「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」


2007.11.30「10月全国コアCPIは昨年12月以来の前年比プラスに」

朝方発表された10月全国消費者物価指数(除く生鮮食料品)は前年同月比+0.1%と昨年12月以来の前年比プラスとなった。全般的に物価上昇圧力がかかっているところに、石油製品やエネルギー価格の上昇などが寄与したものとみられる。11月東京都区部消費者物価指数(除く生鮮食料品)も前年同月比+0.1%となっており、11月全国もプラス基調が維持されるものとみられる。コアCPIはこのまま上昇基調が来年に向けて続くとみられ、いずれ前年同月比+0.5%程度になる可能性がある。


2007.11.30「バーナンキFRB議長発言(ロイターより)」

「市場の混乱の再燃で、9-10月の改善が一部帳消しに」「市場混乱の再燃、見通しに「重大な影響」与えた」「FRBには引き続き「特別な警戒と柔軟性」が必要」 「金融市場の混乱で、経済見通しの不透明感が通常より高くなっている」「市場混乱が経済に及ぼす影響を注視し、金融動向を注意深く見守っている」「過去1か月の混乱で金融状況が一段と引き締まった、住宅市場にさらなる悪影響を及ぼす可能性」「前回FOMC以降の経済指標はまちまち、10月の雇用は堅調だが住宅市場は弱い」「コアインフレは引き続き落ち着いているが、原油価格は過去1か月に上昇した」「インフレ抑制に対する信頼維持が重要、インフレを注意深く監視している」 「失業保険申請件数は小幅増加しているが、平均すると緩やかな雇用拡大と一致する水準」 「景気拡大維持には、強い雇用市場の維持がカギ」 「家計支出にら関する最新のデータは弱いが、所得・支出の伸びは続く」 「ガソリン高・弱い住宅市場、信用収縮、株価下落が消費に逆風」 「今後数日以内に新しいデータ入手、見通し・リスクが変化したかを判断する」 

http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20071129a.htm


2007.11.29「コーン副議長発言」

グリーンスパン前FRB議長が著した「波乱の時代」の中に、現在のコーン副議長に関しての記述がある。「コーンは私が議長を務めた18年間に、FRBで特に優れた政策助言者としての地位を確立し、いまではFRB副議長となっている」

FRB生え抜きであり、ブラック・マンデー時にもFOMCの事務局長として対応していたとみられるコーン副議長は、昨日の発言内容を見る限り、市場の動揺に対してかなり危惧していたように思われる。

コーン副議長は講演で、「In my view, these uncertainties require flexible and pragmatic policymaking--nimble is the adjective I used a few weeks ago. 」(FRBホームページより)。

『私の見方としては、(経済金融情勢などの)不透明性によって、「柔軟かつ現実的」な政策対応が求められている、数週間前は私は「素早い」対応という言葉を使って表現していた。』

さらに「混乱の高まりが長引けば、家計や企業の金融状況が一段とひっ迫する公算が強まるだろう」「前回FOMC以降、市場が動揺、市場の最近の動揺ぶりに驚いた」「過去数週間に起きている経済状況の悪化度合いは、私見を述べれば、自分が想定していたものではない」と指摘。「金融市場は一段と慎重になってきており、2週間後に開くFOMCでは検討材料になると思う」と述べたとも伝えられ、フィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁やシカゴ地区連銀のエバンズ総裁などの発言とはやや趣を異にする発言内容ともなっていた。

米国市場では、このコーン発言を受けて12月11日のFOMCでの追加利下げ観測を強めた。その12月11日開催のFOMCでの金融政策を決定する上での討議資料となる米地区連銀経済報告書(ベージュブック)が28日に発表されていたが、「経済活動は引き続き拡大するものの、そのペースは前回報告時から減速」と報告されており、これを見ても12月のFRBによる追加利下げの可能性はありそうである。


2007.11.28「政府系ファンド」

米大手銀シティグループは世界最大の政府系ファンドとみられるアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国政府のアブダビ投資庁(ADIA)から75億ドルの出資を受け入れると発表したとの記事が、東京時間27日の昼に流れたことから、27日の東京株式市場は前場大きく売られていたものの急速に切り返し、債券先物は後場は売り気配のスタートとなった。27日の米国市場でもダウは前日比215ドル高となるなど、かなりインパクトのある発表となった。

26日にはやはり政府系ファンドの中国政府系のファンドが日本株に投資へ、と日経が報じたことから後場に株の上げ足を速める結果となるなど、たまたまかもしれないが、政府系ファンド絡みのニュースが連日で金融市場に大きなインパクトを与える結果となった。

この政府系ファンドとはSWF(ソブリン・ウェルス・ファンド)とも呼ばれるもので、「国富ファンド」といった訳語も使われたこともあるが、中東の石油産油国やアジアの新興国が石油収入や外貨準備を元手に運営している、いわば国家が運営しているファンドを指す。今回のアブダビ投資庁(ADIA)を初め、資産が多いとみられるところとしてはノルウェー政府年金基金、サウジアラビア通貨庁(SAMA)、シンガポール政府投資公社(GIC)、クウェイト投資庁(KIA)、中国投資有限責任公司、ロシア安定化基金、シンガポール政府系投資会社テマセク・ホールディング、カタール投資庁(QIA)、リビア投資庁などが上げられている。

アブダビ投資庁概要について、在アラブ首長国連邦日本国大使館がその概要をホームページにアップしていることで、見てみたい。

設立は1977年2月24日、設立目的は「アブダビ首長国財政の健全化を図る一方で、天然資源の枯渇に備えた将来世代の為に、金融資産の保全と有効活用が責務。アブダビ財務庁から政府収入の内の余剰分を運用。」とある。経営陣としては会長はハリーファ大統領兼アブダビ首長、アブダビ首長国政府の100%出資、運用資産は5000億から1兆米ドルとの外部評価。

「投資概要海外での投資を基本とし、アブダビ政府から直接的な干渉を受けない独自の投資戦略を有している。ファンドマネージャーに委託したポートフォリオ投資が過半を占め、短期の売買で利ざやを稼ぐのではなく、世界で通用する高い技術力を有する企業等に長期(3〜5年で見直し)に亘って株式を保有。一方で投資先への経営には基本的には不干渉。また、最近では新興市場への参入を目論み、新しい部局が創設されている。他方、資産内容に関してはその流動性確保の為、債権を一定の比率で保有している。全体として米国への投資が多い中、日本への投資はおよそ400億米ドルで70%がポートフォリオ投資と言われている。尚、本年保有資産の一部がアブダビ投資評議会(ADIC)に移管されている。」

現在の世界の金融市場を見る上で、こういったSWF(ソブリン・ウェルス・ファンド)と呼ばれる政府系ファンドの存在は無視できない状況となっている。というよりもこういった政府系ファンドそのものが世界の市場を大きく動かしている。オイルマネーや経済発展著しい中国などの外貨準備といった巨額の運用資金が背景にあるだけに、ファンドの割合からはわずかなものであっても金額そのもので相場に影響を与えることも多い。国内債券市場でもたとえば郵貯や簡保などが少し動くだけで相場が大きく変化したこともめずらしくない。そういった動きがグローバルに広がっている。政府系ファンドの動向には今後も市場への影響は大きく出ることが予想される。


2007.11.27「来年度の国債発行計画について」

来年度の国債発行計画に関しては、22日に開催された国債特別参加者会合において、理財局から次のような説明があった(議事要旨より)

「平成20年度の新規財源債については、極力抑制できるよう、努力しているところであるが、現段階で確たることは申し上げられない」

「借換債については19年度計画の99.8兆円からは減少する見込み」

「財投債については、発行額は減額の方向になると見込んでいる」

「以上より、20年度の国債発行額は、19年度予算の143.8兆円と比べて、減少するものと見込まれる」

上記のように、税収が伸び並みとなっても、補正予算での国債増発は回避されるとともに、来年度の国債発行についても発行額は抑えられる見込みとなっている。


2007.11.26「中国政府系ファンドが日本株に投資?」

中国政府系ファンドが日本株に投資へ、と日経が報じたことから、前場からしっかりだった日経平均先物は前場引けから110円高い15190円で寄り付いた。これを受けて債券先物は後場売り気配のスタートとなり、前場引け比23銭安の136円89銭で寄り付いた。これは国債買入の結果が応札額1兆2661億円、落札額3000億円、全取利回格差+0.042%、平均落札利回格差+0.042%と業者のポジションがやや重めであったとみられることも影響したものとみられる。

日経平均は一時22日比400円を超す上昇となり、現物10年288回は一時7.5毛甘の1.490%に後退、5年66回6毛甘の 1.070%、20年98回6毛甘の2.055%がヒットされた。東京株式市場は買い戻しの動きを一気に強め、反対に債券は買われすぎの反動もあって戻り売り圧力を強めたものとみられる。

債券先物は一時、22日比67銭安の136円63銭まで下落したが、「日本や他の市場に投資するかどうか、まだ決めていない」中国政府系ファンドとの報道もあり、また引けにかけて日経平均が上げ幅をやや縮小させてきた。このため、債券先物は買戻しが入り136円90銭まで戻し、大引けは22日比51銭安の136円79銭となった。

「7−9月のGDPギャップは+0.4%、プラス幅は4-6月期より拡大」と内閣府からの発表があったがもう少し日本の実態経済に目を向けても良いのではないかともみられる。その意味でも週末に発表が予定されている鉱工業や家計調査、そして全国CPIの動向には注意も必要か。

さらに「住友信託銀行、バークレイズ・グローバルインベスターズ信託銀行との合併を午後5時に発表」との報道もあったが、午前中には「ヘラクレス市場を運営する大阪証券取引所が、ジャスダックを買収へ」との報道などもあり、これらも株式市場にはプラス要因として働いたものとみられる。


2007.11.26「クリスマス商戦」

サブプライム問題の影響なども懸念された米国のクリスマス商戦はどうやら順調な滑り出しとなったようだが、日本でもすでにクリスマス商戦(?)たけなわの場所が千葉県舞浜市に存在する。

子供たちの都合等で我が家もこのクリスマス商戦たけなわの地に三連休初日、勤労感謝の日に出かけた。首都高速の渋滞を避けるためと、早めに並んで朝方早めにアトラクションを乗ってしまうという戦術を取っていたことで、いつもの出勤時間に近い早朝5時過ぎに家を出る。そのまますんなり6時40分ごろに東京ディズニーランドについたものの、駐車場がすでにかなり埋まっており、結局立体駐車場の最上階に駐車となった。さらに入場ゲートはすでに長蛇の列。これまでも朝7時ぐらいに来ることはあったが、入場1時間前ということもあってかなり前の方に並べたが、今回はかなり後方となった。

開園後、アトラクションはファーストパスをやりくりするなど子供たちが乗りたいものには乗れたが、昼過ぎには人気アトラクションは軒並み180分待ちとなっていた。パレードの見学者もかなりの人人人。帰りの売店など外は真冬並みの気温ながら、店内は通勤ラッシュの状態で真夏日のようなものすごい熱気、商品もかなりなくなっていたそうである。

クリスクスイベントも始まり、三連休の初日ということでのディズニーランドの混雑ぶりかと思うが、これを見る限りサブプライムといった言葉など忘れてしまいそうな状況にも。来客者も海外からの観光客はあまり見当たらず、周りから聞こえてくる会話からは、羽田空港から時間がかかったとか、スタッドレスタイヤを履いてきたとか、三連休を利用して遠距離から来ている人が多かったようにも思われる。

局地的ながら、好調な個人消費が垣間見れる場所があることも確かで、舞浜で見る限り日本のクリスマス商戦もそこそこ悪いものではないかとの印象も受けたのだが。


2007.11.22「短期金融市場の基本とカラクリがよ〜くわかる本」

「短期金融市場の基本とカラクリがよ〜くわかる本」が発売され、まもなく1か月が経とうとしています。出版社の編集者の方に聞いたところ、意外とここまで善戦しているとのご返事をいただきました。しかし、これからが正念場です。ぜひ皆様の一票、ではなく書店にて一冊、お求めいただけるとうれしいです。

内容につきましては、長野県の本屋さん「平安堂」様に、下記のような解説を書いていただいております。拙著にまで解説していただき本当にありがとうございます。

「金融業界に在りながら、日銀や短期金融市場の仕組みを理解するのは、実務に携わるごく一部の方だけでしょう。本書は、日銀の役割だけでなく、政策とその影響など分かり易く解説。自分の仕事に関係無いですか?否、これが金融の根幹です。」


2007.11.22「サブプライム問題が深刻化しているが、債券は買われ過ぎの反動も」

19日の米国市場ではシティグループへの投資判断引き下げなどをきっかけに、ダウは大幅安となり13000ドル台を割り込むなどサブプライム問題はさらに深刻化しつつあり、米国市場を揺るがせた。20日に発表された10月30-31日米FOMC議事要旨では「利下げはきわどい決定」との記述などから米株は一時売られる場面もあったものの、その後反発した。しかし、OECDがサブプライム問題に関する損失額が最大3000億ドルに膨らむとの見通しを発表し、ポールソン米財務長官はWSJ紙とのインタビューで米住宅ローン市場について、2008年の債務不履行が2007年を大幅に上回る可能性がある、との見通しを示した。

サブプライム問題は、さらに深刻化しつつあるとの見通しから、21日のダウ平均は、前日比211.10ドル安と大幅に反落。米債市場は安全資産の国債に買いが集中し、2年債利回りは一時、2.96%と3%を割り込み、米10年債利回りも、時間外取引で4%を割り込む場面もあった。外為市場ではドルが売られ、ドル円も108円台に。こういった環境下、債券は買い進まれ、20日に10年債利回りは2005年9月以来の4%割れとなった。債券先物も年初来の高値を更新し22日は137円51銭での寄り付きとなった。21日に実施された20年国債の入札結果は最低落札価格100円50銭、応札倍率も3.65倍としっかりの結果となった。

サブプライム問題の深刻化懸念により、米国市場では株安債券高が進行し、外為市場ではドルが下落するなど、かなり神経質な展開となっている。日本の大手銀行も中間決算で6大銀行の、サブプライム関連の損失が通期で3000億円以上になる見込みと発表されるなど、日本の金融機関への影響も出ている。年末に向けて欧米の大手金融機関のサブプライム関連の損失拡大の懸念もあり、米経済への影響も危惧されている。12月のFOMCでの追加利下げ観測も市場では強まっているようである。

ただし、日本経済への影響は、新興国経済などの落ち込みがない限り過度に懸念する必要はないとみられ、また物価動向についても10月以降は水面下から回避される可能性も強い。その意味でも30日に発表される10月の全国消費者物価指数、11月の東京都区部の消費者物価指数に注目したい。米国市場の混乱次第では、円債もさらに買い圧力が加わることも考えられなくもないが、日銀が利下げを検討する環境にあるわけでもない。10年の1.4%割れはさすがに行き過ぎともみられる。次第に冷静さを取り戻せば、債券は買われすぎの反動といった動きが強まってくる可能性もあるため、注意も必要か。


2007.11.22「税収が5年ぶりに減額修正か、ただし国債追加発行は回避」

日経新聞によると、財務省は21日に2007年度予算の国の一般会計税収を減額修正する方向で最終調整に入ったそうである。景気減速で所得税や法人税の下振れが避けられない見通しとなるため。補正予算での税収見積もりの減額は2002年度以来の5年ぶりとなる。

2007年度当初予算での国の一般会計の税収見込みは53兆4670億円となっていたが、この見積もりの前提とした2006年度の税収は決算段階で、49兆2510億円となり、47兆8509億円とした補正予算を約1兆4000億円割り込んだ。(財務省「平成18年度歳入・歳出の概要」資料より)。

これに加えて、国内景気の減速などから所得税、法人税などで税収の進ちょくが遅れているとみられることで、当初の見積もりの達成は困難な情勢となったとみられる。

税収の減額修正幅は最終調整中とみられるが、当初予算を数千億円程度下回る見通しとか(日経)。この不足は前年度決算の剰余金(1兆9143億円)や、国債利払い費の下方修正分(8782億円)などで穴埋めし、新規国債の追加発行は回避される方針。さらに財源が乏しいことで、補正予算での追加歳出も限られる見通しと伝えられた。

 
2007.11.21「Economic Projections of Federal Reserve Governors and Reserve Bank Presidents」

FRBの金融政策の透明性を高めるための追加措置として、経済見通し(Economic Projections)の発表回数をこれまでの年2回から年4回に増やし、予測の対象期間も2年間から3年間に拡充した。

発表された数値をみると、2008年の米実質国内総生産(Real GDP Growth)の伸び率が 1.8 to 2.5に減速するとの経済見通しを示し、6月時点の予測 2.5 to 2.7から大幅に下方修正された。

物価に関しては、さらに新たな指標として、個人消費支出(PCE)の全体価格指数を加えている。下記のようにPCEのうち食料とエネルギーを除いたコアPCEでみたFRBの物価見通しは、中央範囲(Central Tendencies)が2007年は 1.8 to 1.9と、6月時点の予測 2.0 to 2.25から改善とした。2008年から2009年にかけては 1.7 to 1.9、2010年は 1.6 to 1.9の見通しに。

Central Tendencies(米FRBのサイトより)

year,Real GDP Growth,Unemployment Rate,PCE Inflation,Core PCE Inflation

2007, 2.4 to 2.5, 4.7 to 4.8, 2.9 to 3.0, 1.8 to 1.9

2008, 1.8 to 2.5, 4.8 to 4.9, 1.8 to 2.1, 1.7 to 1.9

2009, 2.3 to 2.7, 4.8 to 4.9, 1.7 to 2.0, 1.7 to 1.9

2010, 2.5 to 2.6, 4.7 to 4.9, 1.6 to 1.9, 1.6 to 1.9

Projections of real GDP growth, PCE inflation, and core PCE inflation are fourth-quarter-to-fourth-quarter growth rates, that is, percentage changes from the fourth quarter of the prior year to the fourth quarter of the indicated year.

PCE inflation and core PCE inflation are the percentage rates of change in the price index for personal consumption expenditures and the price index for personal consumption expenditures excluding food and energy, respectively.

Projections for the unemployment rate are for the average civilian unemployment rate in the fourth quarter of each year.

Each participant's projections are based on his or her assessment of appropriate monetary policy.

The range for each variable in a given year includes all participants' projections, from lowest to highest,for that variable in the given year; the central tendencies exclude the three highest and threelowest projections for each variable in each year.


2007.11.20「FRBの金融政策の透明性を高めるための追加措置(再)」

バーナンキFRB議長は14日、米ケイトー研究所で講演し、金融政策の透明性を高めるための追加措置を実施すると発表した。金利動向とインフレの最適水準を明確にする取り組みとして、年2回、2月と7月に公表している経済見通しの発表の回数を、現状の年2回から年4回に増やすとともに、予測の対象期間を2 年間から3年間に延長することを明らかにした。

バーナンキ議長は、「予想の基調となる要因についての協議内容、FRB関係者の目標に対するリスクの評価を含め、経済見通しの情報を増やすことにより、市場は、金融政策の現在のスタンス及びその変更の根拠を、一段と理解できるようになるはずだ」(ロイター)とコメントしている。

ちなみに日銀は、毎年4月と10月の年2回、金融政策決定会合の決定を経て、「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)を発表しているが、7月と1月にはそれぞれの中間レビューも行なっている。

また日銀は、展望レポートの中で、実質国内総生産(GDP)、国内企業物価、消費者物価の政策委員の予想が数値で示されている。2005年4月からは当該年度に加え、翌年度を含めている。

今回のFRBの動きに無理にあわせる必要はないものの、FRBの今回の追加措置が市場の金融政策の動向を読みやすくさせるとなれば、現在の中間レビューから正式の見通しに変更し、経済物価の見通しの期間も翌々年度を含めたものにしてくる可能性もある。

それはさておき、バーナンキ議長が意欲を示していたとされる物価安定の数値目標を明示する「インフレ目標」の導入は見送られた。バーナンキ議長はこれに関して「インフレ目標はいくつかの点でFRBの使命や政策行動にそぐわない面がある」と指摘している(日経新聞)。今回の措置はこの代替措置との見方もあるようで、市場がFRBの政策意図を理解しやすいようにするための施策となる。

日本でも一時騒がれたインフレ目標の導入も、その最たる導入論者の一人でもあったバーナンキ氏自身が、FEDの現場では採用は難しいと判断していることは注目すべきであろう。インフレ目標を導入している中央銀行も「柔軟な」インフレ目標となっている点もバーナンキ議長は指摘していた。

FRBは経済成長率、コア物価上昇率、失業率の見通しを2月と7月に公表している。その回数を年2回から年4回に増やすとともに、予測の対象期間を2年間から3年間に拡大する。今月20日から実施する。


2007.11.20「最新商品先物の基本とカラクリがよ〜くわかる本」

私の7冊目の本・・・ではありません。知り合いの編集者の方からの依頼で、フィスコ・コモディティーのアナリストをしている津賀田真紀子さんを紹介し、その結果生まれたのが、津賀田真紀子さんが執筆された「最新商品先物の基本とカラクリがよ〜くわかる本」です。本日、全国書店にて発売されています。

この本は私が3冊書かせていただいた本のシリーズ「図解入門」のひとつで、「商品先物取引」の基礎から投資の基本までをわかりやすく1冊にまとめたビジネス書です。商品取引というと一歩引いてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、商品取引もしっかりとした金融取引のひとつであり、米国では先物・オプションの外務員資格を取るためには、この商品取引の知識が必須となっているぐらいです。

原油先物や金の先物の値動きも最近は市場を賑わせています。この機会にぜひ商品先物の知識もこの本から取得してください。もちろん日銀の金融政策や短期金融市場に興味のある方は 「短期金融市場の基本とカラクリがよ〜くわかる本」もよろしくお願いいたします。


2007.11.20「債券の利子」

債券の利子は、現在は市場で形成される金利に応じて決定されています。しかし、昔は国債の金利も人為的に抑えられた時代もありました。 日本では第二次大戦後、日本経済の復興のために厳格な金利規制が形づくられていました。これは各金融機関の金利を一定にすることにより、間接金融を通じての安定的な金融体制が作り上げられていたのです。

しかし、高度成長から低成長時代への経済構造の変化に伴い、規制はむしろ金融の効率性を損なうと考えられるようになりました。海外市場ではすでに金利は自由化されていたこともあり、1970年代後半から日本でも金利の自由化が推進されたのです。

日本での金利の自由化が推進されたひとつのきっかけが、第一次石油危機による不況の影響による国債の大量発行でした。国債を購入した民間金融機関は、国債を流通市場で売却する必要性が生じたのです。国としても大量の国債発行を円滑に行うためには、銀行などによる国債の売却を認めざるを得なくなり、国債市場が徐々に形作られてきたことで、転売価格が自由に形成されるようになり、これがひとつのきっかけで規制金利の一角が崩れたのです。

1975年以降のコールレートや手形レートの弾力化などに伴い短期金融市場においても金利自由化が進みました。1978年にはコールレートと手形売買レートの建値制度が廃止されました。

大量の国債発行に伴い自然発生的していた債券現先市場も発展し、企業の流動性資金を吸収する手段として、1979年には銀行にCD(譲渡性預金)の発行が認められました。また無担保コール市場が1985年に創設されています。

預貯金金利の自由化に関しては、米国などからの圧力によって自由化が進められ、1985年にはMMC(市場金利連動型預金)が導入され、10億円以上の大口定期預金の金利が自由化されました。1993年には定期性預金、1994年には普通預金の金利が完全に自由化されました。

このように日本における金利の形成は、戦後から長きに渡り規制されていたのですが、国債の大量発行をきっかけとして、徐々に金利の形成は規制によるものから、市場に委ねられるものとなっていったのです。


2007.11.19「ジャンプスクエアの増刷」

事情により「増刷」という言葉を聞くだけで、ビクっとしてしまうが、月刊ジャンプが休刊となりマンガ雑誌の低迷も危惧されたものの、その後継者となった「ジャンプスクエア」が想定外の売れ行きとなった。ちなみに拙著、「短期金融市場の基本とカラクリがよ〜くわかる本」はまだ増刷とはなっていない。

11月2日に創刊された「ジャンプスクエア」の当初部数は50万部。しかし、実売率が首都圏で9割、全国で7割に達したため、漫画雑誌では珍しく、約10万部程度が増刷され、全国書店に並んでいる。

週刊ジャンプは売り上げが低迷しているとはいえ、平均300万部近く毎週発行されており、それに較べれば60万部はそれほど大きな部数ではないものの、販売当日にマンガのメッカでもある秋葉原の店頭から消えるなどしたことで、ニュースでも取り上げられている。

これが社会現象とするにはまだ早すぎるかもしれないが、マンガ雑誌の新たな潮流となる可能性もある。「ジャンプスクエア」は予想以上に女性や大人に読まれた。

週刊少年ジャンプの読者層も女性が増加している。私も毎週月曜日には週刊ジャンプを買っているのだが、自分ではほとんど読むことはない。長女や次女が楽しみにしているので、いつの間にか慣習化してしまった。帰宅後に渡すと二人ともかなり熱心に読んでいる。

オタク文化を支えているのは、太って眼鏡をかけてリュックを背負っているアキバ系と呼ばれる男性たちといったイメージがあるかもしれないが、実はマンガやアニメといったものに対しては若い女性がその人気を支えている面がある。週刊ジャンプの「テニスの王子様」、「DETH NOTE」、「BLEECH」、「NARUTO」などは女性ファンが多い。

ジャンプスクエアが予想外の増刷となった背景には、こういった女性読者層が意外と広がっていたことも背景にあると思われる。多様化が進む社会にあっては、このような想定外の顧客層への広がりといった可能性もありうる。


2007.11.16「ひばりくん防犯メール」

茨城県警が行なっているサービス(?)のひとつ「ひばりくん防犯メール」は、地域で起こった犯罪などを伝えてくれることで、なかなかお役立ちである。直近のものでは「狙われるトヨタハイエース」というのが着ていた。11月中に私の住んでいる地域近辺ですでにトヨタハイエースばかり7台が盗難被害に遭ったそうである。今後も、同車両が狙われるおそれがあるので、所有者は十分注意してくださいとあったが、幸いなことに我が家のクルマはトヨタハイエースではない。しかし、同じクルマばかり盗まれるなんてことが起きているという事実はなかなか興味深い。

その前には、空き巣被害がここにきて出ていることも伝えてくれた。「11月に入って空き巣被害が増えています。二重ロックや防犯ガラスなどの防犯対策に努めましょう」とあったが、「施錠中の1階窓ガラスを、ドライバーなどでこじ破り侵入」といった状況も書かれていた。鍵をかけても狙われるので二重三重の対策も必要のようである。

また、我が家には三人娘が学校に通っていることで、「自転車で下校途中の女子高校生が、男に手首を掴まれ自転車から引きずりおろされました」といった事件が起きたことが、さほど時間を置かずに送られてくることはありがたい。子供たちに注意を促せるとともに、親もクルマでの送り迎えにするといった対策も取れる。

各地域の警察などでも同様のサービスを行なっていると思われるが、こういったサービスは上手に活用すべきかと思う。ちなみに何故、「ひばりくん」メールなのか。ピーチクパーチク知らせてくれるという意味もあるかもしれないが、茨城県警察のシンボルマスコット が「ひばりくん」だからだそうである。もちろんこれは茨城県の県鳥が「ひばり」からきていると思われる。


2007.11.16「10月の首都圏マンション発売戸数は‐9.1%」

民間の不動産経済研究所が発表したマンション市場動向調査によると、10月の首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)のマンション新規発売戸数は5731戸で、前年比-9.1%と2か月連続の減少となった。さらに売れ行きを示す約率も62.5%で、好不調の分かれ目とされる70%を3か月連続で下回った。

不動産経済研究所では、「11月の発売戸数は6000戸程度と見込んでいるが、2007年全体では6万5000戸を下回る可能性もある」としている。もし6万5000戸を下回れば、1993年の4万4270戸以来の低水準となるとか。

マンション販売の減少の要因については、「マンション価格の高騰」(同研究所)としている。人気の高い東京都区部でのデベロッパーの物件売り惜しみ、郊外での在庫積み上がりによる在庫調整圧力があるという。

最大の理由として指摘されているのが、改正建築基準法施行によるマンション着工の遅れ。ただし、その影響が供給面に本格的にでてくるのは「年明け2月頃になりそう」(同研究所)との指摘もある。そうなれば2008年の供給は2007年の供給をも下回る可能性があることで、今後の動向にも注意したい。

さて、首都圏マンション発売戸数減少の大きな要因として指摘されている改正建築基準法による影響であるが、この影響により9月の新設住宅着工件数が前年同月比44%と過去最大の下落率を記録している。

改正された建築基準法が何ゆえ住宅着工急減に繋がっているのか。16日付けの日経新聞では、これについて「大規模な建物の安全性を第三者が二重に点検する仕組み」「審査機関の延長」といった耐震偽造問題に絡んでの改正点を指摘し、それらに不慣れな面があったことなどもひとつの要因となっている。

しかし、日経新聞も指摘していたようにそれよりも「法改正」の詳細を説明した技術解説書の発刊が法施行よりも2か月も遅れた点も指摘、さらに建物の耐震性の点検に使う新しい「構造計算プログラム」の開発が遅れデータ改ざんを防ぐ機能を備えた新プログラムへの大臣認可のメドもたっていないといったことも建築基準法改正による住宅着工急減への大きな要因となったいたとみられる。

改正建築基準法の施行による住宅着工も落ち込みについて、日銀の武藤副総裁はブルームバーグとのインタビューの中で、「住宅投資の減少は非常に急激だが、原因ははっきりしている。あくまで手続きの問題であり、その手続きも改善すると聞いている。一定期間が経てば、いったん下がったものはその後、上乗せされる筋合いのものだ」と指摘していたが、当面は影響が避けられないことも確かなようである。


2007.11.16「10月10−11日日銀金融政策決定会合議事要旨と武藤副総裁発言」

本日発表された10月10−11日日銀金融政策決定会合議事要旨からは、「世界経済についての不確実性があるため、今後公表される指標や様々な情報、金融市場の状況などを引き続き丹念に点検していく必要がある」との慎重な見方をしている委員が大方とみられる。

ただし、引き続き複数の委員は、日本経済は物価安定のもとでの持続的な成長を続ける蓋然性が高く、経済・物価情勢の改善ペースに応じた政策変更は必要であるとしているが、その一人は「物価・成長の足取りは、見通しの範囲内にあるものの、その下方で推移している」と発言するなど、利上げ推進派の中でもやや見方は分かれているようにも見受けられる。

また、ブルームバーグから武藤副総裁の単独インタビューの内容が伝えられたが、この中で武藤副総裁は、「日本経済は引き続き緩やかに拡大していくというのが最も蓋然(がいぜん)性の高い見通しであり、金融政策にもし何らかの変更があるとすれば、方向としては利上げ」としているものの、米国経済や国際金融市場の影響など「下振れリスクがあることは十分認識している」と指摘した上、「事態は非常に複雑で、なかなか困難な状況にある」とも述べたと伝えられた。


2007.11.15「FRBの金融政策の透明性を高めるための追加措置」

バーナンキFRB議長は14日、米ケイトー研究所で講演し、金融政策の透明性を高めるための追加措置を実施すると発表した。金利動向とインフレの最適水準を明確にする取り組みとして、年2回、2月と7月に公表している経済見通しの発表の回数を、現状の年2回から年4回に増やすとともに、予測の対象期間を2年間から3年間に延長することを明らかにした。

バーナンキ議長講演議事要旨より(原文)

「Projections will continue to be released in February and July of each year to coincide with the semiannual Monetary Policy Report and the associated testimony to the Congress. Two additional sets of projections will be published in conjunction with the minutes of the FOMC meetings held around the beginnings of the second quarter and the fourth quarter of the year (in 2008, the April and October meetings). The first expanded set of projections will be released next week, on November 20, together with the minutes of the October FOMC meeting. The horizon of the projections will be extended from two years to three. The projections released next week will extend through 2010」

バーナンキ議長は、「予想の基調となる要因についての協議内容、FRB関係者の目標に対するリスクの評価を含め、経済見通しの情報を増やすことにより、市場は、金融政策の現在のスタンス及びその変更の根拠を、一段と理解できるようになるはずだ」(ロイター)とコメントした。

バーナンキ議長が意欲を示していたとされる物価安定の数値目標を明示する「インフレ目標」の導入は見送られた。バーナンキ議長はこれに関して「インフレ目標はいくつかの点でFRBの使命や政策行動にそぐわない面がある」と指摘している(日経新聞)。今回の措置はこの代替措置との見方もあるようで、市場がFRBの政策意図を理解しやすいようにするための施策となる。

日本でも一時騒がれたインフレ目標の導入も、その最たる導入論者の一人でもあったバーナンキ氏自身が、FEDの現場では採用は難しいと判断していることは注目すべきであろう。インフレ目標を導入している中央銀行も「柔軟な」インフレ目標となっている点もバーナンキ議長は指摘していた。

FRBは経済成長率、コア物価上昇率、失業率の見通しを2月と7月に公表している。その回数を年2回から年4回に増やすとともに、予測の対象期間を2年間から3年間に拡大する。今月20日から実施する。


2007.11.14「2008年の債券相場予想」

時期的にやや早いものの、依頼もあったので「2008年の債券相場予想」を占ってみたい。ただ、短気ではなく短期の日計りディーラー出身ということもあって、あまり長期の予想というのは意味がないと見ているが、それなりにシナリオを考えておくのも大事かもしれない。しかし、その結果が仮に当たろうが外れようが、それは見通しが良かったわけでも甘かったわけでもなく、たまたまそうなったというのが現実の相場である。1年後の相場は途中経過を含めて見通すことは、たぶん神様でも無理があろう。

かなり言い訳じみた冒頭となってしまったが、なにはともあれ、来年に注意すべきイベントを列挙してみたい。日本国内では、まず衆院解散総選挙の可能性が指摘されている。ねじれ国会が何らかの形で解消されるのかどうか。ただし、この解散総選挙の時期については、2008年7月7日から開催される洞爺湖サミット後との見方も出ているがかなり流動的である。その洞爺湖サミットも大きなイベントとなる。

直接相場への影響は限られるものの、2008年3月19日に任期満了となる日銀の福井総裁の後任人事の行方もやや気がかり材料となっている。これについては、13日に民主党の小沢代表が武藤副総裁の日銀総裁昇格について「100%ノーではない」と微妙な発言もしており、やや流動的ながらも武藤副総裁の総裁昇格の可能性が現状では最も高いとみている。

日本経済の行方を占う上で、目先最も注目されるのが、米サブプライムローン問題による米国経済への影響であろう。欧米の金融機関の損失額もまだはっきりしない部分もあるが、2007年末までにはある程度、そういった損失もはっきりしよう。これによる米個人消費などの影響については見方は分かれるものの、米バーナンキFRB議長は8日、上下両院合同経済委員会で証言し米国の経済成長は10―12月期にかなり減速し、来年春まで停滞するとの見通しを示しており、それをメーンシナリオとしておく。

その米国の大きなイベントとしては、2008年11月にスタートする大統領選挙がある。サブプライム問題の影響が後退してくれば、外為市場などを含めてこの米国大統領選挙の行方が焦点となろう。この結果についても、ヒラリー・クリントン氏優位といったことも伝えられているが現状予測は難しい。

すでに世界経済における米国経済の影響はかなり後退しており、その反面、中国やインドといった新興国市場の経済成長が支えているといった構図にも当分変化はないとみられるが、ここで注意したいのが、2008年8月8日に開催される北京オリンピックである。これに向けて国内でも液晶テレビの普及ピッチが早まるといった個人消費に対しての期待もある。しかし、なんといっても個人的な見通しとして、北京オリンピックまでは中国の高い経済成長は続くとずっと見ていただけに、その後がやや気になる。日本の東京オリンピック後の不況と同様のことは起こらず、まだ高度成長は続くとの見方もあるが、いったん中国経済成長が息切れする可能性もある。

以上、2008年に注目すべきイベントとして、日本では衆院解散総選挙、日銀総裁人事、洞爺湖サミットがあり、海外では米国大統領選挙、北京オリンピックなどが挙げられる。経済動向としては春先あたりまで、米サブプライム問題の影響が燻る可能性がある。

2007年の長期金利の動向を簡単に振り返ってみると、1.695%とほぼ1.7%近くで今年の長期金利はスタートし、その後、2月の日銀による政策金利の0.25%から0.5%への追加利上げを経て、6月には一時1.985%まで利回りが上昇した。これは米長期金利の上昇といったものが背景にあったが、その後は米サブプライムローン問題が深刻化し、11月に入って長期金利は1.5%を割り込み、今年の最低利回りをつけてきた。

今年の長期金利が日銀の追加利上げがあったにも関わらず、2%にも届かなかった背景のひとつは物価の低迷であろう。今年に入っての消費者物価指数(生鮮食料品を除く)の前年同月比は、1月が0.0%となったが、2月-0.1%、3月-0.3%、そして4月以降は9月まで-0.1%が続いている。ただし、10月以降は原油価格の上昇などもあり徐々に前年同月比プラスとなると見込まれている。日銀の展望レポートによると、2008年度のCPI予想は、前年同月比+0.4%となっているが、物価上昇圧力も次第に強まっているだけにその程度のプラスとなる可能性は高いとみているが、大きく物価が跳ね上がるような環境でもないことも確かか。

2008年の日本経済見通しも予想は難しいものの、日銀の展望レポートによる2008年度のGDP見通し2.1%近くの成長は見込まれるかと思われる。ただし、北京オリンピックの終了後から米大統領選挙などに向けての時期には、中国と米国経済環境に変化が出ている可能性があることで注意したい。

以上のことから、現状での2008年長期金利は、とりあえず1.5%から2.5%あたりの予想としてみたい。日銀による利上げは、今後3月までに1回、その後年末までにもう一回程度実施される可能性があるとみている。


2007.11.13「7-9月期GDP速報値」

内閣府が本日朝8時50分に発表した7-9月期GDP速報値は、実質で前期比+0.6%、年率換算で+2.6%となり、事前の市場予想をやや上回った。牽引役は外需となり、輸出が前期比+2.9%となり、外需の寄与度は+0.4%となった。

内需の寄与度は+0.2%。事前に予想されていたように、6月の改正建築基準法の施行に伴い建築着工が急減したことで、住宅投資は-7.8%と1997年4-6月期以来の下落幅となったが、設備投資が前期比+1.7%、個人消費も同+0.3%となり、これらが補った形となった。さらに民間在庫の寄与度は+0.1%となっていた。

これを見る限り、日本経済については底堅い動きとなっているが、先行きについてはサブプライム問題の再燃による米経済の行方に不透明感も強まっていることで、警戒心も強まっている。米経済の減速については現在の日本経済への影響は以前に較べて限定的となっているが、米経済の影響が他のアジア市場や欧州市場など含めてグローバルな影響を与えるようならば日本経済に対しても少なからず影響は出る可能性も。


2007.11.12「最近の相場を振り返る」

11月に入ってからの市場の様子を見てみましょう。日本の長期金利は前回の金融政策決定会合が開催された10月31日の翌日11月1日に、1.670%まで利回りが上昇しました。これは31日の米FOMCでFRBは予想通り政策金利を0.25%引き下げたのですが、声明文から次回の追加利上げ観測がいったん後退し、また7-9月期米GDPが予想を上回るなどしたことなどから米債が下落したのが要因となりました。

しかしそれ以降、日本の長期金利はほぼ一本調子での低下となりました。これは特に米国市場で、サブプライム問題が再燃したことが要因となりました。残念ながらサブプライム問題の影響は後退するどころか、さらに深刻化していったのです。

それは1日にカナダの金融大手CIBCが、シティグループの投資判断を「中立」から「売り」に引き下げたことがひとつのきっかけとなりました。これによりサブプライム問題が再燃し、1日のダウ平均は362ドルもの下落となったのです。

2日に発表された米雇用統計の非農業雇用者数は予想を大きく上回り、これを受けて同日の米株式市場は反発しました。ただし、メリルリンチが複数のヘッジファンドとの間でモーゲージ担保証券関連の損失先送りを意図した取引を行っていたと報道されるなど、サブプライム問題が燻り、米債は続伸していました。

米メリルリンチのオニール会長兼CEOは30日に辞任を発表しましたが、米シティは追加で80-100億ドルの評価損を計上するとともに、プリンス会長兼CEOが辞任し、ルービン元財務長官を会長に使命しました。

7日の米ダウ平均は、前日比360ドルもの下落となり、米10年債利回りは4.31%に低下し、ドル円は112円台をつけてきました。米バーナンキFRB議長は8日、上下両院合同経済委員会で証言し米国の経済成長は10―12月期にかなり減速し、来年春まで停滞するとの見通しを示しました。

そして9日の東京市場では、みずほフィナンシャルグループが、みずほ証券と新光証券の合併を当初予定の1月から延期する方向で最終調整に入ったとの報道や、みずほ証券が米サブプライムローン問題に絡んだ損失が1000億円超に拡大する可能性があるとの報道があったみことで金融株主体に売りが入り、債券は買われ、20年債利回りは9月18日以来の2.1%割れとなりました。

さらに9日の米国市場では、米銀ワコビアは10月にクレジット関連で約11億ドルの追加損失が出たとの発表などを受けて金融株が売られ、ハイテク株も下落しダウは223ドルもの下落となりました。さらにNY外為市場では円買いドル売りが進行し、ドル円は110円50銭と1年半ぶりの高値をつけました。米債は株安などから続伸となり10年債利回りは4.22%と2005年9月以来の水準に利回りが低下し、12日の債券市場では10年債利回りは、1.505%と1.5%近くまで利回りが低下しました。


2007.11.8「2006年度の日本の外貨準備の運用利回りが6.7%(財務省試算)」

財務省は外国為替資金特別会計の外貨建運用収入の内訳等についてを発表し、2006年度の運用資産の平均残高92兆2034億円、これによる運用収入が3兆6917億円となったことを発表した。2006年度の運用資産利回りは4.0%と、前年度の3.25%から0.75%の上昇となった。

日経新聞によると、ここからさらに債券の値上がり益を勘案した2006年度の運用利回りは、6.7%に達するそうである。米国債の価格上昇が寄与しているようである。利回りは2005年度の4倍に膨らんでいることで、海外の債券市場といった金融市場の状況によって運用利回りも当然ながら大きく変化している。

今回の運用利回りの初公開は、ソブリン・ウェルス・ファンドなどを設立してリスクとらなくても、堅実に運用して4%の利回りが確保できるということにもなることを示そうとしたのであろうか。ただし、運用といっても、まさに運用担当者の技能といったものが求められる。設備やお金があれば良いというものでもない。外貨準備などもしっかり運用しろとの声もあるが、その前にしっかり運用できる人材育成の方が先決である。相場に勝つ、いや少なくとも負けないということがいかに難しいことであるのかは市場関係者に聞くまでもない。


2007.11.7「国債の多様化」

7日付け日経新聞によると、財務省は20年物の物価連動国債の投入を検討しているようである。6日の初の40年国債入札は無難な結果となり、来年度からは発行額も増加されることが予想される。こういった国債の多様化の一環として、20年物の物価連動国債の投入も検討課題に入っているものとみられる。欧米にくらべて、日本では物価連動国債の全体に占める割合がまだまだ低い。そもそも物価そのものの上昇圧力が鈍いため、なかなかニーズも広がらないといった側面もあるが、今後は日銀のシナリオどおり進めば、CPIもプラスとなりそのプラス幅も次第に拡大していくものとみられることで、投資家ニーズが広がりを見せる可能性もある。そういった際には20年という現在の10年物に比べより長期の物価連動国債も品揃えの一環として必要となるかもしれない。

また、日経が報じたところによると、個人向け国債の販売てこ入れのため、金融機関側からの要望の多い販売手数料の引き上げが検討課題となっているそうだが、それよりも商品設定の見直しや販売ルートの拡大、販売手段の多様性などに力を注ぐべきではなかろうか。馬にニンジンといった感もあり、販売手数料の引き上げは抜本的な対策にはなりえない。個人向け国債の販売拡大にはその売り手に配慮ではなく、購入者たる買い手に配慮すべきである。

いつでも個人向け国債が気軽に買える環境を作るだけでも、残高を増加させられる。たとえば財務省からインターネットを通じて直接、個人向け国債を購入できる手段を日銀とともに議論すべきではなかろうか。また換金できない一定期間のペナルティーといったものも見直してはどうであろう。個人向け国債は「貯蓄から投資へ」のひとつの切り札とも言うべきものでもあり、投資家がより購入しやすい商品として、投資家に配慮した商品設計を勧めるべきと考える。


2007.11.6「初の40年国債入札」

11月6日に、日本の国債としては初めて期間40年ものの入札が実施される。入札日が2007年11月6日、発行日は2007年11月20日、利払い日は3月と9月のそれぞれ20日、今回の発行額は1000億円の上限が設定されている。償還期限は2048年3月20日。入札は0.5%刻みのイールドダッチ方式で行なわれる。応募者利回りは入札により決定され、表面利率及び発行価格については募入最高利回りを基礎として決定される。

40年の国債の流通市場は存在していない(国債以外では40年物は財投機関債の発行などがある)。そのため、財務省は、投資家と納税者の双方にとって不利とならない適切な発行条件の推定を目的に、金利推計モデルを導入している。この金利推定モデルによる入札日午前中の40年金利の算出値等も踏まえて足切りレートを設定し、発行上限となる1000億円以下でも一部または全部の応募を除外される可能性がある。

欧州でも50年債などが発行されており、フランスでは、2005年2月に50年固定利付債をシンジケート方式にて発行し、イギリスでは「利払負担の軽減」を目的として2005年5月に50年固定利付債を入札方式にて発行している。

日本国債もこれまで最長となっていた30年国債からさらに10年償還期間が長い国債が発行されることとなる。ただこれだけ長期の債券に対しては購入層も限られているともみられ、主に内外の年金運用機関や生命保険会社などが購入層になるとみられている。

現在発行が行われている国債は、6か月物と1年物の短期国債、2年利付国債、5年利付国債、10年利付国債、20年利付国債、30年利付国債、40年利付国債、10年物価連動国債、15年変動利付国債となる。そして、個人向けとして5年固定利付きタイプと10年変動利付きタイプもある。

以前には、3か月物の短期国債、3年利付国債、4年利付国債、6年利付国債、3年割引国債、5年割引国債なども発行されていたが、現在は発行が休止となっている。その時代の背景等によりあらたな国債の発行が検討され発行されることで、国債の発行年限や利払い方式なども変化してきている。これもひとつの時代の移り変わりとも言えるのではなかろうか。

第1回40年国債の入札結果は、募入最高利回り2.4350%、表面利率は2.40%、発行価格は99.10円と発表された。応札倍率は5.02倍。募入最高利回りは事前予想をやや上回ったものの、まずまず無難な結果となった。


2007.11.5「米シティのプリンス会長兼CEOも辞任」

ここにきてサブプライム問題に対して不透明感がさらに強まっている。米メリルリンチのオニール会長兼CEOが30日に辞任を発表したが、このメリルリンチが複数のヘッジファンドとの間で、モーゲージ担保証券関連の損失先送りを意図した取引を行っていたとの報道もあった。そして、その後、米シティのプリンス会長兼CEOの辞任も発表され、ルービン元財務長官が後任の会長に使命された。さらにシティはサブプライムローンなどに関連した評価損が約80億〜110億ドルになるとの見通しも示した。米大手金融機関のトップの辞任が相次ぐ異常事態に対し、市場がどのような反応を示すのか、さらにスーパーSIVの行方といったことも含めて、先行きの不透明感がさらに強まりつつある。

また、民主党の小沢代表の辞意表明というニュースも飛び込んできた。その背景に自民党との大連立構想があったことで、日本国内の政局の行方も混沌としてきている。これらは株式市場にとり売り材料となりそうである。ただし、2日の米10月の雇用統計の非農業雇用者数が予想を上回るなどするなど、米経済そのものはしっかりともなっており、これが株式市場の下支えともなりそうである。

株の動向などを見ながら、債券市場では質への逃避からの国債買いといった連想も働きやすい反面、政局の動向は国債への信認に影響を与える懸念もあることで注意も必要か。 当面は、サブプライム問題の再燃などにより長期金利は低位安定してくるものとみられるが、米国市場動向次第では不安定な動きとなることもあり、注意も必要か。

6日には40年国債の入札が初めて実施される。


2007.11.1「サブプライム問題の影響は今後後退か」

10月31日の日銀金融政策決定会合では、引き続き8対1の賛成多数での現状維持が決定されました。今回も反対は水野委員一人でした。

最初に前回の決定会合の開催された10月11日以降の市場の様子から見てみましょう。日本の長期金利は前回の金融政策決定会合が開催された10月11日に1.735%となっていましたが、10月22日には1.555%まで利回が低下しました。

16日にバーナンキFRB議長は講演で、サブプライム関連での金融市場の混乱の長引く恐れを示しましたが、9月の住宅着工件数が前月比-10.2%と市場予想を大きく下回るなど経済指標にもその影響が示されました。

19日の米国市場では、企業決算や原油高などを受けてダウは366ドル安となり、米債は続伸し10年債利回りは4.39%に低下しました。また、113円台への円高進行もあり、22日に債券先物は136円16銭寄付と9月18日以来の136円台に乗せてきました。

現物も買われ10年288回は1.6%を大きく割り込んできたのです。メリルリンチはサブプライム問題の影響から、7−9月決算で9000億円の評価損を計上としたことや、9月の米中古住宅販売が前月比-8.0%と大きく下回ったことを受けて、FRBによる追加利下げ観測も高まりました。

米国では17日にベージュブックが発表されました。ここで、9月と10月上旬にかけてすべての地域で、経済活動は引き続き拡大基調となっていることが示されたものの、拡大のペースは8月以降は減速していました。個人消費が拡大したものの、レポートではややまちまちとなっており、成長は9月、10月上旬の伸びは8月より鈍化したと指摘。製造業とサービス業は拡大傾向となったが、サービスは住宅建設と不動産関連取引に影響を受けた。いくつかの製造関連企業やサービス会社は、内需が弱いものの世界市場への好調な輸出によって、これが相殺されたと報告されました。

住宅市場は減速し続けており、ほとんどの地区で国内販売、価格、および建設が悪化したと報告されました。金融機関からは、焦げ付きの増加や信用に対する質の低下が報告された。 多くの地区の貸し手は与信基準が厳格化された。報告では、企業向け融資が増加しているものの、個人向け融資は減少もしくは伸びが鈍化しています。

こういった状況を受けて、10月31日の米FOMCでは、米FRB政策金利であるFF金利の誘導目標を0.25%引き下げ、年4.5%とすることを9対1の賛成多数で決定しました。全員一致が一応原則とみられるFOMCで、今回反対者が出たことは注意する必要もありそうです。今回反対したのは据え置きを主張したカンザスシティー連銀総裁でした。また、公定歩合も0.25%引き下げて、年5%としました。

FOMC後に発表された声明文では、景気の下振れリスクを指摘する反面、原油価格などの上昇によるインフレ圧力も警戒と、スタンスとしては中立的なものとなり、12月のFOMCでの追加利上げ観測は後退しています。 国内の経済指標を見てみますと、総務省が26日発表した9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)で100.3となり、前年同月比で-0.1%となりました。同時に発表された10月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く)で100.3となり、前年同月比で横ばいとなりました。

原油高などの影響によりガソリンなど石油製品が上昇したことで、2か月ぶりにマイナス圏から脱しました。ただし、ここにきて、値上げされている食料品への影響は、指数全体への影響がごく小さいこともあり限定的となっていました。しかし、今後は潜在的な物価上昇圧力となっていくものとみられます。

26日に総務省が発表した9月の家計調査(速報)によると、全世帯(二人以上の)の1世帯当たりの消費支出額は実質で前月比+0.7%(季節調整済み)、前年同月比では+3.2%と2004年5月以来の3年4か月ぶりの高い伸びとなりました。ただし、前年同月比の高い伸びは昨年9月が前年比大幅に落ち込んでいたことの反動との見方もあります。

10月31日の金融政策決定会合のあとには、展望レポートの発表がありました。この展望レポートで、2007年度見通しは、GDPで4月の2.1%から1.8%に、コアCPIは、4月の+0.1%から0.0%に下方修正しました。GDPに関しては、2007年4-6月期がマイナスとなり、6月の建築基準法改正の要因で住宅着工に影響があったためです。これについて10月の展望レポートには、「住宅投資の振れが、2007年度の成長率を幾分下押しする一方」という表記がありました。

CPIについては、原材料高などの価格転嫁は企業間取引ほどには進んでいない、との文面も10月には入っています。ただし、より長い目でみると、(CPIの)プラス幅が次第に拡大するとみられる、との文面は4月同様に10月も残っていた。2008年度見通しは、GDPで4月の2.1%から変わらず、コアCPIは、4月予測の+0.5%から+0.4%に下方修正しました。

「金融環境は極めて緩和的であり、日本経済が物価安定のもとでの持続的成長軌道を辿るのであれば、金利水準は引き上げていく方向にある」との文が10月にありましが、4月では「金利水準の調整」としていたところが「金利水準は引き上げていく方向にある」としているところも微妙に変わっていました。あくまで表現方法を変えただけともみられますが、今後の利上げを意識してのものと言えるかもしれません。

31日の福井日銀総裁会見では、「グローバルな下振れリスク高まっておりしばらく続く」「国際金融市場は不安定な状態続いており、今後もしばらく続く」としながらも、「金利調整ペースは必ずしも遅くなるとはいえない」「足元の下振れリスク強くても低金利継続にゆる上振れリスク却下できず」「金利調整ペースは必ずしも遅くなるとはいえない」との発言もあり、利上げに向けた姿勢は維持していることを示したものと思われます。

サブプライム問題の影響が後退してきつつあり、12月のFOMCでの追加利上げ観測も後退しました。またここにきてビールの価格の引き上げが発表されるなど、電力やガスの料金引き上げを含め、年末以降の物価上昇リスクといったものも懸念されつつあります。

11月1日にはFOMCの結果などを踏まえた米債安や株高などを受けて、長期金利は1.6%台半ばに上昇していますが、今後は1.7%を伺う動きが予想されます。


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