格付会社S&Pによるギリシャやポルトガル、そしてスペインと相次いだソブリンの格下げで、欧州の信用不安が再び燻ってきた。ギリシャは5月19日に期限を迎える大規模な国債償還の資金を得ることが可能になるのかどうかが目先の焦点となる。当面はこの欧州の信用不安が相場の不安定要因となりそうである。
また、英国では5月6日に実施される総選挙次第では政権交代の可能性もあり、財政悪化の続く英国の動向も注目材料となる。
国内では小沢幹事長は起訴相当との検察審の議決や普天間問題を抱え、ここにきてさらに支持率を下げている鳩山政権の行方が不安定要因となる。5月政局ともなれば円安・株安を招きかねないが、債券の先行きについては財政問題の行方次第となりそうである。
10年債利回りは1.3%を割り込んできたが、このまま1.2%台に定着する可能性は薄いのではなかろうか。ここにきての長期金利の低下は内部要因によるものではなく、ギリシャ問題など外部要因によりもたらされた。
債券先物中心限月の建て玉は徐々に積みあがり、28日には8兆円台に乗せてきた。また、先物中心限月の日足チャートを見ると窓を空けての上昇ともなっている。4月27日から28日にかけて空けた139円40銭から139円62銭の窓、4月16日から19日かけて空けた138円99銭から139円15銭の窓がある。また、中心限月移行の際に空けた139円44銭から140円22銭の窓も空いている。
いずれかのタイミングでこの窓を埋めてくる可能性がある。11日に10年国債、13日には40年国債の入札を控えている。この入札に向けてヘッジ売りなどが入る可能性もあり、まずは下の窓を埋めてくる可能性が高いと思うが、何かしらのショックが伴って上の窓を埋める可能性もないとは言えないか。
朝方に発表された3月の全国消費者物価指数(除く生鮮食料品)は前年同月比マイナス1.2%となり、ほぼ事前予想通り。下落は13か月連続。2009年度の全国消費者物価指数(除く生鮮食料品)は前年度比で1.6%の下落となったが、下落は5年ぶりとなる。年度ベースでの下落率は比較可能な1971年度以降で過去最大に。
3月の鉱工業生産指数は前月比0.3%の上昇となり、2か月ぶりの上昇に。市場予想はやや下回った。製造工業生産予測によると先行きは4月がプラス3.7%、5月はマイナスの0.3%に。出荷指数はプラス1.6%、在庫指数はマイナス1.6%、在庫指数はマイナス5.2%に。
3月の完全失業率(季節調整値)は5.0%で、2月に比べて0.1ポイント悪化した。また、3月の有効求人倍率は0.49倍で、2月に比べて0.02ポイント上昇した。
格付会社スタンダード&プアーズ(S&P)は、ポルトガルの長期ソブリン発行体格付けを従来の、A+からA-に2段階引き下げた。S&Pは、高水準の債務に対処していくポルトガルの能力への懸念を表明(ロイター)。また、見通しは、将来の追加格下げの可能性を示すネガティブとした。
ポルトガルの格下げを発表した数分後に、今度はギリシャの格付けを従来のBBB+からBB+まで、一気に3段階引き下げたとS&Pは発表。この格付はジャンク(投資不適格)等級となり、見通しもポルトガル同様にネガティブとした。これにより、新たなギリシャの格付けは、アゼルバイジャンやエジプト、ルーマニアなどと同水準となる。 ギリシャの格下げは、高水準の債務問題に対処していくために必要な改革実施能力への懸念が理由(ロイター)。
これを受けて27日のギリシャの2年物国債利回りは18%を超えて、10年債利回りは10%を上回った。これに対して、ドイツ連邦債に対しては質への逃避買いが膨らみ、2年物の利回りは40年間で最低となる0.761%に低下し、10年物のギリシャ国債とドイツ連邦債の利回り格差は、7%以上に拡がった(ロイター)。
ここにきてギリシャ国債の下げがかなり厳しいものとなっていたが、もちろんこの背景にはギリシャの財政悪化があるが、こういった格下げも懸念されていた可能性がある。
これを受けて米国市場では米国債にもドイツ連邦債と同様に質への逃避による買いが入り、10年債利回りは前日比0.11%低い3.69%、2年債利回りは0.10%低下の0.95%となった。
米株式市場はほぼ全面安の展開となりダウ平均は前日比213.04ドル安の10991.99ドルに。また、外為市場ではリスク回避の動きから低金利の円が買われ、ユーロ円は122円80銭近辺、ドル円は93円20銭近辺に。
民主党の小沢幹事長が起訴相当との検察審の議決を受け、政局の不透明感が強まった。この報道による昨日の市場の反応はやや鈍かったものの、今朝の朝刊一面トップを飾ったこともあり、5月政局があらためて意識され、これも株式市場売り要因に。
本日の東京株式市場は米株の急落、円高、国内政局などの材料から大きく下落してのスタートに。日経平均先物は前日比310円安の10900円で寄り付いた。
米債高や株安を受けて、本日の債券市場では朝方に10年306回債は債券先物の寄り前に前日比-0.025%の1.280%で出合いとなり1.3%割れに。長期金利の1.3%割れは3月2日以来となる。
また、債券先物の建て玉は昨日の速報ベースで前日比2737億円増加の7兆7941億円に増加した。4月13日の6兆2332億円から増加し続けている。手元のデータでは中心限月としては2008年9月以来の高水準。ギリシャの国債の下落などから、海外投資家があらためて買いポジションを積み上げた可能性がある。
とりあえず、日本円や日本国債は安全資産として買われているようではあるが、そこまで信認してもらって大丈夫なのであろうかという疑問も少し残る。5月政局の可能性も強まったが、仮に鳩山辞任とならなければ麻生前首相のように先送りするほど内閣支持率は下がり続け、民主党にとって最悪のタイミングで参院選を迎える結果とならなくもない。菅財務相は財政再建に前向きの姿勢を示しているが政局次第ではこの財政再建の行方もどうなるのかわからない。
ギリシャの財政問題はポルトガルに飛び火し、さらにスペインなどに広がる恐れもある。ユーロ圏でのソブリンショックが、世界の金融市場に影響を与え始めていることも気掛かり。日本国債も決して対岸の火と見ているわけにもいかない。
26日にドイツのメルケル独首相はギリシャ支援について、ドイツはギリシャが前提条件に見合えば支援すると発言し、対ギリシャ支援の条件として、財政再建に向けた同国の取り組み強化を求めた(ロイター)。
ストラスカーンIMF専務理事も、ギリシャ協議は5月まで継続する、との見解を示すなど、ギリシャの財政問題について、依然として不透明感が残ることが嫌気され、26日のギリシャ国債はさらに売り込まれた。
ギリシャ10年物国債の利回りは10%程度まで上昇し、2年物利回りは一時先週末比3.4%近く上昇し、14%をつけた。10年物のギリシャ国債とドイツ連邦債との利回り格差は6.8%に拡大し、1998年2月の水準に並ぶなど、まさにフリーフォール状態が続いている。
また、10年物のポルトガル国債とドイツ連邦債の利回り格差も、ユーロ導入以来の最高水準となる2.3%に拡大するなど、ギリシャ同様に財政問題に懸念が残る他の国々の国債相場にも影響を与えている。
ここにきてのギリシャ国債の動きは、板が薄い中にあり、投げが投げを呼ぶような状況にあるとみられ、ある意味、相場にとっては末期的な状態に近い。ギリシャ国債へのデフォルト懸念も出ているが、もしそうなればユーロシステムそのものの存続にまで影響が及びかねない。それは極力回避されるとみられる。
しかし、救済への期待感よりも、デフォルトを意識した悲観論の方が勝ってしまっている以上は、なかなかこの下げにブレーキはかけられない。むしろ無理にブレーキをかけず、淡々と救済に向けての動きを固め、ギリシャ国債への信頼感を取り戻せば、いずれ下げ止まる。まさに白川日銀総裁の言うところの自信の循環(cycle of confidence)」とも呼べるところの自信の喪失状態にあり、、再生に向けた努力が始まることで自信と言うか信頼は取り戻せよう。ただし、それにはもう少し時間も必要かもしれない。
白川日銀総裁は、22日にニューヨークのエコノミック・クラブで講演し、この中で金融危機が繰り返し起きる要因として、非常に長い時間の中で発生する「自信の循環(cycle of confidence)」とも呼べるものが決定的な役割を果たしていることを強調した。
この自信の循環とは、成功が自信につながり、それがやがて自信過剰に、あるいは傲慢にさえ変質し、自己満足感も高まる。そして、自信過剰のもとで生成されたバブルが崩壊すると、今度は自信喪失へと変わり、その後、再生に向けた努力が始まるという一連の循環であると白川総裁は指摘している。
人間は、自らが時として自信過剰になり、行動が行き過ぎることを知っています。だからこそ、我々は、行き過ぎた行動にブレーキを掛けるメカニズムを予め構築しているとただし、今回の危機では民間部門の装置も公的部門の装置もうまく作動せず、これらの装置が機能しなかったことは、重要な問題を提起しているとした。
自信過剰が、バブルを生み出す必須要因であるということは、低金利の持続予想は、これだけでバブルを生み出すことはない。しかし、それ無しには、バブルが発生しないこともまた事実と。そして当時、バブルの兆候に不安を感じつつも、中央銀行は、何故、低金利を続けたのだろうかということに対して次の理由を挙げた。
物価安定の達成に成功したことによって、中央銀行は金融政策運営に対する民間部門の信認を獲得するようになり、その結果、民間主体の予想物価上昇率は低い目標物価上昇率に固定されるようなったこと。
第2として、政治的、経済的、社会的な力学がセントラル・バンカーに影響を及ぼすようになり、物価上昇率以外の要素を勘案した金融政策を行うことが次第に難しくなっていった点を挙げている。
中央銀行の独立性が必要であるという論理は、1990年代以降、着実に定着し、中央銀行の独立性は、同時に説明責任の要請を高め、国民が容易に判別できる基準が求められるようになる。そうした要請に最も上手く応えたのがインフレーション・ターゲティングの枠組みであると。
ただし、インフレーション・ターゲティングのもとでは、物価上昇率の目標値と実績値あるいは予想物価上昇率との関係に議論が集中しがちとなり、その結果、物価以外の形で表れる不均衡への対処を理由に金融政策を変更しようとすれば、それを根拠立てて説明するためのコストは、中央銀行の立場からすると非常に高くなると。
エコノミストの関心は、専ら需給ギャップと物価上昇率の関係に集中することで、金融面の不均衡への関心は限定的なものになる。また、財やサービスの価格変動という形では把握しにくい要素に対しては、関心が薄れるようになる。
日本のバブル崩壊により、日本経済に深刻な問題を引き起こした主因は、一般物価の下落というより、圧倒的に資産価格の下落である。日本では、主要都市の不動産価格がピーク対比70〜80%も下落したが、消費者物価指数の下落は1997年から2004年にかけて累積で3%である。それにもかかわらず、日本の経験は誤って解釈されたと。
デフレの危険が大きくクローズアップされた裏側で、金利の果たす動学的資源配分機能は軽視されがに。そして正にその時期に、信用やレバレッジの増加、期間ミスマッチの拡大という、その後の危機の種が蒔かれたと白川総裁は指摘したのである。
インフレーション・ターゲティングを採用すれば、物価上昇率に注目が集ってしまうことで、金融面の不均衡への関心は限定的なものにならざるを得ない。デフレがクローズアップされてしまうと、信用やレバレッジの増加などのリスクが拡大しても、関心が薄れる結果、新たな危機が発生する可能性がある。つまり白川総裁は、政府などからのデフレ対策を意識してのインフレターゲットの採用要求について、海外での講演を通じて明らかに否定的な発言を行なったものとみられる。
欧州連合(EU)統計局は、22日に2009年のギリシャの財政赤字がGDP比13.6%となったと発表、11月の見込みの12.7%よりもさらに悪化している。ギリシャの債務残高のGDP比も115.1%と、最新の財政再建見込みの113.4%から拡大した(日経新聞)。
主なEU加盟国の財政赤字と政府債務残高は以下のとおり(日経新聞より) アイルランドの財政赤字は14.3(昨年11月時点の見込み12.5)、政府債務残高のGDP比64.0。ギリシャ13.6(12.7)、115.1。スペイン11.2(11.2)、53.2。ポルトガル9.4(8.0)76.8、フランス7.5(8.3)77.6、イタリア5.3(5.3)115.8、ドイツ3.3(3.4)73.2。英国11.5(12.1)68.1、ポーランド7.1(6.4)51.0。
格付会社ムーディーズは、22日にギリシャのソブリン格付けをA2からA3へと1ノッチ引き下げた。ムーディーズは、ギリシャの債務は借り入れコストが従来予想よりも高い水準でしか安定しない著しいリスクがあると指摘。ギリシャが示している財政赤字削減計画の完全な実施が確認されなければ、格付けは再度引き下げられる見通しとも(以上、ロイター)。
これらを受けて22日のギリシャ国債利回りは急上昇し、2年物の利回りは10%台をつけ過去最高水準に。10年物も9.13%に上昇し、ドイツ連邦債10年物との利回り格差は6%台に拡大し、12年ぶりの高水準を更新した。
今回のギリシャの財政問題は今後、日本でも同様のことが起きないとは限らず、その動向はしっかりチェックしておく必要がある。いったん市場からの信認が得られなくなると、それを取り戻すことは非常に困難であり、信認があるうちに早め早めに手を打つ必要がある。
過去のデフォルト事例としては、1998年8月17日のロシアでデフォルト(債務不履行)が発生した。2008年の金融危機では中南米のエクアドルが2012年償還グローバルでデフォルトを宣言し、10年間で2度目のデフォルト宣言となった。アルゼンチンが2001年12月、国債をはじめとする対外債権についてデフォルトを宣言した。このように戦後はいくつかの国家のデフォルト事例あるが、先進国で発生した例はない。
財務省が22日に発表した2010年3月の貿易統計によると、輸出は対前年同月比43.5%増となり4か月連続の増加、輸入も対前年同月比20.7%と3か月連続での増加となった。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支の黒字は9489億円の黒字となった。貿易黒字は12か月連続。輸出は自動車、半導体等電子部品等が増加し、輸入は原粗油、非鉄金属等が増加した。
地域別にみると
対米国では輸出が29.5%増と3か月連続の増加、輸入が2.6%増と3か月連続の増加
対EUでは輸出が26.7%増と3か月連続の増加、輸入は13.3%増と2か連続の増加
対アジアは輸出が52.9%増と5か月連続の増加、輸入は16.5%増と3か月連続の増加
対中国では輸出が47.7%増と5か月連続の増加、輸入は5.5%と2か月連続の増加
同時に発表された2009年度分については、輸出は自動車、鉄鋼等が減少し、対前年比17.1%の減少、輸入は原粗油、液化天然ガス等が減少し、25.2%の減少となった。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支の黒字は5兆2332億円となり、前年度が7648億円の赤字となっていたことで、2年ぶりに黒字を回復した。
20日に日本証券業協会は3月の公社債投資家別売買高を発表した。これを元にして2009年度(2008年4月から2009年3月)合計の投資家別売買高を算出してみた。
都市銀行 12兆7836億円
地方銀行 7兆470億円
信託銀行 16兆7870億円
農林系金融機関 3兆8759億円
第二地銀協加盟行 1兆2597億円
信用金庫 8兆6690億円
その他金融機関 3兆2451億円
生保・損保 7兆4057億円
投資信託 1兆6439億円
官公庁共済組合 3849億円
事業法人 1兆7560億円
その他法人 2兆8271億円
外国人 -2兆8019億円
個人 -1042億円
その他 -41兆8807億円
債券ディーラー 1兆3057億円
最大の買い越しは信託銀行の16兆7870億円、次に都市銀行の12兆7836億円、信用金庫の8兆6690億円と続き金融機関が国債主体に債券投資を積極化させていた。農林系金融機関も3兆8759億円、第二地銀協加盟行も1兆2597億円、その他金融機関3兆2451億円の買い越しとなった。
また、生保・損保も7兆4057億円の買い越しになっていたが、運用超長期債主体に行なわれたものとみられる。投資信託の1兆6439億円、そして事業法人も1兆7560億円と余資運用を行なっていたようである。
これに対して外国人投資家は、2兆8019億円の売り越しとなっていた。日銀の資金循環統計によると海外投資家による国債保有残高は、2009年9月末現在では海外投資家は39兆4403億円で5.8%のシェアがあったが、2009年12月末現在で35兆6664億円で5.2%に落ち込んでいる。
国債の安定消化のためには、その投資家層の裾の拡大のため、海外や個人の国債保有比率を上げることが重要である。しかし、個人は低金利を嫌い、海外は財政悪化リスクを意識している。また海外投資家は日本の低い利回りも嫌気している可能性がある。
21日の日経新聞の朝刊は現在、政府・与党が検討している財政健全化法案の原案に関して報じている。現在のところ自民党政権時に目標としていた国・地方のプライマリーバランスを採用する案と、欧州連合(EU)が使っている国・地方の財政赤字の国内総生産(GDP)比率を目安とした2案を提示したようである。
新法の名称は「成長・社会保障・財政健全化基本法案」。菅副総理・財務相が今国会の提出に意欲を示しているそうだが、今国会での扱いは流動的か。
プライマリーバランスについては「2015年度に赤字幅を半減し、2020年度に黒字化する」というもの。2010年度の国・地方のプライマリーバランスにおける赤字幅は33.5兆円もあるが、2015年度までにそれを半減するとの目標となる。
国・地方の財政赤字のGDP比については「2015年度までに赤字幅を約6%以下、2020年度までに3%以下に抑える」との内容で、赤字幅が約44.8兆円で、GDP比9.4%と推計される2010年度を基準とすると2020年度までに改善させる財政赤字の幅は約30兆円となる(日経新聞)。
とりあえず目標とする数字は示されるようである。プライマリーバランスもしくは財政赤字の対GDPというのも想定されていたものである。自民党政権からの差別化を計るため財政赤字の対GDPを使うのかと思っていたが、プライマリーバランス均衡化の重要性も意識しているものと思われる。
ただし、消費税増税を含めた税制の抜本改革の必要性はにじますが、具体的な消費税率引き上げの時期や上げ幅については、鳩山首相が在任中は上げないと明言しているだけに首相の交代等がなければ、具体的な表記も難しいものとなる。ここにきての民主党政権の支持率などを見る限り、5月政局の可能性は否定できないが。
いずれにしても財政健全化の数字目標は出されるようである。しかし、それに向けての具体策が示されない限りは、財政再建に向けての政府の本気度は計れない。すでに海外投資家は日本国債投資を減らしている。国内投資家は引き続き余剰資金を抱えた金融機関主体に国債購入をむしろ増加している。しかし、今後も年間50兆円規模の新規国債発行がいつまで継続できるとの保証は全くない。経常黒字国だからと安心しきっていると、気が付けば長期金利の急騰に見舞われている可能性がある。それを抑えるには早期の健全化努力が必要なはずなのだが。
米証券取引委員会(SEC)は、ゴールドマン・サックスをサブプライム住宅ローン関連金融商品の販売で、投資家を欺いたとして提訴した。
ゴールドマンが組成し、販売したサブプライム住宅ローン債券を原資産とする債務担保証券(CDO)は、サブプライム逆張り王として知られる大手ヘッジファンドのポールソン&カンパニーが、そのCDOのポートフォリオの中身の選別などの組成に大きく関わっていた。この際にポールソン氏は、CDOの価格下落に賭けるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)契約を結んでおり、結果はご承知のとおり。米SECはこの金融商品を販売する際にポールソン氏の関与を示さず、重要情報を開示しなかったとして、ゴールドマン・サックスを提訴したのである。
これを受けて4月16日の米国株式市場では、政府による金融規制強化に繋がるとの見方から金融株主体に下落し、ダウ平均株価は前日比125.91ドル安の11018.66ドルと大幅に下落し、ナスダックも同34.43ポイント安の2481.26で引けた。
リスク回避の動きにより、米債は買われ10年債利回りは前日比0.07%低下の3.76%となり、米2年債利回りも前日比0.06%低下の0.95%と節目とみられた1%を割り込んだ。
ニューヨーク外為市場では、リスク回避による円買いに加え、中国による元切り上げが近いのではないかとの観測も加わり、ドル円は、一時92円を割り込んだ。ポルトガルの財政懸念やギリシャの発行するドル建て債への需要懸念なども加わり、ユーロ円は124円40銭近辺でニューヨークを引けたかその後123円台をつけた。
これらを受けて週明け4月19日の東京市場では日経平均株価は11000円の大台を大きく割り込んだ。また、債券先物は3月17日以来の139円台を回復し139円36銭まで買い進まれた。現物10年306回債は先週末比-0.035%の1.305%が買われ、5年88回債は同-0.020%の0.490%と3月17日以来の0.5%割れとなった。
しかし、19日の米国市場ではリスク回避の動きが一服しダウは73ドル高、米10年債利回りは先週末比0.04%高い3.80%に上昇したが、果たしてGSショックは一過性のものに終わるのであろうか。
確かにGSショックがなくとも19日の東京株式市場は下落し債券は買われていた可能性がある。日経平均の11000円台が次第に重くなり調整が入りそうな動きをすでにしていたためである。GSショックによりその下げが加速され、むしろ調整局面は早めに終了する可能性もある。
債券相場はGSショックにより若干の水準訂正が起きたが、10年債利回りでの1.3%は割り込まず、心理的な壁と意識されそうである。5年債利回りも0.5%割れでは戻り売りも入った。
そしてここにきて気になる動きとして、債券先物の建て玉増加がある。債券先物中心限月である6月限の建て玉は2009年8月27日以来の7兆円台乗せとなり、直近ではかなり高い水準にあるため、今後の波乱要因ともなりうる。
GSショックにより若干の地合の変化はあったが、国内景気は回復基調を続けるなど日本のファンダメンタルズに変化はない。ただし、GSショックを受けて先物などのポジションが予想外に膨れ上がった可能性もあり、その揺り戻しなどに注意も必要か。
4月15日発行の「2010年春の個人向け国債」の販売額は5年固定金利型と10年変動金利型を合わせて1903億円となり、一回あたりの販売額としては前回の2412億円を下回り、過去最低を更新した。
5年固定金利型の販売額は1427億円と前回の1866億円を下回り、2006年1月の発行開始以来の最低水準となった。10年変動金利型も476億円と低迷した。
今回の5年固定金利型の利率は年率税引き前で0.48%となり、前回の0.44%は上回ったものの、5年固定金利型の利率としては過去最低水準に近い。
また10年変動金利型の初期利子は0.53%となり、今回も前回同様に5年固定型の利率を上回った。これを受けて10年変動金利型の販売額の落ち込みはさほど大きくはなかったが、販売額そのものは低迷している。
長期金利の低位安定が続き、これはこれで国債価格が安定していることになるが、個人向け国債の販売については利回り重視であることで販売額が回復していない。
国債投資家層の裾野拡大のためには、この個人投資家と海外投資家の保有額拡大が必要であろう。しかし、日銀の資金循環統計から見た国債の投資家別の保有状況からは、2009年12月末現在、海外が35兆6664億円で5.2%、家計が35兆0250億円で5.1%に過ぎない。2009年9月末現在では海外が39兆4403億円で5.8%、家計が35兆4713億円で5.2%となっており、特に海外投資家は日本国債の残高を減少させている。
海外向けIR活動や個人向け国債の発行など財務省の国債販売努力により、全体に占める海外と家計の比率は伸びてきていたが、ここにきてブレーキがかかっている。その背景には銀行などの国債保有が伸びている面もあろう。しかし、今後の国債需給を考えれば海外や家計の比率を伸ばす必要がある。
次回の個人向け国債の発行は7月となるが、この7月から3年固定金利型の発行がスタートする。
個人投資家は国債投資に対して、なるべく期間の短いものを求める傾向があるため、3年固定金利型の販売額に期待したい。しかし、現在の利回り水準からは3年固定金利型利率が0.2%台となるため、この水準で果たしてどれだけ売れるかは疑問である。
景気回復やデフレの解消などに伴う良い金利上昇により、多少でも個人向け国債の利率が上昇し、販売額が増加してくれると良いのだが、いまのところそういった動きにもなく、当面は個人向け国債の販売額は伸び悩みとなりそうである。今年度の個人向け国債の販売額は、国債発行計画によると2兆円となっている。
米国でのGSショックによりまた少し、相場を取り巻く景色が変わってきた。米証券取引委員会(SEC)は、ゴールドマン・サックスをサブプライム住宅ローン関連金融商品の販売で、投資家を欺いたとして提訴した。
ゴールドマンが組成し、販売したサブプライム住宅ローン債券を原資産とする債務担保証券(CDO)は、サブプライム逆張り王として知られる大手ヘッジファンドのポールソン&カンパニーが、そのCDOのポートフォリオの中身の選別などの組成に大きく関わっていた。この際にポールソン氏は、CDOの価格下落に賭けるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)契約を結んでおり、結果はご承知のとおり。米SECはこの金融商品を販売する際にポールソン氏の関与を示さず、重要情報を開示しなかったとして、ゴールドマン・サックスを提訴したのである。
これを受けて、先週末16日のの米国株式市場では、政府による金融規制強化に繋がるとの見方から、金融株主体に下落し、ダウ平均株価は前日比125.91ドル安の11018.66ドルと大幅に下落し、ナスダックも同34.43ポイント安の2481.26で引けた。
リスク回避の動きにより、米債は買われ10年債利回りは前日比0.07%低下の3.76%となり、米2年債利回りも前日比0.06%低下の0.95%と節目とみられた1%を割り込んだ。
ニューヨーク外為市場では、リスク回避による円買いに加え、中国による元切り上げが近いのではないかとの観測も加わり、ドル円は、一時92円を割り込み91円90銭をつけた。ポルトガルの財政懸念やギリシャの発行するドル建て債への需要懸念なども加わり、ドルや円に対しユーロは売られ、ユーロ円は124円40銭近辺でニューヨークを引けていた。その後、ユーロ円は123円台をつけている。原油や金も大きく下落し、原油先物は前日比2.27ドル安の83.24ドル、金先物は同23.4ドル安の1136.9ドルに。
先週末の日本の債券市場では、日経平均株価は、円高やアジア株の下落などから下げ幅を拡大したことなどから、債券先物は直近高値の138円92銭を抜いて、前日比28銭高の138円99銭まで買われ、139円に接近した。円高・株安そして債券高の流れが、GSショックで加速され、日経平均は11000円を割り込み、債券先物は139円台に乗せてきた。
中国では元の切り上げ観測も出ており、また欧州ではギリシャの発行するドル建て債への需要懸念などギリシャの財政問題が引き続き注目を集めている。また、ポルトガルの財政についても懸念が出るなど不透明感は強い。イスランドの火山噴火による火山灰は航空だけでなく、欧州圏を主体とした経済全般への影響も懸念される。
このように不透明要因が重なり、再びリスク回避の動きが強まっている。米景気回復への期待からリスク志向の動きが出ていた反動によるものもあろうが、相場については足元の地合いが変化しているとみられ、目先は債券先物など買い戻し圧力が強まりそうである。
リッキーマーケットソリューション株式会社さん主催のマーケットコンファレンス2010が5月12日に開催されます。今回のテーマは「国際的な動向も踏まえた国債市場の現状と課題」です。財務省理財局国債企画課長の貝塚正彰氏の特別講演も予定されており、ご関心ある方は下記ご案内をご参照ください。
「マーケットコンファレンス2010」http://www.rickie-ms.com/pdf/100512.pdf
米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES、http://www.ustreas.gov/tic/mfh.txt)によると、2010年2月末現在の米国債の保有国のトップは引き続き中国となったが、中国の保有額は引き続き減少傾向にある。
2010年2月末現在の国別米国債の保有残高を比較してみたい。(単位10億ドル)
中国(China, Mainland) 877.5、日本(Japan)768.5、英国(United Kingdom) 231.7、石油輸出国(Oil Exporters) 218.8、ブラジル(Brazil)170.8、香港(Hong Kong)152.4、カリブ海の金融センター(Carib Bnkng Ctrs)144.5、台湾(Taiwan)121.4、ロシア(Russia)120.2、スイス(Switzerland)81.8、ルクセンブルグ(Luxembourg)77.9、カナダ(Canada)67.1、ドイツ(Germany)49.9、シンガポール(Singapore)42.6、タイ(Thailand)42.1、韓国(Korea)39.8、アイルランド(Ireland)38.7、メキシコ(Mexico)33.9、フランス(France)32.5、インド(India)31.6、トルコ(Turkey)27.3、ポーランド(Poland)22.6、エジプト(Egypt)21.7、イタリア(Italy)20.9、オランダ(Netherlands)20.4、 イスラエル(Israel)18.9、ベルギー(Belgium)17.0、、コロンビア(Colombia)16.0、スウェーデン(Sweden)16.0、オーストラリア(Australia)14.4、ノルウェー(Norway)13.6、スペイン(Spain)13.4、フィリピン (Philippines)12.5、チリ(Chile)12.3、マレーシア(Malaysia)10.9、その他(All Other)148.7、合計(Grand Total) 3750.5。
4月15日発行の2010年春の個人向け国債の5年固定金利型の販売額は1427億円となり、前回の1866億円を下回ったことで2006年1月の発行開始以来、最低水準となった。また、10年変動金利型も476億円と低迷した。この結果今回の販売額は合わせて1903億円となり、一回あたりの販売額としては過去最低を更新する結果となった。
今回の5年固定タイプの利率は年率税引き前で0.48%となり、前回の0.44%は上回った。また、10年変動金利型の初期利子は0.53%となり、今回も5年固定型の利率を上回った。これを受けてか10年変動金利型の販売額の落ち込みはさほど大きくはなかった。
長期金利の低位安定が続き、これはこれで国債価格が安定していることになるが、個人向け国債の販売については、利回り重視であることでなかなか販売額が回復しない。7月からは3年固定金利型の販売がスタートする。現在の利回り水準からは利率が0.25%程度となるため、この水準で果たしてどれだけ売れるか。景気回復に伴う良い金利上昇により、多少でも個人向け国債の利率が上昇し販売額が増加してくれると良いのだが。
これまで発行された個人向け国債の回号別販売額と税引き前の初期利子(固定は利率)は下記の通り
第1回変動10年(2003年3月)3,835億円(うち郵便局499億円)、0.09%
第2回変動10年(2003年4月)3,486億円(うち郵便局746億円)、0.05%
第3回変動10年(2003年7月)2,802億円(うち郵便局588億円)、0.05%
第4回変動10年(2003年10月)9,432億円(うち郵便局1,659億円)、0.77%
第5回変動10年(2004年1月)1兆3,951億円(うち郵便局995億円)、0.62%
第6回変動10年(2004年4月)1兆4,185億円(うち郵便局1,244億円)、0.55%
第7回変動10年(2004年7月)1兆7,726億円(うち郵便局1,990億円)、0.74%
第8回変動10年(2004年10月)1兆8,652億円(うち郵便局2,484億円)、0.74%
第9回変動10年(2005年1月)1兆7,647億円(うち郵便局2,436億円)、0.67%
第10回変動10年(2005年4月)2兆3,374億円(うち郵便局1,990億円)、0.73%
第11回変動10年(2005年7月)1兆6,423億円(うち郵便局2,484億円)、0.45%
第12回変動10年(2005年10月)1兆3,629億円(うち郵便局2,483億円)、0.55%
第13回変動10年(2006年1月)8,001億円(うち郵便局1,488億円)、0.68%
第14回変動10年(2006年4月)8,285億円(うち郵便局1,491億円)、0.85%
第15回変動10年(2006年7月)9,813億円(うち郵便局995億円)、1.10%
第16回変動10年(2006年10月)7,323億円(うち郵便局997億円)、0.92%
第17回変動10年(2007年1月)4,334億円(うち郵便局938億円)、0.84%
第18回変動10年(2007年4月)3,479億円(うち郵便局642億円)、0.87%
第19回変動10年(2007年7月)3,713億円(うち郵便局736億円)、1.01%
第20回変動10年(2007年10月)1,932億円、0.85%
第21回変動10年(2008年1月)1,316億円、0.68%
第22回変動10年(2008年4月)622億円、0.57%
第23回変動10年(2008年7月)1010億円、1.00%
第24回変動10年(2008年10月)461億円、0.69%
第25回変動10年(2009年1月)317億円、0.58%
第26回変動10年(2009年4月)267億円、0.50%
第27回変動10年(2009年7月)432億円、0.73%
第28回変動10年(2009年10月)414億円、0.53%
第29回変動10年(2010年1月)546億円、0.45%
第30回変動10年(2010年4月)476億円、0.53%
第1回固定5年(2006年1月)1兆1,285億円(うち郵便局497億円)、0.80%
第2回固定5年(2006年4月)9,883億円(うち郵便局1,490億円)、1.01%
第3回固定5年(2006年7月)1兆2,430億円(うち郵便局996億円)、1.30%
第4回固定5年(2006年10月)8,584億円(うち郵便局998億円)、1.13%
第5回固定5年(2007年1月)10,730億円(うち郵便局998億円)、1.20%
第6回固定5年(2007年4月)8,326億円(うち郵便局1,311億円)、1.13%
第7回固定5年(2007年7月)1兆5,964億円(うち郵便局1,545億円)、1.50%
第8回固定5年(2007年10月)7,692億円、1.15%
第9回固定5年(2008年1月)4,196億円、0.94%
第10回固定5年(2008年4月)2,919億円、0.81%
第11回固定5年(2008年7月)8,942億円、1.22%
第12回固定5年(2008年10月)3,929億円、0.99%
第13回固定5年(2009年1月)4,729億円、0.80%
第14回固定5年(2009年4月)2,941億円、0.71%
第15回固定5年(2009年7月)4,441億円、0.82%
第16回固定5年(2009年10月)2,690億円、0.60%
第17回固定5年(2010年1月)1,866億円、0.44%
第18回固定5年(2010年4月)1,427億円、0.48%
Xperiaを買ったは良いが、画面を見るためにはいちいちメガネを外さなければならず、ついに遠近両用メガネを購入することにした。これまでメガネを買っていたのは眼鏡市場などのチェーン店であったが、だいたいレンズ・フレームで5万円程度はかかっていた。しかし、最近進出してきた「JINS」では高くてもトータルで2万円を切る。
つくば駅近くのJINSでショッピングセンターに店舗があることをチェックしておいたので、実際に安いのかどうかとチェックしようと行ってみた。遠近両用の売り場でも高くても2万円は切っていた。話しかけてきた店員に値段を確かめたところ、やはりそこに収まるとか。レンズは他の店と同じながら、価格をなんとか絞ってきていると力説していた。
とりあえず度数だけでも見てもらおうとチェックしたところ、女性店員の勢いにも押され、結局、その場で購入することに。度数チェックから購入までわずかに20分程度しかかからなかった。値段は13000円弱もまさにお手ごろ。
遠近両用眼鏡の注意点などもしっかり聞いてから会計を済ませた。出来上がりまで1週間程度はかかるとか。その程度はいたしかたないところか。
それにしても、これまでのメガネとの価格差はいったいどこにあるのか。メガネの需要が低下して価格低下を促したのではなく、ユニクロなどと同様に創意工夫等の結果なのであろう。
最近のメガネ安売りの御三家と言われる企業の社長は「メガネほど簡単で、儲かる商売はない」と発言したそうであるが、それはつまりこれまでの眼鏡店が量をこなさなくても利益が上がるだけの利幅が存在していたのであろうか。そこに目をつけて、薄利多売のシステムを導入したのが、今回の安売りの御三家と呼ばれるジェイアイエヌ、インターメスティック、オンデーズなのか。
今回買ったメガネは来週届く。果たして質はどうなのか。使用感はのちほど報告したい。しかし、安いのは助かる。
日銀は4月27日に展望レポートを公表する。展望レポートでは実質GDP、企業物価指数、消費者物価指数(除く生鮮食料品)の政策委員の大勢見通しが発表される。
今年1月の中間レビューにおいて、それぞれ10月時点の見通しから、実質GDPは2.1%から2.1%と変化はなかったが、企業物価指数はマイナス0.7%からマイナス0.4%、消費者物価指数(除く生鮮食料品)がマイナス0.4%からマイナス0.2%に修正されていた。
そして今回4月の見通しについて、実質GDPが上方修正され、また消費者物価指数(除く生鮮食料品)はゼロ近辺に上方修正される可能性が出てきたと13日付けの日経新聞が報じた。
4月1日に発表された日銀短観では日本の景気回復が示された。追加緩和の決定した3月16日から17日分の金融政策決定会合でも、経済情勢に関しては輸出や生産の増加や、個人消費の持ち直しを背景に、わが国の景気は持ち直しているとの認識で一致していた。
やや長めの金利の低下を促す措置を決定した理由としては、景気が持ち直し物価の下落幅が縮小しているこの段階で追加的な緩和措置を実施することは効果的なことを上げていたが、政府の意向を意識しての追加緩和との見方も強かっただけに、やや無理のある理由のように思われる。
実際、複数の委員から「足もとの各種経済指標は概ね想定どおりに推移しており、日本経済は現在持ち直しの過程にあることなどから、今回、追加の緩和措置を講じることは不適当」との意見も出されており、こちらが正論であろう。
今後も政府から追加緩和へのプレッシャーが強まることも考えられる。しかし、日本の景気回復傾向が鮮明となり、物価についても前年比プラスに向けての動き強まる中、追加緩和の必要性には疑問符も付く。前回の追加緩和も実質的な緩和効果よりも、追加緩和を行なったというアナウンスメント効果を意識したものであった。今後も、もし追加緩和を行なうとしても、同様にアナウンスメント効果を意識したものとなる可能性がある。たとえば、いったん増額してしまうと減額することが難しい国債買入の増額の可能性はむしろ低いのではなかろうか。
菅直人副総理兼財務相は12日の東京都内の講演で、「増税しても、使う道を間違わなければ景気が良くなる」と述べ、今国会への提出を目指している財政健全化法案に増税を盛り込む方向で政府内で議論を進める姿勢を示した。
また、菅氏は「人気のあった小泉さんでさえ、自分が総理の間は消費税を上げないと言って、この(増税)問題を避けた」と指摘し、「日本の政治家には、増税すると選挙に負けるというトラウマがある」として、税制改革についての与野党協議の必要性を強調した(毎日新聞)。
13日付日経新聞によると、財務省と総務省の予測によると2009年度の国と地方の法人税収が9.7兆円と32年ぶりの水準に落ち込む見通しであることが伝えられた。2008年度の実績が18.4兆円となっており、その約半分近くに落ち込み、1977年度の8.7兆円以来の低さになる見込み。
すでに2009年度の新規国債の発行額は第二次補正予算後に53.9兆円に膨らみ、税収が36.9兆円規模になるとの見通しとなり、新規国債の発行額が税収を上回るという1946年以来、63年ぶりの異常事態となることは伝えられていたことでこれによる債券市場への影響は限定的とみられる。
しかし、景気変動の影響を受けやすい法人税頼みには限界があり、今後の財政再建に向けては消費税引き上げは避けられないことが今回の法人税収見通しで再確認されたことも事実である。世界的に見て日本の法人税の実効税率(40.69%)は中国(25%)や韓国(24.2%)に比較して高い。全体の税収に占める割合も高い割りに、消費税の割合が欧州(付加価値税)などに比べて極めて低いのも特徴である。
法人税率の引き下げにより日本企業の国際競争力を高めることで、それは景気回復の原動力にもなりうる。また、日本の財政再建には景気動向に左右されにくい消費税の引き上げは避けては通れないはずである。しかし、鳩山首相は任期中には引き上げないと言い続けている。
日本経団連の政府の成長戦略に対する提言の中で、経済成長には財政や社会保障制度の安定が不可欠とし、財源として消費税率を2011年度から段階的に引き上げ、また、2020年代半ばに10%台後半とすることなどを盛り込んだ。法人税は現行の約40%を国際水準の30%まで早期に引き下げることを求めた(毎日新聞)。
財政再建と経済成長という相反することを成し遂げるためにも、消費税の引き上げとともに法人税の引き下げの流れは避けては通れないものと思われる。
3月16日から17日に開催された日銀金融政策決定会合議事要旨が発表された。この会合では政策金利については全員一致で現状維持としたが、固定金利オペを大幅に増額することにより、やや長めの金利の低下を促す措置を拡充することとした。この新型オペの「拡充策」については、須田委員および野田委員が反対していた。早速、その内容を確認してみたい。
わが国の経済情勢に関しては「輸出や生産の増加や、個人消費の持ち直しを背景に、わが国の景気は持ち直しているとの認識」で一致した。また、ある委員が「これまでの景気の持ち直しは、内外における各種対策や在庫復元の動きに支えられたものであり、民間需要の自律的回復力はなお弱い状況が続いている」と述べている。
何人かの委員は「こうした景気動向は、1月の中間評価に概ね沿った動きであるものの、アジア向け輸出の強さなどを映じて、中間評価対比で幾分上振れ気味で推移している」との認識を示した。
先行きについても、何人かの委員は「2010 年度前半の成長率がそれなりに高ければ、民間需要の自律的回復の基盤が整えられる可能性がある」との見方を示していた。
どうやら景気についてやや強気の見方となっている委員が複数いたようである。
消費者物価指数に関して、複数の委員から「消費者物価指数の基調的な傾向を示す刈り込み平均の前年比マイナス幅がこのところ縮小してきている」との指摘があった。「刈り込み平均」とは個別品目の価格変化率分布の両裾15%ずつを控除したものである(日銀、金融研究第18巻参照 http://www.imes.boj.or.jp/japanese/zenbun99/yoyaku/kk18-1-5.html)
物価についても見方は分かれているようである。ある委員は「実体経済の持ち直しが物価に波及するには相応のラグがあり、今後、物価面で、景気持ち直しの影響が現れてくる可能性が高いと述べた」のに対し、「何人かの委員は、需給環境の改善は緩やかであるため、物価のマイナス幅の縮小も緩やかにならざるを得ないと」述べている。そらにある委員は、「過去、短期間で物価が大きく上昇したのは、資源価格の高騰や税制の変更といった場合のみであり、需給環境の改善に伴う物価上昇には時間がかかる」と発言している。このあたりそれぞれの発言者が誰なのか気になるところでもある。
物価のリスクについても、何人かの委員が「中長期的な予想物価上昇率の下振れには引き続き注意する必要がある」と述べたのに対しある委員は、「新興国・資源国経済の過熱に伴う資源価格の上昇により、わが国の消費者物価も上振れるリスクにも注意する必要がある」と見方が分かれている。
金融環境については、何人かの委員は「日本銀行による潤沢な資金供給によって、資金余剰感は一段と強まっており、各種のターム物金利は低水準横ばい圏内で推移している」と述べたが、何人かの委員は「長めの期間のユーロ円レートは低下基調にあるが、短国レートなどと比べて、依然やや高めの水準にある」と指摘。
そして注目の「やや長めの金利の低下を促す措置」についての議論では、
「景気が持ち直し、物価の下落幅が縮小しているこの段階で追加的な緩和措置を実施することは効果的であり、固定金利オペを大幅に増額することにより、やや長めの金利の低下を促す措置を拡充すれば、経済・物価の改善の動きを確かなものとすることに資するのではないか」と述べた。
景気が改善傾向を示す中での追加緩和する理由として、経済・物価の改善の動きを確かなものとするためとしている。
多くの委員は「固定金利オペの資金供給額を20 兆円程度に増額するという今回の措置の拡充は、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰するために中央銀行としての貢献を粘り強く続けていくとの方針を、改めて明確に示すものであると」述べた。
さらに何人かの委員は、「特別オペが3月をもって完了し、4月以降、オペの残高が漸次減少していく中で、固定金利オペによる資金供給額を大幅に増額することで、追加的な金融緩和の効果が得られる」と述べている。
しかし、複数の委員は「足もとの各種経済指標は概ね想定どおりに推移しており、日本経済は現在持ち直しの過程にあることなどから、今回、追加の緩和措置を講じることは不適当」と述べた。この複数の委員とは追加緩和策に反対した須田委員および野田委員であろう。また、このうち、ある委員は「市場機能に与える影響等も踏まえると、追加緩和については、慎重な検討が必要である」と指摘した。
情報発信のあり方について、多くの委員は、今回の金融政策決定会合のかなり前から、追加金融緩和策を検討しているとの報道がなされ、市場にも様々な思惑が高まったことに言及。
何人かの委員は「事前の報道や市場の思惑が高まってしまうと、金融政策決定会合の結果が予想に沿ったものでも、逆に予想に反したものとなっても、結局、中央銀行の政策運営に対する信認が失われる可能性がある」と述べている。
情報発信のあり方については、今後、これまで以上に細心の注意を払っていく必要があるとの見方で一致したようであるが、そもそも何を根拠に事前報道がなされたのか。観測報道というよりも実際の動きに基づいたような報じられた感があった。
政府関係者からは次のような発言もあった 「日本銀行におかれては、今後とも、政府と密接な情報交換・連携を保ちつつ、適切かつ機動的な金融政策の運営によって、早期のデフレ克服を目指すとともに、経済を下支えされるよう期待する。」
白川総裁は7日の決定会合後の会見で、「景気の持ち直しの持続性について明確になってきた、特に、一頃言われていた二番底の懸念はかなり薄れた。今回、設備投資について従来の「概ね下げ止まり」から、一歩進めて、「下げ止まり」と判断。それから、先行きの自律回復の芽、萌芽がいくつかみられると指摘。
短観で、企業部門については、企業収益が改善していることを確認。既に設備投資の水準が相当下がった水準であるだけに、企業収益が改善し、世界経済が全体として持ち直していることを併せて考えると、今後増えてくることも想定。
そして大きな不安要因であった雇用情勢については、ここ数か月の動きをみると、雇用の悪化には明らかに歯止めがかかってきたとしている。これが下げ止まりから少しずつ改善してきているということは、消費を規定する最も基調的な要因が改善していると指摘している。
物価については、景気が全体として持ち直しており、マイナスの需給ギャップが縮小していく方向にあり、ラグを経て物価の下落幅が縮まっていくというのが現在のシナリオとしている。
そして、対話について、日銀が政策を遂行していく上で最も大事なことは、国民の信頼、つまり、経済・金融の先行きを十分見通した上で、中長期的な観点から中央銀行として適切に政策を行ってくれているという信頼感が最も大事だと総裁は指摘している。それは、最終的に行動であり、行動を説明する言葉であると。行動と説明、行動と言葉が対応していることがより大事だと総裁は述べている。
以上の会見内容から、短観を受けて思った以上に日本の景気回復に自信を深めているようである。パフォーマンスも含めて政府はデフレ警戒を強めているものの、物価についてもマイナスの需給ギャップが縮小していく方向にあるとして、デフレという用語も使っていない。
国民の信頼を得るには、国民のために適切な金融政策を行なっていることを示すことであろう。国民が政府のために金融政策を行なっているとの見方を強めるようであれば、日銀への信頼は失われる。政府との連携はある程度は必要であろうが、ある程度の距離感を計ることも信認を深めるためには必要なものではなかろうか。
XPERIAが発売された1日のニュースを見て、しまったこれを買う手があったかと急遽思い立った。使っていた携帯購入してから2年以上経過しており、そろそろ新機種に乗り換えたいと思っていたが、これといってほしい機種がなかった。iPhoneも欲しいが、家族5台分はすべてドコモで家族割りを利用しているので、ソフトバンクに乗り換えたくはない。そもそも、ボーダフォンがソフトバンクに買収されたことをきっかけに、ボーダフォンからドコモに再び乗り換えた経緯もあった。また、iPadは是非購入するつもりなので、2台目としてiPhoneを購入する必要もない。
そこに現れたのが、XPERIA。1日発売日に騒がれるまで全く視野に入っていなかった。ガジェット好きなはずがアンテナの調子が少し悪くなってしまったのか。とにかく、どうせドコモで乗り換えるならこれでいいじゃんと。携帯メールやiモードもほとんど使っておらず、XPERIAへの乗り換えにはほとんど支障はない。費用もデータ転送をそれほど利用しなければ、これまでとあまり変わらない。
しかし、4月1日のヨドバシアキバではすでに売り切れの表示。気付くのが遅かったかと思ったが、念の為と翌日、地元のドコモショップに行くと購入希望のブラックが一台あったことで、その場で契約手続きを済ませた。
iPhoneを使ってないので、XPERIAのiPhoneとの操作性などの違いは良くわからない。タッチパネルの操作は快適である。しかし、ここに大きな落とし穴があった。字が読めないのである。というより、意地を張って遠視用メガネをかけておらず、細かい字はメガネを外さないと読めない。これでは操作性以前の問題である。早速、遠近両用メガネの購入を検討。
家族とのメールのやりとりには、以前に登録しておいたGMailを利用することにした。ツイッターなどの閲覧も簡単ではあるが、細かい操作はこれから少しずつ確認していきたい。
日経新聞によるとニューヨーク証券取引所(NYSE)などを運営しているNYSEユーロネクストは、傘下の先物取引所を通じて米国債先物と金利先物に参入すると発表したようである。
米国債先物やドル金利先物は、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の寡占状態にあり、そこに風穴を開けようとの動きか。上場するのは2年、5年、10年、30年先物とユーロドル金利先物で、今年7〜9月に取引を開始し、10〜12月に書く先物のオプションも上場予定だとか。
2000年9月に欧州のパリ証券取引所、アムステルダム証券取引所、そしてブリュッセル証券取引所の3つの証券取引所が合併し、ユーロネクストが設立された。 現物取引および先物などのデリバティブ取引のシステムを、国を跨いで統合することによりクロスボーダー取引を容易にさせ、さらに流動性の向上を図ることが狙いであった。
2002年には、ポルトガルのリスボン証券取引所とロンドン国際金融先物取引所(LIFFE)が加入した。ちなみに日本国債の先物はLIFFEに上場されているが、ユーロネクストのデリバティブの取引部門はLIFFE傘下に統合された。
2007年にユーロネクストは、ニューヨーク証券取引所を運営するNYSEグループと合併した。これにより初の大西洋をまたぐ世界最大級の証券取引所グループが誕生したのである。社名も「NYSEユーロネクスト」となり、その本部は米国のニューヨークに置かれた。
米国を代表するデリバティブの取引所と言えば、CMEグループがある。1848年に設立された世界初の先物取引所といわれるのがシカゴ商品取引所(CBT)である。そして、1972年5月にニクソン。ショックを契機としてシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で、通貨先物取引が開始された。また、1975年にシカゴ商品取引所(CBT)で初めて政府機関債の先物と金先物が上場され、1977年にアメリカ長期国債先物の取引が開始された。1976年にはCMEでユーロ・ドル金利先物が上場され、1982年に株価指数先物、さらにCBTでは派生商品の派生商品ともいえる株価指数先物オプションが導入された。こうして現在行われているデリバティブ取引の多くがスタートしたのである。 このシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)とシカゴ商品取引所(CBOT)が合併して誕生したのがCMEグループである。
CMEグループはロイターと共同開発したグローバルで24時間取引が行える電子取引システムのグローベックス(Globex)も提供している。グローベックスではNASDAQ-100をはじめとする株価指数に加え、米国債の先物や多様な通貨、さらに原油・金などのコモディティなどのデリバティブ商品(先物、オプション)が終日取引されている。
7日付けの日経新聞朝刊などによると、中期的な財政運営に関する検討会は6日に、中長期の財政運営戦略と今後3年間の予算編成指針の策定に向けた論点を提示した。
中長期の財政運営戦略ではプライマリー・バランスについて「赤字削減」「均衡」「黒字化」の方向性を示し段階的に改善するとした。ただし、具体的な日程には触れていない。
2010年度末に862兆円に達する見通しの公的債務残高のGDP比については、安定的な縮減を最終目標に上げたが、具体的なGDP比目標値や日程にはやはり触れていない。
中期財政フレームでは11年度から13年度までの歳出の大枠を示す必要性を明記。減税や歳出増に見合う財源を確保する「ペイアズユーゴー原則」の導入も求めた。
このように、中長期の財政健全化目標と当面の予算編成指針論点の両方ともに具体的な数値目標などは織り込まれなかった。ただし、「経済成長による税収増をあてにせず健全化の道を探るようにクギを刺した」とも日経にあり、これは亀井金融担当相などを意識しての発言のようにも思われる。
日経でも成長率との連動性が高い所得税や法人税など直接税依存の税収構造を変えることも課題になるとしているが、ここには消費税の引き上げは避けて通れないものとなるはずである。しかし、鳩山首相自ら消費税上げを封印している以上は、ここに踏み込めずそれにより具体的な目標が示しにくい面もありそうである。
議論の司令塔不在についても日経は報じている。検討会には仙石国家戦略相や野田財務副大臣など民主党内では財政規律を意識している人物が中心メンバーとして参加しているが、どうやらこれについては誰も主導権は握りたくない様子でもある。橋本政権時の苦い経験もあるであろうが、あの時代以上に日本の財政は危機的状況を迎えていることも確かである。
このままの財政悪化が続くとなれば、数年先まで国家財政が持つという保証すらない。国債が財政悪化が売り込まれてからでは遅すぎるが、市場のシグナルを確認するまではどうやら動く気もないように思われる。
米国では4月5日に長期金利が4%台に乗せてきた。この背景には米経済指標を受けての米景気の改善観測がある。つまり良い金利上昇と言える。
2日に発表された3月の米雇用統計では、非農業雇用者数は前月比16.2万人増となり市場予想は下回ったものの、民間部門の雇用改善が意識された。5日に発表された3月ISM非製造業指数は2006年5月以来の高水準となり、製造業だけでなくサービス業も回復基調が顕著となってきた。
米国の経済回復の背景には、中国など新興国の経済成長がある。これは当然ながら日本経済にもプラス要因となっている。4月1日に発表された日銀短観では、大企業製造業DIはマイナス14と大きく改善した。ただし、新興国の経済成長は資源価格の上昇も招き、ニューヨーク原油先物は5日に一時86.90ドルと1年半ぶりの高値をつけた。
日本の長期金利は3月に昨年11月以来となる1.4%をつけてきた。この背景にはギリシャの財政懸念などを受け、日本の財政悪化を意識しての海外ファンドなどからの仕掛け的な売りがあった。しかし、ギリシャの財政懸念などを背景としての悪い金利上昇は、次第に影を潜めてきた。
3月末の国内投資家による10年債主体の押し目買いにより、10年債利回りは30日の1.400%から4月2日には1.350%まで低下した。しかし、その後は米長期金利の上昇などから日本の長期金利も再び上昇基調となっている。
そしてここにきての円安株高も日本の長期金利上昇の要因となりつつある。リスク回避の動きの反動によりこれまで買われていた円がドルやユーロに対して反落し、この円安や景気回復を受けて、日経平均株価は11000円台で堅調に推移している。
当面の日本の長期金利は、米金利上昇や円安・株高などを背景として、再び上昇圧力を強めることが予想される。日本の景気回復も顕著となれば、日銀も追加緩和策に動くための名目を失うこととなり、「デフレ」を理由としての金利低下圧力も後退してくる可能性がある。
そこに日本の財政悪化を意識した悪い金利上昇も加わってくる可能性がある。国内資金で95%を賄っている日本国債には、財政悪化は意識されていても本当の意味での危機意識に欠けている面がある。しかし、来年度の新規国債の発行額がすでに50兆円を超すとの予想も出ているなど、先行きを考えればいくら現状が経常黒字国とは言え、今後もこれだけの国債が消化可能という保証はない。それは国債を主に購入している投資家が最も敏感に感じている部分でもなかろうか。
このため、今後は良い金利上昇と悪い金利上昇のハイブリッド化が進む可能性も否定できない。つまりはファンダメンタルズの改善と国債需給悪化懸念が債券相場の上値を抑えてくる可能性がある。長期金利の急上昇は考えづらいが、じりじりと上昇基調を強めて、目先は1.5%をうかがう場面もありそうである。
2009年度の債券先物中心限月の大引けは138円22銭となった。2008年度末の大引けは138円15銭であり、わずかに7銭差しかなかった。それだけ2009年度の債券相場は、動かなかったということになりそうである。
2009年度の債券先物中心限月(9時〜15時)の高値は12月1日の140円48銭、安値は6月11日につけた135円47銭であった。
安値をつけた6月は補正予算に絡んだ国債増発がスタートするなど国債需給への懸念とともに、政府が6月の月例経済報告で基調判断から「悪化」の表現を削除するなど景気の回復期待が背景にあった。そして、高値をつけた12月1日は、日銀が臨時会合を開催し、追加緩和を決定した日である。
現物債を見てみると10年306回債の2009年度の引けは1.395%となった。2008年度末の引けは1.340%となっており、0.055%の利回上昇となった。2009年度の長期金利の推移を見ると、最高利回りはやはり2009年6月につけた1.560%であり、最低利回りは12月につけた1.190%であった。
2年291回債の利回りの2009年度末は0.170%の引けとなったが、2008年度末の利回りは0.410%であった。さすがに年度内2度の日銀の追加緩和が効いて、0.24%と大きく利回りは低下していた。
5年88回債の2009年度末の利回りは0.550%だが、2008年度末の5年債利回りは0.780%と、やはり2年債と同様に0.23%の低下となった。
ただし、超長期債を見てみると20年116回債利回りの2009年度末の引けは2.170%となり、2008年度末の引け2.135%からは、0.035%とわずかながらも利回りは上昇した。 30年債の2009年度末の引けは2.295%だが、2008年度末は2.030%と、こちらはほとんど変わらずとなっていた。
つまり債券先物や長期債、超長期債はほぼ2008年度末の水準近くで2009年度の引けとなったものの、中短期債は日銀の追加緩和の影響などから大きく低下していたと言える。
2009年度は政権が変り、ソブリンリスクが高まるなど材料は豊富であったが、長期金利の居所だけから見る限り、大きな変化はなかったと言える。もちろん日銀の追加緩和などが相場のアンカーになったことも確かである。 ちなみに2009年度末の日経平均株価は11089.94円で大引けとなったが、こちらの2008年度末は8109.53円であり、ここからは3000円近くの上昇となっていた。
先週末に発表された3月の米雇用統計では、非農業雇用者数は前月比16.2万人増となり、2か月ぶりの増加で、増加幅は2007年3月以来3年以来の大きさとなった。市場予想は下回ったものの、国勢調査のための臨時雇用で大幅増加が予想された政府部門の増加は3.9万人増に止まり、2月が大雪の影響で減少した反動もあったものの、それでも思った以上に民間部門の雇用がしっかりと意識された。また、加えて前月分も3.6万人減から1.4万人減に上方修正された。3月の米失業率については、9.7%と3か月連続での横ばい。
先週末はグッドフライデーで、米株式市場は休場となっていたが、債券市場は正午までの短縮取引となった。米債券市場では、この雇用統計を受けて10年債利回りは一時3.94%と2009年6月11日以来の水準に上昇した。また、FRBは5日に公定歩合などを議題に会合を開くと発表し、公定歩合の再引き上げ観測も出たこともあり、2年債も売られ、米2年債利回りは前日比0.05%高い1.10%に上昇した。
米長期金利は心理的な節目とみられる4%に再び接近している。公定歩合引き上げ観測もあり、近いうちに4%をワンタッチしてくる可能性はある。ただし、米長期金利が4%を大きく上回って推移することも考えづらい。
現物10年債は29日に1.395%、そして30から1日にかけて1.400%まで売られる場面があったが、4月1日に発表された日銀短観では、大企業製造業DIはマイナス14とほぼ予想通りの数値となった。短観の数値を確認したあと、期末で買い控えていた銀行・生保・年金など国内投資家からの買いが入ったとみられる。
この日の朝方に1.4%をつけていた10年306回債の利回りは、1.355%まで低下。また30日に2.175%まで売られていた20年116回債も2.130%が買われ、また5年88回債も0.520%に利回りが低下した。
債券先物は朝方つけた138円11銭から、海外ファンドの買戻しも誘って138円72銭まで買い戻された。2日には先物オプション絡みの買戻しも入ってか、先物は138円83銭をつけた。しかし、急ピッチの戻りの反動もあり、その後は戻り売りが入り上値が重くなった。
日本の財政悪化などを意識した海外ファンドの短期的な売り仕掛けは、今回も国内投資家による買い需要の強さに買い戻しを余儀なくされた格好に。ギリシャの財政問題も後退するなど、世界的な財政悪化を懸念した動きはいったんは収まりつつある。日本でも郵貯の預け入れ限度額の2000万円への引き上げなどから財政規律の緩みなどが意識された。しかし、財政悪化を意識して売るにも材料不足か。ただし、政府が6月にまとめる中期財政フレームと財政運営戦略の動向などには注意したい。
需給面では投資家による期初の買い圧力が強いとみられることで、押し目買いなどから当面は下値の堅い展開が予想される。しかし、10年債利回りでの1.3%近辺では上値も重くなるとみられ、当面は10年債利回りは1.3%台での狭いレンジ内での動きを予想している。
6日には国内では10年国債の入札を控えているが、米国はこの週に10年価連動債、3年債、10年債、30年債の国債入札を控えている。前回の米5年債、7年債入札が低調な結果となっていたことで、この一連の入札状況にも注意が必要か。
6日から7日にかけて日銀の金融政策決定会合が開催される。今月は4月ということで27日にも決定会合が予定されている。3月17日に日銀は追加緩和を行なったばかりであり、この影響を見極めたいとして7日の決定会合では特に政策変更等はないと思われる。
日銀が発表した3月の日銀短観によると、大企業製造業の業況判断指数(DI)はマイナス14となり、昨年12月の前回調査のマイナス25から11ポイント改善し、4四半期連続の改善となった。ほぼ事前予想に近い数字となった。大企業製造業の業況判断指数(DI)の6月は予想マイナス8とさらなる改善を見込んでいる。
大企業非製造業の業況判断指数(DI)はマイナス14とこちらは4期連続の改善となった。中堅企業製造業のDIはマイナス19、非製造業はマイナス21。そして中小企業は製造業のDIがマイナス30、非製造業はマイナス31で、いずれも改善した。
また、大企業製造業の2010年度の想定為替レートは1ドル91円00銭となり、前回12月調査時の2009年度計画の92円94銭からやや円高に修正された。
2010年度の設備投資計画は、大企業・全産業は前年度比マイナス0.4%、中堅企業・全産業はマイナス5.6%、中小企業・全産業は同マイナス19.4%となった。
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