経済小説界のトップランナー、幸田真音さんの贈る新作 「Hello、CEO」 が9月21日に光文社から発売されました。外資系クレジットカード会社をドロップアウトさせられた仲間たちが、ベンチャー企業を設立して自分たちの理想とするクレジットカードシステムを構築するという物語です。ぜひご一読を。
総務省が28日発表した8月の全国の消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合が100.2と、前年同月比0.1%の下落となった。下落は7か月連続。9月の東京都区部の消費者物価指数は生鮮食品を除く総合で100.1と、前年同月比0.1%下落となり市場予想をやや下回った。引き続き消費者物価についてはゼロ近傍が続いている。
総務省が発表した労働力調査(速報)によると、8月の完全失業率(季節調整値)は3.8%と、前月より0.2ポイント上昇し、2006年9月以来、11か月ぶりに悪化した。
厚生労働省が発表した8月の有効求人倍率(季節調整値)は1.06倍で、前月より0.01ポイント低下した。
8月の全世帯実質消費は前年比+1.6%、季調済前月比+0.4%。8月は猛暑の効果が消費支出を大きく押し上げた。エアコンが実質で前年同月比+45%、ビールが+13.6%、そして帽子が+11.2%となった。猛暑関連の支出だけで消費支出を約0.7ポイント押し上げたと総務省は試算(日経新聞)。
経済産業省が発表した8月の鉱工業生産動向(速報)によると、生産指数(季節調整済み)は前月比3.4%上昇と、2か月ぶりの上昇となった。現行基準で比較できる1998年1月以降の過去最高水準を8カ月ぶりに更新した。主要製造業を対象にした製造工業生産予測調査では、9月が-0.8%、10月は+4.1%を予測。出荷指数は前月比+4.3%、在庫指数は同+0.3%、在庫率指数は同-1.0%低下。電子部品・デバイス工業を中心とした在庫率の低下は好感材料か。経済産業省は生産の動向について全体の基調判断を3カ月ぶりに「横ばい傾向で推移」から「緩やかながら上昇傾向」に上方修正した。
日銀の須田審議委員は27日、三重県津市で開催された金融経済懇談会で講演した。
この中で、米国経済については、サブプライム問題の影響により「米国経済の成長率が潜在成長率並に回復する時期は、やや後ズレする可能性が高い」とみているものの、「(日本の)輸出の見通しにはさほど大きな影響を及ぼすことはない」と考えていることを示した。
内需については「設備投資は、ひところに比べ減速感は否めませんが、良好な収益環境に支えられ増加基調を維持」とし、個人消費についても「雇用者所得の緩やかな増加がアンカーとなって、引き続き底堅く推移」していると指摘。
今回のサブプライム問題に端を発した金融市場の混乱に対して、「各国中央銀行や金融機関から収集した的確な情報に基づき、通常の金融調節の範囲内で十分対応可能との判断のもとで、粛々と対応」してきたことを示した。
国内経済のリスク要因としては、「中小企業の収益環境が全般的に厳しさを増しつつあること」を指摘している。「今後、中小企業を取り巻く収益環境の悪化や業況感の動向について、きめ細かくチェックしていく必要」があると発言している。
金融調節に関しては「半年に一度というゆっくりとしたペースで金利を調整してきた」としたが、「オリジナルなテイラー・ルールよりは金利調整のスピードは落ちることになりますが、これまでの金利調整のスピードが遅すぎたというようには必ずしも捉えていない」との考えを示した。
今後については「どのようなスピードで金利調整するのが望ましいのか定かではありません。ただ、あまりにゆっくりとした金利調整を行うと、経済が過熱するリスクが高まります。もし遅すぎる対応であったことが判明し、将来の過熱リスクが高まれば積極的に対応しなければなりません。」とも指摘。
「中長期的な物価安定の理解に照らして、日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長軌道を辿る蓋然性が高いことを確認し、リスク要因を点検しながら、経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで、徐々に金利水準の調整を行うことになる」とまとめており、今回の須田委員の講演内容からは、これまでのスタンスに大きな変化はないものとみられる。
マネーストック統計は以前のマネーサプライ統計の呼称が変更されたものです。そして、日銀はこの呼称の変更とともに、2007年10月の郵政民営化を機に、「M2+CD」に郵便貯金などを含めた新「M3」を代表的な指標とすることにしました。
マネーストック統計は、世の中に流通している貨幣の量を示します。具体的には、一般法人、個人、地方公共団体等が保有する貨幣で、金融機関、証券会社、短資会社、非居住者と中央政府の保有する預金は含まれません。
これまで注目されていたのはM2+CDでしたが、マネーストック統計ではM2+CD 対象預金と郵便貯金・系統金融機関預貯金を統合し、全預金取扱機関の預金を包含する新「M3」が作成されることで、こちらが注目されます。
速報値は、集計月の翌月第6営業日(3、9月分は翌月第8営業日)の8時50分に、日銀のホームページなどで発表されます。前年同月比での伸び率が注目されています。
マネーサプライの伸び率は、1990年代前半までは、物価上昇率や経済成長率の動きともほぼ連動していたため、日本経済の実態を測るためのバロメーターとされ、政府・日銀や専門家も重要な指標と位置づけてきました。
しかし1990年代後半以降の金融不安が高まりやデフレの深刻化などにともなって、マネーの伸びと物価などとの連動性は薄れてきました。
このため、日銀が金融政策を判断するうえでのマネーストック指数の位置付けは現在、あくまで「参考数値」となっています。米FRBも通貨の供給量と景気との関連が薄いと判断しているようですが、ECBではマネーサプライとインフレとの関係を重視していく考えを示しています。
マネーストック統計ではM3の動向をチェックする必要はありますが、日銀自体がそれほど重きを置いていないことで、金融市場もこの数字については関心を示していません。いずれ再び市場が重視する指標となる可能性はありますが、そういった動きが出るまではあまり意識する必要がない指標と言えます。
昭和30年ごろから日本経済は高度経済成長の波に乗り、好景気が昭和39年まで続いた。昭和30年から昭和32年にかけて「神武景気」と呼ばれた大型景気を迎えた。「なべ底景気」と言われる景気減速を経て、昭和34年ごろから再び景気が上向き、今度は「岩戸景気」と呼ばれた好景気が続く。そして、昭和38年は、翌年の東京オリンピックを控えて公共投資が活発化し、東海道新幹線や首都高速道路、黒四ダムといった大型の公共工事が次々に行われた。
東京オリンピックが始まった昭和39年10月ごろから景気は急速に冷え込みはじめ、後退局面に入る。すでに中小企業の倒産が増加しており、株価も下落、企業収益も減りつつあったのですが、それが顕在化した。昭和40年に入ると大手企業の破綻が相次ぐ。株価も急落し続け、これが「40年不況」と呼ばれた。
金融緩和も効果がなく、結局、財政面からの公共事業が促進されることになり、戦後初めてとなる「国債発行」が準備された。
昭和40年7月、佐藤栄作首相、福田赳夫蔵相のもと、政府は財政投融資の増額と、特例国債(赤字国債)発行を内容とする補正予算を決定した。同時に、昭和41年度の予算編成における「建設国債」の発行も決定したのである。
それから40年以上の歳月が流れたが、結局、国債の発行は常態化してしまっている。今年度は、昨年度よりも減額されたといっても、25兆円もの新規国債が発行される。こういったタイミングで、当時の福田赳夫蔵相の子供である福田康夫氏が25日に第91代、58人目の首相に選出された。
総裁選では福田氏、麻生氏ともに2011年度の基礎的財政収支黒字化目標に変わりはないと主張はしていたが、公明党の北側一雄幹事長が基礎的財政収支黒字化目標の先送りを提案し、すでに参院では民主党が過半数を取り、ややバラマキ型の財政に重心が移りつつあるようにも見受けられる。
しかし、財政構造改革の路線を変更し、格差是正との名目のもと昔ながらの非効率な公共投資政策へ移行しようとすれば、昔とは違いマーケットが敏感に反応する。今回のサブプライム問題のグローバルな市場への影響を見ても、市場参加者の資金シフトは昔とは較べるもなく速く劇的である。日本国債への信認が維持できなくなった際にマーケットがどのような反応をするのか。その結末はあまり見たくない。福田氏には、お父さんが始めた国債発行を息子が止めるぐらいの意気込みでぜひ政策も行なってもらいたいものである。
財務省はホームページ等にて、「平成19年度下期の国債発行について」を発表した。これによると、40年債の初回入札は11月6日、発行上限1000億円。流動性供給入札、年度下期も1000億円、計6回を継続。15年変国は6000億円減額、下期は7000億円・計2回発行となる。
我が国初となる40年国債の入札日は、11月6日と正式に決定した。発行日は11月20日、利子支払日は毎年3月と9月のそれぞれ20日、償還日は平成60年の3月20日となる。発行上限は額面金額で1000億円程度。入札及び募入決定方式は0.5bp刻みのイールドダッチ方式となる。表面利率及び発行価格は募入最高利回りを基礎として決定される。なお、40年入札については国債市場特別参加者の落札・応札義務の対象とはならないが、落札・応札ランキングに関しては40年国債入札の結果も考慮される。国債市場特別参加者を対象として第2非価格競争入札も実施され、この場合の基準応札係数は30 年債の基準応札係数が適用される。さらに次回発行以降、当面はリオープン発行とし、その場合の入札及び募入決定方法は原則として価格コンベンショナル方式となる。また、当面は国債整理基金による市中金融機関からの買入消却入札の対象とはならない。
下期の流動性供給入札については、上期同様に毎月1000億円実施される。平成19年10月〜12月における対象銘柄は、20年利付国債の第40回〜第69回債とするとも発表された。平成20年1月〜3月における対象銘柄は上記銘柄を基本としつつ、同入札の実施状況や市場関係者の意見も踏まえて今後決定する。なお、財務省はシステム改良により20年度以降から、オファー銘柄数を60銘柄に拡大する方向で検討している(国債市場特別参加者会合議事要旨より)。
15年国債の減額も実施される。平成19年度下期の15年変動利付国債の発行については、各回7,000億円、2回発行とし、平成20年2月発行分を平成19年11月債の原則リオープン発行とする。この減額については、9月7日の国債市場特別参加者会合で財務省は次のようにコメントしている。「市場には15年変動債の減額を求める声があるものと承知している。当局としても、15年変動債の市況を踏まえれば、納税者に不利となるような水準での発行を極力回避するという観点から、これを減額することはやむを得ないと考えている」
リオープンについては、財務省は、「市場参加者の理解を得られれば、既に導入した物価連動債、30年債に続き、いずれは他年限(5、10、20年)についても四半期毎の原則リオープン発行を導入すべきであり、まずは売買高の大きさや指標性の高さを考慮して10年債を優先するのが適当と考えている」(国債市場特別参加者会合議事要旨より)としている。
自民党総裁選の結果を受け、25日には新首相が指名され新内閣が発足する。福田氏が有利との見方が強く、その場合には現在の閣僚の多くが留任するとみられる。財政構造改革に対しては麻生氏、福田氏ともに現在の路線を継承すると予想されることで、国債需給などへの影響は限られよう。株式市場は新首相への期待もあって好感材料となるか。
米国のインフレ懸念の強まりによって日本でも各市場が波乱含みの様相となっている。米原油先物は過去最高値を更新するなどしたことから米長期金利が大幅に上昇してきており、ドルも売られている。この米債への売りが継続するようだと、円債も売り圧力が強まりやすい。特にこれまで買い込んでいたとみられる海外投資家による売りが引き続き入ってくる可能性がある。
日銀の追加利上げ観測もいったんは大きく後退していたものの、19日の決定会合で水野委員の反対票があったことや、福井日銀総裁が会見で「経済が標準シナリオどおりなら政策金利の調整の必要」との認識をあらためて示したことで、ここにきて年内利上げ観測も再び浮上してきている。
債券相場は米利下げ前の堅調地合相場から、今度は下値を試す展開に移行してきている。来週は期末最終週ということもあり、決算期末を意識して買い控えていた投資家の買いも入るとみられるが、押し目買いに徹してこよう。10年債利回りは1.8%を伺う動きにもなりそうである。
18日から19日にかけて開催された日銀の金融政策決定会合では、8対1の賛成多数により現状維持が決定された。18日にはFOMCにおいて政策金利の0.5%という大幅な利下げが実施されたように、今回の日銀の決定会合では「世界経済の不確実性が増し金融市場と世界経済を注視すべき」(福井日銀総裁会見)との意見が多数意見となり、「日本経済取り巻く環境は不確実性増大、従来以上に慎重に点検」(同)が必要との認識が共有されたものとみられる。
しかし、決定会合後に発表された金融経済月報では、「内外需要が増加する中で、生産は、足もと横ばいながら、基調としては増加を続けている。」との日銀の基調判断は変えておらず、「先行きについても、景気は緩やかな拡大を続けるとみられる」(金融経済月報)としている。
福井総裁も米経済については、「米国経済の調整、当初予想よりも少し時間がかかるがリセッションには至らず」とし、「米経済悪くなると、一直線に日本経済も悪くなるという単純な構図ではない」点も指摘している。これは現在の日本の貿易統計などでも確認できるが、米国経済が減速しても日本の輸出は増加しているなど、米経済悪化イコール日本経済悪化といったこれまでの図式は必ずにも通用しない。
さらに総裁は、「すべての問題がクリアになるまで何もできないのでは政策にならない」、「今の時点でシナリオを変更しなければならないとは思わない」、「現在の金利水準は相当低い、据え置き期待定着するとリスク再発生も」といったこれまでの姿勢を維持しており、「経済が標準シナリオどおりなら政策金利の調整の必要」との認識から、ある程度、日本経済取り巻く環境の不確実性が後退したとの見方を政策委員が共有すれば、追加利上げを実施してくる可能性は高い。そのタイミングが年内にあってもおかしくはない。
日銀の金融政策決定会合の結果は、8対1の賛成多数で現状維持が決定された。今回も水野委員が利上げを主張し現状維持に反対。
米連邦準備理事会(FRB)は、政策金利となっているフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標値を、0.5%引き下げ4.75%とすることを全会一致で決定し、即日実施した。政策金利であるFF金利の誘導目標を引き下げるのは2003年6月以来の4年3カ月ぶりとなる。
さらに、8月17日にFRBは臨時のFOMCを開き公定歩合を緊急に0.5%引き下げ年5.75%とすることを全会一致で決定したことで、この公定歩合の下げ幅にも注目が集っていたが、18日のFOMCでは公定歩合も0.5%引き下げ5.25%とした。これによって政策金利と公定歩合の差は引き続き0.5%となった。
FOMC終了後に発表した声明によると、今回の利下げについて「Today’s action is intended to help forestall some of the adverse effects on the broader economy that might otherwise arise from the disruptions in financial markets and to promote moderate growth over time. 」と「金融市場の動揺が米経済全体に与える打撃を抑え安定成長を促すための措置だ」と指摘。
さらに「The Committee will continue to assess the effects of these and other developments on economic prospects and will act as needed to foster price stability and sustainable economic growth.」とし「物価の安定と持続的な経済成長を維持するために必要に応じて行動する」とも表明。
今回のFRBによる政策金利の0.5%という大幅利下げは何を意図したのか。景気の先行きに対してそれほど悲観的であるとも思えないが、「金融市場の動揺が米経済全体に与える打撃を抑え」というように、金融市場の動揺を抑えるためには、のちにその反動があるとしても思い切ったアクションが必要し、それが8月17日の公定歩合の0.5%の引き下げであり、今回の利下げであったと思われる。
金融市場の動揺については時間とともに収束に向かうとみられるが、それによる米国実態経済の影響は見極めづらい。住宅市場には大きな影響はあるとみられるが、現在の世界経済は米国経済に頼る状況とは一変している。米経済もグローバル経済の一角、一部として組み込まれていることを考えれば、他の国、特に中国など新興国の成長が持続する限り、全体としての景気減速は考えづらい。ただし、今回は欧州市場も特に金融市場が動揺しており、世界経済の牽引役のひとつである欧州経済がこけるとなれば、その影響をまったく無視するわけにも行かなくなる。
9月6日のECB理事会では利上げは見送られ主要政策金利を4.00%に据え置き、限界貸出金利と中銀預金金利も据え置いた。また、こちらも利上げの可能性が指摘されていた英中銀も政策金利を5.75%に据え置いている。
9月7日に発表された8月の米雇用統計では、非農業雇用者数が前月に比べ4千人減と2003年8月以来、4年ぶりの前月比マイナスとなり、10〜11万人増とみていた市場予測の平均も大きく下回った。
9月10日のBIS総裁会議には、日米欧の中銀総裁が一同に会したのですが、それぞれの総裁の表情は一様に厳しかったと言われる。日経新聞によると、バーナンキ議長は記者団の質問には一切答えず、正面向いたまま足早に立ち去ったと伝えられた。
サブプライム問題に端を発した金融市場の混乱は、ここにきて一時よりも落ち着きを取り戻しつつある。しかし、17日の欧州市場では、英国の銀行ノーザン・ロックからの資金流出が相次いだことが要因となり金融株が大きく下落した。このノーザン・ロックに対して英政府は異例の全預金保護を表明するなど、火種はまだ残っているとも見られた。
こういった状況の中、9月18日から19日にかけて開催された日銀の金融政策決定会合では、追加利上げは見送られるとみられる。米国経済による日本経済への影響は以前よりは小さく、市場の混乱が落ち着けば利上げは可能とみられたが、タイミングとしては日銀の追加利上げは難しくなっていた。
しかし、長期金利である10年物国債の利回りが、9月10日に1.500%と量的緩和解除前の水準にまで低下したことは、やはり過剰反応と見ざるを得ない。2年国債の利回りも9月10日に0.770%に低下し、次の利上げを無視するような水準にまで買い進まれた。
今後の長期金利の動向については、次の利上げを無視したような水準までの利回り低下の反動といったものがいずれ起こってくると見ている。
次回の金融政策決定会合の前には、日銀短観の発表もある。また、10月の決定会合では展望レポートも発表される。政策委員が10月以降の日本経済の動向を短観など踏まえてどのように判断してくるかにも注目は必要か。
日銀による次回追加利上げのタイミングを予測するのも難しいところだが、年内は難しいと言い切るだけの材料が出ているわけでもない。あくまで個人的な読みではあるが、年内会合で0.25%の追加利上げが行なわれる可能性は、まだ十分あると予想している。
2007年3〜6月資金循環勘定速報が日銀から発表された。このうち家計の金融資産は、1555兆3589億円と過去最高を記録した。団塊の世代の大量の退職金が流入したことなどが要因との指摘も。この家計のうち国債は、33兆5539億円(3月末33兆3795億円)となり国債全体に占めシェアは、5.1%となった。株式109兆7343億円(3月末111兆2185億)、投資信託は77兆6140億円(3月末68兆4285億円) となった。3月末の日経平均は17287円65銭に対して2007年6月末は18138円36銭。
今回もこの資金循環勘定速報をもとに 2007年6月末現在日本における国債所有別内訳を算出してみた。
残高そのものは3月比11兆5899億円と大幅な減少となった。その中でも、銀行など民間預金取扱機関が6兆5153億円減と100兆円の大台ぎりぎりの残高となり、日本銀行が4兆5488億円減、海外投資家が3兆7179億円減と大幅な減少となった。
反面、郵便貯金は4兆5965億円増となりトップシェアを維持し、公的年金も2兆1871億円増、民間の保険年金が1兆1459億円増、簡易保険が7113億円増と公的資金や生損保の資金が国債に流れている。
海外投資家の残高は減少したものの、家計は1744億円増と小幅増となり家計の全体に占めるシェアも5.1%と5%を維持した。海外と個人を合わせたものの全体に占めるシェアはし3月に続いて10%を超えている。
2007年6月末の国債残高と、そして全体に占めるシェア、2007年3月末比(億円)
合計 、661兆9880億円、100.0%、11兆5899億円減
郵便貯金、143兆9054億円、21.7%、4兆5965億円増
民間預金取扱機関、100兆6951億円、15.2%、6兆5153億円減
民間の保険年金、89兆7162億円、13.6%、1兆1459億円増
公的年金、68兆4574億円、10.3%、2兆1871億円増
日本銀行、66兆4752億円、10.0%、4兆5488億円減
簡易保険、60兆9390億円、9.2%、7113億円増
海外、38兆4139億円、5.8%、3兆7179億円減
家計、33兆5539億円、5.1%、1744億円増
投信など金融仲介機関、21兆8430億円、3.3%、4939億円減
財政融資資金、20兆9390億円、3.2%、2兆9948億円減
その他、17兆0499億円、2.6%、2兆1344億円:減
参考までに自分で集計を始めてからの、日銀資金循環統計を元にした国債残高の推移は下記のようになっている。一番右の数値は前回比である。(単位、億円)
2002年09月末、5,045,257
2002年12月末、5,228,730、183,473
2003年03月末、5,384,464、155,734
2003年06月末、5,441,370、56,906
2003年09月末、5,437,060、-4,310
2003年12月末、5,545,297、108,237
2004年03月末、5,699,256、153,959
2004年06月末、5,759,771、60,515
2004年09月末、5,993,527、233,756
2004年12月末、6,197,909、204,382
2005年03月末、6,424,669、226,760
2005年06月末、6,613,991、189,322
2005年09月末、6,591,695、-22,296
2005年12月末、6,718,823、127,128
2006年03月末、6,670,712、-48,111
2006年06月末、6,591,136、-79,576
2006年09月末、6,750,991、159,855
2006年12月末、6,760,500、 9,509
2007年03月末、6,735,779、-24,721
2007年06月末、6,619,880、-115,899
(なお上記は、私がエクセルで資金循環勘定速報をもとに再集計したものであり、数値のチェックはしているものの、一部入力ミスしている可能性が皆無とはいえないため、使われる際には、ご注意ください。)
日経新聞によると、グリーンスパン前FRB議長は米CBSテレビのインタビューで、サブプライムローン問題に触れ、2006年1月末の退任直前まで事態の重大さに気づいていなかったと述べたそうである。
グリーンスパン前議長は、安易なサブプライム融資が横行していたことについては認識していたものの、「2005年の終わりから2006年に入るまで重大さに気づかなかった」と指摘した。この問題を甘く見て、事態を放置してきた責任を率直に認めたと、米CBSテレビのインタビュー内容が伝えられた。
神様はすべてをお見通し、というわけには行かなかったのであろうか。しかし、退任後には住宅問題について警戒するような発言もあったことで、リスクの大きさを再認識したのであろうか。
「金融監督当局が対処するのは極めて難しかった」との弁明もあったが、予防的に措置というのはどの時代でも難しさがある。何事も事が起きてからその重大さに気がつくというのは金融の世界ばかりにあることではない。
そして、グリーンスパン前議長の就任時における2001年から2003年の金融緩和がサブプライム問題の一因になったとの批判に強いが、これについて「誤解だ」と反論したそうである。さすがに「一因」ぐらいにはなっていたようにも思うのだが。
40年債の初回入札日は11月6日を提案したとの財務省幹部の発言をロイターが伝えた。
9月7日に開催された 国債市場特別参加者会合 では、 「40年債の発行にあたっては、その発行条件の検討に関連して、財務総合政策研究所の下におかれた「国債の金利推定モデルに関する研究会」において金利推定モデルの研究が為され、この研究会における報告書が8月8日に公表されている。」
「市場参加者からは、30年債の入札スケジュール等を勘案し11月発行、満期は40年、発行上限額は1,000億円程度、入札方式については、初回はイールド・ダッチ方式、次回以降ではリオープン発行を希望する声も大きいようであり局としても検討する必要があるものと考えている。」との理財局からのコメントもあった。
日経新聞によると、 内閣府 がまとめた9月の 「月例経済報告案」 が明らかになり、月例経済報告基調判断を「このところ一部に弱さがみられるが回復」と10カ月ぶりに下方修正する見通しのようである。
個人消費と設備投資という内需の2本柱の判断も下方修正。米国のサブプライムローン問題の広がりを受け、米国経済の先行きへの警戒感も示すとも伝えられた。
月例経済報告は、個人消費、鉱工業生産、輸出入など主要な経済統計などをもとにして、日本の経済状況を月毎にまとめた報告。経済財政担当相が月例経済報告関係閣僚会議に提出する。政府が経済政策を運営するうえでの判断材料であり、その中でも月例経済報告基調判断が注目されている。
安倍晋三首相は本日、辞任の意向を与党幹部に伝えたと報じられた。前日の国会での所信表明演説の直後であり、代表質問前というタイミングでの異例の事態となった。NHKによると、ただちに自民党総裁選の準備、内閣総辞職はその後との自民党幹部の発言も伝えた。その後、14時の記者会見で安倍首相は辞任を表明した。
この報道を受けた直後、市場ではどのような反応をすべきか迷っていたようで、いったん日経平均が買われ、為替市場では小幅円安に、債券先物はいったん買われたものの株の反応の鈍さで戻り売りに押される場面も。しかし、その後情報が広まるに連れて、日経平均が一時15804.27円まで下落したことなどから、債券先物は買戻しの動きを強め136円30銭台に。
今後は自民党総裁選の行方が焦点となるが、一時的な政局の混迷は免れない。しかし、すでに参院選の自民党敗退によって政局の不透明感が強まっていただけに、むしろ今回の安倍首相の辞任が株式市場などに与える影響は限定的となろう。為替市場にとって、日本の政治絡みで影響は限定的とみられ、今後も欧米市場動向などの影響を受けやすいと思われる。
今回の政治の混迷が日銀の金融政策に与える影響を危惧する声もあるが、政府からの独立性が失われるようなことは考えづらく、物価・経済動向によっては追加利上げのタイミングを模索してこよう。
財政構造改革については、財政再建の動きはどのような政権であっても重要課題になるとみられ、引き続き歳出は抑えられ、国債への信認は引き続き維持されると、次の政権への期待を含めて考えている。
財務省が12日に発表した「国際収支速報」によると、
7月の海外とのモノやサービスなどの取引を示す経常収支は、1兆8,559億円の黒字となり、前年同月比802億円、4.5%の黒字幅拡大。「貿易・サービス収支」の黒字幅が縮小したものの、「所得収支」の黒字幅が拡大したこと等から、7か月連続で前年同月比で黒字幅が拡大した。
7月中の輸出額は前年同月比+11.1の6兆6888億円、輸入額は同+16.6%の5兆9045億円で、貿易収支は7843億円の黒字となり、同17.6%の減少となった。サービス収支は3255億円の赤字で、貿易・サービス収支は4588億円の黒字と、同29.6%減少した。所得収支は1兆5170億円の黒字で、こちらは同24.6%増加した。
さらに、2007年上半期(1〜6月)の経常収支の黒字は12兆4702億円と、前年同期に比べ31.3%増えた。
比較可能な1985年以降でみると半期としては過去最高となった。企業や個人が対外投資の収益を配当などの形で受け取る所得黒字額も最高で、貿易黒字額を上回った。貿易より投資で稼ぐ構図が一段と鮮明になった(日経新聞)。
経常収支とは、経常勘定とも呼ばれ、国際収支のうちモノやサービスの経常取引による収支。モノの輸入と輸出のバランスを表す「貿易収支」、サービス取引を表す「サービス収支」、対外直接投資や証券投資の収益を表す「所得収支」、政府開発援助(ODA)のうちの医薬品など現物援助を表す「経常移転収支」の4つで構成される。
「内閣府」が昨日発表した7月の 機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」は、6月前月比-10.4%の後、7月は同+17.0%の1兆1235億円とか月ぶりに増加した。このうち、製造業は同+10.8の4898億円、非製造業(除く船舶・電力)は同+19.4%の6372億円となった。鉄道車両や船舶を発注した「運輸業」が+80.6%、「通信業」や「金融・保険業」からの受注増も寄与したとみられる。製造業では半導体製造装置の発注を増やした「電気機械」が+34.4%、「化学工業」などからの受注も伸びた。
前月比+17.0%というのは、市場予想(+6.0%)も上回っていたものの、元々振れの大きい指標ということもあり、市場への影響は限られたものとなった。4-6月GDP第2次速報値が設備投資の下方修正などにより、3四半期ぶりのマイナス成長となったが、機械受注を見ても設備投資の低迷は一時的な要因の可能性も高そうである。
機械受注統計は、内閣府の経済社会総合研究所が月次で発表している指標で、主要機械等製造業者280社を対象とし、それらの企業の受注額を集計した統計である。
各企業が設備投資のための機械を機械メーカーに発注する段階をとらえるので、納品や据え付けなどに先行するため、設備投資の動向をしることができる。この機械受注は、実際の設備投資より6か月から9か月先行する指標だといわれ、設備投資の先行きを占う指標とされている。振れが大きい「船舶」と固有の事情で動きやすい「電力」を除いた「船舶・電力を除く民需」を見るのが一般的であり、「船舶・電力を除く民需」の受注額の前月比が注目されている。
ただし、この機械受注は振れが大きい指標でもあり、単月の数字だけでは傾向が捉えにくい。米国の雇用統計などとともに事前予想が実際の数値と大きく乖離することも多い。
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6日のECB理事会では利上げは見送られ主要政策金利を4.00%に据え置き、限界貸出金利と中銀預金金利も据え置いた。英中銀も政策金利を5.75%に据え置いた。またECBは422億ユーロ、日本円で約6.7兆円の臨時の資金供給も行っている。
7日発表された8月の米雇用統計では、非農業雇用者数が前月に比べ4千人減と2003年8月以来、4年ぶりの前月比マイナスとなり、10〜11万人増とみていた市場予測の平均も大きく下回った。これを受けて18日のFOMCでの利下げ観測が強まった。
8月17日に、FRBは臨時のFOMCを開き、公定歩合を緊急に0.5%引き下げ年5.75%とすることを全会一致で決定した。さらに、FRBはFOMC後の声明文において、「信用収縮の動きと不確実性の高まりが今後の経済成長を抑制する可能性がある」とし状況により政策金利の引き下げの可能性も示唆していた。
10日のBIS総裁会議では、日米欧の中銀総裁の表情は一様に厳しかったそうで、日経新聞によると、バーナンキ議長は記者団の質問には一切答えず、正面向いたまま足早に立ち去ったそうである。
市場では、FRBが現状の政策金利の水準である5.25%から、いずれは4.5%程度まで引き下げてくるのではないかと予想している。9月18日のFOMCでの政策金利の引き下げも0.25%もしくは一気に0.5%の引き下げが実施されるのではないかとの見方もある。これは8月17日に公定歩合を0.5%引き下げていたことも影響か。
サブプライム問題に端を発した金融市場の混乱は、一時よりも落ち着きを取り戻しつつある。しかし、8月9日以降、リーマン・ブラザースは8月名半ばにサブプライムローン小会社の閉鎖と1200人の解雇を打ち出し、さらに9月6日に住宅ローン事業の再構築で850人の以下削減を発表。住宅金融最大手のカントリーワイド・ファイナンシャルも9月に入り人員削減案を1400人に拡大した。業界2位のインディマック・バンコープも従業員の1割の約1千人を減らすと発表。こういった計画の影響は9月以降の雇用統計に影響が出てくると見られる。
これは個人消費に影響を及ぼす可能性もあるため、今後の米国経済の動向にはよりいっそうの注意も必要となりそうである。
また、18日から19日にかけて開催される日銀の金融政策決定会合における追加利上げ観測は後退している。米国経済による日本経済への影響は以前よりは小さくなっているものの、その動向を見極める必要もありそうである。
内閣府が10日発表した2007年4-6月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.3%減、年率換算で1.2%減と3四半期ぶりのマイナス成長となった。改定値に反映する統計(法人企業統計など)で、設備投資が振るわず民間設備投資は前期比-1.2%(速報値は+1.2%)、個人消費は+0.3%(同+0.4%)となった。内需はマイナス0.3%(速報値は0.1%)、外需は0.0%(同0.0%)。
国内総生産(GDP)は、国内で新しく生み出された生産物やサービスの金額(付加価値)の総額で、国の経済規模を計る尺度になる。
「米労働省(U.S. Department of Labor)」の労働統計局(Bureau of Labor Statistics)が7日発表した8月の 「雇用統計( Employment Situation)」 では、非農業雇用者数(NFP;Nonfarm payroll employment)は前月に比べ4千人減となり、2003年8月以来、4年ぶりの前月比マイナスに。10〜11万人増とみていた市場予測の平均も大きく下回った。さらに6月分は12.6万人から6.9万人に、7月も9.2万人から6.8万人に大幅に下方修正された。失業率(軍人を除く)は4.6%で前月比変わらず。
雇用拡大の牽引役であったサービスが6万人増に止まり、金融や企業向けサービスが横ばいと足を引っ張ったかたちに。また政府部門の雇用の下ブレも影響している。
8月9日以降、リーマン・ブラザースは8月名半ばにサブプライムローン小会社の閉鎖と1200人の解雇を打ち出し、さらに9月6日に住宅ローン事業の再構築で850人の以下削減を発表。住宅金融最大手のカントリーワイド・ファイナンシャルも9月に入り人員削減案を1400人に拡大した。業界2位のインディマック・バンコープも従業員の1割の約1千人を減らすと発表。こういった計画の影響は9月以降の雇用統計に影響が出てくると見られる。米人材会社チャレンジャー・グレイ&クリスマスによれば、米企業が8月に発表した人員削減計画は8万人弱。うち半分近くを銀行、住宅金融会社など金融機関が占めたという。(9月8日日経新聞より)。
米雇用統計の非農業雇用者数の前月比4千人減という数字により、9月18日のFOMCでの政策金利であるFFレート誘導目標値の0.25%程度の引き下げの可能性が強まった。市場の一部では0.5%の引き下げの可能性を指摘する声も。
雇用統計における非農業雇用者数では、非農業事業所の雇用者数の増減を示している。失業率とともに、米国の雇用情勢を表す指標として注目されている。米国では今回のサブプライム問題に関しての金融機関の動向を見ても、業績悪化するとすぐにレイオフなどを行なうケースが多いため、景気と雇用者数の連動性が日本よりも強いとみられている。
失業率は、労働力人口のうち失業者の占める割合。米国での「労働力人口」は、16歳以上の働く意志を持つ人のことで、「失業者」は調査期間中(毎月12日を含む週)に労働に従事していないが、働くことが可能で、過去4週間以内(日本では1週間)に求職活動を行った人のことを示す。日本とは異なり、米国では一時帰休者や求職中の学生も失業者に含まれるなどの違いがある。
ECB理事会では利上げは見送られ主要政策金利を4.00%に据え置き、限界貸出金利と中銀預金金利も据え置いた。英中銀も政策金利を5.75%に据え置いた。またECBは422億ユーロ、日本円で約6.7兆円の臨時の資金供給も行っている。
ECBのトリシェ総裁は会見において次のような発言を行なった(ロイターより)。
「最近の情報、中期的な物価リスクが上方にあることを確認」「金融政策は依然として緩和気味」「データは、経済の基盤がしっかりしていることを示している」と従来の姿勢は維持した。しかし、「市場のボラティリティリスクの再評価が不透明感をもたらした」「新たな結論を出す前に。追加情報収集と新たなデータの検討を行なうことが適切」「非常に注意深く状況を監視している」として現在の状況認識が必要な点も主張した。また今回「強い警戒」との表現がなかったことに関してはコメントしなかった。ただし、将来は「強い警戒」という表現を用いることが可能」「信頼感を回復するため、タイムリーに断固として行動する」といった発言もあった。
今回、「強い警戒」という表現を引っ込めてのECB理事会の全員一致での現状維持の決定は、金融市場の不透明感の強まりによるものではなく、ファンダメンタルについての認識にはこれまでとは変化がないとの発言内容となっている。
「補完的な長期買いオペの実施を決定」「市場に対する異例なほどの監視を継続する必要」「不透明感のレベルが著しく高まったことを認める」との発言もあり、金融市場の混乱についてかなり注意を払っていることもあらためて示している。
さらに「FRB、BOE、日銀など他の中銀と密接な連絡とってきた」点も強調した。「透明性向上を各中銀などと緊急協議する」との発言もあり、9日から10日にかけて開催されるBIS会議にも議題に上がる可能性も。
「規制論は産業自体の基準作りが最重要」「それが不能ならわれわれが動く必要」「銀行間金利やABCPの不透明さ残る」との発言もあった。
「世界の各中銀と連絡常にとっている」こともあらためて主張。さらに「日銀は適切な決定を下す見込み」といった日銀の金融政策に言及するなど異例と見られる発言もみられた。「バーナンキFRB議長とは5-6回連絡を取った」とも発言したが、ではなぜ米ジャクソンホール訪問を「個人的理由」でキャンセルしたのであろうか。
FRB、BOE、日銀などの中銀同士による「協調」というより、「情報交換」は密接に行なっている点も強調した。バーナンキFRB議長と話した回数に加え、日銀の金融政策にも言及し密接な情報のやり取りによって、市場の混乱を回避しようとしていた姿勢も示したものとみられる。
そのFRB、ECB、BOEそして日銀などの中銀首脳が一同に会するBIS総裁会議が9月9日から10日にかけて開催される。この会議における内容も注意して見ておく必要がありそうである。
「米地区連銀経済報告」とは、連邦準備理事会(FRB)が全米12の地域の経済状況について地区連銀を通じて、金融機関のエコノミストや市場関係者などの意見を集約、分析し、FOMC(公開市場委員会)に提出する報告書である。
表紙が茶色いことから、一般にはベージュブック(Beige Book)とも呼ばれる。日銀が支店長会議で発表している地域経済報告を「さくらレポート」とも称しているのは、米地区連銀経済報告の「ベージュブック」との愛称を意識したものとも言われている。
ベージュブックは年8回、FOMC(連邦公開市場委員会)が開かれる2週間前の水曜日に発表される。FOMCでの米金融政策の先行きを決定される際の討議資料としても使われる。このように金融政策に関しても重要な材料となるため、市場でもかなり注目されている。
ベージュブックでは、最も重要視される景況判断(総合景気判断)をはじめ、製造業の動向、個人消費の動向、雇用、物価、賃金、住宅建設や不動産市況動向、金融などについての各地区の状況が説明されている。
8月18日に開催されるFOMCの2週間前の水曜日である5日に、このベージュブックが発表された。バーナンキFRB議長はカンザスシティ連銀主催のシンポジウムの講演において、住宅市場が経済に大きな影響を与えうる兆候等を捉えた際に、必要に応じて行動をとると発言しており、足元の経済動向をどのように捉えているのかと、今回のベージュブックの内容に注目が集った。
米地区連銀経済報告のサマリーにおいては、「Outside of real estate, reports that the turmoil in financial markets had affected economic activity during the survey period were limited.」ともあり、大半の地区で住宅ローン市場が縮小しているものの、不動産以外では金融市場混乱の経済活動への影響は限定的としている。市場では利下げ観測も強いものの、この内容では、利下げを促すほどのものではないとみられる。
米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した8月の製造業景況感指数が昨日発表された。9月18日のFOMCでの金融政策の行方を占う上で、今回は特に経済指標が重視されているだけに今回は特に注目も集った。
8月の製造業景況感指数(Manufacturing ISM Report on Business)は前月比0.9ポイントの低下となり市場予想とほぼ一致、50は超えたものの、3月以来の低い水準でこれを受けて利下げ期待観測も出たようである。
ISM(Institute for Supply Management)とは「米サプライ管理協会」とも訳されるが、米企業の購買・調達担当者が組織している非営利団体である。1915年に設立され会員は4万人超。
ISMが会員に景気の現状を聞き取り、指数化して発表される。製造業約350社の購買担当役員にアンケート調査を実施して作成する景況インデックス。同指数は生産・新規受注・在庫・雇用・入荷遅延などの項目について1か月前と比較して「良い」「同じ」「悪い」から三者択一の回答を行なう方式で作成される。以前はNAPM指数と呼ばれていたものでもある。
毎月第1営業日に前月の調査結果が発表されることで、米国の主要経済指標の中で最も早く発表されることから速報性に優れている。
さらに購買担当者は自社の受注・出荷動向や設備投資動向方針をいち早く知る立場にあることで、景気先行指数の意味合いが強い。このため製造業における景気転換の先行指標ともみられており、50が景気動向の良し悪しを測る分岐点ともなっている。
9月6日から秋の個人向け国債の募集が開始される。
募集期間は9月6日から9月27日。今後の個人向け国債の募集期間は、10年債入札日の翌々営業日から月末最終営業日までとなる。これは10年国債入札の結果により10年変動タイプの初期利子が決定され、さらに今回からは5年固定の条件も10年国債入札日の5年債利回りに応じてに決定されることとなったためである。条件決定から募集開始日まで1日開くのは販売業者の準備のため。発行日は10月15日。
ちなみに、個人向け国債(固定5年)の条件を決めるための「基準金利」は、募集期間開始日の2営業日前(10年固定利付国債入札日)において、市場実勢利回りを基に計算した期間5年の固定利付国債の「想定利回り」となる。
ここで「想定利回り」としているのは、「市場実勢利回り」が直近入札された5年国債の利回りを基に算出されるため、条件決定日における直近入札された5年国債の残存期間は5年よりも短くなっていることで、これに「期間修正」を加え残存5年のものとして想定利回りを算出する必要があるためである(キャリー修正)。
10年変動タイプの初期利子を決める基準金利は10年国債の入札の結果、1.65%となり、初期利子はここから0.8%差し引かれた0.85%となる。
5年固定タイプの利率の発表は今回から10年入札日の翌朝8時50分となり、本日朝方に財務省から年率1.15%と発表された。 個人向け国債の発行条件等のお知らせ
7月に発行された前回債は、第19回変動10年の初期利子が1.01%(発行額3,713億円)、第7回固定5年の利率が1.50%(発行額1兆5,964億円)となっており、これにくらべて今回はそれぞれ引下げられている。サブプライム問題などによって長期金利に低下圧力が加わったためだが、5年の利率の引き下げなどにより販売は前回よりはやや落ち込みそうである。
法人企業統計とは、「財務省が金融・保険を除く資本金1千万円以上の約2万社をサンプル調査し、日本の企業全体の財務状況を推計。中小企業も含めたニッポン株式会社の経営状況が四半期毎に把握できる」(日経)ものである。
法人企業統計の設備投資や在庫投資などの数値はGDP統計作成の基礎統計ともなっていることで、特に設備投資の数字などを市場では注目している。
ただし、法人企業統計の欠点のひとつとして、サンプルバイアスの問題が指摘されている。法人企業統計の調査対象となるサンプル企業は、毎年4-6月期に入れ替えが行われる(調査対象の資本金1億円未満の中小企業約9400社すべて)。こうしたサンプル入れ替えに伴う統計の振れから、前年比等の数字が実勢以上に強含むなり弱含むなどサンプルの歪みが生じるためである。
財務省が3日発表した2007年4-6月期の法人企業統計調査によると、企業の設備投資(全産業)は前年同期比-4.6%と17四半期ぶりのマイナスとなった。これにより、今回の法人企業統計のデータによって、今月10日に公表される4-6月期の国内総生産(GDP)の実質成長率の2次速報値が、年率+0.5%となった1次速報値より下方修正される可能性が高いとみられる。ただし、この設備投資の落ち込みについては、特に中小・非製造業が前年同期比-33%と大幅なマイナスになったことが大きく影響し、サンプリングの歪みによる影響があったものとも見られている。
この調査による企業の売上高経常利益率は+4.5%と調査以来の過去最高を記録。売上高は同+3.3%となり、経常利益は同+12.0%と2007年1〜3月期に続く過去2番目の規模となった。
売り上げの伸びが収益増に結びつけやすくなり、4-6月期の損益分岐点比率は78.5と1973年7-9月期とほぼ同水準で34年ぶりの低さともなっている。また、労働分配率については61.3%(季節調整済み)と前期比-0.6%となっていたが、人件費も伸びているもののそれ以上に利益が伸びたためとみられる。
その人件費の総額は前年同期比+3.1%、従業員給与(賞与込み)は+3.2%、役員報酬は+7.7%。一人当たりの給与や報酬は従業員は前年同期比-0.2%と4四半期ぶりのマイナスとなった反面、役員はバブル期の1990年10-12月以来の高い伸びとなった。一人当たりの給与や報酬のマイナスは、団塊の世代がいったん退職し、賃金の低い契約社員や嘱託として再雇用されたことや、賃金水準の低い若者の雇用増などが影響しているとみられる。役員報酬の増加は、良好な企業業績をそのまま反映したものとみられる。(9月4日日経朝刊を参考)
先週末の米国市場では、ブッシュ大統領のサブプライムローン問題に関する対策の発表とともに、バーナンキFRB議長講演内容が注目された。この講演は米ワイオミング州ジャクソンホールで開いたカンザスシティ連銀主催のシンポジウムの会合初日に行なわれたものであった。
この講演の中で、バーナンキ議長は必要に応じた対策を講じることをあらためて表明した。しかし、これで早期の追加利下げが実施されるのかどうかは、市場参加者ではそれぞれの見方によって分かれた。
「The Federal Reserve stands ready to take additional actions as needed to provide liquidity and promote the orderly functioning of markets.」
「The Committee continues to monitor the situation and will act as needed to limit the adverse effects on the broader economy that may arise from the disruptions in financial markets.」
個人的には、今回のバーナンキ議長の発言からは、すぐに利下げを実施する構えはなく、住宅市場が経済に大きな影響を与えうる兆候等を捉えた際に、政策金利の変更を行なってくるとみられる。もし景気に対しての影響がそれほど大きなものではないと結論付ければ利下げは見送られる可能性も十分にある。それまでは流動性供給等の手段を講じてくるのではないかとみている。
それはさておき、9月3日の日経新聞ではこのカンザスシティ連銀主催のシンポジウムに関して過去に興味深い出来ごとがあったことを伝えている。ロシア危機とヘッジファンド危機に見舞われた1998年に、当時のグリーンスパンFRB議長がこのカンザスシティ連銀主催のシンポジウムの合間にFRB理事や地区連銀総裁とひそかに接触し、その後の利下げの流れをつくったと言われるているそうである。
その利下げが結果として米住宅バブルを生んだ結果、今回のサブプライム問題が生じたとの見方もあるが、それはさておき、今回のカンザスシティ連銀主催のシンポジウムでバーナンキ議長はどのような行動を取ったのかについても興味深い。ある程度、マスコミ等から遮断されての意見交換の場もあるとみられ、フェルドシュタイン教授や、シラー教授、テーラー教授といった著名学者とともに、ウェーバー独連銀総裁や日銀の岩田副総裁なども出席している。ただし、トリシェECB総裁はこの米ジャクソンホール訪問を「個人的理由」でキャンセルしている。
今回は欧州発の金融不安の拡大という側面もあってECBや、円キャリートレードが日銀の低金利政策の影響とも指摘されていることでの日銀の金融政策の行方についても、関心は高いはずである。それぞれの今後の金融政策に関して意見交換が行なわれたと見てしかるべきであろうか。しかし、トリシェECB総裁の出席キャンセルはやや気になるところでもある。
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