2009年度の新規国債の発行額は第二次補正予算後に53.9兆円に膨らみ、税収が36.9兆円規模になるとの見通しとなったことから、新規国債の発行額が税収を上回るという1946年以来、63年ぶりの異常事態となりました。
国債の総発行額には借換債や財投債も加わることで2001年からは100兆円を超す金額の国債が毎年発行されています。しかし、年々積み上がる国債の残存額に大きく影響するのが、新規に発行される新規国債(新規財源債、建設国債と赤字国債)と呼ばれる部分であり、その規模が再び膨れ上がっていることには注意が必要です。
過去の新規国債の発行額を見ると、1999年度は小渕内閣による積極的な財政政策により新規国債の発行額が37兆円を超え一旦ピークを迎えました。2000年度は33兆円、2001年は小泉内閣の公約にもなった30兆円ちょうどとなりました。2002年度から2004年度にかけては35兆円規模でしたが、2005年度には31兆円、2006年度27兆円、2007年度25兆円と景気回復により減少傾向となりました。しかし、2008年度はリーマン・ショックに代表される世界的な金融経済危機により33兆円規模になり、2009年度は景気悪化による経済対策により、54兆円と過去最大規模に膨らみました。そして、2010年度の当初予算による新規国債の発行額は44兆円規模となりました。
そして国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高は2008年度末で846兆円、209年度末で900兆円、そして2010年度末では973兆1625億円に上り1000兆円近くに達する見通しとなっています。
また、2009年11月にIMFが発表した日米欧や中国、インドなど世界20か国・地域(G20)の債務残高見通しによると、日本の政府債務残高のGDP対比は2007年が187.7%、2009年度見通しが218.6%、2014年見通しが245.6%となっています。
IMFによる2014年の見通しは米国が108.2%、英国98.3%、ドイツ89.3%と、いずれにせよ日本の財政悪化の数値が突出して大きいことがわかります。
債務残高がGDP対比で200%を超すことは世界的にも稀と、2009年10月の「国の債務管理の在り方に関する懇談会」で慶応義塾大学の吉野直行教授も指摘していますが、かなりの警戒水域に達していることも確かだと思われます。
しかし、いまのところ日本の国債が需給悪化により、暴落しその結果長期金利が跳ね上がる事態は発生していません。日本国債が暴落するという懸念は1999年あたりからすでに言われ続けているものの、その兆候すらなく、「国民は、まだまだいくらでも国債発行が可能であると思いがち」(吉野教授)ともなっています。果たして本当に国債暴落のリスクはないのでしょうか。このままの国債発行額が継続され残高が増加し続ければ、いずれ国債発行が困難となるときが訪れることも確かなのではないでしょうか
国債の決済に関しては、1995年時点ですでにアメリカ、イギリスなどは約定日から起算して2営業日目(T+1)つまり翌日決済を行っていたが、当時日本ではまだ特定日決済の5・10日決済をおこなっていた。ちなみに「特定日決済」とはある期間に約定された取引の決済をすべて特定の日に行う決済である。これに対して取引を常に約定日から一定期間経過後に決済するのは「ローリング決済」と呼ばれる。
その後日本でも1996年9月19日の売買分より、約定日から起算して8営業日目(T+7)に決済を行うローリング決済に移行し、1997年4月21日売買分から約定日から起算して4営業日目(T+3)に決済を行うことになり、現在に至っている。さらにT+1に向けての検討も進められている。
1988年に日銀ネットが稼動し、日銀の当座預金を用いた金融機関同士の資金決済や国債決済が日銀ネットを通じて行なわれている。金融機関同士が行う資金取引の決済や国債など証券取引の代金の決済や、民間決済システムの最終的な決済に、日銀の当座預金での振替が利用されている。日銀が金融機関との間で行っているオペレーションや貸出し、国庫金の受払い、国債の発行・償還に伴う資金の受払いなどについても、日銀の当座預金を介して決済が行われている。日銀はこうした資金や国債の決済が安全かつ効率的に行われるようにするために、コンピュータ・ネットワークシステムを構築し、これが「日銀ネット」とも呼ばれる日銀金融ネットワークシステムである。国債の入札も日銀ネットを使っている。
そして、証券と資金の振替が同時に行われる決済方式であるDVP決済(DVP、Delivery versus Payment)が1994年に導入された。これは資金の受払いと国債の受渡を相互に条件付け、一方が行われない限り他方も行われないといった仕組みである。
また、2001年からは国債決済にRTGS(即時グロス決済)(RTGS、 Real-Time GrossSettlement)が導入された。システミック・リスクに対応するため、日銀ネットを使った決済については、1日の決まった時間に多くの受払いを、まとめて受払差額のみを決済する方式(時点ネット決済)から、個別に随時決済を行うRTGS(即時グロス決済)という方式に一本化していている。RTGSによる決済では、1件ずつ即時に決済を行うため、ある金融機関で決済不能が生じても、その影響を受けるのは取引相手の金融機関だけとなり、そこから連鎖的な決済不能といった事態は回避できる。
2005年5月からは日本国債清算機関(JGBCC:Japan Government Bond Clearing Corporation)の業務が開始された。日本国債清算機関は、国債市場の主要プレーヤである証券会社・銀行・短資会社等の共同出資により2003年10月に設立されたものである。
現物国債のほとんどが店頭で取引されており、約定から決済に過程は、約定から照合、そして清算、決済といった流れとなっている。清算機関が創設される以前は、清算がないまま各当事者が相互に日銀ネット上で決済を行なっていた。しかし、清算機関が創設されたことにより、参加者同士の取引に関わる決済は、原則に日本国債清算機関に集約され、清算(ネッティング)を経て決済を行うことが可能となったのである。つまり参加者は決済上の相手方リスクを負うことなく、ネッティングにより決済量を大幅に減少させた上で、安全かつ効率的に決済することが可能となっている(日本国債清算機関のサイトを参考)。
債券など金融商品には流動性リスクというリスクが存在します。これは市場リスクとも呼ばれ、市場における売買が円滑に行われなかったことにより、期待していた収益が得られなくなるリスクのことです。
債券などの金融商品は、いつでも売りたいときに売れて買いたい時に買えるかどうかという点が重要です。国債のように流動性に優れているものであれば、通常は適正な水準で必要な金額を売買することが可能です。国債市場は一度に数千億円という売り買いすらこなせる市場になっているため、国債の流動性はかなり高いといえます。国債は現金に次ぐ流動性を誇っているとも言われ、これも国内の金融機関が積極的に国債を購入する大きな理由ともなっています。
それに対し、発行額の少ない債券などは希望する価格で売れなかったり、買い手が見つからないといったことが現実にありえるのです。国債でも発行額が比較的少なかく、買い手が偏在していた15年変動利付国債や物価連動債では、なかなか買い手が出てこないなど流動性リスクの問題が生じたことがありました。
また、取引の相手方に経営不安説が流れたり、システムが故障で停止したりするなど、なんらかの特殊事情によって決済が滞ってしまうリスクも流動性リスクといえます。そのひとつの典型例としてリーマン・ショックが上げられるます。
2008年9月のリーマン・ブラザーズ証券の破綻の際に、「正確な財務状況が確認されるまで既往契約に基づく決済を停止する」旨を発表したことで、約定済みの国債取引が一切履行されないという非常事態が発生しました。
この結果、リーマンが国債取引について引き起こしたデフォルトの規模は、2008年9月の予定分だけでも約7兆円規模に上ったのです。これによりリーマンと決済を予定していた相手先では、リーマンから引渡しを受けられなかった国債の調達やリーマンに引き渡す予定であった国債の売却処分を余儀なくされたのです。また、リーマンから引渡しを受けなかったものについては、即日にその国債を調達することもできずフェイルを余儀なくされました。
リーマン・ショックのあった2008 年9月において、累計で6兆円弱のフェイルが市場で発生しました。リーマン破綻の経験を通じて、市場では、「破綻等のストレス時にモノ・金を予定通りに受け取れないリスク」(デフォルト・フェイルに伴う流動性リスク)が、概念上の存在に止まらない現実的なリスクとして、改めて強く認識されたのです。 (「リーマン・ブラザーズ証券の破綻がわが国決済システムにもたらした教訓」日本銀行資料より、http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/research07/data/ron0903a.pdf)(参考、http://bullbear.exblog.jp/8631321/)
このリーマン破綻による国債取引への支障の経験により、国債市場において流動性リスクが現実に生じることが明らかになりました。この流動性リスクへの対応策のひとつとして検討されているのが、国債の決済期間を短縮しようというものです。証券、銀行など金融業界と日銀、金融庁は国債の決済日を現在の売買日の3日後(T+3)から、翌日(T+1)に短縮する方向で検討に入ったと伝えられています。ちなみにT+1のTとは「Trade date」のことで証券の売買が成約された日、つまり約定日を意味します。
参考、「国債の決済期間の短縮化に関する検討ワーキング・グループ」(第1回)議事要旨
http://www.kessaicenter.com/finish/kokusaik1.pdf
国債にも当然ながら信用リスクが存在する。信用リスクとは、どこかに貸したお金が約束どおり返ってこないとか、あるいは購入した債券の利息や償還金をあらかじめ決められた条件で支払うことができなくなる(債務不履行)リスクのことを示す。信用リスクはデフォルトリスクといった使われ方もする。実際に企業が倒産したり国の財政が破綻してしまうケースだけでなく、倒産する可能性が高くなることで債券の価格が下落することなども信用リスクに含まれる。
債券市場における信用リスクは、市場においてリスク・フリー金利に上乗せされるプレミアムといった形で表わさられる。それはひとつの信頼感の証とも言えよう。債券の発行体などに対してどの程度信用できるかはその上乗せ金利(スプレッド)という数字で表現される。ちなみにその元になるリスク・フリー金利は通常「国債」の金利となっている。
そして、国債そのものの信用リスクはソブリン・リスクもしくはカントリー・リスクと呼ばれるものである。ソブリン(sovereign)とは政府もしくは政府機関の発行する債券のことを示す。そして、ソブリン・リスク(sovereign risk)とは政府などに対する融資のリスクを意味している。これに対してカントリー・リスクとは海外投融資や貿易の対象となる相手国の政治、社会、経済などの環境に基づいた信用度の事である。
このソブリン・リスクやカントリー・リスクなど国の信用リスクを確認ために使われるものに「格付」がある。この格付けとは、債券などの元本や利息が、約定通りに支払われるかどうかの確実性を、専門的な第三者である格付け会社が評価して段階的に表示したものである。代表的な格付会社としては海外ではムーディーズ・インベスターズ・サービス、スタンダード&プアーズ、フィッチ・レーティングスなどがある。国内では格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)などがある。
たとえば、ある会社が債券を発行したいとき、格付け機関に費用を払って格付けを取得する。もしこの格付けが高いと、その企業の安全性が高いことが認められたわけで、高い利子をつけなくても債券を発行できるようになる。
格付け会社は、こういった企業の格付けのほかに、独自で国の格付けを実施している。日本では1998年11月に米国の格付け会社のムーディーズ・インベスターズが日本国債を最上級のAaa(トリプルA)からAa1(ダブルA1)に引き下げたことが大きな話題を呼んだ。また、スタンダード&プアーズは2010年1月26日に日本ソブリンのアウトルックを「ネガティブ」に変更したが、この理由として民主党政権の政策では財政再建が従来の予想より遅れるもようであることを指摘した。
ちなみに格付会社による日本国債の格下げによる国債価格への影響はこれまで限定的となっている。その要因としては日本国債が国内資金でそのほとんどが賄われており、国内投資家が国内金融商品で最も安全な資産とされる日本国債を、格下げを理由にして売ることはしなかったためである。しかし、格付け会社の日本国債の格下げは海外からの警鐘でもあり、日本の政府のみならず国民に強く財政危機を意識させたことも確かである。
ただし、2008年のリーマン・ショックなどをきっかけとした世界的な金融経済危機の際には、格付け会社の格付けに対しての問題点も指摘された。格付け会社の格付は絶対的なものではないことも確かであり、あくまで信用リスクを見る上での参考程度に考えておく必要がある。
また債券が債務不履行(デフォルト)に陥るリスクに備える保証料を示すCDSスプレッドも信用リスクを見るためのひとつ参考になる。通常5年物国債のCDSスプレッドが取引されています。この場合のCDSスプレッドとは、その5年物国債の年間保証料といえるものである。ただしCDS市場そのものの規模は小さく参加者も限定的であるため、日本ソブリンのCDSスプレッドの変化についても思惑的な動きによることも多いのが実情であることも注意したい。
ムーディーズとS&Pによる日本国債格付の推移
1998年11月ムーディーズ、日本国債格付けをAaa(トリプルA)からAa1(ダブルA1)に引き下げ
2000年9月ムーディーズ、Aa1からAa2に引き下げ
2001年2月S&P、AAAからAA+へ引き下げ
2001年9月S&P、アウトルックを「ネガティブ」に変更
2001年11月S&P、AA+からAAへ引き下げ
2001年12月ムーディーズ、Aa2からAa3に引き下げ
2002年4月S&P、AAからAA-へ引き下げ
2002年5月ムーディーズ、Aa3からA2に引き下げ
2004年3月S&P、アウトルックを「ネガティブ」から「安定的」に変更
2006年5月S&P、アウトルックを「安定的」から「ポジティブ」に変更
2006年6月ムーディーズ、アウトルックを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げ
2007年4月S&P、AA-からAAへ引き上げ
2007年7月ムーディーズ、A2を引き上げ
2007年10月ムーディーズ、A2からA1に引き上げ
2008年6月ムーディーズ、A1からAa3に引き上げ
2009年5月ムーディーズ、 Aa3からAa2に引き上げる一方、 外貨建て債務格付けをAaaから引き下げ、両者をAa2に統一
2010年1月S&Pはアウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更。
26日の大引けあとに、格付会社のS&Pは日本ソブリンのアウトルックを「ネガティブ」に変更した。ただし、長期・短期ソブリン格付けは、外貨建て、自国通貨建てともに、それぞれ「ダブルA」「A-1プラス」に据え置いた。個別債務の長期・短期格付け(「AA/A-1+」)も据え置いた。
スタンダード&プアーズは、日本の経済政策の柔軟性が縮小しており、財政圧力・デフレ圧力を食い止める対策がとられなければ、格下げになる可能性があると指摘した。
そして、日本の一般政府債務残高の対国内総生産(GDP)比率は2010年3月末時点で100%に達する見込みであり、日本はスタンダード&プアーズの格付け先ソブリンのなかで一般政府の債務負担がもっとも重いグループに属しているとしている。この場合の一般政府債務残高の対GDP比率は純債務のGDP比率とみられ、経済協力開発機構(OECD)の2009年12月時点でのまとめでも指摘されていたものである。
さらにスタンダード&プアーズは、民主党政権の政策では財政再建がスタンダード&プアーズの従来の予想より遅れるもようであるとしている。一連の社会政策が中期的な経済成長見通しの向上を見込みにくいものであることや、デフレ圧力が根強いことも勘案すると、日本の一般政府債務残高は今後数年で対GDP比115%に達する可能性が高いとみていると指摘した。
このS&Pによる日本ソブリンのアウトルック変更に対して、菅直人副総理兼財務・経済財政担当相は「民間格付会社の格付けに逐一コメントすることは控えたい」と冷静に受け止めたそうである。ただし、今年前半に策定する「中期財政フレーム」や「財政運営戦略」などで財政再建の道筋を明確にすることが重要と訴えた(ロイター)。
債券市場でも格付会社による日本国債の格下げ等の影響はこれまでも限定的であり、今回も26日の債券先物が139円38銭と当日高値で引けたあと、このアウトルック変更の発表を受けて、イブニング・セッションでは売りが入ったものの139円20銭まで。その後139円30銭に戻していた。
ただし、債券市場に影響はなかったのは、日本ソブリンのアウトルックがネガティブに変更されても違和感がなかったことにもある。つまりすでにこういったことも織り込み済みであったともいえる。
25日に国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高が2010年度末で、973兆1625億円に上る見通しとなったことが明らかになった。日銀の資金循環統計(2009年7〜9月期速報値)によると、家計の金融資産から負債を除いた純資産は1065兆4628億円となっている。
国の政府債務残高が家計の純資産に接近し、そして対GDP比の200%超えというのは、いよいよ注意信号が点るゾーンである。もちろんこれですぐに国債が国内資金で消化できなくなると言うわけではないが、国債を買い入れる国内の資金が次第に枯渇してくることだけは予想できる。
もしもの話だが、仮に国内資金で国債が賄えなくなるとなれば、国債は需給悪化により価格は急落し、その結果、長期金利は1999年以降の上限となっていた2%の壁を越えてくる可能性がある。現実には国内が貯蓄余剰となっており経常収支が黒字という状況下で、すぐにこのような事態が起きることは考えづらい。しかし、貯蓄率の低下なども加わり、今後も政府債務が大きく膨らんでいけば長期金利が跳ね上がるという事態が引き起こされる可能性は否定できない。
緩やかな金利上昇ならばこの長期金利上昇によって、海外投資家を呼び込むことができるかもしれない。10年債利回りは米国で3.6%程度、ドイツで3.2%程度あるし、日本の10年債利回りも少なくとも3%台ないと海外投資家の積極的な買いも期待しづらい。もちろん単純に利回りだけの問題ではないにしろ、少なくとも現在の日本の長期金利の水準では海外投資家は食指を動かさないはずである。
しかし、急激な長期金利の上昇となり、それが日本の財政悪化による国債需給への懸念となれば、パニック的な国債売りが引き起こされる可能性がある。その際には国債と同じ信用度の円の急落も招き、日本売りにより東京株式市場も急落しよう。世界経済への影響を考えると日本政府の破綻懸念はリーマン・ショックの比ではないことも確かである。
この国債の急落に対しての最後の手段は財政法で禁じられている日銀による国債の直接引き受けか。これはまさに安易な対策ながら、一時的に皆万々歳となる。国債需給悪化の呪縛から逃れるとともに、景気にも好影響を与え、徐々に物価も上昇してくる。
戦前の高橋是清蔵相の時の日銀による国債引受は、財政節度を弛緩させ、戦費調達を促進し、歯止のない国際の増発、戦争の拡大、そして戦後のハイパーインフレに繋がっていった(「1930年代における国債の日銀引受」富田俊基氏レポートより」。
人間いったん楽をしてしまうともう戻れなくなり、そのままハイパーインフレへの突入は歴史が示している。それでなくとも政府も国民も犠牲を払うことを避けての日銀による国債引受となれば、ブレーキなどかけられるわけはない。安易な日銀による国債引受論があるが、そもそも財政法で何故禁じられているのか、その歴史の経緯を再確認すべきである。
国民も漠然とした不安感を持っている。その不安を煽り立てるつもりはないが、国債価格の急落はその国債を間接的に保有している国民資産に大きな打撃を与えることも覚悟しておく必要がある。このリスクから逃れるには資産を完全に日本から分離させるための海外移住しか手段はなかろう。
こういった最悪の結果を招く前に政府は手を打つべきである。今年の参院選では政府による財政再建への本気度が問われたとしてもおかしくはない。
日銀の金融政策決定会合では、現在の金融政策の継続を全員一致で決定した。
展望レポートの中間レビューでは2009年GDPはマイナス2.5%(10月時点での見通しはマイナス3.2%)、CPIはマイナス1.5%(同マイナス1.5%)。2010年度GDPはプラス1.3%(同プラス1.2%)、CPIはマイナス0.5%(同マイナス0.8%)。2011年度はGDPプラか2.1%(同プラス2.1%)、CPIはマイナス0.2%(同マイナス0.4%)。
以下は「当面の金融政策運営について」より
「10月の展望レポートで示した見通しに比べると、成長率は概ね見通しに沿って推移すると予想される。物価については原油価格高の影響などから、見通しに比べてやや上振れて水位すると予想される。」
「日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であると認識している。そのため、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく方針である。金融政策運営に当たっては、きわめて緩和的な金融環境を維持していく考えである。」
最後のまとめの部分は10月は下記のようになっていた。
「金融政策運営に当たっては、きわめて緩和的な金融環境を維持していく方針である。日本銀行としては、わが国経済が物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰していくことを粘り強く支援していく考えである。」
今回は「デフレから脱却」とデフレという言葉が加わり、中央銀行として「支援」から「貢献」と言葉が変化していることも興味深い。政府をかなり意識していることがうかがえる。
日銀のサイトに「日本銀行百年史」(日本銀行百年史編纂委員会編、1982〜86年刊行)の本文6巻および資料編1巻の全文がアップされた。
http://www.boj.or.jp/type/pub/hyakunen/index.htm
たいへん貴重な資料が無料で読めるのはありがたい。現在の金融を知るにはまずその成り立ちから見ておくことはたいへん大事である。日銀の歴史を知らずに現在の金融政策を語ることは難しいはず。その意味でもこういった資料はありがたい。
今度はぜひ絶版となってしまっている大蔵省(当時)の「国債」もこういったかたちでアップしていただけるとうれしい。内容を最新のものに書き改めるのはかなりたいへんな作業になると思うが、この「国債」は現在でも債券市場関係者にとって必読の書となっているはずである。また、日本の財政悪化に対し世間の関心も強まっているだけに、ネットで新版を公開していただけると国債に対しての国民の理解も深まるのではなかろうか。
国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高が2010年度末で、973兆1625億円に上る見通しとなったことが、政府が国会に提出した予算関連資料で明らかになった。また、2009年度末には国の債務残高が900兆1377億円と初めて900兆円を突破する見込み。(共同通信)
参考までに日銀の資金循環統計(2009年7〜9月期速報値)によると、家計の金融資産から負債を除いた純資産は1065兆4628億円となっている。
参考、政府による予算関連資料の中の「国債及び借入金の状況に関する平成20年度末における現在高の実績並びに平成21年度末及び平成22年度末における現在高の見込及びその償還年次表に関する調書」
http://www.bb.mof.go.jp/server/2010/pdfhdocs/201014001Main.html
日本証券業協会が発表している統計の中に「公社債発行額・償還額等」があり、ここには発行額や償還額とともに残存額も出ている。直近のデータとなる2009年11月現在のデータから、日本の公社債の種類別残高を見てみたい。
http://www.jsda.or.jp/html/toukei/index8.html
公社債合計の残存額は899.4兆円となっているが、この内訳は以下のとおり。国債706.2兆円(78.5%)、地方債43.3兆円(4.8%)、政府保証債36.5兆円(4.1%)、財投機関債23.9兆円(2.7%)、普通社債59.0兆円(6.6%)、資産担保型社債0.8兆円(0.1%)、転換社債1.1兆円(0.1%)、金融債19.5兆円(2.2%)、円建非居住者債9.1兆円(1.0%)
国債と地方債、政府保証債、財投機関債をあわせると金額で810.0兆円、シェアは90.1%となる。
現在の日本の債券市場では当然ながら国債のシェアが高いが、地方債、政府保証債、財投機関債をあわせると9割となり、残高も800兆円を超えている。地方債なども消化はほとんど国内資金で賄われており、今後の国債への投資余力を見る上では、これらも考慮しておく必要がある。
1月22日付けの日経新聞によると日本の資産を引いた純債務のGDP比は先進国で最悪水準になったことが経済協力開発機構(OECD)の2009年12月時点でのまとめでわかった。
早速、OECDのサイトから「OECD Economic Outlook No. 86 Annex Tables - Table of Contents」を確認してみた。
http://www.oecd.org/document/61/0,3343,en_2649_34573_2483901_1_1_1_1,00.html
純債務のGDP比はこの中の「Fiscal balances and public indebtedness」からデータが取れる。「General government net financial liabilities」がそのデータとなり、これをみると日本の一般政府ベースの純債務のGDP比率は2010年に104.6%と初めて100%台に乗せるとともに、イタリアの100.8%を抜いてG7諸国中最悪となった。他のG7諸国では米国が65.2%、英国が59.0%、ドイツが54.7%、フランスが60.7%、カナダが32.6%
今注目されているギリシャは2010年は94.6%だが、2011年予測では101.2%となり100%台入りする。2011年予測の日本の112.7%とイタリアの103.4%とギリシャの101.2%がまさに債務三兄弟といったところか。
すでに日本は総債務残高のGDP比率が1999年に先進国中最悪となっていたが、純債務でも最悪となり、日本の財政が極めて深刻な状況にあることをあらためて示した格好となった。
2009年には4.8%の財政赤字となったカナダですが、それまでの財政再建は高く評価されています。今後の日本の財政再建に向けても大きな良い事例となると思いますので、危機的な財政からどのようにして立ち直ったのかをここで確認してみたいと思います。
カナダの財政赤字は、1970年代以降、景気低迷の中での歳出拡大、それに伴う国債費増大などにより大幅なものとなり、累積債務残高も急速に増加しました。累積債務残高の対GDP比で、1991年度以降、カナダはG7各国の中でイタリアに次いで高い水準となっていました。このため、財政再建が重要課題となっていたのです。
本格的に財政再建に取り組み始めたのが1993年11月に発足したクレティエン政権でした。同政権では財政赤字削減のために閣僚級のメンバーからなる特別委員会を設置し、選挙公約である「3年以内に財政赤字の対GDP比を3%以内に抑える」という目標をもとに財政の立て直しを進めていきました。その結果、1994年度以降、財政再建は強力に進められ1997年度以降は単年度ベースで財政黒字を計上したのです。
クレティエン政権はプログラム・レビュー(Program Review Tests)を導入し、6つの基準を設定し、これに基づいて全ての既存政策について徹底した見直しを実施したのです。その6つの基準とは、国民に求められているのかという公共の利益の基準、政府が提供すべきなのかという政府の役割」の基準、連邦政府に適切な仕事なのか州政府の仕事なのかの基準、民間に任せることはできないのかという民営化の基準、効率を上げることはできないのかという効率性の基準、 その結果残った仕事についての費用負担の適切さの基準です。
州への交付金や州との権限関係の見直し、失業保険制度や年金制度の改革、産業補助金の削減、政府企業の民営化やエージェンシー(外局)化、連邦公務員の削減、内閣組織の簡素・効率化などが積極的にすすめられ、各省庁の予算を1994年度から4年間で平均22%も削減したのです。
歳入についても大規模法人税の税率引上げ、付加法人税の税率引上げ等が実施されたものの、カナダでの財政再建は主に歳出削減により進められていったのです。
財政再建を進めた時期に、米国経済の回復によりその影響を受けやすいカナダ経済が回復したことも、カナダの財政再建を支えた要因として指摘されています。 しかし、カナダの経済に対する信任が国内外で厳しく問われたことで、そうした危機感が国民に共有されたことが、カナダの財政再建を成功させた大きな原動力になったことも確かであると思われます。
日本でも2009年の民主党政権が行った事業仕分けは、カナダのプログラム・レビューが参考にされたものです。しかし、カナダの財政改革は腰の座ったものであったのに対し、日本における短時間での仕分け作業では財政削減効果は限定的です。すでに1990年代のカナダ以上に危機的な状況となっている日本でも、本格的な財政再建が必要であり、それは国民も求めているものであるはずです。(参考、財務省資料「カナダの財政再建について」)
最近、ある方と国債や債券先物に関してのやり取りをしていました。せっかくなのでその際の内容をご紹介します(時間的な観点やその内容は順不同となっております。答えの内容に疑問点等ありましたら、ご指摘いただけるとうれしいです)。
(問い)JGB先物が現物の動きと乖離したまま推移するなどしたことで、裁定が働きにくくなるケースとは
(答え)裁定取引を行うのは主にヘッジファンドなど海外投資家です。ところがこの海外投資家がリーマン・ショックにより大きな損失を蒙り、裁定取引どころではなくなってしまいとにかく先物主体のポジションを解消に動いたことで現物債と先物の動きが乖離するといったことがありました。先物は常に現物のチーペストと完全連動しているわけでなくそのときの先物と現物それぞれの需給関係で、連動性が薄れることもままあります。
(問い)現在の景気低迷とデフレでどうして金融機関の資金は国債に向かいやすいのか。
(答え)インフレに対して、日銀は金融引き締めで対処するのに対しその反対のデフレには金融緩和策で対応します。つまり政策金利である短期金利を引き下げたり、資金を大量に供給することで、銀行はその資金で、安全資産であり多少なり短期よりも金利の高い国債で運用しているのです。それよりも、デフレとは物よりもお金の価値が上がることでありお金と同様の信用力を持っている国債が買われるのは必然です。(国債需給の問題はここでは置いといて)。
(問い)メガバンクがJGB先物でどのようなヘッジをしているのか。
(答え)債券市場では先物含めて手口情報が一切開示されておらず、具体的にメガバンクがどのような動きをしているのかは推測するだけとなります。このため、プロの市場参加者も具体的な動きは掴みづらいのが実情で、個人がこういった情報を掴むのはかなり困難かと思われます。ただし、前月の投資家動向は証券業協会の投資家別売買状況で確認できます。また、ある程度、動きを見てその時点での推測も可能ではあります。中期ゾーンの現物債に大きな動きがあれば、まずメガバンクの動きかと推測されています。過去の例からは、決算に向けて利益確定売りを出したり、また反対にポジションを積み上げたりと2月から3月に向けて動きがあることも多いのですが、売る際には先物も売っていることが多いはずです。また、金融政策の変更にも敏感に反応します。12月1日の臨時の決定会合での新型オペ導入でメガバンクは積極的に買っていました。反対に、金融引き締めの際には先物のヘッジ売りなどを入れてきています。ただし、目先の相場で銀行のALMなどでヘッジをすることはなかなか難しい面があります。図体が大きすぎて、自分で相場を作ってしまいかねないため、何かしらの材料、もしくは行内事情での入れ替え等がある際に先物でのヘッジなどを入れていると思われます。
(問い)なぜ先物市場があるのに債券を空売りするレポ市場があるのでしょうか?
(答え)債券先物は現状実質7年債と連動しています。このため10年国債の新発債などをヘッジするには期間のミスマッチが生じます。レポならば10年新発そのものを借りてカラ売りできるためこのようなミスマッチは生じません。
(問い)「円高だから日本の長期金利は低下し、円安だから長期金利は上昇する」という説をご解説いただけますでしょうか?
(答え)円高になると日本経済を支える輸出企業の業績が悪化するため、日本経済の悪化を招いて、それにより金利は低下傾向となります。円安となると原油価格など輸入物価が上昇し、物価上昇は長期金利の上昇要因となります。また、為替は基本的には金利差で動くので、日本の長期金利が上昇すれば理屈上は円高要因となります。ただし、為替市場、債券市場それぞれが今、何に一番影響を受けやすいのかによって反応の度合いが変ってきます。
(問い)投資家はなぜ投資の平均回収期間としてのデュレーションに注目するのでしょうか。
(答え)年金などは主にインデックス運用をしているためインデックスのデュレーションに合わせる必要があります。生保や銀行などは反対側にある保険金、預金の残存平均年数につまりデュレーションをマッチさせるように運用しています。生保は超長期、銀行は中期債主体に運用しています。JGB先物トレーダーにとって年金や生保、銀行が保有債券のデュレーションを長期化するのか短期化するのかも見ています。インデックス運用はさておき、そのほかの運用では運用次第で良し悪しが出てしまうため、金利が上がると思えばデュレーションを短目に金利が下がると思えばデュレーションを長めにします。さらに国もなるべく長期的に見て利払い費用を抑えるため平均残存期間であるデュレーションを意識してなるべく残存期間を長めにしようとしています。
(問い)プラザ合意を受けて日銀は短期金利を高めに誘導し、JGB先物に大量の売りが出たのはなぜでしょうか?具体的には何円から89円82銭まで下落したのでしょうか?
(答え)この際には、日銀は短期金利を高めることによって、ドルを売って円を買う動きを誘ったのですが、短い金利を無理やり上昇させれば当然ながら長い金利にも影響を与えます。長期金利も上昇圧力が加わりつまり債券は売られるわけです。それでなくても債券先物はスタートしたばかりで、ご祝儀で大量の買いポジションを持った証券会社も多くその売りが売りを呼ぶ展開となってしまったのです。債券先物は急落し、大量の売り注文により2日間値はつきませんでした。1985年10月24日の債券先物の引けは101円63銭で25日、26日は値がつかずストップ安のままとなり28日に96円63銭で寄り付いています。その後も下げて、11月14日に当時の安値89円82銭をつけています。そして、このプラザ合意による日銀の短期金利高め誘導にはさらに裏があります。内容はこちら、http://bullbear.exblog.jp/807929/
(問い)当初、シ団が引き受けた国債の市場消化が自粛されていたとのことですがどうしてしょうか。
(答え)国債発行が大蔵省の統制下にあったということかと思います。国債の利率も官製金利というか、低く抑えられていた上に銀行が自由に売却するのも制限されていました。
(問い)それでは、シ団が引き受けた国債を市場に売却する必要が出てきたのはなぜでしょうか?
(答え)国債の発行量が多くなって、持ちきれなくなったためです。実際には銀行保有の国債の多くは、日銀のオペで吸い上げられていたのですが、その日銀オペで吸収される比率の低下と都銀などの預金増加に占める国債の割合が急増したためやむをえず1977年に赤字国債から売却ができるようになりました。それでも引受後1年間は売却が自粛させられました。金融機関の保有する国債を自由に売り買いできるフルディーリングが開始されたのが1985年です。この年の10月に債券先物も開始されています。債券市場は結果としては必要に迫られて整備されたこととなります。
(問い)債券運用の利点の一つとして「安全性」が挙げられますが、社債でも償還日に元本が戻ってくるから同じ企業が発行する株式に比べて安全というロジックは成立しますでしょうか?
(答え)企業の倒産時には、株主よりも優先して社債投資家に資金が返済されるために同じ企業の株よりも社債の方が比較的安全といえます。ただしその弁済率はケースバイケースである点に注意も必要となります。これは倒産手続きの種類(会社更生、和議、破産など)や社債の種類(普通社債、劣後社債)によって異なります。最終的には、社債権者集会などで、利害関係者の話し合いによって決められます。
(問い)なぜ海外の年金は中長期債ではなく主に超長期債に投資をするのでしょうか?
(答え)海外の投資家は年金を含め、金利の低い日本国債への投資はあまり積極的ではありません。インデックス運用をしているところも日本の債券の比率は落としているところが多いと言われています。それでも内規などで日本の債券でも運用せざるを得ないところは資金の借入コストなどを考えるとなるべく利回りの高いもの、つまり超長期債を買わざるを得ないのです。
(問い)ヘッジファンドのアセットスワップが長期金利、JGB先物に与える影響と何か例を示してください。
(答え)アセットスワップを海外ファンドが仕掛けることで、投資家層の薄いとみられる30年国債などが積極的に買われ結果として海外投資家が超長期の国債需給に貢献することになっていました。しかし、リーマンショック後に海外ファンドがこのアセットスワップを含めポジションを縮小させた結果超長期債の保有層が生保や年金主体に限られてしまい、超長期国債が売られた一因になっています。
(問い)国債の入札について、テールが短いほど人気が高いといえるのはなぜでしょうか?
(答え)テールは平均落札価格と最低落札価格の差ですが、人気が高いと業者はなるべく落札したいものの高値掴みは避けたいと最低落札価格とみられる価格に集中して応札します。このためテールは短めになります。しかし、人気がないと安いところにも札が入り、その安いところまで下げないと全体の応札額に満たないとなれば平均落札価格と最低落札価格の差が大きくなります。ただし、テールはあくまで人気を測るバロメーターのひとつであり絶対的なものではありません。
(問い)金利が上昇するとデュレーションの長い債券ほど下落するというのは何故でしょうか。
(答え)債券は残存期間が長く利率が低いほど同じ利回りに対しての価格変動幅が大きくなります。つまり金利が上昇した際には、残存期間が長くもさらに利率が低いもの、これは平均残存年数を示す修正デュレーションがより長いものということになりますがその価格変動幅が大きくなる、つまり価格の下落幅が大きくなるのです。
ユーロ導入時に締結された財政安定化成長協定では、ユーロ導入後のインフレ抑制のために、参加各国の財政赤字を対GDP比3%、政府債務残高を同60%以内に抑制することが定められています。各国の財政事情を見るにあたりこの財政赤字の対GDP比3%、政府債務残高を同60%というものがひとつの目安になるかと思います。
2008年秋のリーマン・ショックによる世界的な金融経済危機により、各国は積極的な財政政策を行なったことで、欧米を主体に各国の財政赤字は拡大しました。OECDの2009年12月時の「Economic Outlook 86」によると2009年の対GDP比の財政赤字は日本が8.3%、米国が11.6%、英国が13.3%、ドイツが5.3%などとなっています。また、1997年に財政黒字となったカナダも2009年には4.8%の赤字となっています。
米国では対GDP比の財政赤字の比率が第二次大戦後最高水準に急伸し、財政問題が世界経済の不安定要因となる可能性も指摘されています。米国債の信認を維持させるためにもオバマ政権にとり超長期的な財政再建策が大きな課題になっています。
単年度で見た対GDP比の財政赤字では主要国で最悪とされる英国でも、やはり財政再建策が大きな焦点となっています。2010年以降の4年間で財政赤字の対GDP比率を半減させることを目指していますが、財政再建への道はかなり厳しいと思われます。
また、政府債務をフロー面からではなくストック面から見ると日本の政府債務が極端に大きくなっていることがわかります。2009年度の債務残高の国際比較(対GDP比)をみると、日本は189.3%となっており、イタリアの127.0%をも大きく上回りG7諸国の中で最悪の水準となっています。
米国や英国も急速に悪化し、米国は83.9%、英国は71.0%となってはいますが、日本と比較すればまたまだ少ないことも確かです。
1998年末に起きた運用部ショックにより1999年2月に長期金利が2.440%をつけて以来、長期金利は2%が大きな壁となり、ほぼ2%以内での低位安定が続いている。1999年2月以降で長期金利2%を超えたのは、同年の8月に2.040%、2006年の4月に2.000%、同5月に2.005%をつけただけである(2010年1月現在)。
2%に接近したのはたとえば2000年9月の1.990%、2004年6月に1.940%、2007年6月に1.985%があったが、それぞれ2%が壁となって跳ね返された。反対に最も長期金利が低下したのが2003年6月の0.430%である。
日銀は1999年2月にゼロ金利政策を導入したが、2000年8月にゼロ金利政策を解除した。しかし、2001年3月に更量的緩和政策を導入せざるを得なくなった。この背景にあったのが、景気と低迷とともにデフレ圧力の強まりであった。
デフレそのものは安全資産である国債への買い圧力に繋がるだけでなく、量的緩和政策の導入より日銀が積極的に資金を供給し、その資金の多くが国債に向かったのである。これによって大手銀行などを主体に国債保有額が増加した。さらに日銀は量的緩和策の一環として国債買入を増額したことで、これも国債需給にとりプラスに働いた。
それでは、1999年2月以降の2%台乗せもしくは2%に接近した際の要因を確認してみたい。
1999年8月に2.040%をつけたときには当時の小渕首相が1999年度第2次補正予算の編成を柱に積極的に景気を下支えしていく考えを打ち出したことなどが要因となった。
2000年9月につけた1.990%は、8月に日銀がゼロ金利政策を解除したあとだけにやや神経質となったことでつけた。
2004年6月に1.940%をつけた背景には景気の回復があった。
2006年4月に2.000%をつけたのは3月に日銀が量的緩和政策を解除しており、また米10年債利回りが3年10か月ぶりに5%の大台に乗せてきたことなどが背景にあった。
2006年5月に2.005%をつけたのは日銀によるゼロ金利解除の可能性が強まっていた事などが要因となったが、日銀は翌7月にゼロ金利政策を解除している。
2007年6月に1.985%をつけたのは米長期金利が5%台に乗せてきたことなどが材料視された。
このように日銀の金融政策や米長期金利の上昇などが要因とはなったが、その多くに海外ヘッジファンドによる売り仕掛けがあったことが指摘されている。日本国債の需給悪化を主たる材料に、海外ファンドは幾度となく日本国債への売りを仕掛けてきたが、結局は長期金利の2%という壁に跳ね返されてきたのである。
国債の発行残高は増加し続けているが、いまのところ日本国債の需給が揺るぐことはなかった。日本国債への信認がとりあえず維持され、国内資金でしっかり賄えていることが要因ではあるが、果たしてそれがいつまで続けられるのか。ここ10年以上も長期金利の2%が防波堤のような役割となっている。しかし、それが決壊し長期金利が2%を超えて大きく跳ね上がったときこそ、真の意味での国債需給への危機が訪れたということになりそうである。
1月18日に日銀の支店長会議が開催された。日銀総裁による冒頭の挨拶について、昨年10月に開催された際のものと比較してみた。
まず、世界経済の見方については「改善の動き」が「緩やかに回復」とやや上方修正された。
国内景気については、公共投資に関する見方に変化がある。10月に公共投資が増加を続けていることが景気持ち直しの要因のひとつと指摘していたが、1月では公共投資は頭打ちとなりつつあるとし、民主党政権となってからの公共投資の抑制などが意識されている。
1月の景気持ち直しの要因としては「内外における各種対策の効果」を指摘している。設備投資について1月は「減少ペースは緩やかになってきている」から「下げ止まりつつある」に改善させている。また、個人消費についても、10月の「全体としては弱めの動き」から、厳しい雇用・所得環境が続いているとしながらも1月は「各種対策の効果などから耐久消費財を中心に持ち直している」とこちらも改善傾向にあることを示した。
先行きについて、輸出や生産は10月が「増加を続ける」としていたが、1月は「増加ペースが次第に緩やかになっていく」とやや下方修正している。10月に国内民間需要は引き続き弱めに推移する可能性が高いとしていたが、1月には個人消費は持ち直しの動きが続く可能性が高いとし、設備投資は横這い圏内に止まる可能性が高いとしている。さらに公共投資については10月の「当面は増加を続けると見込まれる」から1月は「次第に減少していくとみられる」としている。その結果、日本景気の先行きの見方としては10月の「持ち直していく」から1月は「持ち直しを続けるが、当面そのペースは緩やかなものに止まる」としている。この表現を見る限りにおいては二番底まで意識したような見方ではないものと思われる。
物価の見方については、10月の「下落幅が拡大している」が1月は「下落している」とやや変化はあったものの、先行きは下落幅は縮小していくと考えられるとの見方に変化はない。
そして、最後のまとめに明らかな変化があった。10月は「当面、景気・物価の下振れリスクを意識しつつ」の部分が「日本経済がデフレから脱却し」と「デフレ」という言葉が組み込まれた。さらに10月にはなかった「金融政策運営に当たっては、きわめて緩和的な金融環境を維持していく考えである。」という一文が付け加えられている。政府のデフレ宣言に歩調を合わせるとともに、時間軸なども意識して超低金利政策を維持させていく考え方をあらためて強調している。
2010年01月、(1)世界経済は、昨年春頃から持ち直しに向かい、このところ緩やかに回復している。国際金融資本市場では、改善の動きが続いている。
2009年10月、(1)昨年秋以降同時かつ急速に悪化した世界経済は、このところ改善の動きが見られている。
世界経済の見方については「改善の動き」が「緩やかに回復」と上方修正されている。
2010年01月、(2)わが国の景気は、国内民間需要の自律的回復力はなお弱いものの、内外における各種対策の効果などから持ち直している。内外の在庫調整の進捗や海外経済の持ち直し、とりわけ新興国の回復などを背景に、輸出や生産は増加を続けている。設備投資は下げ止まりつつある。個人消費は、厳しい雇用・所得環境が続いているものの、各種対策の効果などから耐久消費財を中心に持ち直している。この間、公共投資は頭打ちとなりつつあり、住宅投資は減少している。
2009年10月、(2)わが国の景気は、持ち直しつつある。公共投資が増加を続けているほか、内外の在庫調整の進捗や海外経済の持ち直し、とりわけ新興国の回復などを背景に、輸出や生産も増加を続けている。設備投資の減少ペースは緩やかになってきている。一方、厳しい雇用・所得環境が続く中で、個人消費は全体としては弱めの動きとなっており、住宅投資は減少している。
国内景気については、公共投資に関する見方に変化がある。10月に公共投資が増加を続けていることが景気持ち直しの要因のひとつと指摘していたが、1月は公共投資は頭打ちとなりつつあるとし、民主党政権となってからの公共投資の抑制などが意識されている。1月の景気持ち直しの要因としては「内外における各種対策の効果」を指摘している。設備投資については1月は「減少ペースは緩やかになってきている」から「下げ止まりつつある」に改善させている。個人消費についても、10月の「全体としては弱めの動き」から、厳しい雇用・所得環境が続いているとしながらも「各種対策の効果などから耐久消費財を中心に持ち直している」とこちらも改善傾向にあることを示した。
2010年01月、(3)先行きについては、輸出や生産は、増加ペースが次第に緩やかになっていくとみられるが、海外経済の改善が続くもとで、増加基調を続けるとみられる。個人消費は、厳しい雇用・所得環境が続く中にあっても、各種対策の効果などから耐久消費財を中心に持ち直しの動きが続く可能性が高い。一方、設備投資は、収益がなお低水準で、設備過剰感も強いもとで、当面は横這い圏内に止まる可能性が高い。この間、公共投資は、次第に減少していくとみられる。このため、わが国の景気は、持ち直しを続けるが、当面そのペースは緩やかなものに止まると考えられる。
2009年10月、(3)先行きについては、国内民間需要は、厳しい収益環境や雇用・所得環境が続くもとで、引き続き弱めに推移する可能性が高い。一方、海外経済の改善が続くことなどから、輸出や生産は増加を続けるとみられる。また、公共投資も、当面は増加を続けると見込まれる。このため、わが国の景気は、持ち直していくと考えられる。
先行きについて、輸出や生産は10月が「増加を続ける」としていたが、1月は「増加ペースが次第に緩やかになっていく」とやや下方修正している。10月に国内民間需要は引き続き弱めに推移する可能性が高いとしていたが、1月には個人消費は持ち直しの動きが続く可能性が高いとし、設備投資は横這い圏内に止まる可能性が高いとしている。さらに公共投資については10月の「当面は増加を続けると見込まれる」から1月は「次第に減少していくとみられる」としている。その結果、日本の景気の先行きの見方としては10月の「持ち直していく」から1月は「持ち直しを続けるが、当面そのペースは緩やかなものに止まる」としている。この表現を見る限りにおいては二番底まで意識したような見方ではないものと思われる。
2010年01月、(4)物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、経済全体の需給が緩和した状態が続く中、前年における石油製品価格高騰の反動などから、下落している。先行きは、石油製品価格などの影響が薄れていくため、下落幅は縮小していくと考えられる。
2009年10月、(4)物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、経済全体の需給バランスが緩和した状態が続く中、前年における石油製品価格高騰の反動などから、下落幅が拡大しているが、今後は、石油製品価格などの影響が薄れていくため、下落幅を縮小していくと考えられる。
物価の見方については、10月の「下落幅が拡大している」が1月は「下落している」とやや変化はあったものの、先行きは下落幅は縮小していくと考えられるとの見方に変化はない。
2010年01月、(5)わが国の金融環境をみると、厳しさを残しつつも、改善の動きが続いている。企業の資金繰りは、中小企業を中心になお厳しいとする先が多いものの、改善の動きが続いている。わが国金融システムについては、内外金融資本市場が改善傾向を示し、景気も持ち直す中で、総じて安定性を維持している。ただし、国内の厳しい企業業績や雇用・所得環境のもとで、金融機関収益は回復力に乏しい展開が続くとみられる。こうしたことを踏まえ、金融システムの動向を引き続き注意深くみていく必要がある。
2009年10月、(5)この間、わが国の金融環境をみると、厳しさを残しつつも、改善の動きが拡がっている。CP・社債市場では、低格付社債を除き、良好な発行環境となっている。企業の資金繰りや金融機関の貸出態度については、中小企業を中心に、なお厳しいとする先が多いものの、改善の動きが続いている。わが国金融システムについては、内外金融資本市場が概ね落ち着いて推移し、景気が持ち直しつつある中で、総じて安定性を維持している。ただし、海外金融システムには依然脆弱性が残り、厳しい企業業績や雇用・所得環境が続くもとで信用コストが増加を続ける可能性があることなどを踏まえると、先行きについては引き続き注意が必要である。
金融環境については、改善の動きが続き金融システムは安定性を維持しているとの見方に変化はない。先行きについては10月には海外金融システムの脆弱性の影響を指摘していたが、1月は国内の金融機関収益は回復力に乏しい展開が続くことの影響を指摘している。
2010年01月、(6)日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが極めて重要な課題であると認識している。そのために、中央銀行としての貢献を粘り強く続けていく方針である。金融政策運営に当たっては、きわめて緩和的な金融環境を維持していく考えである。
2009年10月、(6)日本銀行としては、当面、景気・物価の下振れリスクを意識しつつ、わが国経済が物価安定のもとでの持続的成長経路へ復帰していくため、中央銀行として最大限の貢献を行っていく方針である。
最後のまとめに明らかな変化があった。10月は「当面、景気・物価の下振れリスクを意識しつつ」の部分が「日本経済がデフレから脱却し」と「デフレ」という言葉が組み込まれた。さらに10月にはなかった「金融政策運営に当たっては、きわめて緩和的な金融環境を維持していく考えである。」という一文が付け加えられている。政府のデフレ宣言に歩調を合わせるとともに、時間軸なども意識して超低金利政策を維持させていく考え方をあらためて強調している。
1998年の大蔵省資金運用部ショックをきっかけにして国債管理政策も進められた。特に「市場との対話」が重視され、市場関係者及び有識者から、財務省が直接かつ継続的に意見を聴取することを目的として、2000年9月から国債市場懇談会が開催された。
ただし、この国債市場懇談会はあくまで財務省理財局長の勉強会との位置づけであり、これを進展させ。財務省令に基づく正式な制度となったものが、2004年10月発足した日本版プライマリー・ディーラー制度とも言われる「国債市場特別参加者制度(通称、PD懇)である。この「国債市場特別参加者制度」の導入にともない2006年3月末には国債引受シンジケート団が廃止された。
市場との対話としては、2002年4月から「国債投資家懇談会」、2004年11月から「国の債務管理の在り方に関する懇談会」、2007年6月から「国債トップリテーラー会議」が開催された。
「国債投資家懇談会(通称、投資家懇)」は、国債の消化を一層確実かつ円滑なものとするとともに、国債市場の整備を進めていくため、国債の投資家と財務省が直接かつ継続的に意見交換をする場となっている。
「国の債務管理の在り方に関する懇談会」(通称、在り方懇)とは、長期的な視点から、国債管理政策を中心とする国の債務管理について、有識者から意見を聞くために開催されている。
また、「国債トップリテーラー会議」では個人の国債保有を促進する観点から、個人向け国債の募集取扱を積極的に行っている金融機関と、個人に対する国債の販売のさらなる推進のため当局との間で相互に意見を交換する場として活用されている。
国債の年限の多様化も進められ、1999年9月からは30年国債が発行され、さらに財務省としても念願であった5年国債の発行は2000年2月から実施されています。6月には15年変動利付国債の公募入札の開始、2004年3月から物価連動国債の発行が開始、2007年11月には40年国債の発行も開始されている。
国債市場の流動性の向上に対する取組としては、2003年2月から買入消却入札が開始された。買入消却入札とは国債整理基金特別会計を活用し、流動性に乏しい既存国債を買い入れて消却するもので「バイバック」とも呼ばれている。
2006年4月に流動性供給入札が導入された。流動性供給入札は買入消却とは反対に構造的に流動性が低下している銘柄の流動性を向上させるための国債の追加発行となる。銘柄ごとに利率や発行量などの違いによって異なってくる国債の需給を安定させるための対策のひとつとなる。また2008年4月からは定期的に行っている通常の流動性供給入札とは別に、国債市場における一時的な過度の流動性不足に対応するため特別流動性供給入札も行なっている。
2008年4月から利付債の発行日を原則 T(入札日)+3 に設定した。
流通市場における取組としては、2003年1月から国債のペーパーレス化を実施、2004年2月にWI(入札前)取引の開始、また2005年5月からは株式会社日本国債清算機関(JGBCC)の業務が開始された。
このほかにも財務省は国債管理政策として、いろいろな手段も講じている。国債の購入層の裾野を広げるための「個人向け国債」を発行した。2003年3月に10年変動金利型、2006年1月から5年固定金利型の発行が開始された。2010年7月からは3年固定金利型の発行が開始される。また、2007年10月からは新型窓口販売方式が導入された。
そして、国債に係る海外投資家に向けての海外説明会(IR)の開催が2005年1月から行なわれている。
14日の夕方に財務省で開催された「平成22年度予算等に関する説明会」に参加させていただいた。大学やシンクタンクなどに属する学者やエコノミスト、いわゆる学識経験者向けの説明会である。私は学識はあまりないにも関わらず今回も呼んでいただき、本当に感謝したい。
これまでのこの説明会では財務省の担当者が説明されていたが、政権が変って今回は財務省出身の大串政務官がほぼお一人で説明された。私自身としてはこれで始めて政権が変わったのかと実感した次第。
説明後の質疑応答では、やはり財政悪化に関する質問が多かった。大串政務官が何度も使っていた用語が、Debt-to-GDPであった。言うまでもなくDebt-to-GDP ratioとは政府債務の対GDP比である。他の先進国に比べて極端に悪化している日本のDebt-to-GDPは大きな問題である。どの程度の政府債務の規模であれば維持が可能なのか、その答えは難しい。もし答えが見つかるとすれば、日本国債が売れなくなったときであろうし、そのような事態はあまり想像したくはない。
大串政務官の説明や質疑に対しての答えはすばやく明瞭であった。私よりもずっと若い方ではあるが、すごくしっかりされているように見受けられた。予算編成という激務に絶えられるだけのバイタリティを持った政治家との印象を持った。
今回も多くの資料もいただいた。ちょうど国債関係の本を執筆している最中なだけにたいへん参考になる。終了後、国債業務課の知り合いを尋ねた際に、中島国債業務課長と御挨拶させていただいた。
1月15日発行の冬の個人向け国債の5年固定金利型の販売額は1866億円となり、2006年1月の発行開始以来、最低水準となった。10年変動金利型も546億円と低迷した。この結果今回の販売額は合わせて2412億円となり、一回あたりの販売額としては過去最低となった。
今回の5年固定タイプの利率は年率税引き前で0.44%となり、2006年1月の発行開始以来最低水準となったことが影響した。また、10年変動金利型の初期利子は0.45%となり、5年固定金利型が発行されて以来、初めて5年固定型の利率を上回った。これを受けてか10年変動金利型の販売額は今回前回の414億円を上回っている。これを見ても個人は国債を購入するに金利をかなり意識していることがわかる。
ちなみに何故、今回10年変動金利型の初期利子が5年固定型の利率を上回ったのかといえば、日銀の金融政策が影響している。日銀が超低金利政策を進めて中短期債が買われた半面、財政への懸念で長期、超長期債が売られイールドカーブがスティーブ化したから、という訳ではない。
実は今回の個人向け国債の条件を決定した日が関係していたのである。個人向け国債の条件の決定は10年国債の入札日に行なわれている。つまり今回の冬の個人向け国債の条件決定日は12月1日。日銀が臨時の決定会合を開催した日である。
10年変動金利型の初期利子を決める基準金利は10年国債の入札結果に基づく。その10年国債の入札は日銀の決定会合の結果発表前に締め切られている。ところが5年固定型の利率は15時現在の5年債利回りが基準金利となるのである。この日に日銀は臨時の決定会合で新型オペの導入を決定した。市場はさらなる緩和策を期待して失望感もあったとはいえ、新型オペによる積極的に資金供給が期待されて特に中期債の利回りが大きく低下した結果、今回の逆転現象を生んだのである。
今回の1月の発行で今年度の個人向け国債の販売は1兆3598億円となった。昨年10月に今年度の個人向け国債の販売計画は2.4兆円から1.3兆円に下方修正されたが、なんとかこの販売額は上回った格好に。
これまで発行された個人向け国債の回号別販売額と税引き前の初期利子(固定は利率)は下記の通り
第1回変動10年(2003年3月)3,835億円(うち郵便局499億円)、0.09%
第2回変動10年(2003年4月)3,486億円(うち郵便局746億円)、0.05%
第3回変動10年(2003年7月)2,802億円(うち郵便局588億円)、0.05%
第4回変動10年(2003年10月)9,432億円(うち郵便局1,659億円)、0.77%
第5回変動10年(2004年1月)1兆3,951億円(うち郵便局995億円)、0.62%
第6回変動10年(2004年4月)1兆4,185億円(うち郵便局1,244億円)、0.55%
第7回変動10年(2004年7月)1兆7,726億円(うち郵便局1,990億円)、0.74%
第8回変動10年(2004年10月)1兆8,652億円(うち郵便局2,484億円)、0.74%
第9回変動10年(2005年1月)1兆7,647億円(うち郵便局2,436億円)、0.67%
第10回変動10年(2005年4月)2兆3,374億円(うち郵便局1,990億円)、0.73%
第11回変動10年(2005年7月)1兆6,423億円(うち郵便局2,484億円)、0.45%
第12回変動10年(2005年10月)1兆3,629億円(うち郵便局2,483億円)、0.55%
第13回変動10年(2006年1月)8,001億円(うち郵便局1,488億円)、0.68%
第14回変動10年(2006年4月)8,285億円(うち郵便局1,491億円)、0.85%
第15回変動10年(2006年7月)9,813億円(うち郵便局995億円)、1.10%
第16回変動10年(2006年10月)7,323億円(うち郵便局997億円)、0.92%
第17回変動10年(2007年1月)4,334億円(うち郵便局938億円)、0.84%
第18回変動10年(2007年4月)3,479億円(うち郵便局642億円)、0.87%
第19回変動10年(2007年7月)3,713億円(うち郵便局736億円)、1.01%
第20回変動10年(2007年10月)1,932億円、0.85%
第21回変動10年(2008年1月)1,316億円、0.68%
第22回変動10年(2008年4月)622億円、0.57%
第23回変動10年(2008年7月)1010億円、1.00%
第24回変動10年(2008年10月)461億円、0.69%
第25回変動10年(2009年1月)317億円、0.58%
第26回変動10年(2009年4月)267億円、0.50%
第27回変動10年(2009年7月)432億円、0.73%
第28回変動10年(2009年10月)414億円、0.53%
第29回変動10年(2010年1月)546億円、0.45%
第1回固定5年(2006年1月)1兆1,285億円(うち郵便局497億円)、0.80%
第2回固定5年(2006年4月)9,883億円(うち郵便局1,490億円)、1.01%
第3回固定5年(2006年7月)1兆2,430億円(うち郵便局996億円)、1.30%
第4回固定5年(2006年10月)8,584億円(うち郵便局998億円)、1.13%
第5回固定5年(2007年1月)10,730億円(うち郵便局998億円)、1.20%
第6回固定5年(2007年4月)8,326億円(うち郵便局1,311億円)、1.13%
第7回固定5年(2007年7月)1兆5,964億円(うち郵便局1,545億円)、1.50%
第8回固定5年(2007年10月)7,692億円、1.15%
第9回固定5年(2008年1月)4,196億円、0.94%
第10回固定5年(2008年4月)2,919億円、0.81%
第11回固定5年(2008年7月)8,942億円、1.22%
第12回固定5年(2008年10月)3,929億円、0.99%
第13回固定5年(2009年1月)4,729億円、0.80%
第14回固定5年(2009年4月)2,941億円、0.71%
第15回固定5年(2009年7月)4,441億円、0.82%
第16回固定5年(2009年10月)2,690億円、0.60%
第17回固定5年(2010年1月)1,866億円、0.44%
米国債の先物取引は主にCMEグループのシカゴ商品取引所(CBOT)で行われている。シカゴ商品取引所(CBOT)では、額面10万ドル、利率年6%、償還期限30年のT-Bond標準物を取引対象とするT-Bond先物取引が行われている。
また、中期国債(Treasury Notes)では額面10万ドル、利率年6%。償還期限10年のT-Note標準物を対象とする取引や、額面10万ドル利率年6%、償還期限5年のT-Note標準ものを対象とする取引、そして額面20万ドル利率年6%、償還期限2年のT-Note標準物を対象とする先物が取引されている。
それぞれ限月は3月、6月、9月、12月となり、最終売買日は限月一月前の最終営業日のシカゴにおける2営業日前である。取引時間帯は現地時間での7時20分から14時となっている。
ドイツ国債の先物取引は主にユーレックス(EUREX)ドイツで行なわれている。利率6%の期間2年物Schatzを対象とする取引、利率6%の期間5年物Boblを対象とする取引、そして利率6%の10年Bundを対象とする取引、利率4%の30年BUXLを対象とした取引が行われている。全て額面は10万ユーロ、取引時間帯は現地8時00分から22時00分までとなっている。
中国人民銀行(中央銀行)は12日に銀行の預金準備率を1月18日から0.5ポイント引き上げると発表した。預金準備率の変更は、世界的な金融危機へ対応するために2008年12月に引き下げを実施して以来、引き上げは2008年6月以来となる。預金金利と貸出金利は据え置いた。
適度に緩和的な金融政策は続けるものの、銀行融資の増加ペースが年明けから速まっており、過剰流動性の吸収を強化する必要があると判断したとみられる。
日経新聞によると、市場金利を誘導する先進国型の金融政策が確立していない中国では、行政的な措置を通じて銀行の貸し出し量をコントロールする「窓口指導」が金融政策の重要な位置を占めている。2008年秋の世界的な金融経済ショックを受けて人民銀行は貸し出しの増加を指示する窓口指導を開始し、それが中国経済を下支えする要因ともなった。しかし、融資の増加ペースが勢いづいたことで、今回の預金準備率の引き上げに踏み切ったものとみられる。
準備預金制度とは、銀行に対して受け入れている預金等の一定比率(預金準備率、法定準備率、準備率)以上の金額を無利子で中央銀行に預け入れることを義務づけている制度である。銀行は預金者保護の立場からも常に一定の余裕金を保有し、顧客からの預金引出しに応じられるように備える必要がある。こうした余裕金のことを「準備預金」と呼んでいる。
日本での準備預金制度は1957年に施行された「準備預金制度に関する法律」により、金融政策の手段として導入された。「準備預金制度に関する法律」の目的としては、その第一条に「この法律は、通貨調節手段としての準備預金制度を確立し、わが国の金融制度の整備を図るとともに、国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」とある。通貨調節手段という言葉が示すように、これは日銀による金融政策のひとつの柱ともなっていた。
準備率を政策的に変動させることによって、銀行の支払準備を直接的に増減させることにより、銀行の資金の運用などにも変化を与えることで間接的ながら景気や物価にも影響を与えようとする手段として用いられることが目的となっていた。ただし、支払準備を直接的に増減には預金準備率の変更によって行われることとなっていたものの、日本ではほとんど金融政策の手段として用いられることはなかった。
これに対し先進国型の金融政策が確率していない中国では、「金融政策の手段として預金準備率の役割を重視する」(周小川自民銀行総裁)としているのである。
ここにきて国債の動向に注目が集っている。2009年度の税収を国債発行額が上回るといった事態により日本の財政への懸念の強まりが背景にある。これは過去に何度も繰り返されてきたことではあるが、財政悪化への懸念が出てきたことで日本国債への信用失墜に賭けた海外投資家などによる動きなども入ってきているようである。
1998年あたりから10年以上も何度も日本国債の暴落懸念といったものは出ているが、過去にないほど長期金利は低位安定し続けている。これは景気低迷、デフレといった要因から資金が国債に向かいやすくなっていたことが背景にあり、大量に発行された国債も難なく消化され続けているためである。
この国債がいつまで、いやどの程度の額まで消化可能なのか。それを正確に突き止める術はない。ただし、政府債務のGDP比200%、政府債務残高の1000兆円はひとつの警戒ゾーンとして注目されるレベルであり、それに接近してきていることも確かである。
ただし、現実に日本国債への信用失墜や消化困難といった事態が発生する兆しはいまのところはない。仮にそういった事態がある程度現実味を帯びて可能性が出てくるようならば、マーケットはもっと敏感に大きく動き出していてもおかしくはない。たとえ10年以上も低金利が続いて麻痺していたとしても。
いずにせよ日々値動きのある債券先物の動きなどは、この国債需給などとともに経済物価動向を写す鏡でもある。株価はそれぞれの企業の業績を写し、FXは他国との相対的な景気や物価などを比較する鏡となるが、日本国債の動きはそのまま「日本」の動向を写す鏡でもある。つまり国債の動きを知り、その背景にあるものを理解していれば、日本経済を取り巻く環境がある程度理解できるはずである。
東西ドイツ統一時に大量発行されたドイツの国債は、主に海外投資家が購入し、欧州金融市場における国債の指標的な地位を確立しました。また、2008年9月のリーマン・ショックにより世界の金融市場が混乱した際に、ユーロ圏の債券市場ではドイツ国債に投資家の資金が集中したのは、その流動性や信用力の高さを示したものと言えます。
ドイツにおける国債の発行根拠法は、連邦基本法及び予算基本法です。連邦予算における信用調達(国債、借入金)については連邦法で限度額の授権が必要となり、信用調達の額は、連邦予算の投資的支出の額を超えてはならないこと、が定められています。
連邦政府は、上記限度額の範囲内で、国債の種類・年限等を自由に選択することができます。1993 年から四半期毎の入札・発行予定を、また、1999 年分から年間の入札・発行予定を公表しています。
連邦大蔵省、連邦銀行及び連邦債務管理庁の3機関に分散していた国債管理事務はドイツ国債会社(German Finance Agency:GFA)に統合されました。これにより国債の入札や管理の仕事はドイツ国債会社に移され、国債の入札スケジュールや国債発行計画などはドイツ国債会社から発表されます。
ドイツ国債の入札に参加できるのは一定の落札シェアという条件を満たし、入札への参加を希望する金融機関等でオークション・グループと呼ばれています。1990 年に、それまでの全額引受シンジケート団による発行からシ団と入札の併用となり、1998 年からは全額入札による発行となっています。
ドイツの国債の種類には短期国債、中期国債、長期国債があります。このうちの短期国債としては1996年から短期割引国債(BuBills)の6か月物が定期発行されています。また、2009年から1 年物、そして3 か月物、9 か月物を新規発行しています。
中期国債としては期間2年物(Schatz)と5年物(Bobl)が発行されています。そして、長期国債はブンズ(Bund)とも呼ばれ、発行量も多くドイツ国債の中心的や役割を担っています。また、5年物と10年物の物価連動国債も発行されています。
このドイツ国債利回りは、ユーロ加盟国すべての国債の基準(ベンチマーク)としても利用されています。
また、ドイツでは2008年7月に個人向け国債の新商品を導入しています。これは銀行預金に近い商品(Tagesanleihe)で、オーバーナイト金利に連動し、預け入れ・引き出しを自由に行うことが出来ます。これにより2008 年個人向けの国債発行額は前年の約2倍となったそうです(財務省資料を参考)
健康上の理由により辞任した藤井財務相の後任に菅副総理が任命された。就任後の菅財務相の発言を聞く限り先行きに不安を覚えた。
円相場について菅財務相は、「経済界には90円台半ばぐらいが適切という見方が多い。もう少し円安の方向に進めばいいと思っている」と述べた。藤井前財務省の就任時には、「緩やかな動きなら介入には反対、円高反対という考えは極めて一方的だと」発言し、これを市場は円高容認と読んで円買いのきっかけとなった。これを意識しての菅財務相の発言かとも思われるが、財務相が具体的な為替水準を挙げるような発言は極めて異例である。
それとともに日銀とも連携して円安に促す考えも示した。これは為替介入の可能性を示唆していると思われることから、これにより円高が進行した際に、市場では介入期待が強まることもありそうだ。実際にこの菅発言をきっかけに円安が進行した。
また、菅財務相は、金融政策との連動を含め、景気の二番底を回避したいと日銀の金融政策にも言及している。
12月1日の臨時の金融政策決定会合で新型オペが導入された背景に、当時の菅経済財政担当相が主導したとみられる政府によるデフレ宣言が影響したと指摘する声がある。菅氏が財務相となったことにより、これまで以上に日銀に対して政府からのプレッシャーがかかる可能性がある。これまでは日銀に一定の理解を示していた藤井前財務相が防波堤のような役割をしていたが、日銀は今後直接波を被る可能性もありそうだ。
さらに菅財務相は「今、緊縮財政にしていいとは一度も思わなかったし、そのような主張はしてこなかった」とも発言した。現在の景気の現状からは致し方ないと思うものの、「需要拡大という方向でいろいろな政策を展開することが、財政再建の基本的な道筋だ」とも強調していた。
この発言から見て、財政規律を守るという面からは、菅財務相は前任の藤井氏に比べてさほど厳しくはないともみられる。民主党政権となり、財政規律の緩みが指摘されるなかにあり、菅財務相の就任によりこのような見方がさらに強まると、今後国債需給への懸念が強まる恐れがある。
債券市場ではここにきて今後の国債需給に対しての懸念を強めつつある。海外ヘッジファンドなどは日本の財政悪化を理由にポジションを作っているとの指摘がある。 今回もまた日本の財政悪化を理由とした債券の下落は一時的なものとなる可能性はあるものの、国内投資家まで日本国債への信認に対し疑問を持つようになった際には、国債が急落する事態を招きかねない。現政権にとっても財務相を中心に財政規律を守る姿勢をしっかり示すことはたいへん重要なことではずである。
昨日の菅財務相の発言を聞く限り、なんとなく先行きに不安も覚えた。円相場については、「経済界には90円台半ばぐらいが適切という見方が多い。もう少し円安の方向に進めばいいと思っている」と述べた。藤井前財務省の就任時には、「緩やかな動きなら介入には反対、円高反対という考えは極めて一方的だと」発言し、これを市場は円高容認と読んで円買いのきっかけになったが、ある意味藤井さんの発言の方がまともに聞こえる気がする。
財務相が具体的な為替水準を挙げてような発言は極めて異例であるとともに、日銀とも連携して円安に促す考えも示し、これは為替介入をするぞと言っているようにも聞こえるが、これにより介入期待感が強まることもありそうだ。実際にこの菅発言をきっかけに円安が進行した。
また、菅財務相は、金融政策との連動を含め、景気の二番底を回避したいと日銀の金融政策にも言及している。12月1日の臨時の金融政策決定会合で新型オペが導入された背景には、政府のデフレ宣言などが要因と指摘する声もあり、菅氏が財務大臣となりと、余計に日銀への政府からのプレッシャーがかかる可能性がある。これまではむしろ藤井さんが防波堤のようや役割をしていたように思われたが、日銀は今後直接波を被る可能性もある。
そして菅財務相は「今、緊縮財政にしていいとは一度も思わなかったし、そのような主張はしてこなかった」とも発言した。現在の景気の現状からは、それは致し方ないと思うが、「需要拡大という方向でいろいろな政策を展開することが財政再建の基本的な道筋だ、と強調しており、どうやら財政規律を守るという面からは、菅財務相は藤井さんほどは厳しくはなさそうであり、今後国債需給への懸念がさらに強まる恐れもありそうである。
世界の国債市場の中で最も影響力が大きいのが米国債市場といえる。米国債つまり「トレジャリー」の動向は各国の金融市場にも大きな影響を与えている。現在、米国債の中で指標的な存在となっているのは10年物国債であり米国の長期金利とは直近に入札された10年国債の利回りを示すことが多い。
米国債の発行根拠法は合衆国憲法(第1条第8項)に基づいて連邦議会が定めた第二自由公債法となっている。同法において、国債残高に制限額を課してその範囲内であれば自由に国債を発行し資金調達できることとしている。
また、米国での国債は、日本のように単年度の予算における歳入・歳出の差額を埋めるという単年度主義の観点からではなく、その時々における国庫の資金繰り上の必要性から発行されている。したがって、年度の国債発行予定総額や年限別の発行予定額が事前に法令若しくは予算上定められていることはなく、各時点における国庫の資金繰り状況に応じて、市場動向も勘案しつつ、弾力的に国債発行を行っている(以上、財務省「国債市場特別参加者制度」資料などを参考)。
米国の国債発行は日本と同様に財務省の所管事項となっており、国債入札のスケジュール(発行年限とその頻度)は四半期ごと(2月、5月、8月、11月 )に決定される。入札額が発表されるのは入札が実施される約1週間前となる。
米国債の種類としては市場性国債と非市場性国債に分けられる。市場性国債とは広く一般の投資家を対象に売買が自由にできる。市場性国債の種類には、財務省証券(Treasury Bills )と呼ばれる1年未満の割引債と、中期国債(Treasury Notes)と呼ばれる償還期限が1年超10年以下の利付債(2年・3年・5年・7年・10年)、そして長期国債(Treasury Bonds)と呼ばれる償還期限が10年超の利付債(30年)がある。
また、元本及びクーポンが消費者物価指数に連動するTIPSと呼ばれる物価連動債(5年・10年・30年)も発行されている。
非市場性国債には、米国の個人向け国債である貯蓄国債と、米財務省が政府管轄の政府機関や信託基金、特別会計に対して直接発行されるものがある。
米国債の取引の大部分は日本と同様に店頭市場で取引されている。売買が行われる時間帯は通常は午前9時から午後4時となっている。そして、米国債の決済にはフェド・ワイヤーと呼ばれるコンピューター・システムで行われている。
日本国債の格下げがいろいろと議論されているが、債券市場関係者にとり格付会社の格下げなどは、過去の経験から売りの材料として捉えづらい面がある。それよりも恐いのは、国内の買い手がもう買えないとバンザイしてしまったときか。
もし、国内の買い手が引いてしまった際には、海外投資家に頼ることとなるが、そうなれば他国の国債より優位になるようにある程度の利回りが求められる。ただし、日本への信用不安による急激な長期金利上昇では、リスク回避から海外投資家はむしろ売ってきてしまう可能性が高い。
最終的な手段としては日銀による国債直接引受か。ただし、それは財政法で禁じられた手段。禁じ手を使った際は、いっときは景気や物価にとり良い刺激となり、財政への懸念も後退するが、ブレーキをかけることはできずハイパーインフレを導くことは過去の歴史が証明している。
財務省は昨年12月25日に個人向け国債の新商品(3年固定金利型)の商品性の概要を発表した。(http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/kojinmuke/houdouhappyou/211225shohinsei.pdf)
個人向け国債の3年固定金利型第1回債の発行は、平成22年7月(募集は6月)となる。
既存の5年固定金利型と10年変動型との共通点は以下の通り。
購入対象者が個人に限定される。最低額面金額は1万円で1万円単位での購入となる。募集価格は額面100円につき100円。償還金額は額面100円につき100円(中途換金時も同じ)。利払いは年2回(半年毎)。中途換金の特例として、保有者が死亡した場合又は大規模な自然災害により被害を受けた場合は、第2期利子支払期前であっても中途換金することが可能。
既存の5年固定金利型と10年変動型との相違点としては、まず償還期限が3年と短いことがあげられる。そして発行頻度が現行の個人向け国債(5年固定金利型及び10年変動金利型)が従年4回の発行なのに対し、新型個人向け国債(3年固定金利型)は毎月発行となる。
3年固定金利型の金利は基準金利−0.03%となる。この基準金利は、募集期間開始日の2営業日前(原則として月初第1営業日、4月、7月、10月、1月において発行する債券については、10年固定利付国債入札日)において、市場実勢利回りを基に計算した期間3年の固定利付国債の想定利回り)となる。
中途換金については10年変動型と同じく第2期利子支払日(発行から1年経過)以降であれば、いつでも中途換金可能となっている。
ここにきての個人向け国債の販売低迷の主たる要因は、その利子の低さにあったものと思われる。このため3年固定金利型の個人向け国債も利子そのものが低くければ、個人向け国債販売テコ入れになるかどうか不透明である。
ただし3年固定金利型の利子は、残存期間3年の5年固定利付国債の市場実勢利回りをベースに算出した想定利回りとなる基準金利からわずかに0.03%差し引いたものであり、発行開始から1年以降に中途換金が可能であるなど、その条件からは10年変動型や5年固定型に比べ個人が魅力を感じる可能性がある。また、期間も3年と短いことや毎月発行されることでの買いやすさもあることで、それなりに金利がつけば個人向け国債の主力商品になる可能性がある。
2010年の債券相場のテーマも当初は「デフレ」と「国債需給」になるかと思います。もちろんここには「景気動向」も大きく影響を与えると思いますが、景気については二番底への懸念はあるものの、生産主体に回復基調を辿り、いずれ雇用環境などにも改善の兆しが見えてくるのではないかと予想しています。
デフレについては、昨年、突然に出てきたものではなく、長きに渡り日本経済を蝕んでいる大きな問題となっています。デフレは物価の問題ではあるものの、その対策には金融政策では限度があり、需給ギャップを少しずつでも解消するような政策対応が求められます。しかし、日本の財政はここにきてさらに悪化してきており、財政出動に頼ることにも限界があります。ここはお金よりも知恵を絞る必要がありそうです。
今後は成長著しい中国やインドに対し、まだ比較的優位にある日本の基礎技術などをうまく利用し、販路を拡大することも重要かと思います。ここはやはり日本を代表する輸出企業を中心にがんばってもらうことが必要ではないかと思います。
しかし、日銀もデフレに対して手を拱いているわけにはいかないと思われ、昨年に続いてあらたな対応策を講じてくる可能性はありそうです。ただし、昨年の新型オペの導入のようにこれまで行なってきた対応とはやや趣を変えた手段を講じてくるかもしれません。いずれにしても、日銀は当分の間、超低金利政策を続けるとともに積極的な資金供給を行なってくるものと思われます。
このため、中期債主体に余剰資金を抱えた銀行による積極的に投資が行なわれるものと予想され、中短期の金利は低下圧力を強めそうです。それに対して長期や超長期の金利は下げ渋りの展開となることが予想されます。
長期債や超長期債は「国債需給」への懸念が相場の足かせとなりそうです。中期債には銀行という買い手が存在するものの、長期債や超長期債には積極的な買い手が見当たりません。本来の買い手となる生保や年金などは、超長期債への投資に対し、かなり慎重な姿勢で臨んでいます。さらに国債需給悪化がテーマになり続けるとなれば、海外投資家による買いも、多くは望みにくいことも確かです。
財政再建への道筋が見えず、国債需給についてはいまのところ改善する見込みはありません。2009年度の新規国債発行額が53兆円にものぼり、2010年度は44兆円規模となっています。2010年度は景気次第では参院選なども睨んで追加の財政策がとられる可能性もあるため追加発行の可能性があり50兆円台乗せの可能性もあるかと思います。また、2011年度の新規国債の発行額も同程度の規模となる可能性もあります。
ただし、国債の需給悪化の「懸念」だけでは相場の下落は限定的であり、長期金利の上昇も限定的になると思われます。しかし、国債需給が重石となり長期金利の低下にも限度がありそうです。このため2010年の長期金利は、1.2%あたりから1.8%の動きを予想しています。
今年の債券相場を予想するにあたり、昨年の債券相場を簡単に振り返ってみたいと思います。
米債安などから2009年の債券先物は売り気配でのスタートとなり、12月30日比35銭安の139円77銭で寄り付きました。2008年末に長期金利は1.155%まで低下しましたが、その反動売りも入ったものとみられます。2009年の長期金利の最低利回りは1月5日の1.185%となりました。 3月13日から14日にかけてロンドンで開催されたG20では経済成長を回復するためあらゆる手段を取るとし、その一環として18日の日銀の金融政策決定会合では長期国債の買い入れを月1.4兆円から1.8兆円に大きく引き上げることが決定されました。これを受けて長期金利は24日に1.250%まで低下しました。
その後、追加経済対策にともなう国債需給への懸念や、米景気への回復期待などからFRBによる早期の利上げ観測などもあり米長期金利が上昇し、日本の長期金利は6月に1.560%まで上昇したが、これが2009年の最高利回りとなりました。日経平均株価は6月12日に1万円の大台に乗せてきました。 9月16日に鳩山政権が発足したが、このタイミングを狙って債券先物には海外投資家によるとみられる売りが入った。財政悪化を材料視したものとみられる。また、藤井財務相の円売りドル買い介入は安易に実施しないとの発言をきっかけに、幅広い通貨に対して円買いが進み9月25日にドル円は90円を割り込んだ。この円高と米株安を受けて9月28日に日経平均株価は一時1万円の大台を割り込みました。8月全国消費者物価コア指数は前年同月比2.4%のマイナスと過去最大の下落となりました。
2010年度予算については一般会計の概算要求が最大95兆円程度と過去最大規模に膨らみ、これにより国債需給への懸念も出てきた。10月上旬あたりからは海外ファンドが債券の売り仕掛けをしていたものとみられ、また大手銀行も現物債を売却していたことも手伝って、11月に入り長期金利は1.485%まで上昇したものの、1.5%は超えてきませんでした。
相場のテーマが国債需給悪化からデフレに移り、11月20日の政府によるデフレ宣言により、日銀の金融政策にも影響を与えました。ドバイ・ショックなどもあり、12月1日に日銀は臨時の金融政策決定会合を開催し、新型オペの導入を決定しました。これにより長期金利は1.190%と1.2%割れとなる場面もありました。
しかし、長期債や超長期債への買いは、生保などの投資家が先行きの需給悪化を懸念し慎重姿勢を示したことで限定的となりました。しかし、日銀は金融政策決定会合で中長期的な物価安定の理解を明確化し、デフレ退治の姿勢を明確化。日銀は積極的に資金供給を続け年末には日銀の当座預金残高は20兆円台に乗せてきました。これを受けて中期債の利回りは低下圧力を強め、5年債利回りは一時0.425%と2005年7月以来の水準に低下しました。
新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
大納会と今日の大発会が半日ではなく全日立会いとなったことに加え、今年の年末年始の休みがカレンダーの関係で4日と短かったことも影響してか、なんとなく年を越えたという意識が例年に比べて薄くなったような気がします。
それでも新たな年を迎えたことに変わりなく、2010年の相場も本日からスタートしました。東証では次世代システムのアローヘッドが稼動しています。相場の世界も少しずつ変化してきているようです。さて、今年はどのような年になるのやら。いずれにしても良い年にしたいものです。
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