「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」


2010.2.26「財務省の国債利回りの新指標」

26日付けの日経新聞によると3月2日から財務省は、日本国債の利回りについて新たな指標を公表する。長期金利といえば直近に入札された10年国債の所有期間利回りを指すことが多いが、この利回りは日本証券業協会や日本相互証券が業者などが公表している。ただし、この10年債利回りは期間は10年ちょうどということはむしろ少ない。たとえば現在の長期金利は10年305回債の利回りを指すが、この305回債の残存期間は9.80年となっている。

このため、財務省は過去のデータなどを元にして修正を行い期間がちょうど10年の国債利回りを算出し公表するようである。10年だけでなく1〜10年物に加え、15年、20年、25年、30年、40年物の国債の各利回りを算出する。公表は利回りの終り値の出た日の翌営業日の午前11時ごろになる見込み。

米国や英国、ドイツなどでも財務省や中央銀行がこうした利回りを発表している。

たとえば、米国債利回りは米財務省が下記サイトで発表している。

http://www.treas.gov/offices/domestic-finance/debt-management/interest-rate/yield.shtml

ドイツではブンデスバンクが下記のようなレートを公表

http://www.bundesbank.de/statistik/statistik_zeitreihen.en.php?lang=en&open=zinsen&func=row&tr=WT4612

また、デイリーではないが月次ベースで、ECBは下記のページでユーロエリアの10年債利回りを公表している。

http://www.ecb.int/stats/money/long/html/index.en.html#fn2


2010.2.25「24日の山口日銀副総裁の講演要旨より」

日銀のサイトにアップされた24日に鹿児島で行なわれた山口日銀副総裁の講演要旨の内容を確認してみたい。特に注目されたのは「デフレを巡る問題」の部分か。

「デフレ、つまり経済の体温が下がった状態にあるのは、日本経済の基礎体力が低下していることの顕われ」であり、「これが起点となって景気の悪化をもたらし うる点にも注意が必要」としている。

「最近、経済の様々な問題をデフレと結びつける形で議論する例が増えているように思います。それだけに、デフレが経済に対してどのような意味で問題をもたらすのかについては、丁寧に議論することが大事」とも山口副総裁は述べている。裏を返せば、何でもデフレに結び付けられてぎろんされている節があるということであろうか。

デフレが経済にもたらす問題として、まず、金利をゼロ%以下に下げられないために、金融政策の発動余地が制約されるという「ゼロ金利制約」の問題を上げている。

過去の歴史を踏まえてデフレが景気のさらなる悪化をもたらした事例として、「企業債務などの金額を事後的には削減しにくいことが、企業収益の圧迫や、債務の返済負担の増加を通じて、景気悪化の度合いを強めた」ことをあげている。

また「売上や企業収益の減少が企業経営者の先行きの成長期待を萎縮させ、新たな設備投資や技術革新に対する挑戦が行われにくくなる惧れ」も指摘している。

そして、「デフレ下では、新分野を切り拓くより、既存商品の価格競争力を高める方向に注力されがちですが、価格競争だけでは成長への活力を得にくくなる点を、十分意識しておく必要がある」としている。

デフレを克服するためには、需要不足という根本的な原因に対する治療を粘り強く続ける必要があり、デフレがデフレを呼ぶ状況を生まないために、企業マインドが萎縮しないように働きかけていくことが大切であるとしている。

そのためには、設備投資や家計の消費といった民間需要の回復が鍵を握り、前提として企業の成長期待を引き上げていくことが重要だとしている。

つまり結果としてはデフレ克服には婉曲ながらも、日銀の金融政策では限界があることを示したものとみられる。


2010.2.25「日本国債先物入門の予約が開始されました」

私の新著「日本国債先物入門」の予約がアマゾンさん
で開始されました。

長期国債先物が1985年10月に東京証券取引所に上場してから今年で25年目を迎えます。上場当初から間接的に携わり、1986年10月からはこの先物や現物国債のディーラーとして14年以上携わり、その後は分析者として携わってきた経験を生かしてまとめた日本国債先物の集大成です。日本のソブリンリスクに備えるためにも是非、お買い求めいただけるとうれしいです。

本の内容としましては「第1章 JGB先物の妙味」でまず日本国債先物の概要を説明しています。「第2章 債券の基礎知識」「第3章 国債の基礎知識」で日本国債先物を理解いただくための基礎知識を説明させていただきました。「第4章 JGB先物の仕組み」で日本国債先物取引そのものの説明をしています。「第5章 JGB先物市場を知る」では、債券ディーラーの経験を生かしてのディーリングのために必要な知識やノウハウを網羅しました。さらに、過去の動きを知るためにJGB先物市場の歴史を振り返りました。付録として「JGB先物オプションの仕組み」と「海外の債券先物」についても解説しました。

「第1章 JGB先物の妙味」、知られざる巨大市場、日本債券市場の指標、JGB先物は「日本」の鏡、簡単な損益計算例、データの入手、JGB先物を理解するために
「第2章 債券の基礎知識」、2-1.債券とは、2-2.債券市場と金融市場、2-3.債券価格の変動要因
「第3章 国債の基礎知識」、3-1.国債の発行、3-2.現物市場
「第4章 JGB先物の仕組み」、4-1.JGB先物とは、4-2.取引所取引、4-3.決済と証拠金、4-4.JGB先物プレーヤー
「第5章 JGB先物市場を知る」5-1.ディーラーの1日、5-2.JGB先物トレードのコツ、5-3.JGB先物市場の歴史
「付録A JGB先物オプションの仕組み」「付録B 海外の債券先物」


2010.2.24「1月の貿易統計は輸出入ともに増加」

財務省が24日に発表した2010年1月の貿易統計によると、輸出は対前年同月比40.9%増となり2か月連続の増加、輸入も対前年同月比8.6%と2か月連続での増加となった。差し引きでは、8752億円の黒字となった。

地域別にみると
対米国では輸出が24.2%増と29ヶ月ぶりの増加、輸入が7.8%増と16か月ぶりの増加。
対EUでは輸出が11.1%増と2か月連続の増加、輸入は1.3%%減とこちらは16か月連続の減少
対アジアは輸出が68.1%増と3か月連続の増加、輸入は5.6%増と15か月ぶりの増加
対中国では輸出が79.9%増と3か月連続の増加、輸入は2.3%減と15ヶ月連続の減少

米国向け輸出が自動車や自動車部品、半導体等電子部品の伸びなどから29ヶ月ぶりの増加となった。また、輸入についても航空機類の増加などで16か月ぶりの増加に。欧州向けでも自動車などの輸出が伸びた。アジア向けでは半導体等電子部品に加え、プラスチック、有機化合物の伸びが大きく3か月連続の増加に。また、輸入も半導体等電子部品や音響映像機器、石油製品などの伸びにより15ヶ月ぶりに増加した。中国向け輸出は自動車の伸びが大きかった。


2010.2.23「財政再建に向けての現政権の消極姿勢」

日経新聞によると、2月22日に政府は政権公約を効果に応じて柔軟に修正できる仕組みをつくる検討に入ったそうだが、これはすぐに実施させるようなものではなく「2012年度以降」の予算に反映させるそうである。

このような財政再建に向けての現政権の消極姿勢は長期金利にとって今後大きな不安定要因となる可能性を秘めている。

本日の日経の経済教室で、日本経済研究センターの竹内純一郎主任研究員は、「歳入は景気次第の所得税に依存している。消費税を原資に年金不安の解消や法人税率の引く下げを急ぐ時期である」と提言している。

現政権は消費税の上げを先送りするばかりか、財源不足に対して鳩山由紀夫首相は、所得税の最高税率引き上げ、証券優遇税制の見直し、大企業の内部留保課税を掲げたようである。しかし、それぞれ個人消費や企業の国際競争力を削ぐなどマイナスの影響を与え、景気のさらなる減速を招きかねない。その後鳩山首相は企業の内部留保への課税について決めたわけではないと述べ慎重な姿勢を示したが、場当たり的な対応で凌ごうとの姿勢であったことが伺える。

政府首脳は口頭では財政再建というものの、6月をめどに策定する中期財政フレームについても、具体的に数値目標を出せば自らの政策を縛りかねない。安定的な財源となりうる消費税の引き上げについてもこのように先送りの意識が鮮明である。

このような財政再建に向けての現政権の消極姿勢は長期金利にとって今後大きな不安定要因となる可能性を秘めていると言わざるを得ない。


2010.2.22「政府部門の正味資産が初のマイナスに」

22日付けの日経新聞によると、国と地方を合わせた政府部門の資産から負債を差し引いた正味資産が、2009年末に初めてマイナスに転落した模様だと伝えた。

内閣府の国民経済計算確報によると、国と地方に社会保障基金を合わせた政府部門の資産は2008年末で前年末比約33兆円減の約995兆円と、統計をさかのぼることができる1969年以降で初めて減少した。

また、負債残高は前年比約16兆円増の約984兆円と過去最大を更新し、この結果、2008年末の正味資産は前年末から50兆円近く減り、わずかに11兆8031億円しかなかった。

社会保障基金の資産取り崩しが拡大傾向にあることで2009年度の資産残高の減少は続くとみられる。また、国債増発により国だけでも約25兆円の負債が増加するため、負債総額は1000兆円を超える見通しとなっている。

このため、2009年末で政府部門の正味資産がマイナスに転じたのはほぼ確実となり、民間企業ならば債務超過の状況となる。正味資産がマイナスに転じるのも1969年の統計開始以来初めてとなる。

民間企業で言えば債務超過に陥ることとなるが、これが即座に財政破綻を意味するわけではないものの、非常に危険な状態に陥りつつあることも確かである。これもいずれ国債の需給に、じわりじわりと効いてくる可能性もある。日本の財政再建が急務であることは、このことからも明らかである。


2010.2.19「財政再建に向けて政府へのプレッシャー」

白川日銀総裁は昨日の会見で、「日本は大幅な財政赤字が続いており、債務残高の対GDP(国内総生産)比率が国際的に見て極めて高い水準になっているなど深刻な状況にある」と強調した。

「国債は円滑に消化されており、長期国債金利も低位安定して推移している」ものの、「金融市場がグローバル化していることを踏まえると、国際金融市場の安定を維持するために、私自身は2つのことが重要だと思っている」と述べた。

第1は、「財政再建の道筋を示し、市場の信認を確保すること」。第2は、「中央銀行の金融政策運営が財政ファイナンスを目的としていないこと。言い換えると、物価安定の下での持続的な経済成長を目的として政策運営が行われていること」であり、「そうした中央銀行の政策姿勢を政府が尊重し、市場も信認していることだ」と述べた(以上、ブルムバーグ)。

日本の財政悪化による国債価格の下落リスクに対し、もし日銀が国債買入の大幅な買い増しを行なえばそれは明らかに財政ファイナンスを目的としたものとなり、財政法で禁じられている日銀引受に直結する恐れがある。

国債下落を回避するためには、まずは政府が財政再建の道筋を示し、市場の信認を確保することは言うまでもない。ところが現政権は財政再建に向けての本格的な議論は極力避けたがっているようにみうけられる。口頭では財政再建というものの、具体的に数値目標を出せば自らの政策を縛りかねない。消費税の引き上げについても先送りの意識が鮮明であり、国債需給から見てわずかな猶予期間に甘えている節がある。

日銀総裁の国債下落リスクへの警告は、そのまま国民の声となる可能性を秘めている。まだ、漠然とした不安感ながらもギリシャ問題などが報じられ国民の意識として、日本の財政は持つのかという意識は強まってこよう。次期衆院選で消費税引き上げの有無が焦点になると言うが、そんな悠長なことが言っていられるのか。今年の次期参院選で、消費税引き上げ問題を含めて日本の財政再建を焦点とすべきであろう。


2010.2.18「債券先物スタートして今年で四半世紀」

日本で戦後初の金融先物取引である長期国債先物が東京証券取引所に上場したのが1985年10月19日であり、今年の10月で25周年を迎えることとなる。

この四半世紀の間に金融市場を取り巻く環境は一変した。デリバティブ市場は拡大し、金融市場での資金の運用手段は多様化し複雑化した。それが1998年のリーマン・ショックを生んだ要因のひとつとなったものの、すでにデリバティブ取引は必要不可欠なものであるため、規制などが加わりながらもデリバティブ市場は発達し続けるであろう。

また、この四半世紀の間でコンピューター化が進み、それがデリバティブ市場の発達にも繋がっている。私が債券先物のディーラーになった当時は東証との直通電話で注文を伝えていた。その電話機はダイヤル式の黒電話であった。そして、その注文は実栄証券の担当者を通じて伝えられ、東証の担当者がそれを黒板に集計しそれにより価格が決定された。つまり完全に人の手を介在しての取引であった。

しかし、1988年4月30日からはコンピューターを介在したシステム売買が開始された。値段が付くスピードは向上したものの、東証の端末のキーボードとディスプレーを前に人が直接介在しない取引に対して一抹の寂しさも感じたことも確かであった。

この25年間の間、債券先物にはシステムばかりでなくいろいろな変更点があった。http://www.tse.or.jp/rules/jgbf/history/index.html しかし、長期国債先物の基本的な仕組みは維持されており、1985年10月19日の初値102円をつけてから現在に至るまで値動きは継続し、この債券先物は日本の債券市場の動向を示す指標的な役割を演じている。

この25年間の債券先物の値動きを見てみると、1998年末の運用部ショック以降は130円から140円の間を中心としたレンジ相場が続いている。これはデフレや景気の低迷といった要因とともに財務省の国債管理政策の進展なども影響したものと思われる。

この間の国債残高が大幅に増加してきていることも確かである。過去に幾度となく海外ヘッジファンドなどが日本の財政悪化を理由に債券先物をショートしても、結局は踏まされるといったことが繰り返されていた。

しかし、国債残高が増加すればいずれ国内資金で賄えなくなろうであることも確かであろう。このまま長期金利が低位安定し、債券先物の価格も高値安定が継続すると予想することの方がむしろ難しいのではなかろうか。

いずれ国債にはその下落リスクが大きく意識されることが出てこよう。その際に債券先物は大きなうねりを見せ始めるのではなかろうか。債券先物が登場した背景には、日本国債へのヘッジ機能という側面が大きい。いずれかのタイミングでこのヘッジ機能が試されることになるのではなかろうか。その意味でも、債券先物の値動きをチェックすることは債券市場関係者ばかりでなく多くの人にも重要になるのではなかろうか。


2010.2.18「FOMC議事要旨」

17日に1月26日から27日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が発表された。 この中で資産売却に関して様々な意見がでたようである。何人かのメンバーからは、近い将来に資産売却を開始することを支持した。一部メンバーからは連銀は米国債だけを保有すべきだとの主張もあったようである。流動性の引き上げを利上げの前に行うか、同時に行うかで議論されたようである。また、25べーシスポイントの公定歩合の引き上げも議論され、FF金利と公定歩合の金利差を拡大することでも合意。


2010.2.17「米国債保有高、日本が中国を逆転」

米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES、http://www.ustreas.gov/tic/mfh.txt)によると、2009年12月末現在の米国債の保有国のトップは日本となり、2008年9月以来日本を抜いてトップとなっていた中国を抜いた。

中国は2009年5月に8015億ドルを保有していたのをピークに保有額は徐々に減少しつつあったのに対し、日本の米国債保有残高はじり高基調となっていた。今回の逆転は特に中国が米短期債の保有を大幅に減らしたのが要因と指摘されている。 米中関係の悪化なども要因となっていた可能性もあるが、確かに中国の米国債保有残は政府の意向も働きやすい。しかし、日本では民間保有分も多いことで安全資産としての米国債の保有を高めたともみられる。中国政府の意向次第の面もあるが、当面は日本がトップの状態が継続する可能性が高いとみられる。

2009年12月末現在の国別米国債の保有残高を比較してみたい。(単位10億ドル)

日本(Japan)768.8、中国(China, Mainland) 755.4、英国(United Kingdom) 302.5、石油輸出国(Oil Exporters) 186.8、カリブ海の金融センター(Carib Bnkng Ctrs)184.8、ブラジル(Brazil)160.6、香港(Hong Kong)152.9、ロシア(Russia)118.5、ルクセンブルグ(Luxembourg)99.9、台湾(Taiwan)79.6、スイス(Switzerland)76.0、ドイツ(Germany)52.7、カナダ(Canada)48.3、アイルランド(Ireland)39.3、韓国(Korea)39.2、シンガポール(Singapore)38.1、フランス(France)37.5、タイ(Thailand)35.4、メキシコ(Mexico)31.1、ノルウェー(Norway)29.7、インド(India)29.6、トルコ(Turkey)28.3、エジプト(Egypt)24.8、オランダ(Netherlands)19.8、 スウェーデン(Sweden)19.1、イタリア(Italy)18.7、コロンビア(Colombia)15.8、イスラエル(Israel)15.3、ベルギー(Belgium)15.2、オーストラリア(Australia)14.1、チリ(Chile)12.5、フィリピン (Philippines)12.2、マレーシア(Malaysia)11.0、その他(All Other)140.7、合計(Grand Total) 3614.0。


2010.2.16「消費税の引き上げ」

菅財務相は14日に出演したテレビ番組で、消費税を含めた税制抜本改革について、「所得税、法人税、消費税、環境税の本格的な税制議論について3月には始める」と明言し、2010年度予算案の衆院通過後に、3月からの政府税制調査会で開始する考えを示した。税収が大きく減少しており、財政再建に向けた道筋を早期に示す必要があると判断したようだ。ただし、任期の間は上げないというのは鳩山政権の基本方針だとも語った。

これに対して、鳩山首相は「年金や社会保障を議論する過程で財源議論が出てくるから、消費税の議論を行うのは結構だと言った。政権を担う4年間は上げないとの思いは守る」と述べ、議論は容認するものの次期衆院選まで税率を上げないとの考えを改めて強調した(毎日新聞)。

政府税制調査会の下には税財政の有識者からなる専門家委員会が設置される。ここでは、当面1980年代以降の内外の税制改革の潮流を総括する作業を行い、任期期間の2年をめどに税制抜本改革実現に向けた報告書を取りまとめる予定であるとか(ロイター)

専門家調査会の委員長には神野直彦関西学院大教授が就任した。

神野専門家委員長は毎日新聞のインタビューで消費税に関して次のように発言している。

「福祉や子育てなど公共サービス充実のため、国民全体で等しく負担を分かち合うという理念であれば、消費税も有力な選択肢になる。友愛型の社会を目指すなら、消費税と所得税を税収の両輪とし、環境税などで補完する仕組みが望ましいのではないか。一方、日本が米国型の「小さな政府」を標ぼうし、公共サービスを最小限に抑えるというなら、高所得者の課税に重点を置いた所得税中心の税制を築き、消費税自体を廃止する選択肢もあり得る。どういう社会を目指すのか、将来ビジョンをまず明確にすることが必要だ」

この専門家調査会の初会合は2月初旬開催と伝えられているが、もし開催されていたのならば菅財務相(政府税制調査会会長)の発言はこの会合の内容を受けてとも取れる。

いずれにせよ議論はするが行動は次期衆院選までは起こさないようである。その間の財政は持つかもしれないが、悪化の一途を辿る可能性もあり、時間の経過とともにますます財税再建を難しくさせる可能性もある。消費税の上げを含めた財政再建の道筋とそのための行動力が現政権にいずれ試されるときが来ると思う。


2010.2.16「つくばエクスプレスの一時不通」

15日の午後6時48分頃、つくばエクスプレス線のみどりの駅と万博記念公園駅間で架線トラブルが発生し、一時全線がストップした。私の乗った列車もみらい平駅の手前でストップしてしまった。雪だろうが台風だろうがめったなことでは止まらないtxが珍しくストップし、そこに巻き込まれてしまった。

架線トラブルということで動けないのかと思っていたところ、少し時間経過してからって、とりあえず最寄り駅である「みらい平」まで進行した。しかし、そこでは待てど暮らせど動く様子がない。駅のアナウンスはあるが、安全点検に向かっており再開する時間は未定と繰り返すばかり。

停止してから30分程度様子を見ていたが、どうやらすぐに動く気配はないと判断し、列車を降りて駅の改札に向かった。一台タクシーが止まっていたが、前にいた人が乗り込んでしまい、どうしようか考えた挙句、とりあえずタクシーを待つことにした。なかなか現れないタクシー、次第に人が改札から出てきてパス乗り場やこのタクシー乗り場に集りつつあった。待つこと10分程度で、やっとタクシーがやってきた。

最前列にいたことで乗り込もうとしたところ、すぐ後ろにいた人が途中駅まで乗せていってほしいと言ってきた。こういうときはお互い様と、もちろん了承した。その次ぎに並んだ人たちはどうやら方向が反対ということで、結局。そのまま2人でタクシーに乗り込むこととなった。

次の駅の「みどりの」で相乗りの人を下ろしたが、そこまでのタクシー代を払ってもらった。少し遠回りしたものの私のタクシー代はやや軽減。それでも3000円以上かかって「つくば駅」近辺で降ろしてもらった。

帰宅したのは8時過ぎとなったが、ネットで調べたところ運転再開は8時半ごろの予定とあり、結局、タクシーという選択は早めに帰宅できたことを考えれば正しかったようである。


2010.2.15「ツイッターのオフ会」

久しぶりにネットというかツイッター仲間のオフ会、しかも自ら主催したものではないオフ会に参加させていただいた。ツイッターということで、ハンドルネームならぬユーザー名で、gion2009さん、 eurosellerさん、 hongokuchoさん、mazyoshiさん、tate_itさん(順不同)が参加された。

それぞれ職種は分かれるものの、どちらかと言えば金利繋がりといった感じの会であった。初めてお会いする方がほとんどで、まさに久しぶりに味わうオフ会の雰囲気で面白かった。それぞれ専門知識が豊富でかなりディープな会話となった。またタイムリーに中国人民銀行の預金準備率の引き下げなども伝わったことで、為替動向などを含めての話が主体となった。

ここきてツイッターが脚光を浴び、首相をはじめかなりの著名人も利用し始めている。1990年代頃のパソコン通信からインターネットのホームページを通じたオフ会が、その後はブログやミクシィーなどSNSを通じたオフ会に移り、それがここにきてツイッターを通じたオフ会も盛んになりつつあるようである。

今回のオフ会は私と同年代の方もいたが、まだ20代の若手の方もいた。若い人たちがこういったオフ会で、他社・異業種の方々と触れ合うのは非常に良い機会であろうし、私のような年代は若い人たちとの交流で刺激を受ける。また機会があれば参加してみたい。

それにしてもやはりツイッターには、iPhoneが必需品となっているようである。私は少し待ってiPadでいつでもどこでもツイッターを体験してみたい気がする。


2010.2.15「2009年10〜12月期GDP一次速報では実質成長率が年率プラス4.6%」

朝方発表された2009年10〜12月期GDP一次速報では、実質成長率が前期比プラス1.1%、年率プラス4.6%と予想を上回った。実質設備投資が前期比プラスの1.0%と7四半期ぶりのプラスとなり、内需もプラス0.6ポイントとやはり7四半期ぶりのプラスとなった。また、名目成長率も前期比プラス0.2%、年率でプラス0.9%とこちらも7四半期ぶりのプラスになるなど、予想以上に良い数字となった。デフレーターは前年同期比マイナス3.0%、輸入品目の動きを除いた国内需要デフレーターはマイナス2.9%。


2010.2.12「バーナンキFRB議長は公定歩合引き上げの可能性を示唆」

バーナンキFRB議長の米下院金融委員会での証言の原稿で、近い将来に公定歩合を引き上げる可能性が明らかになった。米公定歩合は本来FF金利よりも1%高い水準に設定されていたが、資金繰り支援で0.25%程度に抑えられており、FF金利と公定歩合の格差について、バーナンキ議長は遠くない将来に拡大を検討するだろうと、公定歩合の引き上げを示唆した。ただし、この公定歩合の引き上げは、金融政策の見通し変更を示唆していると解釈すべきではないと議長は強調した。

資産購入で供給した資金の回収策としては、国債などを買い戻し条件付で売るリバースオペや金融機関から余剰資金を定期預金のような形で受け入れる制度を指摘した。そして議長はひとつの展開として、市場からマネーを回収後、準備預金の金利を引き上げて引き締めに動くという二段階の手続きを示した。

FF金利は当面、指標としては信頼性が劣る可能性もあるとして、平時の金融政策の移行措置として、準備預金金利や、準備預金の量を操作対象にする可能性があると説明。これは準備預金の状況が正常な状態に戻るまでの措置とみられるが、その間、FRBの金融政策が微妙に変化することを示唆しているようにも思われ、今後のFRBの動向には注意が必要か。


2010.2.10「アリとキリギリス」

財務省のホームページに2月6日の「菅財務大臣記者会見」の概要がアップされた。

財政の問題については菅大臣は、「日本は間違いなく債務残高ではオリンピックであれば金メダルが取れるぐらいの立場にあることはご承知の通りです」と発言し、世銀の増資などの資金的拠出もそう簡単ではないことを示したそうである。しかし、オリンピックを控えているとは言え、金メダルとの表現はいかがなものであろうか。

また、日本の財政状況について、「日本の状況はきちんとお伝えをしました。率直に言って、もっと話題になるのかなと思いましたが、どちらかと言えば、ヨーロッパのほうで問題になっているギリシャの問題が多く色々と意見交換されまして、結果として日本の財政赤字そのものを問題にする意見というか、やり取りは殆どというかありませんでした。」

これは日本の財政への他のG7諸国の関心の低さを示しているのか、それとも日本の財政の話題が出なかったことでそれほど懸念されていないことを示したかったのか。

「今、来年度予算の国会審議をやっておりますけれども、もちろん年度内成立を目指しているわけで、年度内成立、その前に衆議院を通さないといけないわけですが、衆議院の通過という、それぞれのハードルを越える中ではですね、そうした中長期の展望を今年の半ばには出せるような一つの準備に入りたいと、このように考えています。」

この発言内容を見る限り、菅財務大臣が日本の財政再建に向けて本気で取り組もうとしているのかやや疑問である。「中長期の展望を今年の半ばには出せるような一つの準備に入りたい」という表現は菅さん独特の言い回しなのかもしれないが、これでは、とりあえずやっては見るけどといった対応にしか感じられない。

日本の財政は確かに「今そこにある危機」ではない。しかし、まだ余裕があるうちに手を打っておかなければ、あとで取り返しがつかなくなる。冬の準備を怠らないアリと、なんとかなるさと気軽に構えたキリギリスの話を思い起こしてしまうのだが。


2010.2.9「高水準の対外純資産と世界の基軸通貨としての円の重要性」

格付会社のスタンダード&プアーズは1月26日に、日本ソブリンのアウトルックを「ネガティブ」に変更したが、格付けは据え置いた。この格付け据え置きの理由として、「高水準の対外純資産残高、準備通貨としての円の地位、世界的な金融危機に対する耐性を示した金融セクター、多様化された経済」を指摘し、「これらの強みにより、たとえ財政再建がさらに遅れて格下げとなった場合でも、ダブルA格にとどまるだろう」としている。

「世界の基軸通貨としての円の重要性に支えられ、日本政府は潤沢な対外流動性を維持するとともに、世界の資本市場から資金調達を行うことが可能となっている。」

「日本の2009年末の対外純資産残高は概算で経常取引受取額の309%と世界最大、また同年末の外貨・金の準備高は1兆ドルで、中国に次いで世界第2位である。経常黒字が続いていることから、対外純資産は今後数年でさらに増加するとスタンダード&プアーズはみている。」

たしかに日本は、他の先進国に比べても突出して大きな対外純資産を持っている。しかし、それをそのまま国の借金の補填に充てることはできないはずである。国の保有する資産なども同様であろう。

基軸通貨としての円と聞いて、何を言っているのであろうかと思った市場参加者も多いのではなかろうか。たしかにドルやユーロとともに基軸通貨と言われるものの、その存在感は極めて薄い。ここにきてリスク回避により円が買われる動きとなっているが、これは円への信頼性とかではなく消去法的な買いであろう。

外貨・金の準備高のうち外貨準備の反対側にはFBを発行しての借金がある。過去の介入により残高は積み上がってはいるが、あくまで借金によるドルであることを認識する必要がある。経常黒字は確かに継続しているが、それは2年連続で減少傾向にもある。どうもこれらによって日本の債務返済余力が増加するとは思えないのだが。


2010.2.8「2009年の経常黒字は2年連続で減少」

朝方、財務省が発表した2009年の経常黒字は前年比18.9%減の13兆2782億円となり、2年連続で減少した。

「貿易・サービス収支」の黒字幅が拡大したものの、「所得収支」の黒字幅が大幅に縮小したことから、経常収支の黒字幅は2年連続で縮小した。海外子会社の不振による配当の減少や円高で所得黒字が22.2%減の12兆3229億円と、比較可能な1986年以降で最大の減少率を記録した。所得黒字の減少額も3兆5185億円と過去最大。

2009年12月の経常黒字は前年同月比452.8%増の9008億円と5か月連続で前年を上回った。「所得収支」の黒字幅が縮小したものの、「貿易収支」が黒字に転じたこと等から、経常収支の黒字幅は拡大した。貿易収支が6312億円の黒字(前年同月は1959億円の赤字)に転じた。


2010.2.8「米国はトリプルA格付けを失う危険性はないのか」

ガイトナー米財務長官は7日に放映されたABCテレビとのインタビューで、格下げを懸念しているかとの質問に対し、米国は最上級の「トリプルA」格付けを失う危険性はない「絶対にない」と述べ、「そうした事態は米国には決して起こらないだろう」との見解を示した(ロイター)。

同長官は、世界の安定性に懸念が生ずるときはいつも世界の投資家は米国債とドル建て資産に向かうものだと述べ、これは米国と米経済の回復力に対する「基本的な信頼感」の表れだと指摘した(ロイター)。

米格付会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは先週、今後10年間に見込まれる財政赤字の削減に向けて追加策が講じられなければ、米国債の格付けは将来的に下押し圧力にさらされるとの見方を示した。

果たして、世界の安定性に懸念が生ずるときはいつも世界の投資家は米国債とドル建て資産に向かうという図式はこれまで通りに通じるものなのであろうか。質への逃避先として米国債に資金が向かうことは確かかもしれないが、ドルそのものについてはやや動きが異なりつつあるように思われる。

また、米国債そのものも米国債の売却は考えたくなったとしても実行に移すことは考えにくい日本よりも、中国の保有が大きくなっている。対米関係を意識すれば中国が保有の米国債を手放すことは考えづらい。しかし、日本よりもそのあたりはフレキシブルのようにも考えられる。

日本国債についてはその94%が国内投資家の資金で賄われていることで格付会社の格下げの影響は受けにくい。しかし、海外投資家の保有比率が半分近くになっている米国債は格下げの影響をもろに受ける。世界経済への影響も大きい。

格付会社大手のムーディーズ・インベスターズ・サービスもS&Pも米国の会社である。日本国債をこのムーディーズとS&Pが格下げした際に、国内の格付会社は日本国債の格付は最上級を維持したままであった。同様に米国債をムーディーズとS&Pが格下げすること自体は考えにくい。

しかし、財政悪化の歯止がかからなければ、「絶対にない」という保証もないことも事実であろう。しかし、財政悪化の歯止という面では日本の方がブレーキがかかりにくいことも確かである。まずは米国で財政悪化の歯止に向けての姿勢を示し、行動を伴うことで、米国債の格下げという事態米を国には決して起こさないようにすべきである。もちろんこれは日本も同様であろうし、財政悪化は日本の方がひどい状況になっている。日本の財務大臣が格下げなど「絶対にない」といえるような状況を生み出すことがまず求められる。


2010.2.5「さらに悪化傾向が予想される日本の財政」

財務省は4日に「平成22年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」(http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/h22/sy2202a.htm)と「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」(http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/h22/sy2202b.htm)を発表した。「平成22年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」では、2011年度以降に実施の可能性がある新規施策については加味せずに一定の経済前提を仮置きした上での試算を示した。

経済指標の前提として名目経済成長率を2010年度が0.4%、2011年度1.7%、2012年度2.0%、2013年度2.2%。CPIがそれぞれマイナス0.8%、マイナス0.5%、0.0%、0.5%。長期金利が2.0%、2.2%、2.4%、2.6%。

この経済前提において、歳出削減や増税など歳入構造の見直しがなければ、歳出から税収とその他税収を除いた差額が、2010年度が44.3兆円、2011年度51.3兆円、2012年度52.2兆円、2013年度55.3兆円に拡大していくことを示している。

税収についてはそれぞれ37.4兆円、38.7兆円、39.7兆円、40.7兆円となっており税収と差額(新規国債発行額)の逆転現象が継続される見通しとなっている。その他収入はそれぞれ10.6兆円、3.9兆円、4.2兆円、4.2兆円とすでに埋蔵金頼みにも限度があることを示している。

また2011年度以降金利が変化した場合の国債費の増減額について、長期金利が1%上昇した際に2011年度で1.1兆円、2012年度で2.6兆円、2013年度で4.3兆円膨らむ試算になっている。

今度は「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」を見てみると、年度末の公債残高は2011年度で680兆円、2012年度で732兆円、2013年度で770兆円規模に膨らむことで、長期金利上昇による国債費の増加は年々大きくなることが予想される。ちなみに「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」では2019年度までしか計算結果が示されていないが、その2019年度末の公債残高は968兆円と1000兆円に近づく試算となっている。


2010.2.3「日銀の足元景気の見通し」

1月26日の日銀金融政策決定会合後に発表された「当面の金融政策運営について」から、12月18日に発表されたものと比較しながら、日銀による日銀の足元景気の見通しについて見てみたい。

(1月26日発表分) わが国の景気は、国内民間需要の自律的回復力はなお弱いものの、内外における各種対策の効果などから持ち直している。すなわち、内外の在庫調整の進捗や海外経済の改善、とりわけ新興国経済の強まりなどを背景に、輸出や生産は増加を続けている。設備投資は下げ止まりつつある。個人消費は、厳しい雇用・所得環境が続いているものの、各種対策の効果などから耐久消費財を中心に持ち直している。公共投資は頭打ちとなりつつある。この間、金融環境をみると、厳しさを残しつつも、改善の動きが続いている。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、経済全体の需給緩和から下落が続いているが、石油製品価格変動の影響が薄れてきたことなどから、下落幅は縮小している。

(12月18日発表分) わが国の景気は、国内民間需要の自律的回復力はなお弱いものの、内外における各種対策の効果などから持ち直している。すなわち、内外の在庫調整の進捗や海外経済の改善、とりわけ新興国の回復などを背景に、輸出や生産は増加を続けている。企業の業況感は、製造業大企業を中心に、緩やかに改善している。設備投資は下げ止まりつつある。個人消費は、厳しい雇用・所得環境が続いているものの、各種対策の効果などから耐久消費財を中心に持ち直している。公共投資は頭打ちとなりつつある。この間、金融環境をみると、厳しさを残しつつも、改善の動きが続いている。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、経済全体の需給が緩和した状態が続く中、前年における石油製品価格高騰の反動などから、下落している。

「新興国の回復」を「新興国経済の強まり」と新興国経済の堅調さをさらに強調している。29日の白川総裁の講演においても、新興国・資源国の急速な景気回復について述べており、人口が増加する中で、生活水準向上に伴う消費活動の活発化や社会インフラ整備の必要性など、もともと内需の潜在的な力が強いことを挙げている。 設備投資については「下げ止まりつつある」と変化はなかったが、29日の白川総裁の会見では、「設備投資の水準が相当下がっているだけに、輸出や生産の増加が続けば、稼働率の上昇に伴い、設備投資は下げ止まりから増加に転じていく」と指摘している。 また「当面の金融政策運営について」の物価面では、1月分に「石油製品価格変動の影響が薄れてきたことなどから、下落幅は縮小している」とのコメントを加えた。

(1月26日発表分) 先行きの中心的な見通しとしては、2010 年度半ば頃までは、わが国経済の持ち直しのペースは緩やかなものに止まる可能性が高い。その後は、輸出を起点とする企業部門の好転が家計部門に波及してくるとみられるため、わが国の成長率も徐々に高まってくるとみられる。物価面では、中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移するとの想定のもと、マクロ的な需給バランスが徐々に改善することなどから、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比下落幅は縮小していくと考えられる。

(12月18日発表分) 先行きの中心的な見通しとしては、2010 年度半ば頃までは、わが国経済の持ち直しのペースは緩やかなものに止まる可能性が高い。その後は、輸出を起点とする企業部門の好転が家計部門に波及してくるとみられるため、わが国の成長率も徐々に高まってくるとみられる。物価面では、中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移するとの想定のもと、石油製品価格などの影響が薄れていくため、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比下落幅は縮小していくと考えられる。

経済の見通しに変化はなかったが、29日の講演で白川総裁は国内景気について、「雇用・賃金面の調整圧力が残ることから、2010 年度半ば頃までは、わが国経済の持ち直しのペースも緩やかなものとなる可能性が高いと考えています。その後は、米欧のバランスシート調整が相応に進捗し、国内でも、輸出を起点とする企業部門の好転が家計部門に波及してくると予想されます」と発言している。

「当面の金融政策運営について」での物価面については、前年比下落幅は縮小の要因として、12月の「石油製品価格などの影響が薄れていくため」から「マクロ的な需給バランスが徐々に改善することなどから」に変化させている。

ただし、白川総裁は講演で「出発点としての需要不足がかつてないほど大きく、先行きの景気回復のペースも緩やかなものになると見込まれるため、物価の下落圧 力は、ある程度長い期間に亘って残ると思われる」と指摘している。


2010.2.3「底が見えない恐怖感から先が見えない不安感へ」

日銀の白川総裁は1月29日に内外情勢調査会において「最近の金融経済情勢と金融政策運営」と題する講演を行なった。

http://www.boj.or.jp/type/press/koen07/data/ko1001a.pdf

現在の日本経済について、「底が見えない恐怖感」は去ったとはいえ「先が見えない不安感」は依然として大きい状況、との表現はなかなか言い得ている。株式市場でも「底が見えない恐怖感」は去ったものの、経済ばかりでなく政治や財政の悪化についても「先が見えない不安感」があり、上値が抑えられている。

リーマン・ショック後の金融市場で取引相手に対する信認が大きく崩れ、経済活動に必要な資金が行き渡りにくくなった。意図せざる金融引き締めが世界的な規模で突 然起きたことで、支出を控える動きが広がり。その結果、世界の需要が瞬間的に蒸発した。需要蒸発の影響を最も受けたのは、資本財や耐久消費財であり、自動車や電機、一般機械など日本が得意とする分野を直撃した。

ただし、世界経済は昨年春頃には下げ止まり、現在は回復の段階に入っている。回復の主体は新興国ないし発展途上国であり、2010年の成長率に占めるこれらの国の寄与は7割にも上っている。

新興国・資源国の急速な景気回復についての要因としては、まず人口が増加する中で、生活水準向上に伴う消費活動の活発化や社会インフラ整備の必要性など、もともと内需の潜在的な力が強いことを挙げている。さらに新興国・資源国においても、今回の危機に対応するため、積極的な景気対策を実施したこと、そして先進国内では十分な投資機会を見出せないリスク・テイクの資金が新興国・資源国に大量に流入していることが挙げた。

しかし、米欧などの先進国経済は、急激な収縮からは持ち直したものの、依然として自律回復力は弱い状態が続いている。これはリーマン・ショックの背景に、バランスシート調整という構造的な問題があったためである。

バランスシートを修復する作業は、世界経済が持続可能な成長経路に復帰していくために避けては通れないプロセスだが、その間は経済に対し下押し圧力がかかり続けることを認識する必要があると総裁は指摘している。

今回の回復過程で大きな役割を果たした金融政策と財政政策については、中央銀行が金融市場に資金を供給する際の政策金利自体は下限で張り付いていても、金融市場の安定化を促すことを通じて、金融緩和が実質的に強化されたと指摘。

財政政策の役割も重要だったとしながら、同時に財政赤字は拡大し、政府債務残高は著しく増大した。政府は民間のリスクや債務を肩代わりしたが、国際金融市場の参加者は財政赤字や財政規律の問題にも大きな関心を払うようになってきたと指摘している。

これに関連し興味深いとして総裁が指摘したのが、FRBが昨年3月から10月まで行った国債の買入れであった。

FRB は、実施に当っては、この買入れが中央銀行による財政ファイナンスや長期金利の特定水準への誘導を目的としたものでないことを繰り返し強調。FRBによる買入れ規模は日銀の国債買入れと比較すると、経済規模との対比では日本よりもはるかに少ないものであったにもかかわらず、中央銀行として通貨コントロールへの信認確保をそれだけ重視していたように思われる。

どうやら、今後の日本の財政悪化にともなって日銀の国債買入増額要請が出る可能性があるが、そのための予防線をやんわりと張った指摘のように思われる。


2010.2.2「米国の財政赤字は3年連続で1兆ドル突破」

2日付けの日経新聞によると、オバマ米大統領が議会に提出する2011会計年度(2010年10月〜2011年9月)の予算教書を発表した。この中で、2011年度の財政赤字が1兆2670億ドルと3年連続で1兆ドルを突破することが明らかとなった。2010年度の財政赤字は1兆5560千億ドル近くに拡大し、2009年度の1兆4130億ドルを上回り過去最大となる見通し。

米財政見通しによると

2010年度の歳入は2兆1650億ドル、歳出は3兆7210億ドル、財政赤字が1兆5560億ドル、財政赤字のGDP比は10.6%。

2011年度の歳入は2兆5670億ドル、歳出は3兆8340億ドル、財政赤字が1兆2670億ドル、財政赤字のGDP比は8.3%。


2010.2.1「中期財政フレーム策定はまとまるのか」

菅副総理兼財務相は、日本経済新聞のインタビューで、2011年度予算で社会保障関係費だけで、約6兆円の追加財源を探す必要があるとの見通しを示した。特別会計などを徹底的に見直すと述べ、マニフェストの見直しにも言及した。

そして、野田財務副大臣はNHK番組で子ども手当の満額支給は難しいとコメント。ところが、菅副総理兼財務相は朝日新聞のインタビューで、子ども手当の満額支給について、やるといったら、やらないといけないと話し、野田副大臣の発言に対して、そんなことを率直に言うのは間違いだとコメントした。

政府はこれから中期財政フレームを6月までに策定するが、増税などは慎重姿勢となっている。歳出の削減もなかなかむずかしいだけに、政府は今後、どのような対応をしてくるのか。欧州でもギリシャだけでなくスペインやポルトガルの財政悪化が懸念されるなど、世界的にソブリン・リスクが注目されており、日本における中途半端な財政再建策では市場にも影響が出る可能性もある。

財務大臣と副大臣にこのような意見の違いが明らかになるなどしており、納得できる中期財政フレームが果たして策定できるのか。景気を良くしなければ税収は伸びない。しかし、これ以上の財政悪化は日本国債の信用悪化を招きかねず、国内投資家も慎重姿勢にさせる可能性がある。国債の安定消化に支障が出れば、政府も身動きが取れなくなるはずである。なかなか厳しい状況にあればこそ、知恵を出し合う必要があるが、民主党政権は一丸となって対処するような姿勢が見られないところに、大きな懸念もありそうである。


平成22年1月分 平成21年12月分 平成21年11月分 平成21年10月分 平成21年9月分 平成21年8月分 平成21年7月分 平成21年6月分 平成21年5月分 平成21年4月分 平成21年3月分 平成21年2月分 平成21年1月分 平成20年12月分 平成20年11月分 平成20年10月分 平成20年9月分 平成20年8月分 平成20年7月分 平成20年6月分 平成20年5月分 平成20年4月分 平成20年3月分 平成20年2月分 平成20年1月分 平成19年12月分 平成19年11月分 平成19年10月分 平成19年9月分 平成19年8月分 平成19年7月分 平成19年6月分 平成19年5月分 平成19年4月分 平成19年3月分 平成19年2月分 平成19年1月分 平成18年12月分 平成18年11月分 平成18年10月分 平成18年9月分 平成18年8月分 平成18年7月分 平成18年6月分 平成18年5月分 平成18年4月分 平成18年3月分 平成18年2月分 平成18年1月分 平成17年12月分 平成17年11月分 平成17年10月分 平成17年9月分 平成17年8月分 平成17年7月分 平成17年6月分 平成17年5月分 平成17年4月分 平成17年3月分 平成17年2月分 平成17年1月分 平成16年12月分 平成16年11月分 平成16年10月分 平成16年9月分 平成16年8月分 平成16年7月分 平成16年6月分 平成16年5月分 平成16年4月分 平成16年3月分 平成16年2月分 平成16年1月分 平成15年12月分 平成15年11月分 平成15年10月分 平成15年9月分 平成15年8月分 平成15年7月分 平成15年6月分 平成15年5月分 平成15年4月分 平成15年3月分 平成15年2月分 平成15年1月分 平成14年12月分 平成14年11月分 平成14年10月分 平成14年9月分 平成14年8月分 平成14年7月分 平成14年6月分 平成14年5月分 平成14年4月分 平成14年3月分 平成14年2月分 平成14年1月分 平成13年12月分 平成13年11月分 平成13年10月分 平成13年9月分 平成13年8月分 平成13年7月分 平成13年6月分 平成13年5月分 平成13年4月分 平成13年3月分 平成13年2月分 平成13年1月分 平成12年12月分 平成12年11月分 平成12年10月分 平成12年9月分 平成12年8月分 平成12年7月分 平成12年6月分 平成12年5月分 平成12年4月分 平成12年3月分 平成12年2月分 平成12年1月分 平成11年12月分 平成11年11月分 平成11年10月分 平成11年9月分 平成11年8月分 平成11年7月分 平成11年6月分 平成11年5月分 平成11年4月分 平成11年3月分 平成11年2月分 平成11年1月分 平成10年12月分 平成10年11月分 平成10年10月分 平成10年9月分 平成10年8月分 平成10年7月分 平成10年6月分 平成10年5月分 平成10年4月分 平成10年3月分 平成10年2月分(その2) 平成10年2月分(その1) 平成10年1月分(その2) 平成10年1月分(その1) 平成9年12月分 平成9年11月分 平成9年10月分 平成9年9月分 平成9年8月分