29日17時過ぎに10年292回国債の利回りは1.8%台に乗せ1.805%をつけた。長期金利の1.8%台乗せは昨年8月以来、米国のサブプライム問題が深刻化する前の水準となる。 ここにきての日本の長期金利上昇の背景の要因のひとつは欧米の長期金利の上昇がある。米サブプライム問題による金融市場の混乱が、ベア・スターンズの救済などをきっかけに沈静化した。米経済への影響といった懸念も残るものの、ここにきての米経済指標も思いのほかしっかりしているものも多く、たとえば29日に発表された米1〜3月期GDP改定値は前期比年率+0.9%と市場予想通りの数値ながらも速報値から上方修正された。
このように米経済に対しての過度の悲観論も後退してきている。米FRBは利下げ休止かとの見方も強まり、今度はよりインフレへの警戒姿勢も示している。29日にダラス連銀のフィッシャー総裁は、インフレ期待の悪化が続くなら、金融政策の転換が訪れるだろうと発言していた。こういった情勢下、米10年債利回りは4%台に乗せ今年1月2日以来の水準に利回りが上昇してきた。また欧州市場でも29日にドイツの連邦債10年物利回りは4.483%と昨年7月以来の水準に上昇している。
米サブプライム問題の落ち着き、さらに世界的なインフレ懸念の強まりなどから欧米の長期金利も上昇していることに加え、さらに国内では、市場参加者のリスク許容度の低下などもあり、積極的な買い手が見当たらない。国内投資家も超長期ゾーンなど長い期間の債券を買って、中長期ゾーンを売るなど入れ替えといった動きが主体とみられることで、特に中長期には売り圧力もかかりやすい。
さらに債券先物にはこちらも参加者が限られた中にあって、ここにきて再びCTAといった仕掛け的な動きも活発化し、株式市場が先物主導で上昇した反面、債券相場はこういった仕掛け的な動き、特に売り仕掛けによって下落ピッチが加速される面もあり、これも債券相場の下落要因のひとつとなっている。
日銀による年内利上げの可能性は現在のところは予想しにくい。白川日銀総裁も会見などおいて日本経済の見通しについてはかなり慎重な見方をしていることからもそれが伺える。
そうは言うものの、今年3月には10年債利回りで1.215%、5年債利回りで0.7%、2年債利回りで0.505%と、日銀の利下げを織り込むような水準にまで利回りが低下してしまったことが、やや行き過ぎの感もあり、その反動もあってここにきてのピッチの早い利回り上昇となったとみられる。市場参加者のリスク許容度の低下要因もこういった急激な相場変動がひとつの背景にあるとみられる。
それでは1.8%つけたあとの長期金利はどうなるのであろうか。米経済の減速がそれほどでなく日本経済についても日銀の展望レポートの予想のように1.5%〜1.7%あたりの潜在成長率近辺となり、物価の上昇についても中長期的な物価安定の目安となる1%近辺(展望レポートでの委員毎の中心値)となるならば、長期金利の1.8%というのも決してそれほど高い水準ともいえない。
しかし、ややピッチの早い長期金利の上昇でもあっただけに、そういった動きが落ち着けばさすがに投資家の押し目買いも入ってくるとみられる。1.8%は通過点となる可能性はあるが、やはり2%は大きな心理的な壁ともなっているだけに、ここからの長期金利の上昇も次第に慎重なものとなるのではないかと思われる。
28日の国際コンファランスにおける白川総裁開会の挨拶から「中央銀行のバンキング政策」に関する部分に下記の部分があった。
「例えば、日本銀行は、2001年に、幅広い金融機関を対象とする期間の長い資金供給オペレーションを導入しました。これは、Fedが昨年12月に導入したターム・オークション・ファシリティー(TAF)に相当します。また、日本銀行は同じ年に証券会社を含む金融機関を対象とする貸出のスタンディング・ファシリティーを導入しました2。これはFedが本年3月に導入したプライマリー・ディーラー・クレジット・ファシリティー(PDCF)に相当しています。日本銀行はこれ以外にも、資金供給と売出手形の発行による資金吸収を組み合わせた両建てオペレーションを実行し、金融市場で一種のブローカーとしての役割を果たしました。また、資産担保証券や金融機関保有の株式も買い入れました。」
PDCFに相当するのは2001年2月28日に導入された補完貸付制度であり、両者の概要は下記のとおり。
補完貸付制度(2001年2月28日)(http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako02/k010228c.htm#betsu1)
貸付先、銀行等、証券会社、証券金融会社または短資会社
貸付金額、貸付けのために差入れている担保の価額の範囲内で貸付先が希望する金額
PDCF(Primary Dealer Credit Facility)制度(2008年3月17日)
証券会社を含み投資適格の幅広い証券を担保によって公定歩合で資金を借りられる。
公定歩合の貸し出し期間も30日から最大90日に延長
また、TAFに相当するのは2001年5月18日の金融市場調節の円滑化に向けた措置の中での手形買入オペにおける手形期間の延長等が該当か。
金融市場調節の円滑化に向けた措置(2001年5月18日)(http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako02/mok0105a.htm)
「3か月以内」としていた手形期間を「6か月以内」に延長
買入対象先数を10先増やして、合計40先に
TAF(Term Auction Facility)
対象は各地区連銀が財務状況は概ね健全と判断しプライマリー・クレジット・ディスカウント・プログラムによる借入資格がある全ての預金金融機関。
借入資金は全て担保が必要
日銀の白川総裁は国際コンファランスにおける白川総裁開会の挨拶の中で次のような発言をした(日銀ホームページにアップされた日本語仮訳より)
「日本にしても米国にしても、近年発生したバブルの多くは、逆説的ではありますが、物価安定が達成され、あるいは、デフレの危険が意識される中で、低金利が持続した後に生じています。物価上昇率の低下や低金利が、経済主体の積極的なリスクテイクとどのように関係しているのかは、解明されているわけではありませんが、バブルとその崩壊の経験は、経済は時としてノンリニアに変化することを示しています。また、そのノンリニアのプロセスでは、金融と経済の相乗作用など、複雑なダイナミックスが決定的に重要な役割を果たします。」
「政策当局者やエコノミストは、物価安定とは物価が中長期的に安定している状態と理解していますが、インフレーションのダイナミクスにおいては、ラグが長くノンリニアな変化が生じる可能性もあります。こうした状況の下で、足許の物価上昇率に目が行き過ぎると、必要な金融政策の対応が遅れ、結果として経済活動の大きな変動を招く危険があります。」
なかなか面白い指摘かと思う。シカゴ大学におけるフリードマン教授の最後のクラスの学生であったという白川総裁にも、物価上昇率の低下や低金利と経済主体の積極的なリスクテイクの関係はなかなか解明しにくいものとみられる。長期に渡り物価上昇が抑制されていても、その後に大きな変化を生じる可能性があり、このため足許の物価上昇率ばかり注目していては、必要な金融政策の対応が遅れる懸念を指摘している。
政府は焦点となっている日銀副総裁案について、参院で多数を占める民主党の同意が得られる候補者が見つからないと、提示を見送ることを発表した。6月15日の会期末までの提示も極めて困難とみられ、日銀の副総裁の1人空席が長期化する可能性が強まったと報じられた。またこちらも空席となっている日銀の審議委員人事については、池尾和人慶大教授の起用案を決めたとも伝えられた。しかし、日銀審議委員の人事案が読売新聞朝刊などに掲載されたことに、野党側が強く反発し、政府はいったんは27日の提示の先送りを決め、場合によると、またもや人事案の差しかえを迫られる可能性もあるとか。
ちなみに、福井前日銀総裁は日本証券業協会の公益理事に就任することとなり、岩田前副総裁は内閣府のシンクタンクである経済社会総合研究所所長に起用されるそうである。
再び5月20日の白川日銀総裁の会見から見てみたい。
白川総裁はエネルギー価格、原材料価格など「商品市況の想定について、これまでずっと予想が外れてきています。」と正直に認めている。
そして『これは日本銀行に限らず、多くのエコノミストが、「ここまで上がってきているから、さすがにここが天井で先行きは下がる」といった見通しが、繰り返し裏切られてきました。』
これは相場格言で言うところの「もうはまだなり、まだはもうなり」であろう。これは解説するまでもないが、もうそろそろ天井だろうと皆が思っていときほどさらに価格は上昇するが、それが繰り返されることによって、まだまだ上昇すると皆が思い始めたときに天井を打つことを示している。
これは過去の相場にも良く見られたことである。1989年末バブル期最終局面の日経平均株価に対してまだまだ5万円までいくといった予想があちこちでみられ、市場参加者がまさにバブルに酔いしれたときこそ、日経平均は天井を打ってバブル崩壊に繋がった。
今回の原油先物についてどこまで上昇するのかは予想は難しい。ただし、こういった加熱局面であらためて200ドルといった予想が出ており、市場参加者もそれはありうると認識してきたならば、そろそろ最終局面を迎えてきたとしてもおかしくはない。こういった相場に対してはどの水準が適正なのかというよりも、いつまで続くのかが問題となるのではなかろうか。
白川総裁は商品市況の先行きをどうみるかということについては、「ここは、明らかに上だとか下だとか言わずに、注意深くみていくとしか言いようがないと思います。」
日銀は直接相場に関わっているのではなく、その影響の度合いを見極める必要があることで、特にこういった投機的な動きを示しているものに対しては、予想を立てることも重要ながらも、むしろ動きをしっかり見守る姿勢が大切かと思われる。
昨日実施された国債買入の結果は全取利回格差は+0.153%、平均落札利回格差は+0.158%となり16日に実施された国債買入の結果(全取利回格差が+0.101%、平均落札利回格差が+0.109%)をさらに上回り、1998年5月以来の水準となった。
5月16日には国債の買入結果を受けて債券先物に仕掛け的な売りが入り、一時前日比78銭安の134円37銭まで下落し、現物も売られ5年71回+0.040%の1.300%、10年292回は一時+0.040%の1.710%が打たれた。超長期20年も+0.030%の2.265までがヒットされていた。
しかし、22日はすでに国債買入がオファーされたあと前場の引けにかけて売り仕掛けが入るとともに、11時30分に発表された結果を受けて後場は売り気配でのスタートとなり、一時前日比1円6銭安の134円80銭まで下落した。現物も10年292回は一時+0.085%の1.690%まで打たれ、5年71回も+0.075%の1.240%に、2年268回も0.810%が打たれた。また20年100回は+0.065%の2.300%がヒットされたが、これは2007年7月以来の水準をつけた。ただし、引けにかけては急速に値を戻し、先物は135円42銭で引けており、10年292回し1.665%に、5年71回も1.210%に、20年100回も2.280%に。
日銀の国債買入に対しては期間の短い国債中心に入ったとみられ、実際に長期債の相場への影響は限られるはずだが、これをきっかけに先物にCTAなどから仕掛け的な動きが入り、業者もリスク許容度が低下していることに加え、大手銀行も同様に積極的に動きづらい中、現物への売りも追随してしまったことで債券相場の急落に繋がってしまった。
国債買入での利回り格差の拡大というのは、オペに打ち込まれた国債のほとんどが6月償還のものであったことみられ、償還銘柄については国債買入の利回り格差の元になる売買参考統計値が元利金取扱手数料の収入部分を加味したものなっているために必然的に利回り格差が拡大してしまうというテクニカル的な要因によるものであった。
それでは何故、償還銘柄の国債が持ち込まれたか。そもそも償還銘柄は売りが出やすいと言われている。その理由のひとつが償還銘柄は振替決済停止期間入りすると担保として使えなくなるというこちらも技術的な要因であり、また投資家が四半期毎の国債償還の山を均すために売却したのではないかとみられた。
ここにきて一部大手投資家の短い期間の国債の売却によって、そういった売却額そのものがかなり増加してきたのではないかとみられている。このため、持ち込まれた業者も持ちきれずにポジション調整のため国債買入を使って売却してきたものと思われるのである。
その結果として、日銀の国債買入に非常に期間の短い国債の償還物が打ち込まれ、基準となる利回りが償還手数料見合いとなるという技術的要因によって全取利回格差が拡大したということになる。そのため、債券相場への直接的な影響は本来は限られるはずである。ただ、国債買入が期間の短い国債ばかりとなってしまったことでその分、業者も本来これを使って長めの国債を処分しようとしてもできず、しかたなく市場で売却したのではないかとの見方もある。しかし、国債買入はこれまでも比較的期間の短い国債主体であったことで、影響そのものはあまりないはずなのである。
それにも関わらず、相場がこれだけ揺れ動いてしまうのは、債券先物に何かしらのきっかけを待っての仕掛け的な動きが入り、それによって相場が揺れ動いてしまうほど相場全体の地合が悪化しているといえそうである。
4月以降の10年、5年の国債入札結果を見ても業者はかなりリスク許容度が低下していた。さらに4月の投資家別売買状況見ても都市銀行は長期債は売り越しとなっているなど期間の短い債券に入れ替える動きを強めていた。債券先物の建て玉が10兆円を割り込む日が多くなるなどしているが、これも業者や大手銀行がヘッジやディーリングのための先物のポジションを減らしてきていることも一因か。このため、債券先物は参加者が限定される中、CTAといった投資家の仕掛けが入りやすくなっている上、現物も押し目買いは入るものの積極的に上値を買ってくる投資家も限られ、いったん売り仕掛けが入ると崩れやすい地合になっている。このために、こういった国債買入の結果なども材料視され、相場変動要因となってしまったものと思われるのである。
「原材料をはじめとするコスト高の問題」について白川教授、ではなく白川日銀総裁は会見で噛み砕いた説明を行なっていた。
「エネルギー価格が上がっていく場合、日本のような消費国からみると、外から入ってくるモノの値段が上がるという意味で供給ショックと映るわけですが、他方で、この価格上昇の背後には世界経済全体の需要増加があるわけです。そういう意味では、需要ショックという性格も持っています。経済の影響を考えていく時には、物価上昇がどのような性格のものなのかを考えていく必要があると思います。」
「日本からみた場合、交易条件が低下する、悪化するという点で日本全体の所得形成の力が弱くなっていくわけです。従って、設備投資や消費に悪影響を与えていくものであります。これは明らかにマイナス要因ですが、交易条件が日本で悪化している、すなわち消費国で悪化しているということは、産油国を中心に交易条件が改善しているということですから、その地域への輸出が増加するという性格を持つものであります。現在日本は、内需は弱くなっていますが、輸出は非常に堅調を続けているわけです。これは、交易条件の悪化と改善の裏腹で起きている現象とも言えるのです。」
「そうしますと、経済全体の需要はマイナスとプラスの力のどちらが勝るのかという観点で考えていく必要があると思います。また、仮にマイナスの力が勝るのであれば、経済全体の需要が弱くなるわけですから、物価が下がるという力が働きます。他方で、物価が原材料を中心に上昇し、仮にインフレ期待に火が付けば、これは2次的3次的な物価上昇を引き起こすことになるわけです。このように、物価の面でも下がる要素と上がる要素の両方が存在します。」
「以上の通り、景気についても物価についても必ずプラス・マイナス両方の要素があるため、一義的に答えを出すのは難しいと思います。世界経済全体への影響とのご質問ですが、各国は、世界の各地域における今申し上げたような要素を勘案しながら、金融政策を運営しているわけです。最終的にどのような金融政策をとるかによって、その国の景気・物価の姿は変わってきますが、先程説明したような整理をしつつ、各国は、自国の状況に応じて金融政策を運営しており、日本も同様に政策を運営していくということだと思います。」
学生向けのような非常にわかりやすい説明となっている。1-3月期GDPも外需が堅調となっていたが、これは交易条件の悪化と改善の裏腹で起きている現象と捉えられよう。景気についても物価についても必ずプラス・マイナス両方の要素があるという指摘も、特に現在の世界経済を取り巻く環境下にあって先行きの予測を難しくさせている要因ともなり、白川総裁も自国の状況に応じて金融政策についての具体的な方向性は示していない。米国ではFOMCの議事要旨でも「成長とインフレのリスクは一段と均衡」として、利下げを休止し当面は現状の金融政策を維持させてくる可能性が強まった。日米とも原油高などを受けたインフレへの警戒も強めているものの、利上げまで意識した対応も当面はとりづらい状況にありそうである。
20日に日本証券業協会が発表した4月の投資家別売買状況によると、短期債を含まない売買差額で下記のようになっていた。(単位、億円、ここでの数字はマイナスが買い越し、プラスが売り越しに注意)
都市銀行 5,271、地方銀行 -25,670、 信託銀行 -17,394、農林系金融機関 -7,821、第二地銀 -3,729、信用金庫 -14,736、その他金融機関 -10,099、 生損保 -2,592、投資信託 -2,133、官公庁共済組合 -2,166、事業法人 -1,228、その他法人 -2,672、 外国人 -3,301、個人 -177、その他 38,655、債券ディーラー 661、合計 -49,131
4月の債券相場の下落は都市銀行が主導かといった見方もあったが、実際に都市銀行は5271億円の売り越しとなる反面、地方銀行は2兆5670億円の買い越し、信用金庫も1兆4736億円の買い越しとなった。さらに国債の投資家別売買状況の短期債を含まない売買差額でを見てみると下記のようになっていた。(単位、億円、ここでの数字もマイナスが買い越し、プラスが売り越しに注意)
都市銀行 5,806、地方銀行 -20,143、信託銀行 -15,640、農林系金融機関 -4,869、第二地銀 -2,768、信用金庫 -8,817、その他金融機関 -8,211、 生損保 -454、投資信託 -1,485、官公庁共済組合 -1,526、事業法人 -893、その他法人 -1,578、 外国人 -2,894、個人 -207、その他 42,963、債券ディーラー 763、合計 -19,953
国債の投資家別売買状況の内訳を見てみると、まず超長期利付国債は以下のとおり。
都市銀行 396、地方銀行 -608、信託銀行 -5,378、農林系金融機関 -64、第二地銀 -115、信用金庫 -1,053、その他金融機関 -429、 生損保 -4,585、投資信託 -331、官公庁共済組合 -242、事業法人 -13、その他法人 -283、 外国人 2,280、個人 -2、その他 11,454、債券ディーラー 876、合計 1,903
長期利付国債は以下のとおり。
都市銀行 11,819、地方銀行 -10,442、信託銀行 -13,271、農林系金融機関 -4,201、第二地銀 -1,638、信用金庫 -4,354、その他金融機関 -1,835、 生損保 4,330、投資信託 -527、官公庁共済組合 -116、事業法人 -95、その他法人 -430、 外国人 -11,607、個人 26、その他 9,763、債券ディーラー 239、合計 -22,339
中期利付国債は以下のとおり。
都市銀行 -6,409 、地方銀行 -9,093、信託銀行 3,009 、農林系金融機関 -604 、第二地銀 -1,015、信用金庫 -3,410、その他金融機関 -5,947、 生損保 -174、投資信託 -627、官公庁共済組合 -1,168、事業法人 -732、その他法人 -865、 外国人 6,433、個人 -231、その他 21,746、債券ディーラー -352、合計 561
国債の内訳を見ると、注目された都市銀行は、長期を11819億円売り超した反面、中期を6,409億円買い越していた。差し引きで国債全体は5,806億円の売りとなっていた。4月以降の債券相場の急落の要因がメガバンクによる中期債主体の売りが要因かとの見方もあったが、これを見る限り、現物の国債は差し引き確かに売ってはいたものの、それほどインパクトのある量ではなく、さらに中期はむしろ買い越しとなっていた。 ただし、メガバンクの売りは先物やオプションを使っての売りといったものが入っていたとみられ、そちらのインパクトがかなり大きかったのではないかともみられる。 この場合の中期、長期というのはあくまで10年国債や5年、2年国債の別であり、本当の意味での残存ベースではないものの、それでも5年以下の国債については買い越しとなっていたのも確かであった。
さらに面白いことに、都市銀行が売り越した長期分と買い越した中期分を相殺するようなかたちで、海外投資家が長期を11,607億円買い越して、中期を6,433億円売り越していた。
結局、4月の債券売買において、都市銀行は結果として売り越しとはなっていたものの、地方銀行や信託銀行、信用金庫などは大幅買い越しとなっており、急落過程でも押し目買いを入れていたものと思われる。
5月の金融経済月報によると、「わが国の景気は、エネルギー・原材料価格高の影響などから減速している」と、基調判断の部分は4月と同じものとなった。そのあとの本文では「企業の業況感もこのところ慎重化している」との表現が削除されていた。また、住宅投資については4月は、「住宅投資は、回復に向けた動きがみられるが、なお低水準となっている」となっていたが、5月については「住宅投資は緩やかに回復している」とやや見方を強めた格好に。消費者物価の前年比については、4月は、「プラス基調を続けていくと予想される」に対して、5月は「プラスを続けていくと予想される」に変化し方向性をやや強めたかたちに。
3月末にかけては大手銀行などを主体に日銀の利下げまで意識されたことで、5年債利回りは0.7%に、2年債利回りは0.505%と日銀の政策金利近くまで低下した。 しかし、米国のサブプライム問題による金融収縮の広がりといった懸念は、米大手証券ベア・スターンズの救済の発表や、米金融機関による増資などの発表によって徐々に後退し、米経済指標も思いのほかしっかりしているものが出ていたことで、過度の悲観論が後退した。
これらを受けて米FRBによる利下げも打ち止め観測も出てきており、年後半にかけては利上げ観測も出てきたことで米債は大きく下落。 円債も4月に入り大手銀行などが中期ゾーン主体に大量に売りを出したことに加え、業者のリスク許容度も低下したことで、5年や10年といった大量に発行される国債の入札も低調となった。
15日に入札された5年国債は、利率は1.3%と、前回の0.8%から0.5%もの引き上げられたが、この利率の引き上げ幅の大きさは、それだけ前回の5年国債の入札日4月10日から昨日にかけて債券相場は大幅に下落したことを示したといえる。
また債券先物にはCTAと呼ばれる海外投資家による仕掛け的な売りなども入り、5月に入り、10年債の利回りで昨年10月以来の1.7%台、5年債の利回りで昨年10月以来の1.3%台に利回りは上昇したのである。
ただし、ここからさらに売り込むとなれば日銀の利上げも意識される水準ともなる。日本経済については、今後、大きく落ち込むことも考えづらいものの、先行きの不透明感が完全に払拭されたわけでもない。
原油価格の上昇や食料品などの価格上昇を受けた物価上昇も気になるが、まだ年内の日銀による利上げを織り込に行くだけの環境にもない。市場関係者の大方の見方は、年内については金融政策の変更は難しいのではないかというものとなっている。
ただし、投資家も引き続き慎重とみられ、業者もリスクを取りづらい状況に変りはない。このため目先は、10年債利回りでの1.7%、5年債利回りの1.3%が利回り上の節目となり債券はいったん戻りを試す展開も予想されるが、戻りも限られ今後落ち着きどころを探る展開となることが予想される。
16日の10年債利回りは1.695%となり、東京証券取引所に上場する全銘柄の予想配当利回り1.68%を上回った。長期金利が予想配当利回りを上回ったのは2007年12月27日以来となる。ちなみに予想配当利回とは予想配当金を株価で割って計算したものであるが、株価の上昇によって予想配当利回りが低下するとともに、債券相場の下落による長期金利の上昇によって、長期金利が予想配当利回りを上回った。
昨年からの長期金利と株式の配当利回りの「逆転」現象が起こった原因は、米サブプライムローン問題による金融収縮の広がりへの懸念や、米経済への減速観測といったものによる。これにより米国株式市場が下落しその影響を受けて東京株式市場も大きく下げた。安全資産として米国債に買いが入り、日本の債券市場でも国債主体に買われ2008年3月には長期金利は1.215%まで低下した。
しかし、米大手証券のベア・スターンズ救済策の発表などをきっかけに、米金融市場も落ち着きを取り戻し、米経済についても過度の悲観論が後退した。このため米株式市場は切り返し、米債は反落。日経平均も2008年3月の11787円を安値に14000円台を回復。長期金利も5月に入り一時1.7%台まで回復した。
長期金利は株式の予想配当利回りだけで形成されるわけではないが、長期金利が予想配当利回りを上回ったことで、長期金利上昇は目先一服してくる可能性もありそうである。少なくとも異常な状態が解消され、徐々に平時に戻りつつあることをこれは示しているとも思われる。
米財務省が発表している対米証券投資の資料より米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES、http://www.ustreas.gov/tic/mfh.txt)を元に、2008年3月末現在の米国債の保有国と保有残高を比較してみたい。(単位10億ドル)
日本(Japan)600.7 、中国(China, Mainland) 490.6、英国(United Kingdom) 202.6、石油輸出国(Oil Exporters) 150.8、ブラジル(Brazil)149.1、カリブ海の金融センター(Carib Bnkng Ctrs)108.3、ルクセンブルグ(Luxembourg)92.7、香港(Hong Kong)60.5、ノルウェー(Norway)44.5、ロシア(Russia)42.4、 ドイツ(Germany)42.1、スイス(Switzerland)41.2、 台湾(Taiwan)41.2、韓国(Korea)40.7、メキシコ(Mexico)38.8、シンガポール(Singapore)33.1、 トルコ(Turkey)28.7、タイ(Thailand)25.7、カナダ(Canada)20.1、アイルランド(Ireland)17.8、オランダ(Netherlands)15.1、 スウェーデン(Sweden)13.2、ベルギー(Belgium)12.8、 エジプト(Egypt)12.7、インド(India)11.8、ポーランド(Poland)11.6、イタリア(Italy)11.3、フィリピン(Philippines)10.8、その他(All Other)148.4、合計(Grand Total) 2519.6。
中国の保有残高が伸びているものの、日本は引き続き首位をキープ。日本と中国の保有残高の合計で全体の4割を占めている。
朝方発表された1-3月期実質GDPは、前期比+0.8%、年率+3.3%と、年率で+2.5%近辺といった市場予想を上回り、1%台半ばから後半とされる潜在成長率も上回る伸びとなりしっかりしたものとなった。プラス成長は3四半期連続。寄与度は内需+0.3%、外需+0.5%。昨年6月の改正建築基準法の施行などにより低迷していた住宅投資が+4.6%となり、うるう年効果もあって個人消費も前期比+0.8%としっかり。ただし、設備投資は前期比-0.9%と落ち込んだ。国内需要デフレーターは、前年同期比+0.5%。また、GDPのゲタは年1.1%との内閣府からの発表もあった。
3月末にかけては大手銀行などを主体に日銀の利下げまで意識され、5年債利回りは0.7%に、2年債利回りは0.505%と日銀の政策金利近くまで低下した。しかし、米国のサブプライム問題による金融収縮の広がりといった懸念は米金融機関による増資などによって後退し、米経済指標も思いのほかしっかりしているものが出ていたことで過度の悲観論が後退。米FRBによる利下げも打ち止め観測が出ており、年後半にかけては利上げ観測も出てきたことで米債は下落した。
円債も4月に入り大手銀行などが中期ゾーン主体に大量に売りを出したことに加え、業者のリスク許容度の低下で5年や10年の国債入札も低調となった。このため10年債利回りでの1.7%、5年債利回りの1.3%に上昇したが、ここからさらに売り込むとなれば日銀の利上げも意識される水準ともなる。19日から20日にかけて金融政策決定会合が開催されるが、今回も全員一致での現状維持が見込まれる。
日本経済については大きく落ち込むことも考えづらいものの、先行きの不透明感が完全に払拭されたわけではない。物価上昇も気になるところだが、まだ年内の日銀による利上げを織り込に行くだけの環境にもない。ただし、投資家も引き続き慎重とみられ、業者もリスクを取りづらい状況に変りはない。このため目先は、10年債利回りでの1.7%、5年債利回りの1.3%が利回り上の節目となり債券はいったん戻りを試す展開も予想されるが、戻りも限られ、今後落ち着きどころを探る展開となりそうである。
昨日は10年292回債の利回りで1.705%と昨年10月以来の1.7%台、5年70回債の利回りで1.320%とこちらも昨年10月以来の1.3%台に利回りは上昇した(価格は下落)。本日入札される5年国債は、利率は1.3%と、前回の0.8%から0.5%もの引き上げが見込まれ、昨年10月に入札された67回以来の水準となる。この利率の引き上げ幅の大きさは、それだけ前回の5年国債の入札日4月10日から昨日にかけて債券相場は大幅に下落したことを示しているともいえる。
昨日14日の債券相場の急落には大手銀行などによる現物売りや先物などでのヘッジ売りが指摘されていたが、4月からの相場下落を主導したのはこういった大手銀行の売りとも言われている。この5年国債入札に向けて、中期ゾーンの大きな買い手となっている大手銀行がむしろ売り手に回っていたことで、市場でも入札に向けてかなり神経質となっていたことも、昨日の債券相場の下落の一因と言える。
加えて、今回も債券先物はCTAとも呼ばれる動きの早い投資家による、かなりまとまった仕掛け的な売りも下げを加速させた側面もある。
4月以降の債券相場相場下落背景には、ひとまずサブプライム問題の影響による金融市場の混乱が収まり、米経済も思いのほか堅調となっており、株式市場やドルなどが回復し、反面、質への逃避や利下げ期待で買われていた米債は下落。円債もたとえばこの5年債は3月に0.7%、2年は0.505%までと、日銀の利下げまで織り込むような水準まで買われていたことで、その反動といった動きが入ったともいえよう、さらに経済が落ち着くとなれば今度は物価上昇といったものも気になってくる。
昨日つけた10年債利回りの1.7%、5年債利回りの1.3%が壁として意識されるとみられるが、ただ、これで目先の底を打つかどうか、まだまだ予断は許さない。
財務省が発表した「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」(http://www.mof.go.jp/gbb/2003.htm)によると国債や借入金などを合計した「国の借金」が平成19年度末時点で、849兆2396億円に達した。前年度末に比べ14兆8610億円増加となった。
これを基にした国民1人当たりの借金は、約665万円となる(産経新聞)。
「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」の内訳は、普通国債が前年度比で9兆7569億円増の541兆4584億円。財投債などを含めた国債の残高は684兆3278億円となり10兆2058億円の増加となった。借入金は57兆1589億円と2兆1235億円の減少。また政府短期証券(FB)は107兆7528億円と6兆7787億円の増加となった。
5月12日の日本記者クラブにおける白川日銀総裁の講演において、金融政策の方向性については中立性を意識した発言が目立っていた。ただし、福井総裁から白川総裁にバトンタッチ後、日銀の金融政策の方向性について大きく舵を切ったとの見方もあるが、その基本姿勢には大きな変化はないことが次ぎの発言からも明らかとなっている。
「やや大きな構図で捉えた場合、現在、実質短期金利がゼロ%近傍と、極めて低い水準にあるということは、中央銀行として、当然、留意しておかなければなりません。したがって、日本経済が物価安定のもとで持続的な成長軌道を辿るという見通しに対する確度が高いのであれば、金利水準は調整していくことになると思います。」
そうは言うものの、現在は景気の下振れリスクに注意を払っている姿勢を示し、「経済の先行きには常に不確実性がありますので、金融政策運営においては、ひとつの見通しだけに依拠するのではなく、見通しに対するリスク要因を十分に考慮する必要があります。」としている。
さらに「リスクのバランスに偏りがあり、特に、海外経済や国際金融資本市場を巡る不確実性、エネルギー・原材料価格高の影響など、景気の下振れリスクに注意しながら政策運営を行うことが必要な局面にあると考えています。」
上記の考え方により、現状の金融政策は上下両方向のリスク要因を丹念に点検しながら、それらに応じて機動的に金融政策運営を行っていく姿勢を示した。
しかし、白川総裁は次のような発言もしている。
「政策当局者も含め、現状を将来に投影するというのは人間の本性であることも十分自覚する必要があります。冷静に考えると、これまで述べてきたような世界経済や日本経済を覆う霧が薄れてくる場合には、上振れ方向のリスクの重要性が増してくることも意識しておく必要があります。」
「現状を将来に投影するというのは人間の本性」との発言はなかなか奥深い。的確に未来を見通せない以上は現状を元に未来を判断するほかないが、悲観的な見方が強い中にあっても、上振れ方向のリスクも意識する必要性を説いている。
「家計や企業は、当面は景気下振れのリスクの方を意識していると思われますが、やや長い目でみた経済の成長期待は維持されているように思われます。そうだとすると、景気下振れリスクが顕現化せず、不確実性が小さくなっていけば、企業や家計の成長期待が上振れる可能性もあると考えています。」
白川総裁が果たして本当は先行きに対して個人的にどのような予測をしているのか。この講演でも中立性を意識した発言も多かったが「日本経済を覆う霧が薄れてくる場合」もそれなりに意識しているようにも思われるのである。
日銀の白川総裁は5月12日の日本記者クラブにおける講演において、金融政策を運営する中央銀行の組織や行動という観点から「中央銀行の独立性」と「銀行の銀行」について発言している。
「中央銀行の独立性、すなわち、中央銀行が金融政策の運営に責任を有するという仕組みを支える最終的な拠り所」について白川総裁は「中央銀行は時として、短期的には不人気な政策を行う必要があるということも同時に意味しています。そうした政策を実行する上で中央銀行としての最大の拠り所は、しっかりとした調査・分析に裏付けられた的確な分析力であり判断力であると思います。」としている。
中央銀行の独立性を維持するために必要なことは、「金融政策運営に当たっての判断の根拠を分かりやすく説明すること、すなわち、透明性を確保すること」が不可欠であり、これは市場との対話に対しても必要なものとなる。
そして「金融政策の独立性を支える拠り所は、結局のところ、的確な分析とそれに裏付けられた金融政策の積み重ねであり、そうした金融政策の判断に係る透明性であると思います」と白川総裁は発言している。的確な金融政策の積み重ねにより、日銀への信認も積み重ねられるものと思われる。
そして、白川総裁は「中央銀行のバンキング業務の重要性」についても言及している。その一例として昨年夏以来の国際金融市場の動揺に対しての各国中央銀行の流動性供給ないし流動性供給の仲介といった対応を挙げている。昨年夏以降の金融市場を見ても市場機能が不安定しても決済システムの面では混乱は生じていない。これには「中央銀行の長年の決済システム面での努力」を指摘、「2002年には円とドル、ユーロとドルというように、ペアとなる通貨を同時に決済する仕組みが導入され」これが奏功したかたちとなった。「地震やテロ、コンピュータ・ダウンをはじめ、様々な危機や混乱に対する備えも中央銀行の重要な仕事」であり、特に決済システムを維持することは中央銀行にとりたいへん重要な役割である。
金融政策に対する関心が高まっているが、それとともに「銀行の銀行としての中央銀行の側面への関心がもっと高まっていくことを願っています。」と白川総裁は発言している。
日本の中央銀行である日銀に対して一般の関心はまだまだ薄い。しかし、金融市場のみならず日々の巨額の資金のやり取りがスムーズに行なわれているのもその根幹のシステムには日銀の機能が大きく関わっている。こういった日銀の機能についてもう少しスポットライトが当たっても良いのではなかろうか。
個人向け債券といえば、代表的なものが個人向け国債です。個人向け国債は既存の国債とは異なり、個人間の譲渡以外の譲渡はできず個人専用の国債となっています。これまで発行された国債の最低額面金額は5万円であるのに対し、個人向け国債は1万円から1万円単位となっています。現在個人向け国債には2種類あります。利率は半年毎に実勢金利に応じて支払われる変動金利タイプの10年満期のものと、利率が固定されている5年満期です。変動タイプの個人向け国債は発行から1年経過すれば途中換金が可能です。また固定タイプは発行から2年経過すれば中途換金が可能となり、一定期間の利子相当額が差し引かれますが、元本で政府が買い取ってくれます。それぞれ年率0.05%の最低金利保証が設定されています。発行は現在、1月、4月、7月、10月の年4回となっています。
また、国債には個人向けとして2007年10月から新型窓口販売方式による国債の販売が行なわれています。これは期間が2年、5年、10年の固定金利型の国債で毎月募集・発行されます。すべて固定金利型となっていることで、発行時に決定された利率は、償還時まで変わらず、半年ごとに決まった利子が支払われ、額面金額で償還されます。購入最低額面単位は5万円から可能で、5万円の整数倍単位での購入となります。
個人向け国債は、現在のところ募集が年4回に限られていますが、新窓販国債は毎月購入が可能です。新窓販国債は、一定の期間は中途換金が制限される個人向け国債と異なり発行後いつでも市場価格での売却が可能です。ただし、個人向け国債のように元本で政府が買い取る仕組みにはなっていません。また最低金利保証といったものもありません。
個人向け債券には国債以外にもいくつかの種類があります。地方債や社債にも個人専用の債券を発行しているところがあれます。特に個人向けの地方債としては「ミニ公募債」と呼ばれる債券が発行されています。「ミニ公募債」は、これまで法人主体に発行していた地方債に対して、消化の裾野を個人に広げようと企画されたもので、地方公共団体にとの資金調達手法の多様化が図られるとともに、住民の行政への参加意識の向上といったものも意識されたようです。もちろん個人の資金が貯蓄から投資へとの流れの変化といったものも意識されていたと思われます。
公募地方債は総務省が許可した地方公共団体しか発行できませんが、このミニ公募地方債はすべての地方公共団体で発行することが可能です。さらに、ミニ公募地方債はその発行のための対象事業を明確にしていることもポイントになっています。
さらに、一般企業の資金調達手段となっている社債の販売先を個人に限定した「個人向け社債」も発行されています。個人向けの電力債などは発行の単位が10万円や50万円と小口化され、個人でも購入しやすくなっています。また大手銀行も2008年に入り個人向け社債を発行しています。また証券会社などでは、個人向けの外債も販売しています。日本の債券に較べて利子が高いものが多く魅力的ですが、為替変動リスクが伴う点に注意が必要です。
拙著「最新債券の基本とカラクリがよ〜くわかる本」原稿より
日銀の白川総裁が就任して今日で1か月が経過した。白川日銀は金融政策に対し中立的なスタンスを明確化し機動的な対応を取る姿勢を示したが、市場との対話などについても特に問題はなく無難な船出となった。しかし、日銀の政策委員の欠員は続いており、本来は総裁副総裁3名、審議委員6名により業務を執行するような体制になっているにも関わらず、副総裁を含めて2名が欠ける状況は続いている。
ゴールデンウイーク中には白川総裁がBIS総裁会議に出席し、西村副総裁がアジア開発銀行年次総会に出席し、執行部が国内不在という状況となっていた。こういった際にはもし何かしらの緊急時の対応についての問題が生じる懸念もある。
政策委員会は「議長が出席し、かつ、現に在任する委員の総数の三分の二以上の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。」(日銀法第17条)となっており、現在の7名体制では5名以上の出席が求められる。通常の政策委員会(毎週、火曜日、木曜日)には出張などにより1名から2名の欠席といったこともありうるため、現在の7名の政策委員は病気などによる欠席ということも難しい状況にある。もし9名体制ならば6名の出席で政策委員は開催できることで、何かの都合があっても3名までの欠席は可能となる。
それでなくても本来「委員会は、委員九人で組織する。」(日銀法第16条)となっているにも関わらず、7名で業務を執行するとなれば総裁と副総裁はもとより審議委員にもかなりの負担増となり過剰なストレスなども加わりやすいのではなかろうか。もちろんその一部は理事などにも負担が加わってきているともみられるが。
なにはともあれ、日銀の業務が9名の政策委員という本来のかたちで執行されるためにも、政府には早急に欠員をカバーしていただきたい。しかし、どうもすぐに動くという兆しもない。どうやら早くともサミット後の可能性もあり、この欠員が長期化する可能性も高そうである。その間、現在の政策委員には体調管理を含めてがんばっていただくしかなさそうである。
財務省のホームページによると5月13日から14日にかけて公的債務管理者会合(Government Borrowers Forum)が初めて日本で開催される予定だとか。
Government Borrowers Forum(以下GBF)とは開催地の国債発行当局と世界銀行の共催により「世界各国の国債発行当局や中央銀行等が、国債管理政策に関して意見交換を行う会合」であり、例年、約30〜40か国から100名程度が参加している会合で、毎年開催されており、今年で26回目の開催。
今年のGBFにおいては、「額賀nu郎財務大臣が、会合冒頭にスピーチを行い、篠原財務官が、世界銀行のレイ副総裁とともに議長を務め、サブプライムローン問題の国際金融市場への影響や国債市場の最近の動向等について意見交換が行われる予定です。」(財務省ホームページより)
2007年の会合における参加者は以下のとおり(こちらも財務省ホームページより)、 アイルランド、アルジェリア、アルゼンチン、イスラエル、イタリア、インド、英国、カナダ、韓国、ギリシャ、グァテマラ、クロアチア、コスタリカ、コロンビア、スイス、スウェーデン、スロベニア、チェコ、チュニジア、デンマーク、ドイツ、トルコ、日本、ニュージーランド、パキスタン、フィリピン、フィンランド、フランス、ブルガリア、米国、ベルギー、ポーランド、ホンジュラス、南アフリカ、メキシコ、モンゴル、ルクセンブルク、ロシア(以上38か国)
今年のゴールデンウイークは子供たちの予定のない3日に日帰りで温泉に出かけた。連休初日でもあり、どこに行っても渋滞に巻き込まれる可能性があったため、高速や国道は使わず行けるところを事前にチェックしておいた。今回の目的地は以前出かけたことのある喜連川温泉近くの「松島温泉 乙女の湯」という温泉。ネットで調べたところなかなか良い温泉のようであった。
途中までは何度か行った喜連川温泉への経路を辿っていたが、途中寄った百円ショップで購入した栃木県の地図を見るとどうやら近道がありそうで、しかも混雑が予想される陶芸の街、益子の中心街を通らずに済みそうなので、益子の手前から芳賀方面に。芳賀の道の駅で休息後、田植をしている農家のクルマしか通らないような道をひたすら進む。途中やや迷ったところもあったが、とりあえず当初の目的地の喜連川の道の駅に到着。ここで簡単に昼食を済ませて、目的の「松島温泉 乙女の湯」に向かった。
喜連川の道の駅からは10分もかからなかっただろか、田んぼの中の看板を発見し「松島温泉 乙女の湯」(http://www2u.biglobe.ne.jp/%7Ematuon/)に到着した。普段は空いているらしいが、さすがにゴールデンウイークだけあってそれなりに駐車場は埋まっていた。一人当たり800円の入浴料を支払うと靴箱の鍵と交換にロッカーの鍵が渡される。
ということでいよいよ温泉に入ったのだが、これが「単純アルカリ温泉」となっていたが、非常にぬるぬるしており初めての感覚である。温度も40度近辺で熱い湯が苦手な私にもちょうど良い。湯には細かい泡も出ており、湯の花もしっかり浮かび、鼻を近づけるとイオウの匂いが強い。まさに温泉、もちろん源泉掛け流しで、しかもシャワーも蛇口からも出てくるのも温泉である。湯船に入るとぬるぬる感を強く感じるが、それがすべすべ感に変わるのである。まさに乙女の肌のための湯のようであった。
入ってみて予想以上に良い温泉であったことに驚いた。これまでも白根温泉の「加羅倉館」や、那須湯本で二つの源泉を堪能できる「雲海閣」など質の良い温泉を堪能したことがあるが、それらとはまた違った良さを持つ温泉であった。
帰りも山道などを含む脇道を主体にまったくの渋滞なしに帰宅することが出来たが、それでも自宅からは2時間程度かかってしまった。もう少し近いところにあると毎週でもいけるのだが。ちなみに「松島温泉 乙女の湯」は東北道の矢板インターからはクルマで10分程度の距離にある。
米労働省が2日に発表した4月の雇用統計なおける非農業雇用者数は前月比べ2万人減となり、4か月連続のマイナスとなったものの減少幅は前月より縮小し市場予想の7〜8万人減に較べて大きく上振れとなった。4月の失業率(軍人を除く)は5.0%と前月から0.1ポイントの低下となり、こちらも市場の予想を上回れわずかながらも改善した。ただし、2月と3月の非農業雇用者数は当初発表の7.6万人減、8万人減から、それぞれ8.3万人減、8.1万人減へ下方修正されている。
今年1月からの4か月間での非農業雇用者数の減少は都合26万人となり、米雇用情勢は引き続き悪化していることが示されたが、当日の米国市場では米雇用市場に対する悲観的な見方は後退とされ、株式市場はむしろしっかりとなっていた。ここにきて米経済指標も思いのほかしっかりしているものも出ており、過度な悲観論は後退していることも確かであろう。まさにマーケットのマインド変化ともいえるが、実際に米経済の回復基調を確認できない限り相場の流れが大きく変わったかどうかは確認しづらい。今後発表される米経済指標をしっかり確認したいところである。
30日の白川日銀総裁の会見の内容が日銀のホームページにアップされた。その中で気になった箇所をいくつかピックアップしてみたい。
「先行きの金融政策の運営方針について、現在のように不確実性が極めて高い状況のもとでは、予め特定の方向性を持つことは適当ではありません。日本銀行としては、経済・物価の見通しとその蓋然性、上下両方向のリスク要因を丹念に点検しながら、それらに応じて機動的に金融政策運営を行っていく方針です。」
この発言を受けて、円金利先物などが大幅上昇となったが、すでに日銀はサブプライム問題に端を発した欧米での金融収縮や米経済へ影響などを受けてより中立的なスタンスとなっていたことで、それを展望レポートで再確認し、この総裁発言ともなったものであろう。
「昨年夏以来、複雑な金融商品のリスク評価が難しくなり、結果的に相対的にリスク評価が容易な商品、つまり昔から存在する商品取引に向かっているわけです。これには、フライト・トゥー・シンプリシティー、簡単な商品、シンプルな商品への逃避という言葉が使われていますが、そうした動きも影響しているのだろうと思います。」
原油先物急騰のひとつの要因として総裁は「フライト・トゥー・シンプリシティー」を挙げている。これはヘッジファンドなどだけでなく、今後の投資においてもひとつのキーワードになるのではなかろうか。
「暫定税率については、かつての消費税率の変更の時もそうでしたが、常に税制面の要因の影響を調整した基調的なベースで判断しています。従って、例 えば物価見通しでは、暫定税率を巡る制度変更を織り込まないベース、つまり基調的なベースで判断をしているということになります。」
暫定税率による一時的な消費者物価指数の変動は、日銀の金融政策には直接的な影響は与えない。あくまで物価動向はそういった一時的な変動要因を取り除いた基調的なベースで判断しているとの姿勢をあらためて強調している。
「先行きの金利形成についてですが、これはマーケットでそのような金利形成がなされているということを客観的に示したものであって、それ以上でもそれ以下でもありません。市場の金利形成をみるに当たっては、中央銀行の意図はひとまず置いておき、市場は何をみているのか、現在の動きをどうみているのかということをとらえる必要があることを常に意識しています。」
市場との対話に関しての総裁という日銀の見解である。市場の金利形成そのものはあくまで市場の金利感としてみており、その金利感が形成されている背景について分析し、市場の動向を的確に掴もうとしている姿勢を示している。
「今回は足許経済が下振れしている、それ以上にリスク要因が大きくなっているということです。そうであれば、私ども自身の金融政策のスタンスをわかりやすく説明していくという観点からすると、機動的という表現が一番良いということです。今の私どもの考え方を一番わかりやすく率直に説明するために機動的という言葉を使ったわけであって、機動的という言葉にことさら大きな意味を込めているわけではありません。もちろん、一般的に中央銀行は機動的にやっていくということです。ただ従来は先行きについて大きな方向感を持っていたということであります。」
この一部の発言の中だけで「機動的」という言葉が4回も使われている。日銀の金融政策の動向としてのキーワードはどうやらこの「機動的」となりそうである。福井日銀前総裁の就任後の動きもまさに機動的であった。どちらに動くにせよ今後何かしら機動的な動きを行なう可能性は全くないとは言えないようだ。
新日銀総裁に就任した白川氏は、その経歴から見て総裁としての能力に対し疑問を呈する人はいないと思う。京都大学に転じる際にも、のちの日銀総裁就任が意識されていたのではないかとも見られていた日銀のホープの一人である。企画担当の審議役や理事を歴任し金融政策の現場をある意味知り尽くした人物の一人であり、このため白川新総裁の政策運営には多いに期待したい。
ただし、不安があるとすれば帝王学というかトップとしての準備期間がなかったことにあろうか。過去の日銀総裁を見ればわかるようにタスキ掛け人事で財務省のトップである財務次官経験者とともに日銀出身者がほぼ交代で日銀総裁に就任してきた。しかも、総裁となった人物の多くが副総裁を経験している。直近では前川総裁、澄田総裁、三重野総裁、福井総裁などがそうであり、例外としては松下総裁、速水総裁がいるが、松下氏は大蔵省事務次官出身であり、また速水氏は日商岩井会長や経済同友会代表幹事といったトップを務めている。
日銀の総裁は金融政策による金融市場に対しての影響ばかりではなく、日銀券という信用そのものを維持させるという重要な役割があり、日本の金融システムを安定させ、さらに国際的な影響力も大きいものがある。日本のトップの中にあってもその責任といったものでは、文字通り国内トップクラスとなろう。そういったトップにいきなり身を置くよりも、本来ならば副総裁を経験しその期間に帝王学を学んだあとの方が、より力が発揮できたのではないかと思われるのである。
さらに大きな問題が政治との折衝か。総裁人事のゴタゴタは今後も後を引くとみられ、大きな政策変更の際の政治との折り合いといったものをどのように持って行くのか。「ねじれ国会」という複雑な要因も絡んで、与野党の折衝には非常にセンシティブな対応を迫られる可能性がある。
金融政策に関しては、日銀のトップとなった白川氏にはある意味柔軟な対応も迫られよう。福井前総裁の就任後の追加緩和策には反対したという白川氏ではあるが、政治や市場の信認を得るには論理的な整合性だけではなく目に見えないマインドに働きかけるという必要性も出てこよう。日銀は当面現状維持を続けるとみられるが、その後の米国経済の動向などを見極めて次ぎの手を打ってくるとみられ、先行きが不透明なだけに利下げ、利上げともに可能性があり、いずれにせよ政策変更の際には新総裁の手腕が問われよう。
欧米の金融機関の1-3月期決算が予想されたほどの悪化ではなく、また増資等も発表されたことで金融リスク不安が後退した。米国の大手企業決算も予想を上回るものが出ており、米経済指標もしっかりしたものも出ており米経済への過度の悲観的な見方も後退した。 このため米国市場では株やドルが買われ、米債は下落基調となった。日経平均株価は4月28日に14000円の大台を一時回復した。ドル円も一時の98円台から104円台に。そして債券市場は調整局面となった。 日銀による4〜6月の利下げ観測などもあったことなどから大手銀行などは2月から3月にかけて中期ゾーン主体にポジションを積み上げていったとみられる。 しかし、米経済への懸念の後退とともに日銀のよる早期利下げ観測も後退し、債券先物は3月19日の141円91銭を高値に調整局面となり、下げ足が加速され、4月25日に債券先物は前日比2円を超す下げとなり、初めてサーキットブレーカー制度が発動された。
日本経済の先行きについては、不透明感も強いものの、米経済に対しての過度の悲観論も後退しつつある。このため懸念された円高についてもドル円は100円割れから切り返している。原油価格の上昇といった不安要因はあるが、今後については景気の下振れリスクに注意しつつ、日本経済は当面減速するが見通し期間全体では概ね潜在成長率並みで推移」という日銀の見方に沿った動きが続くとみられる。ただし、物価の動向には留意も必要か。特にガソリン暫定税率の動向により、4月から5月にかけての消費者物価指数が影響を受ける可能性がある。
3月中ごろに0.7%をつけた5年債は4月24日に1%台に乗せ利回りが上昇基調を強めたことで、大手銀行のリス ク管理上のロスカットなども働き1.2%台後半に利回りが急上昇した。10年債利回りも同様に3月26日に1.215%まで買われていたが、4月28日には1.675%にまで利回りが上昇した。その後、こういった売りがいったん収まったことで買戻しの動きも強まったものの、戻りも限定的とみられる。日銀は中立姿勢を明確化したものの、利下げ観測が強まることがない限り、5年債利回りの0.7%はかなりオーバーシュートとみられるためである。
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