「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」


2009.1.30「12月の鉱工業生産指数速の下落幅は過去最大に」

本日発表された12月の鉱工業生産指数速報値は、前月比マイナス9.6%となり、下落幅は8月のマイナス8.5%を上回り過去最大に。また、これにより3か月連続の低下になった。在庫指数も前月より0.1%の上昇となっており、2001年9月以来の高い水準となった。製造工業生産予測調査では、1月がマイナスの9.1%、2月も4.7%の低下を予測しており、当面は回復の兆しは見えない状況となっている。

また、12月の全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年同月と比べて0.2%の上昇となった。前年の実績を上回るのは15か月連続となったものの、伸び率は11月の1.0%に比べ大幅に縮小しており、早ければ2月あたりにはCPIは前年同月比マイナスに転じるとも予想されている。

2008年12月の完全失業率(季節調整値)は4.4%となり前月に比べ0.5ポイントの上昇。12月の有効求人倍率は0.72倍で前月を0.04ポイント下回った。


2009.1.28「1990年代のスウェーデンにおける金融危機への対応(バッドバンクとグッドバンク)」

スウェーデンでは、1980年代に入り段階的に進められてきた金融自由化や通貨安を背景に、株価や不動産価格が急騰し、1980年代後半にいわゆる「バブル」が発生した。しかし、世界経済の減速などからバブルは崩壊し、スウェーデン経済はリセッション入りした。主要金融機関の経営が危機に陥るなど大恐慌以来最悪の経済金融危機を迎えたのである。これに対し、スウェーデン政府は1992年9月に「スウェーデンの銀行免許を持つ全銀行の債務を政府が保障する」旨の発表を行い、12月には「金融システム強化策」が議会で承認された。1993年5月に金融機関支援委員会(BSA)が設立され、BSAは経営の悪化した銀行に対する出資を行ったほか、特別債権回収銀行(バッドバンク)を設立して銀行の不良債権を分離移管し、優良資産の部分を銀行に残して(グッドバンク)存続させるといった施策を行った。この際に金融機関に公的資金を投入する際に保有株式の引き渡しを株主に求めた。税金による公的資金を回収するためには、政府が金融会社の株主になる必要があったためである。その後、グッドバンクはリストラ策などにより業績が回復し、政府は保有株の一部を売却して国有化の際に投入した資金を回収した。 バッドバンクでは政府は専門家の助言を得て再生可能な事業は多様な手法で再建し、再建不能な事業は不動産や株式に転換するなど、多様な手法を用いて付加価値を高めて売却した。こうしてスウェーデンの金融危機はほぼ2年で収束した。政府による迅速な対応に加え、支援に対して銀行側から各種データを提出させ金融機関の中身を詳細に調査した上で対応を決定するなど透明性も強め、国民の理解を得られたことが危機を早期に克服できた要因とされた。


2009.1.28「ニューヨーク連銀総裁に、William C. Dudley氏」

財務長官に就任したティモシー・ガイトナー氏の後任として、ニューヨーク連銀総裁にウィリアム・ダドリー氏が指名された。ダドリー氏はさっそく27日から28日にかけてのFOMCに出席し、票を投じるとも伝えられている、

ダドリー氏もしくはダッドリー氏と報じているところもあるが、William C. Dudley氏は2007年からニューヨーク連銀に入り、市場関連の担当部門の責任者などを務めていた。(参考 http://www.newyorkfed.org/aboutthefed/orgchart/dudley.html)

今回の金融危機に際して、ガイトナー氏はニューヨーク連銀総裁として活躍を見せたが、それだけ重要なポストでもあるだけに、ダドリー氏に存分に力を発揮していただきたい。


2009.1.28「量的緩和ではなく信用緩和」

1月22日の金融政策決定会合で日銀は、3兆円規模のCPとABCPの買入を1月30日から実施することを公表した。また、残存期間1年以内の社債の買入れについて、実務的な検討を行い速やかに成案を得るよう議長から執行部に対し指示があった。さらに日銀の適格担保にREITの発行する投資法人債も対象になることも発表した。加えて、日銀による期間別の長期国債買入れに関しても発表され、30年債、変動利付債および物価連動債の買入れならびに残存期間による区分別の買入れは、2月分から実施されることとなった。

このように日銀もFRBと同様にリスク資産購入に踏み込んだ。FRBはすでに企業からの3000億ドル規模のCP購入や、5000億ドルのMBS購入など多様なリスク資産の購入を行なっている。

バーナンキFRB議長は1月13日の講演において、日銀が2001年から2006年に採用した量的緩和政策との違いについて発言しており、今回FRBが採用しているのは「quantitative easing」ではなく「credit easing」としていた。

(http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20090113a.htm)

日銀の白川総裁は昨年、12月19日の記者会見で、「自分の好みによって色々な定義ができますが、従来日本で言われていた量的緩和政策というのは、当座預金の量にターゲットを定めこれを大幅に拡張することによって、この流動性がマクロ的な景気の刺激効果を生んでいくことを期待する政策です。当時、海外の学者が提案したのは、そのような意味での量的緩和政策でした。今回、米国は、そのような量的緩和政策を採用していませんし、日本銀行も今回採用していません。」と発言している。 今回のFRBや日銀による量的緩和策については、以前の日銀が採用した量的緩和策ではないことを、バーナンキ議長も白川総裁も指摘しており、「量的緩和」という用語とは別の呼び方が必要となりそうである。

23日の日経新聞でもバーナンキFRB議長は「量的緩和」(Quantitative Easing)とは区別して、「信用緩和」(Credit Easing)という言葉を使っていることを指摘していた。このように、あらためて新聞報道でも「信用緩和」との言葉が紹介されたことで、今後はFRBと今回の日銀の金融政策に関しては「信用緩和」との呼称が次第に定着していくのかもしれない。


2009.1.27「白川流決定会合の進め方」

朝方、12月2日の臨時の金融政策決定会合と、利下げが実施された12月18・19日分の日銀金融政策決定会合のそれぞれの議事要旨が発表された。注目したいのは、19日の利下げへの議論である。

「金融経済情勢に関する検討」を踏まえ、次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針について、議論が行われた。一人の委員は、現在の政策金利の水準は既に極めて緩和的であり、0.1% への利下げは、景気刺激策としての効果が限定的である一方、金融機関が資金を市場に放出するインセンティブが低下し、市場取引が不活発に なるため、市場機能が大きく損なわれるリスクが高いことから、現在の水準を維持すべきとの意見を表明した。」

まずは、利下げに向けての反対の意見が出た。これは最終的に利下げに反対した野田委員の発言のように思われるが、最初に反対意見を持ってくることにやや違和感もあり、これは野田委員以外の委員からの発言の可能性がある。

「これに対し、多くの委員は、現在は景気情勢が急速に悪化している緊急事態であり、可能な対応は早急に実施する必要があるとし、0.1%への利下げを主張した。」

多くの委員は緊急事態として、0.1%への利下げを主張していた。

「この間、一人の委員は、政策運営の考え方として、現在は、企業金融の目詰まりを解消するための対応を進める必要があること、政策金利を引き下げるかどうかについては、企業金融が目詰まりを起こしている中での効果と市場機能低下というデメリットの両方の観点から考える必要があることを指摘した。」

正論ではある。企業金融が目詰まりに対しての利下げによる具体的な効果、さらにデメリットの両方の観点から考える必要という議論はある意味最もなことでもある。、この発言も「一人の委員」となっており、最初に利下げに反対した委員と同一人物とみられる。

「金利引き下げの効果について、ある委員は、10 月末の政策金利引き下げにもかかわらず、インターバンクのターム物金利はむしろ上昇しており、今回、更に政策金利を引き下げたからといって、カウンターパーティ・リスクへの警戒感が強い中で、ターム物金利が大きく低下するとは限らないと述べた。」

白川総裁は会見などで「企業が実際に資金調達をする長めの資金の金利をどのように引き下げていくのか」といったことが実質的に意味のある論点だと述べている。ターム物金利の低下に繋がらなければ利下げを行なってもその効果は限られると、このため、ある委員の発言は総裁に近い委員からの発言とみられる。

「この点について、別の委員は、0.1% への利下げよりも、高止まりを続けているターム物金利に働きかける方が望ましいとの認識を示した。」

この「別の委員」も「ある委員」と同様にターム物金利に直接働きかける必要性を説いている。このように、この時点で0.1%の利下げに対しては実は反対は一人ではなく、複数、おそらく3人はいたと推測される。そして、その中には利下げには消極的であったと伝えられていた白川総裁本人が含まれている可能性がある。

「これに対して、何人かの委員は、企業金融円滑化措置とセットで政策金利を引き下げれば、金利引き下げの効果が実体経済に波及しやすくなり、効果が見込まれると述べた。また、複数の委員は、現在、急速に悪化している企業や消費者のコンフィデンスにも好影響が期待されると付け加えた。」

この何人かの委員、複数の委員とは反対の発言をしていた3人を除いた5人の委員のことであろう。

「こうした議論を経て、大方の委員は、政策金利を0.1%に引き下げることが必要との認識を共有した。」

最終的には、大方の委員の賛成、つまり7対1で利下げは決定されたのであるが、それまでにはかなり白熱した議論が交わされていたであろうことも確かなようである。

以上のことから、利下げに向けての最初に出された反対の意見は白川総裁の発言であった可能性がある。ここで面白い記事がある。ネットでも閲覧できるが朝日新聞の特集の中に、このような記述があった。(金融危機と中央銀行 http://globe.asahi.com/feature/081222/01_2.html)

「白川の前任の総裁、福井俊彦の時代には「執行部は最低6票の賛成を取る確信がないと提案しない」という不文律が働いていた。白川は、腹案を伝える中で、自分の意見への同調は求めなかった。執行部もきちんとした「票読み」をしなかった。」

実は拙著「日本銀行の基本と仕組みがわかる本」(秀和システム)では、金融政策決定会合での議案の決定に対して下記のように記述した。

「米国のFOMCでは議案を提示できるのは議長一人だけですが、日銀では政策委員がそれぞれ議案を提出できます。ただし、金融政策の変更の際には通常、議長提案によって行われます。議長提案とは、議長となっている総裁が個人的に提案するものではなく、会合における政策委員の意見をまとめるかたちで議長案が作成されます。つまり、日銀では政策委員のコンセンサスをとりまとめ、賛成多数によって議長案が可決されることを見極めた上で行われるのです。」

これが新日銀法の下での決定会合のスタイルと思っていたが、実際には議案の持って行き方などに対し具体的に決められているわけではない。つまり議長が変ればそのスタイルが変化する可能性があった。現実に10月の会合では政策委員のコンセンサスをとりまとめ、賛成多数によって議長案が可決されるのではなく、4対4の同数となっていた。つまり、現在の白川総裁のスタイルはイングランド銀行のキング総裁のスタイルに近く、コンセンサスを意識せずにまずは自分の意見を述べてきていると思われる。

そうであれば、最初にいきなり利下げに向けての反対の意見が出たのも納得できる。これは議長である白川総裁個人の意見の可能性がある。さらに最終的に利下げに反対した野田委員、そしてこれはあくまで憶測となってしまうが白川総裁の見方に近いといわれる山口副総裁の3人が実際には利下げにやや消極的であったことが伺える。しかし、さらに議論を重ねた結果、最終的には政策金利を0.1%に引き下げられることとなる。12月17日のFRBによる大幅利下げなどもあり、円高なども強く意識されたことで、緊急事態に対応せざるを得なかったとのではなかろうか。

議長からは、このような見解を取りまとめるかたちで、無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.1%前後で推移するよう促すとの議案が提出され、採決に付され、採決の結果7対1の賛成多数で決定された。

一人反対した野田委員は「市場機能の低下が問題となる中で、それを大きく減じることは不適切であること、すなわち、市場機能を維持するためには、補完当座預金制度の適用利率、およびその政策金利とのスプレッドを一定水準以上にする必要があり、0.1% への利下げが行われると、両者間のスプレッドが確保されないため、金融機関が資金を市場に放出するインセンティブが損なわれ、市場取引が不活発になるリスクが高いこと、現在の政策金利の水準は既に極めて緩和的であり、0.1% への利下げは景気刺激効果が限定的な一方、市場機能の低下というデメリットが大きいため、むしろ、高止まりを続けているターム物金利に働きかけることが適当であることから、反対した」と議事要旨にあるが、これはそのまま白川総裁の個人的な意見にも近いものであったのではなかろうか。


2009.1.26「大決戦!超ウルトラ8兄弟」

さすがに一人では映画館に足を運べなかった「大決戦!超ウルトラ8兄弟」のメモリアルボックスをアマゾンで予約し先週届いた。早速、週末に観たのだが、なんとも懐かしいシーンが多かった。

まず冒頭のシーンは、昭和41年7月17日のウルトラマンの最初の放映日を再現していた。設定場所は横浜、しかも当時小学生の少年達が当時の横浜の建物などを再現されている中、駆け回っていたのである。その日のことは今でも私も記憶にある。当時、私はシーンに出てきた子供達の年代に近い小学校3年生であり、しかも住まいは横浜港からは少し離れてはいたが横浜市金沢区であった。このため、当時の駄菓子屋などの町並みを再現したシーンは、子供達の服装や家庭にあるテレビや時計も当時のものが再現されるなど、なんとも懐かしいものであった。ちなみに駄菓子屋の主人は、科学特捜隊のイデ隊員を演じていたかなり太めの二瓶正也氏であった。

その後、時代は変って現代になるのだが、設定は昭和のウルトラマンと平成のウルトラマンが共演するためにパラレルワールドの設定となっていた。我が家の子供達が小さいときに夢中になって観ていたウルトラマンティガに変身するダイゴが主役である。そこに昭和の元祖ウルトラマンのハヤタ、ダン、郷、北斗が加わる。またカメオ出演として、昭和・平成のウルトラマンの共演者があちらこちらに出演している。これもまた懐かしさとともに、それなりに時の流れも感じさせてくれる。。

一応、子供向けの映画なのであろうが、これはむしろ私の年代のように、自分が子供のとき観た昭和のウルトラマンと、今度は自分の子供と観た平成のウルトラマンを両方懐かしむ世代向けの映画のように思う。

最初のウルトラマンが登場した昭和41年は、40年不況を乗り越えていざなぎ景気がスタートした年である。いざなぎ景気では3Cブームと呼ばれ、カラーテレビ、クーラー、カーの普及が消費を押し上げた。金融経済不況の只中にある現在、新たな消費のヒーローの誕生も期待したい。


2009.1.23「信用緩和」

22日の金融政策決定会合で日銀がリスク資産購入に踏み込んだことに関連し、23日の日経新聞ではFRBによる企業からの3000億ドル規模のCP購入や、5000億ドルのMBS購入など多様なリスク資産の購入を行なっている緩和政策に対し、バーナンキFRB議長が「量的緩和」(Quantitative Easing)とは区別して、「信用緩和」(Credit Easing)という言葉を使っていることを指摘している。

バーナンキFRB議長は、1月13日の講演(http://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/bernanke20090113a.htm)において、日銀が2001年から2006年に採用した量的緩和政策との違いについて下記のような発言をし、今回FRBが採用しているのは「quantitative easing」ではなく「credit easing」としている。

The Federal Reserve's approach to supporting credit markets is conceptually distinct from quantitative easing (QE), the policy approach used by the Bank of Japan from 2001 to 2006. Our approach--which could be described as "credit easing"--resembles quantitative easing in one respect: It involves an expansion of the central bank's balance sheet. However, in a pure QE regime, the focus of policy is the quantity of bank reserves, which are liabilities of the central bank; the composition of loans and securities on the asset side of the central bank's balance sheet is incidental. Indeed, although the Bank of Japan's policy approach during the QE period was quite multifaceted, the overall stance of its policy was gauged primarily in terms of its target for bank reserves. In contrast, the Federal Reserve's credit easing approach focuses on the mix of loans and securities that it holds and on how this composition of assets affects credit conditions for households and businesses. This difference does not reflect any doctrinal disagreement with the Japanese approach, but rather the differences in financial and economic conditions between the two episodes. In particular, credit spreads are much wider and credit markets more dysfunctional in the United States today than was the case during the Japanese experiment with quantitative easing. To stimulate aggregate demand in the current environment, the Federal Reserve must focus its policies on reducing those spreads and improving the functioning of private credit markets more generally.

日銀の白川総裁も12月19日の記者会見で、「自分の好みによって色々な定義ができますが、先程申し上げたように、従来日本で言われていた量的緩和政策というのは、当座預金の量にターゲットを定めこれを大幅に拡張することによって、この流動性がマクロ的な景気の刺激効果を生んでいくことを期待する政策です。当時、海外の学者が提案したのは、そのような意味での量的緩和政策でした。今回、米国は、そのような量的緩和政策を採用していませんし、日本銀行も今回採用していません。」と発言している。

今回、あらためて日経新聞も「信用緩和」との言葉を使ったことで、今後はFRBと今回の日銀の金融政策に関しては「信用緩和」との呼称が定着していくのかもしれない。


2009.1.22「日銀による長期国債買入れ」

買入総額は年16.8兆円(毎月1.4兆円)

対象の国債は利付国債(2年債、4年債、5年債、6年債、10年債、20年債、30年債、変動利付債、物価連動債)

期間1年以下の長期国債買い入れは年間5.52兆円(全体の32.9%)、1年超から10年以下の長期国債買い入れは年間9.6兆円(全体の57.1%)、10年超30年以下の国債買入は9000億円(全体の5.4%)、変動利付債の買入は年間6000億円(全体の3.6%)、物価連動国債の買入は年間1800億円(全体の1.1%)

買入頻度は原則として月4回(1回につき2区分)

買入方式は利付国債(変動利付債、物価連動債を除く)は利回較差入札方式、変動利付債と物価連動債は価格較差入札方式

日本銀行が保有する長期国債の残高は、発行銀行券残高を上限とする

30年債、変動利付債および物価連動債の買入れならびに国債種類・残存期間による区分別の買入れは2009年2月分から実施する


2009.1.22「日銀の適格担保にREITの発行する投資法人債も」

不動産投資法人債、短期不動産投資法人債、不動産投資法人が振出す手形、不動産投資法人コマーシャル・ペーパーおよび不動産投資法人に対する証書貸付債権を適格担保とし、また、短期不動産投資法人債および不動産投資法人コマーシャル・ペーパーをコマーシャル・ペーパー等の売戻条件付買入の対象とする


2009.1.22「日銀による企業金融に係る金融商品の買入れについて」

日銀は22日の金融政策決定会合において、CP買入れを含む企業金融面での追加措置について検討し、企業金融円滑化の観点から企業金融に係る金融商品の買入れを行うことについて、基本的な考え方を示した。(須田委員が反対)

CPおよびABCPの買入れを今月中に開始し、残存期間1年以内の社債の買入れについて実務的な検討を行い速やかに成案を得るよう議長から執行部に対し指示があった。

CPおよびABCPの買入れに関しては、対象となるのは、担保適格かつa-1格相当、既発行で残存期間3か月以内のもの。

発行体からの直接買入れではなく日銀の取引先である金融機関等を通じた入札方式による買入れとする。買入対象先はCP現先オペ先および本店管下の共通担保オペ先。

買入方式は、コンベンショナル方式による入札とし、下限利回り(CP・ABCP 共通)を設けたうえで、当該利回りからの利回り較差(ゼロ以上)を入札。

買入総額の残高上限は3兆円(CP・ABCP 合計)、発行体別の買入残高の上限は1000億円

1月30日、2月4日、10日、16日、20日、25日、3月2日、6日、11日、16 日の10回を予定、1回のオファー額は3000 億円とする予定。


2009.1.22「決定会合、全員一致で現状維持、CP買入などを発表」

日銀は本日の金融政策決定会合において現状の金融政策を維持することを全員一致で決定した。発表文では「わが国の景気は大幅に悪化しており、当面、悪化を続ける可能性が高い」と前回の「わが国の景気は悪化しており、当面、厳しさを増す可能性が高い」からさらに厳しい表現に変った。同時に発表された展望レポートの中間レビューでは、実質GDPに関しては2008年度で-1.8%(10月見通し+0.1%)、2009年度で-2.0%(10月見通し+0.6%)、2010年度+1.5%(10月見通し+1.7%)と修正され、CPIについても2008年度+1.2%(10月見通し+1.6%)、2009年度で-1.1%(10月見通し+0.0%)、2010年度-0.4%(10月見通し+0.3%)と修正された。

3兆円のCPおよびABCPの買入を1月30日から実施することなどを公表したが、この日銀による企業金融に係る金融商品の買入れ方針については7対1の採決となり、須田委員が反対した。残存期間1年以内の社債の買入れについて実務的な検討を行い速やかに成案を得るよう議長から執行部に対し指示があった。さらに日銀の適格担保にREITの発行する投資法人債も対象になることも発表した。加えて、日銀による期間別の長期国債買入れに関しても発表した。30年債、変動利付債および物価連動債の買入れならびに残存期間による区分別の買入れは、2月分から実施されることとなった。期間別では10年以下の部分で全体の9割を占めるなど、超長期ゾーンについては市場が想定していたほどは買入比率は高くなかった。


2009.1.22「輸出額は前年比-35.0%と過去最大の減少率」

財務省が22日に発表した12月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額は前年同月比35.0%減の4兆8333億円となり、過去最大の減少率となった。輸入額は同21.5%減の5兆1539億円。

輸出に関して内容を見てみると、地域別ではアジアが36.4%減、大洋州(豪州など)が35.3%減、北米36.6%減、中南米19.2%減、西欧40.1%減、中東欧・ロシア43.2%減、中東10.7%減、アフリカ17.6%減となっていた。

国別で40%以上落ち込んでいたのは、香港41.1%減、台湾47.9%減、マレーシア50.5%減、オーストラリア45.2%減、英国49.3%減、アイルランド54.8%減、スペイン63.9%減となった。

ここにきて英国経済の落ち込みが懸念され、またS&Pはスペイン国債のAAプラスへの格下げを発表していたが、日本からの輸出額の減少率からもこの両国含めての経済の悪化が伺える。

輸出の商品別を見ると、輸送用機械の9.4%減、電気機械の7.7%減などが目立つ。特に輸送用機械についてはアメリカ合衆国向けが20.9%もの減少となっていた。EU向けは14.9%となっていたが、アジア向けは1.9%の減少に止まり、その中の中国向けも2.1%減に止まっていた。ただし、中国向けでは電気機械が10.1%の減少となっていた。

以上、財務省ホームページ資料より、http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/2008/200812c.pdf


2009.1.21「景気底入れの兆しを読むには」

最近発表される経済指標何年以来の下げとか統計開始以来最大の下げといったものが多くなり、景気はこれまでにないスピードで大きく落ち込んでいる。そのため先はまったく見えず、景気の回復にはかなりの時間が必要との見方が当然ながら強い。それでもいつかは景気は再び回復することも間違いはない。それではその回復の兆しを見るには何が良いのであろうか。

良く株価は景気の先行指標と言われるが、その株価の回復に先んじて景気の回復を示している指標がある。日銀短観である。大企業製造業DIと日経平均株価の推移を19990年あたりから重ねて見てみると、景気の悪化に際しては日経平均が先んじて下落していることが多く、確かにこれに関しては株価の方が先行指標となっている。しかし、景気回復に関しては、日経平均が上昇基調になる前に、短観の数字が底入れしているケースがいくつか見られたのである。

これも絶対ではないものの、ひとつの参考にはなるのではなかろうか。少なくとも大企業製造業DIが下げ止まり、前回に比べてマイナス幅が縮小した際には景気回復の兆しが近いと見ておく必要がありそうである。


2009.1.21「日銀による残存期間別の買入れ」

日銀は国債買入に際し、残存期間別の買入れ方式を導入し、残存1年以下、1年超から10 年以下、10年超との区分を設ける。

財務省の資料から国債の残存期間別を見ると(「普通国債残高の残存期間別内訳」平成20年3月末現在 http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/siryou/zandaka06.pdf)、1年以下の国債の比率は18.6%、1年超10年以下の国債の比率は64.9%、10年超の比率は16.5%となっている。

仮にこの残存シェアを現在日銀が行なっている毎月1兆4千億円にそのままあてはめると、1年以下で約2600億円、1年超10年以下で約9100億円、10年超で約2300億円規模となる。ただし、物価連動国債や15年変動利付国債はこれらとは別に買い入れられ、その分の枠も含めて都合1兆4千億円となる。ただし、それぞれの具体的な買い入れ額が発表されるかどうかはわからない。


2009.1.20「日銀による社債買入の可能性」

16日の日経新聞は日銀によるCPの買入規模は2兆円と伝えた。月内にもCPを保有する銀行からCPの買取を始め、4月末まで行なう予定。14兆円規模ともみられるCP市場で日銀が2兆円規模の買入を行なうことになれば、CPの発行市場が活性化され、これにより企業の資金繰りを支援することになる。

19日にNHKも日銀の資金繰り支援策を強化へと報じ、今月中にもCPを買い取る措置を始める方針で、今週開く金融政策決定会合で買い取りの総額を2兆円規模とすることや、対象となる企業の基準(格付はA1以上とみられるがA2も一部含まれる可能性もある)などを検討と伝えている。NHKは「中央銀行がコマーシャルペーパーのように、発行した企業が経営破たんした場合などに損失のおそれのある金融商品を買い取ることはきわめて異例」と伝えている。ただしNHKの報道では社債の買入については一切触れていない。

19日にイギリス政府は追加金融対策を発表し、銀行保有のCPや社債を買い取る総額500億ポンドの基金や資産担保証券への政府保証も導入する。具体的には2月からイングランド銀行が銀行保有のCPや社債の買い取りを実施する際にイングランド銀行が損失を被らないように政府が保証をする。加えて、銀行や住宅金融会社が資金調達のため発行する資産担保証券への政府保証制度を4月から導入する。

今週21日からの金融政策決定会合では、政策の軸足を引き下げ余地の限られる政策金利からリスク資産の購入に移行させる姿勢を鮮明にさせ、リスク資産購入の原則を公表する方向で検討し、CPに加えて以前に日銀が購入したことのあるABCPや、社債、さらに株式の購入も検討される可能性がある。

もし仮に社債を買い入れる場合、格付とともに期間に縛りを入れてくるとみられる。残存期間で1年もしくは2年未満といったかたちが想定されるが、格付の高い社債で残存の短い社債は保有リスクが当然低くなっており、それなりの市場ニーズがあるゾーンでもある。ここに日銀の買入が加われば、市場の需給バランスを崩してしまう懸念もある。また社債の新発債には2年物などの期間の短い物は少なく、日銀の買入が社債の発行市場の活性化に繋がるかどうかも不透明である。

社債を含めて銀行保有の新た金融資産の買入について、今週の決定会合で検討されたとしても、それが決定されるかどうかは不透明である。日銀によるリスク資産の購入の際には、イングランド銀行のように政府のフォローといったものも必要になるのではなかろうか。


2009.1.20「サレンバーガー機長と白川総裁」

1月15日の日本時間の早朝、ニューヨークのラガーディア空港を離陸したUSエアウェイズのエアバス機1549便は、バードストライクと呼ばれる飛行機のジェットエンジンに鳥が飛び込んだことにより、高度が900メートルしかないところで2つのエンジンが停止してしまった。

片方のエンジンが生きていれば推進力は維持されるが、2つしかないエンジンの両方が停止してしまうと、あとはグライダーのように滑空できるだけの状況に陥ってしまう。この前代未聞の事態に対し、チェスリー・サレンバーガー機長は時間や選択肢が極端に限られる中にあって、沈着冷静な判断を行い、ハドソン川に着水することを決意する。

プロが驚いたという見事としか言えない操縦により、衝撃による機体の破損を最小限度に押さえ、無事に大型旅客機をハドソン川のフェリー・ポート近くに着水させた。乗客乗客155人全員は無事脱出し、これをニューヨーク州のパターソン知事はハドソン川の奇跡と呼んだ。

2006年3月に日本銀行は量的緩和政策を解除した。同年7月に政策金利である無担保コール翌時物金利の誘導目標0.25%に引き上げたことでゼロ金利政策も解除された。さらに2007年2月には政策金利を0.50%まで引き上げた。

しかし、米サブプライム問題を発端とする世界的な金融経済危機が飛び込んで、政策金利はわずか0.5%しか上がっていない中にあり、日本経済を支えていた生産や消費などのエンジンが停止してしまったのである。

この世界的な金融危機という前代未聞の事態に対し、操縦桿を福井総裁からバトンタッチされた白川総裁を中心とする日銀のクルー達(政策委員)は、選択肢が極端に限られる中にあって、流動性供給策とともに再び金利を低めに誘導することを決意する。

2008年10月に政策金利を0.5%から0.3%に引き下げ、12月にはさらに0.1%に引き下げ、長期国債買入オペを毎月1.2兆円から1.4兆円に増額し、極めて異例とするCPの買入も決定したのである。

これによって景気悪化から日本が無事脱出できるかどうかは、まだわからない。景気の落ち込み度合いは過去に例のない状況ともなっており、日銀は今後もこの非常時に際し、過去の経験などを踏まえての適格な対応が求められよう。もちろんこの危機に対し、日銀だけで行なえることに限度があるのも確かである。しかし、日銀が政府や各国中銀などと協力し、適格かつ迅速な対応を行うことによって、景気を軟着陸させることも可能なのではなかろうか。


2009.1.19「ハドソン川の奇跡」

1月15日の日本時間の早朝、ベンダーに「ハドソン川に飛行機が墜落」との記事が流れた。しかし、その後の記事では墜落ではなく「着水」となっていた。さらにその後のニュースで、乗客乗員全員無事が確認との報が入った。いったい何が起きたのか。その精細は次第に明らかになっていった。

USエアウェイズのエアバス機1549便がニューヨークのラガーディア空港を離陸直後、バードストライクと呼ばれる飛行機のジェットエンジンに鳥が飛び込んだことにより、よりによって2つのエンジンが停止してしまったそうである。

高度は900メートルしかないところで、2つともエンジンが停止してしまった。片方のエンジンが生きていれば推進力は維持されるが、2つしかないエンジンの両方がやられてしまうと、あとはグライダーのように滑空できるだけの状況に陥ってしまったのであり、まさに航空機史上前代未聞の出来事が発生してしまった。空港に降りるという選択肢は、市街地への墜落の可能性がある。このためチェスリー・サレンバーガー機長は時間が極端に限られる中にあって、沈着冷静な判断を行い、ハドソン川に着水することを決意する。しかもプロが驚いたという見事としか言えない操縦により、衝撃による機体の破損を最小限度に押さえ、ハドソン川に無事、大型旅客機を着水させたのである。

気温は氷点下という状況下、救出が遅くなるとせっかく助かった乗客の命にもかかわることで、機長は救出がすぐに行なえるフェリー・ポート近くに着水させることまで計算していたとか。実際に、すぐに近くのフェリーなどが救出に向かい乗客乗客全員155人が無事脱出できたのである。しかも最後に機長自ら2度も機内を回って確認した上で、機長自身も無事に脱出している。

まさに奇跡としか言いようのないことをやり遂げた機長は、関係者からの事情聴取の前に、家族に電話したそうだが、事故のことは触れずに、今晩の夕飯はいらないと普段通りの会話をしたそうである。いったん聴取が終わった際には、用意された休息所の片隅で、何事もなかったかのように制帽を被ったまま、のんびりとコーヒーを啜っていたところを消防隊員などに目撃されていたそうである。どう見ても映画のシーンとしか見られないようなヒーロー像をまさに地でいっているような人物であった。すごいスペシャリストが世の中にはいるものなのかと驚いた。事故調査が続いていることで、残念ながらサレンバーガー機長本人の声は伝わってきていない。しかし、アメリカにまた一人、本物のヒーローが誕生したことは確かなようである。


2009.1.19「地区の役員」

昨年1月に地区の役員の順番が回ってきたことで、昨年1年間は地区の行事などで手伝いをした。年に数回の地域の清掃作業や、夏祭り、そして年末年始の行事、さらに地区の住民の絡む選挙などを中心に活動し、その準備や片付けを含めると毎月の何日かは役員としての仕事があった。ある程度の年代になると、こういった地域貢献にかかわることも大事であると思う反面、休日だけでなく平日も含めて、時間を取られるなど務めながらの役員というのはなかなか大変なことでもあった。それもなんとか任期の1年が無事終了し、昨日、後任の役員に引き継ぎを行なった。


2009.1.19「NHKによる日銀の資金繰り支援策を強化へとの報道」

本日、NHKは日銀の資金繰り支援策を強化へと報じた。日銀が企業の資金繰り支援策として、今月中にも社債の一種であるコマーシャルペーパーを買い取る措置を始めるなど資金需要が増える年度末に向け対応を一段と強化する方針と伝えている。

今月中にもコマーシャルペーパーも買い取る措置を始める方針で、今週開く金融政策決定会合で、買い取りの総額を2兆円規模とすることや、対象となる企業の基準などを検討と伝えている。

さらに「中央銀行がコマーシャルペーパーのように、発行した企業が経営破たんした場合などに損失のおそれのある金融商品を買い取ることはきわめて異例」とも伝えている。

もちろんこれはすでに新聞等で報じられていることではある。ただしNHKは先週、毎日新聞や日経新聞が報じた社債の買入観測については報じていない。だからというわけではないが、今週の決定会合で社債購入が決定されるかどうかはまだ微妙な状況ではないかとも思われる。

さらにNHKは19日に財務省が「物価連動国債」と「変動利付国債」の発行を今年9月まで取りやめとする事になったと報じた。


2009.1.16「日銀によるCPの買入規模は2兆円か」

今朝の日経新聞は、日銀によるCPの買入規模は2兆円かと伝えた。月内にもCPを保有する銀行などから買取を始め、4月末まで続ける方針。14兆円規模ともみられるCP市場で日銀が2兆円規模の買入を行なうことで、CPの発行市場を活性化させることにより企業の資金繰りを支援するかたちとなる。さらに以前に日銀が購入したことのあるABCPや、さらに残存期間の短いものに限っての社債の買取も検討かと伝えている。

またロイターも、日銀は政策の軸足を政策金利からリスク資産の購入に移行させる姿勢を鮮明にさせ、日銀は来週の会合でリスク資産購入の原則を公表する方向で検討しているとし、社債の購入検討に関してはハードルを厳しくさせるとともに、株式の購入も検討かと伝えている。

これらの報道により、どうやら15日に毎日が報じていたように日銀は社債の買入を含めて、21〜22日の決定会合で検討するとみられる。ただし、仮に社債を買い入れる場合でも格付とともに、期間に縛りを入れてくる可能性がある。残存期間が1年もしくは2年未満といったかたちが想定されるが、格付の高い社債で残存の短い物は、保有リスクが当然低くなっていることで、すでにそれなりの市場ニーズがあるゾーンでもある。ここに日銀の買入が加われば、市場の需給バランスを崩してしまう懸念もあると思われるが。


2009.1.16「ECBは政策金利を0.5%引き下げて年2.0%に」

欧州中央銀行(ECB)は、昨日の定例理事会で政策金利を21日から0.5%引き下げ、年2.0%とすることを決定した。これによりECBの政策金利は、2003年から2005年の最低水準であった2.0%に並んだ。会合後の記者会見で、トリシェ総裁はインフレ圧力が引き続き弱まっているとし、追加利下げの可能性を滲ませたが、ECBは金利を「非常に低い水準」へ引き下げる意向はない、とのトリシェ総裁の発言も伝わった。


2009.1.15「日銀の社債買い入れ検討報道」

毎日新聞によると、日銀は14日企業が資金調達のために発行する社債を金融機関を通じて買い取る方向で検討に入ったと伝えた。今月21、22日に開く金融政策決定会合で議論し、合意が得られれば、年度内に買い取りを始める方針だそうである。すでに日銀は12月の決定会合で、社債の一種であるコマーシャル・ペーパー(CP)の買い取り購入を決めており、その際に企業金融に係るその他の金融商品についても対応を検討するともしており、検討される金融商品の中に社債も入っている可能性があった。

コマーシャル・ペーパーは、企業が割引方式で発行する無担保の短期社債(2001年6月の「短期社債等の振替に関する法律」(電子CP法)施行より手形から社債に)で、発行期間についても規制はないが、ほとんどのものが期間1年未満のものとなっており、発行される期間としては、1週間から6か月あたりのものが多い。

CPは短期市場の中のオープン・マーケットの中での中核商品のひとつともなっているが、リーマン・ショックによりカウンターパーティー・リスクが高まり、それにより発行が低迷してしまった。企業はこれにより資金繰りに苦慮することとなり、これもあって銀行貸出が伸びる結果ともなった。

金融危機の影響で市場が混乱し、悪化している企業の資金繰りを支援する狙いで、金融機関の保有するCPの買い入れが12月の会合で決定され、買い入れ範囲や期間など具体的なことは次回会合あたりで発表されるのではないかとみられる。

ただ社債となると短期のCPに比べて、期間が30年物があるなど非常に長く、それだけ価格変動リスクも大きくなり、同じ社債という種類にあるとはいえCPとは保有リスクという面では大きな違いがある。

一方、CP同様に社債の発行市場もここにきてやっと格付の良いものを中心に発行されるようになってはいるが、ショック前に比べれば発行市場もまだ低迷していることも確かである。

毎日は日銀は慎重に検討してきたが、資金繰りがひっ迫する年度末を控え「さらに踏み込んだ企業金融の支援が必要」との判断に傾きつつある模様だと伝えているが、実際に社債の買い入れに踏み込むかどうか。まずはCPの買い入れで対処し、それでも企業の資金繰りが悪化している際には、あらためて社債の買い入れも検討した方が良いのではなかろうか。


2009.1.15「米小売売上高の落ち込み、ノーテル破綻、S&Pギリシャ国債を格下げ等」

昨日米商務省が発表した12月の小売売上高は、前月比2.7%減と市場予想以上に落ち込み、前月分も下方修正された。前年比では9.8%減となり、これは過去最大の落ち込みとなり、2008年通年で0.1%減と、現行統計始まった1992年依頼初めての前年比マイナスに。ちなみに、米小売売上高とは百貨店や総合スーパーの売上のサンプル調査を基にした経済指標。米国は世界一の消費大国であり、個人消費がGDPの7割以上を占めることもあり、個人消費の動向を把握する上でも重要な指標であり、あらためて米経済が個人消費を含めて失速していることを示す格好となった。

カナダの通信機器大手ノーテル・ネットワークスが米連邦破産法11条の適用申請を発表した。ノーテルは1895年設立の100年の歴史を持つ通信機器を主体とした多国籍企業。

S&Pはギリシャのソブリン格付けを国債をAマイナス/A─2(長期/短期)に引き下げた。S&Pはすでにスペインの長期ソブリン格付けをネガティブウォッチの対象にしている。またIMFに支援を要請する計画はないとのアイルランド首相の発言もあった。


2009.1.14「FRBの出口戦略」

米連邦準備理事会(FRB)が8日発表したデータ(http://www.federalreserve.gov/releases/h41/Current/)によると、FRBのバランスシートの規模は7日時点で2兆1220億ドルとなり、12月31日時点の2兆2490億ドルから減少したものの、依然としてFRBのバランスシートの規模が高水準となっていることには変りはない。

商業銀行向けプライマリー貸出は1日平均879.4億ドル。コマーシャル・ペーパー・ファンディング・ファシリティー(CPFF)によるポートフォリオ保有は7日時点のネットで3344億ドルとなっていた。

13日の講演でバーナンキFRB議長は、FRBによる異例のバランスシート拡大は、クレジット市場の安定するために調整されているとし、FRBの戦略は銀行の超過預金準備やマネタリーベースの規模を目標にしていないと指摘し、FRBのクレジット緩和策は、FRBの保有するローンや証券の組み合わせや、この資産の組み合わせが企業や家計のクレジット状況にどのように影響するかに焦点を当てている、と述べたとロイターが伝えている。

またFRBのバランスシートの大幅縮小、短期間に起こりうるとの発言もあった。さらにFRBはバランスシート縮小に向け他の手段を有する、新たな手段も可能とバーナンキ議長は発言したようである。

FRBの異例ともいえる金融政策を行なっている最中でもあり、出口戦略を今議論するのは時期尚早かもしれないが、出口戦略をある程度想定していなければ、このままFRBのバランスシートが拡大し続けると、それ自体が米国経済の大きなリスクになる可能性がある。日銀の量的緩和政策が脱する際には、政府などからの抵抗ばかりでなく市場関係者からも時期尚早との声もあり、その結果としてタイミングが大きく遅れ、その後の利上げも慎重にならざるを得なかった。

当然ながらこういった日銀の過去の動向はバーナンキ議長も十分に把握していると思うが、FRBは果たしてどのような出口戦略をとってくるのか、なかなか興味深いことでもある。


2009.1.13「投資から貯蓄への動きが鮮明に」

金融危機を背景に、個人の資金が株式や投資信託から、預金などの安全資産にシフトしてきていることが鮮明となっている。1月13日の日経新聞が一面で報じていたが、日銀によると個人の定期預金残高(国内銀行)は、2008年11月末に約190兆7000億円と前年同月比5.6%の増加となった。また、ゆうちょ銀行の貯金残高は毎年10兆円規模で減少していたが、2008年12月末の貯金残高は9月末に比べて0.3%増と、四半期ベースでは5年ぶりの増加となった。


2009.1.9「企業金融支援特別オペ」

昨日8日に、日銀は初めての企業金融支援特別オペを実施し、応札・落札額が1兆2248億円となるなど、応札もしっかりとなり、順調な滑り出しとなった。企業金融支援特別オペの貸付金利は政策金利の無担保コール翌日物金利の誘導目標である0.1%となっており、オファー額は民間企業債務(CPや社債など)の担保価額の範囲内で制限を設けない。今後は1月20日、2月10日、2月27日、3月10日、3月16日に実施される予定となっている。


2009.1.9「イングランド銀行の歴史的水準への利下げ」

8日にイギリスの中央銀行であるイングランド銀行(BOE)は、金融政策委員会(MPC)を開き、主要政策金利を現行の年2.0%から0.5%引き下げ、年1.5%にすることを決定した。利下げは4か月連続。イングランド銀行が政策金利を1%台とするのは、1694年の設立以来初めてのこととなる。


2009.1.9「冬の個人向け国債販売額は、合計で5,046億円に」

2008年12月に募集され1月15日に発行の冬の個人向け国債の販売額は、10年変動タイプと5年固定タイプの合計で5,046億円となった。10年変動タイプの販売額は317億円と10年変動としてはこれまでで最低の発行額となり、5年固定タイプは4,729億円となった。

これにより2008年度の個人向け国債の販売額が2兆2929億円(10年変動は2,410億円、5年固定は20,519億円)となり、2003年度開始以来、年度を通じては最低額となった。ちなみに年度を通じての個人向け国債の販売額は、2003年度は2兆9,671億円、2004年度6兆8,210億円、2005年度7兆2,712億円、2006年度7兆1,382億円、2007年度4兆6,618億円となっている。

今年度の個人向け国債の発行予定額は6兆2,000億円だが、この計画に対し実績は3兆9,071億円下回った。国債への魅力が薄れたというよりも、年度を通じて10年変動の初期利子や主力の5年固定の利率が低かったことで、利回りに対しての魅力が薄かったことが販売不振の要因とみられる。これまでの販売状況を見ても、利子が高いほど販売額が伸びていた。

ただし、今後も景気悪化や物価の下落などから長期金利は低位で推移すると予想され、個人向け国債の利回りの魅力が高まることは当面は考えづらい。しかし、個人の資金は今回の金融危機を受けて、より安全な資産に流れてきていることも確かであり、現在はその受け皿が主に預金となっている。個人向け国債は途中換金できない期間があり、また償還までの期間も5年や10年と長いところが敬遠されている要因ともなっている。今後は3年固定の個人向け国債の発行も検討されているようだが、できれば途中換金の制約を外すことなども検討してほしい。

これまで発行された個人向け国債の回号別販売額と税引き前の初期利子(固定は利率)は下記の通り
第1回変動10年(2003年3月)3,835億円(うち郵便局499億円)、0.09%
第2回変動10年(2003年4月)3,486億円(うち郵便局746億円)、0.05%
第3回変動10年(2003年7月)2,802億円(うち郵便局588億円)、0.05%
第4回変動10年(2003年10月)9,432億円(うち郵便局1,659億円)、0.77%
第5回変動10年(2004年1月)1兆3,951億円(うち郵便局995億円)、0.62%
第6回変動10年(2004年4月)1兆4,185億円(うち郵便局1,244億円)、0.55%
第7回変動10年(2004年7月)1兆7,726億円(うち郵便局1,990億円)、0.74%
第8回変動10年(2004年10月)1兆8,652億円(うち郵便局2,484億円)、0.74%
第9回変動10年(2005年1月)1兆7,647億円(うち郵便局2,436億円)、0.67%
第10回変動10年(2005年4月)2兆3,374億円(うち郵便局1,990億円)、0.73%
第11回変動10年(2005年7月)1兆6,423億円(うち郵便局2,484億円)、0.45%
第12回変動10年(2005年10月)1兆3,629億円(うち郵便局2,483億円)、0.55%
第13回変動10年(2006年1月)8,001億円(うち郵便局1,488億円)、0.68%
第14回変動10年(2006年4月)8,285億円(うち郵便局1,491億円)、0.85%
第15回変動10年(2006年7月)9,813億円(うち郵便局995億円)、1.10%
第16回変動10年(2006年10月)7,323億円(うち郵便局997億円)、0.92%
第17回変動10年(2007年1月)4,334億円(うち郵便局938億円)、0.84%
第18回変動10年(2007年4月)3,479億円(うち郵便局642億円)、0.87%
第19回変動10年(2007年7月)3,713億円(うち郵便局736億円)、1.01%
第20回変動10年(2007年10月)1,932億円、0.85%
第21回変動10年(2008年1月)1,316億円、0.68%
第22回変動10年(2008年4月)622億円、0.57%
第23回変動10年(2008年7月)1010億円、1.00%
第24回変動10年(2008年10月)461億円、0.69%
第25回変動10年(2009年1月)317億円、0.58%

第1回固定5年(2006年1月)1兆1,285億円(うち郵便局497億円)、0.80%
第2回固定5年(2006年4月)9,883億円(うち郵便局1,490億円)、1.01%
第3回固定5年(2006年7月)1兆2,430億円(うち郵便局996億円)、1.30%
第4回固定5年(2006年10月)8,584億円(うち郵便局998億円)、1.13%
第5回固定5年(2007年1月)10,730億円(うち郵便局998億円)、1.20%
第6回固定5年(2007年4月)8,326億円(うち郵便局1,311億円)、1.13%
第7回固定5年(2007年7月)1兆5,964億円(うち郵便局1,545億円)、1.50%
第8回固定5年(2007年10月)7,692億円、1.15%
第9回固定5年(2008年1月)4,196億円、0.94%
第10回固定5年(2008年4月)2,919億円、0.81%
第11回固定5年(2008年7月)8,942億円、1.22%
第12回固定5年(2008年10月)3,929億円、0.99%
第13回固定5年(2009年1月)4,729億円、0.80%


2009.1.8「12月15-16日のFOMC議事要旨より」

12月15-16日のFOMCの議事要旨が発表された。この中で、過去日銀が行なった量的緩和策と同様に、準備預金や通貨供給量の目標設定に関しての議論があった。一部の委員がデフレを防ぐには準備預金や通貨供給量の目標を設けて発表することは有効だと主張していた。しかし、他の委員は金融機関の金融仲介機能が弱まっている状況では大きな効果がないと反論しており、結局は日銀のような量的緩和策の導入は見送られた。

日銀の白川総裁は12月19日の記者会見において12月16日のFOMCの決定に対し、

「従来日本で言われていた量的緩和政策というのは、当座預金の量にターゲットを定めこれを大幅に拡張することによって、この流動性がマクロ的な景気の刺激効果を生んでいくことを期待する政策です。

「今回、米国は、そのような量的緩和政策を採用していませんし、日本銀行も今回採用していません。ただ、これまで何度も申し上げているとおり、金融市場の安定を維持するとともに、企業金融の円滑化を図るために、流動性を積極的に供給していくことはもちろん続けています。しかし、これは金融市場の安定や個々の企業金融の安定を図っていく結果として当座預金残高が増えていくというものですから、少し意味合いが異なっていると思います。」と発言していた。

果たして今後はFRBや日銀はどのような対応を取っていくのかであろうか。具体的なターゲットを設けないとなかなか専門家以外に金融政策の動きが伝えづらい面ことも確かである。今後さらなる追加緩和を行なう際には、市場への実際の影響や副作用といった側面とともに、アナウンスメント効果という面も意識するとなかなか難しい対応を迫られそうである。

Minutes of the Federal Open Market Committee(http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20081216.htm)より

Participants discussed the potential advantages and disadvantages of setting quantitative targets for bank reserves or the monetary base. Some were of the view that quantitative targets for an increasing reserve base could be effective in preventing deflationary dynamics and useful in communicating to the public the Committee's determination to take the steps needed to avoid such an outcome.

Several other participants, however, noted that increases in excess reserves or the monetary base, by themselves, might not have a significant stimulative effect on the economy or prices because the normal bank intermediation mechanism appeared to be impaired, and banks may not be willing to lend their excess reserves. Conversely, a decline in excess reserves or the monetary base would not necessarily be contractionary if it occurred in the context of improving financial market conditions.


2009.1.7「旗は降ろさない」

読売は、政府が財政再建目標達成を断念、と伝えていたが、昨日の午後開かれた経済財政諮問会議においては、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の2011年度黒字化は困難としながらもプライマリーバランス黒字化を努力目標として存続させ、与謝野経済財政担当相も健全化をめざすという精神は残したと発言した。与謝野担当相は、随分ボロな旗になってしまったが立てておく、と説明したことで断念はしていないことを示した。

確かに2011年のプライマリーバランスの黒字化は困難であることは確かであろう。しかし、財政構造改革路線は維持することは重要であり、予定よりも時間はかかるかもしれないが、いずれプライマリーバランスの黒字化は達成しなければならず、その黒字化もあくまで健全財政のための通過点に過ぎない。100年に一度の金融危機であっても、過去何度も繰り返した恐慌と同様にいずれ危機を脱してくるはずである。その際には再び、財政の健全化に向けてしっかりした旗を立てることが必要である。


2009.1.7「2008年のメモメモ」

2008年のニューヨーク原油先物価格は7月11日につけた147.27ドルをピークに下落基調となり、12月19日に一時32.40ドルまで下落。

2008年は年間ベースで先進国が同時に不況に陥ったがこれは第二次世界大戦後初めての事態。


2009.1.6「2009年の債券相場の予想」

2008年はリーマン・ショックなどにより、100年に一度の経済・金融危機とも呼ばれ、株式市場や外為市場、そして原油先物など商品市場が大荒れの展開となった。しかし、それらの動きに比べて円債の値幅は極めて限定的となった。

2008年の長期金利は1.470%でスタート後に1.895%まで上昇する場面もあったが、年末には1.155%まで低下し1.165%で引けており、年内の長期金利の幅は0.74%と1%以内に止まった。2007年の1.395%から1.985%の0.59%、2006年の1.405%から2.005%の0.6%よりは動いたものの、それでも値動きは限定的であった。

日銀は2008年10月31日と12月19日にそれぞれ政策金利を0.2%ずつ引き下げ、また12月19日には長期国債買い入れオペを現行の毎月1.2兆円から1.4兆円に2000億円増額することも決定された。これにより政策金利は0.1%と極めて低い水準となった。

しかし、2009年度の国債発行計画では、カレンダーベースでの国債市中発行額が113.3兆円と事前予想の115兆円規模は下回ったものの、今年度の当初計画の105.1兆円に比べれば8.2兆円もの大幅増となるなど、国債需給への懸念が債券相場の上値を抑える格好ともなった。

2009年に入り、最初の注目材料は20日に就任するオバマ新大統領による経済対策の内容となろう。期待感が先行しているだけに、内容に失望感が伴うようだと回復基調にあった株式市場などにも影響はありそうである。ただし、米国を初めとする世界経済は、かつてないスピードを伴って、すでに激しい落ち込みとなっており、景気の悪化はかなり相場には織り込まれている。むしろ、各国政府や中央銀行による積極的な対応の効果が今後次第に出始めてくる可能性もある。

日本国内を見ると、衆院選挙の動向が大きな懸念材料となりそうである。結果次第では、民主党が政権を取る可能性もあり、また状況によっては政界再編という可能性もある。現政権から大きく方向転換がなされた際には、債券市場への影響も免れない。このため、投資家も積極的な動きはしづらいとみられ、デフレ観測などが強まったとしても、長期金利の低下余地は限られたものとなりそうである。また、日銀もすでに金利をこれ以上下げることは難しく、次の手としては買い入れ資産や担保の拡大などに限定されるとみられ、以前のような量的緩和政策に逆戻りする可能性はなさそうである。

以上のことから、2009年の債券相場は10年債利回りで1.1%から1.8%あたりでの、引き続き狭いレンジ内での動きを予想する。


2009.1.6「2008年の債券相場を振り返る(まとめ)」

2008年の債券相場は、株式市場や外為市場、そして原油先物など商品市場が大荒れの展開となったものの、それらの動きに比べて値幅は限定的となった。長期金利は1.470%でスタート後に1.895%まで上昇する場面もあったが、年末には1.155%まで低下し1.165%で引けた。年内の長期金利の幅はわずかに0.74%に止まった。2007年の1.395%から1.985%の0.59%、2006年の1.405%から2.005%の0.6%よりは動いたものの、それでも値動きは限定的であった。

2月に入りサブプライム問題、モノラインと呼ばれる金融保証専門の保険会社に対する問題に端を発しての米金融市場の混乱などで米国経済の先行きの減速懸念はさらに強まり、9月15日のリーマンの破綻をきっかけに、世界の金融市場は大混乱となった。

日米欧はじめ新興国も含めて、各国中央銀行は金融緩和策を進め、12月16日にはFRBは政策金利であるFF金利の誘導目標値を0%から0.25%に引き下げ実質的なゼロ金利政策を導入した。日銀も10月31日と12月19日にそれぞれ政策金利を0.2%ずつ引き下げ、12月19日には長期国債買い入れオペを現行の毎月1.2兆円から1.4兆円に2000億円増額することも決定された。また、10月20日に財務省は急落していた10年物価連動国債と15年変動利付国債の年内の発行を取りやめると発表した。

カウンターパーティーリスクの強まりなどから、CPなどとともに一般債の起債が一時停止し、質への逃避の動きなどから国債は買われたものの、日本も含めて各国政府による積極的な財政政策を行なってきたことから、国債に対しての需給懸念などが上値を押さえた。

しかし、12月20日に発表された2009年度の国債発行計画では、カレンダーベースでの国債市中発行額が113.3兆円と事前予想の115兆円規模を下回り、また年末に向けては米国債が長いところ主体に買い進まれたことで、長期金利は1.155%まで低下した。

債券先物は一時141円台をつける場面もあったが、その後大きく反落するなど値動きの荒い展開となった。4月25日に前日比2円を超す下げとなり、初めてサーキットブレーカー制度が発動された。またリーマンショックにより、9月16日に再びサーキットブレーカーが発動し、一時先週末比3円高の140円35銭とストップ高をつけた。 債券先物の中心限月の移行時に月間スプレッドは大幅マイナスとなるなど異常な動きを見せたことも2008年の債券相場の特徴となった。


2009.1.6「2008年の債券相場を振り返る」

2008年1月の世界的な株安連鎖による市場の混乱に対し、22日に米FRBは0.75%の緊急利下げを実施し、さらに0.5%の追加利下げを実施しFF金利の誘導目標は年3%となった。債券市場は先物主導で米国市場動向などに連動するような動きとなっていたものの現物債の動きは鈍く10年債利回りは一時の1.3%から1.4%のレンジから、1.4%から1.5%のレンジ内主体での動きとなり、2年債利回りで政策金利0.5%を割り込むなど買い進まれた反動も。

2月に入りサブプライム問題、モノラインと呼ばれる金融保証専門の保険会社に対する問題に端を発しての米金融市場の混乱と、米国経済の先行きの減速懸念はさらに強まり、10年債利回りは2月29日に1.320%と1.3%近くまで利回りが低下した。3月の国債大量償還や3月期末を控えての投資家の買い需要の強さも債券相場の押し上げ要因となった。3月4日に入札された10年国債の利率は1.4%と2006年1月以来の水準となったものの入札そのものも無難な結果に。5年債利回りは0.75%を割り込むなど約2年3か月ぶりの水準をつけた。相対的に超長期ゾーンは重かったが、20年債利回りも昨年11月以来の2%の大台割れとなった。債券先物も7日に中心限月としては約2年ぶりに139円台に乗せた。

3月は国債大量償還などを控えて、投資家の買い需要の強さも相場の押し上げ要因となった。円高等を受け日経平均は一時ザラ場で昨年来安値を更新し、債券先物は中心限月としては2005年7月以来の140円台乗せに。債券先物は中心限月が6月限に移行したが、3月限よりも6月限の価格が上回るなどこれまでにない動きとなった。反面、リスクを落とす動きも強まり、それが超長期ゾーンや物価連動国債、15年変動利付国債などへの売りとなった。債券先物は一時141円台をつける場面もあったが、その後大きく反落するなど一値動きの荒い展開となった。

4月は欧米の金融機関の1-3月期決算が予想されたほどの悪化ではなく、また増資等も発表されたことで金融リスク不安が後退した。米経済への過度の悲観的な見方も後退し、米国市場では株やドルが買われ、米債は下落基調となった。日経平均株価は4月28日に14000円の大台を一時回復、ドル円も一時の98円台から一時105円台に。これを受けて債券市場は調整局面となった。米経済への懸念の後退とともに日銀のよる早期利下げ観測も後退し、債券先物は3月19日の141円91銭を高値に調整局面となり、4月25日に債券先物は前日比2円を超す下げとなり初めてサーキットブレーカー制度が発動された。

5月29日に米経済に対して過度の悲観論の後退などから10年債利回りは一時1.805%まで上昇した。長期金利の1.8%台乗せは昨年8月9日以来。株式市場が先物主導で上昇した反面、債券相場は海外投資家による仕掛け的な動き、特に売り仕掛けによって下落ピッチが加速される面もあり、これも債券相場の下落要因のひとつとなっていた。

6月に入り米株式市場は金融機関の損失拡大への懸念や大手自動車メーカーなどの業績悪化見通しなどにより売り圧力を強め、米債はこの米株安を背景に買い進まれ10年債利回りは4%割れに。6月中旬には欧米中銀への利上げ観測などから日本の長期金利も6月16日に1.895%まで上昇していたが、その後は低下基調を強め、欧米の債券高も背景に27日には1.6%割れまで低下した。6月30日に格付会社のムーディーズは、日本政府の円建て国内債券(日本国債)の格付をA1からAa3に引き上げた。

7月に入り原油先物が大幅に下落したことなどから米株が上昇し、7月17日に米10年債利回りは4%台に上昇した。連休明けの22日に債券先物はシステム障害で一時取引が停止。午後に再開後、日経平均先物買い債券先物売りが入ったとみられ、債券先物は136円をあっさり割り込む。米国での金融株に対して空売り規制が強化されたことをきっかけに、ヘッジファンドが組んでいた米金融株売り、原油先物買いといったポジションの撒き戻す動きが一気に強まった。ニューヨーク原油先物価格は7月11日につけた147.27ドルをピークに下落基調となった。日経平均株価も24日に13600円台をつけ、ドル円も108円近くに。債券も売り圧力を強先物は24日に135円12銭まで下落し、5年債利回りは1.2%台に乗せた。

8月に入り内閣府は景気動向指数の判断を「悪化」へ変更し、景気後退観測がさらに強まった。さらに7日に実施された米30年国債入札が好調な結果となり、米10年債利回りは3.92%と大きく低下し、8日に2年債利回りは0.7%割れ、さらに10年債利回りも1.5%を割り込む。13日に不動産開発やマンション分譲を手がけるアーバンコーポレイションが東京地裁に民事再生法の手続き開始を申請したことなどから、質への逃避への動きも入った。債券先物は14日に中心限月としては4月24日以来となる138円台をつけた。

9月1日の福田首相の突然の辞任の影響は債券市場では限られたものとなった。9日は債券先物9月限の最終売買日であったが、この日一部投資家による9月限から12月限への大口買いのポジションの移行が一気に入ったとみられ、一時限月間スプレッドはマイナス1円07銭とマイナス幅が異常に広がった。米国証券大手のリーマンの破綻を受け、15日のダウは大幅下落となり、質への逃避の動きから米2年債利回りは先週末比-0.50%の1.71%と大幅に利回りが低下した。これを受けて16日の債券先物は、サーキットブレーカーが発動後一時先週末比3円高の140円35銭とストップ高をつけた。FRBはAIGに対し850億ドルを融資し、米政府は株式の80%を取得かとの報道も受け、17日の債券先物は一転138円06銭まで売られる場面も。米金融ショックの影響を受け短期金利が上昇し、日銀は連日、数兆円規模の資金供給を実施したが、18日の夕方に日銀は米FRBと600億ドルのスワップ協定を結んだことを表明し、初めてドル資金を金融機関に貸し出す仕組みを整えた。9月29日に米下院で金融安定化法案が否決され、ダウは777ドル安と過去最大の下げ幅を記録し、米債は急伸し10年債利回りは前日比-0.28%の3.57%、2年債利回りは同-0.44%の1.66%にそれぞれ急低下した。30日の東京市場ではこれを受け、中期債主体に買われ、5年債利回りは1.010%に、2年債利回りも0.715%に低下した。しかし、超長期ゾーンはむしろ売りに押され前日比で利回りが上昇した。これは欧米での金融不安の強まりにより、欧州投資家などが保有していた日本国債を売却したためとみられた

10月7日にオーストラリア準備銀行は政策金利を1.0%引き下げ6.0%としたことに続き、8日に欧米の中央銀行に加え一部新興国も含め、10の中央銀行が同時に0.5%の緊急利下げを実施した。これだけの中銀が同時に緊急利下げを行なうことは極めて異例。英国の財務省は銀行に公的資金による資本注入による金融支援を実施し、米国でも公的資金による金融機関への資本注入の本格的な検討に入った。欧米発の金融危機が世界に波及し、日本の株式市場でも8日に日経平均は一時前日比900円を超す大幅な下げとなり下落率は歴代3位の下げを記録し、10日には朝方から日経平均先物は前日比1000円を超す下げとなりサーキットブレーカーが発動するという異常事態となった。9日にREITの初の破綻に続き、10日には大和生命が有価証券の損失が拡大などから経営破たんに追い込まれたことなども株の急落の要因となった。債券市場でも世界的な金融危機の影響を受け、内外投資家などによるキャッシュ化などの動きから、現物債を含めて相場は波乱含みの様相となった。10年296回は1.355%まで買われる場面もあったがその後一時1.5%台をつけた。また8日に予定されていた10年物価連動国債の入札は相場の急落などから休止となった。カウンター・パーティーリスクの強まりから地方債や一部政保債でも起債中止となるなど市場機能は回復せず、発行市場にも影響を与えた。債券市場ではリスクを取れる参加者が限られ、値動きが激しくなり、超長期ゾーンは日替わりで上げ下げを繰り返した。10月20日の夕方に財務省は10年物価連動国債と15年変動利付国債の年内の発行を取りやめると発表した。この発行中止分の財源不足分は20年国債の11月以降の発行予定額を毎月8000億円から9000億円への増額などで対処することとなり、これを受けて超長期ゾーン主体に一時売り圧力が強まった。22日の後場からは外為市場でユーロが大きく下落し、23日にはドル円は一時95円台に、ユーロ円は123円台をつける場面も。この急激な円高もあり、東京株式市場では輸出関連株主体に売りが入り、10年債利回りは節目とみられた1.5%を大きく割り込み、2年債利回りも0.7%を割り込んだ。31日の日銀の金融政策決定会合では、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標値を0.5%から0.3%に0.2%に引き下げた。

11月4日の米大統領選挙当日は新大統領への期待感などからダウは300ドル以上の上昇となるなど反発基調を強めた。オバマ候補が大統領選挙に勝利すると、むしろ米経済の先行き懸念などがあらためて材料視されることになり、ダウはその後大幅に下落した。6日の引け後発表されたトヨタの2009年3月の連結業績予想は、急激な円高などを受けて従来予想に比べて1兆円もの減となるなど企業収益にも影響が出てたことなどから、日経平均株価は5日の高値9521円から7日にかけて一時1000円以上も下落する場面も。10月31日の日銀の利下げに続き、欧州圏の景気後退観測などから11月6日にはECBが0.5%、BOEが1.5%もの利下げを実施した。しかし米債の上値の重さや今後の国債需給などが意識され長期、超長期ゾーンの債券は上値が重くなり、10年債利回りは1.5%を挟んでの動きとなった。17日に発表された7−9月期実質GDPは前期比マイナス0.1%と2四半期連続でのマイナス成長に。20日に発表された10月の貿易統計で輸出は前年比-7.7%と大幅な減少となり、アジアや中国向けも落ち込んだ。米国では19日に発表の10月の米住宅着工件数は前月比4.5%減と過去最低の水準に。10月の米消費者物価指数は前月比マイナス1.0%と過去最大の低下幅。米景気後退観測の強まりにデフレ観測に加えてFRBの利下げ観測もあり、米国債利回りは20日に2年債で1%を割り込み過去最低水準となり、米10年債利回りも一時3%を下回った。米国株式市場はダウが8000ドルの大台を割り込み、日経平均も8000円の大台を割り込んだ。こういった動きを受け21日に債券先物は9月16日以来の140円台に乗せる場面があり、10年債利回りも10月8日以来の1.4%割れとなった。21日に次期財務長官にガイトナーNY連銀総裁が任命されるとの報道を好感しダウは494ドル高、さらに24日の米市場ではシティ救済策の発表を受けてダウは396ドル高と大幅続伸となり、米10年債利回りは3.31%に上昇した。25日にFRBは総額8千億ドルの新たな金融対策を発表。住宅ローン担保証券などの証券化商品を買い取ることとなり、これを受けて30年物MBSの利回りが大幅に低下し、米国債は買い戻しが入り米10年債利回りは前日比マイナス0.21%の3.11%と大きく買い進まれた。26日の債券先物はこれを受けて139円57銭まで買い進まれた。

12月1日にバーナンキFRB議長はFRBによる米国債などの長期債の直接買取の可能性に言及し、5日から政府機関債の買取が開始された。また日銀は2日に臨時の金融政策決定会合を開催し、政策金利は現状維持としたものの、オペの担保となる社債等の格付をトリプルB以上に引き下げ、社債やCPなど民間企業債務を担保に無制限で政策金利と同水準(0.3%)の金利で資金供給する制度を設立した。また4日に欧州中央銀行(ECB)は昨日、政策金利を0.75%引き下げ年2.50%とし、イングランド銀行は、政策金利を1.00%引き下げ、年2.00%とするなど利下げを実施した。米10年債利回りは2.5%台まで低下したが、円債は2009年度の国債需給などが懸念され上値が重くなった。債券先物12月限の最終売買日を11日に控え、8日は3月限へのロールの動きを意識してり仕掛け的な動きが入り、債券先物12月限は一時、前日比95銭高の140円08銭をつけ、朝方の安値138円50銭からは1円58銭もの買戻しとなるなど値動きの荒い展開となった。限月間スプレッド取引も値動き荒く、朝方のマイナス40銭から一時プラスの36銭をつけた。15日に発表された日銀短観では、大企業製造業業況判断DIがマイナス24となり、前回の9月調査から21ポイントの悪化し1975年のオイルショック時以来の下落幅となった。16日のFOMCにおいてFRBは政策金利であるFF金利の誘導目標値を0-0.25%に引き下げ、実質的なゼロ金利政策を導入。声明文では、数四半期に渡り大量の政府機関債やMBSを購入するとして、今後は量的緩和政策に移ることを示唆し、時間軸効果も意識した内容となった。これを受けて米債は大幅に上昇し、円債も買い進まれ、10年債利回りは4月以来の1.3%割れとなった。日銀も12月19日の金融政策決定会合において0.2%の利下げを実施するとともに、長期国債買い入れオペを現行の毎月1.2兆円から1.4兆円に2000億円増額することも決定されたが、16日に開催した政策委員会において来年度TBの3兆円分の再乗り換えが決定されたことも明らかとなった。20日に正式に発表された2009年度の国債発行計画では、カレンダーベースでの国債市中発行額が113.3兆円と事前予想の115兆円規模を下回り、中短期債や30年、40年国債などが増発されるが、10年、20年の増発は見送られた。来年以降の国債需給が懸念材料視されていたが、日銀による輪番増額や、来年の国債増発が事前予想ほど大きくなかったことが、好感され19日に債券先物は一時140円台をつけ、10年債利回りも2005年7月4日以来の1.2%をつけた。さらに年末にかけては米国債と同様に超長期など長いところ主体に買い進まれ、30日には20年債利回りは1.660%に、10年債利回りも1.155%まで買い進まれた。


2009.1.5「今年もよろしくお願いいたします」

新年、あけましておめでとうございます。本年も引き続きよろしくお願いいたします。

米国では20日に就任するオパマ新大統領による対策に期待が集っていますが、大恐慌後の1933年3月4日に大統領に就任したルーズベルトの政策を少し振り返ってみたいと思います。

ルーズベルト大統領は就任直後から議会に働きかけて矢継ぎ早に景気回復や雇用確保の新政策を審議させ、最初の100日間でこれらを制定させました。ルーズベルト大統領が打ち出したこれらの政策は、「ニューディール政策」と呼ばれました。これらの政策によりアメリカ経済は徐々に立ち直りを見せるようになったのです。ちなみにニューディールとはトランプゲームの際に親がカードを配りなおすことです。

ニューディール政策には、テネシー峡谷開発公社(TVA)などの公共事業をはじめ、農業調整法(AAA)による生産量の調節などが含まれ、また総合的な産業政策となる全国産業復興法(NIRA)が制定されました。

さらに預金者保護を目的に証券業務と銀行業務の明確な分離が定められた銀行法(グラス・スティーガル法)が制定され、同法によりFRBは監督などに関する大きな権限が与えられました。また、証券業界で多数の不正が行われていたことに対処するため、1934年には証券取引委員会(SEC)が設立されました。

また、1933年に連邦準備の機構が改革され、理事会の権限が強化されています。金融政策を決定するための組織として連邦公開市場委員会(FOMC)が設けられました。ここでは理事会メンバー7名と地区連銀総裁6名が投票権を持つこととなり、ワシントンの理事会メンバーだけで過半数の票が取れることで、理事会の意向が反映されやすくなりました。1935年の銀行法制定の際に連邦準備委員会は、現在の連邦準備制度理事会と名称が改められました。


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