朝方に発表された4月鉱工業生産速報値は、前月比プラス5.2%となり事前予想を上回った。この上昇率は1953年3月に記録した7.9%の上昇以来、過去2番目の高さとなった。同時に発表された製造工業生産予測調査では、5月がプラス8.8%、6月はプラス2.7%を予測となり、経済産業省は、生産の動向について基調判断を、停滞している、から、持ち直しの動きが見られる、に上方修正した。こと生産に関しては、4〜6月期は予想以上に回復基調となってきているように思われる。
ただし雇用は引き続き低迷しており、4月の完全失業率は5.0%となり、前月に比べ0.2ポイント上昇した。失業率が5%台となるのは、2003年11月の5.1%以来、約5年半ぶりとなる。また、4月の有効求人倍率は0.46倍となり、前月比0.06ポイントの低下となった。これは1999年6月以来の約10年ぶりの低水準となる。
4月の全国消費者物価指数(除く生鮮)は前年同月比マイナス0.1%と、2か月連続でマイナスとなったが、こちらはほぼ事前予想通りとなったが、 5月東京都区部消費者物価指数(除く生鮮)は前年同月比-0.7%となり、予想よりもマイナス幅が大きかった。
昨日の米5年国債の入札結果は、最高落札利回りが2.310%と市場予想よりも良く、応札倍率も2.32倍と前回の2.22倍を上回った上に、外国中央銀行などの間接入札者比率が44.2%と好調な結果となっていた。
ところが、この結果を確認して、米債は大きく売られこととなった。結果そのものを嫌気したわけではなく、入札結果を確認するまでいったん売り手控えていたように思われる。ニューヨーク連銀による60億ドルの国債買い入れを実施したが、これもあまり材料視されず、年内だけでネットで最低でも2兆ドルの国債発行が見込まれることで、この需給悪化が重しとなった。
米格付会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、米国のAaa信用格付けを確認したものの、米国の債務が現在の水準から減少しなければ、格下げ圧力に直面する可能性もあるとも指摘した(ロイター)。
米国債の格下げ懸念も払拭されておらず、また今日の7年国債入札への懸念もあるところに、米国債に比べて流動性に乏しい住宅ローン担保証券(MBS)を抱えた投資家によるヘッジ売りが優勢となったことで、昨日の米10年債利回りは前日比0.17%の3.72%に上昇し、一時3.74%と昨年11月14日以来の水準をつけた。米2年債利回りは前日比+0.01%の0.97%と小幅上昇にとどまり、2年と10年の利回り格差はさらに拡大した。
ここにきての米債の売られ方をみると、市場はかなりパニック状態ともなってきているが、この米長期金利の上昇はMBS絡みのテクニカル的な側面が大きかったと思われる。
今朝の日経新聞では、ドイツが2009年中に過去最大となる476億ユーロの国債を新規発行することを閣議決定したと伝えた。800億ユーロを超える景気対策が重しとなった上、景気後退により2009年の税収が前年比6%減となる見通しでこの税収不足が重荷となった。
米国ばかりでなく英国、そしてドイツも国債需給への懸念が強まっていることもここにきての長期金利上昇の背景にある。国債発行額について言えば、日本も負けてないが、それでも日本の長期金利上昇は、いまのところは小幅に止まっているが、本日の債券先物は前日比前日比31銭安の136円05銭で寄り付くなど、直近の136円50銭近辺から137円50銭近辺のレンジ相場を下抜けてきており、あらためて下値を探る展開となりそうである。
財務省が発表した4月の貿易統計によると、輸出は対前年同月比39.1%減(3月は同45.6%減)となり、輸入は対前年同月比35.8%(同36.7%)の減少となり、差し引き690億円の黒字となった。3月は輸出の改善があまりみられなかったものの、4月は改善傾向となっている。
地域別にみると
対米国では4月は輸出が46.3%減(3月51.4%減)、輸入が29.3%減(同27.6%減)
対EUでは4月は輸出が45.4%減(3月56.1%減)、輸入が31.2%減(同32.8%減)
対アジアは4月は輸出が33.4%減(3月39.5%減)、輸入が28.4%減(同30.2%減)
対中国では4月は輸出が25.8%減(3月31.5%減)、輸入が21.7%減(同20.7%減)
輸出については、3月にあまり改善がみられなかったEUを中心に改善傾向を示し、輸入については対米国と対中国で改善傾向を示している。1〜3月期に比べ4〜6月期の景気回復期待が強まっているが、この貿易統計からも景気がやや持ち直しつつあることが伺える。
昨日の米国債券市場で、米10年債利回りは前日比+0.010%の3.55%に上昇した。ここにきて、欧米主体に長期金利上昇への懸念が強まっているが、米長期金利は当面、上昇基調を強めることも予想され、落ち着きどころを探る展開ともなりそうだ。
昨日も、途中までは米国債はしっかりしていたものの、終わってみると急落していた。朝方は、3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数で全米20都市の価格指数が前年同月比マイナス18.7%と、市場予想以上の低下となったことから、住宅市場の回復には時間を要しそうと、米債は買いが入り、米10年債利回りは一時3.40%まで買われる場面もあった。
しかし、発表された5月の米消費者信頼感指数が54.9と事前予想を大きく上回り、これをきっかけに株式市場が大幅上昇となったことから、2年国債の入札の行方への警戒心もあって、米債は戻り売りに押された。
その米2年国債の入札の結果はむしろ良い結果となった。応札倍率は2.94倍と直近では高い水準となり、海外からの需要の目安となる間接入札者の落札も54%と5割を超え、中国含めてアジアからの入札が目立った。
しかし、今週はまだ27日の350億ドルの5年債入札、28日に260億ドルの7年債入札も控えており、今週の入札規模は総額1010億ドルとなるが、この規模の入札は今後も続くことも予想される。昨日はニューヨーク連銀による国債買い入れオペも実施され、インフレ指数連動債を15.5億ドルを購入したものの、今後の米国債の需給が意識され、またモーゲージに絡んだ売りや、長期金利の3.5%を意識したテクニカル的な売りも入ったとみられ、米債は引けにかけて急落し、3.55%と利回りでは当日の最も高い位置で引けた。これに比べて米2年債の利回りは前日比0.03%上昇の0.92%に止まり、2年と10年の利回り格差は2003年10月以来で最大となった。
開業初日より私が通勤に使っている「つくばエクスプレス(TX)」の1日平均乗車人数が、開業一年目の2005年度利用者は15万人程度(定期利用7.7万人)であったのが、今年4月に開業時の目標27万人を突破した。このまま年間を通じてで27万人を突破すれば当初予定り2010年度より一年前倒しで目標を達成することとなる。ここにきて定期利用者が増加基調にあり、4月には定期利用が17.5万人と1.1万人増加したそうである。ただし、2008年3月期はまだ約19億円の最終赤字で、累損は225億円にのぼる。昨年夏に混雑緩和を目的に新車両を投入するなどしており、当面は赤字が続くと予想されている。しかし、予想を上回る乗車数となっていることで、「20年で黒字化、40年で累積赤字解消」との目標達成も可能ではないかと思われる。ただし、ここにきて景気悪化の影響で特に茨城圏内の沿線のマンションの売れ行きがやや停滞気味ともみられており、不透明要素もないわけでもない。しかし、確かに日々乗客が増加していることは実感している。なんといってもそのスピードによる利便性もさるものながら、今だに事故が発生していないという安全面が乗客増加に大きく寄与しているものと思う。
内閣府がまとめた5月の月例経済報告で、景気の基調判断を3年3か月ぶりに上方修正した。景気の基調判断を、4月までの「大幅に悪化している」から、「景気は厳しい状況にあるものの、悪化のテンポが緩やかになっている」と上方修正した。中国向けなどの輸出が持ち直していることや企業の在庫調整も進んできたことから、輸出や生産が下げ止まりつつある、としており、日銀と同様の見方となっている。
与謝野大臣は、個人的には、最悪の時期を脱したと考えているという見方を示した。しかし、月例経済報告では雇用情勢については急速に悪化しており厳しい状況にある、と下方修正しており、また個人消費についても、ボーナスの減少や新型インフルエンザの影響を注視する必要があるとして、まだ、景気は底を打ったと言える段階ではない、という認識を示した。
日本の長期金利は1999年に2.440%まで上昇した以降は2006年に2.005%をワンタッチしたものの、それ以外は現在に至るまで2%を上回ったことがない。市場では2%が長期金利の当面の天井として意識されてきた。ちなみに長期金利は通常、10年国債の利回りを指しており、日本では10年国債カレント物の利回りを指している。
ここにきて米国や欧州の長期金利の上昇基調が鮮明になってきている。昨年末に一時2%近くまで低下していた米国の長期金利は先週末に3.45%まで上昇した。ドイツの長期金利も3.46%と、こちらもじわりじわりと上昇し、そして英国の長期金利も同様で、先週末は3.7%近辺に上昇している。日本の長期金利の上昇は欧米ほどではないものの、年末の1.2%割れから直近では1.5%近くにまで上昇した。
この日米欧の長期金利の上昇の背景としては、リーマン・ショックによる世界的な金融・経済ショックが緩和してきたことがある。また、日銀が景気の現状判断を小幅に上方修正しており、加えて、政府も5月の月例経済報告において、景気の基調判断を2006年2月以来3年3カ月ぶりに上方修正するなど、日本では景気の底打ちの可能性も出てきており、それは欧米についても同様であり、この景気回復期待も長期金利上昇の背景にある。
さらに日本も米国、そして英国も積極的な財政政策を実施しており、国債発行額が大幅に増加し、国債への需給悪化懸念が債券への売り圧力となり、その結果長期金利が上昇している面もある。特にS&Pによる英国債の格付け見通しの変更が、米国債の格下げ懸念へと繋がった。
日本では7月から、かつてない規模の国債増発がスタートする。特に投資家層が薄いとみられる10年国債の一回あたり1.9兆円から2.1兆円の増額には注意が必要となる。10年国債の一回あたりの発行額2兆円というのはこれまで避けられてきたものの、さすがに17兆円規模の増額となれば、10年国債の増額は避けられなかったとみられる。
数字合わせになってしまうが、発行額の2兆円の壁が破られる以上、長期金利の2%の壁が破られる可能性は否定できない。今後、景気がこのまま回復基調に向かうかどうかは確かに不透明ではある。しかし、国債の発行額が増額され、需給への警戒が今後ますます強まっていくことは確かである。このため増発がスタートする7月に向けて、欧米の長期金利と比較して極端に低く見える日本の長期金利が、2%に向けて上昇してくる可能性もありそうである。
25日の日経新聞一面(13版)トップは、長期金利、日米欧で上昇、という記事だった。大きなニュースがなかったこともあるかもしれないが、長期金利が一面トップに来るにも珍しい。それだけ、ここにきての長期金利の動きが気になってきたとも言える。
特に昨年末に一時2%近くまで低下していた米国の長期金利は先週末、3.45%に上昇した。ドイツの長期金利も3.46%と、こちらもじわりじわりと上昇し、そして英国の長期金利も同様で、先週末は3.7%近辺に上昇している。日本の長期金利の上昇は欧米ほどではないものの、年末の1.2%割れから直近では1.5%近くにまで上昇した。
この日米欧の長期金利の上昇の背景としては、リーマン・ショックによる世界的な金融・経済ショックが緩和してきたことがある。特に金融不安に関しては、日米欧の中央銀行の積極的な施策によってさすがに収まりつつある。日本でもやや格付の低い社債が発行され順調に消化されるなど、クレジット市場も機能を回復しつつあることも確か。
さらに、先週、日銀が景気の現状判断を小幅に上方修正しており、加えて、政府も5月の月例経済報告において、景気の基調判断を2006年2月以来3年3カ月ぶりに上方修正した。
このように日本では景気の底打ちの可能性も出てきており、それは欧米についても同様である。景気の先行きについては、まだまだ警戒する必要はあるものの、過度に悲観的な見方をすることにもリスクが出てきており、これが株式市場への買戻し圧力となって、東京株式市場も堅調地合となっている。この景気回復への期待が日米欧の長期金利の上昇のひとつの要因となっている。
そして、日本も米国、そして英国も積極的な財政政策を実施し、国債発行額が大幅に増加してきており、それが、S&Pによる英国債の格付け見通しの変更へのつながり、米国債の格下げ懸念へと繋がった。ただし、日本国債については何故かムーディーズが格上げしていた。これは米国債の格下げを避けるためではないかとの見方もあったが、米国債の動向はさすがに世界の金融市場への影響も大きい。このように財政拡大による国債需給への懸念が、日米欧の長期金利上昇のもうひとつの背景となっている。
日本国債などと異なり、米国債のうち市場で売買可能なもの(市場性国債)の残高のうち6割が海外投資家が保有しており、特に最大保有国の中国の動向次第では、先行き米国債の需給への懸念が強まりかねず、米国債市場が動揺すると世界の金融市場にも影響を与えかねない。今後は特に米国の長期金利の動向に注意が必要となりそうである。
日銀は22日の金融政策決定会合において、適格担保として米国債などの外国債を加えることも決めた。以下のように米国債に加え英国債、ドイツ国債、フランス国債が適格担保に加わる。
アメリカ合衆国政府が発行する米ドル建債券のうち、Treasury Bonds、Treasury NotesまたはTreasury Bills
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国政府が発行する英ポンド建債券のうち、Conventional GiltsまたはTreasury Bills
ドイツ連邦共和国政府の発行するユーロ建債券のうち、Bunds (Bundesanleihen)、Bobls (Bundesobligationen)、Schatze (Bundesschatzanweisungen)またはBubills (Unverzinsliche Schatzanweisungen des Bundes)
ニ、フランス共和国政府の発行するユーロ建債券のうち、OAT(Obligations Assimilables du Tresor)、BTAN(Bons du Tresor a interets annuels)またはBTF(Bons du Tresor a taux fixe et a interet precompte)
担保価格については
残存期間1年以内のもの時価(円貨換算後)の84%
残存期間1年超5年以内のもの 時価(円貨換算後)の84%
残存期間5年超10年以内のもの 時価(円貨換算後)の84%
残存期間10年超20年以内のもの 時価(円貨換算後)の84%
残存期間20年超30年以内のもの 時価(円貨換算後)の83%
残存期間30年超のもの時価(円貨換算後)の82%
(以上、日銀のホームページ「適格外国債券担保取扱要領」の制定等についてより、http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc09/mok0905a.pdf)
日銀は、景気の現状判断を4月までの「大幅に悪化している」から「悪化を続けている」と小幅に上方修正した。日銀が景気判断を上方修正するのは、ゼロ金利を解除した2006年7月以来、2年10か月ぶりとなる。先行きについても、「当面、悪化を続ける可能性が高い」から「悪化のテンポが徐々に和らぎ、次第に下げ止まっていく可能性が高い」に上方修正した。
(参考)
「わが国の景気は悪化を続けているが、内外の在庫調整の進捗を背景にも輸出や生産は下げ止まりつつある。金融環境をみると、ひところに比べて緊張感が後退しているものの、なお厳しい状態が続いている。今後は、国内民間需要は引き続き弱まっていくとみられるが、輸出・生産は下げ止まりから持ち直しに転じていき、公共投資も増加していくと予想される。このため、我が国の景気は、悪化のテンポが徐々に和らぎ、次第に下げ止まっていく可能性が高い。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、石油製品価格の下落や食料品価格の落ち着きを反映して足もと低下しており、今後は、需給バランスの悪化も加わって、マイナスになっていくとみられる。」(5月22日分 日銀のホームページより)
「わが国の経済情勢をみると、海外経済の悪化により輸出が大幅に減少していることに加え、企業収益や家計の雇用・所得環境が悪化する中で、内需も弱まっている。金融環境をみると、CP・社債市場の発行環境は改善しているものの、全体としては厳しい状態が続いている。これらを背景に、わが国の景気は大幅に悪化している。今後は、内外の在庫調整の進捗を背景に、輸出・生産の減少テンポは緩やかになっていくと予想されるが、国内民間需要は更に弱まっていくとみられるため、わが国の景気は、当面、悪化を続ける可能性が高い。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、石油製品価格の下落や食料品価格の落ち着きを反映して足もと低下しており、今後は、需給バランスの悪化も加わって、マイナスになっていくとみられる。景気・物価の先行きについては、2010 年度までの中心的な見通しとしては、中長期的な成長期待やインフレ予想が大きく変化しないもとで、2009 年度後半以降、国際金融資本市場が落ち着きを取り戻し、海外経済が減速局面を脱するにつれ、わが国経済も持ち直し、物価の下落幅も縮小していく姿が想定される。こうした下で、見通し期間の後半には、物価安定のもとでの持続的成長経路へ復していく展望が拓けるとみられるものの、このような見通しを巡る不確実性は高い。」(4月7日分 日銀のホームページより)
米国の格付会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、英国債の格付け見通しを安定的からネガティブに引き下げた。長期格付の「トリプルA」と短期格付の「A-1プラス」は据え置いた。
S&Pはこの理由を、追加財政投資により英国政府の債務残高が2013年までにGDPと同じ規模に接近し、その後も同程度で推移していく可能性があるためと説明した。
「We have revised the outlook on the U.K. to negative due to our view that, even assuming additional fiscal tightening, the net general government debt burden could approach 100% of GDP and remain near that level in the medium term」
英国債の発行を行なっている英債務管理庁(Debt Management Office、DMO、http://www.dmo.gov.uk/)が発表した今年度(2009年4月から2010年3月)の国債発行額は過去最高の2200億ポンドになるとの見通しを示している。2008年4月から2009年3月までの国債発行額は1500億ポンド弱で過去最高となった(ロイター)。
これを受けて昨日の欧州市場では、まず英国債先物とポンド相場が急落したが、それ以上に米国も多額の財政赤字を抱えることで米国債の格下げされる懸念が強まり、米国市場に影響が波及し、米国市場は株、債券、ドルが下落するというトリプル安の様相となった。
これに対し、S&PはトリプルAを確認した1月の発表に言及した。1月にS&Pは、財政の悪化は一時的と予想しており米国の他のクレジットが持つ強さは現在の圧力を持ちこたえるだろうとの見解を示していた(ロイター)
英国債の格下げは視野に入りつつあるようだが、果たしてS&Pは自国の国債の格下げに踏み切れるかどうかは疑問である。格付はあくまで投資のひとつの目安に過ぎないことで過度に反応する必要はない。しかし、今回の米国市場の動揺の背景には、米国債の格下げの懸念というよりも需給そのものへの懸念があるのではないかと思われる。
米財務省の資料「Foreign Portfolio Holdings ofU.S. Securities」からは、年々増加し続ける米国債の海外保有比率が見て取れる。
市場性のある米国債(Marketable U.S. Treasury)について、2000年以降は以下ような数字となっている。
年、総額、海外保有額、海外保有比率
2000年、2508、 884、35.2
2002年、2230、 908、40.7
2003年、2451、1116、45.5
2004年、2809、1426、50.8
2005年、3093、1599、51.7
2006年、3321、1727、52.0
2007年、3454、1965、56.9
2008年、3621、2211、61.1
海外投資家の保有比率が6.9%しかない日本国債から見て(2008年10〜12月資金循環勘定速報より)、うらやましい限りの数字ではあるが、この数字はむしろ危険性も秘めている。
国別の統計では「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES(http://www.ustreas.gov/tic/mfh.txt)」があるが、2008年9月にトップが日本から中国に入れ替わり、その差は広がりつつあり、中国の米国債に占める存在感の大きさがわかる。
オバマ米大統領は今後の中国による米国債の売却への懸念を強めているようだが、日本も米国債の保有額をさらに増加させるだけの余裕も乏しいはず。そもそも日本国債そのものが今後、さらに増額されることで、国内投資家もある程度、こちらに資金を振り向けてこざるを得ない。そうなってくれないと日本国債そのものの消化に懸念が強まってしまう。
格付会社ムーディーズは家計の貯蓄率が高く、国債の買い手が多いことを今回の日本国債の格上げの理由にしていたが、全体の93%を国内資金で賄えている日本国債よりも、全体の40%程度しか国内資金で賄えていない米国債への今後のリスクは確かに大きいように思われる。
政府は25日に公表する5月の月例経済報告において、景気の基調判断を4月までの「急速な悪化が続いており、厳しい状況にある」との判断から「悪化のテンポが緩やかになっている」へとし、2006年2月以来3年3カ月ぶりに上方修正する見通しとなった(日経新聞)。悪化が続く雇用情勢の判断は下方修正するものの、下げ止まりの動きが出てきた輸出に加え、3月の鉱工業生産速報は前月比プラス1.6%と6か月ぶりのプラスとなるなどしたことで生産の判断が上方修正される。
また、明日の日銀の金融政策決定会合後に発表される金融経済月報では、景気の現状判断を4月までの「大幅に悪化している」から小幅に上方修正する可能性がある。生産の下げ止まりなどで景気の悪化ペースが和らいでいることなどによるとみられるが、ただ、あくまで下げ止まりの兆しが見えたに過ぎないことで、上方修正したとしても小幅にとどまる可能性もある。これで完全に底打ちしたとは断言できず、まだまだ下振れリスクもあるため、日銀としても慎重に対応すると思われる。
内閣府が20日発表した2009年1〜3月期の実質GDP成長率は、前期比マイナス4.0%、年率でマイナス15.2%と、第1次オイルショック時の1974年1〜3月期のマイナス13.1%を抜いて戦後最悪のマイナス成長となった。2四半期連続で2ケタのマイナス成長となるのも戦後初めてとなる。名目GDP成長率はマイナス2.9%、年率でマイナス10.9%。
寄与度では内需がマイナス2.6%、外需がマイナス1.4%に。
民間最終消費支出は実質マイナス1.1%。民間住宅は実質マイナス5.4%。民間企業設備は実質マイナス10.4%。民間在庫品増加の成長率への寄与度は、実質マイナス0.3%。
政府最終消費支出は、実質0.3%。公的固定資本形成は、実質マイナス0.0%。
GDPデフレーターは、1.1%(10〜12月期は0.7%)、国内需要デフレーターは、マイナス0.9%(10〜12月期は0.3%)
2009年度成長率のゲタはマイナス4.9%
我が家のメダカ池で10日頃から今年も睡蓮が白い花を咲かせた。昨年は咲いて萎むとあらたな蕾が頭を持ち上げ、一時は2輪同時に咲くなど、長い間楽しませてくれたが、今年も期待できそう。当初、この睡蓮は池の中に植木鉢に入れて沈めておいたのだが、その植木鉢を自分で倒し、しっかりと底の土に根を張っている。植物と言えどもなかなかしっかりしている。メダカは現在7匹確認しており、池の大きさからはこのぐらいの数が適正のようである。
日銀は2008年秋のリーマンショック以降の金融危機局面において講じてきた金融政策や金融システム面における措置を「今次金融危機局面において日本銀行が講じてきた政策」としてまとめた。http://www.boj.or.jp/type/exp/seisaku_cfc/index.htm
政策金利については、2007年2月21日に8対1の賛成多数で無担保コール物翌日物誘導目標を0.25%から0.5%に引き上げた。反対したのは岩田副総裁。完貸付の基準貸付利率も8対1で0.75%に引き上げた。
そして、2008年10月31日に無担保コール翌日物金利を今度は0.5%から0.3%に引き下げたが、票決は4対4と可否同数となったため議長が決するという事態となった。また、基準貸付金利も0.25%引き下げられ0.5%に、当座預金に0.1%の金利を付与することを全員一致で決定した。
2008年12月19日には無担保コール翌日物金利誘導目標値を0.2%引き下げ0.1%とすることを7対1で決定した(反対は野田委員)。基準貸付金利も0.5%から0.3%に引き下げ(全員一致)、超過準備への付利は7対1で0.1%に据え置かれた(反対は水野委員)。
こうしてみると、この直近3回の政策金利の変更は反対票も出るなどしており、実際には票決以上に意見が分かれていた可能性もありそうである。
金融市場の安定確保のための措置としては、国債補完供給の拡充、米ドル資金供給オペの導入拡充、国債買現先オペの拡充、補完当座預金制度導入、CP買現先オペ等の対象先への日本政策投資銀行の追加、不動産投資法人債等の適格担保化、政府保証付短期債券の適格担保化、公的部門に対する証書貸付債権の適格担保範囲の拡大などを行なっている。
また長期国債買入れの増額もしており、2008年12月19日に年間16.8兆円ペースに増額、2009年3月18日に年間21.6兆円ペースに増額し、また長期国債買入れ対象も拡大されている。
企業金融円滑化の支援のための措置として、CP買現先オペの積極的活用、資産担保CPの適格担保要件緩和、企業金融支援特別オペの導入・拡充、民間企業債務の適格担保要件緩和、CP等買入れ、社債買入れなどを行なってきた。
金融システム安定のための措置として、取引所市場における売却の停止と金融機関保有株式買入れの再開、金融機関向け劣後特約付貸付を実施している。
100年に一度といわれる金融危機に際し、日銀もこれでもかと施策を次々に打ち出してきたことがわかる。これにより日銀のバランスシートも大きく変化してきている。いずれ出口に向けての戦略も必要になると思うが、
米格付会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは18日に、日本政府の自国通貨建て債務(JGB)格付けをAa3から引き上げる一方、外貨建て債務格付けをAaaから引き下げ、両者をAa2に統一すると発表した。
つまり、円建ての日本国債の格付けをAa3から1段階引き上げ、上から3番目のAa2としたのである。ムーディーズの日本国債の格付変更は昨年6月に1からAa3に1段階引き上げて以来となる。Aa2となったことで日米欧の主要7か国では単独の最下位からイタリアに並ぶこととなった。
今回の格上げ理由について、ムーディーズは家計の貯蓄率が高く、国債の買い手が多いこと。金融危機による金融機関の損失が欧米に比べ小さく、財政への影響が限られること。2007―08年の大量償還を順調に乗り越えるなど、国債管理政策が適正に実行されていることなどを挙げた(日経新聞)。
1998年11月以来の日本国債の格下げ理由も良くわからなかったが、今回の格上げ理由も良くわからない。家計の貯蓄率が高く、国債の買い手が多いことはすでに1998年以降全く状況に変わりはない。金融危機による金融機関の損失が欧米に比べ小さく、財政への影響が限られることというのはリーマン・ショックで日本国債の格付を引き下げていたはずではないはず。2007―08年の大量償還を順調に乗り越えるなど、国債管理政策が適正に実行されていることに関しては特に1998年の運用部ショック以降、適正に実行されてきていることは確かであるが。
今回、ムーディーズは外貨建て債務格付けをAaaから引き下げ、両者をAa2に統一すると発表しており、他の国では自国通貨建と外貨建ての格付が別々というのは例がなくそれを統一したのも今回の自国通貨建の格上げの要因のようである。
今年7月からは2009年度補正予算にともない17兆円規模の国債が増発される。市場ではさすがに過去に例のない規模の増発だけに警戒感も強い。国債需給悪化が予想されるため、日本政府にムーディーズが配慮したのではとの見方があるが、かつて意見書を送りつけた日本の財務省にムーディーズが今になって配慮するとはむしろ考えづらい。
それよりも今頃になって自国通貨建てと外貨建てを統一したことは、何かしらの別な背景があったとしてもおかしくはない。自国通貨建ては結果としては格上げとなることで、つまり背景にはムーディーズが自国の米国債の格下げをしたくないため、日本国債と米国債の格付格差を縮めたのではないかとも疑われてもおかしくはない。
米格付会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、日本国債の格付基準に関しての会見を15時に行なうとの報が11時半頃にあり、この状況下、財政赤字拡大やインフル拡大も意識して格下げか、との観測も出て外為市場では円が売られる場面もあった。
しかし、これまで格下げにしろ格上げにしろ、何時に発表するという通告はしたことはなく、基準に関する発表ということで、どうやら単純な格下げとかではなさそうとの見方もあった。
実際に15時の格付会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスの発表では、日本政府の自国通貨建て債務(JGB)格付けをAa3から引き上げる一方、外貨建て債務格付けをAaaから引き下げ、両者をAa2に統一すると発表した。
そもそも自国通貨建てと外貨建てでこんなに格差があることがおかしいと、今頃になって気がついたのであろうか。最初の日本国債は明治時代に外貨建てで発行されたが、今、残存のあるものでは自国通貨建てのみで、外貨建てのものはないはず。
仮に外貨で発行されれば、そちらを優先するだろうという気持ちもわからなくはないが、それを今頃統一したということは、何かしらの背景があったとしてもおかしくはない。海外投資家から見て、重要なのは自国通貨建ての方となるし、それは結果としては格上げとなる。つまり背景にはムーディーズが米国債の格下げをしたくないので、格差を縮めたんやないかとも疑われてもおかしくはない。ちなみに、政府債務格付けの見通しは安定的のままとなる。
速水優元日銀総裁が亡くなった。速水氏は1998年の日銀の不祥事による松下康雄総裁の退任により、当時の橋本首相より指名を受け、第28代日銀総裁に。1998年4月1日の新日銀法が施行された際の最初の総裁となった。1999年2月にゼロ金利政策を導入し、その後2000年8月のゼロ金利政策の解除に向けての政府・与党との攻防は、中央銀行と政府との関係のあり方を考えさせられた。2000年のITバブルの崩壊により、2001年3月に、無担保コールレートから日銀当座預金残高に操作目標を変更するという量的緩和政策を導入。2002年9月には金融システムの安定化のために金融機関の保有株式を日銀が直接購入することを決めた。そして、2003年3月に任期満了で退任し福井前総裁にバトンタッチした。仕事上だけでなく、個人的にも新日銀法施行以来の日銀のあり方に興味があっただけに、速水総裁時の日銀の動向については一冊の本も書かせてもらった。あらためてご冥福をお祈りしたい。
景気の先行きについては見方は分かれているものの、ここからさらに大きく崩れることも想定しづらくなってきた。特にマインドの変化に注目したい。今回の100年に一度といわれる金融・経済危機を、地震に置き換えれば、すでにリーマン・ショックが本震となり、かなりのマグニチュードで大きな被害が出た。その後は、たとえGMの破産法申請などがあったとしてもで、その余震に過ぎない。もちろんその余震による被害もたいへん大きなものがあろうが、それはある程度想定できるものであるはず。
リーマン・ショックの際には、これまで経験したことのないような世界的規模のショックが走り、それ以降の動きは誰も正確に先を見通せられる状況にはなかった。しかし、これからのリスクはある程度、先が読めてきており、想定外の被害というのは考えづらい。たとえば商業用不動産や欧州の銀行などへのリスクなども指摘されているが、それがリーマン・ショックほどの先の読めない恐怖となることは考えにくい。
人間はたとえそのリスクが大きくてもある程度見えているリスクならば対応できると考えるが、先が見えないリスクは恐怖そのものとなる。その恐怖が薄れただけでも、やはりマインドは大きく変わってきていると見て良いのではなかろうか。
5月13日のロンドン証券取引所における白川日銀総裁の講演の邦訳が日銀のホームページにアップされたので、その内容を確認したい。
これによると日本銀行の総裁がシティーで講演を行うのは初めてのようだ。最初に日本とロンドンとの歴史上の関係から話がスタートする。まずは、明治政府成立後わずか2年後の1870年に鉄道敷設を目的として日本が初めて国債を発行した場所はロンドンであると白川総裁は指摘した。
これについては拙著「金融のことがスラスラわかる本」でも記述したが、ヘンリー・シュローダー商会を通じた公募債として調達されることになり、公債収入金の取り扱いについての日本政府の代理店としてオリエンタル銀行が指定され、ロンドン証券取引所で公募され、1870年4月23日に九分利付きで外債100万ポンドの日本国債が発行されている。
1882年に設立された日本銀行が1904年に初めて海外事務所を設けた場所もシティーであり、若手スタッフが当地シティーの商業銀行に研修生として派遣され、そのうち2人は、のちに日本銀行総裁となっていると白川総裁は指摘している。日銀の歴代総裁一覧によるとこの二人のうち一人は第5代総裁の山本達雄氏のようだがもう一人は誰であろうか。
そして、白川総裁は「アーカイブに残されている過去の報告書を読み返すと、金融危機が必ずしも珍しい出来事ではないという事実に改めて驚かされます。危機は頻繁に発生し、不幸なことに、その教訓はしばしば忘れられてきました。」とも述べている。1800年代にはイギリスで何度も金融危機が発生していたが、確かに教訓は生かされず、それはその後の歴史でも同様であった。
内閣府は13日に4月の景気ウオッチャー調査結果を発表した。3か月前と比べた街角の景況感を示す現状判断DIは、前月比5.8 ポイント上昇の34.2となり、4か月連続で上昇した。
「家計動向関連DIは、消費者の購買態度が依然慎重であるものの、高速道路料金の引下げ、定額給付金の給付やプレミアム付き商品券の発行、環境対応車に係る減税による需要増が一部でみられたこと等により、上昇した。企業動向関連DIは、受注の減少やそれに伴う減産等が続き、取引先からの値下げ圧力も高まるものの、一部企業での受注の回復や在庫調整の進展等により、上昇した。雇用関連DIは、新規求人数の減少、離職者の増加等が続いているものの、一部企業での求人の動き等により、上昇した。」
また、4月の先行き判断DIは、前月比3.9ポイント上昇の39.7 となった。
これを受けて、内閣府は総合判断を3か月連続で上方修正し、「景気の現状は厳しいものの、このところ悪化に歯止めが掛かりつつある」としたが、景気の良い悪いの境目となる50を大幅に下回っていることから、内閣府は「依然として極めて低水準で、底打ちしたとは判断できない」との見方を示した。
景気に対してのマインドは徐々にではあるが回復基調を示しているとみられるが、あくまで大きく下げすぎた反動といった側面もあり、底打ちして今後回復基調となるかどうかは、まだ判断は難しい。13日に発表された4月の米小売売上高は前月比0.4%のマイナスとなるなど、米消費に対しても期待されたほどの改善は示されていない。過度の悲観論は後退しつつも、まだ楽観論を言うにもやや時期尚早のように思われる。
週末は原稿書きに追われる日が続いていたが、ここにきて一服し、晴れた日には家の庭の草取りと叔父に借りている畑での家庭菜園の草取りをしている。ちなみに家庭菜園で野菜を植えて育てる方は、嫁さんと三女が担当している。先日までダイコンを収穫していたが、現在はじゃがいもとえんどう豆がすくすくと育ち、ナスやキュウリの苗も徐々に大きくなってきている。
家の庭はそれほど大きいわけではないものの、家庭菜園用の畑とあわせるとそれなりに面積があるため時間もかかり、週末こつこつやったとしても一回りするのに一月ほどかかる。そのうち最初に草をとったところに新たな草が生えてきており、まさに堂々巡り状態。植物の成長は本当に早い。昨年は、夏場にかけて草取りをサボったことで庭や畑がまさにジャングル化してしまい、電動草取り機を購入せざるを得ない状態となった。その反省も踏まえ、今年は堂々巡りしながらなんとかジャングル化は防ぎたい所存。
ある研究によると、人間は外で土いじりをしていると心理的にリラックスするそうである。気分転換にはなると思っていたが、心理的な効果も大きいことが実証されているとか。そもそも人間は生物であるのに変わりなく、本来は土とともに生活していたはずである。しかし、特に都会に住んで都会で働いていると土つのものに触れる機会が少なくなってしまうことで余計にストレス社会となってしまっているのではなかろうか。
幸いにも我が家には土に触れられる場所がある。健康維持のためにも、なるべく土に触れる時間を多く持ちたいとも思う。そういえば「土」という小説を書いた長塚節は茨城県の出身であったような。
13日の債券市場で中心限月である長期国債先物6月限は4月9日の夕方のイブニングセッション(約定は10日)でつけた136円39銭という直近の安値を下回った。ここにきての債券先物は136円50銭近辺から137円50銭近辺でのレンジ相場が続いていたが、その下限を試してきたこととなる。いったんは安値は下回ったものの、売られたのは先物主体であり、何かしらの材料等で動いたというよりは、CTAなど海外ファンドの売り仕掛けの可能性が高い。実際に現物の売りが限定的であったことや、ここにきて債券先物6月限の建て玉が6兆円近辺まで増加していたことから、海外ファンドがあらかじめショート・ポジションを作り、レンジの下限をブレークさせ、ストップ・ロスに伴う売りなどを誘い込もうとしたのではないかと思われる。
本日10年国債の入札が実施されたが、今回で10年国債の回号は300回となった。1972年1月からそれまで発行されていた7年国債に変わり10年国債が登場し、それから約37年と4か月で300回を数えることとなった。
1985年から銀行のフルディーリングや債券先物のスタートにより、債券はディーリング相場を向かえ、その売買の中心となったのが10年国債であった。1985年5月に指標銘柄という売買の中心銘柄が登場した。これは直近で発行量が多くディーリング銘柄として耐えうるものが自然とマーケットで選ばれたのである。最初に登場したのが68回債である。
1986年1月に78回債に移り、11月からは伝説ともなった89回債が指標銘柄として登場した。私が債券ディーラーとなったのが1986年10月であり、ほぼ89回債の登場とともにディーラー活動を本格化していった。その後の指標銘柄は105回、111回、119回、129回、145回、157回、164回、174回、182回、そして最後が203回となり、204回以降は直近入札された10年国債が常に指標銘柄として取り扱われ、現在に至っている。
考えてみれば、私は途中1年間、企画室に異動していた時期と、3か月のニューヨーク滞在、そして1か月の入院以外は1986年10月以降、つまり78回から300回まで10年国債を見てきたことになる。
このまま500回、1000回といずれ数えてゆくのであろうか。その際には果たして国債の残存額はどうなっているのか。やや気になるところでもある。なにはともあれ、10年国債も300回というひとつの節目を迎えたことも確かである。
5月8日の朝方に、4月6〜7日分の日銀金融政策決定会合議事要旨が公表された。この中で、国債買入の基本的な考え方について改めて議論されたとあり、この部分について見てみたい。
ある委員の発言として、「日銀の長期国債買入増額は、長期の資金供給手段を一層活用し円滑な資金供給を行っていくために行ったもので、FRBやBOEの長期国債買入の目的とは異なる点をよく説明する必要がある」と述べた。
政策金利はFRBが0〜0.25%、BOEが0.5%とゼロ近くにまで低下しており、短期金利に低下余地が限られることで、長期金利の低下を促すことが長期国債買入の目的とみられる。ただし、実際にニューヨーク連銀による国債買入がスタートしてから、米長期金利は低下するよりもむしろ上昇基調を強め3%台に乗せてきている。
日銀金融政策決定会合議事要旨では、複数の委員は長期金利の変動を抑え込むために中央銀行が長期国債買入を行うと、かえって長期金利のボラティリティが高まる可能性があると指摘した。たしかに市場に介入すると、かえって相場を乱してしまうことは、かつての日本の為替介入でもあったことである。市場も押さえつけられようとするとむしろ反抗することも経験上ありうる。
4月6〜7日の決定会合では、銀行券ルールについても議論が行われた。
「何人かの委員は、一般に銀行券ルールの内容や役割については、十分理解されているとは言えないとし、その重要性を丁寧に説明していく必要があるとの認識を示した」
この何人かの委員には総裁なども含まれていると思われる。その日銀券ルールの根拠として次のような発言があった。
「日本は、制度的・季節的な要因から短期資金需要が大きく変動し、それが金利の振れをもたらさないよう円滑な金融調節を行うためには、準備預金など短期的に変動する負債に対しては短期の資金供給手段を割り当てて、長期の資産である長期国債保有高が長期の負債である銀行券発行残高を超えないようにすることが必要である。つまりは、銀行券ルールは、円滑な金融調節を行うために必要というのが、日銀券ルールの根拠となっている。」
そうは言うものの、後の国債増発に果たして市場が耐えられるのかどうか。17兆円規模というかつてない国債増発という、まさに日本国債でのストレステストが7月に始まる。年末に向けての再増発も確実視され、このストレステストの結果は年末までわからない。市場からは今後の国債需給悪化懸念に対して、今後はより一層、日銀の国債買入増額への期待が強まってくる可能性がありそうである。
欧州中央銀行(ECB)は、5月7日の定例理事会で主要政策金利を0.25%引き下げ、過去最低となる1.00%とすることを決定した。トリシェECB総裁はその後の会見で、信用向けの支援拡大を進めるための非伝統的措置を行なうことを発表した。
まず、金融機関への資金の貸付期間を半年から1年に延長する。そして、ユーロ圏の金融機関が発行するカバードボンドと呼ばれるユーロ建て債券を買い入れることも発表した。詳細は6月4日の次回理事会後に公表される。
参考までに、カバードボンド(covered bond)とは「担保付き債券」のことであり、欧州で発達した資産担保証券である。銀行が発行して投資家に売却しても、銀行のバランスシートからオフバランス化されず、発行銀行が担保証券の原資産であるローン回収義務を負う。オンバランスとなるが資産の裏づけがあるため高格付けが得られる。政府や地方公共団体向けの債権をバックにしたものと、住宅ローンなどを担保にしたものがあり、欧州諸国を中心に急速に拡大した。
日経新聞では、ECBによるカバードボンドの買い入れについて、「量的緩和策」と報じていたが、トリシェ総裁はこの政策の「意図は、市場の回復、特に非常に打撃を受けている市場だ。スプレッドや流動性、債券を含む市場の存続を狙いとしている。われわれは量的緩和を開始しているわけではまったくない」(ロイター)と述べ、「量的緩和」ではなく「信用緩和」であることを主張していた。
ECBは日銀や米FRB、英イングランド銀行と異なり、国を跨いだ特殊な中央銀行である。仮に国債を買い入れるにしても、どの国の国債をどの程度の比率で買い入れるのか、その調整だけでもかなりの労力が求められ、ある意味現実的ではない、これは社債についても同様の問題があり、日銀のように国債や社債の買い入れには簡単には踏み込みづらいこともある。
トリシェ総裁は会見で「証券全般の中で、カバードボンドは金融危機の打撃を特に受け、他の証券よりも打撃が大きいセクターのひとつと理事会は考えている」とし、「他の(資産)買い入れについては原則としていかなる決定もしていない」とも発言し(以上ロイターより)、BOEやFRBの量的緩和策とは異なる面を強調している。
7日にはイングランド銀行の金融政策委員会(MPC)も開催され、すでに量的緩和策を導入している量的緩和の実施時期を3か月から6か月に延長し、国債や社債の買取額を1250億ポンドと当初計画から500億ポンド増額させた。
NHKの大河ドラマ「天地人」やゲーム「戦国BARASA」などの影響で戦国武将ブームが起きており、それに関連して各地の城の入場者数が増加しているそうである。さらに彦根城のマスコットの「ひこにゃん」は築城400周年記念のキャラクターのように、その彦根城、熊本城そして篠山城などが築城400周年記念行事を行なっていることも影響しているとか。どうも城といえばこれまで再建されたものしか登城したことがない。子供の頃にプラモデルを作って感激した姫路城には一度行ってみたいと思っていたが、今だ行ったことがない。
ブームに乗って城めぐりというのも良いかもしれないが、それ以前に今住んでいるところも実は城跡であったりする。南北朝時代の南朝に北畠親房という人物がいた。北畠親房は「神皇正統記」という有名な著作を残しているが、これを執筆したと言われるのが現在のつくば市小田にあった「小田城」である。
その小田城の出城のひとつが我が家のすぐ近くにあるというか、その城の敷地の一部に我が家が建っている。正確には水は張っていなかったが掘りがあり、その掘りを埋め立てたところに我が家は建っているといえる。昔、近所で水道工事をした際に洞穴の一部見つかり、秘密の出入り口になっていたのではないかとの噂もあった。北朝に攻められた際の逃げ道であったのであろうか。出城といっても正確には城というよりも砦に近かったのではないかと言われているが、それでも城跡となっていることに違いはない。
遠くの著名な城に出かけてみるのも良いが、実はすぐ近くにもこのような城跡はあちらこちらにあるはずである。まずはご近所の城を探して地元の歴史探訪というのも良いのではなかろうか。
3月23日にスタートしたミニJGB先物は、3月23日と24日、そして4月24日に値がついただけとなり、事前に予想された以上に低迷している。ネット証券などが参入を手控えたことで個人投資家の参入もなく、また期待された海外投資家の参入も今のところ見られていない。ここにきてJGB先物(ラージ)がレンジ内での動きが続くなどしていることで、値動きが乏しくなっていることもひとつの要因であろう。また、個人投資家にとり債券は株式などに比べてわかりづらいという面も参入への障壁となっていると思う。しかし、JGB先物(ラージ)は非常に流動性の高い先物取引のひとつでもある。ミニ日経平均先物が活況を呈していることを考えれば、ミニJGB先物についてもいったん参加者が出てくれば、それなりに大きなマーケットとなる可能性を秘めている。東証もさらにアピールを続けて、せっかくできた市場をぜひ盛り上げていってほしい。
本日朝方に、4月6〜7日分の日銀金融政策決定会合議事要旨が公表された。この中で、国債買入れの基本的な考え方について改めて議論されたとあった。
ある委員は、日銀の長期国債買入れ増額は、長期の資金供給手段を一層活用し円滑な資金供給を行っていくために行ったもので、FRBやBOEの長期国債買入れの目的とは異なる点をよく説明する必要があると述べた。そして、複数の委員は長期金利の変動を抑え込むために中央銀行が長期国債買入れを行うと、かえって長期金利のボラティリティが高まる可能性があると指摘した。
たしかに、市場に介入すると、かえって相場を乱してしまうことは、かつての日本の為替介入でもあったことではある。
銀行券ルールについても議論が行われた。
何人かの委員は、一般に銀行券ルールの内容や役割については、十分理解されているとは言えないとし、その重要性を丁寧に説明していく必要があるとの認識を示したが、この何人かの委員には総裁や副総裁なども含まれていると思われる。
日本は、制度的・季節的な要因から短期資金需要が大きく変動し、それが金利の振れをもたらさないよう円滑な金融調節を行うためには、準備預金など短期的に変動する負債に対しては短期の資金供給手段を割り当てて、長期の資産である長期国債保有高が長期の負債である銀行券発行残高を超えないようにすることが必要である。つまりは、銀行券ルールは、円滑な金融調節を行うために必要というのが、日銀券ルールの根拠となっている。
そうは言うものの、今後の国債増発に果たして市場が耐えられるのかどうか、まさに日本国債でのストレステストが7月が始まる、年末に向けての再増発も確実視されており、まさにこのストレステストの結果は年末までわからない。市場では国債需給悪化懸念に対して、今後はより一層、日銀の国債買入増額への期待が強まってくる可能性はありそうである。
欧州中央銀行(ECB)は、7日の定例理事会で主要政策金利を0.25%引き下げて1.00%とした。また、トリシェECB総裁は会見で、信用向けの支援拡大を進めるための非伝統的措置を発表した。
まず、金融機関への資金の貸付期間を半年から1年に延長する。そして、ユーロ圏の金融機関が発行するカバードボンドと呼ばれるユーロ建て債券を買い入れる。これは堅実な資産を裏づけに発行されるファンドブリーフ債を念頭においているとみられる(日経)。詳細は6月4日の次回理事会で公表するとトリシェ総裁は発言したが、日銀流で言えば執行部に指示した、ということになるか。
日経新聞ではこれを量的緩和策と報じていたが、トリシェ総裁は量的緩和に乗り出したわけではないと述べ信用緩和であるとした。ECBは日銀やFRB。イングランド銀行と異なり国を跨いだ中央銀行であり、国債を買い入れるにしてもどの国の国債を買い入れるのか、また社債についても同様の問題があり、日銀のような国債や社債の買いいれには踏み込みづらい。このため、米国と比べて間接金融の比率が高いことも考慮して、日銀と同様に金融機関を通じての資金供給を意識したものとみられる。
昨日はイングランド銀行の金融政策委員会(MPC)も開催され、すでに量的緩和策を導入している量的緩和の実施時期を3か月から6か月に延長し、国債や社債の買取額を1250億ポンドと当初計画から500億ポンド増額させた。
今朝のテレビ東京のモーニング・サテライトに出演した五味前金融庁長官が最後の方で、日本は政府の管轄による「国立銀行」でスタートし、米国のような民間でスタートしたわけではない旨の発言があったが、この発言は事実と異なる。以下、拙著の「金融のことがスラスラわかる本」より、関連箇所を抜粋してみたい。
米国の北部政府はグリーンバックの増発によるインフレ抑制のため、1863年に国法銀行が設立され、国法銀行による銀行券発行について規定する全国通貨法が制定されました。国法銀行は資本金の3分の1に相当する国債を購入し、これを担保に財務省から担保国債の価格の90%に相当する銀行券を発行したのです。1864年には同法を改正した国法銀行法により、銀行券の兌換は19の準備都市の銀行において集中的に行うこととされました。(日銀「中央銀行と通貨発行を巡る法制度についての研究会」報告書より)
これによって南北戦争以前の複数通貨がグリーンバックと銀行券が流通する単一通貨の制度となったのです。この国法銀行制度を取り入れたのが日本から渡米し、現地視察を行った伊藤博文です。伊藤の建議により1872年12月に国立銀行条例が定められました。
(以上、「金融のことがスラスラわかる本」第5章より)
銀行の設立も明治政府にとり大きな課題となりました。民間からも銀行設立の願いなどが相次いでいたのです。日本における本格的な商業銀行は、明治維新後に誕生した第一国立銀行とされています。明治政府は大蔵少輔伊藤博文の建議に基づいて、アメリカのナショナル・バンク制度にならった発券銀行制度を導入することとしました。
この銀行制度の導入にあたっては、この伊藤案に対して、イングランド銀行をモデルにした中央銀行制度を導入すべし、とした吉田清成との間で銀行論争が闘わされていました。結局、井上馨の裁断によって、伊藤案が採用されることとなったのです。伊藤案を起案した人の中には、銀行界の中心的な人物となる渋沢栄一もいました
1872年(明治5年)11月、国立銀行条例を制定しました。そして、国立銀行4行が設立され、銀行券発行が始まりました。銀行券の発行条件が厳しかったことなどから当初設立されたのは4行だけでしたが、条例の改正などにより全国的に銀行設立ブームが起こり、153行もの国立銀行が誕生しました。
国立銀行という名称は、第一国立銀行の初代頭取となった渋沢栄一によりナショナル・バンク(連邦法に準拠して設立された銀行)の訳語として作られたのですが、文字通りの国立の銀行ではなく、政府とは資本関係のない民間の銀行でした。
(以上、「金融のことがスラスラわかる本」第6章より)
日経ヴェリタスに「牛熊ブログ」と「債券ディーリングルーム」を私の写真入りで紹介していただいた。うれしいような恥ずかしいような。これをきっかけに再び「債券ディーリングルーム」にアクセスいただいた方もいらっしゃるのではないかと思いますが、いまだに毎営業日、こつこつと更新は続けております。また、この記事をきっかけに初めてご覧いただいた方々も含め、今後も是非、アクセスいただけるとうれしいです。 4月18日と25日には幸田真音さんのラジオ番組にも出演させていただくなど、久しぶりにマスコミ関係に顔(声)を出させていただいた。すでに「債券ディーリングルーム」は開設してから14年目に入る。ややマンネリ化している面もあると反省している反面、アクセスいただいて何も変わらずにいることでむしろほっとされる方もいらっしゃるかもしれない。今後も更新を続けて行きますので、引き続き「牛熊ブログ」と「債券ディーリングルーム」をよろしくお願いいたします。
経済産業省が4月30日の朝方発表した3月の鉱工業生産速報は前月比プラス1.6%と6か月ぶりのプラスとなり、市場予想も上回った。同時に発表された製造工業生産予測調査予測では、4月がプラス4.3%、5月はプラス6.1%となった。これを受けて経済産業省は基調判断を、「急速に低下」から「停滞している」とやや上方修正した。製造工業生産予測調査予測では、4月がプラス4.3%、5月はプラス6.1%となっていたように、1〜3月期が目先の底となり、4〜6月期にかけて景気はやや回復してきているとの見方が強まっている。
また5月1日に発表された3月の全国消費者物価指数(除く生鮮食料品)は、前年同月比で0.1%の低下となり、2007年9月以来、1年半ぶりに前年比マイナスとなった。また、完全失業率は4.8%と前月比0.4ポイントの上昇となり、3月の有効求人倍率は0.52倍と前月を0.07ポイント下回るなど雇用情勢は引き続き悪化を示した。 日銀が4月30日に発表した展望レポートでは、「最近に至り、在庫調整の進捗などを背景に、世界的に景気の下げ止まりに向けた動きがみられ始めている」との表現があった。
景気に対してはまだまだ予断を許さない状況ながら、日経平均株価は9000円台に乗せるなど、景気回復への期待も徐々に強まってきている。
この景気回復への期待や国債需給への懸念などを受け、債券先物は4月に入り138円を割り込み、昨年11月以来続いてきた138円から140円近辺でのレンジ相場から下に抜けてきた。ただし、今度は新たに136円50銭から137円50銭というレンジを形成してきた。長期金利では1.4%から1.5%のレンジ相場となっている。
補正予算に伴う国債発行計画については、ほぼ市場のコンセンサス通りとはなったが、今年度の税収見積もり修正などによる年末に向けてのさらなる増発も確実視されている。実際に7月以降とみられる国債入札動向を見極めたいとの投資家も多く、国債への需給懸念も債券相場の上値を抑えた。また、今後の米国債需給への懸念と米景気回復への期待などから、米10年債利回りは3%台に乗せ、米債安も円債の売り要因となった。しかし、投資家の押し目買いも下値では控えており、下値も限られ、その結果としてレンジ相場を再び形成してきた。
今後は引き続き国債需給や景気動向、株価や為替の動向を睨みながらの展開となろうが、国債需給への懸念が払拭できない反面、投資家の動向次第では戻りを試すことも考えられ、当面は長期金利での1.35%から1.55%の動きを予想している。
私が債券先物を中心とした債券ディーラーになったのは1986年10月であったが、当時、債券先物の売買の注文は黒電話で行なわれていたのである。ちなみに黒電話とは黒いダイヤル式の卓上電話である。東証と、会員である証券会社や特別会員である銀行の債券売買の部署は直通の電話回線が結ばれており、この電話を介してJGB先物の注文を出すのである。
当時はまだ若手であった私が電話番を任された。受話器を上げるとそのまま東証につながり、実栄証券の担当者が出る仕組みになっている。現在はなくなってしまったが、東証に場立ちがあったときに、株式市場の注文についても実栄証券が会員の相手となって取引を行なっていたのである。
朝方、寄り付き前に実栄証券の担当者から電話がかかってくる。これで朝の挨拶をしてからいよいよ取引が開始されるのである。電話注文で行なっていた当時は、大手証券などはそれぞれ個別の担当者がいたようだが、一人の実栄証券の担当者が何社かの会員を受け持つこともあり、それによってブロックが作られていた。
当時の債券先物の売買は、東証の中の一室で、扇形のように実栄証券の担当者が電話を前に座り、扇の要の位置に注文をまとめる担当者がおり、その後ろに売買を書き込む黒板、まさに板があったのである。
実栄証券の担当者は売買の注文を受けると、手を上げて売りか買いかのサインを出す。それを確認した真ん中の担当者から指名されると、注文の相手先とともに価格と数量を伝える。それを板に書き出しながら値をつけて行くのである。今はコンピュータで値が瞬時についてしまうが、当時は人と人が結ばれて値段が形成されていった。
注文を伝えてから約定されるまで、さすがにコンピュータ売買に比べて遅かったものの、個人的にはそれほど支障をきたさなかったように思う。上司は遅い、遅いと言う事も多かったが。それ以上に人間が介在することで、大きな間違い注文などはチェックも働く。それになんといっても場の状況が声を通じて伝わってくるところが良かった。何かしらの材料で相場が動くと電話の先が大騒ぎしており、場の状況が電話口から伝わってくる。
私がディーラー駆け出しのころは、とにかく間違いなく委託注文を含めた売買を伝え、約定を受けてそれを会社の担当者やディーラーの先輩に伝えることが重要で、さらに自分の売買注文も出さなければならず、なかなか余裕はなかった。しかし、さすがに時間とともに慣れてくると、実栄証券の担当者とも仲良く話しをするようになった。実栄証券の担当者は数か月ごとに変わっていったが、担当者によってはたいへん気が合うようになり、売買の公正さから言えば、本当はいけないことであったかもしれないが、それでも人と人であり、仲良くなれば飲みにも行くようになる。そこで実栄証券から見たJGB先物などの相場の世界とはどのようなものなのか、駆け出しディーラーの私にとって彼らから聞く話はのちのちの自らのディールにたいへん役立った。さらに他社のJGB先物の担当者を紹介してもらうなどしたことで、情報交換のためのネットワークも広がった。
その後、債券先物はコンピュータ化され、電話を介した注文はなくなった。受話器を通じて場の様子も聞けなくなり、まさに値動きからでしか相場の動向が見られなくなったのは、ディーラーとしては寂しい。コンピュータ取引全盛の今でも、シカゴの先物市場やニューヨーク株式市場ではいまだに人が間にたって売買を行なっている。これは相場を形成しているのはあくまで人であり、人と人が売買をぶつけ合うことで、相場の場が形成され地合を読むことができる。これが本来の相場の世界であるのだと思う。
本日朝方に発表された3月の全国消費者物価指数(除く生鮮食料品)は、前年同月比で0.1%の低下となり、2007年9月以来、1年半ぶりに前年比マイナスとなった。食料品価格の上昇率が縮小したことなどが要因とみられる。
また、完全失業率は4.8%と前月比0.4ポイントの上昇となり、3月の有効求人倍率は0.52倍と前月を0.07ポイント下回り2002年4月以来約7年ぶりの低水準に落ち込んだ。このように雇用情勢は引き続き悪化を示した。
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