可能とするための日銀ネットのメンテナンスについても、2008 年度中を目途(早ければ2008 年12月頃)に実現する方向で準備を進める。さらに具体的な実現方式等についても、関係金融機関等に対して可能な範囲でなるべく前広に開示していく。有担保コール市場の担保取扱いの効率化に向けた市場参加者の取組みにも引き続き協力していく。

「東京短期金融市場サーベイ」の実施

市場に関する情報充実に対するニーズを踏まえるとともに、今回の「取組み」で明らかになった諸課題への対応状況、市場機能面での新たな動きをフォローアップする観点から、短期金融市場に関する包括的な調査(「東京短期金融市場サーベイ」)を、来年度中を目途に実施する方向で検討する。

市場参加者との意見交換の継続 市場参加者とともに、市場に関する情報充実、有担保資金市場の効率化などについて、実務的な視点から意見交換を重ねていく。具体的な検討テーマがあれば「レポ指標レートに関する検討ワーキング・グループ」のような市場参加者との実務者会合も随時開催する。


2007.8.1「財務省のホームページに、借金時計登場」

財務省のホームページに本日から、「借金時計」がついに登場しています。また、「我が国の財政について」という映像資料もアップされています。気になる方は、こちらのページからお入りください。


2007.8.1「最近発表の経済指標」

7月26日に日銀が発表した6月の企業向けサービス価格指数(CSPI)は前年同月比+1.4%となった。伸び率は約15年ぶりの高水準を記録した前月と同じであり、企業間で取引するサービス価格は引き続き高い水準を維持している。

7月27日経済産業省が発表した6月の商業販売統計速報によると、小売業販売額は前年同月比-0.4%となり2か月ぶりに減少した。大型小売店の既存店ベースの販売額は、全国の百貨店とスーパーの合計で前年同月比+0.9%となった。百貨店は同+5.1%、スーパーは同-1.8%。

7月27日総務省が発表した6月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比で-0.1%となった。下落は5か月連続となった。変動の大きい食料・エネルギーを除いた総合指数(コア・コア)は前年同月比-0.4%となった。6月分の全国CPIは原油高が押し上げ始めた。ガソリン価格は前年同月比で+2.4%と5か月ぶりのプラスとなった。プロパンガスや灯油も含めた石油製品も+1.4%。その半面、教養娯楽サービスなどが大きく下落した。前年にサッカーのドイツでのワールドカップの影響で価格が上昇した反動から外国パック旅行料金が前年同月比で-3.6%。宿泊料も-0.7%となったことが大きいと指摘された。デジタル家電の物価下落も依然として大きく、薄型テレビは前年同月比-24.3%、パソコン(ノート型)は-29.3%。こうした教養娯楽用耐久財だけでCPIを0.17%押し下げている。また医薬品、衣料なども押し下げ要因となった。7月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、前年同月比で-0.1%と2か月連続のマイナスとなった。コアコアでは-0.3%。この東京都区部の数字から見て、7月全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)も前年同月比マイナスとなる可能性が高い。

7月30日に経済産業省が発表した6月の鉱工業生産指数速報は前月比+1.2%となり4か月ぶりに上昇した。市場予想(コンセンサスは+1.0%近辺)もやや上回った。6月の出荷は+0.7%、在庫は-0.3%、在庫率は+2.5%であった。電子部品・デバイス(前月比+3.2%)、輸送用機械(+2.7%)、情報通信(+4.0%)などの上昇が全体を引き上げた。この結果、4〜6月期は前期比+0.1%となり、2四半期ぶりに上昇に転じた。また、同時に発表された製造工業予測指数も、電子部品・デバイスで増産が予定されており、7月が+1.8%、8月が+4.9%としっかりの予想となった。ただし、この数字には新潟県中越沖地震の影響が加味されておらず、このため7月の生産指数はマイナスとなる可能性かある。ただし、トヨタなどは年度の生産台数予測は維持していることで、7月減少分は8月以降の生産上昇要因ともなり、7-9月期でみれば地震の影響は限られよう。

7月31日に総務省が発表した6月の全世帯の家計調査では、1世帯当たりの消費支出は物価変動の影響を除いた実質で前年同月比+0.1%となった。一方、勤労者世帯の1世帯当たりの消費支出は実質で前年同月比-0.4%となった。前年同月を下回るのは3か月ぶり。

7月31日に厚生労働省が発表した6月の毎月勤労統計調査速報では、すべての給与を合わせた現金給与総額は前年同月比-1.1%と7か月連続で減少。賞与を示す「特別に支払われた給与」が-2.3%と減少したことが影響した。現金給与総額のうち基本給を示す所定内給与は-0.1%と14か月連続で減少。団塊の世代の大量退職などが要因と指摘されている。賞与は従業員500人以上の大企業で+6.2%となった反面、従業員5〜29人の企業では-7.8%となるなど格差が大きい。

7月31日に総務省が発表した6月の完全失業率(季節調整値)は前月比-0.1ポイントの3.7%とさらに低下した。6月の有効求人倍率も前月を0.01ポイント上回る1.07倍と3か月連続で上昇し、雇用は改善していることを示した。若年層から高齢者まですべての年齢層で前年同月よりも完全失業率が改善しているが、特に改善が著しいのは若年層。

7月31日に国土交通省が発表した6月の新設住宅着工戸数は前年同月比+6.0%と3か月ぶりの増加となった。分譲マンションが堅調で、単月では1997年5月以来の高水準に達したようである。ただしこれは、建築確認審査を強める改正建築基準法の6月20日の施行を前に駆け込み需要が影響したとみられるとも報じられた。

8月1日に国税庁が公表した2007年分の路線価(1月1日現在)で、全国約41万地点の標準宅地の平均路線価は前年を8.6%上回った。バブル後初の上昇となった前年に続く上昇となり、上げ幅は前年の0.9%を大きく上回った。東京、大阪、名古屋の3大都市圏で上昇率が大幅に拡大したことが要因。ただ多くの地方ではまだ下落が続いており、都市部と地方の格差がさらに拡大した。


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