経済産業省が今朝発表した2月の鉱工業生産速報値は前月比-1.2%低下となり2か月連続の低下になった。しかし、市場予想の-2.0%程度よりは良い結果ともなった。内訳は出荷が前月比-2.6%、在庫は+0.1%となった。また製造工業生産予測調査は、3月が+2.0%、4月は-1.0%の予測となっていた。経済産業省は生産の基調判断を「横ばい傾向」と据え置いている。
3月の債券相場は海外投資家によるリスク回避の動きなどにより波乱含みの展開となったが、そういった動きは4月に入り次第に落ち着いてくるものとみられる。しかし、米金融機関の損失拡大といった懸念は引き続き根強く、海外市場の動向によっては円債も引き続き動意を示す可能性は残る。このため米大手金融機関の1-3月期決算発表が集中する4月中旬には注意が必要か。
日本の金融市場における大きな懸念材料は、日銀総裁の空席という状況にある。世界的な金融市場の混乱の最中にあって、日本の中央銀行総裁が空席という異常事態が早期に解決されないようだと、日銀の金融政策の行方にも影響を与えかねない。4月8日から9日にかけて今年度最初の金融政策決定会合が開催される。このままだと金融政策を決定する政策委員は通常の9人から7人での決定となる。
さらに中旬にはワシントンでG7も開催される。総裁空席によってG7の中における日本の発言力の低下等も危惧されている。また、4月18日の日銀支店長会議も予定され、そして4月30日の金融政策決定会合では市場も注目している展望レポートの発表もある。展望レポートは先行きの金融政策の方向性を示す目安となるものだけに、このタイミングでも総裁不在となれば市場からの不信感といったものも強まる恐れもある。
29日から30日にかけて開催される米FOMCでは追加利下げが実施される可能性があるが、日銀は当面、現状維持を選択してくると予想される。しかし、日本の足元景気についてもやや不透明感も強まっている。4月下旬からは企業決算なども発表されるが、こういった企業決算の内容や経済指標動向によっては、日銀による利下げ観測が強まる可能性もある。
ここにきて消費者物価指数も上昇しているが、4月からも食品価格の値上げも続く。さらにガソリン価格の動向次第では消費動向などにも影響を与えかねない。引き続き物価動向にも注意が必要となる。
債券の需給面では、新年度入りしての大手銀行の動向が注目される。当初、益出しの売り等が入る可能性はあるものの、日銀による利下げ観測などが強まる可能性もあることで、そういった売りも限定的となろう。中長期ゾーンは引き続き堅調な地合が維持されるとみられる。さらに注目は一時大きく売り込まれた30年国債や物価連動国債、15年変国である。さすがに割安感も出ていることで、物価連動国債など期が変れば国内投資家の押し目買いへの期待もあるものの、積極的に買い進まれるといったことも考えづらい。
4月の債券相場は3月ほどの荒れ相場にはならないとみられるが、高値圏での推移が予想される。ただ米国金融市場の動向に神経質となっている面は変わらずとみられ、海外市場の動向やその影響を受けての株式市場や外為市場の動きを睨んでの、展開といったものは継続しよう。
3月に入り債券市場も米国市場の動向の影響を受けやすくなっていた。月初は3月の国債大量償還などを控えての投資家の買い需要の強さも債券相場の押し上げ要因ともなり、5年債利回りは0.75%を割り込むなど約2年3か月ぶりの水準をつけた。ただし、海外投資家によるフラットニングのアンワインドといった動きもあって相対的に超長期ゾーンは重かった。
12日に発表された10-12月期GDP2次速報では前年比+3.5%と市場予想は大きく上回った。これにより12日の債券先物は一時139円を割り込み一時138円98銭まで下落した。しかし、13日にはドル安が進行しドル円は100円近くまで円高ドル安が進行した。ユーロも対ドルでユーロ導入後の最高値を更新。この円高を受け日経平均はザラ場で昨年来安値を更新した、これを受けて債券先物は中心限月としては2005年7月29日以来の140円台乗せとなり、現物は10年290回が2005年7月以来の1.3%割れとなるなどかなり波乱含みの様相ともなった。
NY原油先物も高値を更新するなどやや投機的な資金が金融市場を混乱させている面もある。またドル売りや株の下落、国債への買いといったものはリスク回避の動きによるものともみられ、日本の債券市場でも格付の低い銘柄主体に一般債が売られたり、T-Lスプレッドが拡大するなどしていた。債券先物は10日に中心限月が6月限に移行したが、3月限よりも6月限の価格が上回るなどこれまでにない動きともなり、これも先物の買いポジションのロール圧力が強かったためとみられた。11日の5年国債入札も安全資産としての資金も入ったとみられ、利率は0.8%に引き下げられたが入札は順調なものとなった。
14日月曜日の東京時間早朝に米FRBは公定歩合を3.25%に引き下げを実施すると発表。JPモルガン・チェースがベア・スターンズ買収へとの報道にあわせる格好の発表ともなった。98円台への円高も受けての株安もあり、債券先物は買いが先行したが現物はアセットスワップ絡みの海外投資家の売りなどから超長期がさらに売りこまれ、米国の金融機関や金融市場の動向に不透明感も強まり、日本の債券市場でもリスクを落とす動きが強まりそれが超長期ゾーンや物価連動国債、15年変動利付国債などへの売りとなった。グローバルなリスクリダクション、ポジションのアンワインドといった動きが強まったが、その後今度は売られた超長期が大きく買われるなど、債券相場は先物含め17日から19日にかけてかなり値動きの荒い展開ともなり、10年債利回りで1.23%から1.33%の間での乱高下となった。ちなみに後日財務省が発表した16-22日の外及び対内証券売買契約等の状況によると対内債券投資は報告機関ベースで2兆3467億円の資本流出超とこれは過去最大の流出となっていた。
月末にかけては米国市場が落ち着きを取り戻しつつあったことから、債券は総じて上値の重い展開となった。しかし、現物は中期ゾーン、超長期ゾーンそれぞれに買いも入り押し目も限られた。ただ決算期末も控えていることもあり銀行や証券会社などは動きづらく、このため債券先物は海外市場の動向などを受けて一時141円台をつける場面もあったが、その後戻り売りから大きく反落するなど、一部の市場参加者による仕掛け的な動きなどから値動きの荒い展開ともなっていた。10年290回利回りも上げ下げはあったものの、1.2%台での動きに終始した。
朝方総務省が発表した2月の全国の消費者物価指数(除く生鮮)は前年同月比+1.0%となり1%台となり、市場予想の+0.9%も上回った。これにより全国コアCPIの前年比プラスは5か月連続となった。
前年同月比の押し上げ要因となったのは、原油価格の上昇によるエネルギー価格の上昇で、「灯油」や「ガソリン」の上昇が牽引した格好に。また「生鮮食品を除く食料」も押し上げ要因となったが、これは小麦価格の上昇などを受けて即席めんやスパゲティ、食パンなどの値上がりが影響した。また「移動電話通信料」の価格上昇も影響していた。
財務省が発表した16-22日の外及び対内証券売買契約等の状況によると対内債券投資は報告機関ベースで2兆3467億円の資本流出超となった。これは過去最大の流出となった模様。先週は超長期や15年変国、物価連動国債などを主体にかなり海外投資家からとみられる現物売りが入った。アセットスワップに絡んだポジションの外しといったことも含め、かなり現物が売却されていたことがこれで明らかとなった。反面、債券先物は買戻し圧力を強める格好ともなっていた。
「財務省は国際収支統計の証券投資とは別に,居住者と非居住者との証券売買の統計を発表しており、これが対内・対外証券投資状況となっている。公表は決済ベースと約定ベースの2通りある。約定ベース(週次、月次)は、指定された大口投資家の証券売買額を集計した統計。約定ベース(週次)の対内証券投資は、非居住者による日本の株式、公社債の取得・処分額。対外証券投資は居住者による外国株式、公社債の取得・処分額を示している。」
「世界的に資金が大きく流れる時代となっており、それは東京市場でも例外ではない。株式、債券、そして外国為替市場においても海外投資家の動向は常に注目されている。その海外投資家の動向を把握するためにも、速報性にすぐれた週次の対外及び対内証券売買状況が注目されている。」
「海外投資家は情勢に応じて頻繁に資金を動かしている。それは日本国内の情勢による場合もあれば、海外情勢による影響を受ける場合もある。現在の日本の金融市場の需給状況を確認するためのひとつのツールとして対外及び対内証券売買契約等の状況を確認しておくことが大事となる。」(「」内は拙著 (拙著「ネットで調べる経済指標」より抜粋)。
25日に発表された米3月の消費者信頼感指数は64.5と市場予想を下回り、2003年3月来の最低水準に落ち込んだ。さらに先行予測となる6か月先の見通しは47.9とオイルショックや、ウォーターゲート事件でニクソン政権が揺れた1973年12月以来の最低水準に落ち込んだ。
コンファランスボードが発表している消費者信頼感指数は、調査したもので、米国の景況感をはかる指標のひとつ。消費者信頼感指数は消費者に対し、家計の財政状態・生活水準・購買意欲・雇用・価格見通しなどの全米5000家庭を対象にしたアンケート調査をもとに、消費者のセンチメントを指数化したもの。
この指数は民間の調査機関が出している数値ながら、グリーンスパン前FRB議長も見ていたともされ、市場における注目度も高くなっています。個人消費動向を把握する際に利用される。
消費者信頼感指数は他に、ミシガン大学などが調査したものとがあるが、調査対象がコンファレンスボードよりも少ないといったことから、コンファレンスボードの同指数の方が注目されている。またコンファレンスボードで発表されるのは消費者信頼感指数のほかに、景気先行指数、求人広告指数などもあり。これらも経済の重要な指標とされている。(以上、拙著「ネットで調べる経済指標」より一部抜粋)
私の7冊目の本となる 「ネットで調べる経済指標」 が3月22日に 毎日コミュニケーションズさんから発売されました。そろそろ全国書店にも並んでいるかと思います。
この本はネットを使って直接に経済指標を発表している機関から調べるにはどうしたら良いのか、さらにその経済指標に関してのコメントとともに、市場に対しての影響、さらに指標のどこを見たら良いのかといった解説を行なっている本です。
ネット上の経済指標は様々なウェブページに分散してアップされていることで、どの経済指標がどのページにアップされているのか、わかりにくいのも確かです。この本はこういったネットにおける様々な経済指標の探し方を説明しているのが大きな特徴となっています。本の構成も、各指標を発表している官公庁や団体などの組織ごとに章立てしており、それぞれの官公庁などのウェブサイトのどのページにどの指標がアップされているかが分かるようになっています。
日本の経済指標に加え、サブプライム問題に端を発する金融市場の混乱などで揺れ動く米国の主要経済指標も取り上げています。こちらを調べるのもなかなか大変でしたが、その分、活用していただけるのではないかとも思っております。
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内閣府・財務省が発表した法人企業景気予測調査によると、1〜3月期の大企業全産業の景況判断指数はマイナス9.3となり、2007年10〜12月期のプラス0.5から大幅に悪化した。
大企業全産業の景況判断指数の4〜6月期の見通しはマイナス2.3、同じく7〜9月の見通しはプラス6.6となっており、7〜9月にかけて回復との見通しとなっている。大企業製造業の1〜3月期の景況判断指数はマイナス12.9(10-12月期+5.2)、で大企業非製造業はマイナス7.2(同-2.2)だった。中堅企業は全産業でマイナス14.1(同-2.6)で、中小企業全産業はマイナス30.4(同-18.7)とそれぞれ10〜12月期から大きく悪化した。
2007年10〜12月資金循環勘定速報が日銀から発表された。このうち家計の金融資産は、1544兆8347億円と引き続き1500兆円台を維持したものの、株価急落で年末比較で5年ぶりの減少となった。この家計のうち国債は、35兆9568億円(9月末35兆3674億円)となり、国債全体に占めシェアは5.3%と変わらず。株式91兆3000億円(9月末99兆7648億)に減少し、投資信託は71兆8951億円(9月末76兆3363億円) の減少となった。2007年9月末の日経平均は16785円69銭に対して2007年12月末は15307円78銭。長期金利は9月末1.675%に対し、12月末1.500%。
資金循環勘定速報をもとに 2007年12月末現在日本における国債所有別内訳を算出してみた。
国債の残高そのものは9月比22兆3378億円の増加となった。2007年10月の郵政民営化にともなって、郵貯分が中小企業金融機関等に入り、また民間生保分という区分けがなくなり簡保分を含めて生命保険に組み入れられていることで、それぞれ単独の数値が今回から抽出できなくなった。
海外投資家のシェアは7.3%に増加し、家計の全体に占めるシェアも5.3%と5%を維持した。海外と個人を合わせたものの全体に占めるシェアは9月に続いて10%を大きく超えている。
2007年12月末の国債残高と、そして全体に占めるシェア、2007年9月末比(億円)
合計 、684兆3258億円、100.0%、10兆8165億円増
民間預金取扱機関、239兆0726億円、34.9%
民間の保険年金、153兆9299億円、22.5%
公的年金、75兆1894億円、11.0%、4兆4576億円増
日本銀行、65兆0751億円、9.5%、6848億円減
海外、49兆8842億円、7.3%、5兆5627億円増
家計、35兆3674億円、5.3%、1兆8135億円増
投信など金融仲介機関、29兆7117億円、4.3%、7兆49億円増
財政融資資金、16兆5286億円、2.4%、3兆5285億円減
その他、18兆9775億円、2.8%、8022億円増
参考までに自分で集計を始めてからの、日銀資金循環統計を元にした国債残高の推移は下記のようになっている。一番右の数値は前回比である。(単位、億円)
2002年09月末、5,045,257
2002年12月末、5,228,730、183,473
2003年03月末、5,384,464、155,734
2003年06月末、5,441,370、56,906
2003年09月末、5,437,060、-4,310
2003年12月末、5,545,297、108,237
2004年03月末、5,699,256、153,959
2004年06月末、5,759,771、60,515
2004年09月末、5,993,527、233,756
2004年12月末、6,197,909、204,382
2005年03月末、6,424,669、226,760
2005年06月末、6,613,991、189,322
2005年09月末、6,591,695、-22,296
2005年12月末、6,718,823、127,128
2006年03月末、6,670,712、-48,111
2006年06月末、6,591,136、-79,576
2006年09月末、6,750,991、159,855
2006年12月末、6,760,500、 9,509
2007年03月末、6,735,779、-24,721
2007年06月末、6,619,880、-115,899
2007年09月末、6,735,093、115,213
2007年12月末、6,843,258、108,165
(なお上記は、私がエクセルで資金循環勘定速報をもとに再集計したものであり、数値のチェックはしているものの、一部入力ミスしている可能性が皆無とはいえないため、使われる際には、ご注意ください。)
福井日銀総裁の任期満了までに次期日銀総裁が決まらず総裁空席のまま、副総裁に選任された白川氏を中心とした日銀の新体制が今日発足します。
『日本銀行の役員とは誰のことを指すのでしょうか。もちろん、総裁や副総裁は役員です。そして金融政策決定会合に参加している審議委員も、日本銀行の常勤の「役員」として内閣から任命されています。日本銀行の組織規定をみてみると、「当銀行に、役員として、審議委員6人、総裁1人、副総裁2人、監事3人以内、理事6人以内及び参与若干人を置く」とあります。このように、監事3人以内、理事6人以内及び参与若干人が、内閣によって任命された政策委員9名とともに役員となっています。(拙著「短期金融市場の基本とカラクリがよ〜くわかる本」より)』
西村氏が副総裁に昇進することで、審議委員も一人空席となり、日銀の金融政策を決定する政策委員会は当面7人体制となります。
『政策委員会は9名のメンバーによる合議制の委員会です。そのメンバーとは、総裁1名、副総裁2名、そして6名の審議委員の合計9名の政策委員から構成されます。政策委員は衆参議院の同意を得て、内閣が任命することとされる日本銀行の常勤の役員です。現在の審議委員のメンバーは、学者、民間企業や民間金融機関の役員、そして民間エコノミストといったメンバー構成となっています。 政策委員の仕事は、決定会合に参加して金融政策を決定するだけではありません。政策委員会には、月1回もしくは2回開催され、金融政策について審議、決定を行う「金融政策決定会合」がありますが、そのほかに原則週2回定例的に開催され、金融政策以外の重要事項を審議する通常会合があります。(拙著「短期金融市場の基本とカラクリがよ〜くわかる本」より)』
このように拙著「短期金融市場の基本とカラクリがよ〜くわかる本」には、日銀の役割や機能、金融政策の役割など日銀に関する記述が約半分を占めています。また、米国では短期金融市場の混乱などによって大手証券会社の資金繰りが悪化し、FRBが新たな対応を迫られるなどしていますが、「短期金融市場の基本とカラクリがよ〜くわかる本」では短期金融市場への記述が残り半分を占めており、日銀が大きく関わっている短期金融市場が総括できるようになっています。ご関心、ご興味のある方はぜひ書店にてお手にとってみてください。アマゾンからも購入できます。
「短期金融市場の基本とカラクリがよ〜くわかる本」
SF会の大御所であり、私が最も敬愛しているSF作家、アーサー・C・クラーク氏が移住先であるスリランカで死去された。テレビアニメに影響され子供のころからベルヌやウェルズの小説を読み漁り、学生時代になってアーサー・C・クラーク氏の小説「幼年期の終わり」を読んで衝撃を受けた。この「幼年期の終わり」はSF愛読者の間でもSF史上の最高傑作ともされている。しかし、アーサー・C・クラーク氏といえば映画となった「2001年宇宙の旅」の方が知られているかもしれない。これは確かに原作はクラークながら監督のスタンリー・キューブリックの手腕によるところが大きい。アーサー・C・クラーク氏の代表作としては他に「都市と星」、「海底牧場」、「渇きの海」そして最近のアニメにも良く登場している宇宙エレベーターを始めて登場させた「楽園の泉」などがある。SF全盛期を支えた一人がまたいなくなってしまったのは寂しい限り。ご冥福をお祈りしたい。
日銀総裁人事は完全に政争の具と化してしまい、結果として世界的な金融非常時に、日本の中央銀行総裁が空席という異常事態を迎えてしまった。本日、国会は衆参両院本会議が開催され、今日任期満了となる福井日銀総裁、武藤副総裁、岩田副総裁の後任人事案が採決された。
政府は17日に民主党に打診した福井総裁と武藤副総裁の留任案が反対されたことで、18日にあらためて総裁に元大蔵事務次官の田波耕治氏、副総裁に西村清彦審議委員を充てる案を提示した。しかし、民主党は田波氏の不同意を決定したことで、本日の参院本会議では田波氏の総裁案は否決された。西村氏の副総裁就任は可決されたことで、白川氏とともに副総裁2人の人事は決定し、総裁のみ空席となる。また、西村審議委員の後任はこれから選出されるとみられ、明日以降、一時的にせよ日銀の政策委員は7人構成ともなる。そして当面は白川副総裁が総裁代行を務める予定となっているようである。総裁代行を置くのは戦後初となる。本日に総裁不在が確定した際に、日銀法に基づき同日に任期満了となる福井総裁が職務を代行する副総裁を決める。
日銀の最高意思決定機関である政策委員会の議長は互選となっているが通常は総裁が務めているが、日銀は21日らも政策委員会を開き総裁代行の白川氏を議長に選ぶ可能性が高いと日経新聞は伝えている。4月中旬にはG7が控えているが、G7は基本的には代理出席が認められておらず日銀はこういった国際会議への出席といった問題も懸念しているようである。
3月11日に各国の短期金融市場で資金供給を拡大するとの緊急声明を発表した。FRBは最大2000億ドルの資金を市場に供給するとしたが、この方式が通常の公開市場操作とは異なる新たな手法を取り入れた。
また17日には公定歩合の引き下げそれとともに、プライマリー・ディーラーに対し、NY連銀で公定歩合で資金を借りられる新制度を創設した。これは、JPモルガン・チェースがベア・スターンズ買収へとの報道にあわせる格好の発表でもあり、なんとしても金融不安を払拭しようとのFRB の動きでもあるが、それだけ問題が深刻化とも受け取るものともなった。次ぎはどこかといった不安が広まるなど、これは1997年11月の日本の金融システム不安が広まった当時の様相にも似ているように思われる。当時を振り返ってみたい。
1997年11月に入り、金融システム不安が一気に表面化した。3日に三洋証券が会社更正法適用を申請、17日には拓銀が経営破綻し北洋銀行への営業譲渡を発表した。24日には証券大手の山一證券が自主廃業を届け出、26日には徳陽シティ銀行が分割譲渡と4つの金融機関が相次いで破綻したのである。これは企業や金融機関のバランスシート調整が想像以上に遅れていたことが要因とみられた。
三洋証券の破綻の際に、コール市場での小規模なデフォルト(債務不履行:元本の償還や利子の支払いが契約通りに行われないこと)が発生した。金融機関同士で取引しているコール市場という信用の上で成立している金融市場の中で、戦後初のデフォルトが起き、これが他の金融機関破綻の引き金となった。信用リスクと流動性リスクの増大により、金融システム不安が一気に高まったのである。
これに対して、政府は12月に入り、金融システム安定化策として30兆円もの財政資金を用意した。17兆円は預金者保護、残りの13兆円は銀行の自己資本強化に用いられることになった。財源としては、新型国債といわれた交付国債10兆円と政府保証枠20兆円の計30兆円で賄われることも決まった。また、景気対策として特例国債(赤字国債)を発行し、2兆円の所得税減税を実施することも決めた。
交付国債とはもともと第2次大戦の戦没者の遺族などを支援するため、現金の代わりに支給した国債のことである。金融システム安定化のために準備したこの交付国債は、極めて異例であった。
結局、良し悪しはさておきこの公的資金の導入によって金融システム不安が沈静化したのも確かであった。米国でも同様の施策が講じられる可能性も指摘されているようだが今後の動向にも注目したい。
東京時間の朝8時過ぎに、米FRBは公定歩合を0.25%引け下げ3.25%にすることを全会一致で決定した。米国時間日曜日夜間という時間帯での異例の決定ともなったが、JPモルガン・チェースがベア・スターンズ買収へとの報道にあわせる格好の発表でもあり、なんとしても金融不安を払拭しようとのFRBの動きでもあるが、それだけ問題が深刻化とも受け取るものともなった。
FRBは、公定歩合の引き下げそれとともにプライマリー・ディーラーに対しNY連銀で公定歩合で資金を借りられる制度を創設した。プライマリークレジット制度では、経営状況が健全な金融機関を対象に行なわれていたが、今度の新制度はプライマリー・ディーラーならば投資適格の幅広い証券を担保によって、公定歩合で資金を借りられるようになる。この新制度は17日から利用が可能となり、公定歩合の貸し出し期間も30日から最大90日に延長される。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20080316a.htm
11日にFRBの新たな資金供給策を発表した。12日に発表された10-12月期GDP2次速報では前年比+3.5%と1次速報から小幅下方修正されたが、市場予想は大きく上回った。これによる株高や米債安などを受け12日に債券先物は一時139円を割り込みも一時138円98銭まで下落した。しかし、 13日にはドル安が進行し、ドル円は100円近くまで円高ドル安が進行した。ユーロも対ドルでユーロ導入後の最高値を更新。この円高を受け日経平均はザラ場で昨年来安値を更新した。債券先物は中心限月としては2005年7月29日以来の140円台乗せとなり、現物は10年290回が2005年7月以来の 1.3%割れとなるなどかなり波乱含みの様相となった。NY原油先物も高値を更新するなどやや投機的な資金が金融市場を混乱させている面もある。またドル売りや株の下落、国債への買いといったものはリスク回避の動きによるものともみられ、日本の債券市場でも格付の低い銘柄主体に一般債が売られたり、T-L スプレッドが拡大するなどしていた。債券先物は10日に中心限月が6月限に移行したが、3月限よりも6月限の価格が上回るなどこれまでにない動きともなり、これも先物の買いポジションのロール圧力が強かったためとみられた。11日の5年国債入札も安全資産としての資金も入ったとみられ、利率は0.8%に引き下げられたが入札は順調なものとなった。
18日に開催される米FOMCの動向に注目が集りそうである。ドル安、株安、債券高、原油高といった背景には、米サブプライムローン問題に端を発する米国の金融市場の混乱と景気後退懸念がある。FRBの新たな資金供給策についてはあくまで流動性供給であり、金融市場の混乱に多少なり歯止となるとみられるが、サブプライム問題そのものの本質的な解決策とはならない。格付会社が大手金融機関の評価損計上はまだ続くものの、折り返し地点を過ぎたとの見方を示したようだが、こういった動きが具体的に見えるようにならないと市場の不安感はなかなか後退しないものとみられる。また、米景気後退懸念に対して米FRBは利下げを継続することで対策としようが、反面、原油高など商品市況の上昇による物価上昇圧力もあり、金融政策の舵取りもかなり難しい状況にある。18日の FOMCでは政策金利を0.5%もしくは0.75%引き下げてくるとの予想となっているが、17日までの市場動向などを見極めながら利下げ幅を決定してくるのではないかともみられる。日本では混迷している日銀総裁人事の行方が大きな注目材料ともなりそうである。福井日銀総裁の任期は19日までとなる。債券相場は高値警戒もあるが、安全資産として中長期主体の国債は買われやすい地合ともなっており、当面は堅調地合となりそうだが、相場は投機筋の動きもありやや波乱含みともなりそうで、期末も控え参加者も限られる中、思わぬ価格変動がある可能性もある。
米欧の流動性供給にも関わらず、複数の大手ヘッジファンドが倒産の危機に瀕しているか。解約停止状態にあると英国のタイムスが報じたと伝えられたことなどがきっかけとなったのが、本日の前場の引けあと外為市場ではドル安が進行し、ドル円は1995年12月以来約12年ぶりに101円を大きく割り込み、一気に100円近くまで円高が進行。ユーロも1.5576ドルをつけユーロ導入後の最高値を更新した。
この円高を受け日経平均は前日比500円を超す下げとなり、ザラ場で昨年来安値を更新した。
債券先物は中心限月としては2005年7月29日以来の140円台乗せとなった。現物債は10年290回が2005年7月以来の1.3%割れ。
動きが加速しているだけにクライマックスといった動きにも見えなくもないが。
私の7冊目の本となる 「ネットで調べる経済指標」 が3月22日に 毎日コミュニケーションズさん から発売されます。
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米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、そしてイングランド銀行(BOE)に、スイス中銀、カナダ中銀は、11日に各国の短期金融市場で資金供給を拡大するとの緊急声明を発表した。FRBは最大2000億ドルの資金を市場に供給するとしたが、この方式が通常の公開市場操作とは異なる新たな手法を取り入れた。
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20080311a.htm
これは新たな債券貸し出しプログラム(Term Securities Lending Facility、TSLF)となり、FRBは最大2000億ドル規模の国債をプライマリーディーラーに貸出す際に、その担保として連邦機関債や住宅ローン担保証券(RMBS)、民間の高格付けRMBSも受け入れる方針を示した。つまり国債を借り入れた金融機関は、信用力の高い国債を担保に資金を調達が可能となる。機関も従来の債券貸し出しの期間が1日だけだったのに対し、今回のプログラムは28日となる。
またFRBは、ECBとスイス中銀にドル資金を融通する際に設けたスワップラインを拡大した。具体的にはECBとの通貨スワップラインを200億ドルから300億ドルへ拡大し期間も延長、スイス中銀とのスワップラインも40億ドルすら60億ドルへ拡大し、こちらの期間も延長する。
日銀も昨夜記者会見を開き、欧米5中銀の協調措置を歓迎する下記のようなコメントを発表している。http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/un0803a.htm
「G10諸国の中央銀行は、昨年12月の協調行動の後も、金融市場における資金調達圧力に対し、密接に協調し常時連携を取りながら、対処してきた。足もと、いくつかの市場では、再び資金調達圧力が高まっている。われわれは、引き続き協調して、これらの調達圧力に対処するため、適切な措置を講じていく。本日、こうした目的のもと、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、連邦準備制度およびスイス国民銀行は、諸措置を公表した。日本銀行は、これらの措置を歓迎し、国際金融市場の安定確保に貢献することを期待する。日本の短期金融市場は、国際金融市場の動揺の中にあっても、なお比較的落ち着いている。日本銀行としては、今後とも、年度末越え資金の供給を含め適切な金融市場調節を通じて、市場の安定に努めていく所存である。」
日経新聞によると福井日銀総裁も出席した10日のBIS中央銀行総裁会議において、これらの施策が最終調整されたのではないかとみられる。このFRBによる新たな資金供給策の発表等をマーケットは好感し、昨日の米国株式市場では、金融株を中心に買い進まれ、ダウは2002年7月以来となる上昇幅となり、米国債券市場では、信用リスク懸念の後退や大幅利下げ観測も後退したともみられ米2年債利回りは0.25%もの上昇となり1.74%に、10年債利回りは0.14%の上昇の3.59%となった。
債券相場は1月25日から続いていた長期金利での1.4%から1.5%のレンジを下に抜けるかたちとなり、10年290回は1.3%近くまで利回りが低下した。
米国の信用収縮への懸念が強まったことで米株が下落し、ドル円が101円台をつけるなど円高圧力も加わったことで、日経平均が13000円の大台を割り込んだ。
リスクリダクションの動きが強まり、信用リスクや流動性リスクが意識されてきました格付の低い社債などが売られそれは高格付け銘柄にも徐々に波及し、国債も流動性の劣る物価連動国債や15年変国とともに30年国債などにも売り圧力が加わってきました。
その反面、国債の中でもより流動性の高い中長期債は買い進まれた。ここにきての動きは米国の信用収縮懸念に端を発しての海外投資家によるリスクリダクションの影響に加え、国内の銀行や証券会社は3月末決算も控えてポジションを大きく取れなくなり、むしろこういった国内金融機関もリスクを落とす動きを強めたことで、日本の債券市場でも「質への逃避」の動きをより強める格好ともなった。
現物5年債利回りは3月11日に0.705%をつけ0.7%に接近している。2年債利回りも3月7日に0.505%と0.5%に接近している。海外投資家によるフラットニングのアンワインドといった動きも加わってこういった中期ゾーンが買い進まれた格好ともなった。
相対的に超長期ゾーンは重かったものの、3月3日には20年債利回りも昨年11月以来の2%の大台割れとなっている。
債券先物も3月7日に中心限月としては約2年ぶりに139円台に乗せてきたが、11日の3月限の売買最終日を控えて、売り方のロールではなく今回は買い方のロールが主体となったことで3月限と6月限のスプレッドがマイナスとなるなど、珍しい現象ともなった。
今後も米国市場の不安定さなどや、投資家の需要が下支えとなり当面の債券相場は堅調地合が続きそうだが、2年の0.5%や5年の0.75%、10年の1.3%といった水準を大きく割り込むには、あらためて日銀による「利下げ」が意識されないことには難しいともみられる。
3月10日に平山賢一さんの新刊「振り子の金融史観」(シグマベイキャピタルズ)が発売されました。 金融の歴史に詳しい平山さんの新著です。金融を知るには目先の出来事だけでなく、歴史を振り返ることもたいへん重要です。特に現在のように金融波乱の時こそ、過去に学ぶ必要があるのではないでしょうか。金融市場に携わる方、金融に関心のある方に是非読んでいただきたい本です。
3月24日に幸田真音さんの新刊「あなたの余命教えます」(講談社)が発売されます。これまでの幸田さんの小説とちょっと違った作品となっているそうです。DNA解析、遺伝子工学、再生医療の分野にいま注目のデータマイニングを合体させると、人間の余命予知が可能になる・・・。まさに近未来型小説になっているそうです。SF好きな私としても興味津々の内容です。
すでにサイン会も予定されているそうです。ぜひ足を運んでいただければと思います。
4月10日(木)紀伊國屋新宿本店 18:30〜
4月17日(木)浜松町ブックストア談 18:30〜
3月6日から2008年春の個人向け国債の募集が開始された。
募集期間は3月6日から3月31日までと、個人向け国債の募集期間は10年債入札日(今回は3月4日)の翌々営業日から月末最終営業日までとなる。10年国債入札の結果により10年変動タイプの初期利子が決定され、5年固定の条件も10年国債入札日の5年債利回りに応じて決定され、10年入札日の翌朝8時50分に発表される。条件決定から募集開始日まで1日開くのは販売業者の準備のため。発行日は2008年4月15日。
ちなみに、個人向け国債(固定5年)の条件を決めるための「基準金利」は、募集期間開始日の2営業日前(10年固定利付国債入札日)において、市場実勢利回りを基に計算した期間5年の固定利付国債の「想定利回り」となる。
10年変動タイプの初期利子を決める基準金利は10年国債の入札の結果、1.37%となり、初期利子はここから0.8%差し引かれた0.57%(税引き前)となる。
5年固定タイプの利率の発表は、年率0.81%(税引き前)となった。
10月に発行された前回債は、第21回変動10年の初期利子が0.68%(税引き前)、第9回固定5年の利率が0.94%(税引き前)となっており、これにくらべてさらに引下げられた。引き続き米サブプライム問題などによって長期金利に低下圧力が加わったため、個人向け国債の利子も引き下げられた格好に。
米国のサブプライム問題、モノラインと呼ばれる金融保証専門の保険会社に対する問題に端を発しての米金融市場の混乱と、米国経済の先行きの減速懸念はさらに強まっています。
バーナンキFRB議長は、不振が続く住宅市場の現状について「資産価値のマイナスが広範囲にみられる点で、過去とは違う」と述べ厳しい状況にあるとの認識を示しました。そして、金融機関に対してサブプライムローンの借り手の救済を巡り、元本のカットを含む追加策の検討を求めるなど、FRB総裁が具体策に言及するなど異例ともいえる発言を行なっています。
ここにきて米国で発表される経済指標は景気の悪化を示すものが多くなっています。たとえば2月26日に米国のコンファランスボードが発表した2月の消費者信頼感指数は75.0となり2003年3月以来の低水準に落ち込みました。向こう6か月の先行き景況感をみる期待指数は69.3から57.9へと落ち込み、これは湾岸戦争が始まった1991年1月 以来の約17年ぶりの低水準です。住宅市場の低迷継続や雇用の減少、さらにガソリンや食品価格の上昇が景況感を悪化させたものとみられました。
3月5日に発表されたベージュブックでも、2008年はじめから2月下旬にかけて「米経済の成長が減速した」との総括判断を示し、前回報告より景気の減速感をはっきりと認める形となりました。
こういう状況下、日本経済に関して日銀の水野審議委員は講演で、「個人的には、わが国経済は、現在、内憂外患に直面しているため踊り場的な状況にあり、幾分長引く可能性もある」と指摘しています。
内憂外患の「内」については「定率減税廃止による可処分所得の減少」、「改正建築基準法や貸金業法の施行を始めとする制度改正の影響」、「原材料価格の上昇によるマイナスの影響」を指摘していますが、2008年には定率減税廃止による影響と制度改正の影響は剥げ落ちるとしています。
しかし、「米国経済の減速は巷の想定よりも長引く可能性がある」として外患による景気下振れリスクは、今後むしろ高まると見込まれると水野委員は指摘しています。
日本で発表された経済指標を見てみますと、2月28日に発表された1月の鉱工業生産速報値は前月比-2.0%の109.8と市場予想を下回りました。また、3月5日に発表された法人企業統計では2007年10〜12月期の設備投資は7.7%減と企業収益の悪化に伴って3四半期連続のマイナスとなり、2007年10〜12月期のGDPが二次速報で下方修正が確実な見通しとなっています。
ただし、2月29日に発表された1月の「2人以上の世帯の家計調査」では、1世帯あたりの消費支出は物価変動の影響を除いた実質で前年同月比3.61%と2か月連続のプラスとなるなど、ここにきて消費は堅調ともなっているなど、日本経済については総じて足踏み状態といった状況にあります。
日本の物価に関してみてみると1月の全国の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比+0.8%となりました。前年同月比での上昇は4か月連続となります。1月の指数を押し上げたのは、ガソリンや灯油、さらに電気代と都市ガス代、プロパンガスを合わせたエネルギー価格の上昇が大きく影響しています。
ここにきて米国の原油先物が史上最高値を更新するなどしており、4月から農水省は輸入小麦の値上げも発表するなど、今後もさらに物価上昇圧力は強まるものとみられます。
こういった外部環境の中にあり、債券相場は1月25日から続いていた長期金利での1.4%から1.5%のレンジを下に抜けるかたちとなり、2月29日には1.320%と1.3%近くまで利回りが低下しました。
米国の信用収縮への懸念が強まったことで米株の下落や、ドル円が102円台をつけるなど円高圧力も加わり、日経平均が13000円の大台を割り込むなどしたことで、債券は買い進まれました。
3月の国債大量償還や3月期末を控えての投資家の買い需要の強さも相場の押し上げ要因となり、2年債利回りは3月3日に0.525%まで利回りが低下し、5年債利回りは3日に0.790%と再び0.8%を割り込みました。相対的に超長期ゾーンは重かったものの、20年債利回りも3日に1.985%まで買われ昨年11月以来の2%の大台割れとなりました。 ここにきての債券市場も米国市場の動向の影響を受けやすくなっています。米国債の動向とともに、外為市場やその影響を受けての株式市場の影響も受けやすくなっています。
ただし、レンジ相場を抜けてからは、投資家需要などに応じての現物債の動きも活発化しつつあります。3月4日に入札された10年国債の利率は1.4%と2006年1月以来の水準となったものの入札そのものも無難な結果となり、投資家の買い需要も強いものとみられます。
そういった投資家の需要が下支えとなりそうですが、2年の0.5%も5年の0.8%、10年の1.3%といった水準を大きく割り込むには、あらためて日銀による「利下げ」が意識されないことには難しいともみられます。
現状、日本経済の先行きもやや不透明ながらも米経済ほど懸念が強まっているわけでもありません。日本におけるサブプライム問題の影響は軽微ながらも東京市場の株価の下げが突出している面も気になりますが、株価対策のための利下げも考えづらいことも確かです。債券は買い一巡後は再び上値も重くなり、長期金利は1.4%台に戻すと予想しています。
1月の全国の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比+0.8%となりました。前年同月比での上昇は4か月連続となります。
消費者物価指数とは、世帯の消費生活に及ぼす物価の変動を測定するもので,家計の消費支出を対象としています。
消費者物価指数の中で、最も注目されているのが全国消費者物価指数の「生鮮食品を除く総合指数」(コア指数)と呼ばれるものです。日銀の展望レポートの予想値や事前にエコノミストなどが予想している数字も全国消費者物価指数の「生鮮食品を除く総合指数」の前年同月比の数字です。天候による豊作や不作などの影響で価格変動の大きい生鮮食品を除くことで、物価の動向が捉え易いため、この数字が重視されているのです。
全国消費者物価指数(生鮮除く)のこの一年間の推移を見てみますと、2007年3月は前年同月比-0.3%、その後、4月から9月まで同-0.1%が続いていました。しかし、10月に同+0.1%と前年比プラスとなってからは、11月に同+0.4%、12月は同+0.8%、そして2008年1月も同+0.8%とここにきてプラス幅が拡大してきています。
1月の指数を押し上げたのは、ガソリンや灯油、さらに電気代と都市ガス代、プロパンガスを合わせたエネルギー価格の上昇が大きく影響しています。
ニューヨーク市場での原油先物価格が1バレル100ドルを突破して過去最高値を更新してきていますが、これは投機的に資金が流入しているといった指摘もありますが、その根本的な背景には、中国やインドなど新興国の急速な経済成長があります。まさにこういった新興国が石油をがぶ飲みし、こういう需要が原油価格や貴金属などの価格を押し上げているのも事実です。この傾向は当面続くものとみられています。
また、私達の身の回りの食料品などの値上がりも浸透しつつあり、そのため個別品目では小麦を原料とするスパゲティ、食パン、即席めんなどの価格上昇や菓子類などの価格上昇も消費者物価の押し上げ要因となっています。こうした生鮮食品を除く食料による物価押し上げが、1月には0.2%分ありました。 4月から農水省は輸入小麦の値上げも発表しています。このため今後も生鮮食品を除く食料による物価押し上げといったものは継続するものとみられます。
ただし、総務省が発表している、食料エネルギーを除く消費者物価指数(通称、コアコア指数)は前年同月比0.1%の下落となっており、こういった原材料や資源高の影響を除いた物価のマイナス基調は変わっていません。このため、大田経済財政担当大臣も「デフレ脱却に向けて足踏みが続いている」として、デフレ脱却といった認識にはなっていないようです。
物価の上昇は欧米諸国ではかなりの懸念材料となっていますが、米国のサブプライム問題に端を発した米国経済の減速懸念が強く、米国の中央銀行であるFRBは物価上昇よりも景気回復を優先させるため利下げを行なっています。ただ、この利下げがいずれ物価上昇を加速させる恐れもあることで要注意です。
日本の物価も生産者物価指数で見ると実は欧米並みに上昇しています。ところが長らくデフレが続いていたことで、企業はなかなか値上げに踏み切れず企業努力によって価格転嫁を抑えていました。しかし、それにもさすがに限度があり、今後もいろいろなものの値上げが続くものとみられ、これも消費者物価指数の押し上げ要因となります。
日本ではまだインフレ警戒といったものは出ていませんが、今後の消費者物価指数の動向には注意を払う必要がありそうです。
日銀総裁人事は事前に予想するだけ無駄と以前、指摘を受けたことがあった。本命とされていた候補者が選ばれるとは限らないのが、日銀総裁人事でもあるとか。
今回の日銀総裁人事においても、本命視されていた武藤現副総裁の昇格がここにきて再び不透明になりつつある。与党が平成20年度予算案を強行採決したことで、その対抗措置として民主党は武藤敏郎副総裁の総裁昇格には同意しないとの方針を示した。
財布の中のお札を見てほしい。お札の表に赤い印章があるが、これは「日本銀行総裁」の印章で、「総裁之印」と篆書という字体で書かれているものである。日銀券というお札は日銀総裁がその価値を保証していることになる。それだけに日銀総裁に課せられている責任はたいへん重いものがある。
それほど重要な人事を「政争の具」にしてしまう、もしくはされてしまうというのは、さすがに情けない。「(日銀総裁)人事を巡る混乱は政府の当事者能力低下を象徴している」との指摘もあったが、そう受け取られてもおかしくはなかろう。
福井総裁の任期は3月19日までとなる。新聞報道などによると政府は武藤総裁、白川副総裁をリストアップしているとみられているが、もし武藤氏以外の候補者をこれから模索するとしたら、少なくとも今後5年間拘束される人事でもあり、この短期間の間であらたな人材に日銀総裁という要職への就任を依頼して、誰であれおいそれとわかりましたとの返事はできないはずである。
とにかく、与野党とも日銀総裁人事の重要性を認識した上で、日銀総裁空席といった事態はできる限り避けるべきである。
米国のサブプライムやモノラインの問題により、米国経済は減速懸念を強めており、日本の株式市場や債券市場にも大きな影響を与えている。しかし、今年の後半あたりからは米国経済は回復基調に戻るといった見方も多い。ところが経済動向を懸念すべきもうひとつの国がある。それは中国である。ここにきて中国株が調整色を強めているが、それは何かしらの予兆であったとしてもおかしくはない。
中国では今年大きなイベントが控えている。北京オリンピックである。今年の8月8日から8月24日までの期間、北京を主な会場として第29回夏季オリンピックが開催される。これは中国の経済成長を示す象徴的なイベントである。高度成長を遂げた国がオリンピックを開催するといえば、ある一定の年代の方なら記憶に残っているのが昭和39年に東京で開催された「東京オリンピック」であろう。
この華やかイベントに向けて公共投資が活発化し、夢の超特急といわれた東海道新幹線や首都高速道路、東京モノレール、そして黒四ダムといった大型の公共工事が次々に行われた。ちなみにこのとき作られた首都高速道路によって、兜町近くにある日本橋の景観が失われてしまったのであるが、それはさておき、オリンピックという宴のあとに待ち構えていたのが「40年不況」とのちに呼ばれたものである。
東京オリンピックが始まった昭和39年10月ごろから日本の景気は急速に冷え込みはじめ、後退局面に入った。すでに中小企業の倒産が増加しており、株価も下落、企業収益も減りつつあったが、それが顕在化したのが昭和39年の後半であった。昭和40年に入ると、サンウエーブや山陽特殊製鋼など大手企業の破綻が相次ぐ。株価も急落し続け、信用不安も広がりをみせ、この信用不安に対しては、山一證券への日銀特融が実行されたことでなんとか収まったのだが、株価の下落はさらに続くこととなった。
これがのちに「40年不況」と呼ばれたもので、金融緩和も効果がなく、結局、財政面からの公共事業が促進されることになり、日本において戦後初めてとなる「国債発行」が準備されたのである。
これと同じことが中国で起きないとは限らない。40年不況による日本の景気後退も結果としては一時的なものであったが、それでももしこのタイミングで中国経済が減速を強めるようなことが出てくれば、今年後半に向けては日本経済にとっても新たな懸念材料が出てくる恐れもある。
保険最大手AIGは四半期ベースでの過去最大の赤字決算の発表、さらに、米金融機関の損失が少なくとも6000億ドルを上回る可能性があるとの観測も、また発表間近とされていた銀行団による金融保証会社の救済策が難航しているとの報道もあったことで、2月29日の米国市場では、信用収縮懸念が広がった。また、1月の個人消費支出ではPCEコアデフレーターの上昇率は前年比2.2%と、FRBが適切な水準と見なす1〜2%を3か月連続で上回るなどインフレ懸念も強まり、2月のシカゴ購買部協会景気指数は44.5と大幅に低下し、2001年12月以来の低水準に落ち込んだ。米景気減速懸念の強まりなども加わって、先週末の米株式市場では下げ幅を拡大させ、前日比300ドルを超す下げとなった。さらにリスク許容度の低下などにより、外為市場では円高ドル売りが進行し、NY時間でドル円は一時103円台まで上昇し、2005年3月14日以来ほぼ3年ぶりの水準をつけた。
この米国市場を受け、3月最初の東京市場では円高、株安、債券安の動きを強め、日経平均は一時先週末比500円を超すさげとなり13000円に接近した。外為市場では東京時間にドル円が一時103円を割り込んで、3年ぶりの102円台をつけるなど円高がさらに進行した。
債券先物はこういった動きを受け買われ、一時先週末比46銭高の138円93銭をつけ139円に接近した。現物債は10年289回が一時3.5毛強の1.320%まで買われ、1月22日につけた1.310%に接近した。中期ゾーンは2年266回が一時先週末比3毛強の0.525%に利回り低下し、5年69回は先週末比4毛強の0.790%まで買われ、あっさりと0.8%割れとなり、20年99回も2%を割り込み1.985%まで買われた。
今度は10年債利回りでの1.3%、そして日経平均での13000円が心理的な壁ともなりそうであるが、日経平均は引けにかけこの13000円を抜けてきた。一時の小康状態から再び株安債券高の流れが加速される可能性もある。
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