31日に発表された展望レポートで、2007年度見通しは、GDPで4月の2.1%から1.8%に、コアCPIは、4月の+0.1%から0.0%に下方修正した。GDPに関しては、2007年4-6月期がマイナスとなり、6月の建築基準法改正の要因で住宅着工に影響があったためである。これについて10月の展望レポートには、「住宅投資の振れが、2007年度の成長率を幾分下押しする一方」という表記があった。CPIについては、原材料高などの価格転嫁は企業間取引ほどには進んでいない、との文面も10月には入っている。ただし、より長い目でみると、(CPIの)プラス幅が次第に拡大するとみられる、との文面は4月同様に10月も残っていた。2008年度見通しは、GDPで4月の2.1%から変わらず、コアCPIは、4月予測の+0.5%から+0.4%に下方修正した。
展望レポートでの、他の箇所の4月と10月の違いを見てみると設備投資については、「米国サブプライム住宅ローン問題やこれに端を発する国際金融資本市場の変動がわが国の金融環境に及ぼす影響は限定的、との文が加わった。「CP、社債の発行環境も引き続き良好である」ともしているが、これは8月あたりからサブプライム問題の影響が広まり、それに関してのコメントが加わったものとみられる。
「現実の政策対応は、物価上昇圧力が弱い中で余裕を持って行うことができ」との文が入っていたが、4月以降利上げのタイミングを計っていたとみられる日銀はサブプライム問題などにより、それを見送らざるを得なかったが、物価上昇圧力がまだ弱いことで、時間的な余裕もあったとの認識か。
「金融環境は極めて緩和的であり、日本経済が物価安定のもとでの持続的成長軌道を辿るのであれば、金利水準は引き上げていく方向にある」との文が10月にあったが、4月では「金利水準の調整」としていたところが「金利水準は引き上げていく方向にある」としているところも微妙に変わっていた。あくまで表現方法を変えただけともみられるが、今後の利上げを意識してのものなのか。
マヨネーズやティッシュペーパーなどスーパーに並んでいるものの値上げが相次ぎ、主婦層はかなり物価上昇を意識していたとみられるが、サラリーマン層は実感としてそういった感覚は薄かった人も多かったのではなかろうか。しかし、今度はドトールコーヒーが来年4月からのコーヒーの値上げを発表し、さらにキリンビールが来年2月からビール類を値上げすると発表した。朝、通勤途中の一杯のコーヒーや、帰宅後の晩酌のビールが値上がりするとあっては、さすがに物価上昇は他人事とはいえなくなってくるのではなかろうか。
電力やガスも1月以降の値上げも発表されているが、庶民感覚としてはかなり物価の上昇を意識せざるを得なくなってきつつある。CPIは、遅行指数ともなっていることに加え、ハイテク商品の技術革新が結果として価格下落要因とされるなどの事情などがあるにせよ、ここにきての物価上昇圧力は無視できなくなってきているはずである。
昨日発表された失業率などから、雇用に目先ややピーク感といったものも見えなくもないが、企業業績などはしっかりしている。設備投資にせよ高い水準は当面維持されよう。個人消費も伸び悩みとなっているが大きく落ち込む気配もない。9月の家計調査などは季節的要因もあるがしっかりしていた。サブプライムの亡霊を追いかけるのも必要かもしれないが、それによって世界経済の先行きに対して過度に悲観的になる必要もないはずである。日銀はしっかり先行きを見定めて、フォワードルッキングの姿勢を維持し、今後の政策金利を決定していくべきである。
総務省は30日に労働力調査を発表した。これによると、9月の完全失業率(季節調整値)は、4.0%となり、8月の3.8%から0.2ポイントの悪化となった。完全失業率が4%台となったのは今年3月以来となる。就業者は6422万人と前年同月に比べ9万人の減少となったが、減少は12か月ぶり。就業者のうち雇用者数は前年同月に比べ13万人の増加で、こちらは31か月連続の増加。完全失業者は269万人と前月比+17万人、前年同月比は-11万人。総務省は「失業率は上がったが、昨年と比べても雇用情勢は改善傾向にある」としている。
総務省による家計調査は、日本国内の約9千世帯を対象に(このうち二人以上の世帯は約8千世帯)、家計の収入や支出、さらに貯蓄・負債などを調査し集計した指定統計です。
家計調査の結果は、家計の支出を通じて個人消費の動向の把握とともに、国の生活保護基準の検討や、総務省が発表している消費者物価指数の品目選定及びウエイト作成などの基礎資料としても利用されています。
二人以上の世帯の調査結果は、原則として調査月の翌月末に速報値が発表されます。その中でも二人以上の世帯の実質消費の数字が通信社の端末を通じて市場関係者に伝えられています。二人以上の世帯の実質消費は、月末の朝8時30分に発表されます。
ということで、本日総務省が発表した9月の家計調査(速報)によると、全世帯(二人以上の)の1世帯当たりの消費支出額は実質で前月比+0.7%(季節調整済み)、前年同月比では+3.2%と2004年5月以来の3年4か月ぶりの高い伸びとなりました。ただし、前年同月比の高い伸びは昨年9月が前年比大幅に落ち込んでいたことの反動との見方もあります。
記録的な残暑の影響により、ビールや清涼飲料水、アイスクリームといったものの消費が伸びたことや、エアコンや冷蔵庫の購入が増えるとともに、その分電気代もかかっていたものとみられます。また今年の9月は昨年に比べ、3連休が1回多く国内旅行などに伴ってのガソリン代や高速道路代など「交通・通信」なども高い伸びを示していました。
30-31日のFOMCでの利下げ観測が強まっていますが、米FRBなど欧米の中銀の金融政策についてみてみましょう。(「短期金融市場の基本とカラクリがよ〜くわかる本」原稿より)
ここでは欧米の中央銀行の金融政策についてまとめてみましょう。まず米国の中央銀行ですが、通常米国の中央銀行という場合にはFRBとも称される連邦準備制度理事会(Federal Reserve Boardのことを指します。
FRBは大統領が任命し、上院の承認を受けた7名の理事から構成されています。7名の中から議長と副議長が選ばれます。議長と副議長の任期は4年です。金融調節などの公開市場操作の基本方針は年8回ワシントンの理事会会議室で開催される最高意思決定機関であるFOMC(Federal Open Market Committee)において決定されます。FOMCのメンバーは理事会からの7名の理事全員と地区連銀から5名の連銀総裁で12名によって構成されます。連銀総裁の参加者のうち1名はニューヨーク連銀総裁が常任となり残りの4名はその他の地区連銀総裁が1年交替で務めます。
欧州の中央銀行について見てみましょう。欧州中央銀行(European Central Bank)は単一通貨ユーロを導入する欧州諸国(ユーロエリア)の金融政策を一元的に運営するため、1998年6月に設立されました。欧州諸国12か国の中央銀行から金融政策権限がECBに移管され、ECBによる一元的な金融政策がスタートしました。 ECBの金融政策は月2回程度のペースで開かれる定例理事会(Governing Council)で決定されます。定例理事会の議決権を持つメンバーは19名で構成されています。ECBの役員6名(総裁、副総裁、理事4名)、および域内13か国の中央銀行総裁も加えて19名となります。実際の金融調節はこの定例理事会での決定に従って各国中央銀行が行います。
英国イングランド銀行の金融政策委員会、MPC(Monetary Policy Committee)は、毎月上旬の水曜日の午後と木曜日の午前中に開かれ、木曜の正午には決定された内容が公表されます。MPCは、9名のメンバーより構成されます。総裁1名、副総裁2名、理事2名と、財務大臣により任命された外部委員4名の合計9名です。MPCの外部委員の出身は、学者、官僚、民間エコノミスト、中央銀行員等多岐にわたっているそうです。MPCメンバーの任期は、総裁・副総裁は5年、それ以外のメンバーは3年です。
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総務省が26日発表した9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)で100.3となり、前年同月比で-0.1%となった。また、10月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く)で100.3となり、前年同月比で横ばいとなった。原油高などの影響によりガソリンなど石油製品が上昇したことで、2か月ぶりにマイナス圏から脱した。ただし、ここにきて、値上げされている食料品への影響は、指数全体への影響がごく小さいこともあり限定的となっていた。しかし、今後は潜在的な物価上昇圧力となっていくものとみられる。また、タクシー運賃などの引き上げ、さらに東京電力も電力料金の引き上げの検討をしているなど、今後は商品やサービスが全般に価格上昇圧力もかかりやすい。さらに、ここにきて原油価格が先物で史上最高値を更新するなどしており、今後は物価に対しての上昇圧力が強まって行くのも確かか。しかし、米価の下落や、そして今回は見送られたものの携帯電話料金の取り扱いなどの動向には注意も必要とみられる。
10月4日にKDDIが新料金体系を発表し、10月5日にはソフトバンクも追随して同様のプランを発表、さらにNTTドコモも携帯電話の端末料金を引き上げる代わりに月々の通話料を安くする新しい料金プランを導入すると発表した。この新しい料金体系がそのまま消費者物価指数に機械的に組み入れられると消費者物価指数が一段と大幅に下がる可能性があった。これは、現状の消費者物価指数の算出においては、携帯料金と携帯端末の価格のウェートが異なるなどしていることで、通信料金の引き下げが、端末価格の引き上げでは相殺できないためである。
これに対して、総務省は消費者物価指数のQ&Aのページにおいて、下記のように説明している。
『「au買い方セレクト シンプルコース」と「シンプルオレンジ」(いずれも平成19年11月12日導入)は、新規契約または機種変更等で携帯電話機を購入することが申込み条件となっており、既存の契約者が制約条件なしに乗り換えできるものとはなっておりません。この点で、これらのプランは当面、最も安いプランの検討対象としません。よって、従来から提供されているプラン(KDDIの場合は19年11月11日までのプラン、ソフトバンクの場合はシンプルオレンジ以外のプラン)の中から最も安いプランで計算します。』
『現在のところ、「au買い方セレクト シンプルコース」や「シンプルオレンジ」に乗り換える人がどの程度いるかを正確には把握できないこと、また既存の契約者については携帯電話機を購入するという新たな負担が生じることから、当面は従来より提供されているプランで計算することとします。今後、これらのプランが普及し、更に契約者数などのより詳細な情報が入手できる状況になり、「au買い方セレクト シンプルコース」や「シンプルオレンジ」が主流となったことが確認できれば、これらも最も安いプランの検討対象となり得ます。』
今後、新料金体系の普及度合いによっては、最も安いプランの検討対象となり、消費者物価指数を引き下げる可能性もあるが、これが金融政策に及ぼす影響については、日銀の福井総裁は下記のように10月11日の会見で発言していることで、「消費者物価指数が技術的にどう修正されようと、政策に対してはニュートラル」との姿勢を維持しよう。
「新しい料金プランというのは、私の理解している限り、通信料と携帯端末をセットに考えるということであり、携帯端末を新しく買わなければ通信料も下がらないという意味では、普通に考えればニュートラルな料金プランではないかと思います。これを消費者物価指数でどう取り上げるかは、物価指数作成責任者である総務省が最終的に適正に判断されるものと私どもは思っています。私どもの政策との関連では、消費者物価指数が技術的にどう修正されようと、この問題については今申し上げましたとおり、性格が非常にはっきりしていますので、政策に対してはニュートラルと考えて頂いてよいと思います。」
産経新聞によると、「国立印刷局が発注した官報号外の印刷契約について、会計検査院は随意契約で財務省OBの関連会社に独占的に発注している状況を改めるよう要請した。また予定価格の積算が過大だとも指摘した。」
印刷局は「官報号外」を財団法人朝陽会(明治9年、当時の大蔵省幹部により作られた厚生組織を母体に昭和9年財団法人化)が100%出資する株式会社「朝陽会」に、平成17、18年で計12件、計約7億1051万円を発注していたが、しかし、検査院が調査したところ、ほかの印刷業者でも可能な業務であり、予定価格には機械設備費や高熱水費なども含まれており、過大に積算され、17年度経費は約4億333万円が約2億4552万円で済み、18年度も約3億717万円が約2億4044万円で済むそうである。(産経新聞より)
市場化テストなども本格化せず、というよりさせる気もない状況下、このようにまさに「お上」による、無駄な経費は調べれば調べるほど出てくるはずである。上記はあくまでそういったものの一端に過ぎない。公務員のリストラといった声も聞こえなくなるなど、本来、国民のために真っ先にメスをいけるべきところはもそのままにして、結局は増税という国民負担を課するというのはいかがなものか。効率化、市場化というのも、ひとつは官の非効率を是正することが目的のはずである。
上記の産経新聞の記事をもってしても、財政構造改革など真剣に取り組む考えは現実にはほとんどないことをうかがわせる。増税論議も良いがそれより先に手をつけるべきものが山積しているはずである。そういった官の非効率なものを是正した上での増税論議にしなければ、納得はできない。
秀和システムさんより、私の新刊「短期金融市場の基本とカラクリがよ〜くわかる本」定価 2,100 円(本体 2,000円)が本日、
10月24日に全国書店にて発売されます。
本書は、「マネーマーケット」とも呼ばれる短期金融市場と日本銀行(日銀)の役割や機能を
わかりやすく解説した入門書です。2006年3月に量的緩和政策を解除し、
ポスト「ゼロ金利」時代を迎えたばかりの金融市場ですが、
アメリカのサブプライムローン問題の発生により、その行方はいまだ混沌としています。
こうした動向を占う上で、日本の中央銀行である日銀の動きには以前にも増して注目が集まっています。
本書は、日本銀行の役割だけでなく、金融政策とその影響のほか、短期金融市場を成すインターバンク市場と
オープン市場の仕組みなどを豊富な図を用いてわかりやすく解説しました。(秀和システムさんの紹介文より)
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23日の読売新聞ネット版によると、「日本銀行が31日発表する中長期的な経済予測「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、2007年度の実質国内総生産(GDP)成長率予測を前回(4月)の2.1%から1.9%前後へ下方修正することが22日明らかになった。」そうである。
「4〜6月期のGDPがマイナス成長に落ち込んだことや、6月に施行された改正建築基準法の影響で、新設住宅着工戸数が大幅減少したことを重視した。」としているが、それぞれ実際の景気情勢が反映されていると思えない節もある。
たとえば4-6月のGDPがマイナスに下方修正されたのは4-6月期の法人企業統計で企業の設備投資(全産業)が前年同期比-4.6%と17四半期ぶりのマイナスとなったことが要因であるが、これについてはサンプルバイアスの問題も指摘されている。法人企業統計の調査対象となるサンプル企業は、毎年4-6月期に入れ替えが行われる(調査対象の資本金1億円未満の中小企業約9400社すべて)。こうしたサンプル入れ替えに伴う統計の振れから、前年比等の数字が実勢以上に強含むなり弱含む可能性があるためである。
また、新設住宅着工戸数が大幅減少したのは需要の低下が主要因でなく、あくまで6月に施行された改正建築基準法の影響である。もちろんこれによって住宅関連企業の業績落ち込むなどの懸念はあるものの、一時的なものとなる可能性もある。しかし、この要因を除いても郊外のマンション購入などが手控えられつつあるとの見方もあり、やや住宅市場も頭打ちといった可能性もある。
「日銀は、引き続き利上げ時期を探る考えだが、市場では成長率予想を引き下げることで早期利上げが一段と難しくなるとの見方が強まっている。」と読売はしているが、成長率予想の引き下げが上記要因とするならば、それはあくまでテクニカルな要因が大きい。しかし、予測数字としては、これによって下方修正されてもおかしくはない。
「物価の動向に関しては、利上げの判断材料になる全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く)の上昇率について、今春以降マイナスが続いていることから、07年度は0・1%とした前回予測をやや下方修正する見通しだ」(読売新聞)
全国コアCPIについては今年度に入り、前年同月比-0.1%のまま推移しており、「0%」あたりへの下方修正はやむを得ないところか。2008年度については、読売も報じていたように前回同様の0.5%前後が維持されるとみられる。
ここであらためて、4月の展望レポートを見てみると、先行きの経済に関して、第一の「海外経済の拡大が続くことを背景に、輸出は増加を続けると予想される。米国経済は、足もとは住宅市場の調整が続いていることなどから減速しているが、先行きは安定成長へ軟着陸する可能性が高い。」としていた。サブプライム問題の発生により、住宅市場のさらなる低迷も予想されるため一部文面の修正もあろうが、「先行きは安定成長へ軟着陸する可能性が高い」との見方は維持されるとみられる。
第二の設備投資については、「高水準の企業収益が続く中で、設備投資は増加を続けると予想」との見方も変化はないとみられる。
第三の「好調な企業部門から家計部門への波及が、緩やかながら着実に進んでいくとみられる」については、ややその遅れも指摘されるため、若干ニュアンスの変更もありうるか。
第四の「極めて緩和的な金融環境が引き続き民間需要を後押しするとみられる」点も変化はないとみられる。
消費者物価指数(除く生鮮食品)については、「目先はゼロ%近傍で推移する可能性が高いものの、より長い目でみると、プラス幅が次第に拡大するとみられる」点は維持されるとみられるが、「その結果、2007年度はごく小幅のプラス」については、4月移行の全国コアCPIの前年比で-0.1%が続いていることから「小幅のプラス」が「ゼロ近傍」あたりに変更されるとみられる。
リスク要因に関しては、第1の海外経済の動向、特に米国の動向に関し「住宅市場の調整が予想以上に深いものとなったり、設備投資が下振れた場合、景気は一段と減速する可能性がある」との文面はそのままとなりそうである。第2のIT関連財の需給動向について第1のリスクに較べてそれほど大きいものではないことで、文面が多少変更される可能性がある。米国経済でもハイテク企業の業績が好調との側面も。
第1の柱、先行き2008年度までの経済・物価情勢の見通しについては、「物価安定のもとでの持続的な成長を実現していく可能性が高いと判断は維持されよう。
第2の柱の、より長期的な視点を踏まえた金融政策運営の観点から重視すべきリスクにも大きな変更はないとみられる。
その上で、「中長期的な物価安定の理解に照らして、日本経済が物価安定のもとでの持続的な成長軌道を辿る蓋然性が高いことを確認し、リスク要因を点検しながら、経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで、徐々に金利水準の調整を行うことになると考えられる。」との見方も継続されるとみられる。
日銀のホームページに「IMFC終了後の福井総裁、篠原財務官記者会見における総裁発言要旨より」がアップされた。IMFCとは20日にワシントンで行なわれた国際通貨金融委員会である。福井日銀総裁は、G7やIMFCなどを通じFRB のバーナンキ議長やECB のトリシェ総裁との会談等において活発な意見交換を行なったものとみられる。
ここにおいて、米サブプライム問題による影響が「世界経済の成長にとって不透明要因となっている」ものの、「エマージング諸国の高成長にも支えられ、世界経済のファンダメンタルズは引き続き強い」ということが確認されたことも示している。
今回のサブプライム問題の原因として福井総裁は、「Great Moderation」という状況が続いてきた中で、エマージング諸国の台頭が進み、ここに産油国も加わり、これら豊富な国際的な資金の流れが飛躍的に拡大。ここに、金融面でのイノベーションも加わったものの、その一部にリスクの評価に緩みが生じ、その後の市場の自律的な調整に繋がったと指摘している。
グローバル・インバランスの問題や、エネルギー価格の高騰や希少資源の価格の高騰という問題といったような本質的課題を念頭において、世界の経済・金融を大きな構図で捉えて行くことが重要だとも指摘している。
その上で、「こうした課題を乗り越え、世界経済の持続的な拡大を確保していく必要があります。そのために、各国がそれぞれの立場で適切な施策を実施していくことを改めて確認しました。」としており、日銀としても他国の金融政策に影響されるのではなく、自らの立場で今後の金融政策を行なっていく姿勢を示した。
今後のマーケットとの対応については、「予見可能性を人々が早く抱くようになり、問題が起こった後のショックの吸収能力とキャパシティー(吸収余力)も大きくなるという形で、常に前向きに何か新しいものを作り上げていくという良いリズムをうまく見出していけるかどうかが課題となっていると思います。」との姿勢は適切なものと思われる。
そして、金融政策の運営に関しては、「単に先を読むということではなく、常に過去を振り返り、その中から将来の政策運営に役に立つ要素を引き出し、かつそれに付加価値を加えて政策行動に結び付けていく」というフォワードルッキングな政策運営を維持することを示した。
その上で、「われわれが思っている基本的シナリオに何か瑕疵があるということは確認されませんでした。われわれはむしろ確信を深めた」との発言もあり、最後に「われわれは一点の霧もない澄み切った世界に改めて戻るという幻想は持っておりません。常に先が読み難い状況の中で本当に正しい政策を行っていくことが本来の姿であり、今後ますますそういう姿になっていくという覚悟を各国政策当局者はしっかり持っているということが、今回確認されました。」と結んでいる。
今回のG7やIMFCにおいて、日銀としてもFRBやECBの姿勢に変化があったりかどうかを見極めたいということもひとつの課題であったのではないかと思う。今回の福井総裁の発言からは、日銀がこれまでのシナリオを変更するほどの影響はなく、フォワードルッキングな政策運営を維持した上で、それぞれの立場で適切な施策を行なうとの立場を示した。つまり日銀とすれば、「リスク要因を点検しながら、経済・物価情勢の改善の度合いに応じたペースで、徐々に金利水準の調整を行う」(全国信用組合大会における武藤副総裁挨拶より)姿勢に変化はないことを示したものと思われる。
かなり以前の話となってしまうが、10月7日に同じ小、中、高校に通っていた地元の友人の釣り師匠に連れられて、茨城県の涸沼にハゼ釣りに出かけた。ハゼ釣りは私がまだ小学校の低学年時代に、父親に連れられていった八景湾でのハゼ釣り以来、40年ぶりぐらいとなる。当時の東京湾のハゼ釣りは誰でも釣れたような記憶があったが、実際にはなかなか難しいものであった。
涸沼といえばシジミで有名だが、ウナギが美味しいことでも知られるところである。船で釣る人も多いようで、当日も数多くの小船が出ていた。朝7時前には現地についていたが、涸沼のハゼ釣りは意外と有名らしく、すでに釣り人もボチボチといた。時間が経つにつれ釣り人は増えていった。
岸からは投げをしなければならず、これがなかなか初心者には難しい。師匠はさすがに遠くまで投げてひょいひょいと釣って、気がついたら30匹以上も釣り上げていた。私のほうは5匹足らず。腕の差を見せ付けられた格好に。しかし、周りの釣り人もさほど掛かっておらず、師匠がうますぎたようである。
途中で近くの店にシジミを買いに行く。偽装ばやりではあり、この涸沼産シジミもどこかで偽装されていたという事件もあったが、さすがに地元の店、しかも漁師の店で売っているのは涸沼産のはずである。
14時あたりで切り上げて、帰宅したのだが、堤防やらあちらこちらに釣り人の姿があった。ネットで一応調べてみたが、今年はそこそこ釣れるとはあったものの、それほどにぎわっているような様子でもなかったことで、こんなに釣り人がいたのは予想外。ハゼは帰ってすぐにバーベキューで食した。
1987年10月19日月曜日、この日のニューヨークダウ工業株30種平均は引け値で前週末より508.32ドルも下がり、下落率で22.6%と過去最大規模の暴落となり、この暴落は世界の株式市場に飛び火した。
20日の東京市場では、日経平均株価は前日比3836.48円(14.9%)の下げとなるなど、世界的な株価暴落を招いたが、これがのちに「ブラックマンデー」と呼ばれ、金融市場の歴史に刻まれている。これを受けて、日銀は短期金利の低め誘導を実施し、ここから債券相場は急反発したのである。
当時、私は債券ディーラーになってちょうど1年目となっていた。当初の1986年10月から1987年3月まではまさに試行錯誤の連続となり、1986年度は半年だけであったが、結局、トータルで損失となってしまった。しかし、その反省を生かして、1987年度以降は年度ベースではなんとか収益はプラスを維持した。そんな1987年度だが、債券市場にとってもこの年度は、このブラックマンデーのみならず、その前に引き起こされたタテホショックもあってかなりの大荒れともなっていた。
10年89回債を主体とした債券ディーリング相場は崩壊し、金融機関のみならず、事業法人でも債券相場において大きな損失が発生した。そして、1987年9月2日、タテホ化学工業が債券先物取引において286億円もの損失を出したことが明らかになった。このニュースにより、債券市場において、いわゆる「タテホショック」が引き起こされ、債券相場は暴落(長期金利は急上昇)したのである。9月3日から5日までの3日間で、89回債は1%あまりも利回りが上昇した。
1987年5月中旬に債券売買の決済期間の短縮されるとの発表があり、また10月国債が3年3か月ぶりに休債(予定されていた発行を中止すること)、日銀の短期金利高め誘導などがあったことで、債券相場は10月まで下落を続けたのである。また、企業の借り入れ需要が起きたことをきっかけに、生保、都銀が債券ポジションを縮小させたことなども影響した。このため、10年国債利回りは5月から10月にかけて、2.55%から6.4%に上昇したのである。
そして、10月19日のブラックマンデーをきっかけに債券市場は今度は急反発(利回りは低下)し、まさに相場が大きく変動しただけに、ディーラーにとってはまさに儲けるチャンスでもあったとも言えた。
しかし、ここにきての債券市場動向を10年債の利回りを年ベースでみると、2000年1.530-1.990%、2001年1.020-1.630%、2002年0.895-1.570%、2003年0.430-1.675%、2004年1.190-1.940%、2005年1.165-1.630%、2006年1.405-2.005%、2007年が現在のところ1.500-1.985%と2003年に1%以上の動きはあったものの、そのほかの年は1%以内の動きに止まっている。それはそれで利回りが安定しているともいえるが、以前にはわずか3日間で利回りが1%も揺れ動いたこともあったのである。市場関係者にとりこういった変動も起こりうることは常に認識しておく必要もあると思われる。
ベージュブック(Beige book)とは正式には米地区連銀経済報告書(Summary of Commentary on Current Economic Conditions by Federal Reserve District)のことで、12の地区連銀が管轄地域の経済状況や景気動向を収集し、FOMCに提出するものです。FOMCが開催される2週間前の水曜日に公表されます。 ベージュブックは、FOMCでの金融政策を決定する上での討議資料となっており、金融政策を変更する際の判断材料になります。
31日のFOMCの2週間前の水曜日にあたる17日に発表されたベージュブックでは、次のような内容となっています。
9月と10月上旬にかけてすべての地域で、経済活動は引き続き拡大基調となっている。ただし、拡大のペースは8月以降は減速。アトランタ、ボストン、シカゴ、ミネアポリス、ニューヨーク、フィラデルフィア、およびセントルイスの7連銀の地区では前回と景況感は変わらず。クリーブランド、ダラス、カンザスシティー、リッチモンド、およびサンフランシスコの5連銀の地域では経済は減速した。
拡大のペースについては、「適度」、「穏やか」、「ミックス」などに分かれた。
個人消費が拡大したものの、レポートではややまちまちとなっており、成長は9月、10月上旬の伸びは8月より鈍化した。製造業とサービス業は拡大傾向となったが、、サービスは住宅建設と不動産関連取引に影響を受けた。 いくつかの製造関連企業やサービス会社は、内需が弱いものの世界市場への好調な輸出によって、これが相殺されたと報告された。
住宅市場は減速し続けている。ほとんどの地区で国内販売、価格、および建設が悪化したと報告された。 金融機関からは、焦げ付きの増加や信用に対する質の低下が報告された。 多くの地区の貸し手は与信基準が厳格化された。 報告では、企業向け融資が増加しているものの、個人向け融資は減少もしくは伸びが鈍化している。
17日に米商務省が発表した9月の住宅着工件数(季節調整済み)は、年率換算で119万1000戸となり、市場予測を大幅に下回り、前月比で10.2%の大幅な減少となった(前年同月比で30.8%減)。119万1000戸は、1993年3月の108万3000戸以来、14年半ぶりの低水準となる。
「Privately-owned housing starts in September were at a seasonally adjusted annual rate of 1,191,000. This is 10.2 percent below the revised August estimate of 1,327,000 and is 30.8 percent below the revised September 2006 rate of 1,721,000.」(米商務省センサス局のホームページより)
また、先行指数とされる新築許可件数は年率122.6万件となり、8月と比較して7.3%の減少とこちらも低い数字となっていた。
「Privately-owned housing units authorized by building permits in September were at a seasonally adjusted annual rate of 1,226,000. This is 7.3 percent below the revised August rate of 1,322,000 and is 25.9 percent below the revised September 2006 estimate of 1,654,000.」(米商務省センサス局のホームページより)
米サブプライム問題の影響が、こういった指標にも現れているとみられる。バーナンキ議長は、講演で住宅市場が一段と低迷し、来年初めまで経済成長の大きな重石になると発言しており、ポールソン財務相も、住宅市場の低迷は依然継続し、米経済にとり現在最もリスクと認識と発言していたが、それを裏付けるような数字ともなっていた。
「出挙」(すいこ)という言葉を聞いて、日本史の教科書を思い出す方もいるかと思います。貯蔵した初穂の稲を春に種籾として貸し出して、秋の収穫時に神へのお礼として五把の稲を利息の名目でお返しするという「出挙」は日本における利子の起源であり、金融の起源とも言われています。中国では古くからこういった利子付き貸借の慣習が存在したとされていますが、日本でも同様の慣習が行なわれていたとみられれています。実際に文献などでは、日本書紀に「貸稲」の語が登場し、これが出挙の前身ではないかとの見方もあるようですが、実際には757年に施行された養老令において「出挙」の語が現れ、これが制度化された日本の利息の起源だと見なされているようです。
出挙という制度のそもそもの目的は、農民の生活を維持していくためのひとつの手段でした。出挙には国司が官稲を用いて行う公出挙と、個人が行う私出挙とがありました。律令制のもと、出挙は公出挙であれば、繁雑な事務を行わなくとも、強制的な公出挙を行うことで、多額の収入を確保することができたことなどから、国家の重要な財源となっていったことでのです。利息に当たる雑税のことは「利稲」と呼ばれていましたが、その利息は一般に公出挙で50%という高い利息だったのです。
平安時代末期には、借上と呼ばれる銭を貸して高利の利息をとる主として僧侶が営む専門の金融業者が現れました。そして、鎌倉時代になると土倉と呼ばれる質屋が借上に代わって金融業者の主流を占めるようになりました。
鎌倉時代の末期からいわゆる南北朝時代にかけては、中国大陸から銭貨が大量に入り、それが社会に広く流通しはじめたことから、稲の出挙ではなく、金銭の出挙といったものも行なわれるようになったようです。
室町時代に入ると、土倉は不特定多数の人々から利子付きでお金を集め、これを原資として貸付を行う合銭や、現在の為替に相当する替銭にも従事するようになり、土倉は預金、貸付および為替業務を営むまさに現在の銀行のような役割を持っていたのです。
エドウィン・グリーンの「図説 銀行の歴史」によると、1820年代以降、手形割引商がロンドンに出現し、為替手形を銀行や他の会社に流すようになったそうです。 手形割引商最大手のオーヴァーランド・ガーニー商会が1866年に倒産した後、これらの仲介業者の多くが株式会社方式を取るようになり、その後、こういった会社が、主として短期資金の仲介業務によって、イングランド銀行と市中銀行の間の緩衝物として重要な役割を果たすことになりました。
日本においても短期金融市場の設立とともに、その仲介役としての短資会社の出現によって、短期金融市場が発展してきました。その歴史を振り返ってみましょう。 日清戦争後の企業設立ブームにより、銀行も数多く設立され、国立銀行の多くが普通銀行になるなどしたことで、普通銀行が大きく増加しました。明治26年に銀行条例、明治30年には金本位制が確立されるなどしたことも影響し、明治34年には1867行もの銀行が設立されていたそうです。
しかし、1901年(明治34年)には金融恐慌が発生しました。日清戦争後の反動不況に加え、米国経済の低迷などを受けて日本からの輸出が低迷となり、正貨流出を防ぐ目的で、日銀は一般貸出を抑制し、貸し出し回収をはかりました。1900年に九州の銀行で支払が停止し、明治34年4月には大阪の第七十九銀行と難波銀行が休業しました。これが全国に波及したのです。
この金融恐慌の経験に基づき、預金に対する支払準備資金の必要性に対する認識が高まったことなどもあって、金融機関相互の資金繰りを最終的に調整し合う場として、1902年にロンドン市場をモデルに誕生したのがコール市場なのです。日本で最も歴史のある短期金融市場といえます。
支払準備金の一形態として誕生したコール市場ですが、これ以降、このコール取引を主体業務とするビル・ブローカー(現在の短資会社)の設立が相次いだのです。ビル・ブローカーとは、Bill Broker、つまり証券、為替や手形を仲介する金融市場のブローカーです。
1902年5月に藤本清兵衛が、金融機関の支払い準備金市場設立の必要性の高まりを背景に藤本ビル・ブローカーを設立しました。藤本ビルブローカー証券は、後に藤本証券と社名を変更し、日本信託銀行と合併して大和証券となりました。
また、藤本ビル・ブローカーより独立した山根十吉が1909(明治42)に山根ビル・ブローカーを設立し、1942(昭和17)に山根短資株式会社に社名変更しています。 1909年には、東京短資の前身となる柳田ビル・ブローカーが創業を開始しています。コール市場のブローカーとしてこのように、短資会社が大きな役割を演じるようになります。
「ビル・ブローカー」と聞いて、現在の金融市場関係者の多くも短資会社をイメージする人は少ないかもしれません。太平洋戦争の時代、敵性語は禁止されました。野球のストライクのことを「よし」と言い換えたように、「ビル・ブローカー」も名称を改め「短資会社」としましたが、されがそのまま現在でも用いられています。
(「短期金融市場の基本とカラクリがよ〜くわかる本」は、10月24日より全国の書店にて発売されます。)
10月11日の福井総裁会見の中で、総裁は「米欧の金融市場ではいくつか改善の動きがみられていますが、全体としては、なお不安定な状態が続いています。」とし、「CDOやCLOなどは、サブプライムに関係の無いものも含めてスプレッドが高止まっており、取引も停滞」している点を指摘。「(米国の)短期金融市場では銀行間のレートはまだ高止まった状態が続いており、正常な状態に戻ったとは言えない状況」を説明していた。その上で、「これらの市場の動き・変化が実体経済そのものに最終的にどのような影響を及ぼすか、といった点が最も重要な注目点」であることを指摘している。
そして、米シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェースなど複数の大手金融機関が、サブプライムローン問題に対応するため、共同で750億〜1000億ドル規模というLTCMの危機の際の20倍強の支援ファンド設立を検討しているとも報じられた。協議は米財務省の主導で行われているようで、奉加帳が回ったのではないかともみられる。積極的に金融不安を回避しようとの姿勢とも取られるが、その反面、サブプライム問題による影響がまだ根強く残っていることも認識させるものとなった。
また、野村ホールディングスは15日、米サブプライム問題で1456億円の損失を計上すると発表し、米国での住宅ローンの証券化事業から完全に撤退することも表明した。「米国で市場熟知していないと変調への対応手段限られるとわかった」とこの損失で野村HD社長のコメントもあったが、市場を熟知しているはずの米国の金融機関も大きな痛手を食っていたことも確かである。
9月の短観に見られていたように足元の日本経済はしっかりしており、サブプライム問題による金融市場での不安心理が後退し、さらに懸念も強い米経済への影響もさほど大きくはないとの見方が強まれば、早期の追加利上げの可能性はあるとみていた。しかし、サブプライム問題による金融市場での不安心理はなかなか後退せず、米経済への影響についても、バーナンキFRB議長は15日の講演で「金融市場の混乱、FRBの景気見通しに多大な影響を与えた」「完全回復には時間を要する」といった発言もしており、こういったFRBの姿勢が、上記の日銀の福井総裁発言にも影響していたのではないかともみられる。
このため、10月31日における日銀の追加利上げの可能性しはさすがに小さいと見ざるを得ず、米国経済や米国金融市場の動向を見ながら、日銀は年内での利上げのタイミングを模索していくものとみられる。
「格付け」とは、債券などの元本や利息が、約定通りに支払われるかどうかの確実性を、専門的な第三者(格付機関)が評価して段階的に表示したものである。
たとえば、ある会社が債券を発行したいとき、格付け機関に費用を払って格付けを取得する。もしこの格付けが高いと、その企業の安全性が高いことが認められたわけで、高い利子をつけなくても債券を発行できるようになる。格付け機関は、こういった企業の格付けのほかに、独自で国の格付けも実施している。
米国の大手格付け機関のムーディーズ・インベスターズ・サービスは、1998年11月日に日本政府発行の国債の格付けを、Aaa(トリプルA)からAa1(ダブルA1)と最も高い段階から、一段階引き下げた。さらに2000年9月には、Aa1からAa2(ダブルA2)ともう一段引き下げ、2001年12月にはもう一段格下のAa3(ダブルA3)にまでに引き下げた。そして、2002年5月には、A2まで二段階も引き下げていた。
先進七カ国の中でみると、米国、英国、フランス、ドイツ、カナダがAaa(トリプルA)となっており、イタリアは2002年5月にAa3(シングルA3)からAa2(シングルA2)と一段階引き上げられている。
日本国債の格下げの理由として、ムーディーズは「日本の政策では国内債務の持続的悪化に歯止めがかけられないため」といったことをあげていた。(以上、拙著「日本国債は危なくない」より)
そして、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは2007年10月11日に、日本政府の円建て国内債券(日本国債)の格付けをA2からA1に引き上げた。
ちなみに現在のところ、A1(シングルA1)格の国には、チェコ、中国、キプロス、ギリシャ、チリ、バハマ、ボツワナ。A2(シングルA2)格の国には、イスラエル、ハンガリー、ポーランド、南アフリカ、ラトビア、リトアニアなどとなっている。
7月にムーディーズは日本の格付けA2を引き上げ方向で見直していたが、今回の格上げの理由は、福田新政権下で財政方針が継続されるとの期待を反映したものだとか。
2002年5月にムーディーズ、日本国債をAa3からA2に引き下げていた。こういった格付け会社の格下げに対して2002年4月に財務省は欧米の格付け会社3社に対して、日本国債の格付けに関する「意見書」を送付していた経緯もあった。
今回の格上げに対して、相場への影響はほとんど皆無となっていた。格下げの際にも肝心の日本国債はほとんど無視といった状態ともなっていたのことからも当然の動きか。
しかし、格下げの理由も良くわからないが、このタイミングでの格上げの理由もまた良くわからない。
秀和システムさんより、私の6冊目となる本が10月24日に発売されます。題名は「短期金融市場の基本とカラクリがよ〜くわかる本」定価 2,100 円(本体 2,000円)です。
この本の半分程度が日銀の役割や金融政策に関するものとなり、そしてその金融政策に大きく関わっている短期金融市場について知っておきたい項目を網羅しました。 金融について興味のある学生や社会人の方々はじめ、金融の現場にいる方にも、ぜひ読んでいただければと思います。
目次
第1章 日本銀行の役割
1-1 日本銀行の役割
1-2 銀行の銀行
1-3 政府の銀行
1-4 通貨の発行
1-5 最後の貸し手
1-6 物価の番人
コラム 世界の中央銀行
第2章 日本銀行の歴史
2-1 中央銀行の歴史
2-2 イングランド銀行の歴史
2-3 連邦準備制度理事会(FRB)の歴史
2-4 欧州中央銀行(ECB)の歴史
2-5 日本銀行の設立以前
2-6 日本銀行の設立
2-7 戦前の日本銀行
2-8 日本銀行法の公布
2-9 日銀法改正に向けての歴史
第3章 日本銀行の業務と仕組み
3-1 新日銀法
3-2 日本銀行の組織
3-3 オペレーション
3-4 日銀券の発行と流通
3-5 当座預金取引
3-6 決済業務と日銀ネット
3-7 日銀考査
3-8 統計やレポート
第4章 日本銀行の金融政策
4-1 金融政策の目的
4-2 政策委員会
4-3 金融政策決定会合
4-4 金融政策の決定
4-5 金融政策における独立性
4-6 議決延期請求権
4-7 金融政策における透明性
4-8 市場との対話
4-9 各国の金融政策
第5章 金融政策の移り変わり
5-1 日銀法改正以前
5-2 日銀法改正
5-3 新生日本銀行
5-4 第一次ゼロ金利政策と解除
5-5 量的緩和政策の導入
5-6 デフレと追加緩和
5-7 量的緩和政策とゼロ金利政策の解除
5-8 2つの柱
コラム スイスのゼロ金利政策とその解除
第6章 金融政策の影響と効果
6-1 金融政策の影響
6-2 無担保コールレートとロンバート金利
6-3 金融政策と短期金融市場との関係
6-4 金融政策と債券市場との関係
6-5 金融政策と外国為替市場との関係
6-6 金融政策と株式市場との関係
6-7 金融政策と政治
6-8 金融政策とマスコミ
コラム 「決定会合での5対4はありうるか」
第7章 インターバンク市場の役割
7-1 短期金融市場とは
7-2 無担保コール市場
7-3 有担保コール市場
7-4 手形売買市場
7-5 米国のフェデラル・ファンド市場と日本のコール市場
7-6 量的緩和政策と短期金融市場
7-7 決済とRTGS
第8章 インターバンク市場の歴史
8-1 銀行の誕生
8-2 銀行の発達
8-3 日本での銀行設立
8-4 手形交換所
8-5 日本でのコール市場の誕生
8-6 有担保から無担保に
8-7 手形売買市場の誕生
8-8 金融政策の目標の変遷
第9章 インターバンク市場の仕組み
9-1 インターバンク市場の参加者
9-2 短資会社の役割
9-3 インターバンク市場取引の概要
9-4 無担保コール取引の概要
9-5 有担保コール取引の概要
9-6 日中コール取引
9-7 手形売買取引の概要
9-8 ドル・コール市場と東京オフショア市場
第10章 オープン市場の機能
10-1 オープン市場の概要
10-2 現先市場の概要
10-3 短期国債市場の概要
10-4 CD市場の概要
10-5 CP市場の概要
10-6 レポ市場の概要
第11章 オープン市場の歴史
11-1 現先市場の歴史
11-2 短期国債市場の歴史
11-3 CD市場の誕生
11-4 CP市場の誕生
11-5 レポ市場の設立
第12章 オープン市場の仕組み
12-1 現先取引の仕組み
12-2 短期国債取引の仕組み
12-3 CD取引の仕組み
12-4 CP取引の仕組み
12-5 レポ取引の仕組み
10日から11日の決定会合で、金融政策に関しては8対1の賛成多数で現状維持が決定されました。反対者が増えるのではないか、といった観測もありましたが、今回も反対者は水野委員一人となりました。
会合後の福井日銀総裁の会見においては、「海外経済や国際金融市場に不確実性がある」「欧米金融市場は、いくつか改善の動きみられるが全体としては不安定」、「米調整長引けば、これまでより日本に強い影響出る可能性」として、慎重に情勢を見守る姿勢を示すとともに、物価の上昇を意識した発言もみられ、「物価が上昇し始まっていることと経済の変調は関連している」「人々の物価感はフォワードルッキングな政策にとって非常に重要」との発言もありました。このため米経済など世界経済の動向や金融市場の不確実性が後退し、さらに国内物価の上昇などを確認しながら、利上げのタイミングを模索してくるものとみられる。
総裁会見では追加利上げを強く示唆したわけではないものの、内容からは年内利上げの可能性もないとは言えません。市場でも次第に追加利上げを織り込んでくるとみられ、長期金利は今後、さらに上昇圧力が加わる可能性があるのではないかと思われます。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、福田新政権下で財政方針が継続されるとの期待を反映し、日本政府の円建て国内債券(日本国債)の格付けをA2からA1に引き上げた。7月にムーディーズは日本の格付けA2を引き上げ方向で見直していた。
2002年5月にムーディーズ、日本国債をAa3からA2に引き下げていた。こういった格付け会社の格下げに対して2002年4月に財務省は欧米の格付け会社三社に対して、日本国債の格付けに関する「意見書」を送付していた経緯もあった。
今回の格上げに対して相場への影響はほとんど皆無か。格下げの際にも肝心の日本国債はほとんど無視といった状態ともなっていた。しかし、格下げの理由も良くわからないが、このタイミングでの格上げの理由もまた良くわからない。
日銀の須田美矢子審議委員は、9月27日の講演において、「最近、マヨネーズ、タクシー料金、ワイン、即席めん、コピー用紙など、値上げに関するニュースを頻繁に目にするようになりました。私自身、主婦として非常に気になるところです」とおっしゃっていたが、今度は食パンも24年ぶりに値上げするそうである。主原料の小麦が高騰しているほか、材料の乳製品や包装資材などの価格上昇も影響しているとみられる。
新聞報道によると、製パン最大手の山崎製パンは9日、パン製品や和洋菓子など計約500品目について、12月1日出荷分から希望小売価格を平均約8%値上げすると発表した。値上げは食パンが1983年以来の実に24年ぶり、菓子パンなどは17年ぶりだそうである。最大手のヤマザキがいち早く値上げを表明したことで、第一パンなどの他社も追随して値上げに踏み切る可能性が高い。私は毎朝、パンをコンビニで買っているが、値上げの影響をもろに受ける一人となりそうである。
須田委員はこの値上げについて次のような発言もしている。
「息の長い景気拡大が続くもとで、生活必需品の値上げや、値上げに関する報道を頻繁に目にすることにより、消費者サイドにおいても、徐々に価格転嫁を受容するムードが醸成されつつあるという面もあると思われます。最近では、業界を代表するプライスリーダー的な企業が値上げに踏み切るケースも窺われており、競合他社を意識して様子見をしていた企業の間にも、値上げに追随する動きが広範化してくる可能性もあります。」
昨日は山崎製パンだけでなく、丸大食品、エスビー食品も値上げを発表している。エスビー食品はカレーやシチューなどの家庭用ルウ商品と業務用のフレーク商品、レトルト、缶詰商品の計156品目の値上げを発表した。11月12日出荷分から、10%程度値上げする。カレーのルウ製品では、すでに最大手のハウス食品が、9月に11月1日出荷分からの値上げを発表している。丸大食品も、ハム、ソーセージなど加工食品の卸売価格を22日から平均で約1割値上げすると発表した。
このような相次ぐ生活関連商品の値上げは家計を圧迫する反面、企業にとっては収益環境の改善ともなる。また、物価に関しては須田委員の発言にもあったが、「このまま雇用のタイト化と原材料価格の高止まりが続けば、そう遠くない将来、インフレ率が思いのほか上振れるリスクも、念頭においておく必要がある」ため注意も必要となる。原材料価格の上昇は中長期的に続くことが予想されていることで、すでに企業努力の範囲内では吸収できる状況ではなくなりつつある。
10月10日から11日にかけて日銀の金融政策決定会合が開催される。今回については現状維持となると予想されるが、現状維持への反対票が増える可能性がありそうである。日銀は8月に追加利上げを模索していたとみられるが、世界的な流動性への懸念による金融市場の混乱などによって、見送らざるを得なかった。しかし、少なくとも金融市場の混乱はかなり解消されつつあり、米国株もダウが最高値を更新するなどしている。日経平均株価も17000円台を値固めしつつある。
日銀の追加利上げ時期はかなり後連れするとの見方が市場では強いものの、9月の短観に見られていたように足元の日本経済はしっかりしており、サブプライム問題による金融市場での不安心理が後退し、さらに懸念も強い米経済への影響もさほど大きくはないとの見方が強まれば、年内での追加利上げの可能性はある。「あまりにゆっくりとした金利調整を行うと、経済が過熱するリスク」(須田委員)もある。
この須田委員はかなり前からサブプライム問題への懸念を持っていたのではないかとも見られ、ここのところ追加利上げに対しては慎重姿勢を続けていたとみられるが、その影響が限定的と認識すれば、現状維持に反対してこよう。ただ他にも、追加利上げに積極的とみられる委員がいるのではないかとの観測もある。
10日から11日の決定会合では須田委員の反対がないとしても、水野委員とともに反対票がもう一票程度入る可能性もあり、そうなると市場の金融政策への見方も微妙に変化してこよう。11日の結果と福井総裁の会見内容次第では、市場でも次第に再び追加利上げを織り込んでくるとみられ、長期金利にも上昇圧力が加わる可能性がありそうである。
米労働省が5日に発表した9月の 雇用統計(季節調整済み) は、注目された非農業雇用者数が前月に比べて11万人の増加となった。市場予想は10万人近辺となっていたがそれを上回ったことに加え、8月の雇用者数は4千人の減から、8万9千人増に改定された。7月の同数字も6.8万人から9.3万人に修正された。
9月の業種別の就業者数は、米雇用を引っ張っているサービス業が14万3千人増の一方、建設業は1万4千人減、製造業も1万8千人減少。サブプライムローン問題が雇用情勢に与えた影響はあるものの、サービス業などの増加でカバーし、これまでのところその影響は限定的との見方も強まった。
8月の雇用者数は4千人の減少から、8万9千人増に改定された要因としては、夏休み中の教員などの把握に問題あったと日経は伝えていた。公務員の雇用増を政府が正確に把握していなかったとか、単純な集計ミスとの見方もあった。
失業率(軍人を除く)は4.7%となり、前月より0.1ポイントの上昇となった。平均時給は17.57ドルで前月比プラス0.4%、前年同月比プラス4.1%。賃金の上昇率はなお高いことで、労働需給の引き締まりによるインフレ懸念も引き続き残っているとみられる。
この指標発表後、FRBのコーン副議長は「利下げ幅が大きすぎる場合は相殺することもある」「政策金利の決定は機敏に行なう必要がある」と述べたことから、5日の米国債券市場は短いところ主体に利回りが大きく上昇した。またこの5日の米株式市場は上昇、ダウは91.70ドル高の14066.01ドルと最高値を更新、S&P指数も最高値を更新した。
ECBが金融政策の先行きを特定の言葉で示唆する「事前予告方式」の修正を図りはじめたと5日の日経新聞が伝えている。8月の記者懇談でトリシェ総裁は「物価上昇を強く警戒」との表現で翌月の利上げを示唆したが、その後のサブプライム問題による金融市場の混乱で9月の利上げは見送られた。このように突発的な市場の動向には事前予告方式は対応できない。平時であれば、淡々と利上げなり利下げなりも可能となるが、こういった市場の混乱は何年かに一度は見受けられるものでもある。
4日のECB理事会後のトリシェ会総裁見では、追加利上げの可能性を示す「金融政策は依然緩和的」という表現はなかった。市場ではこれにより利上げ局面は終了かとの見方も出ていたが、経済見通しに対して不透明感の強まりで、政策の方向性をはっきり打ち出せないといった事情もあったものとみられる。今回「緩和的」とのキーワードを使わなかったことに対してトリシェ総裁は、「金利が緩和的かどうかかかわらず(ECBの)責務は物価安定」と述べたようである。
9月18日のFOMCで米FRBはFF金利の誘導目標値を0.5%引き下げ4.75%としたが、これを受けて米債はインフレ懸念の強まりなどが意識され、長期債主体に下落基調となった。9月18日から19日にかけて開催された日銀の金融政策決定会合では、予想されたように追加利上げは見送られたが、円債も米債につれ安するかちで下落した。長期金利は18日に1.530%をつけていたが、27日には1.725%と0.2%程度の利回り上昇となった。また、米サブプライム問題による金融不安は次第に解消に向かいつつあるとの認識も強まった。欧米の大手銀行などがサブプライム関連による大幅な損失を計上したとの報道も相次いだが、これはむしろ信用収縮は最悪期を脱したとの見方が強まりダウは過去最高値を更新した。これを受けて日経平均株価も17000円台をつけた。このため債券はいったん下げ止まったものの、戻りも鈍く、その後長期金利は1.7%近辺での動きが続いた。
総務省が9月28日発表した8月の全国のコア消費者物価指数は前年同月比0.1%の下落。9月のコア東京都区部消費者物価指数は前年同月比0.1%下落となり、引き続き消費者物価についてはゼロ近傍が続いた。8月の全世帯実質消費は前年比+1.6%、季調済前月比+0.4%となり、8月は猛暑の効果が消費支出を大きく押し上げた。同日に経済産業省が発表した8月の鉱工業生産指数は前月比3.4%上昇と、2か月ぶりの上昇となった。経済産業省は生産の動向について全体の基調判断を3カ月ぶりに「横ばい傾向で推移」から「緩やかながら上昇傾向」に上方修正した。また、1日に発表された9月調査の日銀短観によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス23となり、前回6月調査と変わらずとなったが、市場予想のプラス22を上回った。2007年度大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+8.7%と0.9%の上方修正となった。ただし、中小企業の業況判断や設備投資計画が弱く、大企業との格差が広がっていることが示された。短観の調査時期には、サブプライムローン問題に端を発した金融市場の混乱などがあったものの、足元国内経済に関しては、格差は広がってはいるが、全般で見る限りさほど影響ないとの認識か。これにより10月末に発表される日銀の「展望リポート」については、現在のシナリオが維持されるとみられる。
日銀の須田審議委員は9月27日の講演の中で、米国経済については、サブプライム問題の影響により「米国経済の成長率が潜在成長率並に回復する時期は、やや後ズレする可能性が高い」とみているものの、「(日本の)輸出の見通しにはさほど大きな影響を及ぼすことはない」と考えていることを示した。また、今後については「どのようなスピードで金利調整するのが望ましいのか定かではありません。ただ、あまりにゆっくりとした金利調整を行うと、経済が過熱するリスクが高まります。もし遅すぎる対応であったことが判明し、将来の過熱リスクが高まれば積極的に対応しなければなりません。」とも指摘した。また10月4日に岩田副総裁は講演で「仮に先行きアメリカの減速度合いが強まり、欧州諸国でも景気が減速するとすれば、日本の成長率に下方リスクが生じ得ることに留意する必要があります」とも述べていた。日銀の追加利上げ時期はかなり後連れするとの見方が市場では強いものの、短観に見られていたように足元の日本経済はしっかりしており、サブプライム問題による金融市場での不安心理が後退し、さらに懸念も強い米経済への影響もさほど大きくはないとの見方が強まれば、年内での追加利上げの可能性はある。それが展望レポートの発表される10月31日の会合となる可能性も排除はできない。長期金利は9月18日の1.530%から大きく切り返して一時1.7%台に上昇したが、今後も長期金利には上昇圧力が掛かりやすいとみている。
ISMが3日発表した9月の非製造業景気指数は54.8に低下、市場予想を下回り3月以来の低水準となった。しかし、価格指数は66.1と5月の66.4以来の高水準となりインフレ懸念も意識された上、雇用指数は52.7と8月の47.9から改善した。
米供給管理協会が発表しているISM製造業景気指数とISM非製造業景気指数は、景気転換の先行指標として重視されている。
ISM製造業景気指数は、米供給管理協会が製造業約350社の購買担当役員にアンケート調査を実施し、1か月前と比較して、「良い」「同じ」「悪い」の三者択一の回答を元に、季節調整を加えた景気動向指数を作成。
1931年から続いている伝統的な経済指標でもあることや、主要な米国の経済指標の中では最も早く発表されることに加え、企業の景況感を反映し景気転換の先行指標とされることから、市場での注目度も高い。 日本の景気動向指数と同様に、50%が景気動向の良し悪しを測る分岐点となる。50%を上回ると景気拡大、下回ると景気後退を示唆しているとみられる。FRBの金融政策のスタンスを見極める意味でも注目されている指標のひとつ。
日本では江戸時代に、「両替商」と言う銀行に近い商売がありました。江戸時代には金・銀・銭という3種類の貨幣が支払手段として利用されていました。両替商は、この金銀銭貨の交換ニーズを背景として登場しました。商人は可能な限り現金銀の取り交わしを避け、現金銀を両替商に預け入れ手形によって決済するといった慣習が出来上がりました。このようにして両替商は、商人や大名などを取引相手に預金の受け入れ、さらに手形の発行や決済、加えて貸し付け、為替取引など各種の金融業務を広く営むようになりました。このため、17世紀イギリスのゴールドスミスに匹敵した初期的な銀行の域に到達していたとされています。
日本における本格的な商業銀行は、明治維新後に誕生した第一国立銀行とされています。明治政府は大蔵少輔伊藤博文の建議に基づいて、アメリカのナショナル・バンク制度にならった発券銀行制度を導入することとしました。
この銀行制度の導入にあたっては、この伊藤案に対して、イングランド銀行をモデルにした中央銀行制度を導入すべしとした吉田清成との間で銀行論争が闘わされていました。結局、井上馨の裁断によって、伊藤案が採用されることとなったのです。 明治5年11月、国立銀行条例を制定しました。そして、国立銀行4行が設立され、銀行券発行が始まりました。
国立銀行という名称は、第一国立銀行の初代頭取となった渋沢栄一によりナショナル・バンク(連邦法に準拠して設立された銀行)の訳語として作られたのですが、文字通りの国立の銀行ではなく、政府とは資本関係のない民間の銀行でした。
ちなみに日本語の「銀行」という言葉は、1872年制定のこの「国立銀行条例」の典拠となった米国の国立銀行法(「National Bank Act」)の「Bank」を「銀行」と翻訳したことに始まります。
この翻訳に当たっては「両替商」に変わる新たな用語を模索したようです。しかし、すでに中国では「bank」の訳語として「銀行」が用いられていました。このため中国で「同業商人組合」を意味する「行」を用い、「金行」あるいは「銀行」という案が有力になりました。
結局、「銀行」の採用が決まったのですが、これは、当時の貨幣制度が銀本位であったことや、「きんこう」よりも「ぎんこう」の方が発音しやすかったためとも言われています。
日本で最初の私立銀行は明治9年に開業した三井銀行です。一時は政府の銀行政策が国立銀行中心であったことから、私立銀行に対して準期すべき法規はありませんでした。しかし、日本銀行が設立され、国立銀行の処理方針が決定するなどしたこと、私立銀行の重要性が増加しました。そして明治26年に銀行を定義するなどした「銀行条例」が施行されました。
国立銀行の大きくは普通銀行に転換し、日清戦争前後には企業設立ブームとともに普数多くの通銀行が設立されました。しかし、明治34年の恐慌を経て預金は三井・住友・第一などの大銀行に集中するようになりました。
明治20年には横浜正金銀行条例が公布され、横浜正金銀行が政府御用の海外為替銀行としての特殊銀行となっています。明治政府の殖産興業推進のため明治28年に日本勧業銀行法が公布され、明治33年には動産抵当銀行の設立のために日本興行銀行法が公布されまし た。
日本銀行の発表している統計の中で、金融市場関係者が最も注目しているのが「短観」と呼ばれるアンケート調査である。
日銀が年に4回、業況感に関しての調査表を直接企業の経営者に送り、それを記入してもらい、回収して経済観測をまとめたもの。短観は、サンプル数も多い上、日銀が相手ということもあって回収率も高く、数多くある経済指標の中でも注目されている統計となっている。
3月、6月、9月、12月に調査が実施され、その結果は4月、7月、10月は上旬に、そして12月は年末ということもあり、12月中旬に発表されている。
短観は他の経済指標に比べて、速報性に優れ、企業が認識している足元の業況判断とともに先行きの業況についてどのような予測をしているのかを見るためにもたいへん貴重な指標。発表時間は発表当日の朝8時50分。同時刻に日銀のホームページにアップされる。
この短観の中で、最も注目されているのが「大企業製造業の業況判断DI」である。前回のDIと比較することで足元の景気判断が良くなっているのか、悪くなっているのかも比較できる。エコノミストなどはこのDIを事前に予測しておりこの予測の乖離が市場に影響を与える。また、大企業非製造業のDIもチェックしておく必要がある。ちなみにD.I. (Diffusion Index)とは、企業の業況感や設備、雇用人員の過不足などの判断を「指数化」したものである。また、短観の「設備投資計画」は、他の指標による設備投資の動向よりも先行きを捉えやすいことで重視されている。
1日に発表された9月調査の日銀短観によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス23となり、前回6月調査と変わらずとなったが、市場予想のプラス22を上回った。サブプライムローン問題に端を発した金融市場の混乱などがあったものの、足元国内経済に関してはさほど影響ないとの認識か。ただし、12月予測はプラス19となり、米経済の減速懸念なども多少影響か。
大企業非製造業・業況判断DIはプラス20とこちらは市場予想を下回ったが、2007年度大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+8.7%と0.9%の上方修正となった。ただし、中小企業の業況判断や設備投資計画が弱く、大企業との格差が広がっていることが示された。
短観の調査時期には、サブプライムローン問題に端を発した金融市場の混乱などがあったものの、足元国内経済に関しては、格差は広がってはいるが、全般で見る限りさほど影響ないとの認識か。これにより10月末に発表される日銀の「展望リポート」については、現在のシナリオが維持されよう。
幸田真音さんの新刊「Hello、CEO」が、光文社から9月21日に発売されたことを記念して、サイン会が開催されます
今週4日(木)6時半から、日本橋丸善で、
5日(金)6時半からは、
にて、
それぞれ開催されます。
ふるってご参加いただければと思います。私も伺います。
本日発表された9月調査の日銀短観によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業製造業でプラス23となり、前回6月調査と変わらずとなったが、市場予想のプラス22を上回った。サブプライムローン問題に端を発した金融市場の混乱などがあったものの、足元国内経済に関してはさほど影響ないとの認識か。ただし、12月予測はプラス19となり、米経済の減速懸念なども多少影響か。
大企業非製造業・業況判断DIはプラス20とこちらは市場予想を下回ったが、2007年度大企業・全産業の設備投資計画は前年度比+8.7%と0.9%の上方修正となった。事業計画の前提となっている想定為替レート(大企業・製造業)の2007年度下期について、2007年6月調査で114.23に対して9月調査も114.33とほとんど変化していない。CPの発行環境判断DIも変化なく、国内企業に関してはCP市場からの資金調達についてもほとんど支障は生じていない。
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