26日にオバマ次期米大統領は会見で外部有識者で構成する経済回復諮問会議を新設すると発表し、議長にはボルカー元FRB議長が就任と発表した。すでに財務長官に47歳のティモシー・ガイトナー・ニューヨーク連銀総裁を起用する発表し、国家経済会議(NEC)の委員長に、ローレンス・サマーズ元財務長官を起用するなどオバマ次期大統領の経済対策チームはかなの強力布陣との認識が強まっている。今回、表舞台には立っていないものの、ルービン元財務長官の影響力も見え隠れしており、サマーズし、ガイトナー氏などを「クリントン政権で経済政策を主導したルービン元財務長官の子飼いが勢ぞろいした」(産経新聞)との報道もあった。
朝方に発表された10月全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年比+1.9%となり、ほぼ事前の市場予想どおり。11月東京都区部消費者物価指数(除く生鮮)は前年比+1.1とこちらは予想をやや下回った。10月の全国消費者物価指数の食料(除く酒類)とエネルギー除く総合は前年比+0.2%。10月の完全失業率は3.7%と前月比0.3ポイント低下し予想も下回った。10月有効求人倍率は0.80倍となり、こちらは2004年5月以来の低水準に。10月の全世帯消費支出は前年比実質-3.8%と予想をやや下回った。季節調整済みでは前月比-1.4%に。10月鉱工業生産速報値は前月比マイナス3.1%と2か月ぶりの低下となり予想よりも悪化。生産の低下に寄与した業種は、輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、一般機械工業などで、品目別では普通乗用車や半導メモリなどの低下が影響している。鉱工業生産予測値は11月が前月比マイナス6.4%、12月が同マイナス2.9%とさらなる悪化を見込んでいる。経済産業省は基調判断を「生産は低下傾向」に下方修正した。
0.2%の利下げが実施されたものの、政策委員の意見が割れていた10月31日の日銀金融政策決定会合議事要旨が発表された。なぜ意見が割れたのが。具体的な様子は10年後の議事録を待たなければならないものの、おおよそのところを発表された議事要旨から探ってみたい。
まず、この議事要旨からわかったのは0.2%の利下げの議長提案に賛成したのが白川委員、山口委員、西村委員、野田委員である。それに対して0.25%の利下げの議案を提示したのが須田委員・中村委員・亀崎委員であった。水野委員は現状維持を主張した。
議事要旨によると、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針について、一人の委員は、「無担保コールレート( オーバーナイト物)を、0.5%前後で推移するよう促す」という現在の金融市場調節方針を維持することが適当であるとの見解を示した。この一人の委員が水野委員であった。
これに対し、大方の委員は、無担保コールレート( オーバーナイト物) の誘導目標を引き下げることが適当であるとの見方を示した。その理由としては、「わが国経済は、当面、停滞色の強い状態が続くと見込まれること、先行きのリスクをみると、景気の下振れリスクが高まっていること」を指摘した。
さらに政策金利の引き下げ幅について、「委員は、引き下げ後の金利水準とスプレッドの両面において、短期金融市場の機能維持に十分配慮する必要があり、補完貸付と補完当座預金制度の適用金利も含めて総合的に検討することが適当である、との認識を共有した上で、議論を行った。」としている。
どうもキーは短期金融市場の機能維持とともにロンバートと超過準備への付利の金利との兼ね合いにあったものとみられる。
0.25%利下げの主張派は、これまで0.25%刻みで実施することが多かった点が市場等で強く意識されている点をより重視することが適当としている。
興味深いのは次の文である。「このうちの複数の委員は、市場機能への影響という点では、0.2%と0.25%の引き下げ幅に大きな差はないのではないかと述べた」。引き下げ幅に大差ないと言っている委員が複数いた。あまり推測もいけないが流れから見てこれは審議委員で唯一執行部案に賛成した野田委員と、利下げそのものには反対したが水野委員ではないかと思われる。
続いて何人かの委員は、「政策金利の水準は既に極めて低く、更なる金利引き下げを行うにあたっては、金利水準の低下が持つ金融緩和効果とともに、引き下げが短期金融市場の機能を阻害し、却って資金の流れを悪くする可能性についても十分配慮する必要がある。特に、現在のように、金融市場の機能の大幅な低下がみられる局 面では、後者の問題の重要性が一段と増大している、と指摘した上で、これらを考慮すると、0.2%の引き下げとし、市場機能に配慮しているという姿勢を明確に示すことが適当であるとの認識を示した。」
もちろんこれは執行部案による0.25%ではなく0.2%とした大きな理由であろう。短期金融市場の機能を阻害については、25日の金融調節に関する懇談会における白川総裁挨拶「短期金融市場の機能度と中央銀行の金融調節」(http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/ko0811e.htm)で総裁がさらに説明を行なっている。
このうちのある委員は「0.05%の差であっても、その違いは無視できないと述べた。」とあるが、これは山口副総裁とみられる。
別の委員は「国際金融市場の全面的な動揺というかつてない状況の下では、従来の0.25%刻みにとらわれる必要はないと付け加えた。」、西村副総裁もしくは野田委員であろう。
そして、補完貸付と補完当座預金制度の適用金利については、政策金利とのスプレッドはどの程度が適切かという観点から議論が行われたとある。この点もポイントとなったとみられる。
多くの委員は、「スプレッドが広い場合には金利のコントロールが難しくなる一方、狭い場合には金融機関が資金を市場に放出せず市場取引が不活発になるなど市場機能が阻害される、といったことを踏まえて検討することが大切であるとの認識を示した」
上記が一般的な見方ということであろう。これに対し、
ある委員は「市場機能を阻害する可能性には留意する必要があるが、金融市場の安定確保が重要な時期であること、補完当座預金制度の導入は臨時かつ時限的な措置であること、を考慮すると、例えば上下0.15%という狭いスプレッドもやむを得ないのではないかと述べた。」これは須田委員・中村委員・亀崎委員の0.25%引き下げ派の一人であろう。
別の委員は、「補完貸付の適用金利のスプレッドは従来と同様に0.25%とするのが適当であるとした上で、最近の無担保コール( オーバーナイト物) 市場における取引金利の散らばりに関するデータを紹介し、0.15%までのスプレッド縮小なら市場取引にさほど影響を及ぼさないため、補完当座預金制度の適用金利のスプレッドは0.15%とするのが適当であるとの見方を示した。」スプレッド0.15%でも問題なしとするデータを事前に準備してた委員がいたとみられる。須田委員であろうか。
これに対し、「ある委員は、市場には一旦取引量が細り始めると加速度的にそれが進行するという面があるため、導入当初はスプレッドを広めに取る方が良いとの認識を示した。また、別の委員は、市場機能への配慮の観点から、補完当座預金制度の適用金利を、ゼロではない一定の水準以上に設定することが適当であると述べた。こうした議論を踏まえ、何人かの委員は、スプレッドを上下0.2% とすることが適当であるとの見解を示した。」
これは執行部案に賛成した3人のうちの意見であるが、「補完当座預金制度の適用金利を、ゼロではない一定の水準以上に設定することが適当」としたのは総裁もしくは副総裁の発言と思われる。
以上、なんとなくではあるが、0.25%と0.20%の主張の違いが垣間見れる。特に執行部は短期金融市場の機能を阻害、補完当座預金制度の適用金利をゼロではない一定の水準以上に設定といったことが強く意識されたのではないかと思われる。
そして水野委員の反対理由としては、「現下の政策課題は政策金利引き下げよりも、C P ・G C レポ市場等の現状を踏まえた資金の目詰まり対策であること、景気が一層悪化した場合の対応について更に議論が必要であること、C P ・社債市場の機能低下等を踏まえると、利下げの効果が実体経済に波及するメカニズムがはっきりしないこと、追加利下げ期待からコールレートに低下圧力がかかり、金融市場調節上、潤沢な流動性供給が却って難しくなるリスクがあること、全員一致で現状維持を決定した会合から時間が経っていないことから、反対した。」としている。
利下げの前に資金の目詰まり対策を行なうのではないかというのが、突如利下げ観測が強まる前の市場の見方でもあった。また、14日の臨時の金融政策決定会合で全員一致で現状維持となっていたものの、それからからさほど時間も経過していないにも関わらず、利下げを行なう点について指摘している。
FRBは25日、総額8千億ドル、日本円で約77兆円のあらたな金融対策を発表した。内容は住宅ローン担保証券や、自動車ローン・学生ローンなどを担保にした証券化商品を買い取ることが柱となる。買取の中心となるのは連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が保証している住宅ローン担保証券(MBS)。これを最大5千億ドル買い取り、さらに政府系住宅金融会社(GSE)2社が貸し出した住宅ローンも最大1千億ドル買い上げる。また自動車ローンや学生ローンなどを担保とする証券化商品を保有する金融機関などに対し、最大2千億ドルを融資する。この融資の財源の一部は、金融安定化法で用意した公的資金から拠出するものの、住宅ローン担保証券などは、FRBが自らの資金で直接買い取るかたちとなり、これによりFRBのバランスシートはさらに膨張してくるものとみられる。
FRBの資産規模はリーマン破たん前の9400億ドルから、2か月余りで2兆2000億ドルに膨らんだ上に、その内容を見ると、安全資産である米国債の比率が9割強から2割弱にまで落ち込んでいる。FRBが買い取ったリスク資産が必ずしも損失を出すとは言えないものの、その懸念は強まっており、それがドルや米国債への信認低下に繋がる懸念も出ていることも確か。
今回の金融危機の対応のため各国の中央銀行も資産が膨張し、27日の日経によると年初に比べ日銀の資産は約1割増、ECBは約3割増、イングランド銀行は約4割近く増加している。また米政府とFRBが投融資や政府保証などを通史で潜在的に抱えるリスクはすでに8兆ドル(760兆円)もの規模に膨らんでいる(日経)。FRBや政府のリスクは膨らむものの、今後もさらに対策を積極的に講ぜざるを得ないとみられ、さらに潜在リスクは膨らんでいく懸念がある。
ネットをご覧いただいている方から国債に関しての問い合わせをいただいた。内容は残存15年程度の国債を100円額面のものを約96円で証券会社から買いを勧められているというである。これは個人向け国債と同じもので買っても良いのかというものであった。具体的にどのような国債なのかわからず、可能性としては20年国債の既発債かなと思い、念の為、その価格に近いものがあるのも調べてお答えした。少なくとも個人向け国債ではなく、価格変動リスクがあることなど注意を促すとともに、もう少し具体的に何年物の国債で何回債なのかも教えてほしいと返事をした。
その後、具体的な国債の内容がわかり、それを見て驚いた。それは20年利付国債などではなく「15年変動利付国債」だったのである。証券会社の担当者からは金商法の範囲内での価格変動リスクを含めて通常のリスクの説明はあったと思う。しかし、問い合わせをくれた人もどこか腑に落ちず、このため見ず知らずの私に問い合わせしてきたと思う。
この15年変動利付国債は債券市場関係者ならば、別なリスクがあることは周知の事実である。その状況は一般個人はまず知らないのではないかと思う。証券会社の現場の担当者もその状況を把握していたのであろうか。もし把握していたとしてもそのあたりの説明はあったのであろうか。
そのリスクとは、日経新聞などでも報じられていたように、15年変動利付国債と物価連動国債は需要がなく一時の投売り状態などもあって、すでに今年度の発行が途中で見送られるという「異常事態」となっていることである。来年度についてはまだはっきりはしないが、現状では来年度も見送られる可能性が高くなっている。
だからこそ証券会社が在庫処分に困り個人向けの商品としてリストアップした可能性もあるが、発行が今後も中止となれば流通市場も縮小し、それにより流動性リスクが強まり、償還まで持てば良いが、途中で売却できないといった可能性も秘めている。念の為、個人向け国債の10年変動タイプと15年変動利付国債はまったく異なる商品である。個人向け国債は一定期間後(10年変動タイプは発行してから1年経過後)であれば、財務省が額面で買い取る仕組みとなっており、売却に支障はない。
物価連動国債は個人に販売はできないが、15年変動利付国債には制限はなく通常の利付債同様に個人への販売は可能である。しかし、関係者ならば知っているものの、それが一般認識にまで広まっていないリスクについては、債券本部などが販売にあたり十分な注意を促す必要がある。ただし、その注意といっても一般個人にはたいへんわかりにくい事情でもあり、できればこのような特殊事情の存在する商品は、情報の非対象性の観点からも個人への販売は極力控えるべきものであろう。
幸田真音さんの新刊「CC: カーボンコピー」が11月25日に中央公論新社から発売されました。読売新聞のプレミアムサービスyorimoでの連載されていた小説です。人生の岐路に立つ女性を描いた小説です。ぜひお買い求めいただければと思います。また、12月5日に丸の内の丸善本店でサイン会が開催されます。こちらにもぜひ足を運んでいただければと思います。
24日にオバマ米次期大統領が記者会見で、財務長官に47歳のティモシー・ガイトナー・ニューヨーク連銀総裁を起用すると正式に発表した。ガイトナー総裁は3月の証券大手ベア・スターンズの危機の際の救済劇や、リーマン・ブラザーズの破綻など一連の金融危機対応で中心的な役割を演じたとされている。1980年代には駐日米大使館で勤務した経験があり日本語も堪能だとか。今回の米金融危機に際して、日本の不良債権処理問題も参考に対処していったともされている。
また国家経済会議(NEC)の委員長に、ローレンス・サマーズ元財務長官を起用。サマーズ氏は、オバマ次期米大統領がバーナンキ連邦準備理事会(FRB)議長の後任に起用を検討する可能性があるとも伝えられている(21日ロイター)。
経済諮問委員会(CEA)委員長にカリフォルニア大学バークレー校のマクロ経済が専門の経済学者クリスティーナ・ローマー教授を起用。CEAは経済発展や政府計画を分析し大統領に国内経済政策を提案する。
国民政策委員会の委員長には、メロディー・バーンズ氏を任命することも発表された。
日銀の金融政策決定会合が終了。現状の金融政策を維持することを全員一致で決定した。声明文では、企業金融の円滑化に資する観点から、当面、CP現先オペを一層活用していとし、さらに民間企業債務の適格担保としての取り扱いや民間企業債務を担保とする資金供給面の工夫について速やかに検討を行なうよう総裁が執行部への指示を行なった。
10月31日と今回の声明文の内容を比較してみると、「輸出の頭打ち」(10.31)が「輸出の減少」(11.21)となり、物価については「徐々に上昇率は低下していく」(10.31)から、「低下していく」(11.21)に。リスク要因の景気については「下振れリスクが高まっている」(10.31)が「更に下振れるリスクがある」(11.21)に。また11月21日発表分には「金融機関の貸出姿勢や社債・CP市場の動向など金融環境が一層厳しさを増す場合には、金融面から実体経済への下押し圧力が高まる可能性がある」との文面が加わっている。物価については「物価の上振れリスクは以前に比べ低下している」(10.31)が「景気の下振れリスクが顕在化した場合や国際商品市況が更に下落した場合には、物価上昇率が一段と低下する可能性もある」点を指摘している。このように今回の声明文では、金融面からの経済への下押し圧力の可能性などを含めて総じて景気については下振れリスクが強まる可能性を指摘するとともに、物価に関しては一段と低下する可能性を指摘している。
昨日の米国市場で、米国債の利回りは2年債が一時0.96%まで低下し、フェデラル・ファンド金利の誘導目標である1%を割り込み、過去最低水準をつけた。米10年債利回りも一時3%を下回り、2.99%まで低下し、1958年以来の低水準に。また、30年債利回りも3.61%とこちらも50年ぶりの低水準に。
経済指標の悪化によるリセッションへの懸念に加え、景気悪化の影響で原油価格が下落し昨日のWTI12月限は一時1バレル50ドルを割り込むなど、インフレ懸念が後退し、むしろデフレを懸念する声も出始めている。
米ビッグ・スリーへの救済策も暗礁に乗り上げるなどししていることも、市場心理を悪化させるなど、再び不安心理が強まり、外為市場ではこれが円買い圧力となっている。
景気悪化にデフレ観測、リスク資産圧縮への思惑への質への逃避などの動きに加え、12月開催のFOMCの日程が1日から2日間に延長されるなど、さらなる緩和策への思惑なども米債の買い材料になったと思われる。
これを受けて、本日朝方の債券市場では先物は買いが先行し、前日比76銭高の140円03銭寄り付きとなった。債券先物の140円台乗せはリーマンショックで一時的つけた9月16日以来となる。現物10年296回は前日比-0.060%の1.375%の出合いとなり、こちらは10月8日以来の1.4%割れに。
昨日発表された10月の米住宅着工件数は年率換算で79.1万戸、前月比4.5%減となり1959年の統計開始以来、過去最低の水準に。また、先行指数とされる許可件数も前月比12.0%減の70.8万戸と、60年の統計開始以来の過去最低水準に落ち込んだ。地域別では北東部の31.0%、中西部の13.7%などの落ち込みが厳しい。
また、10月の米消費者物価指数は前月比マイナス1.0%となり、こちらも過去最大の低下幅に。エネルギーと食品を除いたコア指数もマイナス0.1%と、約26年ぶりのマイナスとなった。
そして、FRBが公表した10月28〜29日のFOMC議事要旨によると、0.5%の利下げ後も、成長への下方リスクは依然存在すると、一部メンバーは、今後のFOMCで一段の政策緩和が適切となる可能性があるとの見解を示し、追加利下げの可能性が示された。加えて、FRBは2009年度の実質GDP成長率がマイナスに転じる可能性があるとの見通しを発表している。
日本でも7〜9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比マイナス0.1%、年率でマイナス0.4%と2四半期連続のマイナス成長となり、10-12月期もすでにマイナス成長となるとの見方が強まっている。
さらに本日発表された10月の貿易統計(速報、通関ベース)では、輸出額が前年同月比マイナス7.7%の6兆9261億円、輸入額は同プラス7.4%の6兆9901億円となり、輸入額から輸出額を差し引いた輸入超過額(貿易赤字)は639億円となった。10月の輸出の前年比-7.7%は2001年12月以来の大幅な減少に。輸出は米国や欧州だけでなく、これまで好調さを保っていたアジアや中国向けも落ち込んでいる。アジア向け輸出はマイナス4.0%と80か月ぶりの減少となり、中国向けはマイナス0.9%とこちらも41か月ぶりのマイナスとなった。
与謝野経済財政担当相は、2009年度の日本の経済成長率について、プラスとなる自信は現時点ではないと発言しており、日米ともに来年にかけての景気見通しはかなり厳しいものとならざるを得ない。
京浜急行が新しい駅メロディ(列車接近音)を導入することとなり、そのラインナップが発表された。いずれの曲も京浜急行らしい曲が選ばれている。小学校4年まで横浜市の金沢区に住んでおり、最寄の駅は金沢文庫であったことで、個人的に京浜急行への思い入れは大きく、今回の曲の選定にもたいへん関心があった。
まず、個人的に一番の注目駅であった金沢文庫は、地元に実家のある小田和正さんの「MY HOME TOWN」、小田和正さんは私が通っていた八景小学校の先輩でもある。そして、横浜駅はいしだあゆみさんの「ブルーライトヨコハマ」。私の父親が急死し母親の実家である茨城に移ったのがブルーライトヨコハマがヒットした1968年であり、郷愁の思いも含めて個人的に印象深く好きな曲だっただけに、この選曲はうれしかった。
横浜から少し下ってみると、上大岡がゆずの「夏色」、ゆずといえば横浜高島屋との印象だが出身地は上大岡に近い。そして金沢八景がEXILEの「道」、EXILEのリーダーの母校である横浜市立金沢高等学校(かなこう)の最寄り駅ということで選ばれたとか。そういえば金沢高校までは当時の金沢区の私の家からは歩いていけた。そして新逗子がキマグレンの「道」、キマグレンは逗子出身。
横須賀中央は横須賀出身の私と同学年の山口百恵の「横須賀ストーリー」、堀ノ内がやはり横須賀出身の渡辺真知子の「かもめが飛んだ日」、かもめは横須賀港のかもめだったのですね。懐かしい曲が続いて、次がなんと浦賀の「ゴジラのテーマ」、これは最初にゴジラが上陸したのは浦賀に近い観音崎との設定によるもの。京急久里浜がさだまさしと山口百恵の「秋桜」、くりはま花の国のコスモス畑があることから選曲されたとか。そして、終着駅の三崎口は、まさにぴったりの山本コウタローとウィークエンドの「岬めぐり」。作詞した山上路夫は三浦半島を思い描いて詞を作ったそうです。
それにしても、最近の曲も入っているものの、京浜急行沿線で生まれ育った私には懐かしく好きな曲が多く、さすが京浜急行といった感じがする。
18日の日経新聞によると、物価連動国債と15年変動利付国債の発行を年内だけでなく、年度内も見送る方針を固めたと伝えられた。来年2月に合計で1兆1千億円の発行を予定していたがこれを中止し、不足する財源については「流動性供給入札」や需要が見込める銘柄の発行で代替するとしている。
これにより、今年度ばかりでなく来年度に関しても、物価連動国債と15年変動利付国債については発行が見送られる公算が高まったと見ざるを得ない。 両銘柄の発行停止に伴い20日の20年国債の入札分から一回あたりの発行額が8千億円から9千億円に増額される。
二次補正や来年度予算に絡んでは、今後はさらに国債への増発圧力が強まると見ざるを得ない。特に今年度の税収見積もりの下方修正分や、個人向け国債の発行予定額に満たない分などを考慮すると、数兆円規模での増発が必要となる可能性がある。
ちなみに個人向け国債については今年度の発行予定額は6.2兆円だが、10月までの今年度発行額は10年変動で2,093億円、5年固定で1兆57,90億円と合計で1兆78,83億円に止まっており、1月の発行分が余程増加しない限りは、今年度の予定額には達しないものとみられる。ただし、昨年10月からスタートした新窓販国債発行額が今年9月までに、9000億円弱発行されており、これを考慮する必要がある。
国債の増発に関しては、11月14日に開催された国債市場特別参加者会合では多様な意見が出されていたが、流動性供給入札の増額に加え、主にTBや2年、5年など中短期ゾーン主体の増発余地を指摘する声が多かった。また、超長期ゾーンでは、30年や40年にも増発余地があるのではないかとの声もあった、
18日の国債投資家懇談会では、特に超長期ゾーンの増発への要望が出される可能性もあるが、10年債に関しては投資家ニーズの乏しさから、増発の可能性を指摘する声は少なかった。
いずれにしても、来年度の国債発行に関しては、投資家需要が見込める銘柄の増発は避けられないとみられ、来年度予算編成の行方とともに国債発行計画の動向も材料視されてくる可能性がある。ただし、国債が増発されても需給そのものが大きく崩れることは想定しづらい。1998年の運用部ショック当時に比べ国債管理政策も整備されており、仮に増発に絡んだ売りが入ったとしても一時的なものに止まるのではないかと予想される。
16日から超過準備に対しての付利が実施された。正式には「補完当座預金制度」と呼ばれるもので、適用利率は0.1%、11 月の準備預金積み期(11月16 日〜12月15 日)から来年3月の同積み期(3 月16 日〜4 月15 日)まで実施される、導入時の日銀の発表文では次のようになっていた。
「日本銀行は、金融市場の安定確保のため、年末および年度末に向けて積極的な資金供給を行っていく方針である。このような積極的な資金供給の下では、日本銀行の政策金利である無担保コールレートがその誘導目標から大きく下方に乖離する可能性がある。」
「本制度の導入によって、コールレートを目標水準に適切に誘導しつつ、積極的な資金供給を一層円滑に行い得るようになり、金融調節面での対応力の強化につながるものと考えている。」
この中で、「積極的な資金供給」や「無担保コールレートがその誘導目標から大きく下方に乖離する可能性」などの文面が意識されたのか、市場の一部では付利が実施されたことで、日銀が大量の資金供給を実施し、無担保コール翌日物金利の低下を促すのではないかとの見方が出ていた。
しかし、17日の短期金融市場における無担保コール翌日物金利は誘導目標値である0.3%近辺での推移となり、大きく金利が低下するようなことはなかった。
すでに超過準備に付利を実施している米国では、政策金利であるFF金利が誘導目標を大きく下回って推移しているが、これは大きな資金の出し手の存在や、FRBが日銀の手形売出オペのような機動的に資金を吸収する手段を持っていないことでの技術的な要因などによるものと見られる。
日本では政策金利が変更されるか、もしくは「なお書き」対応で一時的な低下も容認することがない限り、無担保コール翌日物金利が誘導目標値を大きく下回っての誘導は考えづらい。
日銀はここにきてツイストオペを実施して、特にターム物の金利の跳ね上がりを押さえ込もうとしており、これでややレポレートの低下もみられた。しかし日銀がどれだけ資金供給を行なっても、特にターム物と呼ばれる長めの金利の本格的な低下を促すには、金融機関同士の信用の回復が不可欠となる。
大量の資金供給に加え、利下げなども行なうなど日銀は積極的な金融危機対応を行なってきているが、債券市場では投資家、業者ともにリスク許容度は低下したままとなっている。超過準備に付利が実施されても、相場のマインドを変化させるまでには至らないとみられ、これによる債券相場への影響は限定的と見ざるを得ない。
16日から超過準備に対しての付利が実施されたが、日銀の政策金利である無担保コール翌日物金利は誘導目標値である0.3%近辺での推移となっている。一部に付利が実施されたことで、日銀が大量の資金供給を実施し、無担保コール翌日物金利の低下を促すのではないかとの見方もあったようだが、政策金利が変更されるか、もしくは「なお書き」対応で一時的な低下も容認することがない限り、誘導目標値を大きく下回っての誘導は考えづらい。
ただし、すでに超過準備に付利を実施している米国では、政策金利であるフェデラルファンド金利が誘導目標を大きく下回って推移しており、これが意識され日銀も同様のことを行なうのではないかとの思惑も働いた可能性がある。しかし、米国の場合は「売出手形オペという機動的な資金吸収手段を持たず、また超過準備の付利の対象になっていない大きな資金の出し手(GSE等)が銀行間市場にいる中で、Fedが市場救済融資を急拡大させた結果、収拾がつかなくなってしまったということだろう」(東短リサーチ、加藤出氏レポートより>QUICK)」との加藤氏の指摘どおりかと思われる。
準備預金に付利が行なわれたことで、オーバーナイト物の金利には3つの金利が存在することとなる。現在0.5%の基準貸し出し金利(ロンバート・レート)、そして政策金利である誘導目標値の0.3%、さらに今回からここに超過準備に付利される0.1%である。ロンバートレートの0.5%と超過準備に付利される0.1%の間の金利の幅はコリドー(廊下)と呼ばれ、このコリドーが存在することで、何らかの事情でオーバーナイトが揺れ動いたとしてもその幅を抑えることが可能となる。
10月31日に政策金利の変更を巡って意見が分かれたのも、ロンバート金利、政策金利、超過準備に付けられる金利の3つの金利のバランスを意識してのものではなかったのかとも考えられる。
内閣府が発表した7〜9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比マイナス0.1%、年率でマイナス0.4%と2四半期連続のマイナス成長となった。事前予測の中心値はプラス0.1%近辺(ロイター)となっており、予測より悪化したもののマイナス予想も多かったことで市場への影響は限られた。
前期比マイナスとなったのは、外需寄与度がマイナス0.2%と2002年7-9月期以来の低さとなり、また設備投資もマイナス1.7%と2007年4-9月期以来の低さとなったことが影響した。
外需における輸出は前期比プラスの0.7%となったが、控除項目である輸入が1.9%増加していたことで補いきれなかった。内需の寄与度は0.1%増となったが、このうち設備投資が1.7%の減少、個人消費は0.3%の増加、住宅投資は前期の大幅減の反動もあり4.0%増加したが、設備投資の大幅な落ち込みが響いた。民間在庫の寄与度はプラス0.0%となっていた。
これを受けて与謝野経済財政担当相は「景気がさらに厳しくなるリスクに留意する必要」と発言したが、10-12月期GDPは個人消費などがさらに落ち込む可能性があることで、3四半期連続でのマイナス成長の可能性も高そうである。
来週の債券市場動向を予想してみたい。まずは金融サミットの動向がまず焦点となろう。格付け会社に対する規制強化など世界的な金融危機に対しての対応策が話し合われるが、対応策そのものよりも、先進国や新興国が一体となって危機に臨むという意思が示されれば、少なからず市場には好感材料となる可能性がある。
20日から21日にかけて日銀の金融政策決定会合が開催される。10月31日に利下げが実施されたことで、今回は現状維持となろうが、前回大きく割れた票決の動向にも注目したい。また10月31日の決定会合では超過準備に対しての付利も決定され16日から実施されるが、日銀の資金調節に変化が生じてくるのかも注意したい。一部に大量の資金供給を期待する向きもあるが、政策金利である日銀の誘導目標はあくまで無担保コールレートの0.3%水準であり、さらなる低下を促すような資金調節は考えにくい。
来週は、17日に発表される日本の第3四半期GDP一次速報値の発表など、日米ともに重要な経済指標の発表もあり、その内容によっては相場動向に影響しよう。総じて景気悪化を示す内容となりそうだが、ある程度市場も景気後退を織り込んでおり市場予想との乖離幅などに注意したい。
債券先物は米国市場や株式市場動向に左右されやすく不安定な展開が続くと予想されるが、現物は超長期ゾーンなどはエクステンションに絡んだ買いも入るとみられ総じて底堅い動きが予想される。事業債の起債も再開され、投資家の動きが活発化してくる可能性もありそうである。
13日付けの日経新聞によると、14日からワシントンで開催される金融サミットで、日本政府はIMF向けに日本の外貨準備の一部、最大10兆円規模の資金拠出を打ち出すことが明らかになった。外貨準備の中の預金で運用している10兆円程度をIMFに貸し付け、IMFの新興国向けの緊急支援融資の拡充を後押しする。
現在IMFは2000億ドルの余剰資金があり、目先は資金難の恐れはないものの、今後はアイスランドに続き、セルビアやウクライナなどの大型支援が相次ぐ見通しのため、財政面での備えを急ぐ構えとか。
しかし、結局、日本の支援はこのようにカネがメーンとなってしまうというのも、いかがなものであろうか。もちろんこの政策案を非難するつもりではなく、ぜひやってほしいが、軸足定まらない米財務省になどに対して、失われた15年の経験を生かしてのもう少し具体的な支援策が打ち出されないものであろうか。
昨日、米ポールソン財務長官は金融安定化法の運用方針について記者会見し、総額7000億ドルの不良資産救済プログラム(TARP)について、直接投資を通じた金融機関への資本注入に使うことが好ましいとしも住宅ローン関連の不良資産の買取には消極的な姿勢を示したが、これを嫌気して12日の米国株式市場は前日比411.30ドルもの大幅な下落となった。
市場が求めていることが良いとは限らず、米財務省も打ち出の小槌を持っているわけでもなく、支援には限界があることも確かだが、ここでもう少し知恵を生かし、不良資産の買取に向けても積極姿勢を示すべきではなかったか。これにも日本の経験などが参考になると思われるのだが。
11日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物市場では、WTI12月限は一時58.32ドルにまで下落し、期近物として、2007年3月以来となる約1年8か月ぶりの安値を付けた。世界的な景気減速観測により、原油需要が減るとの見方から売りが入った。
7月11日につけた147.27ドルをピークに、原油価格の上昇もバブル相場であったことは確かか。当時は、1バレル200ドルまで上昇との見方が出ていたが、日経平均が5万円まで上昇との観測の強まった1989年末の頃の日本の株式市場とも酷似していた。
原油などを含め夏あたりをピークに、株や商品など半値以下に落ち込んでいるものが多いが、この値動きに少なからず影響を与えていたとみられるヘッジファンドの業績もかなり悪化している。ヘッジファンドは市場への流動性供給というプラスの側面、値動きを荒くしている要因ともなっていたとみられるが、ヘッジファンドだけでなく、新興国や産油国など含めての巨額資金が動いていたことも相場の変動を大きくさせた。米金融危機とそれによる世界的な景気減速により、それら資金による市場への影響がプラスからマイナスの効果となった。
リーマン・ショックなどを受けて、カウンター・パーティー・リスクも強まり、短期金融市場でも一時機能停止状態となり、このため欧米日の中央銀行などを主体に、積極的な資金供給を実施するとともに、景気への配慮もあり、特に欧米主体に積極的な利下げを実施してきている。これにより、過度に悲観的な見方は後退しつつあるが、しかし先行きの景気への懸念も強く、株式市場も底堅くなりつつあるが、上値も重い状態となっている。さらに、欧米日や中国などを含めて、政府も積極的な財政政策を講じてきているが、それは反面、財政悪化の要因ともなり、債券市場も神経質な動きが続いている。
昨日、財務省は外国為替資金特別会計に関する情報開示の一環として、外貨準備として保有する外貨建て証券の内訳を初めて公表した。(http://www.mof.go.jp/jouhou/kokkin/gaitameshouken_201110.pdf)>
これによると、外貨建て証券の残高は、2007年度末時点で92兆4486億円となり、このうち満期別では、1年以下が26.6%、1年超5年以下が46.4%、5年超が27.0%と中期主体にバランスの取れた運用を行なっているようである。また、別途10兆円程度の預金も保有か。
また、保有外貨証券の国債・非国債の構成割合については、68.2%を国債が占め、残りのの31.8%は国債以外の証券となり、金額別では国債が63兆918億円、国債以外の証券は29兆3568億円に。国債以外の証券の中には米住宅公社が発行した債券などが含まれる。米政府系住宅金融機関(GSE)の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)は危機的な状況に陥り、発行した債券への懸念も一時生じたが、米政府の管理下に置かれ、11月1日にバーナンキFRB議長はGSEの発行する債券の保証を続ける必要があるとの見解を示していた。
10月末の外貨準備高そのものは、9月末よりも181億6700万ドル少ない9777億2300万ドルとなった。これは10月に入って対ドルでユーロ相場が下落し、ユーロ建てで保有する預金・債券が目減りしたことが要因であった。
また、「外国為替資金特別会計」(外為特会)で保有する外貨預金と外貨証券による2007年度の運用収入が2006年度を約5800億円上回る4兆2703億円に達したことも発表された(http://www.mof.go.jp/jouhou/kokkin/gaitametokkai_201110.pdf)。外貨建て資産は総額約102兆3931億円となり、運用収入のうち過去の為替介入の際に発行した政府短期証券の利払い費などの経費を差し引いた実収入が約3兆6400億円となり、運用利回りも過去最高の4.32%を記録した。海外の金利が上昇局面にあったこと金利収入が増加したとみられ、運用利回りは公表されている2002年度以降で最高額となった。この約3兆6400億円も「霞が関埋蔵金」として政府が認識し、政策経費に活用できるか探ってくる可能性もありそうである。
2007年5月12日の日本金融学界における武藤日銀副総裁(当時)の講演「中央銀行の政策決定と委員会制度」の中で武藤副総裁は、英国イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)における例を引き合いに出していた。
『MPCでは、採決にあたって、頻繁に反対票がみられます。時には、9名のうち4名までもが反対に回ることもあります。例えば、2007年1月にイングランド銀行が利上げを行った際のMPCでは、採決は5対4でした。キング総裁は多数派でしたが、金融政策担当のロマックス副総裁、ビーン理事、タッカー理事は少数派となりました。この際の投票結果は、外部委員の4名は3対1で、内部委員の5名は2対3でした。また、2005年8月にイングランド銀行が利下げを行った際のMPCの採決も5対4でしたが、このときはキング総裁は少数派となりました。この際の投票結果は、外部委員の4名は4対0、内部委員の5名は1対4でした』
『キング総裁が、その後の議会証言において、「我々は多数決により決定しているので、論理的に総裁を含む各委員は皆少数派になることがありうる。私はそれで構わないと思っている。…MPCでは、討議を経て、各委員が自己の信念に基づいて正直に投票することになっている」と述べていたのは印象的でした。』とも武藤氏は述べている。
福井総裁当時の日銀の金融政策決定会合では議長提案が出される前に、それぞれの意見を聞いたうえで、意見がある程度集約され、その結果、4対4に意見が分かれているとみた際には、最終的に議長である総裁が議長提案をどちらで出すのかによって決定されていた。
武藤氏はMPCでの例において内部委員と外部委員それぞれの票数もカウントしていた。これは多少状況は異なるかもしれないが、日銀で言えば3票の執行部票と6票の審議委員票も意識したものかもしれない。
MPCよりコンセンサスを重視しているとみられた日銀では、これまで反対票は定員9人の際でも3票までに抑えられてきた。しかし、10月31日の金融政策決定会合では、政策委員は1人少ない8人となっていたが、その中で議長提案に対して4対4に意見が分かれたのである。
日銀の総裁が白川氏となり、それまでの福井前総裁の決定会合のプロセスがそのまま受け継がれたのではなく、イングランド銀行のキング総裁のスタイルのように「各委員が自己の信念に基づいて正直に投票すること」を、コンセンサスよりも意識したものとなってきた可能性がありそうである。
世界的な金融危機の影響を受け、日本の景気後退観測がさらに強まってきている。このため日銀は10月31日の金融政策決定会合で、政策金利を0.5%から0.3%に引き下げた。
10月に入り急激な円高が進行し、これらを受けてトヨタの2009年3月の連結業績予想が従来予想に比べて1兆円もの減となるなど企業収益にも影響が出ている。経済指標では10月29日に発表された9月の鉱工業生産指数は前月比1.2%の上昇となったものの、7〜9月期の指数は前期比1.2%マイナスと3四半期連続での下落となった。31日に発表された9月の家計調査では2人以上世帯の実質消費支出実質は前年同月比2.3%減と7か月連続の減少となった。同日に発表された9月の有効求人倍率は0.84倍と2004年8月以来の低水準に。9月の完全失業率は4.0%と前月より0.2ポイント改善されたものの、失業者数は前年同月に比べ2万人の増加となった。また物価指数としては9月の全国消費者物価指数(除く生鮮食料品)は前年同月に比べ2.3%の上昇となったが、上昇率は前月に比べて0.1ポイントの下落となった。
IMFが発表した2009年の地域別の成長率予想では、米国が-0.7%、ユーロ圏が-0.5%、英国が-1.3%、そして日本は-0.2%となっていた。世界的な金融危機の影響や急激な円高進行もあり、10-12月期の日本の実質GDPのマイナス幅は大きく拡大するとの予想も出ている。10月30日に日銀が発表した展望レポートでも、先行きの日本経済の予測については2009年度半ば頃までの停滞を見込んでいる。海外経済全体の成長率の回復が当分の間見込めないことから、国内の景気についてはさらに悪化傾向になると予想せざるを得ない。物価については景気減速に伴う原油価格の急反落などから今後は低下基調となると予想される。
米国では新大統領にオバマ氏が決まったが、米国の景気は今後さらに低迷してくると予想され、景気対策を積極化してくる可能性がある。これは財政悪化要因となり、米債は今後の需給が懸念されていることで上値が重くなっている。円債も今年度の税収不足等も含めて、国債への増発圧力が強まって来ることも予想され、米国同様に需給が上値を抑えてくるとみられる。しかし、日銀が7年7か月ぶりに利下げに転じたが、欧米の中央銀行も積極的な利下げを行なっていることで、短い金利には低下圧力も加わりやすい。このため、イールドカーブはスティープニング圧力を強めてくる可能性がある。当面の長期金利予想レンジは1.35%から1.60%あたりと見ている。
10月31日に日銀が発表した「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)を確認してみたい。
基本的見解においては、国際的な金融情勢の展開やその実体経済への影響などから著しく不確実性が高まっているとし、こうした状況下では、先行きの経済・物価動向を見通すに当たっての中心的な見通しの蓋然性がこれまでに比べて高くないとしている。
先行きの日本経済の予測については、2009年度半ば頃までの停滞を見込んでいる。交易条件悪化の影響などから国内民間需要が弱めに推移し、輸出についても海外経済の減速や円高を背景に弱めの動きとなると見ているためである。2008年度、2009 年度の成長率は、年度平均でそれぞれ0%程度、0%台半ばで推移を見込んでいる。
海外経済については、「米国では金融・実体経済の負の相乗作用が生じ、当面、成長率は低い水準に止まると見込まれる。欧州経済も、既往のエネルギー・原材料価格高による域内民間需要の弱まりに加え、輸出環境の悪化や金融環境のタイト化の影響などから減速が続くほか、アジアにおける新興国でも輸出環境の悪化などから成長率はやや鈍化すると考えられる」としている。
さらに先行きについて「米欧の金融危機やその影響が、どのように収束するかに大きく依存し、特に米国経済の動向が重要である。米国経済については、住宅市場における調整が進展し、金融システム面での対策の効果が現れるにつれて、次第に持続可能な成長経路に復していく姿が見込まれるが、その時期は見通し期間の後半になると想定している。これに伴い、海外経済全体の成長率の回復が明確化してくるのは、2009年度半ば以降になるもの」と予想している。
消費者物価指数(除く生鮮食品)に関しては、「中期的なインフレ予想が安定的に推移するとみられる中、需給ギャップや賃金が弱めの動きを続けるほか、エネルギーや食料品価格の落ち着きを反映して、徐々に低下していくと考えられる。」としている。「消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比は、当面は、2%台半ばの水準から徐々に低下し、2009年度に0%前後となった後、2010 年度には0%台前半になる」との予想である。
「物価の上振れリスクは、以前と比べると小さくなっていると考えられる。一方、景気の下振れリスクが顕現化した場合や国際商品市況が更に下落した場合には、物価上昇率が想定以上に低下する可能性」も指摘している。
そして、今後の金融政策運営としては、「金融資本市場の緊張が高まる局面において、中央銀行としてなし得る重要な貢献は、流動性供給を通じた金融市場の安定維持である。低金利による金融緩和効果を最大限に発揮するためにも、金融市場の安定は重要な条件となる。」とまとめている。この文面からは追加利下げは視野に入れていないようにも思われるが。
政策委員の大勢見通しは、実質GDPの2008年度が+0.1%(7月見通し+1.2%)、2009年度が+0.6%(同+1.5%)、2010年度が+1.7%
CPIについては、2008年度が+1.6%(7月見通し+1.8%)、2009年度が+0.0%(同+1.1%)、2010年度が+0.3%
日銀の金融政策決定会合においては、2007年2月からは政策決定に関する各政策委員の投票結果もあわせて公表されるようになった。それまでは全員一致か賛成多数との発表だったが、賛成多数の際にはその票数や反対委員の名前といったことなども明らかにされるようになった。
しかし、10月31日の金融政策決定会合終了後の発表において、0.2%の利下げという議長提案に対して賛成4人、反対4人。賛成は白川総裁、山口副総裁、西村副総裁、野田審議委員。反対は須田審議委員、水野審議委員、亀崎審議委員、中村審議委員との発表があった。
その後の総裁会見で、反対した4人のうち3人が0.25%の利下げを主張していたことが明かにされた。つまり今回は利下げそのものに対しては、4人が反対したのではなく、結果としては7人の政策委員が利下げを主張し、上げ幅に違いがあったために3人の委員が議長提案に反対したという結果となっていたのである。
4対4という票決に対し、市場参加者の多くは反対者は利下げそのものに反対したと解釈したはずである。市場との対話を意識すれば、今回のような際には引け後の総裁会見ではなく、ザラ場中に発表されることが多い結果発表の際に、もう少し具体的な反対者の内容も公表すべきであったかと思う。発表方式の変更にはステートメントの出し方などの手続き変更なども必要となると思われるが、次回会合以降は是非、もう少し具体的な結果も即時に発表できるようにしていただきたい。
31日の日銀の金融政策決定会合では、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標値を0.5%から0.3%に0.2%に引き下げたが、票決は4対4と真っ二つに別れ、可否同数となったため議長が決するという異例の事態となった。賛成は白川総裁、山口副総裁、西村副総裁、野田審議委員。反対は須田審議委員、水野審議委員、亀崎審議委員、中村審議委員。
また、基準貸付金利も0.25%引き下げられ0.5%に、11月積み期から来年3月積み期までの間、超過準備預金等に0.1%を付利することが、こちらは両方ともに全員一致で決定した。
以前の日銀の金融政策決定会合では議長提案が出される前に、それぞれの委員の意見がある程度集約されていた。その結果、4対4(政策委員が定員の9人の場合)に意見が分かれているとみた際には、最終的に議長である総裁が議長提案をどちらで出すのかによって決定されるかたちになっていた。しかし、今回の金融政策決定会合では議長提案が0.2%で出され、それに対し議長である総裁含めて4人が賛成した。さらに0.25%の利下げ提案に賛成した委員が3人、現状維持が1人に分かれる結果となった。
それでは何故、3人の審議委員は0.2%ではなく0.25%の利下げを主張し、議長提案に反対をしたのか。これがひとつの大きな謎である。31日の決定会合は異例づくめであった。そのひとつが会合の開始時間が30分早められたことである。この理由については「付利」について議論するためと言われていた。しかし、付利自体は全員一致で決定しており、むしろ利下げを巡っての意見の集約ができなかったことが要因ではなかったのか。
0.20%を主張した総裁含めての4人は、なるべく利下げ幅を留めて今後の引き下げ余地を残したともみられるが、超過準備預金への付利が0.1%であるため、政策金利との金利差を意識したのではないかとも思われる。
0.25%を主張した3人は、すでに市場では0.25%の利下げを意識して動いていたことで、素直に0.25%にすべきとしたとの見方もあるが、市場の思惑などに政策を委ねることもむしろ考えづらい。これが0.5%と0.25%ならばわかるが、今回の差はわずかに0.05%であり、現実問題として今回の差はあまりに小さい。
それにも関わらず議長提案に対し、0.25%を主張した委員が3人もいたということは、単純に技術的な問題以外に対立点が存在していたのではなかろうか。同じ利下げという方向で一致していながら、わずかな下げ幅の違いで長時間も議論していたとなれば、何かしらの意見の食い違いが存在していた可能性がある。
今回の日銀の利下げは、日経新聞が観測記事としながらも事前に報じていた。24日の円急騰にそれによる27日のG7の緊急声明では国際協調を意識するものとなっており、その際すでに白川総裁は超過準備預金への付利だけでなく、利下げそのものを意識していた可能性がある。しかも28日には、日銀に理解を示しているといわれる与謝野馨経済財政担当相が、「0.5%の政策金利を0.25%に下げても経済に対する効果は全くない」と述べながらも、「日本も利下げするのは国際協調の重要な証しの意味がある」とも発言しており、利下げの可能性を滲ませていた。この発言からすでに政府側も日銀の利下げの可能性を強く認識していた可能性がある。
今回4対4で執行部案を通したのは総裁に近いとみられる山口理事が副総裁に就任していたということも大きかったはずである。白川総裁が強く推して首相が了承した山口副総裁が就任したのが27日。31日の政府による追加の経済対策に合わせての日銀の利下げを政府側が強く望んでいたことも考えられる。G7の緊急声明を行なうための協議や、副総裁の任命といったかたちで、白川総裁や山口副総裁が、首相や中川財務相と直接協議する場が存在していたこととも確か。11月1日の日経新聞では、ともに福岡県出身である麻生太郎首相と白川総裁の信頼関係にも触れている。
審議委員との調整はブラックアウト期間に入ってからとの日経報道もあったが、執行部が事前に利下げを意識して動いていたとしても、多数決で決まる決定会合では審議委員の票の行方が当然ながら結果を大きく左右することとなる。政府が31日の決定会合に対して、議決延期請求権の発動も視野に入れていたとの日経の報道は、事前には日銀の政策委員が利下げで意見が集約されていなかったためではなかったのではなかろうか。
実際にどのようなことが会合で話し合われていたのかは、11月27日の議事要旨の発表、さらに具体的なことは10年後の議事録の発表まではわからないかもしれないが、今回の4対4という票割れは、今後の日銀の政策運営にも微妙な影響を与える可能性もありそうである。
そして、もうひとつ市場で期待していたCPや銀行保有の株式の買い入れなどのプルーデンス政策は盛り込まれていない。発行市場が事実上機能していないCP市場で、流通市場を通じてCPを買い入れるということは現状やや無理がある。このためCP市場の機能が回復してからでなければ効果がない。さらに日銀による金融機関保有の株式については、損失が確定しまうことで金融機関が売却を敬遠してくることも考えづらく、タイミングとしては3月末の決算のタイミングなどの方が望ましい。このため、これらは残り少ないカードとして温存されたものとも思われる。
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