「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」


2008.1.31「米FRBは昨日のFOMCで0.5%の利下げを実施」

30日に発表された昨年10〜12月期の実質GDP速報値は、前期に比べ年率換算(季節調整済み)で0.6%と急減速となった。住宅投資が26年ぶりの大幅な減少となり、個人消費と設備投資の伸びも鈍化した。実質成長率は市場予測の1.2%程度も大きく上回り景気減速が明らかとなった。

こういった景気悪化に歯止めをかけるため、米FRBは昨日のFOMCで0.5%の利下げを実施、FRBは22日に0.75%の緊急利下げを実施したばかりながら、今回さらに0.5%引き下げたことで、政策金利であるフェデラルファンド金利の誘導目標は、年3%となった。

この決定は賛成多数となり、フィッシャー・ダラス連銀総裁が据え置きを主張して反対した。米公定歩合も9地区連銀による要請を受けて0.5%引き下げ、年3.5%に。FOMC後に発表された声明文によると、成長に対する下振れリスクが残り、これまでの政策措置は成長を促進しリスクを緩和と、また金融市場は引き続きかなりの緊張状態にある、企業や家計の信用は収縮した、とも表明。


2008.1.30「世界の債券発行額」

30日の日経新聞によると昨年下期の世界の債券発行額は前年同期比27%の減少となったそうである。サブプライム問題に端を発する金融市場の混乱が、企業の資金調達にも影響を及ぼした格好となっている。

世界の証券業協会でつくる国際証券市場協会(本部ロンドン、http://www.icmagroup.org/)の関連組織によると、国際市場での社債など債券の発行額は昨年下期(7-12月期)に1兆1669億ドルと前年同期比27%の減少となった。また、債券発行額は2007年通年でも2兆9816億ドルと前年比7%減となった。

January 22, 2008 Xtrakter(http://www.xtrakter.com/), part of the ICMA group of companies released figures today outlining that a 26.5% (USD 421.56 billion) drop in new bond issues occurred in the second half of 2007. This decline was in contrast to earlier increases made in the first half of the year. Specifically Q3 figures declined by 28.7% (USD 202.64 billion) and Q4 figures declined by 24.8% (USD 218.94 billion) when compared to the same period in 2006


2008.1.29「有効求人倍率」

厚生労働省が発表した2007年12月の有効求人倍率(季節調整値)は0.98倍となり、前月比0.01ポイントの低下となりました。1倍割れは2か月連続となります。

有効求人倍率の調査結果は総務省の失業率と同じタイミング、原則として調査月の翌月末(営業日ベース)の朝8時30分に発表されます。有効求人倍率とは、有効求人数を有効求職数で割ったもの。「有効」とは当月に受け付けた求人の新規数と前月からの繰り越し分を合わせたものを指します。有効求人倍率が高いと職は見つけやすく、低いと見つけにくいということができます。求職、求人とも全国のハローワークで取り扱ったもののみが集計の対象となります。有効求人倍率は景気の動向に沿った動きをするとされ、ある程度動きも安定しておりその方向感もつかみやすい指標です。景気動向を見るための景気動向指数の一致指数にも用いられています。


2008.1.28「債券の価格変動リスク」

金融商品に限らず、私たちの身の回りでも価格が変動するものはたくさんあります。身近なものとしてはスーパーなどで売っている野菜の価格などでしょうか。また、ガソリンスタンドでのガソリン価格も変動します。

本来、私たちが購入しているもののほとんどのものが日々の価格変動にさらされているものが原料であったりします。しかし、最終消費財といわれるものについては価格を頻繁に変えることができないため、そのリスクはメーカーなり、販売店なりが負っているわけです。原材料などの価格変動はいずれ消費財にも転化されることとなりますが、消費の伸び悩みなどでなかなか価格に転嫁しづらいといった状況も指摘されていましたが、食料品などを中心に次第に値上げ圧力も強まってきています。

それはさておき、マーケットで日々売買され、値動きも激しい株や債券、為替といった金融商品については、その価格変動のリスクは購入者自身が負うこととなります。銀行や証券会社の資金運用の担当者、さらに生命保険会社や年金、投資信託のファンドマネージャーというマーケットのフロフェッショナルがしっかりしたリサーチを行って投資判断をしたとしても、相場の動きを的確に予測することは不可能なのです。

価格変動リスクを押さえるために開発されたものにデリバティブと呼ばれるものがあります。先物とかオプションなどに代表されるものです。これらによって価格変動リスクをヘッジすることは理論的には可能なのですが、必要のないところでヘッジをしてしまい、得られるべき収益を得ることができなかったりといったケースもある ため、このヘッジについてもまさに相場観が必要となるのです。 債券市場の急激な価格変動の事例をいくつかみてみましょう。1980年、日銀は2月、3月と立て続けに当時の政策金利である公定歩合を引き上げました。長期金利も大きく上昇し、ロクイチ国債と呼ばれる利率6.1%の国債は暴落し、4月に利回りが12%台にまで上昇し、金融機関がパニック状況に陥ったのです。

1985年10月に東京証券取引所に日本ではじめての金融先物市場が誕生していますが、債券先物取引はスタート直後に急落しました。これは日銀がプラザ合意を受け、11月24日に短期金利の高め誘導を実施したことによるもので、これにより債券先物は急落し、大量の売り注文により2日間値がつかないという大混乱となりました。

1987年9月にはタテホ化学工業が債券先物取引において286億円もの損失を出したことが明らかになり、債券市場において、いわゆる「タテホショック」が引き起こされ、債券相場は暴落し、9月3日から5日までの3日間で、10年89回債は1%あまりも利回りが上昇しました。

1998年末からの運用部ショックでは、1998年12月に10年債利回りは1%近辺から2%近辺へと1%あまりの金利上昇となりました。 また、2003年6月にも債券は急落があり、その際には6月17日から19日の3日間で先物は144円76銭から141円80銭へと急落しました。

債券は金利商品であり、それほど大きな価格変動はないと思っている方も多いかもしれませんが、日々の価格変動もそれなりにあるとともに、こういったパニック的な下げといったものもあることで、債券に対しての価格変動リスクもかなり意識する必要はあります。


2008.1.25「12月全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年比+0.8%」

総務省が発表した昨年12月の全国消費者物価指数(生鮮食料品除く)前年同月比0.8%の上昇となり、市場予想の+0.6%も上回った。上昇率は1998年3月の前年比+1.8%以来、9年9か月ぶりの水準となった。指数が前年同月比プラスとなったのは10月の+0.1%、11月の+0.4%に続き3か月連続となった。

原油価格の上昇が引き続き大きな要因となっており、灯油やガソリン価格の大幅な上昇が影響し、エネルギー全体を押し上げた。昨年12月のタクシー料金の引き上げや、昨年10月の輸入小麦の売り渡し価格の引き上げの影響により食パンなどの食料品価格に波及し、食料品全体(生鮮食品を除く)全体の価格を引き上げたことなどが要因とみられる。


2008.1.25「米国市場動向次第の相場展開か」

まず、今週の動きを振り返ってみたい。21日の東京株式市場は日経平均が先週末比500円を超す下げ、アジアの株式市場も総じて大幅な下落ともなり、それは欧州市場にも飛び火し、22日の日経平均は前日比700円以上の下げとなった。世界的な株安連鎖による市場の混乱に対し、22日に米FRBは0.75%の緊急利下げを実施した。これを受け米2年債は一時2.00%に、10年債は3.43%へと利回りは大きく低下した。

23日の東京市場はこの米緊急利下げを好感し、日経平均先物が前日比520円高の13030円と大幅に反発し、債券先物は寄付こそ前日比17銭安の138円65銭となったが、中期主体の現物買いなども入り138円94銭に戻すなど値動きの荒い展開となった。この日、2年264回は一時0.490%まで買われ政策金利を下回った。5年69回も0.765%に利回りが低下、反面、超長期は重く30年27回は2.285%に後退するなど日銀の利下げへの思惑もあってかイールドカーブはスティープニング圧力を強めた。22日の日銀の金融政策決定会合では全員一致で現状維持となったが、特に相場への影響はなかった。

週末にかけて東京株式市場は買い戻しの動きを強めたことで、25日の債券先物は戻り売り圧力を強め138円を大きく割り込んだ。12月全国消費者物価指数(除く生鮮)は市場予想も上回って、前年同月比+0.8%と発表されたこともあり、債券はやや買われ過ぎの反動の動きともなり、10年債利回りも1.4%台後半まで上昇し、23日に0.765%まで利回りが低下していた5年債も0.9%台に利回りが上昇するなど、値動きの荒い展開ともなった。

次に来週の動きを予想してみたい。引き続き米国市場動向の影響を受けやすい相場となりそうである。29日から30日にかけて開催される米FOMCでは追加利上げが予想されている。米国市場は、これまで売り材料に敏感に反応しやすい地合となっていたが、ここにきて好材料に反応しやすい地合に変化しつつあるともみられ、予想通りとなれば米株式市場にとっては好感材料となりそうである。米債もやや買われ過ぎの反動といった動きが週初は強まりそうである。

円債も2年債利回りが一時0.5%を割り込むなど日銀の追加利上げを意識したところまで買い進まれていたことで、株式市場の動向を見ながらその反動の動きがさらに出るともみられる。しかし、まだ株の底打ち感といったものは出ておらず、地合が再び悪化してくることもありうるため、警戒も必要か。

米国ではFOMCとともに、28日の12月新築住宅販売件数、29日の1月消費者信頼感指数と12月耐久財新規受注、そして30日の米2007年10-12月期GDP速報値に週末の雇用統計と注目の指標発表も相次ぐことで、これらの数字如何では相場が大きく揺れ動く可能性もある。モノラインの問題などを含めて、米国市場は引き続き神経質な展開となりそうである。28日の流動性供給入札や31日の2年国債入札の動向などにも注意が必要か。


2008.1.23「日銀に追加利下げの思惑も」

2008年に入り最初の金融政策決定会合(1月21日〜22日)では、全員一致で現状の金融政策を維持することが決定されました。

しかし、世界の金融市場は米サブプライムローンの問題を発端に大きく混乱の度を深め、22日に日銀の金融政策が決定された同日に、FRB)は臨時のFOMCを召集し、ビデオ会議を通じて政策金利であるFF金利の誘導目標値を年4.25%から年3.5%に引き下げることを決めました。結果として月末のFOMCまで待てずに実施したということは、それだけFRBも市場の混乱を懸念していたためとみられます。

先週の米国株の下げから、欧州株、アジアや中東にいたるまで世界的な大幅株安連鎖となっていました。

日経平均株価の動向を少し遡って見てみますと、2004年3月あたりから2005年7月あたりにかけて日経平均は11000円から12000円のレンジ内での動きが続いていました。2005年8月に12000円を大きく上回り、いったんここから上昇基調となり、2007年7月に18261.98円が結果として高値となりました。ところが、8月以降は米サブプライム問題の表面化によって、そこから13000円割れまでの急落となったのです。

22日のFOMC後の声明文でも「金融市場の混乱は幅広く悪化してきた」と表明していました。さらに、最近の経済指標では住宅市場の一段の低迷と労働市場のある程度の減速を示しているようにとも米経済の下振れリスクも強まったことを示しています。

日銀の福井総裁も22日の記者会見で、「米経済は住宅市場の調整や失業率の高まりなどで減速感強まりつつある」とも指摘しています。

国内経済については、23日の決定会合で昨年10月に発表した展望リポートの中間レビューを行い、2007年度は潜在成長率(1%台半ばから後半)を下回る成長に減速するとの判断に変え、GDP予測を下方修正しました。

これは、住宅投資の減少が長引いている上に、原材料高による企業の収益悪化が進んだことなどが影響しています。福井総裁も会見で「世界経済、国際金融市場、原材料高をめぐる不確実性に加え住宅投資の影響から減速している」と指摘していました。

住宅市場での落ち込みは建設基準法の改正の影響が大きいとみられますが、首都圏などのマンション販売件数も落ち込むなどの動きもあり、先行きの不透明感も強まっていることも確かです。

日銀が23日に発表した金融経済月報では、「輸出や生産は増加を続けている。企業収益が総じて高水準で推移する中、設備投資も引き続き増加基調にある。また、雇用者所得が緩やかな増加を続けるもとで、個人消費は底堅く推移している。一方、公共投資は低調に推移しており、住宅投資は大幅に減少している」としています。

福井総裁は会見で「先行き判断は微妙な局面に来ている」としながらも、「基本シナリオは維持し、政策スタンスは変わりない」と発言しました。

しかし、市場ではここにきて日銀の利下げ観測の思惑もくすぶり始めています。長期金利の動向も少し振り返って見てみますと、2005年7月に一時1.2%を割り込む場面もあった以降は、長期金利は上昇基調となりました。

2006年3月に日銀は量的緩和を解除し、これを受けて4月には2%をつける場面もありましたが、長期金利の上昇は結果として2006年5月の2.005%までとなり、その後は1.5%から2%あたりのレンジ内での動きとなりました。しかし、2007年11月には米サブプライム問題の影響による株安などから、米債などが買われたことを受け、日本の長期金利利は2005年9月以来の1.4%も割り込んでいます。これは当然ながら日銀の量的緩和解除前の水準ともなっています。

さらに22日のFRBによる緊急利下げの発表を受けて、米国債券市場では中短期債主体に買い進まれ、一時1.98%と2%を割り込み、2004年4月19日以来の水準まで低下しました。また、米10年債利回りは前週末比0.20%低下の3.43%と、年3.5%に引き下げられた政策金利も引き続き下回っています。ドイツでもすでに10年債利回りもECBの政策金利を下回るなど、

世界的にリスク回避の動きから債券は買われていました。 そして日本でも、1月23日に2年国債の利回りが、現在の日銀の政策金利である0.5%を割り込みました。円金利先物なども買われるなど、ここにきて中短期の金利に低下圧力が加わり、反面、超長期債の利回りが上昇するなど、日銀に対して利下げを促すかとのような動きにも見えます。

実際には海外投資家などによる思惑的な動きも強いものと見られますが、これまで日銀の「利上げ」はいずれあるとしても「利下げ」はないと見ていた大手の金融機関なども、利下げの可能性を全く否定することもできなくなってきた状況となり、中短期ゾーン主体に買いを入ってきているとも指摘されています。

福井総裁は22日の会見で、「利下げ観測があることは承知している」とも発言しています。「株価下落、逆資産効果やマインドへの影響通じてネガティブな影響及ぼすリスク」も指摘し、さらに「低金利であるゆえに金融政策に制約あるとは考えず」と今後、利下げという選択肢を全く考えていないわけではないことを指摘していました。 

現実にはここにきての物価上昇圧力の強まりなどもあり、今後の日本の実態経済の動向を見極めながら、引き続き慎重に先行きを見ていくことにはなりそうです。しかし度重なるFRBの利下げなどがあったものの、金融市場の混乱が今後も続き、さらに米経済の減速が世界経済に大きく影響し、その結果日本経済についても当初の見込みからさらに落ち込むというリスクが顕在化した際には、日銀としても数少ない利下げというカードを切らざるを得ないかもしれません。

2月9日にG7が東京で開催されます。福井総裁は「G7では金融市場の変化の中で先行き展望を共有できるよう議長国としてリーダーシップ発揮したい」と発言していましたが、今回の金融市場の混乱に対し、今後日銀がどのような対応をしてくるのかも注目されそうです。


2008.1.23「米0.75%の緊急利下げ」

22日に米国連邦準備制度理事会(FRB)は臨時のFOMCを召集し、ビデオ会議を通じて政策金利であるFF金利の誘導目標値を年4.25%から年3.5%に引き下げることを決めた。また、金融機関への貸出金利となる公定歩合についても、0.75%引き下げ年4.0%とした。

市場でも緊急利下げが行われるのではないか、との噂が先週末あたりにも出ていたが、結果として月末のFOMCまで待てずに実施したということは、それだけFRBも市場の混乱を懸念していたためとみられる。

先週の米国株の下げから、欧州株、アジアや中東にいたるまで世界的な大幅株安連鎖となっていた。FOMC後の声明文でも、金融市場の混乱は幅広く悪化してきた、と表明しており、さらに、最近の経済指標では住宅市場の一段の低迷と労働市場のある程度の 減速を示している、とも指摘し米経済の下振れリスクも強まった、として景気悪化に歯止めをかける意味でも大幅利下げに踏み切ったものとみられる。

今回の臨時のFOMCでの投票結果は賛成8、反対1、棄権1となった。反対はセントルイス連銀のプール総裁で、29日、30日の定例のFOMCで行うべきと反対とした。また、ミシキンFRB理事は欠席して投票に参加しなかったそうである。

今回の米緊急利下げの背景のひとつは、市場でモノラインと呼ばれる米国の金融保証会社への格下げの懸念による影響も指摘されている。モノラインの格下げは保証先の証券にも波及することで、幅広い債券や証券化商品の格下げにも及ぶ可能性があり、サブプライム問題が新たな広がりを見せる懸念もあることで、市場心理をさらに不安化させていたためである。

この米FRBによる緊急利下げによって、一時460ドル程度下げていたダウは下げ幅を縮小させ128ドル安とはなったが、プラスに戻りきれないというところに今回の金融市場の混乱の深刻さもうかがえる。29日からのFOMCでは0.75%の利下げもといった見方もすでにあったことで、それがやや前倒しされたに過ぎないとの見方もあったのか。

ただし、東京株式市場では日経平均が一時13000円台に戻し、アジア株も総じて買いが先行するなどなどそれなりの効果もあった

昨日の米債券市場では緊急利下げを受けて中短期債主体に買い進まれ、2年債利回りは週末比0.35%低の2.00%となった。一時1.98%と2%を割り込み、2004年4月19日以来の水準ま で低下した。

また米10年債利回りは前週末比0.20%低下の3.43%と、年3.5%に引き下げられた政策金利も引き続き下回っている。

ドイツの10年債利回りもECBの政策金利を下回るなど、世界的にリスク回避の動きから債券は買われた。

日本でも23日、日銀の利下げ観測の思惑などもあって、2年債の利回りが、0.490%をつけ政策金利である無担保コール翌日物の誘導目標値0.5%を下回った。


2008.1.22「どこまで続くか円高、株安、金利低下」

米国サブプライム問題を発端とした世界的な株安などを受けての金融市場の混乱は続き、東京市場でも22日に日経平均株価は13000円をあっさりと割り込み、外為市場では朝方にドル円が105.67円下回り約2年半ぶりの円高水準をつけてきた。10年債利回りは1.4%を大きく割り込み2005年9月以来の水準をつけている。マーケット心理は急速に冷え込み、株式市場などでは売りが売りを呼ぶといった悪循環にも陥っている。

ファンダメンタルズなどをいったん置いておいて、チャートから見てのそれぞれの節目といったものを検証してみたい。

まず日経平均株価から。2004年3月あたりから2005年7月あたりにかけて日経平均は11000円から12000円のレンジ内での動きが続いていたが、2005年8月に12000円を大きく上回り、ここから上昇基調となった。2007年7月に18261.98円が結果として高値となり、8月以降は米サブプライム問題の表面化によって、そこから13000円割れまでの急落となった。これを見る限り「振り出しに戻る」となれば、一時的に12000円割れといったところまで下落する可能性がある。

次に長期金利を見てみると2005年7月に一時1.2%を割り込む場面もあったが、それ以降は長期金利は上昇基調となり、2006年4月に2%をつける場面もあったが、2006年5月の2.005%までとなり、その後は1.5%から2%あたりのレンジ内での動きとなった。2007年11月には2005年9月以来の1.4%も割り込む。このまま低下基調となれば、1.2%割れが目先の目標値ともなりそうである。

次に外為市場でのドル円の動きを見てみると、2005年1月につけた101円67銭から2005年12月の121円39銭までほぼ一貫して円安基調となったあとは、110円から120円近辺でのレンジ内の動きとなっていた。2007年6月に一時124円17銭の円安水準をつけてからは、今度は一貫しての円高基調となり、今年に入り105円台に入ってきた。チャート上では101円台あたりまでの円高もありうる。

特に日経平均株価を見ると大きな山を形成しているように見受けられ、チャートからは2005年8月以降の大きな相場が終焉を迎えつつあるように思われる。これは長期金利やドル円のチャートを見てもやや時間的なズレはあるものの、やはりひとつの大きな相場が終焉したかのような動きにも見える。

それぞれの市場は、常に連動性があるわけではない。しかし、共通した材料があり、その材料の元に動きを見せればこのように連動性がある相場となることがある。今回は米サブプライム問題がその材料となり、さらにその影響を受けての米国経済への不透明感といったものが市場の焦点となっている以上、株安金利安そして、リスク回避にともなってのドル売り円買いといった流れが続いている。この動きにどのタイミングで歯止めが掛かるかは予想も難しいものの、相場はいきつくところまで行かないと反転しないのも常であり、今回もかなりのオーバーシュートとなる可能性も否定はできない。


2008.1.21「国債の起源」

債券の起源は証券の起源ともなり、それは国債の起源でもありました。12世紀のイタリアの諸都市群のひとつベネチアでは、政府が交易で富を蓄積した商人たちから資金調達をするようになりました。その手段のひとつが十字軍遠征などの戦費調達のため市民からの強制借入というかたちで発行された貸付債券でした。

ベネチア政府の発行した貸付債券は市場が価格が形成されるなど現在の債券市場も形成され、投資対象としての信用度も高かったそうです。また、ジェノバでは元利返済のため税収を他の歳入から分離しシンジケート団に預け、その徴税権を担保に出資債券を発行して国に融資するという手段を講じました。しかし、ベネチアとジェノバはシノガッタ戦争を起こしその結果、戦費拡大によってこういった債券がデフォルトを起こすなどしたことや、イタリア諸都市群の経済衰退により、政府の信用度が低下していきました。

16世紀には、ハプスブルグ家のカールX世がフライスとの戦争のために、領地であったネーデルランド連邦ホラント州の議会に税収を与えるなどしたことで、その議会への信用を元に国債の発行制度を形成しました。

また貿易などによってネーデルランドつまり現在のオランダの国民は豊かとなっていたことで、発行された国債を家計が購入するという資金の流れが確保できていたこともあって、オランダで国債の管理制度が整ってきたのです。

オランダの国債制度がイギリスに導入され、1692年に酒類に対する物品税を恒久化し、それを担保にした年金国債が発行されました。そして軍事費の調達に苦慮する政府への財政支援のため1694年にイングランド銀行が設立され、政府は港湾利用税を担保にイングランド銀行から年利8%で120万ポンドの借入を行ったことが、イギリスの国債の起源と言われます。

イギリスの国債発行にあたっては、発行総額と期間をその都度公表し、割当請負制度を導入し、複数回の発行を集中させて流動性を確保するなど、国債管理制度をオランダ以上に整えてきたのです。名誉革命後のイギリスでは一度もデフォルトを起こさなかったこともあり、イギリス国債の信用力が高まることで、政府の資金調達が容易となったのです。

また国債の流動性が向上するということは債券市場の発達に繋がります。政府も既存の国債を整理統合するなどすることにより、国債の売買を容易とする手段を講じました。

しかし、当初、イギリスの国債の保有者はごく一握りの特権会社に限られていました。イングランド銀行、東インド会社、そして南海会社です。ところが南海バブルの崩壊によって、この図式が崩れ、幅広い投資家を対象とした体制への変化が求められました。このため本格的な国の予算管理なども整えられ、さらなる流動性の確保などが進められていったのです。

幅広い投資家層への発行には公募形式となり、全額引受といった保証がないことで、信用力などの国債の魅力そのものを高める必要性があります。投資家を意識した国債の発行により、イギリスの国債は国際的な投資対象としての地位を確保していったのです。

(以上の執筆にあたり、富田俊基氏の「国債の歴史」と、平山賢一氏などが書かれた「国債と金利をめぐる300年史」から一部引用させていただきました)


2008.1.18「フィラデルフィア連銀製造業景気指数」

17日に発表された1月のフィラデルフィア連銀景気指数はマイナス20.9と好不況の分岐点ゼロを大きく下回り、12月米住宅着工件数は年率換算前月比-14.2%と16年7か月ぶりの低水準となった。バーナンキFRB議長は大幅利下げを示唆し、米10年債は前日比-0.11%の3.62%と大幅反発し、NYダウは306.95ドル安と今年最大の下げ幅となった。

フィラデルフィア連銀製造業景気指数(http://www.phil.frb.org/econ/bos/)とは、米国の連邦銀行のひとつであるフィラデルフィア連銀の管轄地域であるペンシルバニア、ニュージャージー、デラウエア州の製造業の景況感などを示した指標である。

非農業部門の就業者数、失業率、製造業の新規受注など11項目から構成され、各項目について1か月前と比較した現状と6ヶ月後の期待を、「良い」「同じ」「悪い」の中から選択させ指数化させたもので、ゼロが生産活動拡大・縮小の分岐点とされる。2007年1月からの指数は下記の通り。2008年1月の-20.9というのはさすがにマイナス幅が大きいことがわかる。

Jan-07 3.6、Feb-07 0.3、Mar-07 0.2、Apr-07 -0.8、May-07 4.1、Jun-07 17.7、Jul-07 6.9、Aug-07 5.7、Sep-07 9.2、Oct-07 8.4、Nov-07 7.5、Dec-07 -1.6、Jan-08 -20.9

フィラデルフィア連銀製造業景気指数は、毎月第3木曜日の米東部時間午前10時(夏時間:日本時間午後11時00分、冬時間:日本時間午後12時00分)に発表される。フィラデルフィア連銀の管轄地域に限られるものの、全国の州をカバーするISM製造業景況指数との相関が比較的高く、またフィラデルフィア連銀の管轄地域がニューヨーク市に近いこともあり、ニューヨーク連銀製造業景気指数との相関性も高いともみられている。このため、ニューヨーク連銀製造業景気指数などと合わせて動向を見る必要がある。


2008.1.17「プライマリーバランス」

報道によると、内閣府と財務省は15日、平成23年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化に向けた試算を、それぞれ自民党に提出し、さらに本日17日の 経済財政諮問会議に経済財政運営の中期指針「進路と戦略」の参考試算として17日の提出されるようである。

内閣府が昨年8月に出した試算では、2011年度までに14.3兆円の歳出削減を行えば、増税なしでも対GDP比で0.01%とかろうじて黒字達成が可能との見通しを示していた。しかし、景気回復の遅れなどから政府は昨年12月、名目GDPの成長率見通しを2007年度、2008年度ともに下方修正した。これに伴い2011年度の名目成長率見通しも、最も歳出削減の進むケースとして、2011年度名目成長率を昨年8月の試算より0.4%下回る3.3%となり、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)はGDP比で0.1%の赤字となる見通しとなった。

政府は2011年度までにプライマリーバランスを黒字化させることを財政健全化の目標としていたが、この目標達成のためには、さらなる歳出改革も必要となる。消費税を含む歳入改革を求める声も強まりそうだが、増税ありきの前に歳出改革に対しやることをしっかりやってもらう必要もある。国の財政にとり、プライマリーバランスの黒字化は絶対に達成すべき目標ではある。しかし、消費税引き上げありきとの考え方は財政構造改革そのものを御座なりにしてしまう可能性を秘めている。


2008.1.16「米小売売上高」

米小売売上高は百貨店や総合スーパーの売上のサンプル調査を基にした経済指標。米国の個人消費はGDPの六割以上を占めることもあり、個人消費の動向を把握する上でも重要な指標となっている。

米商務省センサス局が米国時間15日に発表した昨年12月の小売売上高(季節調整済み)は、3829億2800万ドルとなり、前月比0.4%減となり6か月ぶりの減少に転じた。ほぼ前月比変らずとの市場予想も下回った。

これにより米国では住宅投資の低迷に加え、個人消費の鈍化も数字に表れてきており、米国経済の先行き不透明感が強まり、ダウは277ドルと大幅反落となり、米債10年債は3.67%と3年10か月ぶりの水準に利回りが低下した。

このように個人消費が米経済に与える影響は非常に大きいため、米国の景気の動向を見る上でも小売売上高は市場参加者が注目している指標のひとつとなっている。価格の高い自動車の占める割合が大きいこともあり、変動の大きい自動車を除いた「自動車を除く小売売上高」の数字も重視されている。

この小売売り上げとともに、ショッピングセンター国際評議会(ICSC)とUBSが発表する10月既存店売上高などと合わせて米個人消費の動向を掴むことも必要となる。ただし、小売売上高は速報値からの改訂が大幅なことが多いことなどにも注意が必要。

公表日時毎月第2週。米東部時間午前8時30分(夏時間:日本時間午後9時30分、冬時間:日本時間午後10時30分)


2008.1.15「冬の個人向け国債販売額は、合計で5511億円に」

12月に募集された冬の個人向け国債の販売額は、10年変動タイプと5年固定タイプの合計で5511億円となった。10年変、5年固定ともに販売開始以来の最低水準となり、10年変動タイプの販売額は1316億円(郵政民営化で今回から郵便局分も民間金融機関に含まれる)。5年固定タイプは4196億円となった。

2006年2月の日銀の量的緩和政策の解除、7月のゼロ金利政策の解除、2007年3月の政策金利の0.5%への引き上げなどにより、2007年7月に発行された変動10年は2006年7月の15回以来の初期利子が1%台となり、固定5年の7回は1.5%とそれまでで最も高い利率をつけた。しかし、それ以降は米国のサブプライム問題などを受けて長期金利は低迷し、その結果変動の初期利子、固定の利率ともに引き下がってしまった。

個人向け国債の人気そのものが低迷したというよりも、個人は利子の変化に対してはかなり敏感であり、こういった初期利子や利率そのものに魅力が薄れ、反面、日銀の利上げなどを通じて預貯金金利からの優位性もやや薄れたことなどが、今回の販売低迷の一因とみられる。

米国では更なる追加利下げ観測もあり、米金利は下方圧力も強まっているだけに、日本の国債の金利もすでに量的緩和解除前の水準まで低下している。この流れに変化がない限りは、当面は個人向け国債の販売は苦戦しそうである。

しかし、日銀もさすがに利下げまで行なってくることは現状考えづらいこともあり、また物価上昇圧力も強まってきていることから、サブプライム問題の落ち着きとともにいずれは日本の長期金利も再び上昇圧力を強めてくることも考えられる。しかし、こればかりは相場であり、確証があるわけでもない。いずれにせよ当面は有効な販売促進策も見出しづらく、債券相場の動向を見守ざるを得ないといった状況か。

これまで発行された個人向け国債の回号別販売額と税引き前の初期利子(固定は利率)は下記の通り

第1回変動10年(2003年3月)3,835億円(うち郵便局499億円)、0.09%
第2回変動10年(2003年4月)3,486億円(うち郵便局746億円)、0.05%
第3回変動10年(2003年7月)2,802億円(うち郵便局588億円)、0.05%
第4回変動10年(2003年10月)9,432億円(うち郵便局1,659億円)、0.77%
第5回変動10年(2004年1月)1兆3,951億円(うち郵便局995億円)、0.62%
第6回変動10年(2004年4月)1兆4,185億円(うち郵便局1,244億円)、0.55%
第7回変動10年(2004年7月)1兆7,726億円(うち郵便局1,990億円)、0.74%
第8回変動10年(2004年10月)1兆8,652億円(うち郵便局2,484億円)、0.74%
第9回変動10年(2005年1月)1兆7,647億円(うち郵便局2,436億円)、0.67%
第10回変動10年(2005年4月)2兆3,374億円(うち郵便局1,990億円)、0.73%
第11回変動10年(2005年7月)1兆6,423億円(うち郵便局2,484億円)、0.45%
第12回変動10年(2005年10月)1兆3,629億円(うち郵便局2,483億円)、0.55%
第13回変動10年(2006年1月)8,001億円(うち郵便局1,488億円)、0.68%
第14回変動10年(2006年4月)8,285億円(うち郵便局1,491億円)、0.85%
第15回変動10年(2006年7月)9,813億円(うち郵便局995億円)、1.10%
第16回変動10年(2006年10月)7,323億円(うち郵便局997億円)、0.92%
第17回変動10年(2007年1月)4,334億円(うち郵便局938億円)、0.84%
第18回変動10年(2007年4月)3,479億円(うち郵便局642億円)、0.87%
第19回変動10年(2007年7月)3,713億円(うち郵便局736億円)、1.01%
第20回変動10年(2007年10月)1,933億円、0.85%
第21回変動10年(2008年1月)1,316億円、0.68%

第1回固定5年(2006年1月)1兆1,285億円(うち郵便局497億円)、0.80%
第2回固定5年(2006年4月)9,883億円(うち郵便局1,490億円)、1.01%
第3回固定5年(2006年7月)1兆2,430億円(うち郵便局996億円)、1.30%
第4回固定5年(2006年10月)8,584億円(うち郵便局998億円)、1.13%
第5回固定5年(2007年1月)10,730億円(うち郵便局998億円)、1.20%
第6回固定5年(2007年4月)8,326億円(うち郵便局1,311億円)、1.13%
第7回固定5年(2007年7月)1兆5,964億円(うち郵便局1,545億円)、1.50%
第8回固定5年(2007年10月)7,691億円、1.15%
第9回固定5年(2008年1月)4,196億円、0.94%


2008.1.11「債券先物138円台に」

バーナンキFRB議長は、10日の米国時間昼過ぎの金融政策に関する講演において、「必要に応じて大幅な追加措置をとる用意がある」と述べ大幅な追加緩和を示唆した。これを受けて米国債券市場ではイールドカーブのスティープニング圧力が強まり、中短期が買われ、長期債は売られた。

米国株はバーナンキ発言を好感し上昇したことから、日経平均先物の寄り付きは前日比80円高の14480円としっかりとなった。昨日の引けあとに30年主体に海外投資家からとみられる超長期ゾーンへの売りが入り、来週の30年国債の入札なども意識した売りなどから、30年27回は一時4.5毛甘の2.385%まで売られた。ここにきて超長期は重く20年も一時3.5毛甘の2.120%がヒットされた。中期買い長期買いなども入ったとみられ、5年68回は5糸強の0.910%が買われたのに対し、10年289回は3毛甘の1.465%に後退した。このように、昨日の米国市場同様に日本の債券市場でもイールドカーブはスティープニング圧力を強める結果となった。

しかし、11日の前場は引けにかけて様相が一変した、日経平均が前日比マイナスになり100円を超す下げとなったことから債券先物は買戻しの動きを強め、138円台をつけ、債券先物の中心限月としては2006年1月24日以来の水準をつけてきた。

2年264回は0.600%割れ、5年68回も0.900%を割り込むなど利回りが大きく低下した。さらに10年289回が一時の1.465%から1.410%に、20年99回も2.120%から2.075%に切り返すなど久しぶりに派手な相場展開となった。中期ゾーンばかりでなく、10年債や20年債含めて、国内投資家の買いが入り急速に切り返してきたものとみられる。

この背景には、米国の利下げ観測に加え、日本での足元経済の減速観測も強いことで、日銀も利上げに向けの動きは当面難しいの見方が強まったことによるものとみられる。日経平均株価も量的緩和解除前の水準近くに低下しており、債券先物も2006年1月以来の水準をつけていることも、日銀の利上げは困難といった見方が強まったことによるものとみられる。

しかし、日銀の福井総裁は衆院財務金融委員会で「金融政策の基本方針に変わりはない、利上げペースに予断持たず」とも発言しており、これまでの日銀の姿勢に変化はないことを示している。サブプライム問題に端を発した米国経済への影響がどの程度残っているのか。今後は物価動向も含め、経済動向に対して注視していく必要がありそうである。


2008.1.10「札幌市金融経済懇談会における武藤副総裁挨拶要旨より」

日銀のホームページに本日開催された札幌市金融経済懇談会における武藤副総裁挨拶の要旨がアップされた。

武藤副総裁は、日本経済について「足もと住宅投資の落ち込みなどから減速しており、先行きも当面減速が続くものの、その後は緩やかな拡大を続ける」と見ている。

12月の短観調査でも企業の業況感はやや慎重化していたものの、全体としてみれば、企業は今年度も増収・増益の見通しを維持しており、設備投資も堅調な計画となっており、輸出を見ても米国など世界経済の不透明感が高まっている中にあって、産油国やエマージング諸国などが増加傾向にあり、短観による大企業の輸出売上高予想は上方修正になっている点も指摘している。

家計部門についてみますと、一人当たり賃金は、やや弱めの動きとなっているが、企業の人手不足感は、短観などをみても強く、雇用者数は増加を続けており、行き、労働需給がタイト化の方向に進めば、賃金の上昇圧力も徐々に高まっていくものと見ている。

個人消費は底堅い動きを続けているが、ガソリン・灯油・食料品などの生活必需品の価格が上昇していることなどによるマインドの悪化の影響を含めてよくみていく必要があるとしている。

消費者物価(除く生鮮食品)は、昨年10月に+0.1%とプラスに転じ、11月は+0.4%に拡大。目先、石油製品や食料品の価格が上昇する中で、さらにプラス幅が拡大するとみており、景気の拡大基調が続く中で、需給ギャップもプラス方向に向かうとみられ、それを背景に物価のプラス基調が続くとの見方に変化はない。

しかし、上記要素に変化が生じるリスクには注意が必要とし、とりわけメカニズムの起点にある世界経済の成長の持続という点は重要なリスク要因としている。とりわけ米国経済は、現在、景気の減速感が幾分強まりつつあり、住宅投資は大幅な減少を続けており、住宅販売の減少と在庫の積み上がり傾向が一段と鮮明となっている点を指摘。

米国の個人消費や設備投資は、減速しつつも、緩やかな増加基調を維持。目先は低成長が見込まれるが、その後は、住宅市場の調整が進むに連れて、潜在成長率近傍の成長パスに次第に戻っていくというのが基本的な見方のようである。たた゜「この先の住宅市場の調整の帰趨や金融資本市場の動向によっては、資産効果や信用収縮、マインドの悪化などを通じて、個人消費、設備投資が下振れ、米国景気が一段と減速する可能性も考えておく必要がある」とも武藤副総裁は指摘した。

そして、「同時に、インフレ方向のリスクにも注意が必要」とし、米国でもインフレ圧力が衰えず、、中国の固定資産投資を中心に過熱感が強い状況も指摘、世界経済全体の高成長に加えて、地政学的要因や投機資金の流入などもあって、原油価格が年明けに一時的に1バレル100ドル台まで上昇するなど、国際商品市況は高値圏で推移していることから、「経済のダウンサイドリスク、物価のアップサイドリスクの双方に対処していかなければならないという意味で、各国の金融政策は難しい局面にあります。」としている。

そして武藤副総裁は、「日本経済は、当面減速するとみられる一方で、消費者物価は石油製品や食料品の値上がりなどから当面上昇幅が拡大していくと見込まれ」るとの経済・物価情勢の中で、金融政策運営においては、こうした動きが先行きの経済や物価にどのように影響するかを予測する必要がある点を指摘している。その判断予測の注意ポイントとして次の3つをあげている。
1.減速が一時的なもので景気は拡大軌道に復すると考えてよいか、あるいは、減速が予想以上に長引くことはないか
2.物価上昇が経済に悪影響を与えて、先行きの経済や物価を下振れさせることはないか
3.逆に、物価上昇が、家計の物価についての見方や企業の価格設定行動に影響を与えて、先行きの物価を上振れさせることになるかどうか

「見通しには不確実な面がありますので、見通しそのものだけでなくて、その蓋然性や上下両方向に乖離するリスクも重要な判断材料です。このように、見通しやその蓋然性、上下両方向のリスクを十分に点検しながら、物価安定のもとで持続的な成長を達成できるように、適切な金融政策運営を行っていく所存です。」としている。

今回の武藤副総裁の発言内容は、比較的慎重なトーンと受け取られそうだが、日銀のこれまでの姿勢に大きな軌道修正が行なわれたわけではないことも確かなようである。武藤副総裁は今後の日銀の金融政策に関しては、「現在極めて緩和的な状況にある金利水準を徐々に調整していく方向にある」とし、「低金利が経済・物価情勢と離れて長く継続するという期待が定着するような場合」のリスクにも言及するなどした。ただし、具体的な政策変更については「経済・物価情勢を、虚心に、フォワード・ルッキングに評価した上で、慎重に判断して参りたい」とし、「慎重」な姿勢であることを印象付けた格好ともなっていた。


2008.1.9「FRB理事会の議事録より」

米国も公定歩合をロンバート化しており、事実上の公定歩合を廃止しています。米連邦準備制度理事会(FRB)は2002年5月17日に連銀窓口貸し出し制度を改革することを発表しました。新制度はプライマリークレジット(優先貸し出し)と名称が変更され、日本銀行や欧州中央銀行(ECB)のロンバート金利と同様の働きを持つことになります。

現在フェデラルファンド(FF)金利を下回っている公定歩合による連銀窓口貸し出しは事実上廃止され、公定歩合をFF金利よりも高い水準に変更することで短期金融市場のひっ迫などでFF金利が跳ね上がるのを阻止することになります。

FRBによるとプライマリークレジットは、経営状況が健全な金融機関を対象に、FF金利の誘導目標よりも、当初1ポイント高い水準で導入するとしています。経営状況の劣る金融機関にはFF金利に1.5ポイント上乗せするセカンダリークレジットを適用します。新制度実施後、金利を変更する場合は、これまでの公定歩合と同様に連邦準備制度を構成する12の地区連銀が個別にFRBに申請したのちFRBが最終決定することになります。 (以上、拙著「短期金融市場の基本とカラクリがよ〜くわかる本」より)

このようにプライマリークレジットというより、現在はマスコミでも「公定歩合」との表現を使っていることで、それに合わせてこの米国の「公定歩合」は、連邦準備制度を構成する12の地区連銀が個別に発議権があり、FRB本部の理事会が米連邦公開市場委員会の方針を踏まえて最終決定される仕組みとなっています。

8日にこの米国の公定歩合の変更を決める理事会の昨年11―12月分の議事録が公開されました。12月11日のFOMCでは、フェデラルファンド金利の誘導目標と、公定歩合をいずれも0.25%引き下げることを決定していました。

ただし、この際の公定歩合の引き下げについては12地区連銀の意見が対立していたことが明らかとなりました。議事録によると、0.25%の引き下げを主張したのは7行、3行は0.5%の引き下げ下げ、2行は据え置きを求めていました。

公定歩合の0.5%の引き下げをサンフランシスコ、ボストン、ミネアポリスの3つの地区連銀が求め、ダラスとカンザスシティーの2つの地区連銀が据え置きを求めていました。0.25%の引き下げを要請したのは、そのほかのニューヨーク、シカゴなどの7つの地区連銀でした。

0.25%の引き下げを要請した地区連銀は「経済成長の下向きリスクが強まるとともに、金融市場の状況が悪化した」と指摘。

0.5%の引き下げを要請した地区連銀は「金融市場の状況や経済見通しを踏まえ、一段と深刻な景気減速に備えるため大幅な引き下げが必要」との立場を示していました。

据え置きを主張した地区連銀は「景気減速懸念は根強いインフレ圧力に相殺される」としていました。(以上、一部ロイター記事より)


2008.1.9「長期金利は相場で動く」

金利は1.395%をつけ、量的緩和解除前の水準にまで低下したのです。 少なくとも相場には決まった方程式はないということを認識しておく必要があります。相場は人間の欲望や期待といったものが価格に反映されている側面もあり、またファンダメンタルだけではなく需給要因などを含めて、いろいろな変動要因が複雑に絡み合っているため、先行きを見通すことは天気予報以上に難しいのです。

相場にはいくつかの面白い格言があります。「もうはまだなり、まだはもうなり」という格言は、もうここまで債券相場の動きによって長期金利が変動することで、長期金利の動きは債券相場そのものの動きとなります。

相場の世界では随所にトレードオフの関係が存在します。つまり状況に応じて上がるものもあれば下がるものもあるのです。しかし、これも機械的に動くというものではなく、場合によっては同時に上がったり、下がったりすることもあるので余計にやっかいです。

これは株式相場と債券相場の関係などにも当てはまります。株が上がれば債券は下がるといったことが必ず起きるわけではないのです。

さらに日銀が利上げをしたからといって、長期金利が必ず上がるという方程式もありません。現実に2006年2月に日銀が量的緩和を解除し、7月に政策金利を0.25%引き上げてゼロ金利政策を解除し、2007年2月には政策金利を0.5%にまで引き上げていましたが、2007年11月に長期上がれば下がるであろうと思ってみても相場は上がり続け、皆が皆、相場はまだまだ上がると思い込んだときが天井といったことを表した格言です。

これを聞いて、日本のバブル時の株式相場を思い起こす方もいるでしょうし、1ドル79円75銭まで進んだ1995年の円高進行などもそうでした。債券相場では2003年に長期金利が一時0.5%を割り込んだこともありました。当時の短期金利がゼロ近辺とはいえ、10年の金利が0.5%以下というのはいかにも異常でした。しかし、相場はある程度、行き着くところまで行かないと止まらないといったこともままあるのです。

日本では戦後の経済成長を促すために、間接金融という方式のもと銀行が企業に資金を融資し、その銀行は私たちから預金というかたちで資金を融通してきました。企業の貸し倒れリスクは銀行が負うかたちではありましたが、その背景には大蔵省の護送船団方式に代表される国の保護といったものがありました。このため、公定歩合という日銀の政策金利から国債の金利に至るまで、日本の金利は統制されていました。

こういった時代が長かったことで、日本では債券市場そのものはほとんど機能していませんでした。しかし、国債の発行額の増加により、銀行が引き受けていた国債の売却を行なわざるを得なくなり、いわゆる銀行のフルディーリングが認可され、東証ではヘッジ手段として債券先物が上場されるなどしたことから、1980年代後半あたりから日本の債券市場は拡大し、それによって長期金利は市場で形成されるという本来の姿に変わってきたのです。

このように長期金利と呼ばれる金利は、日銀や財務省が決めるものではなく、市場参加者が債券を売買する過程で市場で決定されるものなのです。


2008.1.8「1京円を超す債券市場」

2007年の日本の債券売買高が先物取引を除くベースで初めて一京(けい)円の大台を突破した。

1987年にも債券売買高が1京円に接近との記事が経済新聞などに掲載された。この際の1京円は債券先物の売買高を合わせた数字であったが、当時は債券のディーリング相場が活況を呈し、その売買高の多くが大手証券や銀行による自己売買によるものであった。

1986年11月に国債の指標銘柄として、10年国債の89回債が登場し、市中向け発行量は2兆7075億円が当時としてはかなり大型の指標銘柄であったことから、1987年に入り、債券市場はこの89回債を中心に、いわゆるディーリング相場となり、証券会社や都銀などが積極的に売買を繰り返した。

1987年5月に89回債は10年債でありながら、当時の代表的な短期金利でもある公定歩合の2.5%に接近したが、ここで債券バブルは終焉し、この2.550%が当時の10年国債の最低利回りとして記録された。1987年の債券の総売買高は先物を合わせて、7370兆円にまで膨らんだのである。

その後、債券バブルの崩壊とともに、債券の売買高は減少していった。国債の発行額そのものは増加してきたものの、売買高は低迷し続けていたのである。 しかし、2004年以降、債券のレポ取引や現先取引が拡大してきたことで、公社債売買高は再び過去最高を記録するようになった。

2006年には、3月に日銀の量的緩和政策の解除や7月のゼロ金利政策の解除などが実施され、短期金融市場が息を吹き返し、それにより短期金融市場の中心的に取引でもある国債を使った債券の現先取引が活発化していった。このため、債券売買高が拡大し、この年は債券先物の売買高を合わせて1京円の大台を突破した。

そして2007年に入ると、2月の日銀の追加利上げもあったが、それとともに米国のサブプライムローン問題を背景に債券売買高そのものが拡大したことで、銀行や海外投資家の売買が活発に行われてきた。その結果、債券の売買高を集計している日本証券業協会によると2007年11月の段階で、債券先物を加えずに債券売買高は1京1149兆円と1京円の大台を突破した。

日本の債券市場の規模そのものが、いかに大きいものであるのか、この数字を見ても明らであるが、この売買高の背景には日本の国債の発行残高が巨額であるという事実もあり、一京円を突破という市場の活況を手放しでは喜べないことも事実である。


2008.1.4「当面は原油価格動向などに注目か」

日銀が12月14日発表した12月の日銀短観では、企業の景況感を示す業況判断指数は大企業製造業でプラス19と前回調査に比べ4ポイントの低下となり、市場予想も下回った。原油高とともに、米経済の減速懸念などが響いたとみられる。また、建築基準法改正に伴う住宅着工の急減の影響も大きく、建設や不動産など前回調査から大幅悪化となっていた。

大企業製造業で先行きの見込みについても、さらに4ポイントの悪化を見込むなど、日本経済の下振れも懸念された。

そして年末28日に発表された11月全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年比+0.4%、12月東京都区部消費者物価指数(除く生鮮)は前年比+0.3%とやや予想を上回った。原油高の影響が大きいとみられるが、今後もプラス幅が拡大してくることも予想され、今後の日本物価の動向にも注意が必要か。同日に発表された11月鉱工業生産速報は前月比-1.6%と予想に近いものとなったが、12月の鉱工業生産予測は前月比+4.0%、1月は同0.0%と先行きはやや回復するとの予想となった。

当面は米サブプライム問題の影響を押さえることが重要となるが、欧米でも原油価格や商品市況の上昇により物価上昇圧力が加わっていることから、今後は日銀や欧米の中央銀行は金融政策に対して難しい選択を迫られる可能性もある。

東京市場でも焦点は米国のサブプライム問題の影響となっていることで、東京株式市場は米国株式市場の動向の影響を受けやすくなっており、円債は米国債の動向とともに、この株式市場の影響も受けながらの動きになっている。

こういった神経質な相場展開は、当面継続されるものとみられ、当面の長期金利は1.5%を挟んでの動きとなるとみられる。しかし、サブプライム問題の影響が長期に渡り米経済に影響を及ぼしてくるのかどうかは見方も分かれよう。

国内経済の下振れ懸念には改正建築基準法の施行といった官製不況と呼ばれるものの影響も大きいことにも注意が必要か。今後、こういった反動も含めて景気回復への期待が強まるようだと、低位安定している長期金利に再び上昇圧力が加わるという可能性もある。


2008.1.4「本年もよろしくお願いいたします」

新年あけましておめでとうございます。

米国市場では新年早々に原油先物が100ドル超す上昇となり、これを受けて米株が大きく下落し、米債の利回りは低下するなど、米国では物価の動向というよりも景気減速が懸念されているようです。日本でも大発会から日経平均は急落し、昨年来安値を更新するなど波乱の展開となっています。

サブプライム問題で大きく揺れ動いた市場は、今度は原油価格に影響を受けて波乱の展開となっているのも、大きな資金が投機的に動きとなっていることも影響していると思われます。政府系ファンドなどを含め、オイルマネーや中国やインド、アジア諸国などの資金が今年も相場に影響を与えそうです。

今年の注目すべきイベントとしては、日銀総裁人事、洞爺湖サミットや衆院解散総選挙などがあり、海外では米国大統領選挙、北京オリンピックなどが挙げられます。経済動向としては春先あたりまで、米サブプライム問題の影響が燻る可能性があり、原油価格の動向も当面の注目材料となりそうです。

今年の長期金利の動向も予想が難しいのですが、1.4-1.8%あたりをコアに材料次第で上振れ、下振れの可能性もありそうです。難しい相場ともなりそうですが、本年も引き続きよろしくお願いいたします。


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