「若き知」
「過去データは一番下に移行しました」


2010.6.30「牛さん熊さんの本日の債券(臨時)」
熊「いやあ、昨日のサッカー・ワールドカップ、日本惜しかった」
牛「しかし、ここまで良くやったと思うで。本当に、お疲れ様でした。そして感動をありがとう」
熊「今日は、作者を含めて寝不足の人も多いのではないかな」
牛「しかし、寝不足気味の市場参加者にとり、今日の相場はさらに頭が痛くなるような状況に」
熊「昨日のニューヨーク株式市場は大幅続落となり、ダウは268ドル安」
牛「リスク回避の動きから円が買われたようで、ドル円は88円台に」
熊「この円高と米株安を受けて、本日の東京株式市場は売りが先行し、日経平均は年初来の安値を更新した」
牛「米国などを中心に、世界経済の先行きに対する懸念が背景にあるようだ」
熊「確かに昨日発表された6月の米消費者信頼感指数が大幅に低下するなど、二番底への懸念はあるようだが」
牛「そんなに景気が悪化しつつあるようにも思えないんやが」
熊「ただし、先日のトロントでのG20では景気回復とともに財政再建に向けての姿勢も打ち出され」
牛「13年度に財政赤字のGDP比を半減させるとの目標を考えると、これは景気回復を阻害する可能性もあり」
熊「これも、世界経済の先行き不透明感を強めさせているようだ」
牛「これを受けて、安全資産とみなされている米国債、そしてドイツ連邦債、さらには日本国債に買いが入り」
熊「昨日の米国債券市場では、10年債利回りは2.95%と3%を割り込み」
牛「米2年債利回りも、0.59%と過去最低利回りを更新したそうや」.
熊「ドイツ連邦債も、10年債で2.5%前半まで利回りが低下している」
牛「そして、昨日、日本の長期金利は1.1%を割り込んでいる」
熊「再び債券バブルとなるのかとの懸念もここにきて出てきているようだが」
牛「しかし、今回の株安や日欧米の長期金利の低下については、思惑先行とも見えなくもない」
熊「毎年6月は、その年の高値や安値をつけることが多いとのアノマリーもあるが」
牛「ヘッジファンドなどが、仕掛けやすいタイミングでもあるのか」
熊「いずれにせよ、この株安や円高、そして債券高がどこまで続くのかを見極める必要がある」
牛「日本の長期金利の1%割れも、ないとは言えないものの」
熊「そこまで日本のファンダメンタルズが本当に悪化しているのか」
牛「明日発表される日銀短観では、むしろ景気の改善が示されるとの見方となっているし」
熊「どうも、今回の相場の反動が、近いうちにくるような気がするが」
牛「7月に入って相場の地合いに変化があるかどうか、見極めたい」
熊「そういえば明日から7月なのか」
猫「ということで、お久しぶりです」
熊「牛熊、サッカー増刊号みたいな感じだな」
猫「日本のワールドカップは終わったけど、ワールドカップそのものはこれからが面白くなるのよね」
牛「準々決勝の組み合わせ見ても、これはサッカーファンの寝不足は当分の間、続きそうやな」


2010.6.29「鉱工業は前月比マイナスに」

5月の鉱工業生産指数速報値は前月比0.1%低下と3か月ぶりのマイナスとなった。普通乗用車、半導体製造装置、フラットパネル・ディスプレイ製造装置などが低下要因に。5月の出荷はも前月比1.7%の低下と3か月ぶりの低下に。輸送機械工業、一般機械工業、石油・石炭製品工業等などの低下が要因。製造工業生産予測調査によると6月が前月比0.4%のプラス、7月は1.0%のプラス。

また、5月の完全失業率(季節調整値)は、前月より0.1ポイント上昇の%となり3か月連続で悪化した。5月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月より0.02ポイント上昇の0.50倍で、2か月ぶりに改善した。


2010.6.28「G20での財政再建目標に例外とされた日本」

菅政権は第三の道の称して財政再建と経済成長を両立させようとしているが、どうやらこれは日本ばかりでなく、世界的な傾向となっているようである。トロントで開催されているG20による首脳会議において、財政再建と経済成長の両立を重視することで各国首脳は合意した(ロイター)。

これは先進国について2013年までに財政赤字のGDP比を半減させることを主張した欧州と、景気回復を優先させたい米国との意見の食い違いを避けるために出された妥協案とも言える。なるべく政府支出に頼らないかたちでの景気回復を優先させ税収増を計った上で、財政再建に取り組むことが理想であるかもしれないが、各国の財政・経済情勢の違いなどにより、主張が異なってしまうことは致し方ない。それだけ今回の問題は根深いともいえる。

その中にあって、13年度に財政赤字のGDP比を半減させるとの目標について、例外とされた国がある。日本である。これは菅政権が「財政目標を策定したばかり」であるためと説明されていたが、実際はそうではあるまい。あまりの政府債務残高により実現不可能と認識されたことが背景にあるのではなかろうか。日本の政府債務の95%程度が国内資金で賄われているという特殊な事情はあるにせよ、ある意味、あまりの政府債務残高の多さに、日本の財政再建は不可能に近いとの認識がもたれていたとしても不思議ではない。

このような例外的な措置をうけるほど日本の財政は悪化は深刻化していると言える。ギリシャのように、今そこにある危機ではないだけに、危機が現実化した際のインパクトは計り知れないものになる危険性をも秘めている。


2010.6.28「2009年度の国の税収は38.7兆円に」

28日付の日経新聞によると2009年度の国の一般会計の税収が役38.7兆円となることがわかったそうである。昨年12月の第二次補正予算案を編成した際の見積りの36兆8610億円を1.8兆円程度上回ることとなる。これは景気回復に伴なう企業業績の回復により、法人税収入が想定よりも多かったことが影響したようである。しかし、それでも2009年度の第二次補正後の新規国債発行額の53兆4550億円を大きく下回っていることに変わりはない。


2010.6.25「5月のコアCPIはマイナス1.2%」

総務省が発表した全国消費者物価指数(除く生鮮食料品)は、前月比でプラス0.1%、前年同月比ではマイナス1.2%となった。

ちなみに全国消費者物価指数(除く生鮮食料品)において、4月からの公立高等学校の授業料無償化による影響の寄与度はマイナス0.41、私立高校授業料に対する高等学校等就学支援金の支給による影響の寄与度はマイナス0.13となり、高校授業料無償化による影響の寄与度は合わせてマイナス0.54となる。

コアCPIの前年同月比の下落幅は、4月のマイナス1.5%からマイナス1.2%と0.3ポイント縮小した。前年同月比でのマイナスは15か月連続ではあるものの、マイナス幅は減少傾向にある。

今回のマイナス幅の減少に寄与したのはエネルギー価格であり、総合の下落幅が0.32ポイント縮小した。昨年の値下げの反動もあり電気代、都市ガス代の下落幅が縮小し、灯油やガソリンなどの上昇幅が拡大した。

CPIのマイナス幅が少しずつでも縮小しつつあることは、デフレ脱却に向けて物価も改善傾向にあることを示している。しかし、デフレ脱却にはかなりの時間を要することも確かなようである。


2010.6.24「債券は高値警戒が必要」

22日から23日にかけて開催された米FOMCでは、景気認識を下方修正し、政策金利を長期にわたりゼロ近辺にとどめる方針をあらためて示した。これを受けて23日の米国市場では株式市場では上値が重くなり、ドル安が進行するとともに、米債は買われ10年債利回りは一時3.09%に低下した。

ここにきて買い材料に敏感となっていた日本の債券市場では、この米債高を受けてさらに買い進まれ、10年債利回りは2008年12月30日に付けた1.155%を割り込み、1.140%まで低下した。次の節目となるのは1.105%となり、1.1%割れの可能性も見えてきた。

債券がしっかりしている背景には、政府が軸足を経済再建に移していることもあげられる。買い遅れていた投資家による買いが長期や超長期主体に入り、それにより長期金利が押し下げられる結果となっている。

しかし、日本のファンダメンタルズが目に見えて悪化しているわけではない。選挙も意識した上ではあろうが政府も月例経済報告で基調判断に回復の文字を復活させている。米国経済が政策効果の後退などで悪化のリスクがあることはオバマ大統領がすでに指摘していた。しかし、米企業経営者の経済見通しが4年ぶり高水準になったとの報道(ロイター)もあるなど、米経済の悪化をメインシナリオとするにはリスクもありそうである。

日米の長期金利がそれぞれ1%、3%という大きな節目に接近しつつあるが、「まだはもうなり」との相場格言もあるが、ここからはむしろ高値警戒(もちろん価格ベースで)が必要となるのではなかろうか。


2010.6.23「英国の財政再建策」

オズボーン英財務相は22日に緊急予算案を発表し、第二次大戦後で最悪規模に膨らんだ公的債務を減らすため、2011年1月4日から付加価値税の基礎税率を現在の17.5%から20%に引き上げることを明らかにした(日経、毎日等)

また、オズボーン氏は2010年度の公的債務が1490億ポンド(約20兆円)に上るとの新たな見通しを示した。このため、年間20億ポンド規模の銀行新税を2011年から導入するとともに子供手当てや福祉給付カットなどの歳出削減を組み合わせ、財政赤字のGDP比を2015年度までに1%まで引き下げるとした。

これは先進国の中でも、最も厳しい緊縮財政となり、それだけ財政悪化が深刻化しているとも言える。ただし、景気悪化に配慮するかたちで法人税の基本税率を2014年までに28%から24%に引き下げるとしている。

今回の英国の財政再建策はカナダで開催されるG20首脳会議を意識したものともみられている。経済成長に重点を置くのか、それとも財政再建に重点を置くのか、それぞれの国の財政や経済情勢によりかなりの温度差が出ている。

ユーロ圏諸国ではドイツやフランスなど比較的財政悪化が深刻ではなく、むしろユーロ安により景気回復の恩恵を受けている国もある。もちろんギリシャやポルトガル、スペインといった国々での財政悪化は深刻化している。

米国ではオバマ大統領が財政再建よりも景気回復を優先させる姿勢を見せている。しかし、それに対して英国の財政悪化はかなり深刻化しており、早期に手を打たなければギリシャの二の舞にもなりかねない。こういった事態は避けたいことでの今回の英国の財政再建策の発表であろう。

これに対して日本では、財政再建と景気回復を同時に進めようとする第三の道を模索しているが、これはどっちつかずの中途半端な政策ともなりかねない。消費税の引き上げについても菅首相は2、3年後との発言もあった。日本の長期金利は1.2%を割込むなど確かに低位安定しており、財政悪化による金利の上振れといったものは見えていない。しかし、債務残高に占めるGDP比は英国をも大きく上回っているのも事実である。

日本ではいずれ、今回発表された英国の財政再建策よりも、それ以上踏み込んだ内容のものを行う必要が出てくるであろう。今回の英国の財政再建策と実際の効果については、日本でも十分に検証しておかなければならない。


2010.6.22「長期金利に低下圧力」

10年債利回りは再び1.190%と直近の最低水準に低下した。この背景には菅政権による財政再建に向けての積極的な姿勢による安心感などもあろうが、投資家による国債への需要の強さも大きく影響している。昨日発表された5月の公社債投資家売買高を見ても、都市銀行(長信銀等を含む)が1兆7248億円の買い越しに転じ、地銀の5763億円の買い越し、生損保の5021億円の買い越しなど、投資信託を除いて投資家はほぼ買い越しとなっていた。

国内景気については回復基調となっており、政府も月例経済報告で基調判断に回復の文字を復活させた。これには選挙も意識したものであろうが、少なくとも緩やかな回復にあることは確かである。ギリシャ問題など欧州の財政問題も市場への影響については小康状態となっており、積極的に日本国債を買い進む要素には乏しい面はある。しかし、買い控えていた投資家による買いだけでも、相場を引き上げてくる可能性がある。

今週の債券相場の予想として、「仕掛け的な動きが入るとすれば買いからか。財政健全化策などが意識されて上値を試す展開となる可能性がある。状況次第では10年債利回りで1.190%を割込み、1.1%台半ばまで買われる可能性がある。」としていたが、どうやらこれが現実味を帯びてきそうである。


2010.6.21「小野・阪大教授へのインタビュー記事より」

ロイターによる小野善康・大阪大学教授とのインタビューの内容が、ロイターのサイトに掲載された。小野善康・大阪大学教授は菅直人首相の経済ブレーンであり、菅首相が提唱する「第三の道」は小野教授による影響が大きいとみられている。

小野氏はインタビューで「第三の道は、人に働いてもらうことが目的。そのために資金が必要なら、増税しても構わない。」としており、雇用創出に向けての消費税の引き上げは、来年からでもいいと発言した。当然ながら消費税の引き上げは国民負担を大きくさせる。しかし、それによって得た資金を有効活用すれば、雇用を創出しその結果、家計も潤うとの見方である。

しかし、政府の財政支出については「必需品ではなく、政府が何もしなければ十分に供給されないが、全くの無駄ではない分野に配分する。」との意見もあった。その分野の例として「介護や教育、壊れそうな橋の修繕や自転車道の整備など社会資本整備」をあげていたが、これが果たして、景気全般を引き上げられるほどの雇用増に結びつくのであろうか。失業率を3%に引き下げるまで人を雇えるお金が必要との意見もあり、早期の消費税の引き上げを主張しているが、失業率を5%から3%に引き下げるための具体策はあるのであろうか。これには思い切った規制緩和などが必要条件と思われるのだが。

そして日銀との対応については、「いま日銀ができるのは、貨幣の信用を維持できる範囲で、できるだけ金融緩和をすることだが、すでにかなりやっている。したがって、これ以上、日銀に責任を押し付けるべきではなく、これまで通りの金融緩和の姿勢を保ってほしいと言うべきだ」と述べている。菅政権となり日銀にインフレターゲットを押し付けるのではないかとの見方もあったようだが、小野教授の発言を見る限り、そのようなことはないようである。「デフレの克服は総需要と雇用の拡大によってデフレギャップを減らすことでしか達成できない。」と小野教授は発言しており、これは日銀の白川総裁の意見などにも近い。

第三の道は財政再建と経済成長という相反するものを両立させようとの意見である。一見すると正しい方向性のようにも見えるが、これは困難を伴なう。国の財政が危機的状況にある中、政府による効率的な金の使い方が必要であり、それにより民需に働きかけ雇用と所得、そして税収そのものもを生まなければならない。そのアプローチそのものをもう少し煮詰めてゆかなければ、二兎追うものは一兎をも得ずという結果にもなりかねない。


2010.6.18「2010年3月末現在の国債保有者別残高」

6月17日に日銀が発表した2010年1〜3月資金循環勘定速報によると、家計の金融資産は2010年12月末現在で1452兆円7512億円となった。年度ベースで3年ぶりの増加となった。この家計の金融資産のうち株式(出資金を含む)は102兆5153億円、投資信託については54兆6253億円と株価の上昇を受けて2009年3月末比で増加した。また、家計の現預金も798兆2020億円と増加した。保険準備金は214兆8292億円、年金準備金は177兆9084億円。

この資金循環勘定速報をもとに 2010年3月末現在の国債所有別内訳を算出してみた。

国債の残高そのものは、684兆3464億円となった。海外投資家のシェアは、4.6%と12月末の5.2%からさらに減少し、金額ベースでは4兆1997億円の減少となった。海外投資家は引き続き日本国債においてもポジション解消の動きを強めたとみられる。家計も残高は12月比で減少したものの国債全体に占めるシェアは5.0%となり、結果として海外投資家のシェアを上回った。

12月に比べ全体の残高が増加したが、最大の増加額となったのは銀行など民間預金取扱機関で6兆405億円もの増加となった。日銀による金融緩和策などにより余剰資金を抱えた銀行などが積極的に国債残高を積増したことが伺える。民間の保険・年金は9月末比で9464億円増加。投信など金融仲介機関は1兆5138億円の減少とまちまち。

全体に占めるシェアとしては、民間預金取扱機関が260兆1397億円で38.0%、民間の保険・年金が168兆151億円で24.6%、公的年金が79兆4908億円で11.6%、日本銀行が51兆1705億円で7.5%、投信など金融仲介機関が34兆7132億円で5.1%、家計が34兆3876億円で5.0%、海外が31兆4667億円で4.6%、財政融資資金が7861億円で0.1%、その他が24兆3876億円で5.0%となった。

家計と海外投資家の合計の保有比率が10%を割り込んだ。金融機関が積極的に国債を購入したことにより、それぞれの減少分を補ってはいるものの国債の保有層はむしろ縮小傾向になっている点に注意が必要か。

日銀の超低金利政策が継続される限りは、今後も金融機関の国債購入により買い支えられるとみられるが、海外シェアの落ち込みは今後に課題を残す。政府も財政健全化に意欲的な姿勢を示しているが、海外投資家が安心して日本国債を購入できるよう今後の財政への懸念を少しでも払拭する努力も求められよう。


2010.6.17「先入観」

先入観と恐いものである。私がつくばエクスプレスで通勤していた際、東京スカイツリーは浅草近辺であり、浅草が地下駅であったことで見えないと思い込んでいた。しかし、すでに東京タワーの高さも上回っており、当然そのようなことはなかった。しかし、そのことに気がつくまでは何故か、車窓から見えている塔が視線に入っていなかったのである。

ところが、最近になって、たまたま昼にシート席の正面を向く席で車窓の風景を見ていたところ、それが見えたのである。つくば方面から南流山の駅を出て地上に出た際、すらっと伸びた塔が遠くに見えた。最初は何なのかわからなかった。しかし、その方向を見てスカイツリーであるとわかった。

これまで通勤中はあまり車窓を楽しむ余裕なく、冬場はまだ外暗かったこともあるが、新聞を読んだ後は寝てしまったのしていたことで、それが目に入らなかった。そもそも見えるという概念が欠如してしまっていたのが大きい。しかし、それが見えた時は、いまさらながら感動ものであった。スカイツリーがTXから最も良く見えるのは、つくば方面からは北千住を過ぎて地下トンネルに入るあたりまでである。確かに浅草とは距離的にはそんなに遠くないので見えて当然ではあった。

しかし、それに気づくのにこれほど時間がかかるとは。先入観というものは本当に恐いものである。まもなく選挙戦が始まるが、民主党も菅新政権となり財政再建に向けた姿勢を強めた。鳩山政権の際には選挙に向けては増税論議は封印し、ある程度パラマキで対応しなければならないという先入観により、国民が本当に求めているものを見誤っていたのではないかとも思われる。

菅首相も鳩山政権での財務相に就任の頃には、財政再建に向けてはどちらかと言えば消極的であった。しかし、財務相となり現場の声を聞くことにより財政への危機意識を強め、海外でもギリシャ問題などを受けての財政に対しての議論を戦わせるうちに、次第に財政再建の必要性を認識していったと思われる。これもある程度の先入観が取り除かれたとも言えるのかもしれない。

それでは先入観を取り除くにはどうしたら良いのか。これにはいろいろな人の意見を聞くことも大事かもしれない。また、視線を広げることも重要か。思い込みは大事なことを見逃してしまうリスクがある。なるべく先入観は持たないように望みたいが、これもなかなか難しいものでもある。


2010.6.16「日銀の新貸出制度」

日銀は金融政策決定会合で「成長基盤強化を支援するための資金供給」についての概要を発表した。貸付総額の上限3兆円とし、貸付先毎の貸付額の上限は1500億円、貸付実行日毎の貸付総額の上限は1兆円、そして成長基盤強化に向けた取り組み方針に基づいて貸付先が行う期間1年以上の融資または投資についての新規実行額相当額とする。また、受付期間を平成24年3月31日以前とした。また、この資金を使っての融資先としては研究開発、起業、事業再編など18分野を提示したが、具体的な制限等は出していない。

今回の日銀の新貸出は金融政策からはやや逸脱したものと言わざるを得ない。金額の上限も3兆円ということで金融緩和策ではなく、あくまで政府の経済成長戦略と呼応したものである。金融機関経由ではあるが特定分野への融資を促進することを中央銀行が行うことは極めて異例である。ただし、政府のデフレ対策に日銀も協力する姿勢を示す必要もあり、そのための施策にも限度があり、今回の政策が取られることとなったとみられる。

これにより多少なり景気に働きかけが可能となれば、金融市場への影響もあるかもしれないが、その効果については現状、不透明であり、市場への影響は限られたものとなろう。

今回の新貸出制度がすでに日銀の本来の業務から逸脱してきているとの指摘もある。すでに緩和策には限度もあり、やや手を変えての政策ともとれるが、今後の政策については注意を払う必要もありそうである。


2010.6.15「国債への注目度」

格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは14日に、ギリシャの国債の格付けを「A3」から4ノッチ引き下げ、投機的(ジャンク)等級となる「Ba1」としたと発表した(ロイター)。すでに4月にスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がギリシャの格付けをジャンク級に引き下げており、ムーディーズの今回の格下げによる市場への影響は限定的なものとなろう。欧州の財政リスクについては、かなり市場でも意識されてきたことで、新たな材料が出なければ当面は小康状態となる可能性が高いと見ている。

さて、国内では菅新政権による財政再建への取り組みが注目されている。菅政権になっての内閣支持率の急回復の背景には、バラマキ型から財政再建重視への姿勢の変化に国民が安心感を覚えたことも大きいのではなかろうか。小泉政権発足の際にも新規国債の発行額を30兆円に抑えるというものかあったが、菅新首相も2011年度は新規国債の発行額を今年度と同じ44兆円以下とする方針を打ち出している。

2011年度から3年間の予算編成の枠組みを示す「中期財政フレーム」についても、国債の利払い費を除く一般会計の歳出額が、地方交付税交付金を含めて今年度並みの71兆円以下を、3年間続けるとの方針がその骨格となるようである(朝日新聞)。

ただし、税収の大幅に伸びが期待できない中、子供手当ての満額支給などに加え社会保障費の自然増により6兆円規模の歳出増が予想されている。さらに税外収入では今年度のように5兆円規模とみられる埋蔵金は期待できない。子供手当ての満額支給などは再検討されるようだが、新規国債の発行額を今年度当初予算の44.3兆円に抑えることはかなり困難を伴うことも確かである。

そしてこの先10年程度の財政再建の指針を示す「財政運営戦略」では、財政状況の健全度を示す基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字を「5年後に半減、10年後に黒字化」と明記する方針とも伝えられた。

財政再建に向けては消費税の引き上げなど税制の抜本改革も必要となる。増税をしながらも景気の底上げを図るという第三の道が果たしてうまく機能できるのかどうかは不透明である。しかし、現時点では財政再建と景気回復の両方に目配りする施策が求められることも確か。新政権は国民による国債への注目度を意識したことで、支持率を回復させたとも言える、その信頼を裏切らずに今後も掲げた政策を進めることができるのかどうか。その可能性についても参院選挙で問われるのではなかろうか。


2010.6.14「帰ってきた、はやぶさ」

2003年5月に打ち明けられた探査機「はやぶさ」が地球に帰還した。奇跡の帰還としか言い様がない。小惑星への着陸に成功させたのちその再び帰還させるという技術に加え、まさに満身創痍の「はやぶさ」を根気よくコントロールさせたJAXAの技術も含め、日本の宇宙開発における技術力の高さを見せつけてくれた。そして、日本のカプセルを放出し、自らは地球の大気で燃え尽きた姿は、まるで物語の世界のようにも思えた。

はやぶさが宇宙で航行を続ける間に、日本の首相は小泉さんから、安倍さん、福田さん、麻生さん、そして政権も変わって鳩山さんから、帰還時には菅さんと6人も変わっている。また、世界的には中国やインドなどがめざましい経済成長を遂げ、またリーマンショックやソブリンショックもあり金融市場は大混乱となった。しかし、遠い宇宙から見ればそんなこと些細なことなのかもしれない。

なにはともあれ、はやぶさの快挙を讃えたい。そして、この技術は日本経済の今後にも重要なものとなるはずである。日本の技術力に世界にアピールした「はやぶさ」の意思は次に引き継ぐべきものであり、簡単に仕分けされてしまうようなものではないはずである。


2010.6.11「引き続き欧米市場動向など外部要因次第の動きに」

6月8日に菅新政権が発足した。新官房長官には前国家戦略担当相の仙谷由人氏を起用し、新財務相には野田佳彦前財務副大臣が昇格した。この顔ぶれを見れば、新政権は財政再建に向けて取り組む姿勢を強めるであろうとみられる。これは債券相場にとり支援材料となろう。ただし、菅氏からはこれまでデフレを強く意識した発言も目立つため、日銀に対する政府の影響力がさらに強まることも予想され、これはむしろ警戒する必要がある。その日銀の金融政策決定会合が14日から15日にかけて開催される。金融政策は現状維持となろう。成長基盤強化を支援するための資金供給の具体的な内容が発表される可能性があるが、相場への影響は限定的か。当面の債券相場は引き続き海外要因次第となりそうである。特に欧州諸国の財政に対しての懸念が強まったり後退したりすることで、一喜一憂するような相場展開が続いている。総じて日本の国債には安全資産としての買いが入りやすくなり、10年債利回りは1.2%を割込む場面もあった。しかし、1.2%近辺では高値警戒感も強いことも確認された。債券先物の中心限月も移行したことで今後は戻り売りが優勢となり、大きく売り込まれた日経平均が再び1万円台を回復するなどすれば、債券相場は調整局面入りしてくる可能性もある。ただし、押し目では投資家の買いもひかえていることで深押しすることは考えづらい。


2010.6.9「最終売買日を控え先物の建玉動向に注目」

債券先物の6月限は明日10日に最終売買日を迎える。6月限は中心限月としては一時8兆円台と久しぶりに高い建玉となっていただけに、限月移行に向けての動きも注目されたが、限月間スプレッド取引もあることで、ロールオーバーもスムーズに進んでいるようである。

欧州の財政懸念が払拭できないことで、日本国債にも買いが入りやすくなっており、先物は141円台に乗せて中心限月としては2008年3月以来の水準をつけてきている。これは中心限月移行を意識しての買戻しよりも、株安などによる影響の方が強かったとみられる。ただし、さすがに高値警戒もあり、10年債利回りも1.2%近くでは戻り売りも控えていることで、上値も重くなっている。

中心限月が9月限に移行したあとの債券先物の建玉の動向に注意してみたい。9月限も6月限同様に建玉が高水準を維持してくるようならば、過去の建玉推移と先物の価格推移の動向を見る限りにおいて、さらに上値を試してくる可能性もありうる。反対に建玉が減少傾向となれば、いったん相場がピークアウトしてくる可能性もある。ここからの方向性がなかなか掴みづらいだけに、先物の建玉がひとつの目安になりうるのではなかろうか。


2010.6.8「菅新首相誕生による債券相場への影響」

鳩山首相の辞任により、6月4日に民主党代表選挙が実施され菅財務相が後任に選出された。そして、6月8日に菅新政権が発足した。新官房長官には前国家戦略担当相の仙谷由人氏を起用し、新財務相には野田佳彦前財務副大臣が昇格した。

これだけの顔ぶれを見れば、新政権は財政再建に向けて取り組む姿勢を強めるであろうことが読み取れる。そもそも菅新首相は、 財務相として5月11日に来年度予算編成方針に関して、「新規国債発行を今年度の44兆3000億円を超えないよう全力を挙げて努力する必要がある」と表明している。これはギリシャの財政問題に端を発し欧州諸国の財政問題がクローズアップされ、金融市場が大きく動揺した結果でもある。

2月5日の主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議で菅財務相は、日本の国債発行残高の多さを金メダルの水準と紹介し、2010年度予算成立後、直ちに財政再建に取り組む方針を示すなどしていた。欧州の財政問題が日本に飛び火してくる可能性はいまのところはないとは言え、日本の債務残高を考えれば、いずれ身動きできなくなる可能性も意識した発言であったと見られる。

新首相自身が財政規律を重んじる姿勢を示し、首相の補佐役となる新官房長官の仙石氏も、2月11日の記者会見で「日本の国内総生産はギリシャと比べものにならないぐらい大きい。もしものことがあったときに他国とか国際通貨基金(IMF)の手助けは期待できない大きさということも認識しておかなくてはならない」とも指摘するなど、以前より財政規律を重んじる姿勢を示している。

野田新財務相も、以前に「財政規律は死守しなければならない」との発言もあり、菅直人新政権は財政規律重視の姿勢を強めてくるとみられる。菅氏は財務相就任以前は消費税増税を封印していたが、その後は増税しても景気は良くなるとの発言もあり、むしろ財政再建に向けて消費税引き上げも今後は視野に入る可能性がある。

菅新政権は、財政規律に軸足を置くことが想定されることで、これ今後の国債需給の懸念をやや緩和させてくると思われる。債券相場にとってこれは大きな支援材料となりうる。ただし、参院選を控え本格的な財政債券に向けての施策が取れるかどうかは未知数であり、今後の動向を見守る必要はある。

さらに、菅氏からはこれまでデフレを強く意識した発言も目立つため、日銀に対する政府の影響力がさらに強まることも予想され、これはむしろ警戒する必要がある。ただし、債券相場にとっては超低金利政策が長く継続される可能性が強まるだけに、これも支援要因ではあるのだが。


2010.6.5「菅首相と債券相場」

鳩山首相の辞任により、4日に民主党代表選挙が実施され菅財務相が後任に選出された。この日の午後に衆院本会議で菅財務相が第94代首相に指名された。これまでの菅財務相からは、2011年度の新規国債の発行額を今年度の44.3兆円以下に抑制する考えを示すなど、財政規律を守る姿勢を示しており、これは債券相場にとってはプラスの材料となる。しかし、消費税の増税を含めて、どこまで財政再建に切り込めるのかは未知数である。後任の財務相人事などを含めた内閣人事の状況をまず確認したい。

ここにきての債券相場は株高などから売られる場面もあったが、現物債への投資家の押し目買いなどにより、下値も限られ比較的堅調地合いが続いている。特に中期ゾーンには銀行などからの押し目買いが入っていると見られ5年88回債利回りは0.385%と2003年8月以来の水準まで買い進まれた。菅首相の誕生により、日銀に対しては政府からの緩和圧力がさらに強まるのではないかとの見方などもあったとみられる。また、6月の国債償還などもあり、国債の需給もタイトとなり、今後さらに現物債が買い進まれる可能性もある。中期ゾーンから長期ゾーンにかけても買い進まれ、10年債利回りは1.2%の前半を試す場面もありそうである。


2010.6.4「母が死去」

昨日、6月3日に母が死去いたしました。通夜は6月6日(日)18時より、告別式は6月7日(月)11時よりそれぞれ土浦市営斎場にて執り行なわれます。


2010.6.2「退職のお知らせ」

5月31日を持ちまして実質的に株式会社フィスコ社を退社いたしました。このため「牛さん熊さんの本日の債券」の配信も5月31日を持ちまして休止させていただきました。10年以上に渡り続けてきたコンテンツだけに休止はたいへん残念です。

当面は求職活動となるため、債券ディーリングルームや牛熊ブログの更新もやや滞りがちになる可能性があるかと思いますが、その点、ご了承いただけると助かります。

また、就職先等、心当たりある方はぜひご連絡をいただけるとうれしいです。連絡先は、メールアドレス、admin@fp.st23.arena.ne.jp、もしくは携帯、090-6042-3327、にお願いできればと思います。

よろしくお願いいたします。


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