格付会社フィッチ・レーティングスは28日に、スペインの長期外貨建ておよび自国通貨建て発行体デフォルト格付けを「AAA」から1ノッチ引き下げ「AAプラス」とした。見通しは「安定的」。
すでにスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が4月28日に、スペインの格付けを「AA+」から「AA」に引き下げており、フィッチによる格下げは想定の範囲内とみられていたが、不安定な相場が続いているだけに、外為市場でユーロが売られるなどの影響が出た。
ムーディーズは依然としてスペインの格付についてはトリプルAを維持しているが、今後はこちらも引き下げられる可能性はある。また、スペインだけでなく財政悪化が懸念されているポルトガルやイタリアについても格付会社による今後の動向は注意しておくべきか。
日本国債については、これまでは海外格付会社による格下げがあっても影響は一時的、もしくはほとんど影響がなかった。海外投資家の保有割合が5%程度にすぎないのが主因ではあろうが、今後も同様に影響が限定的となるとは言い切れない。特に今後の日本の財政規律が懸念視され、それとともに格下げなど加われば、格下げに反応を示す可能性はありうる。
社民党の政権離脱により政局の行方について不透明感が強まってきているが、財政規律に向けての政権の本気度が今後も問われるとみられ、それが債券市場に影響を与えないとも限らない。
ギリシャの財政問題を発端とした欧州諸国の財政問題を受けて、非常に神経質な展開が続いている。噂や観測記事などに翻弄され、債券市場も乱高下する展開が続いてた。特に超長期債には海外投資家のアセット・スワップに絡んだ動きも入り、相場変動を大きくさせた。24日に2.095%をつけていた30年32回債は26日に2.025%にまで買われたが、28日には2.085%まで後退した。25日に1.190%まで買われた10年307回債も28日には1.270%に後退した。不安心理が相場変動を大きくさせ、海外ファンドのポジションのアンワインドの動きがそれをさらに加速させた格好となった。
日足チャートからは、債券相場は目先天井をつけた可能性がある。しかし、欧州の財政問題はギリシャなどの財政再建の進展がなければ、本格的に解決することは難しい。今後はスペインやポルトガルの国債などを含めて、その信認が回復できるかどうかが焦点となりそうである。ただし、相場の変動要因がこれら欧州の財政問題から、あらためて景気動向などに移ってくる可能性もありうる。そうなれば相場の流れも変化してこよう。当面は10年の1.2%、先物の141円が大きな上値の壁となりそうだが、国債償還なども意識した投資家の押し目買いから下値も限定的なものとなりそうである。
OECDのエコノミック・アウトルック最新版によると、2010年の加盟国の実質成長率の見通しを11月時点の1.9%から2.7%に上方修正した。個別では米国が2.5%から3.2%に、日本は1.8%から3.0%に、ユーロ圏は0.9%から1.2%にそれぞれ上方修正された。
中国を中心とした新興国経済の成長が世界的な景気回復に寄与した。ただし、中国などでは景気への過熱とインフレへのリスクについても指摘している。また、不安定な国債市場にも言及しており、財政規律を確保するため大胆な手段を講じる必要性を指摘した。多くのOECD諸国が巨額の債務を抱え、各国政府が危機回避のため実施した緊急財政政策を遅くとも2011年までに撤廃すべきとしている。
緊縮予算の中で成長を支えるためには、歳出削減や増税は成長の悪影響が最も少ない分野に絞るべきとしている。
日本について財政赤字が2007年のGDP比3%から2009年の約9%に悪化させ、2009年に発足した新政権は、2010年度には拡張的な予算を実施し、中央政府の一般会計歳出は、国債費を除いたベースで、約4%の伸びとなったことを指摘。結果として財政状況の改善措置がない中、既にOECD 域内では空前の大きさになっているグロスの債務残高がGDP比は205%へと押し上げられるだろうとしている。さらに、ネットの債務残高GDP比率は122%となるが、これもOECD諸国の中では最も大きいことを指摘した。
政府は、最長四年という任期の間は消費税率の如何なる引上げも実施しないとしている一方、2011年度予算の編成作業の一環として、2010年の6月に財政政策の中期的な枠組みを示すと公約している点を指摘している。
また、日銀に関して国債買入についても言及し、日銀による国債保有残高が2010年3月末までの一年間で14%増加したが、かつての量的緩和措置が終了する直前となる2005年のピーク時に比べれば26%も低い点を指摘。日本銀行の総資産も21%も縮小し、現在の量的な緩和措置は顕著な効果を持たないだろうとしている。
国債買入の増加、それも残存期間の長いもの主体に行なえば、市場に一層の流動性を供給し、デフレ終焉のための手助けとなるのではないかとしている。
OECDの見通しでは、比較的楽観的な見通しとなり、今回のギリシャの財政問題を発端とした欧州諸国の財政問題による影響は限定的との見方である。むしろ中国の景気への過熱とインフレ懸念などをリスク要因としている。欧州の財政問題は簡単に解決できるものではないが、ある程度の信認を取り戻し財政の持続性を確保できれば、市場での混乱も回避できる可能性がある。
日銀の国債買入への言及はこれまでもあったが、日銀の白川総裁が度々指摘してきたようにマネタイゼーションと意識されれば、長期金利の上昇要因ともなりかねず、また日銀の国債買入増額が果たしてデフレ解消への糸口のなるのかは明らかではない。日銀はこの国債買入増額については当面、慎重な対応を取るものと思われる。
欧州の金融不安の再燃に加え、朝鮮半島における緊張の高まりなどを受けて、昨日の日経平均株価は、一時前日比300円を超す大幅な下げとなった。昨日の債券先物は前日比38銭高の140円63銭まで買われ、中心限月としては2008年3月以来の高値をつけた。昨日の大引は前日比35銭高の140円60銭となったが、その後のイブニングセッションでもさらに買い進まれ、イブニングセッションでは、15時の引けからは28銭高の140円88銭の高値引けとなった。
昨夕、外為市場ではユーロ売りが強まり、ユーロ円は110円を大きく割り込み、一時108円83銭と2001年11月以来の水準まで、円買いユーロ売りが進んだ。昨日の欧州市場では、金融システムへの警戒感があらためて材料視され、株式市場は銀行株主体に下落し、朝鮮半島での緊張の高まりにより、安全資産としてドイツ債は買われ、ドイツ連邦債10年物の利回りは、過去最低の2.556%に低下した(ロイター)。
LIFFEの円債先物は、さらに買い進まれ一時141円ちょうどまで買い進まれた。現物債も昨日の引けあとにさらに買いが入り、10年307回債は心理的な節目である1.2%を割り込んで、1.190%まで買われ、昨年12月以来の水準に低下した。また超長期債も買われ、20年117回債利回りも前日比0.05%低い1.965%、30年32回債利回りも同0.05%低い2.045%にそれぞれ低下した。
そして、昨日の米国市場では欧州市場での株安やドイツの長期金利低下などを受けて、早朝から米債は買われ10年債利回りは、一時3.06%と2009年4月以来の水準まで低下し、朝方にダウ平均株価は、一時1万ドルの大台を割り込み、9774ドルと2009年11月以来の安値水準をつけた。しかし、引けにかけて急速に下げ幅を縮小する展開となり、昨日のダウ平均は結局、前日比22.82ドル安の10043.75ドル、ナスダックは同2.60ポイント安の2210.95で引けた。
このように25日の夕刻の日本の債券市場から、欧州市場、そして米国市場にかけての相場は大荒れの展開となった。しかし、米国株式市場が引けにかけて急速に値を戻したことから、相場は落ち着きを取り戻す格好となった。今回の相場変動はあくまで不安心理が値動きを荒くしたとみられる。
日銀のサイトにアップされた5月21日の白川日銀総裁の会見内容から、特に一部欧州諸国における財政問題に関わる部分を見てみたい。
白川総裁は、日本の経済・物価情勢におけるリスク要因として、新興国・資源国経済の強まりなどの上振れ要因とともに、国際金融面での動きなどの下振れリスクを挙げている。一部欧州諸国における財政状況を巡る動きが、国際金融や世界経済に与える影響には注意する必要があるとした。
一部欧州諸国において財政再建と経済改革に取り組んでいく必要があるが、その過程で金融市場の緊張がさらに高まるような場合に、様々なルートを通じて欧州経済さらには世界経済を下振れさせるリスクがあり、この点には十分な注意が必要であるとしている。
現在の世界経済を牽引している新興国・資源国経済は、内需を中心に国際機関や民間の予測を上回る力強い成長を続けており、米国経済も輸出が増加し個人消費も増加する中で緩やかに回復していることで、現時点では欧州経済の不確実性の高まりが日本経済に与える影響は限定的であると指摘している。
ただし、ギリシャの問題がポルトガル・スペインをはじめ近隣諸国に波及し、そのための対応によりドイツなどに負担がかかるなどしたことで、ユーロというシステムそのものへの危惧も出てきている。このため、問題解決に向けては関連諸国が協力し、該当諸国の信認回復に向けて努力を払う必要が不可欠となろう。
白川総裁は、今回の欧州金融市場の不安定化の背景には、欧州一部の国における財政の持続可能性・再建可能性に対する市場の信認低下や、これらの国の競争力の低下という大きな問題がある。欧州諸国の経済・財政改革が着実に成果を上げ市場の信認を確保していくことは、時間のかかるプロセスであり、その過程で国際金融市場や世界経済にどのような影響が及んでいくのかといった点は、注意深く点検していくことが重要だと考えているとも発言している。
一国の財政に対して信認が失墜してしまうと、それを回復するのは容易ではない。総裁もコメントしたように信認回復には時間もかかり、その間、金融市場や経済実態に影響を与えうる点を指摘している。たとえば、日本国債への信認がすぐに失墜するようなことは考えづらいが、日本でも財政再建に向けての姿勢を維持させていかない限り、ギリシャの二の舞になる可能性はありうる。
さらに白川総裁は、ECBが実施している「証券市場プログラム」に関し、この措置の狙いと性格についてのECBの説明を取り上げている。
第1に欧州の債券市場における異例な(dysfunctional)市場環境に鑑み導入するものであり、民間、公的双方の債券市場の機能不全を是正するという明確な目的が定められている。
第2に、この措置によって供給される資金は別のオペレーションによって吸収をすることで、トリシェ総裁の発言にもあったように量的緩和ではない。
第3に、これらの結果、当該措置は、金融政策運営方針の変更を意味するものではない。
白川総裁は、この措置は機能不全に陥った債券市場の是正策だと受止めているとしている。次に、こうした措置にも拘わらず金融市場がなお不安定であることに関し、今回の欧州一部国の問題は、現象としては資金繰りあるいは国債金利の上昇というかたちで現れてきているが、その背後にあるのは、財政バランスが維持可能ではないのではないか、さらに、当該国の競争力が十分ではなく、経済の構造改革が必要であるという認識があるのではないかと指摘した。
そして、EUあるいはユーロ加盟国の様々な公的措置は、「当面の時間を買う措置」だと思うとし、時間を買っている間に、基本的な問題に対して当該国が取り組んでいくことが必要で、今その部分を市場は見ているのだと理解しているとしている。
総裁の言う「当面の時間を買う措置」という表現は言い当てていると思われる。あくまで根本的な解決には、一部欧州諸国の財政への信認の再構築であり、時間もかかるし、かなり努力も必要である。これは日本にとっても決して他山の石ではない。
ギリシャの財政問題を発端とした欧州諸国の財政問題を受けて、欧州連合は5月10日に過去最大規模となる最大7500億ユーロ規模のユーロ圏支援基金と証券買い取りプログラムを公表した。また10日からは、欧州の中央銀行が1999年のユーロ発足以来初めて国債の買入を実施するなど異例とも言える政策も実施された。
しかし、欧州での緊縮財政措置はそれだけ欧州各国の財政問題の深刻さを示すとともに、財政再建によりユーロ圏の経済成長を圧迫し、それが世界経済にも影響を与えるのではないかとの懸念が強まった。さらにドイツ政府が国債などの空売り規制を導入するなど規制強化の動きによりリスク回避の動きが強まり、日欧米市場での株安を誘い、安全資産として円、さらに米国債・ドイツ国債とともに日本国債も買い進まれる結果となった。
5月20日に発表された1〜3月期GDP一次速報値は実質で年率プラス4.9%となった。事前予想をやや下回るものの、個人消費は前期比プラス0.3%、住宅投資もプラス0.3%、設備投資もブラス1.0%とそれぞれブラスになるなど、景気回復を裏付けるものとなった。
ところが日経平均株価はGDPが発表された5月20日に1万円の大台を割り込むなど、株価は下落基調を辿った。欧州の財政問題によるリスク回避の動きにより、米国株式市場が下落したことに加え、ユーロ円は20日に一時110円を割り込むなど外為市場での円高進行により日本株への売り圧力が強まる格好となった。
今後のマーケットの動向を読む上で、注目すべきは欧州の財政問題の行方であろう。ギリシャの財政問題は根本的には本格的な財政再建が可能かどうかである。さらにスペインやポルトガルの財政再建の行方についても注意して見て行く必要がある。ただし、この問題は簡単に解決できるものでもない。欧州の財政問題は長期化し、これを受けて日本の長期金利の低位安定が続く可能性が高い。
今後の債券相場を読む上で、日本の長期国債先物の中心限月の建て玉の動向に注目してみたい。2008年9月のリーマン・ショック後にヘッジファンドなど海外投資家がデリバティブのポジションを解消する動きを強めた。このため日本の長期国債先物の建て玉は比較的に低い水準を維持してきた。ところが今年の4月中旬あたりから増加傾向となり、8兆円台にまで回復している。
過去の債券先物相場と建て玉の動きはある程度連動していることがグラフからも読み取れる。それは2008年の動きを見てみるとはっきりと分かる。リーマン・ショック以降は相場もレンジ相場となるとともに、建て玉は若干増加はしたが総じて大きな変動はなかったと言える。
4月中旬以降は建て玉の増加とともに、相場自体も上昇しつつあり先物中心限月は140円台を回復した。建て玉も増加傾向は始まったばかりとも言えることで、同時に相場も上昇傾向となる可能性が高いとみている。長期金利は1.1%近くまで低下する可能性もありうる。
ギリシャの財政問題を発端とした欧州諸国の財政問題を受けて、欧州連合は10日に過去最大規模となる最大7500億ユーロ規模のユーロ圏支援基金と証券買い取りプログラムを公表した。また、1999年のユーロ発足以来、欧州の中央銀行が初めて国債の買入を実施するなど異例とも言える政策が実施された。デフォルトの懸念もあったギリシャでの19日の85億ユーロの国債償還についても、IMFなどの緊急融資により資金調達は可能となった。
しかし、欧州での緊縮財政措置はそれだけ欧州各国の財政問題の深刻さを示すとともに、財政再建によりユーロ圏の経済成長を圧迫し、それが世界経済にも影響を与えるのではないかとの懸念も強まった。さらにドイツ政府が国債などの空売り規制を導入するなど規制強化の動きにより、リスク回避の動きが強まり、日欧米市場での株安を誘い、安全資産として円、さらに米国債・ドイツ国債とともに日本国債も買い進まれる結果となった。
10年債利回りは昨年12月につけた1.190%と昨年1月につけた昨年の最低利回り1.185%がひとつの目処となる。ここを割り込むようだと1.1%台半ばまで利回りが低下する可能性がある。ただし、外部要因に振り回される状態が続いていることで、高値波乱となる可能性もあり注意も必要か。
20日に発表された1〜3月期GDP一次速報値は実質で年率プラス4.9%となった。寄与度は内需がプラス0.6ポイント、外需はプラス1.2ポイント。輸出は6.9%増加した。個人消費は前期比プラス0.3%、住宅投資プラス0.3%、設備投資ブラス1.0%に。住宅投資は5期ぶりのプラス。また、名目GDPも年率プラス4.9%となり、5期ぶりの名実逆転が解消された。GDPデフレーターは前年同期比マイナス3.0%となり、過去最低水準に。内需デフレーターは同マイナス1.9%となった。2009年度の実質GDP成長率は前年度比マイナス1.9%に。2010年度成長率のいわゆるゲタはプラス1.5%となった。
実質で年率プラス4.9%というのは市場予想を下回り、個人消費や設備投資は事前予想よりも弱かった。しかし、回復基調にあることは変わりなく、輸出もしっかり。今後は政府による経済対策の効果が剥奪するが、極端に落ち込むことは考えづらい。4〜6月期はギリシャ・ショックによる円高の動きなどの影響も出るとみられるが、引き続き外需を主体に回復基調となると予想される。
ドイツ連邦金融監督庁(BAFin)は、19日よりネーキッドショートセリング(貸株手当てのない空売り)の一時的禁止措置を導入する。規制の対象となるのは、ユーロ圏の国債ならびに関連したクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)、さらにドイツの主要金融機関10社の株式にも適用される。この措置は、5月19日から2011年3月31日まで実施される(ロイター)。
この発表を受けて、18日のニューヨーク外為市場では取引規制強化が嫌気され、ユーロが大幅に下落した。ユーロ・ドルは、一時1.2161ドルと2006年4月以来4年1か月ぶりの安値をつけ、ユーロ円は112円割れとなった。
ドイツ当局の空売り規制の導入によるリスク回避の動きや、米株安を受けて米債は大幅反発となり、米10年債利回りは前日比0.14%低下の3.35%、2年債利回りは同0.07%低い0.73%となった。
この空売り規制は市場にとって劇薬ともなりかねない。米国ではサブプライムローン問題を発端とした米金融不安が広がりを受けて2008年7月から株の空売り規制が実施されたが、これはむしろマーケットの波乱要因ともなっている。
今回は国債市場での空売り規制であるが、ギリシャ国債などは流動性に乏しくなっているところでの空売り規制は、さらに流動性を制限させる可能性がある。投資家がリスクが取れなくなるとの連想により、他の金融商品に売り圧力が掛かる可能性がある。今回は規制の掛からないユーロに対して、売り圧力を強める結果となった。このままではECBによる為替介入すら現実味を帯びてくる可能性がある。
たしかに欧州は危機的状況にある。しかし、あまりに政府が市場に介入してしまうと市場が本来持っている価格形成機能を損ないかねない。
4月30日の金融政策決定会合で、白川総裁は成長基盤強化の観点から、民間金融機関による取り組みを資金供給面から支援する方法について検討を行い、改めて報告するよう、執行部に指示した。
これを受けて5月20日から21日にかけての金融政策決定会合では、新たな貸し出し制度の大枠を固め、6月の決定会合で細かい内容を決めるとみられる。
成長が期待できるという対象分野としては、環境・エネルギーや観光、新しい研究開発などが含まれるようである。これらに取り組む企業向けに貸す銀行に、日銀は今 年夏から、半年から1年という期間を対象に年0.1%という低利で貸し出す制度を構築する。
日銀が特定の分野に貸し出すことを条件にした制度をつくるのは極めて異例と言える。確かにギリシャの財政危機を発端とした欧州市場での混乱は、円高・株安を誘発し日本経済にも影響を与えそうだが、国内景気は底堅く回復基調に変わりはない。
それにも関わらずこのような制度をあらたに作る背景には、政府の意向をかなり意識している可能性がある。実際にこの制度は政府による成長戦略とも歩調を合わせた格好となっている。
日銀はすでに、昨年末に国債などを担保とした期間3か月程度の期間10兆円規模の新型オペ導入した。さらに、今年3月にはその規模を20兆円に拡大している。しかし、新たに検討される貸し出し期間は半年から1年の方向で検討するとしており、対象は特定されるがより長い期間向けの貸し出しとなる。
この制度を利用することにより、銀行の調達する金利が低くなり、成長分野に投資する企業に貸し出す際の金利が他の分野向けの融資より低くなる可能性はある。
ただし、どの程度の資金需要があるのかは未知数である。この制度によるデフレ解消に向けての効果についても、限定的なものとなるのではなかろうか。成長が期待できる企業が資金調達に苦労していることは考えづらい。むしろ資金繰りに苦慮しているのはあまり成長が期待できない分野での中小企業が主体でははなかろうかと思う。このため、この制度による金融市場の影響は限定的なものとなりそうである。
また、対象先に制限があることで、銀行が日銀の新制度により借り入れた資金が、特定された企業に融資されているのかをチェックする必要がある。このため制度開始まではそれなりに時間がかかる可能性もある。
9日に欧州中央銀行(ECB)は国債の流通市場に介入することを発表し、5月10日からドイツやフランス、イタリアの中銀などが、国債買入を実施した。1999年のユーロ発足以来、欧州の中央銀行が国債の買入を実施するのは初めてとなる。
この国債買入は、金融政策の一環としての資金供給手段としている日銀の国債買入とは目的が異なり、国債市場の安定化そのものが目的となっており、極めて異例であった。トリシェ総裁は債券購入については圧倒的多数が支持したとして、反対者がいたことを認めた。ECB理事会の票決の内容を公表すること自体も極めて異例のことであった。
欧州中央銀行(ECB)は今回のユーロ圏での国債購入額が165億ユーロになったことを明らかにした。市場ではもう少し大きな規模の国債を買入たのではないかと予想していたようだが、165億ユーロは日本円で約1.8兆円となり、日銀による毎月の国債買入規模と同規模となる。
今回のECBによる国債の買入目的は、日銀のように市場への資金供給が目的ではなく、あくまで市場機能の正常化が目的であった。そこで、金融政策への影響を避けるために、国債買入で放出した資金を回収する手段を講じる。
5月18日に同額の資金を吸収するため、1週間物定期預金の入札を実施する。これはいわば国債買入策に対する不胎化政策とも言える。1週間物定期預金の金利は最高で1%、ターム物預金はユーロシステム内のオペの担保として使用できる。
ECBは国債買入とともに同額規模の資金吸収により、インフレ懸念が台頭することを押さえ込もうとしたものとみられる。これには筋金入りのインフレファイターと言われるウェーバードイツ連銀の総裁の意向などが強く働いた可能性もありそうである。
日欧米の中央銀行による国債買入の目的はそれぞれ異なる。日銀による国債買入は資金供給手段のひとつである。イングランド銀行の国債買入の目的は、中期的なインフレ率目標を達成するためにマネーと信用の供給量の拡大を通じて名目支出を拡大させることとしている。FRBについては、国債買入は信用緩和政策の一環と位置付け、モーゲージ金利の低位安定を期待したエージェンシーMBSの購入等を補完することが目的としている(2009年5月の水野前日銀審議委員の講演より一部引用)。
当面は欧州の財政赤字問題が焦点となりそうである。ギリシャでは19日には85億ユーロの国債償還を控えているが、IMFなどの緊急融資により資金調達は可能とみられる。しかし、欧州での緊縮財政措置がユーロ圏の経済成長を圧迫し、それが世界経済にも影響を与えるのではないかとの懸念から、先週末の欧米市場では、株式市場は大幅下落となり、外為市場ではユーロが下落した。
フランスのサルコジ大統領が7日の欧州連合の首脳会議で、ドイツのメルケル首相に対し、フランスのユーロ圏離脱をちらつかせながらギリシャ支援を迫ったと、14日付けのスペインの新聞が報じた。サルコジ大統領、メルケル首相、そしてスペインのサバテロ首相はこの報道の内容は否定したものの、ユーロのシステムそのものが維持できるのかどうかという懸念も加わり、ユーロはドルに対し売られ、ユーロはリーマンショック後の最安値に迫る場面もあった。17日の東京市場でユーロは対ドルでのリーマンショック後の安値を下回った。
ここにきての世界の市場は欧州の動向を見ながら、リスク回避の動きとその反動の繰り返しとなっており、不安定な展開が続いている。円債についても海外の市場動向や、株式・為替市場動向に影響を受けやすくなっている。総じて安全資産として円が買われやすくなり、円債も押し目買い圧力が強いように思われる。
ただし、上値が重いことも確かである。10年債利回りでの1.3%割れ、債券先物の140円近辺では戻り売りも控えているとみられる。債券先物は、6月限の建て玉が8.6兆円台と直近ではかなり高い水準となっており、この建て玉解消の動きなどが入れば、相場は波乱含みの展開となる可能性もある。
18日に5年、20日に20年国債の入札が予定されている。特に20年国債の消化状況を見てみたい。そして20日に発表される2010年1〜3月期GDP第一次速報値で景気回復の度合いを確認したい。
また、20日から21日にかけての日銀の金融政策決定会合の行方についても注意が必要か。4月30日の決定会合で白川総裁は、成長基盤強化の観点から民間金融機関によ る取り組みを資金供給面から支援する方法について検討を行い、改めて報告するよう、執行部に指示した。これは新たな貸出制度といえるもので、金融機関が成長分野に融資する際に、その資金を日銀が0.1%程度で貸し出すものと予想されている。ただし、すぐ具体的なシステムを構築するには時間がかかるとも見られている。
14日付けの日経新聞によると、菅財務相が国会で提出を検討している財政再建化法案について、開会中の今国会への提出が困難な情勢となってきたようである。選挙を控えて、増税論議などが強まることを避けたいとの与党内での慎重論も多くなり、ギリシャ問題を発端として金融市場の混乱などを受けて、菅財務相は法案提出よりも、民主党の参院選マニフェストでの財政健全化姿勢の明記などを重視しはじめたそうである。
政府・与党は政権公約会議にて、参院選公約のひとつに財政健全化を掲げることを了承し、11日の記者会見で菅財務相は、2011年度の国債発行額を今年度程度に抑えるという抑制目標を表明した。
市場では普天間問題に加え、この政府の財政再建策の行方にも注視しているだけに、財政健全化に向けての姿勢を明確にし、国債市場を中心としてマーケットでの不安感解消に努めたとみられる。
国債市場では多少なり不安感もあったかもしれないものの、ここにきての相場はしっかり。ギリシャ問題などで、むしろ安全資産として円や日本国債は買い進まれている。しかし、すでに2010年3月末現在の国の借金である国債と借入金の合計が882兆9235億円となり、過去最高額を更新するなど日本の財政悪化には歯止はかかっていないことも事実である。
財務省が発表した「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」によると2010年3月末現在の国の借金である国債と借入金の合計が882兆9235億円となり、過去最高額を更新した。
主な内訳は普通国債が593兆9717億円、財投債が122兆2253億円、借入金が56兆4063億円、政府短期証券が106兆281億円となっている。
前年度末に対する増減は、普通国債が48兆360億円の増、財投債が8兆8248億円の減、借入金が1兆1598億円の減、政府短期証券が2兆4545億円の減となった。
前年度末に対する増減を見てわかるように、国の借金の増加は普通国債の増加によるものである。リーマンショック後の景気の低迷などにより、税収が大幅に減少したことに加え、積極的な財政政策により国債発行額が膨らんだ。
2010年度も当初予算で44兆円規模の新規国債が発行される。菅財務相は2011年度も44兆円規模に抑えると発言したが、現実にはかなり難しいといわざるを得ない。このまま毎年度50兆円規模もの国債が新規で発行され続けるとなれば、いずれ身動きが取れなくなる可能性がある。
英国での総選挙での結果を受けてブラウン首相は辞任を表明し、保守党のキャメロン党首がエリザベス女王から首相に任命された。ただし、保守党は過半数を制していないことで、自由民主党と連立する可能性があり、連立が政権すれば第2次世界大戦後初めてのこととなる。
財務相にはキャメロン首相と盟友といわれるジョージ・オズボーン議員が就任するとみられているが、オズボーン議員は以前より財政赤字削減を優先する姿勢を示しており、今後は英国でも財政再建に向けての動きが出てくるとみられる。ギリシャやポルトガル、スペインの財政再建の行方も気掛かりながら、この英国の財政再建の行方も要注目である。
その財政再建は容易なことではないことも確かであり、それは我が国も同様か。昨日、菅財務相は2011年度新規国債発行額を今年度当初の44.3兆円を上限とする考えを表明した。
税収の大幅に伸びが期待できない中、子供手当ての満額支給などに加え社会保障費の自然増により6兆円規模の歳出増が予想されている。さらに税外収入では今年度のように5兆円規模とみられる埋蔵金は期待できない。子供手当ての満額支給などは再検討される可能性はあるものの、新規国債の発行額を今年度当初予算の44.3兆円に抑えることはかなり困難を伴う。
鳩山首相はこの菅財務相の発言に対し、それは財務省の思いを述べたもので決してそれが私の考えではないと語り、民主党の高嶋筆頭副幹事長もロイターのインタビューで、党として(認識は)全く共有していないと、菅財務相発言をけん制した。また、高嶋氏は財政健全化法の国会提出についても、国会への提出を急ぐ理由はないとはねつけた。
また、昨日、仙石国家戦略相は閣議後の記者会見で、「日本の国内総生産はギリシャと比べものにならないぐらい大きい。もしものことがあったときに他国とか国際通貨基金(IMF)の手助けは期待できない大きさということも認識しておかなくてはならない」とも指摘した。
民主党内での財政再建の必要性を意識しての菅財務相や仙石国家戦略相の発言が、民主党全体の声となってこないところに将来に対する不安が生じる。目先の選挙目当ての政策は有権者から見透かされる可能性もあるのではなかろうか。
9日に欧州中央銀行(ECB)は国債の流通市場に介入することを発表し、ドイツやフランス、イタリアの中銀などが、国債買入を実施した。1999年のユーロ発足以来、欧州の中央銀行が国債の買入を実施するのは初めてとなる。
この国債買入は、金融政策の一環としての資金供給手段としている日銀の国債買入とは目的が異なり、国債市場の安定化そのものが目的となっており、極めて異例。ECBとしてもなかなか苦渋の決断であったかと思われる。
以前に前日銀審議委員の水野温氏氏は2009年5月の「最近の経済情勢と中央銀行の政策対応」という講演の中で、リーマンショック後の対応策として主要中央銀行が行なった国債買入の狙いについて述べている。
イングランド銀行の国債買入の目的は、中期的なインフレ率目標を達成するためにマネーと信用の供給量の拡大を通じて名目支出を拡大させることとしている。また、FRBについては、国債買入は信用緩和政策の一環と位置付け、モーゲージ金利の低位安定を期待したエージェンシーMBSの購入等を補完することが目的としている。
これに対して、ECBに関してはユーロ圏諸国の国債買入に慎重であるとし、これはユーロ圏には、財政規律の重要性等が明記された「成長安定協定」が存在し、財政政策との役割分担を明確にしているためと水野氏は指摘していた。
昨日のブルームバーグのインタビューでECBのトリシェ総裁は、4日のリスボンでの政策委員会では債券購入を協議しなかったことを明らかにした。しかし、週末に政策委が電話で協議し、金融市場が機能不全に陥り、正常な市場機能を回復させる目的で、介入することを決めたと発言している。
これはつまり、6日のダウ平均株価が一時1000ドル近い下げとなるなど、欧州の財政問題による金融市場の混乱は米国市場などにも大きく影響し、リーマンショック時のように金融システムそのものを揺るがす懸念も強まってきた。
このため、G7の財務相が週末に電話会談をするとも伝えられたが、特に米国などから欧州に対しての対応策が求められ、それがEUによる最大7500億ユーロ規模の緊急安定化基金の設立とともに、ECBが国債の流通市場に介入することを決定した背景にあると思われる。
また、トリシェ総裁は、ECBの独立性について、われわれは完璧な独立性を強硬に堅持していると発言したが(ブルームバーグ)、国債の買入については、レーン欧州委員の口から発表されたことをみても、かなり政治的な配慮が意識されての決断であったと思われる。
さらにトリシェ総裁は債券購入については圧倒的多数が支持したとして、反対者がいたことを認めた。ECB理事会の票決の内容を公表すること自体も極めて異例のことであり、今回のECBなどによる対応策はまさに異例尽くしとも言える。
ギリシャなど欧米諸国の財政不安にともなう市場の動揺に対し、いろいろな対応策が講じられる。
欧州連合(EU)は10日に過去最大規模となる最大7500億ユーロ規模のユーロ圏支援基金と、証券買い取りプログラムを公表した。ユーロ圏向け融資の枠組みでは、ユーロ圏諸国政府が計4400億ユーロの資金を提供可能とし、EU予算からさらに600億ユーロを拠出、これに加えて、国際通貨基金(IMF)が最大2500億ユーロを拠出するとか(ブルームバーグ)」
また、レーン欧州委員は、欧州中央銀行(ECB)が国債の流通市場に介入することを決定したと伝えた(ロイター)。これは政府や民間企業発行の債券をECBが購入する市場介入措置とみられ、ギリシャやポルトガルなどの国債も対象になると予想される。
そして、欧州の米ドル短期金融市場における緊張が再び高まっている状況を受け、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、米国連邦準備制度、スイス銀行は、時限的な米ドル・スワップ取極の再締結を公表するとし、日銀も同様の措置の導入に向けて速やかに検討を行うこととし、11時から臨時の金融政策決定会合が開催された。臨時の決定会合では、政策金利は全員一致で現状維持としたが、米FRBと米ドルスワップ協定の再締結、そしてドル資金供給オペの再開を決定した。白川総裁はBIS会議でスイスに出張中のため、山口副総裁が14時から記者会見する。
また、本日日銀は2営業日連続で2兆円の即日資金供給オペを通知した。結局、落札金額は5945億円と今回も札割れとなったが、日銀も欧州発の信用不安の連鎖を断ち切るべく、早め早めに対応している姿勢を示した。
ギリシャの財政懸念がポルトガルやスペインにも波及に、外為市場ではユーロが大きく売られ、株式市場も下落した。ギリシャやポルトガル、スペインの国債の利回りも上昇し、ロンドンでの銀行間での取引金利、つまりLIBORの3か月物ドル金利や3か月物のユーロ金利が上昇するなどそれぞれの国の国債を抱える銀行への影響なども、懸念されていた。
これら一連の対応策が発表され、10日の外為市場ではユーロ円が一時120円台を回復し、東京株式市場も米株は下げていたものの、寄り付きから下げ渋りの展開となった。
とりあえずセーフティーネットが構築され、これにより多少なり不安心理が後退する可能性がある。実際にはギリシャの財政再建の行方が焦点となるが、国民が納得した財政再建が可能となるのかどうか。市場の動揺を完全に押さえ込むには時間もかかりそうである。
6日の米国市場は、まさにパニック的な動きとなった。米ダウ平均は一時前日比998.50ドル安と取引時間中では過去最大の下落幅を記録し、リーマン・ショック時の下げ幅をも超えた。この米株の大幅な下げの要因は、ギリシャやポルトガルなど南欧諸国の財政問題などがあるが、株の下げを加速させたとは、どうやら誤発注が要因ではなかったかとの指摘がある。
確かに、特に大きな材料が出たわけではない中でのこの急落は、そういった技術的なものである可能性が高い。WSJによると、シカゴ・マーカンタイル取引所のe-minisで1600万単位とすべきを160億単位としたのではないかとの指摘がある。また、プロクター・アンド・ギャンブル社やスリーエムなどダウ平均構成銘柄の一部が急落するなど、不自然な動きも指摘されていた。
一時1万ドルを割り込んだダウ平均はさすがに引けにかけて値は戻したが、結局、前日比347.80ドル安の10520.32ドルで引けた。この米株のパニック的な売りにより、質への逃避の動きから米債は買われ、10年債利回りは一時3.26%にまで急低下した。結局、株の下げ幅縮小で米債は戻り売りも入ったが、それでも米10年債利回りは前日比0.15%低下の3.39%に。米2年債利回りも一時0.65%まで低下して、同0.08%低下の0.78%に。
このパニック的な動きは当然ながらも、外為市場にも波及し、質への逃避の動きが強まると何故か、安全資産と見なされているらしい円が買われる構図となり、米長期金利の低下による日米金利差縮小なども意識され、円買いドル売りが進行し、ドル円は一時87円95銭をつけた。円は対ユーロでも大きく買われ、ユーロ円は一時110円49銭をつけた。さすがにこの急激な円高は多少修正されたものの、今朝のオセアニア時間でのドル円は90円70銭近辺、ユーロ円は114円50銭近辺と昨日のドル円し93円台、ユーロ円は120円台に比べると、かなりの円高となった。また、ニューヨーク原油先物も急落しており、時間外取引で一時74.58ドルまで下げ、金先物はリスク回避の動きからやはり時間外で1200ドル突破した。
米株式市場の誤発注が要因であったとしても、これだけ他市場に影響が出たということは、それだけ市場は神経質になっているとも言える。ギリシャの財政問題が長期化し、それが他の国々にも影響を与えており、対策は講じられても、不安心理は沈静化せず、むしろさらに高まってきているとも言える。
この円高と米株安を受けて、本日の東京株式市場は大幅下落となり、前日比400円を超す下げとなったが、日銀は前場寄り付き後に全店方式の共通担保資金供給オペで2兆円を即日供給した。即日供給オペは追加緩和が実施された翌日の2009年12月2日以来約5カ月ぶりとなる。
日銀は「潤沢に資金供給することで市場の安心感を高めるのが狙い。国内市場で問題が起きているというようなことを認識しているわけではない」(金融市場局)とコメント(ロイター)。米国市場でのパニック的な動きの影響による急激な円高と株式市場の大幅下落を意識した動きと思われる。
債券市場では6日の寄り付きとまったく同じように買い気配を切り上げて、140円08銭で寄り付いた。ちなみに6日の寄り付きは140円07銭。また長期金利も昨日同様に1.250%に低下した。米市場のパニック的な動きにより、質への逃避として「安全資産」としての円や日本国債に資金が向かった。しかし、本当に日本国債は安全資産と呼べるものなのか。いまのところ信認されていることは確かであろう。しかし、その信認にクエスチョンマークが少しでも付くようだと、リスク資産に転じてしまう可能性がないとは言えない。いったん信頼に傷がついてしまうと今回のギリシャ国債と同様なことが起き得る。この点は十分注意すべきことである。
格付会社S&Pによるギリシャやポルトガル、そしてスペインと相次いだソブリンの格下げで、欧州の信用不安が再び燻ってきた。ギリシャは5月19日に期限を迎える大規模な国債償還の資金を得ることが可能になるのかどうかが目先の焦点となる。当面はこの欧州の信用不安が相場の不安定要因となりそうである。
また、英国では5月6日に実施される総選挙次第では政権交代の可能性もあり、財政悪化の続く英国の動向も注目材料となる。
国内では小沢幹事長は起訴相当との検察審の議決や、米軍普天間飛行場の移設問題を抱え、ここにきてさらに支持率を下げている鳩山政権の行方が不安定要因となる。5月政局ともなれば円安・株安を招きかねないが、債券の先行きについては財政問題の行方次第となりそうである。
10年債利回りは1.3%を大きく割り込んできたが、ここにきての長期金利の低下は内部要因によるものではなく、ギリシャ問題など外部要因によりもたらされた。このため、欧州での財政懸念が後退すれば、1.2%台では高値警戒により戻り売りも入りやすい。
債券先物中心限月の建て玉は徐々に積みあがり、28日には8兆円台に乗せてきている。また、債券先物中心限月の日足チャートを見ると、窓を空けての上昇ともなっている。4月27日から28日にかけての139円40銭から139円62銭の窓、4月16日から19日かけて空けた138円99銭から139円15銭の窓がある。また、中心限月移行の際に空けた139円44銭から140円22銭の窓も空いている。さらに、ゴールデンウイーク明け5月6日の債券先物は南欧の財政問題の再燃により、中心限月としては3月10日以来の140円台乗せとなり、30日の高値139円75銭から窓を空けた。いずれかのタイミングでこれらの窓を埋めてくる可能性がある。
国内経済を見てみると、中国など新興国経済の強まりを背景に、輸出・生産は増加を続け、3月の鉱工業生産は前月比0.3%の上昇となった。個人消費も政府による経済対策の効果などから耐久消費財を中心に持ち直しており、3月の家計調査でも実質消費支出は前年同月比で4.4%増となった。ただし、雇用については3月の失業率が5.0%と高い水準となっているなど、改善の足取りは鈍い。物価については3月の消費者物価指数(除く生鮮食料品)は、前年同月比1.2%の減少と13か月連続の減少となった。
今後の見通しについては、上海万博を開催中の中国を主体とした新興国の成長や、米経済の回復などを背景に輸出は増加を続けると予想される。それにより企業業績も回復基調を続けるものと思われる。それにより設備投資や雇用・所得環境の改善も見込めるものの、改善は緩やかなものとなりそうである。物価に関しては、日銀は4月の展望レポートで2011年度の消費者物価指数(除く生鮮食料品)の見通しを、1月時点のマイナス0.2%からプラス0.1%に上方修正しており、今後はマイナス幅は徐々に縮小すると予想される。
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